JPWO2018042708A1 - 熱電変換装置および電子装置 - Google Patents

熱電変換装置および電子装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018042708A1
JPWO2018042708A1 JP2018536912A JP2018536912A JPWO2018042708A1 JP WO2018042708 A1 JPWO2018042708 A1 JP WO2018042708A1 JP 2018536912 A JP2018536912 A JP 2018536912A JP 2018536912 A JP2018536912 A JP 2018536912A JP WO2018042708 A1 JPWO2018042708 A1 JP WO2018042708A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric
thin film
base
layer
thermoelectric conversion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018536912A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6995370B2 (ja
Inventor
菅原 聡
聡 菅原
剛 近藤
剛 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
Tokyo Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Institute of Technology NUC filed Critical Tokyo Institute of Technology NUC
Publication of JPWO2018042708A1 publication Critical patent/JPWO2018042708A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6995370B2 publication Critical patent/JP6995370B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N11/00Generators or motors not provided for elsewhere; Alleged perpetua mobilia obtained by electric or magnetic means
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/10Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects
    • H10N10/13Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects characterised by the heat-exchanging means at the junction
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/10Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects
    • H10N10/17Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects characterised by the structure or configuration of the cell or thermocouple forming the device
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/851Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions
    • H10N10/852Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions comprising tellurium, selenium or sulfur

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

第1熱電薄膜および第2熱電薄膜の表面に平行な第1方向に交互に設けられた互いに反対の導電型を有する前記第1熱電薄膜12aおよび前記第2熱電薄膜12bと、前記第1熱電薄膜と前記第2熱電薄膜との間において前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜と電気的および熱的に接続され、前記第1方向に交互に設けられた第1接続層14aおよび第2接続層14bと、前記第1接続層および前記第2接続層にそれぞれ熱的に接続し前記表面に交差する第2方向に延伸する第1熱伝導層16aおよび第2熱伝導層16bと、を具備する熱電変換装置。

