JP2019141793A - 液体有機物と水の分離システム及び分離方法 - Google Patents

液体有機物と水の分離システム及び分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水供給設備を設けずに液体有機物と水の混合液中の液体有機物の濃度管理を容易に行う。【解決手段】液体有機物と水の分離システム1は、直列で接続された第1及び第2の浸透気化膜モジュール3,4を有している。各浸透気化膜モジュール3,4は、水と水より沸点の高い液体有機物との混合液を供給され、供給される混合液を、液体有機物の濃度が供給される混合液における液体有機物の濃度以上となる濃縮液と、水の濃度が供給される混合液における水の濃度以上となる透過蒸気と、に分離する。分離システムは、第1の浸透気化膜モジュール3に供給される混合液を貯留する貯留手段2,68と、第1の浸透気化膜モジュール3を貯留手段に接続し、第1の浸透気化膜モジュール3で生成された透過蒸気を冷却して凝縮液を生成し、凝縮液を貯留手段に戻す第1の再循環手段34と、第2の浸透気化膜モジュールで生成された濃縮液の回収手段50と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、液体有機物と水の分離システム及び分離方法に関し、特に浸透気化法を用いた分離システム及び分離方法に関する。
従来から、液体有機物と水の混合液を液体有機物と水に分離する手法として、省エネルギ性能に優れた浸透気化法(PV法)が知られている。特許文献1には、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)と水との混合液からPV法によってNMPを分離するシステムと方法が開示されている。浸透気化膜の入口側に混合液を供給し、透過側を減圧することで、混合液を入口側から透過側へ移動させる駆動力が得られ、NMPと水の透過速度差により分離が行われる。浸透気化膜の高い親水性により、水が浸透気化膜を透過し、NMPが浸透気化膜の入口側に残存する。特許文献1に開示されたシステムでは、複数の浸透気化膜モジュールが直列に接続されており、1段目の浸透気化膜モジュールの上流側に混合液の貯留槽が設けられている。混合液は貯留槽から供給され、各浸透気化膜モジュールでNMPの濃度が段階的に高められ、最終段の浸透気化膜モジュールから高度に濃縮されたNMPと水の濃縮液が得られる。最終段の浸透気化膜モジュールの浸透気化膜を通過した水は相対的に高濃度のNMPを含んでいるため、貯留槽に戻される。これによって、NMPの回収率を高めることができる。
特開2015−71139号公報
NMPに代表される液体有機物(有機溶媒)には引火性があるものがあり、容器の材質、構造、最大容積等が制約される場合がある。これらの液体有機物は法律で規制される場合もある。例えば、日本においてNMPは消防法における危険物第4類第3石油類(水溶性液体)に該当する。上記の制約を緩和し、あるいは法規制の対象から外すためには、貯留槽における混合液中の液体有機物の濃度を一定の値以下とする必要がある。このため従来は、混合液を希釈するための水供給設備を別途設けることがあった。
本発明は、水供給設備を設けなくとも液体有機物と水の混合液中の液体有機物の濃度管理を容易に行うことができる液体有機物と水の分離システム及び分離方法を提供することを目的とする。
本発明の液体有機物と水の分離システムは、直列で接続され、最上流に位置する第1の浸透気化膜モジュールと、最下流に位置する第Nの浸透気化膜モジュール(Nは2以上の整数)と、を含む複数の浸透気化膜モジュールを有している。各浸透気化膜モジュールは、水と水より沸点の高い液体有機物との混合液を供給され、供給される混合液を、液体有機物の濃度が供給される混合液における液体有機物の濃度以上となる濃縮液と、水の濃度が供給される混合液における水の濃度以上となる透過蒸気と、に分離する。第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールは、分離された濃縮液を上記供給される混合液として、次段の浸透気化膜モジュールに供給する。分離システムはさらに、第1の浸透気化膜モジュールに供給される混合液を貯留する貯留手段と、第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールの少なくとも一つである再循環浸透気化膜モジュールを貯留手段に接続し、再循環浸透気化膜モジュールで生成された透過蒸気を冷却して凝縮液を生成し、凝縮液を貯留手段に戻す第1の再循環手段と、第Nの浸透気化膜モジュールで生成された濃縮液の回収手段と、を有している。
本発明の液体有機物と水の分離方法は、直列で接続され、最上流に位置する第1の浸透気化膜モジュールと、最下流に位置する第Nの浸透気化膜モジュール(Nは2以上の整数)と、を含む複数の浸透気化膜モジュールを用いるものである。本方法は、各浸透気化膜モジュールで、供給される液体有機物と水の混合液を、供給される混合液よりも液体有機物の濃度が高い濃縮液と、供給される混合液よりも水の濃度が高い透過蒸気と、に分離し、第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールで、分離された濃縮液を供給される混合液として、次段の浸透気化膜モジュールに供給する工程と、第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールの少なくとも一つである再循環浸透気化膜モジュールで生成された透過蒸気を冷却して凝縮液を生成し、凝縮液を、第1の浸透気化膜モジュールに供給される混合液を貯留する貯留手段に戻す工程と、第Nの浸透気化膜モジュールで生成された濃縮液を回収する工程と、を有している。
