JP2019138091A - 環境配慮型パイプアンカーの埋設装置、及び埋設方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パイプアンカーに対する加工が最小限度で済むとともに、パイプアンカーを回転させなくても十分な地中への推進力を付与することが可能な、環境配慮型パイプアンカーの埋設装置及び埋設方法の提供。【解決手段】インナービット本体16のパイロットビット16Aよりも上方位置に推進力段部17が形成され、推進力段部17はパイプアンカー20の推進力受け部20Aに当接することにより、削岩機(掘削力伝達手段)14から打撃力が伝達されるとともに、インナービット本体16は、掘削時にパイプアンカー20の外径以上に拡径する、若しくは該インナービット本体を抜き取る際にパイプアンカーの内径以下に縮径するウイングビット(径可変ビット)16Bを備え、削岩機(掘削力伝達手段)14の動力伝達部14Aとパイプアンカー20との間に、パイプアンカー20の上端部が嵌め込まれることによって、その位置を規制する位置決め治具30を設置してなる。【選択図】図3
Description
本発明は、環境配慮型パイプアンカーの埋設装置及び埋設方法に係わる。具体的には法面などに設置される雪崩予防柵、太陽電池パネルの架台などを設置する際に用いられるパイプアンカーを、打ち込み・埋設する際に使用する埋設装置及び埋設方法に関する。
道路法面などに設置される雪崩予防柵は、固定方法の相違から、主に固定柵、吊り柵の二種類があるが、施工の簡便さやコストの兼ね合いより、吊り柵によるものが多くなっている。吊り柵の構造を備えた雪崩予防柵は、その上方の地盤に打ち込まれたパイプアンカーに支持されたワイヤロープと連結されて、下方向に対する抗力を確保し、雪崩などに対して一定の強度を保持するようになっている。
一般に、このようなパイプアンカーを設置する際は、施工現場に、掘削力伝達手段(掘削機)や打ち込み架台などを搬入し、現地にて組み立てた後に打ち込み作業を行う。従来、打ち込み作業は、掘削力伝達手段若しくは掘削機によってパイプアンカーに振動と打撃を加えつつ、パイプアンカーの先端にネジ接合されたリングビットを、パイプアンカーとともに回転させながら、地盤を掘削しつつ行う。その際、埋設孔から排土を行う必要上、当該埋設孔に大量の水を供給しながら作業を行わざるを得ず、又、掘削機本体から漏出する油が、水とともに地盤内にしみこむため、環境への悪影響が避けられなかった。
そこで、本特許出願の発明者は、図6に示される環境配慮型のパイプアンカー施工装置を開発し、既に実用に供している。即ち、同図に示すように、本願の発明者の開発したパイプアンカーの施工装置100は、打込み架台102、掘削機104、コンプレッサ106,オイル除去タンク108等を具備して構成されており、掘削機104から漏出する油を、排気ホースからオイル除去タンク108に導くことで、空気と油とに分離して回収し、施工現場に油を残すことなくパイプアンカーの設置を可能にしている。これによれば、現場に油を飛散させることがないことに加え、打ち込み作業時の騒音を軽減することも同時に可能となり、環境改善に大きな効果をもたらしている。
一方、パイプアンカーの打ち込み作業の際に、リングビットを使用しない施工方法が提案されている。この施工方法は、従来の方法ではパイプアンカーの下端に予めリングビットを接続して掘削し、パイプアンカーの打ち込み後、高価な金属を使用したリングビットを土中に残す形になることから、リングビットが無駄になり、コスト上昇の要因となっていた課題を解消するために為された技術である。
このような技術の一例として、特許第4707491号公報記載の「パイプアンカーの埋設方法」が公知である。
このような技術の一例として、特許第4707491号公報記載の「パイプアンカーの埋設方法」が公知である。