Description

本発明は、熱電変換装置および電子装置に関し、例えば熱電薄膜を有する熱電変換装置および電子装置に関する。
熱電材料から構成されるゼーベック素子を多数集積化した熱電発電モジュール(TEG:Thermoelectric Generator)と呼ばれる熱電変換装置(または熱電発電装置)は、発電所や工場、さらには自動車の排熱を利用した発電技術として期待されている。最近では、マイクロ熱電発電モジュール(μTEG:Micro Thermoelectric Generator)と呼ばれる小型の熱電変換装置が、ウエアラブルデバイスやセンサーノードに活用できる環境発電素子として期待されている。また、このようなμTEGではマイクロプロセッサやシステムオンチップ(SoC)の排熱を利用した発電も考えられる。
上側の基板の下面および下側の基板の上面にそれぞれ、多数の柱状に加工されたn型およびp型の熱電材料を互い違いに形成し、上側の基板と下側の基板とを接合することで、μTEGを作製することが知られている(例えば特許文献1)。この構造では、熱電層内の熱流および電流の向きは基板の法線方向である。このタイプのμTEGはπ型のゼーベック素子を多数接続した構造となるため、以下では、π型ということにする。
n型とp型の短冊状の熱電薄膜を短冊の幅方向に交互に配列させ、熱電薄膜の延伸方向の端部を互い違いに接続させる構造が記載されている。この構造では、熱電薄膜内の熱流および電流の向きは短冊の長さ方向である。このタイプのμTEGを以下インプレーン型という。
米国特許第7402910号
薄膜の熱電材料を用いることで、熱電変換装置の小型化および高集積化が可能である。しかしながら、π型やインプレーン型のμTEGに薄膜の熱電材料を用いると、熱抵抗と電気抵抗とがトレードオフの関係となり、高出力な熱電変換装置を実現することが難しい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型かつ高出力の熱電変換装置および電子装置を提供することを目的とする。
本発明は、第1熱電薄膜および第2熱電薄膜の表面に平行な第1方向に交互に設けられた互いに反対の導電型を有する前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜と、前記第1熱電薄膜と前記第2熱電薄膜との間において前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜と電気的および熱的に接続され、前記第1方向に交互に設けられた第1接続層および第2接続層と、前記第1接続層および前記第2接続層にそれぞれ熱的に接続し前記表面に交差する第2方向に延伸する第1熱伝導層および第2熱伝導層と、を具備することを特徴とする熱電変換装置である。
上記構成において、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の膜厚は10μm以下である構成とすることができる。
上記構成において、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層は、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の表面に対し互いに反対側に設けられている構成とすることができる。
上記構成において、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層が貫通し前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層より熱伝導率の小さな絶縁体を具備する構成とすることができる。
上記構成において、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜は、前記表面に平行であって前記第1方向に交差する第3方向に延伸し、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の前記第3方向の長さは、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の膜厚の10倍以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の前記第1方向の幅は、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の膜厚より大きい構成とすることができる。
上記構成において、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層にそれぞれ熱的に接続する第1基部および第2基部を具備する構成とすることができる。
上記構成において、前記第1熱伝導層が貫通し前記第1熱伝導層より熱伝導率の小さな固体の第1絶縁体と、前記第2熱伝導層が貫通し前記第2熱伝導層より熱伝導率の小さな固体の第2絶縁体と、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層にそれぞれ熱的に接続する第1基部および第2基部と、を具備し、前記第1基部および前記第1絶縁体は、前記第1熱伝導層の間において第1溝を有し、前記第2基部および前記第2絶縁体は、前記第2熱伝導層の間において第2溝を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記第1熱電薄膜、前記第2熱電薄膜、前記第1接続層、前記第2接続層、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層を含む層が前記表面に交差する方向に複数積層され、前記複数の層のうち隣接する層の一方に含まれる第1熱伝導層と、前記隣接する層の他方に含まれる第2熱伝導層と、は熱的に接続されている構成とすることができる。
上記構成において、恒温動物の生体の表面に熱的に接続される第1基部と、空気に熱的に接続される第2基部と、前記第1基部と前記第2基部との間に設けられ、前記第1熱電薄膜、前記第2熱電薄膜、前記第1接続層、前記第2接続層、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層を備え、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層はそれぞれ前記第1基部および前記第2基部に接続された熱電変換ユニットと、前記第1基部と前記第2基部との間であって前記熱電変換ユニットの外側に設けられ、前記第1熱電薄膜、前記第2熱電薄膜、前記第1基部および前記第2基部の熱伝導率より小さい熱伝導率を有する熱絶縁体と、を具備する構成とすることができる。
本発明は、恒温動物の生体の表面に熱的に接続される第1基部と、空気に熱的に接続される第2基部と、前記第1基部と前記第2基部との間に設けられ、第1接続層と第2接続層との間に設けられた第1熱電材料と前記第1熱電材料と反対の導電型を有する第2熱電材料とが、前記第1接続層と前記第2接続層とを介して交互に直列に接続され、前記第1接続部および前記第2接続部はそれぞれ前記第1基部および前記第2基部に熱的に接続された熱電変換ユニットと、前記第1基部と前記第2基部との間であって前記熱電変換ユニットの外側に設けられ、前記第1熱電材料、前記第2熱電材料、前記第1基部および前記第2基部の熱伝導率より小さい熱伝導率を有する熱絶縁体と、を具備することを特徴とする熱電変換装置である。
上記構成において、前記熱絶縁体は、固体層である構成とすることができる。
上記構成において、前記熱絶縁体は、大気圧より低い圧力を有する気体層または真空であり、前記熱電変換装置は、前記気体層または真空を保持する保持部を具備する構成とすることができる。
上記構成において、前記第1基部と前記第2基部との間に前記熱絶縁体を介し互いに離間した複数の前記熱電変換ユニットを具備する構成とすることができる。
本発明は、集積回路素子と、前記集積回路素子において発生した熱を放熱する放熱部材と、上記熱電変換装置を含み、前記集積回路素子と前記放熱部材との間に設けられ、前記第1熱伝導層が前記集積回路素子に熱的に接続し、前記第2熱伝導層が前記放熱部材に接続された発電装置と、を具備することを特徴とする電子装置である。
本発明は、集積回路素子と、前記集積回路素子において発生した熱を放熱する放熱部材と、第1接続層と第2接続層との間に設けられた第1熱電材料と前記第1熱電材料と反対の導電型を有する第2熱電材料とが、前記第1接続層と前記第2接続層とを介して交互に直列に接続された熱電変換装置を含み、前記集積回路素子と前記放熱部材との間に設けられ、前記第1接続層が前記集積回路素子に熱的に接続し、前記第2接続層が前記放熱部材に接続された発電装置と、を具備することを特徴とする電子装置である。
上記構成において、前記発電装置が発電した電力を蓄え、前記集積回路素子に供給する蓄電装置を具備する構成とすることができる。
本発明は、第1基部および第2基部と、前記第1基部および前記第2基部の面方向に配列され、互いに反対の導電型を有する前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜と、前記面方向に交差する方向において前記第1熱電薄膜と前記第2熱電薄膜と交互に熱的および電気的に接続され、それぞれ前記第1基部および前記第2基部と熱的に接続された第1接続層および第2接続層と、を具備し、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の前記面方向の大きさは1μm以下であることを特徴とする熱電変換装置である。
本発明によれば、小型かつ高出力な熱電変換装置および電子装置を提供することができる。
図1は、ゼーベック素子を示す模式図である。 図2(a)および図2(b)は、比較例1に係る熱電変換装置のそれぞれ平面図および断面図である。 図3(a)および図3(b)は、比較例2に係る熱電変換装置のそれぞれ平面図および断面図である。 図4(a)および図4(b)は、実施例1に係る熱電変換装置のそれぞれ平面図および断面図である。 図5(a)から図5(c)は、比較例1におけるγに対するそれぞれm、γdおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図6(a)および図6(b)は、比較例1におけるtに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuのシミュレーション結果を示す図である。 図7は、比較例1におけるVに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuのシミュレーション結果を示す図である。 図8(a)から図8(c)は、実施例1におけるγに対するそれぞれm、γdおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図9は、実施例1におけるtに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuのシミュレーション結果を示す図である。 図10は、実施例1におけるVに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuシミュレーション結果を示す図である。 図11(a)および図11(b)は、実施例1の変形例1に係る熱電変換装置の断面図である。 図12は、実施例1の変形例2に係る熱電変換装置の平面図である。 図13(a)および図13(b)は、実施例1の変形例3に係る熱電変換装置の断面図および平面図である。 図14(a)および図14(b)は、実施例1の変形例4に係る熱電変換装置の断面図であり、図14(c)は、実施例1の変形例5に係る熱電変換装置の断面図である。 図15(a)および図15(b)は、実施例1の変形例6に係る熱電変換装置を用いた電子装置の断面図である。 図16は、実施例2に係る電子装置の断面図である。 図17は、実施例2の変形例1に係る電子装置のブロック図である。 図18は、実施例2の変形例1に係る電力システムのブロック図である。 図19(a)および図19(b)は、シミュレーションモデルを示す図である。 図20(a)および図20(b)は、実施例1におけるそれぞれγおよびmに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図21は、実施例1におけるtに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図22は、比較例1におけるtに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図23(a)および図23(b)は、それぞれ比較例1および実施例1に係る熱電変換装置の断面模式図である。 図24は、実施例1における出力電圧Voutに対する電流Iおよび出力電力POUTを示す図である。 図25は、比較例1における最小寸法に対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図26(a)は、実施例4に係る熱電変換装置の平面図、図26(b)は、図26(a)のA−A断面図である。 図27は、実施例4におけるDに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図28(a)は、実施例4の変形例1に係る熱電変換装置の平面図、図28(b)は、図28(a)のA−A断面図である。 図29(a)は、実施例4の変形例1におけるLに対するtCu、γd、m、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図、図29(b)は、tCuに対するL、γd、m、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図30は、熱絶縁体が真空のときのtCuに対するL、γd、m、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。 図31は、実施例4の変形例2に係る熱電変換装置の断面図である。 図32(a)は、実施例4の変形例3に係る熱電変換装置の平面図、図32(b)は、図32(a)のA−A断面図である。 図33(a)は、実施例4の変形例4に係る熱電変換装置の平面図、図33(b)は、図33(a)のA−A断面図である。
