JP2019141936A - 切削インサート - Google Patents

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Masaru Kumagai
賢 熊谷
宏樹 菅谷
Hiroki Sugaya
宏樹 菅谷
修 一ノ関
Osamu Ichinoseki
修 一ノ関
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Abstract

【課題】バックフィード加工とインフィード加工を行う場合の切屑処理性向上とブレーカの摩滅を抑制する。【解決手段】すくい面にコーナ刃の両端に連なる2つの交差稜線にそれぞれ沿って延びる2つの突条部11が形成され、2つの突条部11はコーナ刃側を向く先端側傾斜面と、すくい面の外側を向く外側傾斜面13と、外側傾斜面13とは反対側を向く内側傾斜面14を備え、互いの先端側傾斜面同士をすくい面に対向する方向から見て凹状に交差させ、互いの内側傾斜面14同士をすくい面に対向する方向から見たときの2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において凹状に交差させ、2つの突条部11の先端側傾斜面同士が交差する谷線と内側傾斜面同士が交差する谷線との交点Pが、この交点Pを通りすくい面に対向する方向から見たときの2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において、切刃7よりも突出している。【選択図】図10

Description

本発明は、刃先交換式のバイトに着脱可能に取り付けられて被削材の旋削加工に用いられる切削インサートに関するものである。
このような切削インサートとして、例えば特許文献1には、板状のインサート本体における少なくとも表面と外周面との交差稜線部に切刃を備え、上記切刃は上記表面のコーナ部にコーナ刃を有するとともに、このコーナ刃の内側の表面には、ブレーカ溝壁と、第1ブレーカ起立壁と、第1ブレーカ頂面と、第2ブレーカ起立壁とが形成されたものが提案されている。
この切削インサートによれば、コーナ刃を用いて旋削加工を行う場合に、低切り込み、低送りの切削条件では、切屑が第1ブレーカ起立壁に接触することによりカールされて分断処理される。また、高切り込み、高送りの切削条件では、コーナ刃によって生成された切屑は第1ブレーカ起立壁と第1ブレーカ頂面を乗り越えて第2ブレーカ起立壁に接触することにより、やはりカールされて分断処理されるので、広範囲の切削条件で良好な切屑処理性を確保することができる。
特開2016−052709号公報
ところで、このような切削インサートによる旋削加工では、図12の右側に示すように軸線回りに回転させられる被削材Wの軸部の外周面を上述のようにコーナ刃Aによって切削するのに連続して、図12の左側に示すように軸部の外周面に連なるフランジ部の上記軸線方向を向いた被削材Wの端面を、図12に符号F1で示すように切削インサートIを軸線に対する径方向外周側に移動させることにより仕上げ切削する、いわゆるバックフィード加工(端面引き上げ加工)が行われることがある。そして、このバックフィード加工の場合には、図12の左側に示したように上記切刃のうちコーナ刃Aに連なる主切刃のコーナ刃A側の先端領域Bが切削に使用されることになり、切り込みが極小さくなるので切屑も厚さが極薄いものが生成されることになる。
しかしながら、特許文献1に記載された切削インサートでは、まず主切刃が、コーナ刃Aとともにインサート本体の表裏面の中心を通るインサート中心線に垂直な1つの平面上に位置しており、従って主切刃の先端領域Bも同様にこの平面上に位置している。このため、主切刃の先端領域Bで生成された切屑は、上記表面に対向する平面視において、そのまま主切刃に垂直に流れ出ることになる。
その一方で、特許文献1に記載された切削インサートでは、主切刃の先端領域Bの内側にも、コーナ刃に連なる上記ブレーカ溝壁、第1ブレーカ起立壁、第1ブレーカ頂面に連続してブレーカ溝壁、第1ブレーカ起立壁、第1ブレーカ頂面が形成されているが、このうち第1ブレーカ頂面は、コーナ刃Aや主切刃が位置する上記1つの平面よりもインサート中心線方向に後退した低い位置に形成されている。
従って、上述のように先端領域Bにおいて主切刃に垂直に流れ出た極薄い切屑は、この先端領域Bの内側の第1ブレーカ起立壁や第1ブレーカ頂面を乗り越えてしまって、十分に分断処理されることなく、切削に使用される主切刃とはコーナ刃Aを挟んで反対の主切刃側から排出されてしまい、被削材Wの加工面に当たって傷を付けることにより加工面の品位を損ねたり、被削材Wや刃先交換式バイトのホルダに絡まって旋削加工を中断せざるを得なくなったりするおそれがある。
また、このようなバックフィード加工とは逆に、荒加工において図12に符号F2で示すように切削インサートIを被削材Wの軸線に対する径方向内周側に移動させることにより切削を行う、いわゆるインフィード加工が行われることもあり、この場合には切刃のうち専らコーナ刃Aが切削に使用されることになる。
ところが、特許文献1に記載された切削インサートでは、コーナ刃から、ブレーカ溝壁と第1ブレーカ起立壁との境界に位置する第1境界線までの距離が0.3mm以下と極短いため、コーナ刃によって生成された厚い切屑がコイル状となって分断が困難となるおそれがあるとともに、切屑詰まりを生じるおそれもある。しかも、上述のように第1ブレーカ頂面はコーナ刃Aや主切刃が位置する上記1つの平面よりも低い位置にあるので、インフィード加工やバックフィード加工において生成された切屑により第1ブレーカ起立壁や第1ブレーカ頂面が早期に摩滅してしまい、これに伴ってインサート寿命も早期に潰えるおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、上述のように被削材の端面のバックフィード加工を行う場合に、主切刃の先端領域において生成される極薄い切屑を確実に処理することが可能である一方で、端面にインフィード加工を行う場合でも切屑詰まりを防止できるとともにブレーカの早期の摩滅を抑制することが可能な切削インサートを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するため、本発明は、多角形板状のインサート本体を備えて、このインサート本体の多角形面にすくい面が形成されるとともに、上記多角形面の周囲に配置される上記インサート本体の側面には逃げ面が形成されており、これらすくい面と逃げ面との交差稜線部には、上記多角形面のコーナ部に位置して上記すくい面に対向する方向から見たときに凸曲線状をなすコーナ刃と、このコーナ刃の両端に連なる上記すくい面と逃げ面との2つの交差稜線のうち少なくとも1つの交差稜線上に