第1〜第Nの浸透気化膜モジュールは直列に接続されているため、混合液中の水分は前段の浸透気化膜モジュールから後段の浸透気化膜モジュールに向けて段階的に除去されていく。液体有機物と水との分離性能は、浸透気化膜モジュールの入口側と透過側との水蒸気圧差に依存するため、前段の浸透気化膜モジュールではより多くの量の水が除去され、後段の浸透気化膜モジュールではより少ない量の水が除去される。浸透気化膜モジュールで除去される水の水質は純水と同等である。そこで、本発明では第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールの少なくとも一つである再循環浸透気化膜モジュールで生成された透過蒸気の凝縮液を貯留手段に戻している。これによって、水供給設備を設けなくとも液体有機物と水の混合液中の液体有機物の濃度管理を容易に行うことができる液体有機物と水の分離システム及び分離方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る分離システムの概略構成図である。 浸透気化膜モジュールの概略構成図である。 水スクラバーの概略構成図である。 本発明の他の実施形態に係る分離システムの概略構成図である。 多段式浸透気化膜モジュールの各モジュールにおける混合液中のNMP濃度と含水量を示す略図である。
図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。本実施形態では液体有機物としてNMPが用いられるが、液体有機物はこれに限定されず、一般的には1気圧(1013hPa)時の沸点が水より高い液体有機物、好ましくは1気圧時の沸点が、浸透気化膜モジュールの一般的な運転温度である120℃、またはそれ以上である液体有機物を用いることができる。このような液体有機物の例を表1に示す。
Figure 2019141793
NMPはリチウムイオン電池における製造過程で使用される。リチウムイオン電池の正極及び負極は、主として活物質、集電体及びバインダーから構成されている。バインダーは一般的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を分散媒であるNMPに溶解させて製造されるバインダー混合スラリーとすることができる。活物質とバインダー混合スラリーとを集電体に塗布することで電極が製造される。NMPはスラリー塗布後の乾燥工程においてガス化し、環境への影響や費用の問題により大部分が回収される。最近は、回収したNMPがリチウムイオン電池の製造工程で再利用されることが多い。
NMPは、排ガス中のNMPを水スクラバーにより捕集することによって回収される。この工程により、NMP濃度70〜90%のNMPと水との混合液が得られる。その後、混合液からNMPが分離される。本発明の液体有機物と水の分離システム及び分離方法は、この混合液からNMPを分離する工程に用いられる。詳細な説明は省略するが、NMPは排ガス中のNMPを吸着体で捕集することによって回収してもよい。
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る液体有機物と水の分離システム(以下、分離システム1という)の構成について説明する。
分離システム1は、水とNMPとの混合液Sを貯留する貯留槽2を有している。貯留槽2は上述した回収工程で得られた混合液Sを貯留する。具体的には、貯留槽2は配管70によって水スクラバー68と接続されており、水スクラバー68で生成された混合液Sを受け入れ、貯留する。水スクラバー68は、リチウムイオン電池の製造装置69から排出された排ガス中のNMPを捕集し、混合液Sを生成し一時的に貯留する。貯留槽2は他の任意の方法によって供給または製造された水とNMPとの混合液を貯留することもできる。水スクラバー68と貯留槽2はいずれも混合液Sを貯留する貯留手段である。貯留槽2を省略し、水スクラバー68だけを設けることもできるし、水スクラバー68を省略し、貯留槽2だけを設けることもできる。あるいは、水スクラバー68と貯留槽2の双方を設けることもできる。貯留槽2には混合液S中の含水率を測定する含水率計63が設けられている。含水率計63で測定された含水率からNMPの濃度を求めることができる。含水率計63の代わりにNMPの濃度を直接測定する濃度計を設けることもできる。すなわち、含水率計63と濃度計はいずれもNMPの濃度測定手段である。
貯留槽2の下流には直列で接続された複数の浸透気化膜モジュール3,4が設けられている。複数の浸透気化膜モジュール3,4は、本実施形態では上流に位置する第1の浸透気化膜モジュール3と、第1の浸透気化膜モジュール3の下流に位置する第2の浸透気化膜モジュール4と、からなっている。「上流」及び「下流」は混合液Sの流れる方向に沿って定義される。
第1の浸透気化膜モジュール3は貯留槽2から混合液Sを供給され、供給された混合液Sを供給された混合液SよりもNMPの濃度が高い第1の濃縮液C1と、供給された混合液Sよりも水の濃度が高い第1の透過蒸気V1と、に分離する。第1の浸透気化膜モジュール3は、第1の濃縮液C1を第2の浸透気化膜モジュール4に、新たな混合液C1として供給する。第1の浸透気化膜モジュール3は第1の浸透気化膜31を備えている。第1の浸透気化膜31は、第1の浸透気化膜モジュール3の第1の入口側空間32を第1の透過側空間33から仕切るとともに、第1の入口側空間32に供給される混合液を、第1の入口側空間32に滞留する第1の濃縮液C1と、第1の透過側空間33に透過する第1の透過蒸気V1と、に分離する。