図1は、ゼーベック素子を示す模式図である。図1に示すように、ゼーベック素子10は、熱電材料32a、32b、電極24a、24bおよび接続層34aを含む。熱電材料32aおよび32bは例えばそれぞれn型およびp型である。熱電材料32aおよび32bの一端は接続層34aを介し接続されている。熱電材料32aおよび32bの他端はそれぞれ電極24aおよび24bに接続されている。接続層34aに矢印36aのように吸熱し、電極24aおよび24bから矢印36bのように放熱すると、ゼーベック効果により、電極24aと24bとの間に起電力が生じる。電極24aと24bとの間に負荷40を接続すると、電流42が流れる。このようなゼーベック素子10を複数直列に接続することにより、起電力を大きくできる。
熱電変換装置(または熱電発電装置)は、例えば機械加工により切断したn型熱電材料およびp型熱電材料のペレットを多数接合して作製する。また、熱電変換装置は、n型熱電材料を多数のペレット状に形成した基板に、p型熱電材料を多数のペレット状に形成した基板を張り合わせることにより作製することもできる。これらの作製方法では、ゼーベック素子の集積度を大きくすることが難しく、ゼーベック素子の集積度は例えば数100個程度である。
ゼーベック素子1つ当たりの起電力は小さいため、ゼーベック素子を複数直列に接続して用いることが好ましい。しかし、ゼーベック素子の集積度が小さいと、直列に接続されるゼーベック素子数が制約される。このため、熱電変換装置の出力電力を高くしようとすると、ゼーベック素子1個当たりの起電力を優先して熱電変換装置を設計することになる。このように1個当たりの起電力を優先した設計では、一般的には、出力電力に対し最適化された構造とはならない。
そこで、半導体集積回路等の作製に用いられるフォトリソグラフィ技術等に基づく微細加工技術および薄膜形成技術を応用して熱電変換装置を作製することが考えられる。このような方法では、集積化されるゼーベック素子の数と素子形状および寸法の大きな自由度から所望の出力特性を有する熱電変換装置を設計できる。これにより、最適化された構造を有するゼ−ベック素子を高密度かつ大規模に集積化した熱電変換装置を実現できる可能性がある。
[比較例1]
熱電材料として薄膜を用いる熱電変換装置の構造について検討した。比較例1はπ型のゼーベック素子を用いる例である。図2(a)および図2(b)は、比較例1に係る熱電変換装置のそれぞれ平面図および断面図である。図2(a)では、熱電薄膜、接続層および電極を図示している。図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。熱電薄膜12aおよび12bの配列方向をX方向およびY方向とし、各層の積層方法をZ方向としている。
図2(a)および図2(b)に示すように、熱電変換装置110において、熱電薄膜12aおよび熱電薄膜12bがX方向に交互に配列されている。熱電薄膜12aおよび12bは例えばそれぞれn型およびp型である。隣接する熱電薄膜12aと12bとは、−Z方向および+Z方向においてそれぞれ接続層14aおよび14bに電気的および熱的に接続されている。一対の熱電薄膜12aと12bとで1つのゼーベック素子10を形成する。複数のゼーベック素子10は、電極24aと24bとの間に直列に接続されている。接続層14aは−Z方向において電気的な絶縁膜20を介し高温の基部22aに熱的に接続されている。接続層14bは+Z方向において電気的な絶縁膜20を介し低温の基部22bに熱的に接続されている。熱電薄膜12aおよび12bの間に電気的および熱的な絶縁層18が設けられている。
基部22aおよび22bのX方向およびY方向の寸法をD、1個の熱電薄膜12aまたは12bを含む正方形26の1辺の長さをd、正方形26内の熱電薄膜12aまたは12bの1辺の寸法を素子寸法γdとする。電極24aと24bとの間の電圧差のうちゼーベック素子10による起電力V、基部22aと22bの表面間の温度差をΔT、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚をt、接続層14aおよび14bの膜厚をtCu、絶縁膜20の膜厚をtAl2O3、基部22aおよび22bの膜厚をtHSとする。
比較例1では、Z方向に熱伝導が生じる。このため、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tが小さくなる(例えば100nm)と、熱抵抗が小さくなり、熱電薄膜12aおよび12bのZ方向の温度差ΔT(不図示)が小さくなる。このため、起電力が低下してしまう。十分な熱抵抗を得ようとすると、熱電薄膜12aおよび12bのX方向およびY方向の寸法を膜厚t程度とすることになり、加工プロセスが容易ではなく現実的でない。
[比較例2]
比較例2は、インプレーン型のゼーベック素子を用いる例である。図3(a)および図3(b)は、比較例2に係る熱電変換装置のそれぞれ平面図および断面図である。図3(a)では、熱電薄膜、接続層および基部を図示している。図3(b)は、図3(a)のA−A断面図である。熱電薄膜12aおよび12bの配列方向および延伸方向をそれぞれX方向およびY方向とし、各層の積層方法をZ方向としている。
図3(a)および図3(b)に示すように、熱電変換装置112において、熱電薄膜12aおよび熱電薄膜12bはX方向に交互に配列されており、Y方向に延伸している。熱電薄膜12aおよび12bは例えばそれぞれn型およびp型である。隣接する熱電薄膜12aと12bとは、−Y方向および+Y方向においてそれぞれ接続層14aおよび14bに電気的および熱的に接続されている。一対の熱電薄膜12aと12bとで1つのゼーベック素子10を形成する。複数のゼーベック素子10は、電極24aと24bとの間に直列に接続されている。接続層14aは−Y方向において高温の基部22aに熱的に接続されている。接続層14bは+Y方向において低温の基部22bに熱的に接続されている。熱電薄膜12aおよび12bの間に絶縁層18が設けられている。
比較例2では、熱電薄膜12aおよび12bの熱伝導の生じるY方向の長さLを大きくできる。これにより、熱電薄膜12aおよび12bのY方向の温度差ΔT(不図示)を大きくできる。しかしながら、長さLが大きくなると熱電薄膜12aおよび12bの電気抵抗が大きくなる。これにより、起電力Vを大きくできても出力電力は大きくできない。
以上のように、熱電薄膜12aおよび12bを用いたπ型の比較例1では、熱抵抗が小さくなりすぎ、インプレーン型の比較例2では、電気抵抗が大きくなりすぎる。このように、比較例1および2では、トレードオフ関係にある熱抵抗と電気抵抗とを最適化し高出力電力を実現するために適した構造とはなっていない。
図4(a)および図4(b)は、実施例1に係る熱電変換装置のそれぞれ平面図および断面図である。図4(a)では、熱電薄膜、接続層および電極を図示している。図4(b)は、図4(a)のA−A断面図である。熱電薄膜12aおよび12bの表面をXY平面とし、熱電薄膜12aおよび12bの配列方向(幅方向)および延伸方向(長さ方向)をそれぞれX方向およびY方向とし、各層の積層方法をZ方向としている。
図4(a)および図4(b)に示すように、熱電変換装置100において、平面視において熱電薄膜12aおよび熱電薄膜12bは短冊状である。熱電薄膜12aおよび12bはX方向に交互に配列されており、Y方向に延伸している。熱電薄膜12aおよび12bは例えばそれぞれn型およびp型である。隣接する熱電薄膜12aと12bとは、X方向において交互に接続層14aおよび14bに電気的および熱的に接続されている。接続層14aおよび14bはY方向に延伸している。一対の熱電薄膜12aと12bとで1つのゼーベック素子10を形成する。複数のゼーベック素子10は、電極24aと24bとの間に直列に接続されている。接続層14aおよび14bはそれぞれ−Z方向および+Z方向において熱伝導層16aおよび16bと熱的に接続されている。熱伝導層16aおよび16bは電気的な絶縁膜20を介しそれぞれ高温の基部22aおよび低温の基部22bに熱的に接続されている。熱伝導層16aおよび16bの間に絶縁層18aおよび18bが設けられている。
熱電変換装置100のX方向およびY方向の寸法をD、X方向の熱電薄膜12aおよび12bのピッチをd、1個の熱電薄膜12aまたは12bの寸法を素子寸法γdとする。電極24aと24bとの間の電圧差のうちゼーベック素子10による起電力V、基部22aと22bの表面間の温度差をΔTとする。熱電薄膜12aおよび12b並びに接続層14aおよび14bの膜厚をt、熱伝導層16aおよび16bの膜厚をtCu、絶縁膜20の膜厚をtAl2O3、基部22aおよび22bの膜厚をtHSとする。
このような構造では、熱電薄膜12aおよび12bの熱流および電流の方向はX方向となる。比較例1では、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tが小さくなると、熱抵抗が小さくなったが、実施例1では、膜厚tが小さくなると熱抵抗は大きくなる。比較例2では、熱電薄膜12aおよび12bのY方向の長さLが大きくなると電気抵抗が大きくなったが、実施例1では、長さLが大きくなると電気抵抗は小さくなる。このように、長さLを膜厚tに比べ十分大きくすることにより、熱抵抗が小さすぎず、かつ電気抵抗が大きすぎることなく、X方向の素子寸法γd(またはγ)を用いトレードオフ関係にある熱抵抗と電気抵抗との最適化を行い所望の出力電力を得ることができる。
使用温度が室温近傍または数100℃程度までの応用では、熱電薄膜12aおよび12bに用いる熱電材料として、ビスマステルル系合金、フルホイスラー系合金またはハーフホイスラー系合金とすることができる。ビスマステルル系合金は、n型として例えばBiTe3−xSe、およびp型として例えばBi2−xSbTeである。フルホイスラー系合金は、n型として例えばFeVAl1−xGe、FeVAl1−xSiまたはFeVTaAl1−x、およびp型として例えばFe1−xAl、Fe1−xTiAlまたはFe1−xTiGa、その他例えばFeNbGa、FeHfSi、FeTaIn、FeTiSnまたはFeZrGeを母体とした材料である。ハーフホイスラー系合金は、n型として例えばTiPtSn、(Hf1−xZr)NiSnまたはNbCoSn、およびp型として例えばTiCoSnSb1−x、Zr(Ni1−xCo)Sn、Zr(Ni1−xIn)Sn、HfPtSnである。n型熱電材料とp型熱電材料とを同系の材料とすることで、熱電薄膜12aおよび12bの作製が容易となる。また、使用する温度領域が室温より十分に高い場合には、熱電薄膜12aおよび12bに用いる熱電材料として、SiまたはSiGe合金を用いることもできる。
接続層14aおよび14bとしては電気伝導率および熱伝導率が大きな材料が好ましく、例えばCu、Al、AuまたはAg等の金属層を用いることができる。接続層14aと14bとは異なる材料でもよい。
熱伝導層16aおよび16bとしては、熱伝導率が大きな材料が好ましく、例えばCu、Al、AuまたはAg等の金属層を用いることができる。熱伝導層16aおよび16bは、熱伝導率が大きければ絶縁体層でもよい。熱伝導層16aと16bとは異なる材料でもよい。接続層14aおよび14bと熱伝導層16aおよび16bとは異なる材料でもよい。
絶縁層18aおよび18b(絶縁体)としては、絶縁性が高く熱伝導率が熱伝導層16aおよび16bに比べ十分小さな材料が好ましい。絶縁層18aおよび18bとして、例えば酸化シリコン等の無機絶縁体もしくはこれをポーラス化した材料、アルキル基含有シリカもしくは同様の酸化物および絶縁体、樹脂(例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ベークライト樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロプレン樹脂)もしくはゴム(天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ブチルゴムもしくはポリウレタンゴム)等の絶縁体、窒素もしくは空気等の絶縁性ガス、または真空等を用いることができる。絶縁層18aおよび18bは、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法またはスピンコート法を用い形成できる。
絶縁膜20としては、絶縁性が高く熱伝導率が大きい材料が好ましく、例えば酸化アルミニウム等の無機絶縁体を用いることができる。絶縁膜20は、設けなくてもよいが、熱伝導層16aおよび16bと基部22aおよび22bが導電体の場合には絶縁のため設けることが好ましい。
基部22aおよび22bとしては、熱伝導率が大きい材料が好ましく、例えばCu、Al、AuもしくはAg等の金属、Siもしくはアルミナなどのセラミックス等を用いることができる。絶縁膜20は基部22aおよび22bにスパッタまたはCVD法を用い形成してもよい。基部22aおよび22bが電気的な絶縁体の場合、絶縁膜20は用いなくてもよい。基部22aおよび22bの少なくとも一方は、スパッタ法またはCVD法を用い形成できる。これにより、基部22aおよび22bを薄膜化できる。基部22aおよび22bの少なくとも一方は、メッキ法で形成できる。これにより、基部22aおよび22bをある程度厚い膜にすることができる。基部22aおよび22bの少なくとも一方を酸化膜またはセラミックスとする場合、スピンコート等による塗布膜を用いることができる。基部22aおよび22bとして、熱交換特性および放熱特性の高い構造(例えばフィン構造またはヒートシンク構造)および材料(例えば放熱シート、揮発性材料を含んだ放熱材料または吸熱材料、または表面をアルマイト加工したAlなど)を用いることができる。
比較例1および実施例1について、トレードオフ関係にある熱抵抗と電気抵抗とを最適化するシミュレーションを行った。基部22aおよび22bの面積に対する熱電薄膜12aおよび12bが占める割合を示すトレードオフパラメータγを用いた。シミュレーションは、各材料の熱伝導率、電気伝導率およびゼーベック係数を用い集中定数回路を仮定して行った。シミュレーションでは、基部22aおよび22bの寸法D×D、基部22aと22bとの間の温度差ΔT、ゼーベック素子による起電力V、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tおよびトレードオフパラメータγを設定し、その他の寸法を算出した。