位置して上記すくい面に対向する方向から見たときに直線状に延びる主切刃とを有する切刃が形成され、上記コーナ刃に隣接する上記すくい面上には、上記切刃と間隔をあけて、上記2つの交差稜線にそれぞれ沿って延びる2つの突条部(ブレーカ)が形成され、これら2つの突条部は、上記コーナ刃側を向いて該コーナ刃から離れるに従い漸次突出するとともに上記2つの交差稜線のうち該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線方向に該すくい面の奥側に向かう先端側傾斜面と、上記すくい面の外側を向いて該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する外側傾斜面と、この外側傾斜面とは反対側を向いて該突条部が沿った上記交差稜線に近づくに従い漸次突出する内側傾斜面とをそれぞれ備え、上記2つの突条部は、互いの上記先端側傾斜面同士を上記すくい面に対向する方向から見て凹状に交差させるとともに、互いの上記内側傾斜面同士を上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において凹状に交差させていて、これら2つの突条部の上記先端側傾斜面同士が交差する谷線と上記内側傾斜面同士が交差する谷線との交点は、この交点を通り上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において、上記切刃よりも突出した位置に配置されていることを特徴とする。
このように構成された切削インサートでは、コーナ刃に隣接するすくい面上に、コーナ刃の両端に連なるすくい面と逃げ面との2つの交差稜線に沿って延びる2つの突条部が切刃と間隔をあけて形成されており、これらの突条部は、すくい面の外側を向いて該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する外側傾斜面を備えているので、バックフィード加工の際に主切刃のコーナ刃側の先端領域によって生成される薄い切屑は、この外側傾斜面に摺接させられる。
そして、この突条部は、外側傾斜面の反対側に内側傾斜面を備えており、2つの突条部の内側傾斜面同士が交差する谷線と先端側傾斜面同士が交差する谷線との交点は、この交点を通りすくい面に対向する方向から見たときの2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において、上記切刃よりも突出した位置に配置されているので、同断面において内側傾斜面の高さは切刃よりも高くなり、これに伴い外側傾斜面の高さも切刃よりも高くなる。従って、バックフィード加工の際に生成される切屑は、主切刃よりも高い突条部の外側傾斜面に摺接させられることになるので、薄い切屑が生成されても確実にカールさせて分断処理することが可能となる。
一方、インフィード加工においてコーナ刃により生成された切屑は、上記2等分線に沿って2つの突条部のコーナ刃側を向いて該コーナ刃から離れるに従い漸次突出する先端側傾斜面に摺接することになる。ここで、これら2つの突条部の先端側傾斜面は、上記2つの交差稜線のうち該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線方向に該すくい面の奥側に向かって延びている。
すなわち、2つの突条部では互いの先端側傾斜面同士がすくい面に対向する方向から見て凹状に交差させられているので、コーナ刃によって生成された切屑が先端側傾斜面に到達するまでの距離を長く確保することが可能となる。このため、インフィード加工の際に厚い切屑が生成されてもやはり確実にカールさせて分断処理することが可能となるとともに、バックフィード加工のために突条部をコーナ刃に近づけても、インフィード加工の際の切屑詰まりも防止することができる。
さらに、2つの突条部の先端側傾斜面同士が交差する谷線と内側傾斜面同士が交差する谷線との上記交点は、上述のようにこの交点を通りすくい面に対向する方向から見たときの2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において、切刃よりも突出した位置に配置されている。
このため、特許文献1に記載された切削インサートのように主切刃とコーナ刃とがインサート中心線に垂直な1つの平面に位置している場合には、この交点、すなわち2つの突条部の先端側傾斜面同士が交差する谷線のコーナ刃から離れた位置を、コーナ刃よりも突出した位置とすることができる。また、例えば主切刃がコーナ刃から離れるに従いインサート中心線方向に後退していて横切刃傾き角が与えられている場合でも、上記交点の位置がコーナ刃よりも大きく後退した位置となるのは防ぐことができる。
このため、上記構成の切削インサートによれば、インフィード加工の際に切屑が摺接する先端側傾斜面や先端側傾斜面と内側傾斜面との交差稜線部が早期に摩滅してしまうのを抑制することができ、これに伴ってインサート寿命も延長することが可能となって、長期に亙って安定した切屑処理を図ることができる。
ここで、上記2つの突条部の上記先端側傾斜面同士が交差する谷線と上記内側傾斜面同士が交差する谷線との交点は、この交点を通り上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において、上記切刃よりも0.20mmまでの範囲で突出した位置に配置されていることが望ましい。上記交点の位置が0.20mmを上回る範囲で切刃よりも突出していると、インフィード加工の際に生成される切屑への抵抗が大きくなりすぎて切屑詰まりを生じるおそれがある。
また、上記すくい面に対向する方向から見て、上記すくい面と上記突条部の上記外側傾斜面との境界と上記主切刃との間の該主切刃に垂直な方向の距離は0.10mm〜0.25mmの範囲とされるのが望ましい。この距離が0.10mmを下回ると外側傾斜面が主切刃に近づきすぎてバックフィード加工の際の切屑が詰まりを生じるおそれがある一方、0.25mmを上回るとバックフィード加工の際の切屑が延び気味となって外側傾斜面によりカールさせることが困難となるおそれがある。
なお、上記突条部の上記外側傾斜面は、上記2つの交差稜線のうち該突条部が沿った上記交差稜線に垂直な断面において、凸曲線を描きつつ該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する凸曲線状部と、この凸曲線状部に曲折して交差し、その交点における上記凸曲線状部の接線よりも緩やかな角度で該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する直線状部とを備えていることが望ましい。