同公報記載の埋設方法は、掘削を行うビットの径を拡げることができるとともに、且つ径を縮めることが可能なビットヘッドを用い、掘削時にビットによる回転と打撃を同時に加えながら推進力を確保し、又、パイプアンカーに回転力を伝達することなく埋設するように構成されている。つまり、パイプアンカーに、その先端部内側に、リング状などの推進力受け部を設け、且つ、ビットには当該推進力受け部に当接するつば部を設置し、ビットからの打撃力を、これらのつば部から推進力受け部へと伝達して、パイプアンカーに推進力を与えるように構成されている。
これによれば、リングビットを使用しないことともあいまって、鉛直方向のみならず、斜面においてもパイプアンカーを安価、且つ迅速に埋設し得るとされている。また、パイプアンカーを回転させずに済むことから、表面処理を施した鋼管をパイプアンカーとして使用でき、埋設後の防錆用モルタルの充填が不要になるといった効果も同時に有するとされている。
これによれば、リングビットを使用しないことともあいまって、鉛直方向のみならず、斜面においてもパイプアンカーを安価、且つ迅速に埋設し得るとされている。また、パイプアンカーを回転させずに済むことから、表面処理を施した鋼管をパイプアンカーとして使用でき、埋設後の防錆用モルタルの充填が不要になるといった効果も同時に有するとされている。
さらに、特許第5442187号公報に記載された発明は、前述の特許文献1の発明と関連性を有し、同様にパイプアンカーの先端部内側に、推進力受け部を予め設置しておき、この推進力受け部に接触するビットハンマーによる打撃力で、パイプアンカーの地盤への打ち込み力を確保するようになっている。
前述した埋設方法は、パイプアンカーの先端部付近だけから、推進力を作用させており、打ち込み時にパイプアンカー全体にブレが生じる虞があった。このため、打ち込み角度並びに方向について、高い打ち込み精度が要求されるパイプアンカーの埋設作業には、やや不向きな点を有していた。
つまり、前述した特許文献1に記載されている「パイプアンカーの埋設方法」、特許文献2に記載されている「法面の吊構造物用アンカー」は、埋設時にパイプアンカーの推進力受け部に、ビットのつば部を当接させて地中への推進力を付与するようにしているが、固い地盤などの場合に、つば部の強度が不足する、或いはアンカーの埋設方向にブレが生じるなどの課題を有していた。
つまり、前述した特許文献1に記載されている「パイプアンカーの埋設方法」、特許文献2に記載されている「法面の吊構造物用アンカー」は、埋設時にパイプアンカーの推進力受け部に、ビットのつば部を当接させて地中への推進力を付与するようにしているが、固い地盤などの場合に、つば部の強度が不足する、或いはアンカーの埋設方向にブレが生じるなどの課題を有していた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、パイプアンカーを回転させなくても地中への推進力を付与することが可能であり、且つ精度良くパイプアンカーを埋設することが可能な環境配慮型パイプアンカーの埋設装置、及び埋設方法を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、回転力及び打撃力のうち少なくとも一方を付与しうる掘削力伝達手段(14)、該掘削力伝達手段(14)に対しインナーロッド(18)により接続されて地盤への掘削力が付与されるインナービット本体(16,16´)を有し、該インナービット本体(16,16´)はパイプアンカー(20)の内側に挿通可能な外径に形成されているとともに地盤掘削用のパイロットビット(16A,16´A)を備え、前記掘削力伝達手段(14)からインナーロッド(18)を介して、前記インナービット本体(16,16´)に回転力及び打撃力の一方若しくは双方の力を伝達することにより、該インナービット本体(16)及びインナーロッド(18)がパイプアンカー(20)内に挿通された状態でパイプアンカー(20)の埋設作業を行うように構成された環境配慮型パイプアンカーの埋設装置であって、