第2の浸透気化膜モジュール4は第1の浸透気化膜モジュール3から濃縮液C1を供給され、供給された濃縮液C1を供給された濃縮液C1よりもNMPの濃度が高い第2の濃縮液C2と、供給された濃縮液C1よりも水の濃度が高い第2の透過蒸気V2と、に分離する。第2の浸透気化膜モジュール4で生成された第2の濃縮液C2は回収手段50によって回収され、リチウムイオン電池における製造過程で再使用される。第2の浸透気化膜モジュール4は第2の浸透気化膜41を備えている。第2の浸透気化膜41は、第2の浸透気化膜モジュール4の第2の入口側空間42を第2の透過側空間43から仕切るとともに、第2の入口側空間42に供給される混合液を、第2の入口側空間42に滞留する第2の濃縮液C2と、第2の透過側空間43に透過する第2の透過蒸気V2と、に分離する。
図2は浸透気化膜モジュールの概略構成を示している。第1、第2の浸透気化膜モジュール3,4は実質的に同一の構成を備えることができる。図2(a)の全体断面図に示すように、浸透気化膜モジュール3,4は、円筒状のケーシング5と、ケーシング5の内部に配置された多数の管体6と、を有している。図2(b)は図2(a)中のb−b線に沿った管体6の断面図を示している。各管体6は、無機材料からなる円筒形状の基材7と、基材7の外周面に設けられたゼオライト膜8と、から構成されている。基材7はアルミナ、ムライト等の多孔質性のセラミック材料からなっている。浸透気化膜モジュールの構成は図2に限定されず、浸透気化膜を使用している限り、任意の形状及び構成のモジュールを用いることができる。
ケーシング5の内部は仕切り板9で上部空間10と下部空間11とに仕切られている。管体6の上端12は開かれており、下端13は閉じられている。上部空間10は管体6の上端12を収容しており、下部空間11は管体6の上端12を除くほとんどの部位を収容している。管体6の内部6aと上部空間10は透過側空間(第1及び第2透過側空間33,43)を構成し、その他の内部空間は入口側空間(第1及び第2入口側空間32,42)を構成している。ケーシング5の下部に設けられた入口部14から混合液が供給され(矢印A1)、下部空間11に充填される。混合液は管体6の側壁を構成するゼオライト膜8と接触することで脱水され、主に水が管体6の内部6aに透過し(矢印A2)、NMPの濃縮液が管体6の外部に残留する(矢印A3)。NMPの濃縮液は下部空間11の上部に設けられた濃縮液出口15から排出され(矢印A4)、管体6の内部6aに透過した、主に水からなる蒸気は管体6の上端12を通って上部空間10に流入し(矢印A5)、上部空間10に開口する蒸気出口16から排出される(矢印A6)。
ゼオライト膜8は、A型、Y型、T型、MOR型、CHA型等のゼオライトを使用することができる。これらのゼオライトは骨格構造及びSiとAlの比率が異なり、Si/Al比が高いほど疎水性、すなわち水を透過させにくい性質がある。A型は特に脱水効率に優れ、好適に使用できる。一つの好ましい実施形態では、第1及び第2の浸透気化膜31,41のゼオライト膜8はA型ゼオライトのみで構成される。
第1の浸透気化膜31のゼオライト膜8は、A型以外、例えばT型、Y型、CHA型のゼオライトを用いることが好ましい場合もある。A型ゼオライトは、水分濃度が高い場合や、酸などの不純物が混合液中に含まれる場合に、リークや性能の低下が生じやすい。これに対し、A型以外のゼオライトは上述の環境でより長期間性能を保持することができる。後述するように、第1の浸透気化膜31のゼオライト膜8は第2の浸透気化膜41のゼオライト膜8と比べ高い脱水性能を必要としない。また、後述するように、第1の浸透気化膜モジュール3から発生した第1の透過蒸気V1を冷却して得られた凝縮液は系外に放出される場合があるため、第1の浸透気化膜31のゼオライト膜8のリークを防止する必要性は特に高い。このため、他の好ましい実施形態では、第1の浸透気化膜31のゼオライト膜8は、A型ゼオライトを部分的に含んでいる。すなわち、第1の浸透気化膜31のゼオライト膜8は、A型ゼオライトと、上述した他のゼオライト(例えばT型、Y型、MOR型、CHA型)から選択された少なくとも1種類のゼオライトと、を含んでいる。
この場合でも、第2の浸透気化膜41のゼオライト膜8は、A型ゼオライトからなることが望ましい。第2の浸透気化膜41に供給される混合液は既に相当量脱水されており、含有水分が少ないため、混合液中の水分が膜性能に悪影響を及ぼす可能性は低い。また、混合液中の水分が少ないため、脱水の駆動力が小さく、A型以外の膜ではA型よりも大きな膜面積を必要とする。このため、A型以外の膜では装置規模、装置コストが大きくなりやすい。
分離システム1は、第1の浸透気化膜モジュール3で生成された第1の透過蒸気V1を冷却して得られた凝縮液を貯留槽2に戻す第1の再循環手段34を有している。第1の再循環手段34は、第1の透過側空間33に接続された第1のドレンポット35と、第1のドレンポット35に接続された(あるいは、間接的に第1の透過側空間33に接続された)第1の真空ポンプ36と、を有している。第1の透過側空間33と第1のドレンポット35とを接続する配管74上には弁39が設けられている。第1の真空ポンプ36の入口配管37は第1のドレンポット35の上部空間35aに開口している。入口配管37には弁67が設けられている。第1の真空ポンプ36は第1の透過側空間33を負圧にし、第1の浸透気化膜31に脱水のための駆動力を与える。第1のドレンポット35の出口には、第1のドレンポット35を貯留槽2に接続する第1の再循環配管59が設けられている。第1の再循環配管59は第1の透過蒸気V1の凝縮液を貯留槽2に戻す返送手段である。第1の再循環配管59からは排水配管60が分岐している。第1の再循環配管59の、排水配管60の分岐部と第1のドレンポット35との間には、弁66が設けられている。第1の再循環配管59には第1の弁61が、排水配管60には第2の弁62が設けられている。弁61,62を切り替えることで、第1の浸透気化膜モジュール3で生成された第1の透過蒸気V1を冷却して得られた凝縮液を貯留槽2に戻し、または系外に排出することができる。弁61,62の開度を調整することで、第1の透過蒸気V1の凝縮液の一部を貯留槽2に戻し、残りを系外に排出することもできる。
