JP2019142463A - マスタシリンダ - Google Patents

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Tetsunari Nakano
哲成 中野
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Abstract

【課題】ピストンのガイド性能を低下させることなく、リザーバからの作動液の汲み込み流量を増大させることができるマスタシリンダを提供する。【解決手段】本発明は、ピストン12と摺接する摺接面11aを有するシリンダボディ11と、ピストン12により区画される液圧室141と、シリンダボディ11に形成され、リザーバ93から作動液が供給される供給路151と、摺接面11aに形成され、供給路151に接続された環状の周溝162と、摺接面11aに形成され、液圧室141と周溝162とを連通させる連通溝171と、周溝162に配設されたシール部材182と、を備え、連通溝171の軸方向の少なくとも一部は、周方向の溝幅の大小関係について、摺接面11aを含む仮想円筒面上に位置する内側端部170aが、内側端部170aの径方向外側における最大幅溝170bよりも小さく構成された小幅溝170を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、マスタシリンダに関する。
車両用制動装置に用いられるマスタシリンダ内には、ピストンにより区画された液圧室(マスタ室)が形成されている。液圧室内の液圧(マスタ圧)は、最終的にホイールシリンダに供給されて制動力を発揮させる。マスタシリンダには、液圧室にリザーバからの作動液を供給するための供給路が形成されている。液圧室と供給路との間には、シール部材が配設された周溝と、周溝と液圧室とを連通させる連通溝とが形成されている。このようなマスタシリンダは、例えば特開2008−56146号公報に記載されている。
特開2008−56146号公報
しかしながら、上記構成において、リザーバからマスタシリンダへの作動液の汲み込み流量が小さいと、配管振動や異音が発生するおそれがある。また、供給流量を大きくするために流路を大きくすると、マスタシリンダの内周面(摺接面)によるピストンのガイド性能が小さくなる。これにより、ピストンに傾きが生じ、偏磨耗や傷付きが生じ、それが昇圧不良の要因となり得る。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ピストンのガイド性能を低下させることなく、リザーバからの作動液の汲み込み流量を増大させることができるマスタシリンダを提供することを目的とする。
本発明のマスタシリンダは、ピストンを軸方向に摺動可能に収容し、前記ピストンと摺接する摺接面を有するシリンダボディと、前記シリンダボディ及び前記ピストンにより区画される液圧室と、前記シリンダボディに形成され、リザーバから作動液が供給される供給路と、前記摺接面に形成され、前記供給路に接続された環状の周溝と、前記摺接面に形成され、前記液圧室と前記周溝とを連通させる連通溝と、前記周溝に配設され、前記液圧室の圧力が前記リザーバの圧力以上である場合に前記供給路と前記連通溝とを遮断し、前記液圧室の圧力が前記リザーバの圧力よりも低い場合に前記供給路と前記連通溝とを連通させるように構成されたシール部材と、を備え、前記シリンダボディの軸方向をシリンダ軸方向とし、前記シリンダボディの周方向をシリンダ周方向とし、前記シリンダボディの径方向をシリンダ径方向とすると、前記連通溝の前記シリンダ軸方向の少なくとも一部は、前記シリンダ周方向に延びる溝幅の大小関係について、前記摺接面を含む仮想円筒面上に位置する内側端部が、前記内側端部の前記シリンダ径方向外側における最大の前記溝幅をもつ最大幅溝よりも小さく構成された小幅溝を備える。
本発明によれば、連通溝が小幅溝を有することにより、摺接面の面積を確保しやすくなり、ピストンのガイド性能を維持又は向上させることができる。また、小幅溝により、連通溝のうち摺接面から離れた部分で大きな流路を形成することができ、リザーバからの汲み込み流量を増大させることができる。本発明によれば、ピストンのガイド性能を低下させることなく、リザーバからの作動液の汲み込み流量を増大させることができる。
