JP2019140182A - 熱電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜の熱電材料を用いた高出力な熱電変換装置を提供すること。【解決手段】第1基部と、前記第1基部に対向し、第1領域と、前記第1基部との間隔が前記第1領域における前記第1基部との間隔より大きい第2領域と、を有する第2基部と、前記第1基部と前記第2基部の前記第1領域との間に設けられ、前記第1基部および前記第2基部に熱的に接続された熱電変換ユニットと、前記第1基部と前記第2基部の前記第2領域との間に設けられ、前記第1基部を前記第2基部に支持する支持体と、前記第1基部と前記第2基部の前記第2領域との間に設けられた熱絶縁体と、を備える熱電変換装置。【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換装置に関し、例えば基部間に設けられた熱電変換ユニットを有する熱電変換装置に関する。
熱電材料から構成される熱電薄膜を用いるマイクロ熱電発電モジュール(μTEG:Micro Thermoelectric Generator)と呼ばれる小型の熱電変換装置が知られている。上側の基部の下面および下側の基部の上面にそれぞれ、多数の柱状に加工されたn型およびp型の熱電材料を互い違いに接続したゼーベック素子を形成し、上側の基部と下側の基部とを接合したμTEGが知られている(例えば特許文献1)。
米国特許第7402910号
薄膜の熱電材料を用いることで、熱電変換装置の小型化、軽量化、低コスト化および高集積化が可能である。しかしながら、熱電材料が薄膜であること、および薄膜に対応するモジュールの構造上、ゼーベック素子に温度差を付けることは容易ではない。このため、高出力な熱電変換装置を実現することが難しい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、薄膜の熱電材料を用いた高出力な熱電変換装置を提供することを目的とする。
本発明は、第1基部と、前記第1基部に対向し、第1領域と、前記第1基部との間隔が前記第1領域における前記第1基部との間隔より大きい第2領域と、を有する第2基部と、前記第1基部と前記第2基部の前記第1領域との間に設けられ、前記第1基部および前記第2基部に熱的に接続された熱電変換ユニットと、前記第1基部と前記第2基部の前記第2領域との間に設けられ、前記第1基部を前記第2基部に支持する支持体と、前記第1基部と前記第2基部の前記第2領域との間に設けられた熱絶縁体と、を備える熱電変換装置である。
上記構成において、前記熱絶縁体は、大気圧より低い圧力を有する気体または真空を含み、前記支持体は、前記気体または真空を囲むように設けられ前記気体または真空を保持する構成とすることができる。
上記構成において、前記熱絶縁体は、固体である構成とすることができる。
上記構成において、熱電変換ユニットは、前記第1基部に熱的に接続された複数の第1接続層と、前記第2基部に熱的に接続された複数の第2接続層と、前記複数の第1接続層のうち1つの第1接続層と前記複数の第2接続層のうち1つの第2接続層との間に電気的に各々接続された複数の第1熱電層と、前記1つの第1接続層と前記複数の第2接続層のうち前記1つの第2接続層の隣の第2接続層との間に電気的に各々接続され、前記複数の第1熱電層と反対の導電型を有する複数の第2熱電層と、を有し、前記複数の第1熱電層と前記複数の第2熱電層とは、前記複数の第1接続層と前記複数の第2接続層とを交互に介して直列に接続されている構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の第1熱電層および前記複数の第2熱電層は、平面方向に平行な第1方向に交互に設けられ、前記複数の第1接続層および前記複数の第2接続層は、前記複数の第1熱電層および前記複数の第2熱電層の間に交互設けられ、前記熱電変換ユニットは、前記第1方向に交差する方向に延伸し前記複数の第1接続層と前記第1基部とをそれぞれ熱的に接続する複数の第1熱伝導層と、前記第1方向に交差する方向に延伸し前記複数の第2接続層と前記第2基部とをそれぞれ熱的に接続する複数の第2熱伝導層と、を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記熱電変換ユニットは、前記複数の第1熱電層と前記複数の第2熱電層との間および前記複数の第1接続層と前記複数の第2接続層との間に設けられている内部熱絶縁体を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記熱電変換ユニットは、前記複数の第1熱電層、前記複数の第2熱電層、前記複数の第1接続層および前記複数の第2接続層と前記第1基部および前記第2基部との間、並びに前記複数の第1熱伝導層と前記複数の第2熱伝導層との間に設けられている内部熱絶縁体を有する構成とすることができる。
上記構成において、平面視における前記支持体の面積は前記熱絶縁体の面積より小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記第1基部と前記第2基部の第2領域との間隔は、前記第1基部と前記第2基部の第1領域との間隔の10倍以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記第1基部および前記第2基部のいずれか一方は恒温動物の生体の表面に熱的に接続され、前記第1基部および前記第2基部の他方は空気に熱的に接続される構成とすることができる。
上記構成において、前記第1基部と前記第2基部との間に前記熱絶縁体を介し互いに離間した複数の前記熱電変換ユニットを備える構成とすることができる。
本発明によれば、薄膜の熱電材料を用いた高出力な熱電変換装置を提供することができる。