第1の再循環配管59からは、弁61の下流で、水スクラバー68に接続された第2の再循環配管71が分岐している。第1の再循環配管59の、第2の再循環配管70の分岐部と貯留槽2との間には第3の弁72が、第2の再循環配管71には第4の弁73が設けられている。弁72,73を切り替えることで、第1の透過蒸気V1の凝縮液を貯留槽2または水スクラバー68に選択的に供給することができる。
第1の再循環手段34はさらに、第1の浸透気化膜モジュール3と第1のドレンポット35との間に、第1の透過蒸気V1を凝縮させる第1の冷却手段38を有している。第1の透過蒸気V1が第1の冷却手段38で凝縮する際、VOC(揮発性有機化合物)が蒸気とともに液化して、凝縮した蒸気とともに第1のドレンポット35に取り込まれる。すなわち、VOCを回収する第1のドレンポット35を設けることで、VOCが気相で外部に排出されることが防止される。これによってVOCの放出管理が容易となり、VOCの排出規制への適合も容易となる。第1の冷却手段38は凝縮に必要な温度まで第1の透過蒸気V1を冷却すればよく、例えば冷却塔からの冷却水が供給される熱交換器を用いることができる。第1の透過側空間33に透過した第1の透過蒸気V1は第1の冷却手段38によって、外部に放出される前に冷却され、凝縮する。凝縮液は第1のドレンポット35に回収され、その後貯留槽2に戻され、または水スクラバー68の洗浄水として利用され、または系外に放出される。
分離システム1は、第2の浸透気化膜モジュール4で生成された第2の透過蒸気V2を冷却して得られた凝縮液を貯留槽2に戻す第2の再循環手段44を有している。第2の再循環手段44は、第2の透過側空間43に接続された第2のドレンポット45と、第2のドレンポット45に接続された(あるいは、間接的に第2の透過側空間43に接続された)第2の真空ポンプ46と、を有している。第2の真空ポンプ46の入口配管47は第2のドレンポット45の上部空間45aに開口している。第2の真空ポンプ46は第2の透過側空間43を負圧にし、第2の浸透気化膜41に脱水のための駆動力を与える。第2の再循環手段44はさらに、第2の浸透気化膜モジュール4と第2のドレンポット45との間に第2の冷却手段48を有している。
第2の冷却手段48は第2の透過蒸気V2を凝縮させるだけでなく、第2の透過側空間43の真空度を高めるために、できるだけ低い温度まで第2の透過蒸気V2を冷却する必要があるため、冷水やブラインを用いることが好ましい。第2の透過側空間43に透過した第2の透過蒸気V2は貯留槽2に戻される前に第2の冷却手段48によって冷却され、凝縮する。凝縮液は第2のドレンポット45に回収される。回収された凝縮液は、第2のドレンポット45の底部に接続された排水管49を介して、貯留槽2に戻される。回収された凝縮液は、貯留槽2と第1の浸透気化膜モジュール3を接続する配管58に戻すこともできる。すなわち排水管49は配管58に合流していてもよい。
分離システム1は、貯留槽2と第1の浸透気化膜モジュール3との間に第1のイオン交換樹脂塔51を有している。混合液には酸性物質や塩基性物質が含まれている場合があり、特に塩基性物質、とりわけアミン類がNMPに残留すると、バインダーを構成するPVDFが脱フッ化反応を起こす。脱フッ化反応を生じたPVDFは粘性が変化し、スラリー塗布工程に影響を及ぼす可能性がある。そのため、第1のイオン交換樹脂塔51で塩基性物質を除去することが望ましい。
分離システム1は、貯留槽2と第1の浸透気化膜モジュール3との間にフィルタ52を有している。ゼオライト膜8は混合液に含まれる微粒子が付着(目詰まり)することで、脱水性能が低下する可能性がある。微粒子が第1の浸透気化膜モジュール3に流入する直前でフィルタ52によって微粒子を除去することが望ましい。フィルタ52としては精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)が好適に使用できる。本実施形態ではフィルタ52は第1のイオン交換樹脂5等1の上流に設けられているが、第1のイオン交換樹脂塔51の下流に設けられていてもよい。
分離システム1は、第1の浸透気化膜モジュール3の直前、すなわち、フィルタ52及び第1のイオン交換樹脂塔51と第1の浸透気化膜モジュール3の間に、加熱手段53を有している。加熱手段53は例えば、配管の外周に取り付けられるリボンヒータ、ベルトヒータ、スチーム熱交換器、オイルヒーターであってよい。加熱手段53は配管中を流れる混合液の温度を少なくとも120℃まで高めることができる。混合液を加熱することで、第1及び第2の浸透気化膜モジュール3,4における脱水性能を高めることができる。
分離システム1は、第2の浸透気化膜モジュール4の第2の入口側空間42に接続された冷却手段54を有している。冷却手段54は、高温の第2の濃縮液C2を、回収手段50に移送する前に冷却する。
図3は水スクラバー68の概略構成を示す。水スクラバー68は容器75と、容器75の内部に設けられたスプレイ管76と、を有している。NMPを含む排ガス(被処理ガス)は容器75に導入される。洗浄水がスプレイ管76から噴霧され、排ガスと気液接触し、排ガス中のNMPを取り込み、水溜め78に貯留される。水溜め78に貯留される液体は混合液Sとして分離システム1に供給される。NMPを除去された排ガスは処理ガスとして、容器75の上部から外部に排出される。