このように外側傾斜面に凸曲線状部と直線状部とを備えることにより、バックフィード加工の際にすくい面に沿って流れ出た切屑は凸曲線状部に摺接させることによって十分な抵抗を与えて一層確実にカールさせることができる一方、こうしてカールされた切屑の流出領域を、凸曲線状部の上記接線よりも緩やかな角度で該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する直線状部によって確保することができて切屑詰まりを防止することができる。
また、上記2つの突条部は、上記すくい面に対向する方向から見て、上記2等分線に関して非対称とされていてもよい。例えば、上記2つの突条部のうち一方の突条部を、上記すくい面に対向する方向から見たときの上記交点を通り上記2等分線に垂直な断面における上記外側傾斜面と内側傾斜面との交差稜線までの高さが、同断面における他方の突条部の上記外側傾斜面と内側傾斜面との交差稜線までの高さよりも高くすることにより、インフィード加工の際の切屑を他方の突条部側に案内して被削材の加工面から離れる方向に導き、切屑によって加工面が傷付けられるのを防ぐことができる。さらに、インフィード加工の際の切屑詰まりも一層確実に防止することができる。
さらにまた、上記2つの突条部のうち一方の突条部を、上記すくい面に対向する方向から見て他方の突条部よりも上記コーナ刃に近い位置から突出させれば、上記2つの交差稜線のうちこの一方の突条部が沿った交差稜線に主切刃を形成してバックフィード加工に用いることにより、このバックフィード加工の際に幅広の切屑が生成されてもさらに確実に処理することができる。
しかも、こうして一方の突条部を他方の突条部よりもコーナ刃に近い位置から突出させることにより、この一方の突条部の上記高さを上述のように他方の突条部の上記高さよりも高くした場合には、インフィード加工の際の切屑は、最初に一方の突条部に当たってから他方の突条部に当たるので、インフィード加工の際の切屑をさらに確実に他方の突条部側に案内して被削材の加工面から離れる方向に導くことが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、バックフィード加工の際の切屑を確実に処理することができる一方、インフィード加工を行う場合でも切屑詰まりを防ぐとともに、突条部(ブレーカ)の早期の摩滅を抑えて長期に亙って安定した切削加工を行うことが可能となる。
本発明の第1の実施形態を示す斜視図である。 図1に示す実施形態の平面図である。 図1に示す実施形態の側面図である。 図1に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大斜視図である。 図1に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大平面図である。 図1に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大側面図である。 図5におけるVV断面図である。 図5におけるWW断面図である。 図5におけるXX断面図である。 図5におけるYY断面図(2つの突条部の先端側傾斜面同士が交差する谷線と内側傾斜面同士が交差する谷線との交点を通りすくい面に対向する方向から見たときのコーナ刃の両端に連なるすくい面と逃げ面との2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面図)である。 図5におけるZZ断面図である。 被削材の外周切削加工に連続してバックフィード加工を行う場合、およびインフィード加工を行う場合を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。 図13に示す実施形態の平面図である。 図13に示す実施形態の側面図である。 図13に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大斜視図である。 図13に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大平面図である。 図13に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大側面図である。 図17におけるVV断面図である。 図17におけるWW断面図である。 図17におけるXX断面図である。 図17におけるYY断面図(2つの突条部の先端側傾斜面同士が交差する谷線と内側傾斜面同士が交差する谷線との交点を通りすくい面に対向する方向から見たときのコーナ刃の両端に連なるすくい面と逃げ面との2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面図)である。 図17におけるZZ断面図である。 本発明の第3の実施形態を示す斜視図である。 図24に示す実施形態の平面図である。 図24に示す実施形態の側面図である。 図24に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大斜視図である。 図24に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大平面図である。 図24に示す実施形態の1つのコーナ刃周辺の拡大側面図である。 図28におけるVV断面図である。 図28におけるWW断面図である。 図28におけるXX断面図である。 図28におけるYY断面図(2つの突条部の先端側傾斜面同士が交差する谷線と内側傾斜面同士が交差する谷線との交点を通りすくい面に対向する方向から見たときのコーナ刃の両端に連なるすくい面と逃げ面との2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面図)である。 図28におけるZZ断面図である。
図1ないし図11は、本発明の第1の実施形態を示すものである。本実施形態においてインサート本体1は、超硬合金等の硬質材料により多角形板状、詳しくは四角形板状、より詳しくは図2に示すように菱形板状に形成され、表裏の多角形面2とその周囲に配置される本実施形態では4つの側面3とを備えている。本実施形態の切削インサートは、多角形面2がなす菱形の鋭角のコーナ部Cに交差する2つの多角形面2と側面3との交差稜線部の挟角が55°とされた、JIS−B4120−1998における呼び記号がDNMG150404タイプの切削インサートである。
また、インサート本体1には、表裏の多角形面2がなす菱形の中心を通るインサート中心線Oを中心とした断面円形の取付孔4が、このインサート中心線O方向すなわちインサート本体1の厚さ方向(図3における上下方向)にインサート本体1を貫通するように形成されている。本実施形態におけるインサート本体1は、このインサート中心線O回りに180°回転対称な形状に形成されるとともに、インサート中心線O方向に多角形面2に対向する方向から見た平面視において多角形面2がなす菱形の対角線に沿った2つの平面に関してそれぞれ面対称形状とされ、さらに表裏の多角形面2に関して表裏反転対称な形状に形成されている。