図1(a)は、実施例1に係る熱電変換装置の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。 図2(a)は、実施例1における熱電変換ユニット近傍の平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。 図3(a)は、比較例1に係る熱電変換装置の平面図、図3(b)は、図3(a)のA−A断面図である。図3(c)は、比較例2に係る熱電変換装置の断面図である。 図4(a)および図4(b)は、シミュレーションに用いた恒温動物モデルを示す図である。 図5は、比較例1におけるxに対するPoutおよびKを示す図である。 図6(a)および図6(b)は、実施例1におけるそれぞれxおよびHに対するγd、(1−γ)dおよびm、PoutおよびKを示す図である。 図7(a)および図7(b)は、実施例1における出力電圧Voutに対する電流Iおよび出力電力Poutを示す図である。 図8(a)は、実施例2に係る熱電変換装置の平面図、図8(b)は、図8(a)のA−A断面図である。 図9(a)は、実施例2においてシミュレーションに用いた熱電変換ユニットの平面図、図9(b)は、図9(a)のA−A断面図である。 図10(a)および図10(b)は、それぞれ実施例1および実施例2に係る熱電変換装置の断面模式図である。 図11は、比較例3におけるxに対するPoutおよびKを示す図である。 図12(a)および図12(b)は、実施例2におけるそれぞれxおよびHに対するPoutおよびKを示す図である。 図13(a)および図13(b)は、実施例2における出力電圧Voutに対する電流Iおよび出力電力Poutを示す図である。 図14(a)から図14(d)は、実施例3に係る熱電変換装置の平面図である。 図15(a)および図15(b)は、実施例4に係る熱電変換装置の断面図である。 図16(a)は、実施例4の変形例1に係る熱電変換装置の平面図、図16(b)は、図16(a)のA−A断面図である。
以下、図面を参照し本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る熱電変換装置の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、基部22aおよび22bの平面方向をX方向およびY方向とし、基部22aから22bへ向かう方向をZ方向とする。熱電変換装置100では、基部22aと22bとは対向している。基部22aの基部22bに対向する面は凸部を有する。基部22aは、基部22bの方に突出した領域35と突出していない領域36とを有する。領域36における基部22aと22bとの間隔Hは、領域35における基部22aと22bとの間隔Hより大きい。例えば基部22bは平板状であり、基部22aは平板に凸部が設けられて形状である。
基部22aおよび22bの周縁における基部22aと22bとの間に支持体34が設けられている。支持体34に囲まれた基部22aと22bとの間に熱絶縁体32が設けられている。熱絶縁体32は例えば大気圧より低い圧力を有する気体または真空である。すなわち、熱絶縁体32は、大気圧より低い圧力を有する気体または真空を含む。支持体34は、熱絶縁体32の圧力または真空を維持する。熱絶縁体32は大気圧の空気または支持体34より柔らかい固体でもよい。熱絶縁体32が気体、真空または柔らかい固体の場合、支持体34は基部22aと基部22bとを機械的に支持する。熱絶縁体32の熱伝導率は熱電変換ユニット30、基部22a、22bおよび支持体34の熱伝導率より小さい。
図2(a)は、実施例1における熱電変換ユニット近傍の平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、熱電変換ユニット30では、熱電層12aおよび熱電層12bがX方向に交互に配列されている。熱電層12aおよび12bは例えばそれぞれn型およびp型である。隣接する熱電層12aと12bとは、−Z方向および+Z方向においてそれぞれ接続層14aおよび14bに電気的および熱的に接続されている。一対の熱電層12aと12bとは1つのゼーベック素子10を形成する。複数のゼーベック素子10は、電極24aと24bとの間に直列に接続されている。接続層14aは−Z方向において電気的な絶縁膜20を介し高温の基部22aに熱的に接続されている。接続層14bは+Z方向において電気的な絶縁膜20を介し低温の基部22bに熱的に接続されている。熱電層12aおよび12bの間に電気的および熱的な絶縁層18が設けられている。
基部22aと22bとの間に温度差が生じるとゼーベック効果によりゼーベック素子10に起電力が生じる。ゼーベック素子10を電極24aと24bとの間に複数直列に接続することにより、電極24aと24bとの間の起電力を大きくできる。
図3(a)は、比較例1に係る熱電変換装置の平面図、図3(b)は、図3(a)のA−A断面図である。図3(c)は、比較例2に係る熱電変換装置の断面図である。図3(a)および図3(b)に示すように、比較例1の熱電変換装置110では、基部22aと22bとの間隔Hは均一であり、基部22aに凸部は設けられていない。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
図3(c)に示すように、比較例2の熱電変換装置112では、支持体34が設けられていない。熱絶縁体32は、大気圧の空気または固体である。その他の構成は比較例1と同じであり説明を省略する。
比較例2の熱電変換装置112のように、平面視において、基部22aおよび22bに対し熱電変換ユニット30を小さく、基部22aと22bとの間に熱絶縁体32を設ける。比較例2では、比較例1における支持体34を流れる熱流がない。このため、基部22aと22bとの間の温度差を大きくできる。よって、熱電変換ユニット30の出力を比較例1より大きくできる。
しかしながら、比較例2では、熱絶縁体32を大気圧より低い圧力の気体または真空とすることはできない。また、熱絶縁体32が柔らかい物質の場合、基部22aと22bとを熱電変換ユニット30のみにより支持することになる。基部22aおよび22bの平面形状が大きくなると、基部22bが不安定となる。