以下にシミュレーション条件を示す。
熱電薄膜12a:n型FeVAl1−xTa
熱電薄膜12b:p型Fe1−xTiGa
無次元性能指数:0.09
接続層14a、14b:Cu
熱伝導層16a、16b:Cu
絶縁層18:SiO
絶縁膜20:Al、膜厚tAl2O3:100nm
基部22a、22b:Cu、膜厚tHS:1mm
D×D:10mm×10mm
ΔT:1K
[比較例1のシミュレーション]
=100nm、V=1Vとしてシミュレーションを行った。図5(a)から図5(c)は、比較例1におけるγに対するそれぞれ素子対数m、素子寸法γdおよび出力電力POUTのシミュレーション結果を示す図である。ゼーベック素子の素子対数mは、熱電薄膜12aと12bの一対の数である。素子寸法γdは、各熱電薄膜12aおよび12bのX方向の幅である。出力電力POUTは、負荷抵抗を調整して得られる熱電変換装置の最大の熱電変換装置の出力電力である。ここでのシミュレーションでは、温度差ΔTが必ず1Kつくものとして最適化したものである。実際の設計の際は、投入される熱量を考慮して最適化を行うこととなる。
図5(a)に示すように、γが大きくなると素子対数mが増加する。これは、トレードオフパラメータγが大きくなると、基部22aと22b間の熱抵抗が小さくなる。このため、1つのゼーベック素子10当たりの起電力が小さくなり、起電力Vを確保するためゼーベック素子10の直列接続数が増加するためである。
図5(b)に示すように、γが大きくなるとγdが大きくなる。γはD×D内に占める熱電薄膜12aおよび12bの面積比である。γdはdに対する熱電薄膜12aおよび12bの寸法比である。
図5(c)に示すように、出力電力POUTは、γが約0.12のときに約11μWでありピークとなる。図5(a)および図5(b)から出力電力POUTがピークとなる素子対数mおよび素子寸法γdが求まる。
次に、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tを10nmから10000nmに変化させ、出力電力POUTが最大となる素子対数mおよび素子寸法γdを算出した。ΔT=1Kとして、起電力Vが1Vのときと100mVのときについてシミュレーションした。
図6(a)および図6(b)は、比較例1におけるtに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuのシミュレーション結果を示す図である。図6(a)および図6(b)は、それぞれV=1VおよびV=100mVである。POUTは出力電力の最大値を示す。なお、図6(a)および図6(b)では、出力電力をPoutと示している。以下の図も同様である。
図6(a)および図6(b)に示すように、膜厚tが薄くなると出力電力POUTが小さくなる。通常のドライエッチング法等の微細加工技術およびスパッタ法またはCVD法等の薄膜形成技術が適用できる膜厚は、1000nm程度以下であり、好ましくは100nm程度である。この範囲では出力電力POUTは非常に小さくなってしまう。
図7は、比較例1におけるVに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuのシミュレーション結果を示す図である。膜厚tを100nmとしている。図7に示すように、Vが小さくなるとPOUTは小さくなってしまう。
[実施例1のシミュレーション]
=100nm、V=100mVとしてシミュレーションを行った。シミュレーション条件は比較例1と同じである。熱伝導層16aおよび16bのX方向の幅は接続層14aおよび14bのX方向の幅と同じとした。図8(a)から図8(c)は、実施例1におけるγに対するそれぞれm、γdおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。図8(a)および図8(b)に示すように、γ<0.5では、解がない。0.5<γでは2つの解が得られる。ゼーベック素子1個当たりの起電力が大きく素子数が小さい解(実線)と、ゼーベック素子1個当たりの起電力が小さく素子数が大きい解(点線)である。図8(c)に示すように、出力電力POUTは2つの解とも同じであり、γ=0.5において最大となる。素子の作製の容易性の観点で、素子数が小さい解(実線)を採用した。
次に、起電力Vが100mVのとき、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tを10nmから200nmに変化させ、出力電力POUTが最大となる素子対数mおよび素子寸法γdおよび(1−γ)dを算出した。
図9は、実施例1におけるtに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuのシミュレーション結果を示す図である。図9に示すように、膜厚tが200nm以下でも出力電力POUTは250μW以上である。POUTは膜厚tにほとんど依存しない。微細加工技術および薄膜形成技術に適したt=100nm程度でPOUTとして250μWを実現できる。
図10は、実施例1におけるVに対するPOUT、m、γd、(1-γ)dおよびtCuのシミュレーション結果を示す図である。膜厚tを100nmとしている。図10に示すように、Vが小さくなってもPOUTは大きい。Vを100mV以下としてもPOUTとして250μWを実現できる。
熱電薄膜12aおよび12bに用いる熱電材料をよりゼーベック係数の大きなBiTe系材料を用いる。また、絶縁層18aおよび18bを樹脂等のSiOより熱伝導率の小さな材料を用いる。さらに、基部22aおよび22bを薄膜化することで、出力電力POUTをより向上できる。
実施例1によれば、熱電薄膜12a(第1熱電薄膜)および熱電薄膜12b(第2熱電薄膜)はX方向(熱電薄膜12aおよび12bの表面に平行な第1方向)に交互に設けられている。熱電薄膜12aおよび12bは互いに反対の導電型を有する。接続層14a(第1接続層)および14b(第2接続層)は、熱電薄膜12aと12bとの間において熱電薄膜12aおよび12bと電気的および熱的に接続され、X方向に交互に設けられている。熱伝導層16aおよび16bは,接続層14aおよび14bにそれぞれ熱的に接続しZ方向(XY平面に交差する第2方向)に延伸する。これにより、熱電材料の薄膜を用いても、出力電力POUTを大きくできる。
また、熱伝導層16aおよび16bは、熱電薄膜12aおよび12bの表面に対し互いに反対側に設けられている。すなわち、熱伝導層16aは、接続層14aに熱的に接続し−Z方向(XY平面に交差する第2方向)に延伸する。熱伝導層16bは、接続層14bに熱的に接続し+Z方向(第2方向に反対の方向)に延伸する。これにより、熱電薄膜12aおよび12bのX方向の温度差が発生し、発電することができる。例えば基部22aおよび22bを櫛形とすることで、熱伝導層16aおよび16bは、熱電薄膜12aおよび12bの表面に対し同じ側に設けられていてもよい。
熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tは、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。形状および寸法の自由度を高めることができる半導体集積回路の作製技術を用いて成膜できる熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tは1μm以下である。膜厚tは1μm以下でも、実施例1では比較例1と比べ出力電力POUTを大きくできる。実施例1および比較例1のシミュレーション結果では、膜厚tは、500nm以下が好ましく200nm以下がより好ましい。
絶縁層18aおよび18b(絶縁体)は、熱伝導層16aおよび16bが貫通し熱伝導層16aおよび16bより熱伝導率が小さい。熱伝導層16aおよび16bが+Z側および−Z側に設けられている場合、絶縁層18a(第1絶縁体)および18b(第2絶縁体)は、熱電薄膜12aおよび12bの−Z方向側および+Z方向側にそれぞれ熱伝導層16aおよび16bが貫通し熱伝導層16aおよび16bより熱伝導率が小さい。このように、絶縁層18aおよび18bを用いることにより、基部22aと22b間の熱伝導層16aおよび16b以外の部分の熱抵抗を大きくできる。
熱電薄膜12aおよび12bは、Y方向(表面に平行な方向であって第1方向に交差する第3方向)に延伸する。これにより、熱電薄膜12aおよび12bのX方向の電気抵抗を小さくできる。熱電薄膜12aおよび12bのY方向の長さは、膜厚tの10倍以上が好ましく、100倍以上がより好ましく、1000倍以上はさらに好ましい。
熱電薄膜12aおよび12bのγd(X方向の幅)は、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tより大きい。これにより、熱電薄膜12aおよび12bのX方向の熱抵抗を大きくできる。素子寸法γdは膜厚tの2倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましい。
[実施例1の変形例1]
図11(a)および図11(b)は、実施例1の変形例1に係る熱電変換装置の断面図である。図11(a)に示すように、熱伝導層16aおよび16bのX方向の幅は、接続層14aおよび14bのX方向の幅より大きくてもよい。図11(b)に示すように、熱伝導層16aおよび16bのX方向の幅は接続層14aおよび14bより小さくてもよい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
[実施例1の変形例2]
図12は、実施例1の変形例2に係る熱電変換装置の平面図である。図12に示すように、Y方向に複数のモジュール30が設けられている。各モジュール30は、電極24aと24bとの間にX方向に配列したゼーベック素子10を備えている。各モジュール30間は絶縁層18により電気的および熱的に分離されている。用途に応じ、各モジュール30を直列に接続、並列に接続、または直列と並列を組み合わせて電気接続できる。モジュール30間を接続する配線を基板上に集積化することで、配線の内部抵抗を低減できる。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
[実施例1の変形例3]
図13(a)および図13(b)は、実施例1の変形例3に係る熱電変換装置の断面図および平面図である。図13(a)に示すように、基部22aおよび絶縁層18aに溝28aが形成され、基部22bおよび絶縁層18bに溝28bが形成されている。絶縁層18aおよび18bは固体である。溝28aおよび28b内は空気等の気体または真空であり絶縁層18aおよび18bより熱伝導率が大きい。このため、基部22aと22b間の温度差が同じでも熱電薄膜12aおよび12bの温度差を大きくできる。図13(b)に示すように、基部22bに複数の溝28bが設けられている。基部22aにも同様に複数の溝28aが設けられている。溝28bはX方向およびY方向に配列されている。溝28bを短く分断することで、熱電変換装置の強度を高くできる。溝28bはY方向に延伸するように設けられていてもよい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例3によれば、基部22aおよび絶縁層18aは、熱伝導層16aの間において溝28a(第1溝)を有している。基部22bおよび絶縁層18bは、熱伝導層16aの間において溝28b(第2溝)を有する。これにより、熱電薄膜12aおよび12b間の温度差を大きくできる。なお、絶縁層18aおよび18bが全て除去されて溝28aおよび28bを形成してもよい。
[実施例1の変形例4]
図14(a)は、実施例1の変形例4に係る熱電変換装置の断面図である。図14(a)に示すように、熱電薄膜12aおよび12bのZ方向の位置は同じでない。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。熱電薄膜12aおよび12bの製造方法によっては、熱電薄膜12aと12bとは同一のXY平面上に位置していなくてもよい。
図14(b)は、実施例1の変形例4の別の例である。図14(b)に示すように、接続層14aおよび14bは、+Z方向において熱電薄膜12aと接触し、−Z方向において熱電薄膜12bと接触してもよい。熱伝導層16aは、熱電薄膜12bを介し接続層14aおよび14bと熱的に接続し、熱伝導層16bは、熱電薄膜12aを介し接続層14aおよび14bと熱的に接続してもよい。熱伝導層16aおよび16bのX方向の幅は、接続層14aおよび14bのX方向の幅より大きくてもよい。熱伝導層16aおよび16bのX方向の幅は接続層14aおよび14bより小さくてもよい。図14(b)では熱電薄膜12b、接続層14aおよび14b、並びに熱電薄膜12aがZ方向に積層させるため、熱電薄膜12aおよび12bと接続層14aおよび14bとの接触が容易となる。
[実施例1の変形例5]
図14(c)は、実施例1の変形例5に係る熱電変換装置の断面図である。図14(c)に示すように、基部22aと22bとの間に、層48が絶縁膜20を介し複数積層されている。各層48は、実施例1の変形例4の熱電薄膜12aおよび12b、接続層14aおよび14b、熱伝導層16aおよび16b、並びに絶縁層18aおよび18bを含む。絶縁膜20は、電気的な絶縁体でありかつ熱伝導率が高い。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例5によれば、複数の層48のうち隣接する層の一方に含まれる熱伝導層16aと、隣接する層48の他方に含まれる熱伝導層16bと、は電気的な絶縁膜20を介し熱的に接続されている。このように、熱電材料を薄膜とすることで、複数の層48が基部22aと22bとの間に熱的に直列に接続することができる。これにより、効率的に熱を電力に変換することができる。実施例1およびその変形例1から3のゼーベック素子を実施例1の変形例5のように積層してもよい。