前記インナービット本体(16,16´)の前記パイロットビット(16A,16´A)よりも上方位置に推進力段部(17,17´)が形成され、該推進力段部(17,17´)は前記パイプアンカー(20)下端付近の内周側に取り付けられた推進力受け部(20A)に当接することにより、前記掘削力伝達手段(14)から打撃力が伝達されるとともに、
前記インナービット本体(16)は、掘削時にパイプアンカー(20)の外径以上に拡径するとともに、該インナービット本体(16,16´)を抜き取る際にパイプアンカー(20)の内径以下に縮径する径可変ビット(16B,16´B)を備え、前記掘削力伝達手段(14)の動力伝達部(14A)と前記パイプアンカー(20)との間に、パイプアンカー(20)の上端部(20A)が嵌め込まれることによって、パイプアンカー(20)の上端部(20A)の位置を規制する位置決め治具(30)を設置したことを特徴としている。
前記インナービット本体(16,16´)の前記パイロットビット(16A,16´A)よりも上方位置に推進力段部(17,17´)が形成され、該推進力段部(17,17´)は前記パイプアンカー(20)下端付近の内周側に取り付けられた推進力受け部(20A)に当接することにより、前記掘削力伝達手段(14)から打撃力が伝達されるとともに、
前記インナービット本体(16)は、掘削時にパイプアンカー(20)の外径以上に拡径するとともに、該インナービット本体(16,16´)を抜き取る際にパイプアンカー(20)の内径以下に縮径する径可変ビット(16B,16´B)を備え、前記掘削力伝達手段(14)の動力伝達部(14A)と前記パイプアンカー(20)との間に、パイプアンカー(20)の上端部(20A)が嵌め込まれることによって、パイプアンカー(20)の上端部(20A)の位置を規制する位置決め治具(30)を設置したことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、上記1項において、前記インナービット本体の径可変ビット(16B,16´B)は、該インナービット本体(16)の側面部から進退自在に設けられたウイングビット(16B)であり、
前記インナーロッド(18)が回転しながら掘削方向に進んだ場合に、前記パイロットビット(16A)による掘削作業を行うとともに、前記ウイングビット(16B)が飛び出すことにより埋設孔を拡径し、このウイングビット(16B)によって埋設しようとするパイプアンカー(20)の外径よりも大きな径の埋設孔を掘削する一方、前記インナーロッド(18)が掘削時とは逆方向に回転して抜き取り方向へ進む場合に、前記ウイングビット(16B)がインナービット本体(16)の側面に収容されてインナービット本体(16)をパイプアンカー(20)から抜き取るようにしたことを特徴としている。
前記インナーロッド(18)が回転しながら掘削方向に進んだ場合に、前記パイロットビット(16A)による掘削作業を行うとともに、前記ウイングビット(16B)が飛び出すことにより埋設孔を拡径し、このウイングビット(16B)によって埋設しようとするパイプアンカー(20)の外径よりも大きな径の埋設孔を掘削する一方、前記インナーロッド(18)が掘削時とは逆方向に回転して抜き取り方向へ進む場合に、前記ウイングビット(16B)がインナービット本体(16)の側面に収容されてインナービット本体(16)をパイプアンカー(20)から抜き取るようにしたことを特徴としている。
請求項3記載の発明は、上記1項において、前記インナービット本体(16´)の径可変ビット(16B,16´B)は、掘削時に前記パイロットビットよりも外側へ飛び出す偏芯した楕円形ビット(16´B)であり、
前記インナーロッド(18)が回転しながら掘削方向に進んだ場合に、前記パイロットビット(16´A)による掘削作業を行うとともに前記楕円形ビット(16´B)が飛び出すことにより埋設孔を拡径し、この楕円形ビット(16´B)によって埋設しようとするパイプアンカー(20)の外径よりも大きな径の埋設孔を掘削する一方、インナーロッド(18)が掘削時とは逆方向に回転して抜き取り方向へ進む場合に、前記楕円形ビット(16´B)が収容されて、インナービット本体(16´)をパイプアンカー(20)から抜き取るようにしたことを特徴としている。