比較例1の熱電変換装置110では、基部22aと22bとの間に支持体34を設ける。支持体34が基部22bを基部22aに支持することで、基部22bが不安定となることを抑制できる。支持体34が熱絶縁体32を囲むことで、熱絶縁体32である気体または真空を保持することができる。
しかしながら、比較例1では、支持体34を介して基部22aから22bに熱流が流れる。これにより、基部22aと22bとの間の温度差が小さくなり、熱電変換ユニット30の出力が小さくなる。
実施例1の熱電変換装置100では、基部22aを凸構造とし、支持体34が設けられている領域36における基部22aと22bとの間隔Hを熱電変換ユニット30が設けられている領域35における基部22aと22bとの間隔Hより大きくする。これにより、支持体34の熱抵抗を大きくできるため、基部22aから22bに流れる熱流のうち支持体34を流れる熱流が小さくなる。このため、熱絶縁体32の材料を適切に選べば、基部22aから22bに流れる熱流のうちほとんどは熱電変換ユニット30を伝導する。よって、基部22aと22bとの間の温度差が大きくなり熱電変換ユニット30の出力が大きくなる。
使用温度が室温近傍または数100℃程度までの応用では、熱電層12aおよび12bに用いる熱電材料として、ビスマステルル系合金、フルホイスラー系合金またはハーフホイスラー系合金とすることができる。ビスマステルル系合金は、n型として例えばBiTe3−xSe、およびp型として例えばBi2−xSbTeである。フルホイスラー系合金は、n型として例えばFeVAl1−xGe、FeVAl1−xSiまたはFeVTaAl1−x、およびp型として例えばFe1−xAl、Fe1−xTiAlまたはFe1−xTiGa、その他例えばFeNbGa、FeHfSi、FeTaIn、FeTiSnまたはFeZrGeを母体とした材料である。ハーフホイスラー系合金は、n型として例えばTiPtSn、(Hf1−xZr)NiSnまたはNbCoSn、およびp型として例えばTiCoSnSb1−x、Zr(Ni1−xCo)Sn、Zr(Ni1−xIn)Sn、HfPtSnである。n型熱電材料とp型熱電材料とを同系の材料とすることで、熱電層12aおよび12bの作製が容易となる。また、使用する温度領域が室温より十分に高い場合には、熱電層12aおよび12bに用いる熱電材料として、Si、SiGe合金またはGeSn合金を用いることもできる。
熱電層12aおよび12bは、例えばそれぞれn型およびp型を有する上記例示した材料を用いる。熱電層12aと12bとは、上記例示した材料のうち異なる材料系を用いてもよい。また、熱電層12aおよび12bの一方をn型またはp型の上記例示した材料を用い、熱電層12aおよび12bの他方を熱電材料ではない適切な金属で置き換えてもよい。
接続層14aおよび14bとしては電気伝導率および熱伝導率が大きな材料が好ましく、例えばCu、Al、AuまたはAg等の金属層を用いることができる。接続層14aと14bとは異なる材料でもよい。
絶縁層18aおよび18bとしては、絶縁性が高く熱伝導率が熱電層12a、12b、接続層14a、14b、熱伝導層16aおよび16bに比べ十分小さな材料が好ましい。絶縁層18aおよび18bとして、例えば酸化シリコン等の無機絶縁体もしくはこれをポーラス化した材料、アルキル基含有シリカもしくは同様の酸化物および絶縁体、樹脂(例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ベークライト樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロプレン樹脂)もしくはゴム(天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ブチルゴムもしくはポリウレタンゴム)等の絶縁体、窒素もしくは空気等の絶縁性ガス、大気圧より圧力の低い気体または真空等を用いることができる。絶縁層18aおよび18bは、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法またはスピンコート法を用い形成できる。
基部22aおよび22bとしては、熱伝導率が大きい材料が好ましく、例えばCu、Al、AuもしくはAg等の金属、Siもしくはアルミナなどのセラミックス等を用いることができる。絶縁膜20は絶縁性が高く熱伝導性が高い材料が好ましく、例えば酸化アルミニウム膜等である。絶縁膜20は基部22aおよび22bにスパッタ法またはCVD法を用い形成してもよい。基部22aおよび22bが電気的な絶縁体の場合、絶縁膜20は用いなくてもよい。基部22aおよび22bの少なくとも一方は、スパッタ法またはCVD法を用い形成できる。これにより、基部22aおよび22bを薄膜化できる。基部22aおよび22bの少なくとも一方は、メッキ法で形成できる。これにより、基部22aおよび22bをある程度厚い膜にすることができる。基部22aおよび22bの少なくとも一方を酸化膜またはセラミックスとする場合、スピンコート等による塗布膜を用いることができる。基部22aおよび22bとして、熱交換特性および放熱特性の高い構造(例えばフィン構造またはヒートシンク構造)および材料(例えば放熱シート、揮発性材料を含んだ放熱材料または吸熱材料、または表面をアルマイト加工したAlなど)を用いることができる。
熱絶縁体32は、窒素ガス等の気体または真空以外にも、絶縁層18aおよび18bの材料を用いることができる。例えば、熱絶縁体32は、ポーラスシリコンまたはポーラスシリカのような多孔質な固体層でもよい。ポーラスシリコンとしては、例えば高抵抗シリコンを用いたポーラスシリコン、または酸化等により電気的および熱的に絶縁体となるポーラスシリコンを用いることができる。