さらに、表裏の多角形面2と側面3との交差稜線部には、多角形面2にすくい面を有するとともに側面3に逃げ面を有する切刃5がそれぞれ形成されている。なお、側面3は、多角形面2の周回り方向に隣接する側面3同士の上記交差稜線部も含めて、インサート中心線Oに平行に延びるように形成されており、すなわち上述のようにDNMG150404タイプである本実施形態の切削インサートは、切刃5に逃げ角が付されていないネガティブタイプのインサートとされている。
ここで、この隣接する側面3同士の交差稜線部は凸曲面に形成されており、これに伴い菱形をなす多角形面2のそれぞれ表裏に位置する各一対の鋭角のコーナ部Cと鈍角のコーナ部Dは上記平面視において図2および図5に示すように凸曲線状に形成される。本実施形態では、上記凸曲面は凸円筒面であって鋭角のコーナ部Cと鈍角のコーナ部Dは凸円弧状に形成されており、切刃5は、このうち一対の鋭角のコーナ部Cにコーナ刃6をそれぞれ備えるとともに、これらのコーナ刃6の両端に連なる上記すくい面と逃げ面との2つの交差稜線上に、上記平面視において直線状に延びる1つのコーナ刃6に対して2つずつの主切刃7を備えている。
この切刃5のうち、コーナ刃6は、表裏の多角形面2のそれぞれにおいて、図6に示すようにインサート中心線Oに垂直な1つの平面上に位置している。これに対して、主切刃7は、同じく図6に示すようにコーナ刃6に連なる主切刃先端領域7aが、コーナ刃6から離れるに従い該主切刃7が形成された多角形面2とは反対の多角形面2側に向かうように傾斜していて、この主切刃先端領域7aにおいて主切刃7には横切刃傾き角θ1が与えられている。
こうして傾斜する主切刃先端領域7aの主切刃7に与えられる横切刃傾き角θ1、すなわち上記側面3に垂直に対向する側面視において主切刃先端領域7aがインサート中心線Oに垂直な平面に対してなす傾斜角は、本実施形態では4°〜12°の範囲内で一定の角度とされている。また、主切刃先端領域7aは、図5に示すように上記平面視においてコーナ刃6に接する主切刃7に垂直な接線からコーナ刃6とは反対側への距離Eが略3mm程度までの範囲に形成されており、これよりもコーナ刃6とは反対側の主切刃後端領域7bでは、主切刃7は、コーナ刃6が位置する平面よりも一段後退したインサート中心線Oに垂直な平面上に位置している。
一方、切刃5のすくい面が設けられる上記多角形面2には、該多角形面2の鈍角のコーナ部Dの周辺を除いて、この切刃5に連なるブレーカ底面8が形成されている。このブレーカ底面8は、本実施形態では切刃5から多角形面2の内側に向かうに従い、該切刃5が形成された多角形面2とは反対の多角形面2側に向かうように一定の傾斜角で傾斜している。
また、多角形面2における上記取付孔4の開口部の周辺には、両多角形面2において最もインサート中心線O方向に突出したインサート中心線Oに垂直な平面状のボス面9が、2つの鈍角のコーナ部Dに達するように形成されている。このボス面9は、多角形面2の鋭角のコーナ部Cに向けては、2つの鋭角のコーナ部Cを結ぶ対角線に垂直な方向の幅、すなわち1つのコーナ刃6に連なる2つの主切刃7が形成された上記2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な方向の幅を狭めつつ、これら2つの鋭角のコーナ部Cの手前まで延びている。また、このボス面9と上記ブレーカ底面8との間には、ボス面9の外方に向かうに従い該ボス面9が形成された多角形面2とは反対側の多角形面2側に向かうように傾斜するブレーカ壁面10が形成されている。
そして、このブレーカ壁面10における鋭角のコーナ部C側への突端と切刃5、すなわちコーナ刃6および2つの主切刃7との間のコーナ刃6に隣接するすくい面上には、切刃5と間隔をあけて、2つの主切刃7が位置する上記2つの交差稜線にそれぞれ沿って延びる2つの突条部11が形成されている。ここで、これらの突条部11は、2つの主切刃7の上記主切刃先端領域7aに連なるブレーカ底面8と上記ブレーカ壁面10とが交差する谷線部分に突出するように形成されている。従って、本実施形態では、2つの突条部11はすくい面に対向する方向から見て上記2等分線Mに沿った平面に関して面対称形状である。
さらに、これら2つの突条部11は、コーナ刃6側を向いてコーナ刃6から離れるに従い漸次突出するとともに上記2つの交差稜線のうち該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い上記コーナ刃から離れる方向に向かう先端側傾斜面12と、すくい面の外側を向いて該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する外側傾斜面13と、この外側傾斜面13とは反対側を向いて該突条部11が沿った上記交差稜線に近づくに従い漸次突出する内側傾斜面14とをそれぞれ備えている。
また、これら2つの突条部11は、互いの上記先端側傾斜面12同士をすくい面に対向する方向から見て図5に示すように凹状に交差させるとともに、互いの上記内側傾斜面14同士をすくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な断面において図10に示すように凹状に交差させている。すなわち、このように凹状に交差した先端側傾斜面12同士と内側傾斜面14同士の間には、凸状となるような突起は形成されてはいない。
そして、さらにこれら2つの突条部11は、その先端側傾斜面12同士が凹状に交差した谷線N1と内側傾斜面14同士が凹状に交差した谷線N2との交点Pが、この交点Pを通り上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な断面において図10に示したように、同断面における切刃5の位置よりも突出した位置に配置されている。ここで、この断面における切刃5の位置は、主切刃先端領域7aにおける主切刃7上に位置している。
ここで、2つの突条部11の先端側傾斜面12は、上記2つの交差稜線のうち該突条部11が沿った交差稜線側にそれぞれ位置して球面の一部をなしてコーナ刃から離れるに従い漸次突出する凸曲面部12aと、この凸曲面部12aに交差する平面状で、コーナ刃6から離れるに従い漸次突出するとともに、該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従いすくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線M方向に該すくい面の奥側に向かう傾斜平面部12bとを備えており、上記谷線N1は、これらの傾斜平面部12b同士が凹状に交差することによって形成されている。