前記インナーロッド(18)が回転しながら掘削方向に進んだ場合に、前記パイロットビット(16´A)による掘削作業を行うとともに前記楕円形ビット(16´B)が飛び出すことにより埋設孔を拡径し、この楕円形ビット(16´B)によって埋設しようとするパイプアンカー(20)の外径よりも大きな径の埋設孔を掘削する一方、インナーロッド(18)が掘削時とは逆方向に回転して抜き取り方向へ進む場合に、前記楕円形ビット(16´B)が収容されて、インナービット本体(16´)をパイプアンカー(20)から抜き取るようにしたことを特徴としている。
請求項4記載の発明は、上記1項〜3項のうち何れか1項に記載された環境配慮型パイプアンカー(20)の埋設装置を利用した埋設方法であって、
前記インナーロッド(18)の下端にインナービット本体(16,16´)を取り付けるとともに、前記パイプアンカー(20)内に前記インナーロッド(18)を挿通させ、その上端側を前記掘削力伝達手段(14)と接続して該パイプアンカー(20)を、該インナービット本体(16,16´)と前記位置決め治具(30)との間に挟み込んで固定する工程と、
前記掘削力伝達手段(14)から前記インナーロッド(18)を介して、前記インナービット本体(16,16´)に回転力及び打撃力の一方若しくは双方の力を伝達することにより、該インナービット本体(16,16´)の推進力段部(17,17´)と、前記パイプアンカー(20)の前記推進力受け部(20A)とを当接させることにより、前記掘削力伝達手段(14)から打撃力を伝達しながらパイプアンカー(20)の埋設作業を行うとともに、さらに前記インナーロッド(18)の一方向の回転によって前記径可変ビット(16B,16´B)を収容状態から横方向へ突出させ、該径可変ビット(16B,16´B)によって前記パイプアンカー(20)の外径よりも大きな内径の埋設孔を掘削しながら該パイプアンカー(20)を埋設する工程と、
前記インナーロッド(18)を逆方向へ回転させ、前記径可変ビット(16B,16´B)を前記インナービット本体(16,16´)に収容し、該インナービット本体(16,16´)を前記インナーロッド(18)とともに前記パイプアンカー(20)の内側を通して上方へ移動させて回収する工程とを具備したことを特徴としている。
前記インナーロッド(18)の下端にインナービット本体(16,16´)を取り付けるとともに、前記パイプアンカー(20)内に前記インナーロッド(18)を挿通させ、その上端側を前記掘削力伝達手段(14)と接続して該パイプアンカー(20)を、該インナービット本体(16,16´)と前記位置決め治具(30)との間に挟み込んで固定する工程と、
前記掘削力伝達手段(14)から前記インナーロッド(18)を介して、前記インナービット本体(16,16´)に回転力及び打撃力の一方若しくは双方の力を伝達することにより、該インナービット本体(16,16´)の推進力段部(17,17´)と、前記パイプアンカー(20)の前記推進力受け部(20A)とを当接させることにより、前記掘削力伝達手段(14)から打撃力を伝達しながらパイプアンカー(20)の埋設作業を行うとともに、さらに前記インナーロッド(18)の一方向の回転によって前記径可変ビット(16B,16´B)を収容状態から横方向へ突出させ、該径可変ビット(16B,16´B)によって前記パイプアンカー(20)の外径よりも大きな内径の埋設孔を掘削しながら該パイプアンカー(20)を埋設する工程と、
前記インナーロッド(18)を逆方向へ回転させ、前記径可変ビット(16B,16´B)を前記インナービット本体(16,16´)に収容し、該インナービット本体(16,16´)を前記インナーロッド(18)とともに前記パイプアンカー(20)の内側を通して上方へ移動させて回収する工程とを具備したことを特徴としている。