支持体34は、熱伝導率が低いことが好ましいが、基部22aと22bとを支持する観点、および/または気体層または真空を保持する観点から、熱絶縁体32より硬い材料が好ましい。支持体34として、例えば、樹脂またはゴム等の高分子有機材料を用いることができる。例えば熱絶縁体32が固体の場合、支持体34は熱絶縁体32を補強する観点から支持体34の降伏強度は熱絶縁体32より大きいことが好ましい。
[実施例1のシミュレーション]
実施例1および比較例1についてシミュレーションを行った。シミュレーションでは、図1(a)から図3(b)に示すように、基部22a、22b、熱電変換ユニット30、熱電層12aおよび12bの平面形状をX方向およびY方向の辺を有する正方形とした。なお、実際の熱電変換装置では、各部材の平面形状および断面形状は目的に応じ任意に設計できる。
以下のように構造パラメータを定義した。
D:基部22aおよび22bのX方向およびY方向の幅
H:実施例1の領域36における基部22aと22bとの間隔
:比較例1における基部22aと22bとの間隔、および実施例1の領域35における基部22aと22bとの間隔
x:支持体34のX方向およびY方向の幅
L:熱電変換ユニット30のX方向およびY方向の幅
:実施例1の領域35のX方向およびY方向の幅
d:熱電層12aおよび12bのX方向およびY方向のピッチ
γ:トレードオフパラメータ、熱電変換ユニット30のうち熱電層12aおよび12bのうち1つが占める面積が(γd)となるパラメータ
γd:熱電層12aおよび12bのX方向およびY方向の幅、接続層14aおよび14bのZ方向の高さ
(1−γ)d:熱電層12aと12bとのX方向およびY方向の間隔
:熱電層12aおよび12bのZ方向の高さ
:熱電層12aおよび12bの対数(すなわちゼーベック素子10の個数)
out:熱電変換装置の出力電力
なお、接続層14aおよび14bのZ方向の高さはγdでなくともよいが、設計を簡単にするため、シミュレーションでは接続層14aおよび14bのZ方向の高さをγdとした。
熱電変換装置をウエアラブルデバイスの電源として用いる場合、熱電変換装置は人体の体温と大気の温度との温度差を用いて発電することになる。そこで、人体の体温に恒温動物モデルを用いた。
図4(a)および図4(b)は、シミュレーションに用いた恒温動物モデルを示す図である。図4(a)に示すように、熱抵抗K、KおよびKairに直列に定温度差源50が接続されている。Kは、人の皮膚近傍の熱抵抗である。Kは、熱電変換装置の熱抵抗である。Kairは熱電変換装置の基部22bから大気への放熱に関する熱抵抗である。ΔTは、人と大気との温度差である。恒温動物は、体温と大気との温度差を一定とする。そこで、定温度差源50はΔTが一定となるように熱抵抗K、KおよびKairに熱流Qを流す。ΔTは熱電変換装置に加わる温度差である。温度差ΔTを熱抵抗で分割したときの熱抵抗Kに加わる温度差がΔTとなる。
図4(b)に示すように、熱抵抗KおよびKair´に直列に定温度差源50が接続されている。Kair´を図4(a)のKair+Kとした。人の産熱能力を考慮し、10mW/cmを熱流Qの最大値とした。
図2(a)および図2(b)のような熱電変換ユニット30では、温度差ΔTを大きくしようとすると、熱電層12aおよび12bの断面積(γd)を小さくする、または、熱電層12aおよび12bの高さtを大きくする。しかし、断面積(γd)を小さくし高さtを大きくすると、電極24aと24bとの間の電気抵抗が高くなる。温度差ΔTを大きくしようとすると電極24aと24bとの間の電気抵抗が高くなる。温度差ΔTを大きくしても電極24aと24bとの間の電気抵抗が高くなると出力電力Poutは大きくならない。このように、熱抵抗と電気抵抗とがトレードオフとなる。
そこで、トレードオフパラメータγを用い、基部22aの下面と基部22bの上面との間の熱抵抗、および電極24aと24bとの間の電気抵抗を表現する。熱電変換装置の出力電力Poutは、トレードオフパラメータγ、ゼーベック素子10の対数m、および熱電変換ユニット30の幅L等で表現できる。これにより、出力電力Poutが最大化できる、または、所望の出力電力Poutを得られるγ、mおよびL等の構造パラメータを算出できる。
γ等の構造パラメータの最適化は、次の2つの方法を用いて行った。
方法1:支持体34の幅x=0とし、構造パラメータの最適化を行い、最適化した構造パラメータに固定して支持体34の幅xおよび基部22aと22bとの間隔Hの最適化を行う。
方法2:各xで構造パラメータの最適化を行う。
各材料および寸法のシミュレーション条件は以下とした。
熱電層12aおよび12b
ゼーベック係数=S−S:434μV/K
熱伝導率λ=(λ+λ)/2:1.43Wm−1−1
電気抵抗率ρ=(ρ+ρ)/2:8.11μΩm
接続層14aおよび14b:Cu
膜厚tCu:10μm(実施例1)
熱伝導率λCu:386Wm−1−1
電気抵抗率ρCu:1.69×10−8Ωm
絶縁層18:ポーラスシリコン
熱絶縁体32:真空
支持体34:熱伝導率λが0.15Wm−1−1の絶縁体
D×D:10mm×10mm
=L=1mm
:1000nm
ΔT:10K
air´:各シミュレーションにより異なる。詳細は後述する。
out:出力をインピーダンス整合したときの出力電力
およびSはそれぞれn型およびp型の熱電層12aおよび12bのゼーベック係数、λおよびλはそれぞれn型およびp型の熱電層12aおよび12bの熱伝導率、並びにρおよびρはそれぞれn型およびp型の熱電層12aおよび12bの電気抵抗率である。温度差ΔTを10Kと一定とした。これは、例えば体温が35℃であり気温が25℃の場合に相当する。
比較例1について、方法1を用い構造パラメータを最適化した。最適化されたパラメータは、L=20μm、m=14500対、γd=74nmおよび(1−γ)d=43nmである。