また、2つの突条部11の上記外側傾斜面13はそれぞれ、上記2つの交差稜線のうち該突条部11が沿った上記交差稜線に垂直な断面において、凸曲線を描きつつ該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する凸曲線状部13aと、この凸曲線状部13aに曲折して交差し、その交点Qにおける上記凸曲線状部13aの接線よりも緩やかな角度で該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する直線状部13bとを備えている。
このうち、凸曲線状部13aは、先端側傾斜面12の凸曲面部12aに接するように形成されている。また、各突条部11が沿った上記交差稜線に垂直な断面における上記交点Qを連ねた外側傾斜面13の凸曲線状部13aと直線状部13bとの交線は、コーナ刃6から離れるに従い該突条部11が形成された多角形面2とは反対の多角形面2側に向かうように傾斜している。
さらに、内側傾斜面14は、先端側傾斜面12の傾斜平面部12bと外側傾斜面13の直線状部13bとに鈍角に交差する傾斜平面状とされ、上述のように各突条部11が沿った上記交差稜線に近づくに従い漸次突出するとともに、コーナ刃6から離れて上記2等分線M方向にすくい面の奥側に向かうに従い該突条部11が形成された多角形面2とは反対の多角形面2側に向かうように傾斜している。
なお、2つの突条部11の先端側傾斜面12の傾斜平面部12bと内側傾斜面14との交差稜線は、すくい面に対向する方向から見て図5に示すように各突条部11が沿った上記交差稜線に垂直な方向に延びており、これら2つの突条部11の上記交差稜線同士は、同じくすくい面に対向する方向から見て図5に示したように鈍角の開き角θ2をもってコーナ刃6側にV字状に開くように形成されている。
このような構成の切削インサートにおいては、コーナ刃6に隣接するすくい面上に、コーナ刃6の両端に連なるすくい面と逃げ面との2つの交差稜線に沿って延びる2つの突条部11が切刃5と間隔をあけて形成されていて、これらの突条部11は、まずすくい面の外側を向いて該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する外側傾斜面13を備えており、バックフィード加工の際に切削に使用される主切刃7のコーナ刃6側の主切刃先端領域7aによって生成される薄い切屑は、この外側傾斜面13に摺接させられる。
ここで、これらの突条部11は、外側傾斜面13の反対側に内側傾斜面14を備えており、2つの突条部11の内側傾斜面14同士が交差する谷線N2と先端側傾斜面12同士が交差する谷線N1との交点Pは、この交点Pを通りすくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な断面において、切刃5よりも突出した位置に配置されているので、同断面において内側傾斜面14の高さ、すなわち突条部11の高さは切刃5よりも高くなり、これに伴い外側傾斜面13の高さも切刃5よりも高くなる。このため、バックフィード加工の際に生成される切屑は、主切刃7よりも高い突条部11の外側傾斜面13に摺接させられることになるので、薄い切屑が生成されても確実にカールさせて分断処理することが可能となる。
一方、インフィード加工においてコーナ刃6により生成された切屑は、上記2等分線に沿って流れて2つの突条部11のコーナ刃6側を向いて該コーナ刃6から離れるに従い漸次突出する先端側傾斜面12に摺接することになる。そして、これら2つの突条部11の先端側傾斜面12は、その傾斜平面部12bが上記2つの交差稜線のうち該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線M方向に該すくい面の奥側に向かって延びていて、2つの突条部11で互いの先端側傾斜面12の傾斜平面部12b同士をすくい面に対向する方向から見て凹状に交差させている。
このため、コーナ刃6によって生成された切屑が先端側傾斜面12に到達するまでの距離を確保することができ、厚い切屑が生成されてもやはり確実にカールさせて分断処理することが可能となる。しかも、バックフィード加工の切屑処理のために突条部11の先端をコーナ刃6側に近づけても、インフィード加工の際の切屑が詰まりを生じることも防止することが可能となる。
そして、さらに2つの突条部11の先端側傾斜面12同士が交差する谷線N1と内側傾斜面14同士が交差する谷線N2との上記交点Pは、上述のようにこの交点Pを通りすくい面に対向する方向から見たときの2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な断面において、切刃5よりも突出した位置に配置されている。このため、本実施形態のように主切刃7の主切刃先端領域7aに横切刃傾き角θ1が与えられて、主切刃7がコーナ刃6から離れるに従いインサート中心線O方向に後退していても、上記交点Pの位置がコーナ刃6よりもインサート中心線O方向に大きく後退するのは避けることができる。
従って、上記構成の切削インサートによれば、インフィード加工の際にコーナ刃6によって生成された切屑が突条部11の先端側傾斜面12や先端側傾斜面12と内側傾斜面14との交差稜線部が摺接することによって突条部11が早期に摩滅してしまうのを抑制することができる。このため、インフィード加工に多用しても切削インサートの寿命を延長することができ、バックフィード加工に使用する場合も含めて長期に亙って安定した切屑処理を図ることが可能となる。
ここで、上記2つの突条部11の上記先端側傾斜面12同士が交差する谷線N1と上記内側傾斜面14同士が交差する谷線N2との交点Pは、この交点Pを通り上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な断面において、図10に示すように上記切刃5よりも0.20mmまでの範囲の高さH1で突出した位置に配置されていることが望ましく、本実施形態では0.05mmとされている。この交点Pの切刃5からの高さH1が0.20mmを上回る範囲で切刃5よりも突出していると、インフィード加工の際に生成される切屑が先端側傾斜面12に摺接してカールされる際の抵抗が大きくなりすぎ、切屑詰まりを生じるおそれがある。
なお、主切刃7の主切刃先端領域7aに横切刃傾き角θ1が与えられた本実施形態においては、図11に示すように交点Pはコーナ刃6よりはインサート中心線O方向に後退した位置にあり、コーナ刃6よりもインサート中心線O方向に0.10mm後退した位置にある。ただし、交点Pはコーナ刃6よりもインサート中心線O方向に突出した位置にあってもよく、コーナ刃6の位置を基準としてインサート中心線O方向に突出する方向への高さH2が0.05mm〜−0.15mmの範囲に位置しているのが望ましい。