本発明によれば、雪崩予防柵などの設置に伴って行われるパイプアンカーの埋設作業に際し、パイプアンカーを回転させることなく埋設作業を行うことが可能であることは勿論、精度よくパイプアンカーを埋設することができる。これにより、作業効率の向上、施工精度の向上に寄与する。
以下、本発明に係る環境配慮型パイプアンカーの埋設装置、及び埋設方法の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る環境配慮型パイプアンカーの埋設装置の一実施形態の全体構成を示す立面図、図2は環境配慮型パイプアンカーの埋設装置の概略構成を示す概要図である。
図1は本発明に係る環境配慮型パイプアンカーの埋設装置の一実施形態の全体構成を示す立面図、図2は環境配慮型パイプアンカーの埋設装置の概略構成を示す概要図である。
これらの図に示されるように、本実施形態のパイプアンカー埋設装置10は、アンカー埋設用の打ち込み架台12、掘削力伝達手段としての削岩機14、インナービット本体16,インナーロッド18、図示しない圧搾空気供給用のコンプレッサ、圧搾空気用レシーバータンク、稼働時に生じるオイルを回収するオイルタンク等を備えて構成されている。
打ち込み架台12は支持具13によって地盤上に立設状態で支えられ、この打ち込み架台12に、削岩機14の上下動を案内する一対のガイドレール12A,12Aの他、削岩機14を上下動させる図示しない支持ワイヤ、支持ワイヤの巻き取り滑車(ウインチ)などが設けられている。
本実施形態で使用される掘削力伝達手段としての削岩機14は、回転力及び打撃力のうち少なくとも一方を付与することが可能であり、回転力と同時に打撃力を、インナーロッド18を介してインナービット本体16に対して付与することができる。
本実施形態で使用される掘削力伝達手段としての削岩機14は、回転力及び打撃力のうち少なくとも一方を付与することが可能であり、回転力と同時に打撃力を、インナーロッド18を介してインナービット本体16に対して付与することができる。
図2(a)は径可変ビットの一例として、ウイングビット16Bを使用した場合の埋設装置全体の概要を示している。同図に示されるパイプアンカー20は、その下端付近の内周側又は外周側に、鋼製且つリング状の推進力受け部20Aが溶接などによって取り付けられている。
また、インナービット本体16には、パイロットビット16Aの上方となる位置に推進力受け部20Aと当接する推進力段部17が形成され、この推進力段部17が推進力受け部20Aに当接して、削岩機14から付与される打撃力を伝達し、パイプアンカー20をインナービット本体16とともに下方へ、掘削しながら推進させるようになっている。
なお、推進力受け部20Aは、リング状の部材によって設ける他、パイプの製造時に予め、受け部となるよう、鍛造加工によりパイプの下端付近に形成するなど、その構造・加工の仕方は問わない。要するに、インナービット本体16から伝達される打撃力を受けることができれば、どのような構造としても良い。
図2(b)は他の径可変ビットを示し、径可変ビットとして、同図に示される楕円形ビット16´Bも使用可能である。この楕円形ビット16´Bは、掘削時にインナービット本体16´のパイロットビット16´Aよりも外側、つまり、パイプアンカー20の外周よりも飛び出して偏芯軸を中心に回転することで、パイプアンカー20の外径より、やや大きな径の孔を掘削する。また、インナービット本体16´にも、前述のインナービット本体16と同様に、推進力受け部20Aと当接する推進力段部17´が設けられている。
図3は、図2(a)のインナービット本体16を具備した環境配慮型パイプアンカーの埋設装置の要部を示す立面図である。図3に示されるように、削岩機14の動力伝達部14A及び動力伝達軸14Bには、インナーロッド18の上端部が連結され、アンカーの埋設作業時に削岩機14から打撃力、回転力を伝達するようになっている。インナーロッド18の下端部には、インナービット本体16が取り付けられ、このインナービット本体16の下端側に設けられているパイロットビット16Aと、その上方の側面側に設けられている4つのウイングビット16Bとにより、パイプアンカー20の埋設孔を掘削する。