図5は、比較例1におけるxに対するPoutおよびKを示す図である。xにおけるPoutは最大の出力電力を示す。図5に示すように、xが大きくなると熱抵抗Kが急激に低下し、出力電力Poutが急激に低下する。xが1μm以上ではPoutはほぼ0となる。これは、支持体34を介し基部22aから22bに熱が伝導してしまうためと考えられる。
実施例1について、t=1000nm、L=100μmおよびH=5mmまたはx=0.3mmとして、方法2を用い、各xのときにγd、(1−γ)dおよびmを最適化した。Kair´については最適化した値を用いている。図6(a)および図6(b)は、実施例1におけるそれぞれxおよびHに対するγd、(1−γ)dおよびm、PoutおよびKを示す図である。図6(a)に示すように、xが1mm以下ではPoutは10μW以上になる。図6(b)に示すように、Hが1mmではPoutは約10μWである。Hが5mmではPoutは約20μWである。
図7(a)および図7(b)は、実施例1における出力電圧Voutに対する電流Iおよび出力電力Poutを示す図である。t=1000nm,L=100μm、x=0.3mm、H=5mm、m=55対、γd=3.9μmおよび(1−γ)d=5.6μmとした。図7(a)では、Q=10mW/cmとなるように、Kair´を最適化し、687.1cmK/Wとした。図7(b)では、実際に作製しやすいKair´を用いた場合で、Kair´=1000cmK/Wとした。基部22aおよび22bの実装面積Sを20cmから120cmまで20cmステップで変えている。
図7(a)および図7(b)に示すように、出力電圧Voutが1Vのとき出力電力Poutはピークとなるように、D×D=1cmのモジュールを適宜、直列および/または並列に接続している。モジュールをリストバンド状に実装した場合、面積Sが100cmのとき、1mW程度から2mW程度の出力電力Poutを得ることができる。この値は、ヘルスケアデバイスまたはウエアラブルデバイスに十分応用化可能である。
実施例1によれば、熱電変換ユニット30は、基部22a(第2基部)の領域35(第1領域)と基部22b(第1基部)との間に設けられ、基部22aおよび22bに熱的に接続されている。支持体34は、基部22aの領域36(第2領域)と基部22bとの間に設けられている。熱絶縁体32は、基部22aの領域36と基部22bとの間に設けられている。
熱電変換ユニット30は基部22aと22bとの間隔Hが小さい領域35に設けられ、支持体34は基部22aと22bとの間隔Hが大きい領域36に設けられている。これにより、基部22aから22bに至る熱流は主に熱電変換ユニット30を伝導する。これにより、熱電変換ユニット30に加わる温度差を大きくできる。よって、比較例1に比べ、出力電力Poutを大きくできる。
基部22aの上面に凸部が設けられている例を説明したが、基部22bの下面に凸部が設けられていてもよい。また、基部22aおよび22bの少なくとも一方に凹部が設けられていてもよい。基部22aの上面および22bの下面の両方に凸部が設けられていてもよい。
熱電層12a、12b、基部22a、22bおよび支持体34の熱伝導率より小さい熱伝導率を有することが好ましい。例えば、熱絶縁体32は、大気圧より低い圧力を有する気体または真空を含む。これにより、熱絶縁体32の熱伝導率を低くできる。しかし、気体または真空を保持するため、支持体34を気体または真空を囲むように設けることになる。このため、支持体34のXY平面おける断面積が大きくなってしまう。そこで、領域36における間隔Hを領域35における間隔Hより大きくする。これにより、支持体34を伝導する熱流を小さくできる。よって、出力電力を大きくできる。熱絶縁体32は固体でもよい。
熱電変換ユニット30は、基部22aに熱的に接続された接続層14a(第1接続層)と、基部22bに熱的に接続された接続層14b(第2接続層)と、接続層14aと14bとの間に電気的に接続された熱電層12a(第1熱電層)および熱電層12b(第2熱電層)と、を有する。複数の熱電層12aは、複数の接続層14aのうち1つの接続層14aと複数の接続層14bのうち1つの接続層14bとの間に電気的に各々接続されている。複数の熱電層12bは、熱電層12aを挟む接続層14aと、複数の接続層14bのうち熱電層12aを挟む接続層14bの隣の接続層14bとの間に電気的に各々接続され、熱電層12aと反対の導電型を有する。複数の熱電層12aと複数の熱電層12bとは、複数の接続層14aと複数の接続層14bとを交互に介して直列に接続されている。これにより、熱電変換ユニット30は、基部22aと22bとの間の温度差により発電できる。
図2(a)および図2(b)のように、熱電変換ユニット30は、X方向およびY方向における熱電層12aと12bとの間および接続層14aと14bとの間に設けられた絶縁層18(内部熱絶縁体)を有している。このように、熱電変換ユニット30内の熱電層12a、12b、接続層14aおよび14b以外を絶縁層とする。このように、絶縁層18を設けることで、モジュールの作製が容易となる。しかし、絶縁層18を設けると、ゼーベック素子の形成領域(領域35)の熱抵抗を減少させる。また、真空封じ等に用いる支持体34によってもモジュールの熱抵抗は減少する。絶縁層18および熱絶縁体32を熱抵抗の高い熱絶縁体とし、xおよびHを適切に選択することで、高い出力電力を得ることができる。例えば絶縁層18を大気圧より低い気体または真空とすることにより、特に高い出力電力を得ることができる。絶縁層18が気体または真空を含む場合、支持体34は、絶縁層18の気体または真空を保持してもよい。
支持体34を伝導する熱流を小さくするため、平面視における支持体34の面積は熱絶縁体32の面積より小さいことが好ましい。支持体34の面積は、熱絶縁体32の面積の1/10以下が好ましく、1/100以下がより好ましい。
支持体34を伝導する熱流を小さくするため、基部22bと基部22aの領域36との間隔Hは、基部22bと基部22aの領域35との間隔Hの10倍以上が好ましく、100倍以上がより好ましく、1000倍以上がさらに好ましい。