また、同図11に示すように、突条部11のインサート中心線O方向における突端R(突条部11の先端側傾斜面12と外側傾斜面13と内側傾斜面14との交点)の位置は、コーナ刃6も含めた切刃5よりも突出しており、インフィード加工およびバックフィード加工の際の切屑を一層確実に処理することができる。ただし、この突端Rの高さが高すぎると、特にインフィード加工の際の切屑が詰まりを生じるおそれがあるので、突端Rのコーナ刃6からのインサート中心線O方向の高さH3は0.15mmまでの範囲とされるのが望ましく、本実施形態では0.05mmとされている。
さらに、図10に示したすくい面に対向する方向から見たときの上記交点Pを通り上記2等分線Mに垂直な断面における交点Pから突条部11の外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線までのインサート中心線O方向の高さH4は、0.05mm〜0.25mmの範囲とされるのが望ましく、本実施形態では0.15mmとされている。
一方、図7ないし図9においてすくい面に対向する方向から見たときの主切刃7に垂直な断面に示したように、すくい面に対向する方向から見て、すくい面(ブレーカ底面8)と突条部11の上記外側傾斜面13との境界Sと主切刃7との間の主切刃7に垂直な方向の距離L1は、0.10mm〜0.25mmの範囲とされるのが望ましい。この距離L1が0.10mmを下回ると外側傾斜面13が主切刃7に近づきすぎてバックフィード加工の際に切屑詰まりが生じるおそれがある一方、距離L1が0.25mmを上回ると逆にバックフィード加工の際の切屑が延び気味となり、外側傾斜面13によって切屑を確実にカールさせて処理することが困難となるおそれがある。
さらに、図10に示したようにすくい面に対向する方向から見たときの上記交点Pを通り上記2等分線Mに垂直な断面において、突条部11の外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線と主切刃7との間の距離L2は0.35mm〜0.50mmの範囲とされるのが望ましく、本実施形態では0.45mmとされている。また、同断面においてすくい面(ブレーカ底面8)と突条部11の上記外側傾斜面13との境界Sと上記交点Pとの間の距離L3は0.40mm〜0.60mmの範囲とされるのが望ましく、本実施形態では0.50mmとされている。さらに、同断面において2つの突条部11の外側傾斜面13と内側傾斜面14の交差稜線同士の距離L4は0.35mm〜0.75mmの範囲とされるのが望ましく、本実施形態では0.55mmとされている。
さらにまた、図11に示したコーナ刃6からすくい面(ブレーカ底面8)と2つの突条部11の先端側傾斜面12同士が交差する谷線N1との交点Tまでのすくい面に対向する方向から見たときの上記2等分線M方向の距離L5は、0.60mm〜0.80mmの範囲とされるのが望ましく、本実施形態では0.65mmとされている。この距離L5が短すぎるとインフィード加工の際の切屑が詰まりを生じるおそれがあり、逆に距離L5が長すぎるとインフィード加工の際の切屑が延び気味となって確実にカールさせることが困難となるおそれがある。
また、本実施形態では、突条部11の外側傾斜面13は、図7ないし図9に示したように主切刃7が形成される上記2つの交差稜線のうち該突条部11が沿った交差稜線に垂直な断面において、凸曲線を描きつつ該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する凸曲線状部13aと、この凸曲線状部13aに曲折して交差し、その交点Qにおける上記凸曲線状部13aの接線よりも緩やかな角度で該突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する直線状部13bとを備えている。
このため、バックフィード加工の際にすくい面(ブレーカ底面8)に沿って流れ出た切屑は、まず凸曲線状部13aに摺接することによって十分な抵抗を与えられて一層確実にカールさせられる。さらに、こうしてカールされた切屑は、交点Qを超えて直線状部13bの上方の領域に流出するが、この切屑が流出する流出領域を、本実施形態では凸曲線状部13aの上記接線よりも緩やかな角度で突条部11が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する直線状部13bによって大きく確保することができるので、カールした切屑が詰まりを生じるのを防止することができる。
なお、すくい面に対向する方向から見て主切刃7に垂直な断面における交点Qの位置は主切刃7よりも突出した位置にあって、インサート中心線O方向に主切刃7よりも0.20mm以下の範囲が望ましく、本実施形態では先端側傾斜面12の傾斜平面部12bと内側傾斜面14との交差稜線に沿った断面(図5のVV断面)において主切刃7よりも0.10mm突出した位置にある。
さらに、本実施形態では、上述のように主切刃7がコーナ刃6から離れるに従い該主切刃7が形成された多角形面2とは反対の多角形面2側に向かうように傾斜していて、主切刃7に横切刃傾き角θ1が与えられている。このため、特にバックフィード加工の際に生成される切屑の折れ曲がり効果を高めることができ、これによっても切屑処理性の向上を図ることができる。
次に、図13ないし図23は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、図1ないし図11に示した第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を配して説明を省略する。すなわち、第1の実施形態では、上述のように主切刃7がコーナ刃6から離れるに従い該主切刃7が形成された多角形面2とは反対の多角形面2側に向かうように傾斜していて、主切刃7に横切刃傾き角θ1が与えられていたのに対し、この第2の実施形態では主切刃7がコーナ刃6とインサート中心線O方向に等しい位置にあるインサート中心線Oに垂直な1つの平面上に位置していて、主切刃7に横切刃傾き角θ1が与えられてはおらず、横切刃傾き角θ1が0°とされていることを特徴としている。
このような第2の実施形態の切削インサートでも、2つの突条部11の先端側傾斜面12同士が交差する谷線N1と内側傾斜面14同士が交差する谷線N2との交点Pが、この交点Pを通りすくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な断面において、図22に示すように切刃5(主切刃7)よりも突出した位置に配置されることから、この第2の実施形態では交点Pは図23に示すようにコーナ刃6よりもインサート中心線O方向に突出した位置に配置されることになる。このため、第2の実施形態によれば、インフィード加工の際に生成される切屑を、さらに確実にカールして処理することが可能となる。