本実施形態のマスタシリンダが適用された車両用制動装置の構成図である。 本実施形態のマスタシリンダの構成を示す部分断面図である。 本実施形態のシリンダボディの一部を示す模式断面図である。 本実施形態の小幅溝を示す図3のIV−IV線断面図である。 本実施形態の変形態様の小幅溝を示す断面図である。 本実施形態の変形態様の小幅溝を示す断面図である。 本実施形態の変形態様の小幅溝を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、説明に用いる各図は模式図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。図1に示すように、本実施形態のマスタシリンダ1は、車両用制動装置9に用いられている。すなわち、車両用制動装置9は、マスタシリンダ1と、ブレーキペダル91と、倍力装置92と、リザーバ93と、アクチュエータ94と、ホイールシリンダ95と、ブレーキECU96と、を備えている。なお、アクチュエータ94を省略してマスタシリンダ1から直接ホイールシリンダ95に作動液を供給する構成であっても良い。
ブレーキペダル91は、ドライバがブレーキ操作可能な操作部材である。ブレーキペダル91には、操作の有無を検出するブレーキスイッチ91aが設けられている。倍力装置92は、エンジンの吸気負圧を利用してブレーキ操作力を助勢するバキュームブースタである。
マスタシリンダ1は、運転者によるブレーキペダル91の操作力をマスタ圧に変換し、そのマスタ圧を、アクチュエータ94を介してホイールシリンダ95に供給する装置である。詳細には後述する。アクチュエータ94は、マスタシリンダ1とホイールシリンダ95との間に配置されている。アクチュエータ94は、ブレーキECU96の指示に応じて、ホイールシリンダ95の液圧(ホイール圧)を調整する装置である。アクチュエータ94は、ブレーキECU96の制御により、アンチスキッド制御(ABS制御)等を実行する。ホイールシリンダ95は、キャリパなどの摩擦ブレーキ部材に設けられ、ホイール圧に応じた制動力を車輪に付与する。ブレーキECU96は、電子制御ユニットであって、ブレーキに関する制御を実行する。
マスタシリンダ1は、図2及び図3に示すように、シリンダボディ11と、第1ピストン12と、第2ピストン13と、第1マスタ室(「液圧室」に相当する)141と、第2マスタ室(「液圧室」に相当する)142と、第1供給路151と、第2供給路152と、周溝161、162、163、164と、第1連通溝171と、第2連通溝172と、シール部材181、182、183、184と、を備えている。
シリンダボディ11は、第1ピストン12及び第2ピストン13を軸方向に摺動可能に収容し、第1ピストン12と摺接する第1摺接面11a、及び第2ピストン13と摺接する第2摺接面11bを有している。シリンダボディ11は、前方(一方)に底面を有し後方(他方)に倍力装置92が組み付けられた有底筒状部材であって、内部に軸方向に延びる孔を形成している。
第1摺接面11a及び第2摺接面11bは、その前後に位置するシリンダボディ11の内周面11cよりも小径に形成された部位であり、前後の内周面11cよりも径方向内側に突出している部分である。第1摺接面11a及び第2摺接面11bは、全体として円筒状の面(後述する仮想円筒面Zと一致する)を形成している。第1摺接面11a及び第2摺接面11bは、第1ピストン12及び第2ピストン13を軸方向にガイドするガイド部ともいえる。なお、説明において、「軸方向(シリンダ軸方向に相当する)」とはシリンダボディ11の軸方向を意味し、「周方向(シリンダ周方向に相当する)」とはシリンダボディ11の周方向を意味し、「径方向(シリンダ径方向に相当する)」とはシリンダボディ11の径方向を意味する。
第1ピストン12は、いわゆるマスタピストンであって、シリンダボディ11内に、軸方向に摺動可能に配置されている。第1ピストン12は、円柱状の円柱部121と、円柱部121の前方端面から、円柱部121と同径の円筒状に突出した円筒部122と、を備えている。円筒部122には、円筒部122の内周側と外周側とを連通させる貫通孔122aが形成されている。第2ピストン13は、いわゆるマスタピストンであって、シリンダボディ11内の第1ピストン12の前方に、軸方向に摺動可能に配置されている。第2ピストン13は、円柱状の円柱部131と、円柱部131の前方端面から、円柱部131と同径の円筒状に突出した円筒部132と、を備えている。円筒部132には、円筒部122の内周側と外周側とを連通させる貫通孔132aが形成されている。