次に、以上説明した分離システム1の動作例について説明する。
まず、水スクラバー68で、リチウムイオン電池の製造に用いられた使用済みのNMPと水との混合液Sが生成され、混合液Sが貯留槽2に供給される。混合液Sはフィルタ52で不溶解性の微粒子等の不純物を除去され、次に、第1のイオン交換樹脂塔51で溶解性の不純物、特にアミン類が除去される。次に、混合液は加熱手段53で70℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上の温度に加熱され、第1の浸透気化膜モジュール3に供給される。なお、膜とモジュールの接合部分等の耐熱性の観点から、混合液の供給温度は200℃未満であることが望ましい。
第1の浸透気化膜モジュール3は第1の浸透気化膜31によって第1の入口側空間32と、第1の透過側空間33と、に分離されている。混合液Sが加熱されていること、及び第1の透過側空間33が第1の真空ポンプ36によって負圧にされていることによって、第1の浸透気化膜31には、混合液Sを第1の透過側空間33に透過させる駆動力が与えられる。ゼオライト膜8を有する第1の浸透気化膜31は主として水を透過させ、第1の入口側空間32にNMPの濃度の高められた第1の濃縮液C1が生成され、第1の透過側空間33にNMPを少量含んだ第1の透過蒸気V1が生成される。
NMPの濃縮液C1は次に、第2の浸透気化膜モジュール4に供給され、同様の原理によって、第2の入口側空間42にNMPの濃度のさらに高められた第2の濃縮液C2が生成され、第2の透過側空間43にNMPを少量含んだ第2の透過蒸気V2が生成される。第2の濃縮液C2は冷却手段54で冷却され、回収手段50に移送されて、リチウムイオン電池の製造プロセスで使用される。
第1の透過側空間33に生成された第1の透過蒸気V1は第1の冷却手段38によって冷却され、凝縮する。凝縮液は第1のドレンポット35に収集される。通常は弁39と弁67を開き、弁66を閉じているが、第1のドレンポット35から凝縮液を排出するときは弁39と弁67を閉じ、弁66を開く。これによって、第1のドレンポット35を大気圧まで戻さないで凝縮液を排出できるため、第1の真空ポンプ36の消費電力が削減できる。含水率計63で測定した水分濃度から求めたNMP濃度の測定値が所定の値以上であるとき、図1に示すように第2の弁62と第4の弁73が閉じられ、第1の弁61と第3の弁72が開かれ、第1の透過蒸気V1の凝縮液が第1の再循環配管59を通って貯留槽2に戻される。NMPは濃度が85%以下である場合に引火が生じなくなるため、所定の値は例えば80%に設定される。第1の透過蒸気V1の凝縮液は、水供給設備から供給される水の代用として用いることができる。従って、第1の透過蒸気V1の凝縮液を貯留槽2に還流しても、貯留槽2に貯留される混合液Sの液質が悪化することはない。含水率計63で測定した水分濃度から求めたNMP濃度が所定の値未満であるときは第1の弁61が閉じられ、第2の弁62が開けられ、第1の透過蒸気V1の凝縮液は排水配管62を介して外部に排出される。第2の透過側空間43に生成された第2の透過蒸気V2は第2の冷却手段48によって冷却され、凝縮する。凝縮液は第2のドレンポット45に収集され、貯留槽2に戻される。貯留槽2に戻されたNMPは次サイクル以降の工程で回収することができる。
浸透気化膜モジュールの脱水性能は、浸透気化膜を挟んだ両側、すなわち入口側空間と透過側空間の水蒸気圧差と、透過側の真空度に依存する。具体的には入口側空間の水蒸気圧が大きいほど、あるいは透過側の真空度が高いほど(絶対圧力が低いほど)脱水性能が向上する。第1の浸透気化膜モジュール3は大きな水蒸気圧差によって、大量の水を分離することができる。貯留槽2に供給される混合液は、水分濃度が10〜30%程度であるが、第1の浸透気化膜モジュール3で生成された第1の透過蒸気V1の凝縮液で希釈されるため、貯留槽2に貯留される混合液における水分濃度は20〜30%程度(NMP濃度は70〜80%、最大でも85%未満)に制御される。これによって、従来設置されていた希釈用の水供給設備が不要となる。なお、第1の浸透気化膜モジュール3で生成される透過蒸気のNMP濃度は極めて低いため、貯留槽2に貯留される混合液のNMP濃度は増加しない。
これに対し、第2の浸透気化膜モジュール4は既に脱水された混合液を処理するため、分離される水は少量である。一方、NMPの透過量は水蒸気圧差に大きく依存しない。このため、第2の浸透気化膜モジュール4で生成される透過蒸気のNMP濃度は、第1の浸透気化膜モジュール3で生成される透過蒸気のNMP濃度より高くなる。従って、第2の浸透気化膜モジュール4で生成される、NMP濃度の高い第2の透過蒸気V2(凝縮液)を貯留槽2に戻すことでNMPの回収率を向上することができる。また、系外への排出量を削減することができるため、環境への負荷も低減が可能である。