実施例1およびその変形例に係る熱電変換装置は、ウエアラブルデバイス、マイクロコントローラまたはセンサの電源として用いることができる。例えば、熱電変換装置を身体に装着する。これにより、熱電変換装置は,身体からの放熱を用い発電し、発電した電力をウエアラブルデバイスまたはセンサに供給することができる。また、熱電変換装置を、車のエンジンからの排熱(排気ガスによる熱)などによる発電に用いることができる。
[実施例1の変形例6]
実施例1の変形例6は、実施例1およびその変形例に係る熱電変換装置をペルチェ素子として用いる例である。図15(a)および図15(b)は、実施例1の変形例6に係る熱電変換装置を用いた電子装置の断面図である。図15(a)に示すように、プリント基板等の基板58上に集積回路素子52が搭載されている。集積回路素子52は、例えばマイクロプロセッサまたはSoC(System on a Chip)である。集積回路素子52上に熱伝導部材56、熱電変換装置51、熱伝導部材56および放熱部材54が設けられている。熱電変換装置51は、実施例1およびその変形例に係る熱電変換装置をペルチェ素子として用いている。熱伝導部材56は例えば銅またはインジウム等のように熱コンタクトをとる金属層である。放熱部材54は例えば放熱フィンである。熱伝導部材56および放熱部材54には、実施例2において例示する材料を用いてもよい。図15(b)に示すように、集積回路素子52上に熱電変換装置51を直接搭載してもよい。
実施例1の変形例6のように、ペルチェ素子である熱電変換装置51に電力を加えることで、集積回路素子52を冷却することができる。図15(a)のように、熱電変換装置51を集積回路素子52と放熱部材54との間に熱伝導部材56を介し実装してもよい。図15(b)のように、半導体プロセスを用い熱電変換装置51を集積回路素子52上に直接集積化してもよい。この場合は、集積回路素子52上の熱の上昇が特に高くなる箇所の直上に熱電変換装置51を集積化することも可能である。これらによって、集積回路素子52を強制的に冷却することで、集積回路素子52における放熱の問題を解決することができる。
実施例2は、熱電変換装置を有する電子装置の例である。図16は、実施例2に係る電子装置の断面図である。図16に示すように、電子装置105において、発電装置50は、集積回路素子52と放熱部材54との間に設けられている。集積回路素子52は、基板58上に搭載されている。発電装置50と集積回路素子52とは熱伝導部材56を介し熱的に接続されている。
発電装置50は、例えば比較例1、比較例2、実施例1およびその変形例に係る熱電変換装置を含む。熱電変換装置のうち接続層14aおよび14bの一方は、基部22aおよび22bの一方を介し熱伝導部材56に熱的に接続されている。接続層14aおよび14bの他方は、基部22aおよび22bの他方を介し放熱部材54に熱的に接続されている。
集積回路素子52は、例えばSoC(System on a Chip)等の集積回路が形成されたチップまたは集積回路チップが実装されたパッケージである。集積回路素子52は、マイクロプロセッサ等でもよい。基板58は、例えばプリント基板である。熱伝導部材56は、熱伝導率が大きい材料が好ましく、例えばCu、Al、AuもしくはAg等の金属、セラミックスまたは高熱伝導性シリコーン樹脂等を用いることができる。熱伝導部材56を設けず、熱電変換装置の基部22aおよび22bを直接集積回路素子52に接触させてもよい。放熱部材54は、例えば電子装置の筐体、アルマイト加工などを施した放熱板、放熱フィンまたは放熱ファンである。発電装置50は、π型の熱電変換装置およびその他の熱電変換装置でもよい。
実施例2によれば、集積回路素子52が動作すると、集積回路素子52において熱が発生する。発生した熱は、熱伝導部材56、発電装置50を介し放熱部材54に伝導し、放熱部材54により放熱される。発電装置50は、比較例1、2、実施例1およびその変形例のように、接続層14aと14bとの間に設けられた熱電薄膜(熱電材料)12aと12bとが、接続層14aと14bとを介して交互に直列に接続された熱電変換装置を含む。接続層14aと14bの一方が集積回路素子52に熱的に接続し、接続層14aと14bの他方が放熱部材54に接続されている。
これにより、集積回路素子52と放熱部材54との温度差を用い発電することができる。発電装置50として、実施例1およびその変形例を用いることにより、発電装置50の出力電力を大きくできる。
[実施例2の変形例1]
図17は、実施例2の変形例1に係る電子装置のブロック図である。図17に示すように、電子装置106は、実施例2に係る電子装置105に加え制御回路60および蓄電装置62を備えている。蓄電装置62は、例えば2次電池である。制御回路60には、外部電力70が供給される。制御回路60は電力71を集積回路素子52に供給する。制御回路60は、集積回路素子52の電源電圧に対応し集積回路素子52に複数の電圧の電力71を供給してもよい。
集積回路素子52において発生した熱80は、発電装置50に伝導または伝達する。発電装置50において一部の熱は電力72に変換される。残りの熱81は放熱部材54に伝導または伝達する。放熱部材54より熱82は放出される。
発電装置50において発電された電力72は制御回路60に出力される。制御回路60は、発電装置50が発電した電力72を蓄電装置62または集積回路素子52に供給する。蓄電装置62は、制御回路60から供給された電力73を蓄電する。また、蓄電装置62は電力74を制御回路60に供給する。制御回路60は、蓄電装置62から供給された電力74を集積回路素子52に電力71として供給する。
制御回路60は、例えば充電モードと動作アシストモードを選択する。充電モードでは、制御回路60は、発電装置50が発電した電力72を主に蓄電装置62の充電に用いる。集積回路素子52に供給する電力71は主に外部電力70を用いる。充電モードでは、蓄電装置62の電力消費速度を緩和できる。または、外部電源のみで蓄電装置62を充電する場合に比べ、蓄電装置62の充電時間を早くできる。
動作アシストモードでは、制御回路60は、外部電力70に加え発電装置50が発電した電力72および/または蓄電装置62が放電した電力74を集積回路素子52に供給する。動作アシストモードでは、充電モードなど動作アシストモードを使用しない場合に比べ、集積回路素子52の動作速度が同じであれば、外部電力70の消費を抑制できる(すなわち低消費電力となる)。外部電力70が同じであれば、集積回路素子52をより高速動作させる(すなわち、熱電発電による電圧ブーストする)ことができる。また、熱電変換装置から回収したエネルギーで、集積回路がスリープ状態となったときの、集積回路内のメモリのデータ保持を行うこともできる。このデータ保持には、動作アシストモードやバッテリーからのエネルギーも活用することができる。
実施例2の変形例1によれば、蓄電装置62は、発電装置50が発電した電力を蓄え、蓄えた電力を集積回路素子52に供給する。これにより、低消費電力および/または高速動作が可能となる。
[実施例2の変形例2]
図18は、実施例2の変形例2に係る電力システムのブロック図である。図18に示すように、電力システム108は、電子装置105に加え制御回路60および電力回収装置64を備えている。制御回路60は、外部電力70を集積回路素子52に供給する。電力回収装置64は、複数の電子装置105における発電装置50が発電した電力72を回収する。電力回収装置64は、回収した電力72を集積した電力75を外部に供給する。
データセンタ等では、膨大なマイクロプロセッサ等の集積回路素子52が動作している。このため、膨大な電力を消費している。そこで、集積回路素子52において発生した熱の一部を発電装置50において電力72に変換する。電力72を回収し、再利用する。再利用する電力75は、例えばデータセンタ等の空調または照明等の電力に使用する。回収される電力72が集積回路素子52の消費電力の10%程度であっても、空調または照明等の電力として十分使用することができる。
[恒温動物モデルを用いたシミュレーション]
上記比較例1および実施例1のシミュレーションは、熱電変換装置に加わる温度差ΔTが一定としている。このモデルは熱電発電モジュール単体の評価方法の1つである。しかし、熱電変換装置をウエアラブルデバイスの電源として用いる場合、熱電変換装置は人体の体温と大気の温度との温度差を用いて発電することになる。このような場合、上記シミュレーションは適正でない。そこで、人体の皮膚温度に恒温動物モデルを用い、実施例1における熱電変換装置のシミュレーションを行った。
図19(a)および図19(b)は、シミュレーションモデルを示す図である。図19(a)および図19(b)はそれぞれ定熱流モデルおよび定温度差モデルを示している。定熱流は等価な電気回路で表現すれば定電流源モデルに相当し、定温度差は等価な電気回路で表現すれば定電圧源モデルに相当する。熱電変換装置の性能評価には一般に定電流源モデルが用いられる。
図19(a)に示すように、熱抵抗kおよびkairが直列に接続されている。kおよびkairはそれぞれ熱電変換装置の熱抵抗および熱電変換装置と大気との間の熱抵抗に相当する。熱抵抗kおよびkairに直列に定電流源66(すなわち定熱流源)が設けられている。定電流源モデルでは定電流源66が熱抵抗kの一端にパワーQを投入しkおよびkairを流れる熱流を一定とする。パワーQは人体の皮膚から熱電変換装置に投入されるパワーに相当する。しかし、定電流源モデルでは、熱抵抗kの大きさによって皮膚表面の温度が変化する。これは恒温動物である人体を表現できていない。このため,例えば熱抵抗kが大きい場合、熱流を一定にするため大きなパワーQを投入することになる。しかし人体から投入されるパワーには限りがあり、ウエアラブルデバイス用の電源のシミュレーションモデルとして定電流源モデルは適切でない。
図19(b)に示すように、熱抵抗kおよびkairに直列に定電圧源68(すなわち定温度差源)が設けられている。定電圧源モデルでは、人体が恒温動物であることを考慮し、外気と皮膚表面との間の温度差を一定に保つことで、人体の皮膚の表面の温度を一定とする。すなわち、定電圧源68は熱抵抗kおよびkairに加わる温度差ΔTを一定とする。熱電変換装置の両側に加わる温度差ΔTは、熱抵抗kおよびkairに依存して変化するが、皮膚表面の温度は一定に保てる。
実施例1の構造は図4(a)および図4(b)とし、比較例1の構造は図2(a)および図2(b)とした。
以下にシミュレーション条件を示す。
大気の熱抵抗kair:212.5K/W
熱電薄膜12aおよび12b
ゼーベック係数S=S−S:434μV/K
熱伝導率λ=(λ+λ)/2:1.43Wm−1−1
電気抵抗率ρ=(ρ+ρ)/2:8.11μΩm
接続層14aおよび14b:Cu
膜厚tCu:10μm(実施例1)、≦10μm(比較例1)
熱伝導率λCu:386Wm−1−1
電気抵抗率λCu:1.69×10−8Ωm
絶縁層18:真空
D×D:10mm×10mm
ΔT:10K
およびSはそれぞれn型およびp型の熱電薄膜12aおよび12bのゼーベック係数、λおよびλはそれぞれn型およびp型の熱電薄膜12aおよび12bの熱伝導率、並びにρおよびρはそれぞれn型およびp型の熱電薄膜12aおよび12bの電気抵抗率である。Dはモジュールの一辺の長さである。
以上のように、恒温動物モデルでは、皮膚の表面温度と外気温との温度差ΔTを10Kと一定とした。これは、例えば体温が35℃であり気温が25℃の場合に相当する。熱電変換装置の基部からの対流および輻射による放熱の熱抵抗kairを温度に依存せず212.5K/Wと一定とした。
[実施例1のシミュレーション]
実施例1について恒温動物モデルを用いシミュレーションを行った。ΔTを一定としたシミュレーションと同様に、出力電力POUTが最大となるトレードオフパラメータγおよび出力電力POUTが最大となる素子対数mで最適化した。
図20(a)および図20(b)は、実施例1におけるそれぞれγおよびmに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。βΔTは熱電薄膜12aおよび12bの各々の両端間の温度差である。その他のパラメータはΔTを一定としたシミュレーションと同じである。
図20(a)は、m=100ペア、t=100nmにおいてγを最適化するときの図である。図20(a)に示すように、γが変化するとPOUTが変化する。POUTが最大となるγが最適化されたγである。POUTがγに対しピークを持たない場合、γd≧1μmかつ(1−γ)d≧1μmの範囲内でPOUTが最大となるγを最適化されたγとした。
図20(b)は、t=100nmにおいてmを最適化するときの図である。m毎に図20(a)の方法でγを最適化している。図20(b)に示すように、mが変化するとPOUTが変化する。図に示すように、POUTとVのピークをとるmは異なるため、例えば、V≧100mVの範囲でかつPOUTが最大となるmを最適化されたmとすることができる。
図21は、実施例1におけるtに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。t毎に図20(b)の方法でmを最適化している。図21に示すように、膜厚tが300nm以下においてPOUTは100μW以上である。
[比較例1のシミュレーション]
比較例1のπ型について恒温動物モデルを用い実施例1と同様にシミュレーションを行った。図22は、比較例1におけるtに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。ここでは、γdおよび(1−γ)dの最小値を1μmに制限してある。図22に示すように、膜厚tが小さくなるとPOUTが小さくなる。膜厚tが1000nm以下となるとPOUTが100μW以下となる。
以上のように、恒温動物モデルを用いたシミュレーションを用いても、ΔTを一定としたシミュレーション結果と同様の結果が得られた。すなわち、実施例1では出力電力POUTは膜厚tにほとんど依存しない。一方、比較例1では、膜厚tが小さくなると出力電力POUTが小さくなる。
実施例1では比較例1に比べ熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tを小さくしても出力電力POUTを大きくできる理由を説明する。