第1ピストン12の円筒部122の内側には、スプリング122bが配置されている。スプリング122bは、一端が円柱部121の前方端面に当接し、他端が第2ピストン13の円柱部131の後方端面に当接したバネ部材である。また、第2ピストン13の円筒部132の内側には、スプリング132bが配置されている。スプリング132bは、一端が円柱部131の前方端面に当接し他端がシリンダボディ11の底面に当接したバネ部材である。
第1マスタ室141は、シリンダボディ11内部に形成された液圧室であって、シリンダボディ11、第1ピストン12、及び第2ピストン13により区画されている。第2マスタ室142は、シリンダボディ11内部に形成された液圧室であって、シリンダボディ11及び第2ピストン13により区画されている。第2マスタ室142は、第1マスタ室141の前方に形成されている。第1マスタ室141及び第2マスタ室142の液圧は、マスタ圧としてアクチュエータ94に供給される。
第1供給路151及び第2供給路152は、シリンダボディ11に形成され、リザーバ93から作動液が供給される流路である。第1供給路151及び第2供給路152は、径方向に延びており、シリンダボディ11の内周側と外周側(リザーバ93)とを連通させる流路である。第1供給路151は第1摺接面11aに開口し、第2供給路152は第2摺接面11bに開口している。第1供給路151及び第2供給路152の径方向内側の端部は、対応する摺接面11a、11bに沿って環状(周溝状)に形成されている。
第1供給路151は、第1ピストン12が初期位置にある状態において、貫通孔122aを介して第1マスタ室141に連通している。第1ピストン12が所定量前進すると貫通孔122aがシール部材182の内側に入り、第1供給路151と第1マスタ室141との間は遮断される。第2供給路152は、第2ピストン13が初期位置にある状態において、貫通孔132aを介して第2マスタ室142に連通している。第2ピストン13が所定量前進すると貫通孔132aがシール部材184の内側に入り、第2供給路152と第2マスタ室142との間は遮断される。初期位置は、ブレーキ操作がなされていないときの位置である。
周溝161〜164は、シリンダボディ11に形成された、シール部材181〜184を収容するための溝である。周溝161、162は、第1摺接面11aに形成され、第1供給路151に接続された環状の溝である。周溝161は、第1供給路151の後方に形成されている。周溝162は、第1供給路151の前方に形成されている。周溝163、164は、第2摺接面11bに形成され、第2供給路152に接続された環状の溝である。周溝163は、第2供給路152の後方に形成されている。周溝164は、第2供給路152の前方に形成されている。
第1連通溝171は、第1摺接面11aに形成され、第1マスタ室141と周溝162とを連通させる溝である。第1連通溝171は、周溝162から前方(軸方向一方側)に延び、第1摺接面11aから径方向外側に凹んだ部分である。第2連通溝172は、第2摺接面11bに形成され、第2マスタ室142と周溝164とを連通させる溝である。第2連通溝172は、周溝164から前方(軸方向一方側)に延び、第2摺接面11bから径方向外側に凹んだ部分である。第1連通溝171及び第2連通溝172の深さは、第1摺接面11a及び第2摺接面11bの突出幅以下に設定されている。当該突出幅は、第1摺接面11a及び第2摺接面11bの径(内径)と、内周面11cの径との差である。このように第1連通溝171及び第2連通溝172は、構造上、シリンダボディ11の限られた範囲に形成される。第1連通溝171及び第2連通溝172の詳細については後述する。
シール部材181〜184は、環状のシール部材(例えばゴム部材)であって、対応する周溝161〜164に配設されている。シール部材181〜184の断面形状(中心軸を含む平面で切断した断面形状)は、凹形状(C字状)である。シール部材181〜184は、カップ型のシール部材ともいえる。
シール部材181は、後方に凹形状の開口が向くように、周溝161に配置されている。シール部材182は、前方(第1マスタ室141側)に凹形状の開口が向くように、周溝162に配置されている。シール部材182は、第1マスタ室141の圧力がリザーバ93の圧力(ここでは大気圧)以上である場合に第1供給路151と第1連通溝171とを遮断し、第1マスタ室141の圧力がリザーバ93の圧力よりも低い場合に第1供給路151と第1連通溝171とを連通させるように構成されている。