また、浸透気化膜モジュールの脱水性能は、供給される混合液の単位流量あたりの浸透気化膜流路面積(浸透気化膜の流路面積を混合液の流量で割った値)と正の相関関係にある。従って、単一の浸透気化膜モジュールで必要な脱水性能を得る場合、浸透気化膜流路面積を増加させる必要がある。一方、NMPの透過量も浸透気化膜流路面積と正の相関関係にあるため、脱水性能を高めるために流路面積の大きな単一の浸透気化膜モジュールを用いた場合、NMPの透過量もこれに応じて増加する。これに対し本実施形態では、第1の浸透気化膜モジュール3は必要な脱水量の一部を脱水すればよく、流路面積を過度に大きくする必要がない。第2の浸透気化膜モジュール4は、透過するNMPが貯留槽2に回収されるため、脱水性能を高めるために流路面積を大きくしてもNMP回収率が低下することはない。換言すれば、第1の浸透気化膜モジュール3は脱水量とNMP透過量のバランスが考慮されるが、第2の浸透気化膜モジュール4は回収液の水分濃度を確実に下げるために、流路面積を大きくしても差し支えない。このように2つの浸透気化膜モジュールを直列で設け、第2の浸透気化膜モジュール4を透過するNMPを回収することで、必要な脱水性能を得るとともに、NMPの系外放出量を抑制することができる。以上のことから明らかなように、第2の浸透気化膜モジュール4(より一般的には、凝縮液が回収される浸透気化膜モジュール)は、第1の浸透気化膜モジュール3(より一般的には、凝縮液が系外に放出されることがある浸透気化膜モジュール)と比べ、浸透気化膜の流路面積(あるいは混合液の単位流量あたりの流路面積)を大きくすることが可能である。
凝縮液を系外放出する場合も、放出される凝縮液のNMP濃度が低くなることで、放出時の処理が容易となる。上述のとおり、NMPの排出は下水や河川等への放流規制の適用を受ける場合があるが、NMP濃度が低い凝縮液はそのまま、または希釈して、排出できる可能性がある。ただし、放出される凝縮液にはNMP由来の窒素、炭素成分が高濃度に含まれるため、除去することが望ましい場合がある。高濃度の炭素を除去するため、流動担体型嫌気処理、嫌気MBR法等の嫌気処理が適用できる。高濃度の窒素を除去する方法として、生物学的窒素除去方法が多数提案されており、例えば、グラニュールを利用した方法が適用できる場合がある(特開2006−289310号公報)。この方法では、硝化菌グラニュールの核として、嫌気性細菌を主体とするグラニュールが利用され、安定的な硝化処理が行われる。グラニュールは、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket;上向流嫌気性スラッジブランケット)に代表される反応装置で形成される。
第1の浸透気化膜モジュール3は大きな水蒸気圧差に起因する高い脱水性能を有しているため、さらに脱水性能を上げるために真空度を高める必要性が小さい。浸透気化膜モジュール3,4の透過側空間33,43に作用する負圧は真空ポンプ36の性能の他に、ドレンポット35,45の空間部35a,45aの水蒸気圧で決まる。水蒸気圧が低下すると、真空度が高められ、脱水性能が向上する。一方、水蒸気圧は水分を含む凝縮液の温度が低いほど低下するため、脱水性能を上げるためには凝縮液を低温で冷却することが必要となる。しかし、第1の浸透気化膜モジュール3で発生した第1の透過蒸気V1は30〜40℃程度まで冷却すれば十分であり、外気を利用した冷却塔など、運転コストの低い冷却手段38を用いることができる。
これに対し、第2の浸透気化膜モジュール4は最終段の浸透気化膜モジュールであり、必要とされるNMP濃度を実現するため、高い真空度が求められる。一例では1.0PaA以下の真空度が要求される。このような高い真空度を実現するためには冷凍機などの冷却性能の高い冷却手段を用いる必要がある。
貯留槽2に戻す第1の透過蒸気V1の凝縮液の量は含水率計63の測定値に応じて制御することができる。含水率計63と第1の弁61と第2の弁62は制御装置65に接続されており、制御装置65にはあらかじめ、貯留槽2における混合液中の好ましいNMP濃度(目標濃度)が記憶されている。含水率計63による測定値が目標濃度を上回っている場合は、第1の弁61を開き第2の弁62を閉じることにより、第1の浸透気化膜モジュール3で生成される第1の透過蒸気V1を冷却して得られた凝縮液を貯留槽2に供給する。含水率計63による測定値が目標濃度を下回っている場合は、第1の弁61を閉じ第2の弁62を開くことにより、第1の浸透気化膜モジュール3で生成される第1の透過蒸気V1の貯留槽2への供給を停止する。
含水率計63で測定した水分濃度から求めたNMP濃度が所定の値未満であるときに、第1の弁61と第4の弁73を開き、第2の弁62と第3の弁72を閉じ、第1の透過蒸気V1の凝縮液を水スクラバー68の洗浄水として利用することもできる。含水率計63で測定した水分濃度から求めたNMP濃度が所定の値未満であるときに、第1の弁61と第2の弁62と第4の弁73を開き、第3の弁72を閉じ、弁61,62,73の開度を調整することで、第1の透過蒸気V1の凝縮液の一部を水スクラバー68の洗浄水として利用しつつ、残りを外部に排出することもできる。さらに、含水率計63で測定した水分濃度から求めたNMP濃度が所定の値未満であるときに、第1の弁61と第2の弁62と第3の弁72と第4の弁73を開き、弁61,62,72,73の開度を調整することで、第1の透過蒸気V1の凝縮液の一部を貯留槽2に戻し、他の一部を水スクラバー68の洗浄水として利用しつつ、残りを外部に排出することもできる。このように第1の透過蒸気V1の凝縮液を水スクラバー68の洗浄水として利用することで、水スクラバー68の洗浄水を供給する設備が不要となる。また、前述のように水スクラバー68は混合液Sの貯留手段でもあるため、貯留槽2と同様にNMP濃度が制約される場合がある。つまり、水スクラバー68の洗浄水は混合液SのNMP濃度を所定の値に収めるための希釈水として用いられる場合もある。そのような場合も、第1の透過蒸気V1の凝縮液を水スクラバー68の希釈水として用いることができるため、水スクラバー68の洗浄水を供給する設備は不要となる。
本発明の分離システム1では、さらに以下の変形実施形態が可能である。