削岩機14の動力伝達部14Aには、位置決め治具30が取り付けられ、この位置決め治具30には、その下方側が開口したカップ形(円筒形)の平面視円形の開口部30Aが形成され、開口部30Aの内側下側に、パイプアンカー20の上端部20Aが嵌まりこむことで、パイプアンカー20の横方向のブレを規制するようになっている。
つまり、図3に示されるように、位置決め治具30における開口部30Aの内径寸法Dは、パイプアンカー20の上端部20Aの外径寸法dよりも、やや広く、パイプアンカー20の上端部をスムーズに嵌め込むことができる寸法である。これによって、掘削時におけるパイプアンカー20のブレを防止しながら、一定の位置に保持しつつ、埋設作業を行うことを可能にしている。
要するに、位置決め治具30の内径寸法Dはパイプアンカー20の外径dよりも、やや大きめに形成されて嵌め込み作業を妨げない程度の寸法を有している一方で、打ち込み作業時のブレを規制するように寸法が設定されている。
要するに、位置決め治具30の内径寸法Dはパイプアンカー20の外径dよりも、やや大きめに形成されて嵌め込み作業を妨げない程度の寸法を有している一方で、打ち込み作業時のブレを規制するように寸法が設定されている。
また、位置決め治具30の嵌合部30Bは、インナービット本体16をパイプアンカー20にセットした埋設作業時に、パイプアンカー20の上端面20Aに対し、接触した状態を維持することが寸法Lに設定されている。これによって、削岩機14の打撃力を上方からも付与できるようになる。
なお、位置決め治具30の形状について本実施形態では開口部30Aを有する円筒形としたが、削岩機14の動力伝達部14Aに対し、パイプアンカー20の上端部20Aの位置を規制することができれば、その形状は問わない。例えば、三点でパイプアンカー20の上端部20Aを保持するようにしても良いし、その形状はどのようにしても良い。
なお、位置決め治具30の形状について本実施形態では開口部30Aを有する円筒形としたが、削岩機14の動力伝達部14Aに対し、パイプアンカー20の上端部20Aの位置を規制することができれば、その形状は問わない。例えば、三点でパイプアンカー20の上端部20Aを保持するようにしても良いし、その形状はどのようにしても良い。
加えて、位置決め治具30の内部には、インナーロッド18が回転自在に挿通されている。つまり、本実施形態のパイプアンカー埋設装置10では、パイプアンカー20に対し、その下端側から打撃力を加えるようにしている他、上端側は位置決め治具30によって、パイプアンカー20の不用意な動き、例えば掘削方向に対し横方向への動きを規制しつつ、上方からパイプアンカー20へ位置決め治具30を介して、削岩機14の打撃力(押圧力)を付与するようにしているので、精度よくパイプアンカー20の埋設作業を行うことが可能になっている。
図4(a)〜(c)はウイングビット16Bを備えるインナービット本体16の詳細、並びに、パイプアンカー20との関係を示した図であり、これらの図に示されるように、下端側にパイロットビット16Aが設けられているとともに、その側面側に、インナーロッド18の回転によって、パイプアンカー20の外径よりも大きく拡径、及び、パイプアンカー20の内径よりも小さく縮径可能なウイングビット16Bが、進退自在に設けられている。
図4(b)に示されるように、インナーロッド18が回転しながら、掘削方向に進んだ場合に、インナービット本体16の内部の回転軸内面に形成されている図示しないカム面の作用により、ウイングビット16Bをインナービット本体16の側面から飛び出させ、これらのウイングビット16Bにより、パイロットビット16Aが掘削した埋設孔をさらに拡径し、埋設しようとするパイプアンカー20の外径よりも、さらに大きな径の埋設孔を掘削する。