温度差ΔTを適切にするため、平面視における熱電変換ユニット30の面積は基部22aおよび22bの面積の1/10以下が好ましく、1/100以下がより好ましい。また、領域35の面積は、基部22aおよび22bの面積の1/10以下が好ましく、1/100以下がより好ましい。
基部22aは恒温動物の生体の表面に熱的に接続され、基部22bは空気に熱的に接続される。このように、恒温動物の体温と大気との温度差を用いて発電する場合、温度差が10K程度と小さい。よって、実施例1の熱電変換装置100を用いることで、熱電変換装置100の出力電力を大きくできる。熱電変換装置100は他の温度差を用い発電してもよい。
実施例2は、熱電変換ユニットが実施例1と異なる例である。図8(a)は、実施例2に係る熱電変換装置の平面図、図8(b)は、図8(a)のA−A断面図である。図8(a)および図8(b)に示すように、熱電変換装置102では、熱電変換ユニット30は複数のブロック31aから31cを有している。各ブロック31では、複数の熱電層12aおよび12bが交互にX方向に配列されている。複数のブロック31aから31cはY方向に配列されている。電極24cはブロック31aと31bとを接続し、電極24dはブロック31bと31cとを接続する。これにより、ゼーベック素子10は電極24aと24bとの間に直列に接続される。その他の構成は実施例1の図1(a)および図1(b)と同じであり、説明を省略する。なお、ブロック31は、直線状に配置されていてもよいし、その他の形状で配置されていてもよい。
図9(a)は、実施例2においてシミュレーションに用いた熱電変換ユニットの平面図、図9(b)は、図9(a)のA−A断面図である。図9(a)および図9(b)に示すように、シミュレーションでは、D×Dの基部22aおよび22bのX方向にY方向の幅がLの熱電変換ユニット30が設けられているとした。
熱電変換装置102において、平面視において熱電層12aおよび熱電層12bは短冊状である。熱電層12aおよび12bはX方向に交互に配列されており、Y方向に延伸している。熱電層12aおよび12bはY方向に交互に配置されており、X方向に延伸していてもよい。熱電層12aおよび12bは例えばそれぞれn型およびp型である。隣接する熱電層12aと12bとは、X方向において交互に接続層14aおよび14bに電気的および熱的に接続されている。接続層14aおよび14bはY方向に延伸している。一対の熱電層12aと12bとで1つのゼーベック素子10を形成する。
複数のゼーベック素子10は、電極24aと24bとの間に直列に接続されている。接続層14aおよび14bはそれぞれ−Z方向および+Z方向において熱伝導層16aおよび16bと熱的に接続されている。熱伝導層16aおよび16bは電気的な絶縁膜20を介しそれぞれ高温の基部22aおよび低温の基部22bに熱的に接続されている。熱伝導層16aおよび16bの間に絶縁層18aおよび18bが設けられている。
微細加工技術および薄膜形成技術を用い熱電変換装置を作製するためには、熱電層12aおよび12bの膜厚は数10μm以下、好ましくは数μm以下である。このように、熱電層12aおよび12bが薄いとき、実施例2では実施例1に比べ出力電力Poutを大きくできる理由を説明する。
図10(a)および図10(b)は、それぞれ実施例1および実施例2に係る熱電変換装置の断面模式図である。図10(a)および図10(b)に示すように、実施例1および実施例2とも温度差ΔTの方向はZ方向である。実施例1では、熱電層12aおよび12bの熱流の流れる方向は温度差ΔTと同じZ方向である。実施例2では、熱電層12aおよび12bの熱流の流れる方向は温度差ΔTと交差するX方向である。
実施例1では、図10(a)のように、熱電層12aおよび12bの薄膜化のため熱電層12aおよび12bの膜厚tを小さくすると熱電層12aおよび12bの熱抵抗Kが小さくなる。これにより、熱電層12aおよび12bの各々の両端間の温度差βΔTが小さくなってしまう。これにより出力電力Poutが小さくなる。
実施例2では、図10(b)のように、熱電層12aおよび12bの薄膜化のため熱電層12aおよび12bの膜厚tを小さくすると熱電層12aおよび12bの熱抵抗Kが大きくなる。これにより、熱電変換装置全体に生じる温度差ΔTは大きくなる。熱電層12aおよび12bの各々の両端間の温度差βΔTと温度差ΔTとを同じにできる。膜厚tを小さくすると、接続層14aおよび14bの電気抵抗が高くなる。接続層14aおよび14bのY方向の長さLを大きくすることで、接続層14aおよび14b並びに熱電層12aおよび12bの電気抵抗を低くできる。これにより、膜厚tが小さくなっても出力電力Poutは低下しない。このように、実施例2では実施例1に比べ、熱電層12aおよび12bの膜厚tを小さくできる。
[実施例2のシミュレーション]
シミュレーションでは、簡略化のため、図9(a)および図9(b)に示すように、熱電変換ユニット30は1列で、X方向の幅をDとした。熱電層12aおよび12bはY方向に延びる短冊状であり、Y方向の長さをLとした。なお、実際の熱電変換装置では、図8(a)のように、熱電変換ユニット30を複数のブロック31aから31cに分割することができる。また、熱電変換ユニット30をX方向およびY方向に斜めに配置することができる。このように、熱電変換ユニット30の平面形状は任意に設計できる。
以下のように構造パラメータを定義した。
D:基部22aおよび22bのX方向およびY方向の幅、熱電変換ユニットのX方向の幅
H:実施例2の領域36における基部22aと22bとの間隔
:実施例2の領域35における基部22aと22bとの間隔
x:支持体34のX方向およびY方向の幅
L:熱電変換ユニットのY方向の幅
d:熱電層12aおよび12bのX方向のピッチ
γ:トレードオフパラメータ、熱電変換ユニット30のうち熱電層12aおよび12bが占める幅がγdとなるパラメータ