まず、第1の再循環手段34は、第1の透過蒸気V1の凝縮液に含まれるNMPの濃度を検出するセンサ55を有していてもよい。上述のように、第1の浸透気化膜モジュール3では大量の水が分離されるため、凝縮液に含まれるNMPの濃度は極めて低い。従って、第1の浸透気化膜31にリークが発生し第1の透過側空間33にNMPが侵入した場合、NMPの濃度が急激に上昇し、センサ55で容易に検知することができる。これによって、分離システム1をただちに停止することができる。また、上流の浸透気化膜は大量の水を処理するため、下流側の浸透気化膜より劣化しやすい。センサ55でNMPの濃度を監視することで、最も劣化しやすい第1の浸透気化膜31の状態を把握することができる。
さらに、第2の再循環手段44は第2のイオン交換樹脂塔56を有していてもよい。浸透気化膜モジュールで分離された水には、浸透気化膜由来、あるいは配管由来の溶解性不純物が混入している。そのため、本実施形態では上述した第1のイオン交換樹脂塔51に加え、第2のイオン交換樹脂塔56を有している。イオン交換樹脂のイオン除去効率は処理される液体の水分濃度と正の相関関係があり、水分濃度が高い液体ほどイオンが効率的に除去される。第2の浸透気化膜モジュール4で生成される凝縮液は、貯留槽2と第1の浸透気化膜モジュール3の間を流れる混合液よりも水分含有率が高い場合が多く、このような場合イオンの除去が容易である。このため、貯留槽2に凝縮液を戻す前にイオンを除去することで、システム全体のイオン除去効率を高めることができる。また、第1のイオン交換樹脂塔51の負荷を軽減し、使用するイオン樹脂の節約や通水可能時間の延長を実現することが可能となる。なお、排水管49を配管58に合流させる場合、第2のイオン交換樹脂塔56の出口側配管を配管58に接続することが好ましい。
また、含水率計63の代わりに、または含水率計63とともに液位計64を設けてもよい。貯留槽2に一定流量で混合液が供給される場合、貯留槽2の液位の低下はNMPの濃度の相対的な増加を意味し、液位の上昇はNMPの濃度の相対的な減少を意味する。従って、液位計64はNMP濃度を間接的に推定することができ、あるいは含水率計63のバックアップとして用いることができる。
図4は本発明の分離システムの他の実施形態を示している。本実施形態では複数(特には3以上)の浸透気化膜モジュールが直列に配置されている。本図は浸透気化膜モジュールと貯留槽2と再循環配管の構成だけを示しているが、冷却手段、排水配管などの浸透気化膜モジュールに付随する設備は前述の実施形態と同様に設けられている。分離システムは最上流に位置する第1の浸透気化膜モジュール3(1)と、最下流に位置する第Nの浸透気化膜モジュール3(N)と、その間に位置する第2、・・、第N−1の浸透気化膜モジュール(3(2),・・・,3(N−1))を有しており、これらは直列で接続されている。Nは2以上の整数である。Nは実際のシステムでは数十であることもある。貯留槽2は第1の浸透気化膜モジュール3(1)に接続され、第1の浸透気化膜モジュール3(1)には貯留槽2から混合液Sが供給される。第Nの透気化膜モジュール3(N)で生成された透過蒸気は、NMPの回収のために貯留槽2に戻される。図5は各浸透気化膜モジュールにおける混合液中のNMP濃度と含水量を模式的に示している。混合液中のNMP濃度は後段の浸透気化膜モジュールほど増加しており、含水量は後段の浸透気化膜モジュールほど減少している。なお、最後段または最後段に近い浸透気化膜モジュールでは、供給される混合液におけるNMPの濃度と濃縮液におけるNMPの濃度が同じまたは同程度となることがあり、供給される混合液における水の濃度と透過蒸気における水の濃度が同じまたは同程度となることもある。
ここで、透過蒸気の凝縮液が貯留槽2に戻される浸透気化膜モジュールを再循環浸透気化膜モジュールと呼ぶ。濃度調整用の水及び水スクラバーの洗浄液を確保するという本実施形態の目的からは第1の浸透気化膜モジュール3(1)を再循環浸透気化膜モジュールとすることが最も効率的である。しかし、希釈のために必要な(すなわち、貯留槽2のNMP濃度を所定の値以下にするために必要な)水量が少ない場合、必ずしも第1の浸透気化膜モジュール3(1)だけを再循環浸透気化膜モジュールとする必要はなく、後段の浸透気化膜モジュールを再循環浸透気化膜モジュールとすることも可能である。場合によっては複数の浸透気化膜モジュールを再循環浸透気化膜モジュールとすることで水使用量を低減できる。一般的には、後段の浸透気化膜モジュールで発生した透過蒸気は量が少ないため、貯留槽2の混合液を希釈する効果は小さいが、必要な水量が少ない場合には後段の浸透気化膜モジュールのみを再循環浸透気化膜モジュールとすることで十分な場合もある。また、後段の浸透気化膜モジュールで発生した透過蒸気はより多くのNMPを含んでいるため、NMPの回収効率を高める効果もある。従って、第1の再循環手段は第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールの少なくともいずれかと組み合わせることができる。具体的には、再循環浸透気化膜モジュールは、液体有機物の濃度が貯留槽2の混合液中における当該液体有機物の所望の濃度より小さい透過蒸気の凝縮液を生成するものであれば、いずれの浸透気化膜モジュールであってもよい。
1 液体有機物と水の分離システム
2 貯留槽
3 第1の浸透気化膜モジュール
3(1)〜3(N) 第1〜第Nの浸透気化膜モジュール
31 第1の浸透気化膜
32 第1の入口側空間
33 第1の透過側空間
34 透過蒸気放出手段
35 第1のドレンポット
36 第1の真空ポンプ
4 第2の浸透気化膜モジュール
41 第2の浸透気化膜
42 第2の入口側空間
43 第2の透過側空間
44 再循環手段
45 第2のドレンポット
46 第2の真空ポンプ
5 ケーシング
6 管体
7 基材
8 ゼオライト膜
50 回収手段
51 第1のイオン交換樹脂塔