図23(a)および図23(b)は、それぞれ比較例1および実施例1に係る熱電変換装置の断面模式図である。図23(a)および図23(b)に示すように、比較例1および実施例1とも温度差ΔTの方向はZ方向である。比較例1では、熱電薄膜12aおよび12bの熱流の流れる方向は温度差ΔTと同じZ方向である。実施例1では、熱電薄膜12aおよび12bの熱流の流れる方向は温度差ΔTと交差するX方向である。
比較例1では、図23(a)のように、熱電薄膜12aおよび12bの薄膜化のため熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tを小さくすると熱電薄膜12aおよび12bの熱抵抗kが小さくなる。熱電薄膜12aおよび12bの各々の両端間の温度差βΔTが小さくなってしまう。図22のように、膜厚tが小さくなると、熱電変換装置(モジュール)全体に生じる温度差ΔTが小さくなるが、さらに、温度差ΔTに比べβΔTが小さくなる。これにより出力電力POUTが小さくなる。
実施例1では、図23(b)のように、熱電薄膜12aおよび12bの薄膜化のため熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tを小さくすると熱電薄膜12aおよび12bの熱抵抗kが大きくなる。これにより、図21のように、熱電変換装置全体に生じる温度差ΔTは大きく、熱電薄膜12aおよび12bの各々の両端間の温度差βΔTと温度差ΔTとはほとんど同じとなる。これにより、膜厚tが小さくなっても出力電力POUTは低下しない。
図24は、実施例1における出力電圧Voutに対する電流Iおよび出力電力POUTを示す図である。膜厚tを100nmとしXY平面の面積Sを20cmから120cmまで20cmステップで変えている。出力電力POUTの最大値は出力をインピーダンス整合したときの出力電力である。図24に示すように、出力電圧Voutが1Vのとき出力電力POUTはピークとなる。リストバンド方式のウエアラブルデバイスでは実装面積は100cm程度である。面積Sが100cm程度でも10mW程度の出力電力POUTを得ることができ、ヘルスケアデバイスまたは短・中距離通信を含むウエアラブルデバイスに十分応用化可能である。
比較例1において、γd≧1μmかつ(1−γ)d≧1μmの条件をなくし、シミュレーションを行った。図25は、比較例1における最小寸法に対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。最小寸法はdに対応する。膜厚tを100nmとした。比較例1においても最小寸法を小さくすると、熱電変換装置の全体の温度差ΔTが大きくなり、熱電材料に生じる温度差βΔTはΔTとの差が小さくなる。このことで、温度差βΔTとΔTとの差が小さくなり、出力電力POUTが大きくなる。例えば最小寸法が1μm以下では出力電力POUTは20μW以上となる。最小寸法が100nm以下では温度差βΔTとΔTとがほぼ同じとなり、出力電力POUTは100μW以上となる。
このように、比較例1でも最小寸法を小さくすると、出力電力POUTを向上できる。しかし、最小寸法をミクロンオーダー(例えば1μm)より小さくすると、微細加工に関するコストアップとなる。実施例1では、最小寸法が1μm以上でも出力電力POUTを大きくでき、低コストで高い出力電力を実現できる。
図2(a)および図2(b)のように、熱電薄膜12aおよび12bが基部22aおよび22bの面方向に配列されている。接続層14aおよび14bは、それぞれ基部22aおよび22bに熱的に接続されており、面方向に交差する方向(Z方向)において熱電薄膜12aと12bと交互に熱的および電気的に接続されている。このようなπ型の熱電変換装置において、図25のように、熱電薄膜12aおよび12bのピッチ(周期:例えば寸法γdおよび/または(1−γ)d)を1μm以下とすることで、出力電力POUTを大きくできる。熱電薄膜12aおよび12bの大きさは、0.5μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。熱電薄膜12aおよび12bを薄膜技術で作製するため、熱電薄膜12aおよび12bの膜厚tは、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。また、半導体集積回路の作製技術を用いて成膜する熱電薄膜12aおよび12bの膜厚は1μm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく200nm以下がさらに好ましい。図25のように膜厚t0が100nmでも出力電力POUTを大きくできる。
図26(a)は、実施例4に係る熱電変換装置の平面図、図26(b)は、図26(a)のA−A断面図である。図26(a)は、基部22a、22bおよび熱電変換ユニット44を示している。図26(a)および図26(b)に示すように、基部22aと22bとの間に熱電変換ユニット44が設けられている。熱電変換ユニット44は、比較例1の図2(a)および図2(b)と同様に熱電薄膜12a、12b、接続層14a、14bおよび絶縁層18を有している。平面視において基部22aおよび22bに比べ熱電変換ユニット44の面積を小さくする。基部22aと22bとの間の熱電変換ユニット44以外の部分には熱絶縁体46が設けられている。熱絶縁体46は、熱電薄膜12a、12b、接続層14a、14b、基部22aおよび22bより熱伝導率が小さい。このように、熱絶縁体46は電気的および熱的絶縁体である。基部22aおよび22bの大きさはD0×D0であり、熱電変換ユニット44の大きさはD×Dである。
実施例4について、恒温動物モデルを用いシミュレーションを行った。シミュレーションでは、D0=1cm、t=100nm、ΔTを10K、熱絶縁体46および絶縁層18を真空とし、γd≧1μmかつ(1−γ)d≧1μmとした。γとmで最適化を行った。
図27は、実施例4におけるDに対するγd、(1−γ)d、ΔT、βΔT、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。図27に示すように、熱電変換ユニット44が比較例1と同様のπ型であってもDを小さくすると出力電力POUTが大きくなる。熱電変換ユニット44がπ型の場合、D0×D0の領域に熱電薄膜12aおよび12bを均一に分散させると、熱電薄膜12aおよび12b間を電気的に接続する接続層14aおよび14bが長くなり、内部インピーダンスが高くなる。実施例4のように、D×Dの狭い範囲に熱電薄膜12aおよび12bを収めると接続層14aおよび14bが短くなり、内部インピーダンスを小さくできる。
[実施例4の変形例1]
図28(a)は、実施例4の変形例1に係る熱電変換装置の平面図、図28(b)は、図28(a)のA−A断面図である。図28(a)は、基部22a、22bおよび熱電変換ユニット44を示している。図28(a)および図28(b)に示すように、熱電変換ユニット44は、実施例1の図4(a)および図4(b)と同様に熱電薄膜12a、12b、接続層14a、14b、熱伝導層および絶縁層を有している。平面視において基部22aおよび22bに比べ熱電変換ユニット44の面積を小さくする。熱絶縁体46は、熱電薄膜12a、12b、接続層14a、14b、基部22aおよび22bより熱伝導率が小さい。基部22aおよび22bの大きさはD×Dであり、熱電変換ユニット44の長さはLである。
実施例4の変形例1ついて、恒温動物モデルを用いシミュレーションを行った。シミュレーションでは、D=1cm、t=100nm、ΔTを10K、熱電変換ユニット44内の絶縁層18aおよび18bをポーラスシリコン(熱伝導率が35.7mWm−1−1)とし、熱絶縁体46をポーラスシリコンまたは真空とし、γd≧1μmかつ(1−γ)d≧1μmとした。γとmで最適化を行った。
図29(a)は、実施例4の変形例1におけるLに対するtCu、γd、m、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図、図29(b)は、tCuに対するL、γd、m、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。熱電変換ユニット44内の絶縁層18aおよび18bおよび熱絶縁体46をポーラスシリコンとした。図29(a)に示すように、熱絶縁体46がポーラスシリコンのとき、Lを小さくすると出力電力POUTが大きくなる。この例ではLが約30μmで出力電力POUTが最大となる。図29(b)のように、Lが約30μmおよびtCuが約500μmのとき、出力電力POUTは約20μWで最大となる。熱絶縁体46をポーラスシリコンの場合、熱絶縁体46を介した熱流を抑制するため、tCuを大きくすることでPOUTが大きくなるが、tCuが大きすぎると熱伝導層の熱抵抗が大きくなるためPOUTはピークを持つ.
図30は、熱絶縁体46が真空のときのtCuに対するL、γd、m、VおよびPOUTのシミュレーション結果を示す図である。熱電変換ユニット44内の絶縁層18aおよび18bはポーラスシリコンとした。図30に示すように、LおよびtCuが小さくなると出力電力POUTが小さくなる。LおよびtCuが約0.1μmのとき出力電力POUTは約100μWである。このように、熱絶縁体46を真空とすると出力電力POUTが大きくなる。熱絶縁体46を介した熱流がほとんど流れないため、tCuが薄くても出力電力POUTを大きくできる。
[実施例4の変形例2]
図31は、実施例4の変形例2に係る熱電変換装置の断面図である。図31に示すように、基部22aと22bとの間を真空46aに保持するための保持壁47を備えている。その他の構成は実施例4およびその変形例1と同じであり説明を省略する。
実施例4およびその変形例1および2によれば、基部22a(第1基部)は人体等の恒温動物の生体の表面に熱的に接続される。基部22b(第2基部)は、大気(空気)に熱的に接続される。熱電変換ユニット44(熱電変換ユニット)は、基部22aと22bとの間に設けられている。熱絶縁体46は、基部22aと基部22bとの間であって熱電変換ユニット44の外側に設けられ、熱電薄膜12a、12b、基部22aおよび基部22bの熱伝導率より小さい熱伝導率を有する。これにより、図27、図29(a)から図30のシミュレーション結果のように、出力電力POUTを向上できる。
熱絶縁体46は、実施例4の図26(a)ように平面視において熱電変換ユニット44を完全に囲っていてもよい。熱絶縁体46は、実施例4の変形例1の図28(a)ように平面視において熱電変換ユニット44の両側のみに設けられていてもよい。熱絶縁体46は、熱電変換ユニット44の片側のみに設けられていてもよい。熱電変換ユニット44のX方向の幅はDより小さくてもよい。すなわち、熱電変換ユニット44の±X方向の少なくとも一方は熱絶縁体46が設けられていてもよい。図26(a)および図28(a)の場合ともに、平面視において、熱電変換ユニット44の面積は基部22aおよび22bの面積の1/10以下が好ましく、1/100以下がより好ましい。
熱絶縁体46は、実施例1において例示した絶縁層18aおよび18bの材料を用いることができる。例えば、熱絶縁体46は、ポーラスシリコンのような固体層でもよい。ポーラスシリコンとしては、例えば高抵抗シリコンを用いたポーラスシリコン、または酸化等により電気的および熱的に絶縁体となるポーラスシリコンを用いることができる。これにより、基部22aおよび22bを補強することができる。固体層としては、ポーラスシリコン以外のポーラスシリカなどの多孔質層等を用いることができる。
また、実施例4の変形例2のように、熱絶縁体46は、大気圧より低い圧力を有する気体層または真空であり、保持壁47(保持部)が真空を保持する。これにより、熱絶縁体46を固体層とする場合に比べ熱絶縁体46の熱伝導率を小さくできる。よって、図30のように、出力電力POUTを大きくできる。熱絶縁体46は大気圧の空気またはその他の気体(例えば窒素等)でもよい。実施例4についても、熱絶縁体46は、真空、大気圧の空気またはその他の気体でもよい。また、実施例4およびその変形例において、熱電変換ユニット44内の絶縁層18、18aおよび18b(図4(b)等参照)は、固体以外に真空、空気またはその他の気体でもよい。
熱絶縁体46と絶縁層18、18aおよび18bとは同じ材料でもよいし異なる材料でもよい。絶縁層18、18aおよび18bは、熱電薄膜12a、12b、接続層14aおよび14bを保持するため固体層とし、熱絶縁体46は出力電力POUTを大きくするため空気層または真空としてもよい。
[実施例4の変形例3]
図32(a)は、実施例4の変形例3に係る熱電変換装置の平面図、図32(b)は、図32(a)のA−A断面図である。図32(a)および図32(b)に示すように、単一の基部22aと単一の基部22bとの間に実施例4の熱電変換ユニット44に対応する熱電変換ユニット44が複数設けられている。各熱電変換ユニット44は平面視において熱絶縁体46に囲まれている。複数の熱電変換ユニット44は、電気的に直列または並列に接続されていてもよい。
[実施例4の変形例4]
図33(a)は、実施例4の変形例4に係る熱電変換装置の平面図、図33(b)は、図33(a)のA−A断面図である。図33(a)および図33(b)に示すように、単一の基部22aと単一の基部22bとの間に実施例4お変形例1の熱電変換ユニット44に対応する熱電変換ユニット44が複数設けられている。各熱電変換ユニット44は平面視において熱絶縁体46に囲まれている。複数の熱電変換ユニット44は、電気的に直列または並列に接続されていてもよい。
実施例4の変形例3および4によれば、基部22aと22bとの間に熱絶縁体46を介し互いに離間した複数の熱電変換ユニット44が設けられている。これらの相互接続により、出力電圧および電力を適切に設定できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 ゼーベック素子
12a、12b 熱電薄膜
14a、14b 接続層
16a、16b 熱伝導層
18、18a、18b 絶縁層
20 絶縁膜
22a、22b 基部
24a、24b 電極
28a、28b 溝
44 熱電変換ユニット
46 熱絶縁体
47 保持壁
50 発電装置
52 集積回路素子
54 放熱部材
60 制御回路
62 蓄電装置