シール部材183は、後方に凹形状の開口が向くように、周溝163に配置されている。シール部材184は、前方(第2マスタ室142側)に凹形状の開口が向くように、周溝164に配置されている。シール部材184は、第2マスタ室142の圧力がリザーバ93の圧力以上である場合に第2供給路152と第2連通溝172とを遮断し、第2マスタ室142の圧力がリザーバ93の圧力よりも低い場合に第2供給路152と第2連通溝172とを連通させるように構成されている。マスタ圧がリザーバの圧力より高い場合、シール部材182、184は、凹みの内側に比較的高い圧力を受け、径方向への押圧力が増し、シール性が高まる。一方、マスタ圧がリザーバの圧力より低い場合(マスタ室が負圧の場合)、シール部材182、184は、凹みの内側に押圧力を受けず、シール性が弱まり、リザーバ93の圧力により変形して、リザーバ93から供給された作動液の流通を許容する。
ブレーキペダル91が操作されて、第1ピストン12及び第2ピストン13が前進すると、マスタ圧が高圧となり、シール部材182、184により、供給路151、152と連通溝171、172との間の遮断状態が継続される。一方、ブレーキペダル91の操作が終了し、スプリング122b、132bにより第1ピストン12及び第2ピストン13が初期位置に向けて後退すると、マスタ圧が低圧となり、マスタ圧が負圧になった際に、シール部材182、184の径方向内側に隙間が形成されて、供給路151、152と連通溝171、172との間が連通する。この状態で、リザーバ93の作動液は、第1供給路151及び第1連通溝171を介して第1マスタ室141に供給されるとともに、第2供給路152及び第2連通溝172を介して第2マスタ室142に供給される。これにより、負圧状態が解消し、第1ピストン12及び第2ピストン13がスムーズに後退する。
ここで、第1連通溝171の構成についてさらに説明する。第2連通溝172の構成は、第1連通溝171と同様であるため、説明は省略する。図4に示すように、第1摺接面11aには、周方向に離間して複数(本実施形態では3つ)の第1連通溝171が設けられている。複数の第1連通溝171は、例えば等間隔で形成される。複数の第1連通溝171は、互いに径方向に対向しないように配置されている。第1連通溝171同士の離間角度は、180度ではない。
第1連通溝171は、軸方向の少なくとも一部(特殊形状部ともいえる)において、周方向の溝幅の大小関係について、第1摺接面11aを含む仮想円筒面Z上に位置する内側端部170aが、内側端部170aの径方向外側における最大の溝幅をもつ最大幅溝170bよりも小さく構成された小幅溝170を備えている。換言すると、第1連通溝171は、内側端部170aの溝幅である内側溝幅W1が、内側端部170aの径方向外側の部分における最大の溝幅である最大溝幅W2よりも小さい部分を備えている。小幅溝170は、内側端部170aで形成されているともいえる。軸方向において小幅溝170が形成されている部分(「少なくとも一部」に相当する)(本実施形態では第1連通溝171の軸方向全体)を、特殊形状部3とも称する。
周方向の溝幅は、第1連通溝171内の何れかの点における周方向を特定周方向とし、特定周方向を測定基準方向として測定した長さ(端部間距離又は開口幅ともいえる)である。図4では、内側端部170aの溝の中央点(仮想円筒面Z上の点)における周方向を特定周方向としている。内側溝幅W1は、シリンダボディ11のうち第1連通溝171を形成する部分の径方向内側端部の溝幅である。内側溝幅W1は、第1摺接面11a上に形成された(位置する)空洞の幅ともいえる。
小幅溝170は、シリンダボディ11を軸方向に直交する平面で切断した断面(以下、「軸直交断面」とする)において、内側溝幅W1が、内側端部170aよりも径方向外側の部分の最大の最大溝幅W2よりも小さくなっている。換言すると、小幅溝170は、軸直交断面において、内側端部170a以外の部分に、内側溝幅W1よりも大きい溝幅が形成されるように構成されている。本実施形態では、第1連通溝171は、全体が小幅溝170で構成されている。換言すると、小幅溝170が、第1連通溝171全体に設けられている。