また、パイプアンカー20には、インナービット本体16の推進力段部17から削岩機14の打撃力が、推進力受け部20Aへ伝わり、パイプアンカー20をインナービット本体16とともに下方へ推進させる。このため、打撃力が確実にパイプアンカー20に伝達され、ウイングビット16Bによって拡げられた掘削孔に沿いながら地中をスムーズに推進していく。
この結果、パイプアンカー20に対して回転力を加えることなく、削岩機14の質量並びに、パイプアンカー20の自重、削岩機14の打撃力を有効に利用することが可能となり、所定の深度までパイプアンカー20をスムーズに埋設することができる。
拡径された埋設孔は埋設後、土圧によって徐々にパイプアンカーを締め固めるように作用することから、埋設されたパイプアンカー20は十分な強度を保つことができる。つまり、本実施形態の埋設装置10では、パイプアンカー20に対し、回転力を加えないようにしていることから、その結果、溶融亜鉛メッキ処理等の表面処理を施した鋼管をパイプアンカーとして使用でき、埋設後にモルタルを充填するなどの防錆処理が不要となる。また、防錆用のモルタルの充填が不要になるということは、例えば耐用年数が経過して新たに施工し直すような場合に、パイプアンカー20を地中から引き抜いての再使用、或いは表面の亜鉛や鋼材のリサイクルが容易になるというメリットを有している。つまり、本実施形態のパイプアンカー埋設装置は環境に配慮した特性を有し、地球環境に優しいエコフレンドリーな一面を有している。
拡径された埋設孔は埋設後、土圧によって徐々にパイプアンカーを締め固めるように作用することから、埋設されたパイプアンカー20は十分な強度を保つことができる。つまり、本実施形態の埋設装置10では、パイプアンカー20に対し、回転力を加えないようにしていることから、その結果、溶融亜鉛メッキ処理等の表面処理を施した鋼管をパイプアンカーとして使用でき、埋設後にモルタルを充填するなどの防錆処理が不要となる。また、防錆用のモルタルの充填が不要になるということは、例えば耐用年数が経過して新たに施工し直すような場合に、パイプアンカー20を地中から引き抜いての再使用、或いは表面の亜鉛や鋼材のリサイクルが容易になるというメリットを有している。つまり、本実施形態のパイプアンカー埋設装置は環境に配慮した特性を有し、地球環境に優しいエコフレンドリーな一面を有している。
パイプアンカー20の埋設作業後、削岩機14を逆回転させると、これに伴ってインナーロッド18も回転し、ウイングビット16Bがインナービット本体16の側面に収容される。そして、ウインチによって削岩機14、インナーロッド18を上方向へインナービット本体16とともに移動させることで、パイプアンカー20内から抜くことができる。
なお、径可変ビットとして、図2(b)に示される楕円形ビット16´Bを使用することも可能である。この場合は、楕円形ビット16´Bが、インナーロッド18の回転によりパイプアンカー20の外周から偏芯作用によって外側へ飛び出し、パイプアンカー20の外径よりも大きな径の孔を掘削する。
一方、インナーロッド16´を逆回転させると、楕円形ビット16´Bはインナービット本体16´内の元の位置に収容され、インナービット本体16´をパイプアンカー20内を通して抜き取ることが可能になる。そして、ウインチによって削岩機14、インナーロッド16´を上方向へインナービット本体16とともに移動させてパイプアンカー20内から引き抜くことで、埋設作業は終了する。
一方、インナーロッド16´を逆回転させると、楕円形ビット16´Bはインナービット本体16´内の元の位置に収容され、インナービット本体16´をパイプアンカー20内を通して抜き取ることが可能になる。そして、ウインチによって削岩機14、インナーロッド16´を上方向へインナービット本体16とともに移動させてパイプアンカー20内から引き抜くことで、埋設作業は終了する。
次いで、上記のように構成した環境配慮型パイプアンカーの埋設装置10を使用して、本実施形態の埋設方法を実施する際の手順を説明する。