Claims (18)

  1. 第1熱電薄膜および第2熱電薄膜の表面に平行な第1方向に交互に設けられた互いに反対の導電型を有する前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜と、
    前記第1熱電薄膜と前記第2熱電薄膜との間において前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜と電気的および熱的に接続され、前記第1方向に交互に設けられた第1接続層および第2接続層と、
    前記第1接続層および前記第2接続層にそれぞれ熱的に接続し前記表面に交差する第2方向に延伸する第1熱伝導層および第2熱伝導層と、
    を具備することを特徴とする熱電変換装置。
  2. 前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の膜厚は10μm以下であることを特徴とする請求項1記載の熱電変換装置。
  3. 前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層は、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の表面に対し互いに反対側に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換装置。
  4. 前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層が貫通し前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層より熱伝導率の小さな絶縁体を具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の熱電変換装置。
  5. 前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜は、前記表面に平行であって前記第1方向に交差する第3方向に延伸し、
    前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の前記第3方向の長さは、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の膜厚の10倍以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の熱電変換装置。
  6. 前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の前記第1方向の幅は、前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の膜厚より大きい請求項1から5のいずれか一項記載の熱電変換装置。
  7. 前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層にそれぞれ熱的に接続する第1基部および第2基部を具備する請求項1から6のいずれか一項記載の熱電変換装置。
  8. 前記第1熱伝導層が貫通し前記第1熱伝導層より熱伝導率の小さな固体の第1絶縁体と、
    前記第2熱伝導層が貫通し前記第2熱伝導層より熱伝導率の小さな固体の第2絶縁体と、
    前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層にそれぞれ熱的に接続する第1基部および第2基部と、
    を具備し、
    前記第1基部および前記第1絶縁体は、前記第1熱伝導層の間において第1溝を有し、
    前記第2基部および前記第2絶縁体は、前記第2熱伝導層の間において第2溝を有することを特徴とする請求項3記載の熱電変換装置。
  9. 前記第1熱電薄膜、前記第2熱電薄膜、前記第1接続層、前記第2接続層、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層を含む層が前記表面に交差する方向に複数積層され、
    前記複数の層のうち隣接する層の一方に含まれる第1熱伝導層と、前記隣接する層の他方に含まれる第2熱伝導層と、は熱的に接続されている請求項1から8のいずれか一項記載の熱電変換装置。
  10. 恒温動物の生体の表面に熱的に接続される第1基部と、
    空気に熱的に接続される第2基部と、
    前記第1基部と前記第2基部との間に設けられ、前記第1熱電薄膜、前記第2熱電薄膜、前記第1接続層、前記第2接続層、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層を備え、前記第1熱伝導層および前記第2熱伝導層はそれぞれ前記第1基部および前記第2基部に接続された熱電変換ユニットと、
    前記第1基部と前記第2基部との間であって前記熱電変換ユニットの外側に設けられ、前記第1熱電薄膜、前記第2熱電薄膜、前記第1基部および前記第2基部の熱伝導率より小さい熱伝導率を有する熱絶縁体と、
    を具備することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の熱電変換装置。
  11. 恒温動物の生体の表面に熱的に接続される第1基部と、
    空気に熱的に接続される第2基部と、
    前記第1基部と前記第2基部との間に設けられ、第1接続層と第2接続層との間に設けられた第1熱電材料と前記第1熱電材料と反対の導電型を有する第2熱電材料とが、前記第1接続層と前記第2接続層とを介して交互に直列に接続され、前記第1接続部および前記第2接続部はそれぞれ前記第1基部および前記第2基部に熱的に接続された熱電変換ユニットと、
    前記第1基部と前記第2基部との間であって前記熱電変換ユニットの外側に設けられ、前記第1熱電材料、前記第2熱電材料、前記第1基部および前記第2基部の熱伝導率より小さい熱伝導率を有する熱絶縁体と、
    を具備することを特徴とする熱電変換装置。
  12. 前記熱絶縁体は、固体層であることを特徴とする請求項10または11記載の熱電変換装置。
  13. 前記熱絶縁体は、大気圧より低い圧力を有する気体層または真空であり、
    前記熱電変換装置は、前記気体層または真空を保持する保持部を具備することを特徴とする請求項10または11記載の熱電変換装置。
  14. 前記第1基部と前記第2基部との間に前記熱絶縁体を介し互いに離間した複数の前記熱電変換ユニットを具備することを特徴とする請求項10から13のいずれか一項記載の熱電変換装置。
  15. 集積回路素子と、
    前記集積回路素子において発生した熱を放熱する放熱部材と、
    請求項1から10のいずれか一項記載の熱電変換装置を含み、前記集積回路素子と前記放熱部材との間に設けられ、前記第1熱伝導層が前記集積回路素子に熱的に接続し、前記第2熱伝導層が前記放熱部材に接続された発電装置と、
    を具備することを特徴とする電子装置。
  16. 集積回路素子と、
    前記集積回路素子において発生した熱を放熱する放熱部材と、
    第1接続層と第2接続層との間に設けられた第1熱電材料と前記第1熱電材料と反対の導電型を有する第2熱電材料とが、前記第1接続層と前記第2接続層とを介して交互に直列に接続された熱電変換装置を含み、前記集積回路素子と前記放熱部材との間に設けられ、前記第1接続層が前記集積回路素子に熱的に接続し、前記第2接続層が前記放熱部材に接続された発電装置と、
    を具備することを特徴とする電子装置。
  17. 前記発電装置が発電した電力を蓄え、前記集積回路素子に供給する蓄電装置を具備することを特徴とする請求項15または16記載の電子装置。
  18. 第1基部および第2基部と、
    前記第1基部および前記第2基部の面方向に配列され、互いに反対の導電型を有する前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜と、
    前記面方向に交差する方向において前記第1熱電薄膜と前記第2熱電薄膜と交互に熱的および電気的に接続され、それぞれ前記第1基部および前記第2基部と熱的に接続された第1接続層および第2接続層と、
    を具備し、
    前記第1熱電薄膜および前記第2熱電薄膜の前記面方向の大きさは1μm以下であることを特徴とする熱電変換装置。
JP2018536912A 2016-08-30 2017-02-23 熱電変換装置および電子装置 Active JP6995370B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016168415 2016-08-30
JP2016168415 2016-08-30
PCT/JP2017/006811 WO2018042708A1 (ja) 2016-08-30 2017-02-23 熱電変換装置および電子装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018042708A1 true JPWO2018042708A1 (ja) 2019-06-24
JP6995370B2 JP6995370B2 (ja) 2022-02-04