52 フィルタ
53 加熱手段
54 冷却手段
55センサ
56 第2のイオン交換樹脂塔
63 含水率計
64 液位計
68 水スクラバー
C1 第1の濃縮液
C2 第2の濃縮液
S 混合液
V1 第1の透過蒸気
V2 第2の透過蒸気

Claims (10)

  1. 直列で接続され、最上流に位置する第1の浸透気化膜モジュールと、最下流に位置する第Nの浸透気化膜モジュール(Nは2以上の整数)と、を含む複数の浸透気化膜モジュールであって、各浸透気化膜モジュールは、水と水より沸点の高い液体有機物との混合液を供給され、供給される前記混合液を、前記液体有機物の濃度が前記供給される混合液における前記液体有機物の濃度以上となる濃縮液と、前記水の濃度が前記供給される混合液における前記水の濃度以上となる透過蒸気と、に分離し、前記第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールは、分離された前記濃縮液を前記供給される混合液として、次段の浸透気化膜モジュールに供給する、複数の浸透気化膜モジュールと、
    前記第1の浸透気化膜モジュールに供給される前記混合液を貯留する貯留手段と、
    前記第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールの少なくとも一つである再循環浸透気化膜モジュールを前記貯留手段と接続し、前記再循環浸透気化膜モジュールで生成された前記透過蒸気を冷却して凝縮液を生成し、前記凝縮液を前記貯留手段に戻す第1の再循環手段と、
    前記第Nの浸透気化膜モジュールで生成された前記濃縮液を回収する回収手段と、
    を有する液体有機物と水の分離システム。
  2. 前記再循環浸透気化膜モジュールは浸透気化膜を備え、前記浸透気化膜は、前記再循環浸透気化膜モジュールの入口側空間を透過側空間から仕切るとともに、前記入口側空間に供給される前記混合液を、前記入口側空間に滞留する濃縮液と、前記透過側空間に透過する透過蒸気と、に分離し、
    前記第1の再循環手段は、前記透過側空間に接続された真空ポンプと、前記透過蒸気を冷却し凝縮液とする冷却手段と、前記凝縮液を前記貯留手段に戻す返送手段と、を有する、請求項1に記載の分離システム。
  3. 前記再循環浸透気化膜モジュールは、前記液体有機物の濃度が前記貯留手段の前記混合液中における前記液体有機物の所望の濃度より小さい透過蒸気を生成する、請求項1または2に記載の分離システム。
  4. 前記再循環浸透気化膜モジュールは前記第1の浸透気化膜モジュールである、請求項1から3のいずれか1項に記載の分離システム。
  5. 前記貯留手段に貯留される前記混合液中の前記液体有機物の濃度を測定する濃度測定手段と、
    前記貯留手段中の前記液体有機物の濃度が所定の範囲となるように、前記濃度測定手段の測定値に基づき、前記貯留手段に戻す前記透過蒸気の流量を調整する制御手段と、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の分離システム。
  6. 前記貯留手段に貯留される前記混合液の液位を測定する液位計と、
    前記貯留手段中の前記液体有機物の濃度が所定の範囲となるように、前記液位計の測定値に基づき、前記貯留手段に戻す前記透過蒸気の流量を調整する制御手段と、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の分離システム。
  7. 前記第Nの浸透気化膜モジュールで生成された前記透過蒸気の凝縮液を前記貯留手段に戻す第2の再循環手段を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の分離システム。
  8. 前記貯留手段は、ガス化した前記液体有機物に水を接触させることで前記混合液を生成し貯留する水スクラバーと、前記水スクラバーに接続され、前記水スクラバーで生成された前記混合液を貯留する貯留槽と、を有し、
    前記第1の再循環手段は、前記再循環浸透気化膜モジュールを前記貯留槽と前記水スクラバーとに接続する配管を有し、前記配管は前記再循環浸透気化膜モジュールで生成された前記透過蒸気の凝縮液を前記貯留槽と前記水スクラバーに選択的にまたは同時に戻す、請求項1から7のいずれか1項に記載の分離システム。
  9. 前記液体有機物はN−メチル−2−ピロリドンである、請求項1から8のいずれか1項に記載の分離システム。
  10. 直列で接続され、最上流に位置する第1の浸透気化膜モジュールと、最下流に位置する第Nの浸透気化膜モジュール(Nは2以上の整数)と、を含む複数の浸透気化膜モジュールを用いた、液体有機物と水の分離方法であって、
    各浸透気化膜モジュールで、供給される液体有機物と水の混合液を、前記液体有機物の濃度が前記供給される混合液における前記液体有機物の濃度以上となる濃縮液と、前記水の濃度が前記供給される混合液における前記水の濃度以上となる透過蒸気と、に分離し、前記第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールで、分離された前記濃縮液を前記供給される混合液として、次段の浸透気化膜モジュールに供給する工程と、
    前記第1〜第N−1の浸透気化膜モジュールの少なくとも一つで生成された前記透過蒸気を冷却して凝縮液を生成し、前記凝縮液を、前記第1の浸透気化膜モジュールに供給される前記混合液を貯留する貯留手段に戻す工程と、
    前記第Nの浸透気化膜モジュールで生成された前記濃縮液を回収する工程と、
    を有する分離方法。
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