本実施形態の特殊形状部3は、軸直交断面において、溝幅が内側端部170aから径方向外側に向けて徐々に(ここでは周方向両側に)拡幅するように形成されている。特殊形状部3は、軸直交断面において、溝幅が径方向外側ほど大きくなる部分ともいえる。特殊形状部3の溝形状は、軸直交断面において、径方向外側の底辺が径方向内側の底辺より長い台形状といえる。なお、溝形状の各辺や角部分は、湾曲していてもよい。例えば、台形状の径方向外側の底辺が、シリンダボディ11の他の内周面11cに合わせた湾曲形状であってもよい。
本実施形態によれば、第1連通溝171及び第2連通溝172が小幅溝170を有することにより、第1摺接面11a及び第2摺接面11bの面積を確保しやすく、第1ピストン12及び第2ピストン13のガイド性能を維持又は向上させることができる。これにより、第1ピストン12及び/又は第2ピストン13に傾きが生じることによる偏磨耗等を抑制することができる。また、小幅溝170により、第1摺接面11a及び第2摺接面11bから離れた部分で大きな流路を形成することができ、リザーバ93からの汲み込み流量を増大させることができる。これにより、配管振動や異音の発生を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、第1ピストン12及び第2ピストン13のガイド性能を低下させることなく、リザーバ93から第1マスタ室141及び第2マスタ室142への作動液の汲み込み流量を増大させることができる。つまり、本実施形態によれば、ガイド性能の維持・向上と汲み込み流量の増大とを両立させることができる。
また、連通溝171、172には軸方向全体において小幅溝170が形成されているため、ガイド性能と汲み込み流量の増大とを効率よく達成することができる。また、この構成によれば、製造も容易となる。また、特殊形状部3の溝形状が上記のような台形状であるため、比較的簡易に且つ肉厚に製造可能となり、製造及び強度の面で有利となる。また、連通溝171、172同士が径方向に対向しないように配置されているため、ピストン12、13の軸ずれが生じにくく、ガイド性能の面で有利となる。
<変形態様>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、特殊形状部3の溝形状は、台形状に限らず、図5に示すように、軸直交断面において、中心が仮想円筒面Zより径方向外側に位置する円形状であってもよい。また図6に示すように、特殊形状部3は、軸直交断面において、所定の溝幅で径方向に延びる小溝部1701(小幅溝170を含む)と、小溝部1701から径方向外側に延び小溝部1701より溝幅が大きい大溝部1702(最大幅溝170bを含む)と、を備えてもよい。また、図7に示すように、軸直交断面における特殊形状部3の溝形状は、全体的に湾曲したものでもよい。図7では、第1連通溝171における第1ピストン12側の端部(内側端部170a)が、軸直交断面において、湾曲形状に形成されている。また、軸直交断面における特殊形状部3の溝形状は、直線と曲線が組み合わさったものでもよい。軸直交断面において、小幅溝170の溝幅は、径方向外側端部で最大とならなくてもよい。また、軸直交断面において、内側溝幅W1が最小の溝幅でなくてもよい。これらによっても、上記同様の効果が発揮される。なお、図5〜図7では、第1連通溝171が1つの場合を例にしているが、図4同様に複数設けられてもよい。図4〜図7は、軸直交断面に相当する。
また、小幅溝170は、連通溝171、172の軸方向の所定範囲に設けられてもよく、この場合、例えば、連通溝171、172は、小幅溝170と、その他の部分とで構成される。これによっても、ガイド性能の維持・向上及び汲み込み流量の増大が可能となる。また、例えば、連通溝171、172は、前方端部が小幅溝170以外の形状で構成され、前方端部以外が小幅溝170で構成されていてもよい。この場合、前方端部は、例えば、一定の溝幅で径方向全体が形成されてもよい。
また、連通溝171、172は、1つ又は複数であってもよい。連通溝171、172同士を径方向に対向配置させずに、ガイド面(摺接面)の配置バランスを良好にするためには、連通溝171、172は複数且つ奇数であることが好ましい。製造及びバランスの観点から、3つの連通溝171、172を離間して(例えば等間隔で)配置することが好ましい。