Family

ID=61300358

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018536912A Active JP6995370B2 (ja) 2016-08-30 2017-02-23 熱電変換装置および電子装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6995370B2 (ja)
WO (1) WO2018042708A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7360120B2 (ja) * 2019-05-28 2023-10-18 国立大学法人 東京大学 熱電変換装置、電子機器および熱電変換装置の製造方法
KR102228971B1 (ko) * 2019-07-12 2021-03-17 최병대 제조가 용이하면서 향상된 열전효율을 가지는 열전모듈.
CN116848965A (zh) * 2021-02-16 2023-10-03 国立研究开发法人科学技术振兴机构 热电转换装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002100816A (ja) * 2000-09-22 2002-04-05 Matsushita Refrig Co Ltd 熱電冷却装置
JP2005079347A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 Toshiba Corp 熱電変換装置
WO2005117154A1 (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Kazukiyo Yamada 高密度集積型薄層熱電モジュール及びハイブリッド発電システム
JP2009158760A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Daikin Ind Ltd 熱電素子
JP2014135455A (ja) * 2013-01-11 2014-07-24 Fujitsu Ltd 熱電変換素子、電子装置及び熱電変換素子の製造方法
JP2016187008A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 シャープ株式会社 熱電変換デバイス

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002100816A (ja) * 2000-09-22 2002-04-05 Matsushita Refrig Co Ltd 熱電冷却装置
JP2005079347A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 Toshiba Corp 熱電変換装置
WO2005117154A1 (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Kazukiyo Yamada 高密度集積型薄層熱電モジュール及びハイブリッド発電システム
JP2009158760A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Daikin Ind Ltd 熱電素子
JP2014135455A (ja) * 2013-01-11 2014-07-24 Fujitsu Ltd 熱電変換素子、電子装置及び熱電変換素子の製造方法
JP2016187008A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 シャープ株式会社 熱電変換デバイス

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
近藤剛,他2名: "高密度集積化マイクロ熱電発電モジュールの設計法", 第63回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集, JPN6017014189, 3 March 2016 (2016-03-03), JP, pages 323 - 11, ISSN: 0004499410 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP6995370B2 (ja) 2022-02-04
WO2018042708A1 (ja) 2018-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10305014B2 (en) Methods and devices for controlling thermal conductivity and thermoelectric power of semiconductor nanowires
Tomita et al. Modeling, Simulation, Fabrication, and Characterization of a 10-$\mu $ W/cm 2 Class Si-Nanowire Thermoelectric Generator for IoT Applications
EP1594173A1 (en) Cooling device for electronic component using thermo-electric conversion material
US20100147350A1 (en) Nanowire thermoelectric device
US20140190543A1 (en) Wafer scale thermoelectric energy harvester
JPWO2005124881A1 (ja) 熱電変換素子
JP5708174B2 (ja) 熱電変換装置及びその製造方法
Zhang et al. The possibility of mW/cm 2-class on-chip power generation using ultrasmall Si nanowire-based thermoelectric generators
JPWO2018042708A1 (ja) 熱電変換装置および電子装置
JP2013538451A (ja) ナノ粒子がドープされた熱電素子を含む熱電モジュール及びその製造方法
JP5775163B2 (ja) 熱電変換素子及びそれを用いた熱電変換モジュール
KR102343090B1 (ko) 열전 모듈
CN104602484B (zh) 便携式设备及其散热装置
US10580957B2 (en) Thermoelectric material structure
US20180287038A1 (en) Thermoelectric conversion device
JP7116465B2 (ja) 熱電変換装置
Yadav et al. Experimental analysis of power generation for ultra-low power wireless sensor nodes using various coatings on thermoelectric energy harvester
CN207885048U (zh) 保护盖板
KR20190044236A (ko) 열전소자 및 이를 포함하는 열전변환장치
Enju et al. Design and fabrication of on-chip micro-thermoelectric cooler based on electrodeposition process
WO2022176832A1 (ja) 熱電変換装置
KR20140101121A (ko) 열전소자
JP2003060244A (ja) 冷却素子と熱電変換材料
JP5453296B2 (ja) 半導体装置
CN117858435A (zh) 一种新型横向主动热电制冷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A801

Effective date: 20190208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190208

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20190208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200220

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201125

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20210212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6995370

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150