γd:熱電層12aおよび12bのX方向の幅
(1−γ)d:熱電層12aと12bとのX方向の間隔
:熱電層12aおよび12bのZ方向の高さ
:絶縁層18aおよび18bのZ方向の高さ
:熱電層12aおよび12bの対数(すなわちゼーベック素子10の個数)
out:熱電変換装置の出力電力
各材料および寸法のシミュレーション条件は以下とした。
熱伝導層16a,16b:Cu
:500nm
air´:各シミュレーションにより異なる。詳細は後述する。
その他のシミュレーションの方法およびパラメータは実施例1のシミュレーションと同じである。
比較例3として、熱電変換ユニット30は実施例2と同様であり、図3(a)および図3(b)のようにH=Hの構造の熱電変換装置について、方法1を用い構造パラメータを最適化した。最適化されたパラメータは、L=30μm、m=480対、γd=10μmおよび(1−γ)d=250nmである。
図11は、比較例3におけるxに対するPoutおよびKを示す図である。図11に示すように、xが大きくなると熱抵抗Kが急激に低下し、出力電力Poutが急激に低下する。xが100μm以上ではPoutはほぼ0となる。
実施例2について、方法1を用いxおよびHを変化させPoutおよびKをシミュレーションした。すなわち、各パラメータを比較例2において最適化したL=30μm、m=480対、γd=10μmおよび(1−γ)d=250nmとした。
図12(a)および図12(b)は、実施例2におけるそれぞれxおよびHに対するPoutおよびKを示す図である。図12(a)では、H=5mmとし、図12(b)では、x=0.5mmとした。Kair´については最適化した値を用いた。図12(a)に示すように、xが100μm以下ではPoutはほぼ一定である。図12(b)に示すように、Hが1mmではPoutは約5μWである。Hが3mmではPoutは約10μWである。
図13(a)および図13(b)は、実施例2における出力電圧Voutに対する電流Iおよび出力電力Poutを示す図である。t=500nm、L=30μm、x=0.5mm、H=5mm、m=480対、γd=10μmおよび(1−γ)d=250nmとした。図13(a)および図13(b)は、Kair´をそれぞれ、717cmK/Wおよび1000cmK/Wとした。基部22aおよび22bの面積S=D×D=1cmのモジュールを複数直列および/または並列に接続して、実装面積Sを20cmから120cmまで20cmステップで変えている。
図13(a)および図13(b)に示すように、出力電圧Voutが1Vのとき出力電力Poutはピークとなる。実施例2では、熱電層12aおよび12bの膜厚(t=500nm)が、実施例1の膜厚(t=1000nm)より薄くても、実装面積Sが100cm程度で、実施例1と同様の1mW程度から2mW程度の出力電力Poutを得ることができる。
実施例2によれば、複数の熱電層12aおよび複数の熱電層12bはX方向(平面方向に平行な第1方向)に交互に設けられている。複数の接続層14aおよび複数の接続層14bは、複数の熱電層12aおよび複数の接続層14bの間に交互設けられている。複数の熱伝導層16a(第1熱伝導層)はZ方向(第1方向に交差する方向)に延伸し複数の接続層14aと基部22aとをそれぞれ熱的に接続する。複数の熱伝導層16b(第2熱伝導層)はZ方向に延伸し複数の接続層14bと基部22bとをそれぞれ熱的に接続する。熱電変換ユニット30をこのような構造とすることで、図10(a)および図10(b)において説明したように、熱電層12aおよび12bを薄膜化できる。これにより、微細加工技術および薄膜形成技術を用いた熱電変換装置の製造が容易となる。
図9(a)および図9(b)のように、熱電変換ユニット30は、X方向における熱電層12a、12b、接続層14aおよび14bと基部22aおよび22bとの間、並びに複数の熱伝導層16aと16bとの間に設けられた絶縁層18aおよび18b(内部熱絶縁体)を有する。このように、熱電変換ユニット30内の熱電層12a、12b、接続層14a、14b、熱伝導層16aおよび16b以外を絶縁層18aおよび18bとする。これにより、xおよびHを適切に選択することで、高い出力電力を得ることができる。絶縁層18aおよび18bは大気圧より低い気体または真空を含むことが好ましい。この場合、支持体34は、絶縁層18aおよび18bの気体または真空を保持してもよい。図8(a)のようにブロック31aから31cが配列している場合、ブロック31aから31cの間にも絶縁層18aおよび18bを設けることが好ましい。
熱電層12aおよび12bは、Y方向に延伸することが好ましい。これにより、熱電層12aおよび12bのX方向の電気抵抗を小さくできる。実施例1と同様に、絶縁層18aおよび18bにより、高い出力電力を得ることができる。
図14(a)から図14(d)は、実施例3に係る熱電変換装置の平面図である。図14(a)に示すように、実施例1および実施例2のD×Dのユニットを複数配置してもよい。図14(b)に示すように、隣り合う支持体34を共通にしてもよい。図14(c)に示すように、複数の熱電変換ユニット30を囲む1つの支持体34aを設けてもよい。支持体34a以外に基部22aと22bとを支持する支柱状の支持体34bを設けてもよい。支柱状の支持体34bは設けられていなくてもよいし、1または複数設けられていてもよい。図14(d)に示すように、熱絶縁体32が大気または固体の場合、熱絶縁体32を囲む支持体を設けず、支柱状の支持体34bを1または複数設けてもよい。その他の構造は実施例1および2と同じである。
実施例3によれば、基部22aと22bとの間に熱絶縁体32を介し互いに離間した複数の熱電変換ユニット30を備える。複数の熱電変換ユニット30の相互接続により、出力電圧および電力を適切に設定できる。複数の熱電変換ユニット30をZ方向に積層させてもよい。