また、マスタシリンダ1は、複数のピストンによるタンデム構成でなくてもよく、1つのピストンを有する構成でもよい。また、倍力装置92は、ピストンの後方に液圧を発生させてピストンを駆動されるハイドロブースタや、モータによりボールねじ機構を駆動させてピストンを移動させる電動ブースタであってもよい。また、倍力装置92はなくてもよい。また、アクチュエータ94は、横滑り防止制御(ESC制御)を実行可能なアクチュエータであってもよい。また、アクチュエータ94はなくてもよい。仮想円筒面Zは、摺接面11a、11bを仮想的に延長させた面であり、ピストン12、13の外形に対応した形状(円筒状)になる。
また、シリンダボディ11は、金属製部品でなく、樹脂で形成された樹脂製部品であってもよい。これにより、小幅溝170の製造自由度が向上し、シリンダボディ11の製造も容易となる。この場合、耐久性の観点から、頻繁にマスタシリンダ1を機能させない構成に適用されることが好ましい。例えば、樹脂製のシリンダボディ11は、自動制動制御を行う車両用制動装置において、自動制動制御は、ホイールシリンダ95を独立して加圧可能な加圧機構(例えばESC制御可能なアクチュエータ94)で行い、緊急時等に運転者がブレーキペダル91を操作した場合には、マスタシリンダ1が機能してマスタ圧に基づくホイール圧を発生させるような構成に適している。なお、この場合、例えば倍力装置92はなくてもよい。
1…マスタシリンダ、11…シリンダボディ、11a…第1摺接面、11b…第2摺接面、12…第1ピストン、13…第2ピストン、141…第1マスタ室(液圧室)、142…第2マスタ室(液圧室)、151…第1供給路、152…第2供給路、161〜164…周溝、170…小幅溝、1701…小溝部、1702…大溝部、170a…内側端部、171…第1連通溝、172…第2連通溝、181〜184…シール部材、3…特殊形状部、93…リザーバ、Z…仮想円筒面。

Claims (6)

  1. ピストンを軸方向に摺動可能に収容し、前記ピストンと摺接する摺接面を有するシリンダボディと、
    前記シリンダボディ及び前記ピストンにより区画される液圧室と、
    前記シリンダボディに形成され、リザーバから作動液が供給される供給路と、
    前記摺接面に形成され、前記供給路に接続された環状の周溝と、
    前記摺接面に形成され、前記液圧室と前記周溝とを連通させる連通溝と、
    前記周溝に配設され、前記液圧室の圧力が前記リザーバの圧力以上である場合に前記供給路と前記連通溝とを遮断し、前記液圧室の圧力が前記リザーバの圧力よりも低い場合に前記供給路と前記連通溝とを連通させるように構成されたシール部材と、
    を備え、
    前記シリンダボディの軸方向をシリンダ軸方向とし、前記シリンダボディの周方向をシリンダ周方向とし、前記シリンダボディの径方向をシリンダ径方向とすると、
    前記連通溝の前記シリンダ軸方向の少なくとも一部は、前記シリンダ周方向に延びる溝幅の大小関係について、前記摺接面を含む仮想円筒面上に位置する内側端部が、前記内側端部の前記シリンダ径方向外側における最大の前記溝幅をもつ最大幅溝よりも小さく構成された小幅溝を備えるマスタシリンダ。
  2. 前記連通溝には、前記シリンダ軸方向の全体において、前記小幅溝が形成されている請求項1に記載のマスタシリンダ。
  3. 前記連通溝の前記少なくとも一部は、前記溝幅が前記内側端部から前記シリンダ径方向外側に向けて徐々に拡幅するように形成されている請求項1又は2に記載のマスタシリンダ。
  4. 前記摺接面には、複数の前記連通溝が設けられ、
    複数の前記連通溝は、互いに前記シリンダ径方向に対向しないように配置されている請求項1〜3の何れか一項に記載のマスタシリンダ。
  5. 前記連通溝の前記少なくとも一部は、前記内側端部から一定の幅で前記シリンダ径方向外側に延びる小溝部と、前記小溝部の前記溝幅より大きい前記溝幅で前記小溝部から前記シリンダ径方向外側に延び前記最大幅溝を含む大溝部と、を備える請求項1〜4の何れか一項に記載のマスタシリンダ。
  6. 前記連通溝の前記内側端部は、前記シリンダ軸方向に直交する平面で切断した断面において、湾曲形状に形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のマスタシリンダ。
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