また、この第2の実施形態では、主切刃7がインサート本体の側面3に対向する方向から見たときにも、図18に示すようにコーナ刃6と同一の平面上に位置する直線状であるので、バックフィード加工の際の切屑処理性を維持しつつ、切刃5の強度を高めて欠損等が発生するのを防止することができる。さらに、被削材においては、主切刃7に段差がないので、バリが発生するのを抑制することができる。
次に、図24ないし図34は、本発明の第3の実施形態を示すものであり、図1ないし図11に示した第1の実施形態や図13ないし図23に示した第2の実施形態と共通する部分には同一の符号を配して説明を省略する。すなわち、これら第1、第2の実施形態では、コーナ刃6の両端から延びる2つのすくい面と逃げ面との交差稜線のそれぞれに主切刃7が形成されるとともに、2つの突条部11がすくい面に対向する方向から見てこの2つの交差稜線の2等分線Mに沿った平面に関して面対称形状であったのに対し、この第3の実施形態では2つの突条部11A、11Bが上記2等分線Mに沿った平面に関して非対称であることを特徴としている。
ここで、この第3の実施形態では、すくい面に対向する方向から見たときの上記交点Pを通り2等分線Mに垂直な断面における図28の下側の第1の突条部(一方の突条部)11Aの外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線までのインサート中心線O方向の高さH4Aは、図33に示すように同断面における図28の上側の第2の突条部(他方の突条部)11Bの外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線までのインサート中心線O方向の高さH4Bよりも高い。また、第1の突条部11Aは、すくい面に対向する方向から見て第2の突条部11Bよりもコーナ刃6に近い位置から突出している。
さらに、本実施形態では、第1の突条部11Aの内側傾斜面14は、この第1の突条部11Aが沿った図28における下側の上記交差稜線側に近づくに従い、上記2等分線Mに垂直な断面における勾配が緩やかになる複数(2段)の傾斜面部14a、14bを備えている。これに対して、第2の突条部11Bの内側傾斜面14の勾配は、これら複数の傾斜面部14a、14bのうちすくい面に対向する方向から見て上記2等分線M側に位置する傾斜面部14aよりも勾配が緩やかであり、またすくい面に対向する方向から見たときの上記2等分線Mから上記境界Sまでの幅も、図28に示すように第1の突条部11Aが第2の突条部11Bよりも幅広とされている。なお、この第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に図29に示すように主切刃7の主切刃先端領域7aに4°〜12°の横切刃傾き角θ1が与えられている。
このような第3の実施形態の切削インサートは、インフィード加工の際は第1、第2の実施形態と同様にコーナ刃6が専ら切削に使用されるものの、バックフィード加工の際は第1の突条部11Aが沿った図28における下側の上記交差稜線に形成された主切刃7が切削に使用される、いわゆる勝手付きの切削インサートとなる。従って、主切刃7は、この第1の突条部11Aが沿った図28における下側の上記交差稜線にのみ形成されていればよく、第2の突条部11Bが沿った図28の上側の上記交差稜線に主切刃7は形成されていなくてもよい。
このような第3の実施形態においても、2つの突条部11A、11Bの先端側傾斜面12同士が交差する谷線N1と内側傾斜面14同士が交差する谷線N2との交点Pは、この交点Pを通りすくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線Mに垂直な断面において、切刃5よりも突出した位置に配置されていることにより、第1、第2の実施形態と同様に突条部11A、11Bの摩滅を抑制することが可能となり、長期に亙ってインフィード加工の際の切屑を確実に処理することができるという効果を得ることができる。
また、本実施形態では、第1、第2の突条部11A、11Bがすくい面に対向する方向から見て上記2等分線Mに関し非対称とされており、すくい面に対向する方向から見たときの上記交点Pを通り2等分線Mに垂直な断面における第2の突条部11Bの外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線までのインサート中心線O方向の高さH4Bは、同断面における第1の突条部11Aの外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線までのインサート中心線O方向の高さH4Aよりも低くなる。
このため、インフィード加工の際に生成される切屑を、この第2の突条部11B側に案内して被削材から離れる方向に導くことができ、被削材の加工面に切屑が擦過して傷が付けられるのを防ぐことができる。しかも、こうして第2の突条部11Bの上記高さH4Bが低いため、特に高送りのインフィード加工の際の切屑詰まりも確実に防止することができる。
その一方で、第1の突条部11Aが第2の突条部11Bよりもコーナ刃6に近い位置から突出しているので、この第1の突条部11Aが沿った図28の下側に位置する上記交差稜線に形成された主切刃7を用いてバックフィード加工を行った際に生成される切屑を一層確実に処理することができる。さらに、インフィード加工の際の切屑は、最初に第1の突条部11Aに当たってから第2の突条部11Bに当たるので、一層確実にインフィード加工の際に生成される切屑を第2の突条部11B側に案内して被削材から離れる方向に導くことができる。
なお、この第3の実施形態では、バックフィード加工の際に使用される主切刃7の主切刃先端領域7aに4°〜12°の横切刃傾き角θ1が与えられているが、第2の実施形態と同様にこの主切刃7がコーナ刃6と同一のインサート中心線Oに垂直な平面上に位置していて直線状とされ、すなわち横切刃傾き角θ1が0°とされていてもよい。
1 インサート本体
2 多角形面
3 側面
4 取付孔
5 切刃
6 コーナ刃
7 主切刃
7a 主切刃先端領域
8 ブレーカ底面
9 ボス面
10 ブレーカ壁面
11、11A、11B 突条部
12 先端側傾斜面
12a 凸曲面部
12b 傾斜平面部
13 外側傾斜面
13a 凸曲線状部
13b 直線状部
14 内側傾斜面
O インサート中心線
θ1 横切刃傾き角
θ2 すくい面に対向する方向から見たときの2つの突条部11の先端側傾斜面12の傾斜平面部12bと内側傾斜面14との交差稜線同士の開き角
M すくい面に対向する方向から見たときのコーナ刃6の両端に連なるすくい面と逃げ面との2つの交差稜線の2等分線