図15(a)および図15(b)は、実施例4に係る熱電変換装置の断面図である。図15(a)に示すように、基部22aおよび基部22bの熱電変換ユニット30と接する面にシート40aおよび40bが設けられている。シート40aおよび40bは、基部22aおよび22bより熱伝導率の高い材料であり、例えばグラファイトシートである。基部22bの空気と接する面に放熱用の層42が設けられている。層42は、例えばアルマイト加工した層であり、表面が微細なフィン構造となっていてもよい。図15(b)に示すように、基部22bの空気と接する面に層42の代わりにフィン構造を有する放熱部43が設けられている。その他の構造は実施例1および2と同じであり説明を省略する。
実施例3のように、基部22aおよび22bの少なくとも一方の熱電変換ユニット30が接する面に放熱用のシートを設けてもよい。これにより、XY平面内の熱伝導が大きくなる。また、基部22bの空気と接する面に、放熱用の凹凸を設けてもよい。
[実施例4の変形例1]
図16(a)は、実施例4の変形例1に係る熱電変換装置の平面図、図16(b)は、図16(a)のA−A断面図である。図16(b)は、熱電変換ユニット30および基部22aおよび22b内のマイクロヒートパイプ46を図示している。
図16(a)および図16(b)に示すように、基部22aおよび22b内に複数のマイクロヒートパイプ46が設けられている。マイクロヒートパイプ46は、熱電変換ユニット30を中心に放射状に設けられている。マイクロヒートパイプ46を設けることで、XY平面内の熱伝導を大きくできる。マイクロヒートパイプ46は、基部22aおよび22bの少なくとも一方に設けられていればよい。
実施例1から4およびその変形例の熱電変換装置として、発電装置を例に説明したがペルチェ素子のように温度制御装置でもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 ゼーベック素子
12a、12b 熱電層
14a、14b 接続層
16a、16b 熱伝導層
18、18a、18b 絶縁層
20 絶縁膜
22a、22b 基部
24a−24d 電極
30 熱電変換ユニット
32 熱絶縁体
34 支持体

Claims (11)

  1. 第1基部と、
    前記第1基部に対向し、第1領域と、前記第1基部との間隔が前記第1領域における前記第1基部との間隔より大きい第2領域と、を有する第2基部と、
    前記第1基部と前記第2基部の前記第1領域との間に設けられ、前記第1基部および前記第2基部に熱的に接続された熱電変換ユニットと、
    前記第1基部と前記第2基部の前記第2領域との間に設けられ、前記第1基部を前記第2基部に支持する支持体と、
    前記第1基部と前記第2基部の前記第2領域との間に設けられた熱絶縁体と、
    を備える熱電変換装置。
  2. 前記熱絶縁体は、大気圧より低い圧力を有する気体または真空を含み、
    前記支持体は、前記気体または真空を囲むように設けられ前記気体または真空を保持する請求項1に記載の熱電変換装置。
  3. 前記熱絶縁体は、固体である請求項1に記載の熱電変換装置。
  4. 熱電変換ユニットは、
    前記第1基部に熱的に接続された複数の第1接続層と、
    前記第2基部に熱的に接続された複数の第2接続層と、
    前記複数の第1接続層のうち1つの第1接続層と前記複数の第2接続層のうち1つの第2接続層との間に電気的に各々接続された複数の第1熱電層と、
    前記1つの第1接続層と前記複数の第2接続層のうち前記1つの第2接続層の隣の第2接続層との間に電気的に各々接続され、前記複数の第1熱電層と反対の導電型を有する複数の第2熱電層と、
    を有し、
    前記複数の第1熱電層と前記複数の第2熱電層とは、前記複数の第1接続層と前記複数の第2接続層とを交互に介して直列に接続されている請求項1から3のいずれか一項に記載の熱電変換装置。
  5. 前記複数の第1熱電層および前記複数の第2熱電層は、平面方向に平行な第1方向に交互に設けられ、
    前記複数の第1接続層および前記複数の第2接続層は、前記複数の第1熱電層および前記複数の第2熱電層の間に交互設けられ、
    前記熱電変換ユニットは、前記第1方向に交差する方向に延伸し前記複数の第1接続層と前記第1基部とをそれぞれ熱的に接続する複数の第1熱伝導層と、前記第1方向に交差する方向に延伸し前記複数の第2接続層と前記第2基部とをそれぞれ熱的に接続する複数の第2熱伝導層と、を有する請求項4に記載の熱電変換装置。
  6. 前記熱電変換ユニットは、前記複数の第1熱電層と前記複数の第2熱電層との間および前記複数の第1接続層と前記複数の第2接続層との間に設けられている内部熱絶縁体を有する請求項4に記載の熱電変換装置。
  7. 前記熱電変換ユニットは、前記複数の第1熱電層、前記複数の第2熱電層、前記複数の第1接続層および前記複数の第2接続層と前記第1基部および前記第2基部との間、並びに前記複数の第1熱伝導層と前記複数の第2熱伝導層との間に設けられている内部熱絶縁体を有する請求項5に記載の熱電変換装置。
  8. 平面視における前記支持体の面積は前記熱絶縁体の面積より小さい請求項1から7のいずれか一項に記載の熱電変換装置。
  9. 前記第1基部と前記第2基部の第2領域との間隔は、前記第1基部と前記第2基部の第1領域との間隔の10倍以上である請求項1から8のいずれか一項に記載の熱電変換装置。
  10. 前記第1基部および前記第2基部のいずれか一方は恒温動物の生体の表面に熱的に接続され、
    前記第1基部および前記第2基部の他方は空気に熱的に接続される請求項1から9のいずれか一項に記載の熱電変換装置。
  11. 前記第1基部と前記第2基部との間に前記熱絶縁体を介し互いに離間した複数の前記熱電変換ユニットを備える請求項1から10のいずれか一項に記載の熱電変換装置。
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