N1 2つの突条部11Aの先端側傾斜面12同士が交差する谷線
N2 2つの突条部11Aの内側傾斜面14同士が交差する谷線
P 谷線N1、N2の交点
Q 突条部11が沿ったすくい面と逃げ面の交差稜線に垂直な断面における凸曲線状部13aと直線状部13bとの交点
R 突条部11のインサート中心線O方向における突端
S すくい面(ブレーカ底面8)と突条部11の外側傾斜面13との境界
T すくい面(ブレーカ底面8)と2つの突条部11の先端側傾斜面12同士が交差する谷線N1との交点
H1 交点Pを通りすくい面に対向する方向から見たときの2等分線Mに垂直な断面における交点Pの切刃5からのインサート中心線O方向の高さ
H2 コーナ刃6の位置を基準とした交点Pのインサート中心線O方向に突出する方向への高さ
H3 突条部11の突端Rのコーナ刃6からのインサート中心線O方向の高さ
H4 すくい面に対向する方向から見たときの交点Pを通り2等分線Mに垂直な断面における交点Pから突条部11の外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線までのインサート中心線O方向の高さ
L1 すくい面に対向する方向から見たときのすくい面(ブレーカ底面8)と突条部11の外側傾斜面13との境界Sと主切刃7との間の主切刃7に垂直な方向の距離
L2 すくい面に対向する方向から見たときの交点Pを通り2等分線Mに垂直な断面における突条部11の外側傾斜面13と内側傾斜面14との交差稜線と主切刃7との間の距離
L3 すくい面に対向する方向から見たときの交点Pを通り2等分線Mに垂直な断面におけるすくい面(ブレーカ底面8)と突条部11の外側傾斜面13との境界Sと交点Pとの間の距離
L4 すくい面に対向する方向から見たときの交点Pを通り2等分線Mに垂直な断面における2つの突条部11の外側傾斜面13と内側傾斜面14の交差稜線同士の距離

Claims (6)

  1. 多角形板状のインサート本体を備えて、このインサート本体の多角形面にすくい面が形成されるとともに、上記多角形面の周囲に配置される上記インサート本体の側面には逃げ面が形成されており、
    これらすくい面と逃げ面との交差稜線部には、上記多角形面のコーナ部に位置して上記すくい面に対向する方向から見たときに凸曲線状をなすコーナ刃と、このコーナ刃の両端に連なる上記すくい面と逃げ面との2つの交差稜線のうち少なくとも1つの交差稜線上に位置して上記すくい面に対向する方向から見たときに直線状に延びる主切刃とを有する切刃が形成され、
    上記コーナ刃に隣接する上記すくい面上には、上記切刃と間隔をあけて、上記2つの交差稜線にそれぞれ沿って延びる2つの突条部が形成され、
    これら2つの突条部は、上記コーナ刃側を向いて該コーナ刃から離れるに従い漸次突出するとともに上記2つの交差稜線のうち該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線方向に該すくい面の奥側に向かう先端側傾斜面と、上記すくい面の外側を向いて該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する外側傾斜面と、この外側傾斜面とは反対側を向いて該突条部が沿った上記交差稜線に近づくに従い漸次突出する内側傾斜面とをそれぞれ備え、
    上記2つの突条部は、互いの上記先端側傾斜面同士を上記すくい面に対向する方向から見て凹状に交差させるとともに、互いの上記内側傾斜面同士を上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において凹状に交差させていて、
    これら2つの突条部の上記先端側傾斜面同士が交差する谷線と上記内側傾斜面同士が交差する谷線との交点は、この交点を通り上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において、上記切刃よりも突出した位置に配置されていることを特徴とする切削インサート。
  2. 上記2つの突条部の上記先端側傾斜面同士が交差する谷線と上記内側傾斜面同士が交差する谷線との交点は、この交点を通り上記すくい面に対向する方向から見たときの上記2つの交差稜線の2等分線に垂直な断面において、上記切刃よりも0.20mmまでの範囲で突出した位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
  3. 上記すくい面に対向する方向から見て、上記すくい面と上記突条部の上記外側傾斜面との境界と、上記2つの交差稜線のうち該突条部が沿った上記交差稜線との間の該交差稜線に垂直な方向の距離が、0.10mm〜0.25mmの範囲とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削インサート。
  4. 上記突条部の上記外側傾斜面は、上記2つの交差稜線のうち該突条部が沿った上記交差稜線に垂直な断面において、凸曲線を描きつつ該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する凸曲線状部と、この凸曲線状部に曲折して交差し、その交点における上記凸曲線状部の接線よりも緩やかな角度で該突条部が沿った上記交差稜線から離れるに従い漸次突出する直線状部とを備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の切削インサート。
  5. 上記2つの突条部のうち一方の突条部は、上記すくい面に対向する方向から見たときの上記交点を通り上記2等分線に垂直な断面における上記外側傾斜面と内側傾斜面との交差稜線までの高さが、同断面における他方の突条部の上記外側傾斜面と内側傾斜面との交差稜線までの高さよりも高いことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の切削インサート。
  6. 上記2つの突条部のうち一方の突条部は、上記すくい面に対向する方向から見て他方の突条部よりも上記コーナ刃に近い位置から突出していることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の切削インサート。
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DE112020005293B4 (de) 2019-12-11 2024-05-16 Kyocera Corporation Einsatz, schneidwerkzeug und verfahren zum schneiden eines werkstücks mit dem schneidwerkzeug

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