図5は、埋設装置10の使用手順、つまり埋設方法を示した説明図である。
先ず、図1に示されるように、打ち込み架台12を立設して支持具(控えロープ等)13で固定し、削岩機14を図1で示されるガイドレール12Aに沿って上下動可能に設置する。削岩機14にはコンプレッサからエアが送られ、打撃力と回転力が後述するようにインナーロッド18へ作用するようになっている。
図5は、埋設装置10の使用手順、つまり埋設方法を示した説明図である。
先ず、図1に示されるように、打ち込み架台12を立設して支持具(控えロープ等)13で固定し、削岩機14を図1で示されるガイドレール12Aに沿って上下動可能に設置する。削岩機14にはコンプレッサからエアが送られ、打撃力と回転力が後述するようにインナーロッド18へ作用するようになっている。
そして、図5(a)に示されるように、予めインナーロッド18の下端にインナービット本体16を取り付けるとともに、パイプアンカー20内にインナーロッド18を挿通させ、その上端側を削岩機14における動力伝達部14A及び動力伝達軸14Bに接続する。ここでの接続は、それぞれに刻まれている雄ネジ、雌ネジによるネジ接合でも良いし、脱落を防止することが可能なソケット等による方法でもよい。
次いで、図5(b)で示すように、パイプアンカー20の上部面20Aを、前述の図3で示した位置決め治具30を嵌めこむようにして固定する。この場合、パイプアンカー20を、インナービット本体16と、位置決め治具30との間に挟み込むように、ガタつきなく固定することが望ましい。具体的には、パイプアンカー20の下端側ではインナービット本体16の推進力段部17が、パイプアンカー20の推進力受け部20Aと当接する一方、上端側では位置決め治具30が、パイプアンカー上端部20Bと当接することで、パイプアンカー20を上下方向から挟み込んだ状態となる。これによって、埋設作業時に削岩機14から打撃力を効率的にパイプアンカー20に対して伝達することができるようになる。
そして、図2、図3(b)及び図6(c)に示される状態で、所定の場所で、パイプアンカー20の埋設作業が行われるが、この際は、操作者が、削岩機14を、図示しないウインチを使用して徐々にワイヤを弛めつつ下方へ移動させながら、インナーロッド18を一方向に回転させながら行う。
そして、図2、図3(b)及び図6(c)に示される状態で、所定の場所で、パイプアンカー20の埋設作業が行われるが、この際は、操作者が、削岩機14を、図示しないウインチを使用して徐々にワイヤを弛めつつ下方へ移動させながら、インナーロッド18を一方向に回転させながら行う。
このとき、4つのウイングビット16Bは、インナーロッド18の一方向への回転によって収容状態から横方向へ突出し、パイプアンカー20の外径よりも大きな内径の埋設孔を、インナービット本体16のウイングビット16Bで掘削する。これによって、パイプアンカー20は、その自重、削岩機14の質量、並びに打撃力を利用して下方へ進んでいく。
その際、図5(c)に示されるように、パイプアンカー20には、位置決め治具30の開口部30A及び嵌合部30Bが、その上端部20Aに嵌め込まれ、掘削時のパイプアンカー20の上側のブレを規制することにより、パイプアンカー20を打ち込み精度が向上し、所望の方向へ迅速に埋設することが可能となる。
その際、図5(c)に示されるように、パイプアンカー20には、位置決め治具30の開口部30A及び嵌合部30Bが、その上端部20Aに嵌め込まれ、掘削時のパイプアンカー20の上側のブレを規制することにより、パイプアンカー20を打ち込み精度が向上し、所望の方向へ迅速に埋設することが可能となる。
パイプアンカー20が所定の深度に達すると、削岩機14のインナーロッド18を逆方向へ回転させ、インナーロッド18の抜き取り作業へ移行する。その際、ウイングビット16Bは、インナーロッド18の他方向への回転によって、インナービット本体16の側面に収容され、その外径がパイプアンカー20の内径よりも小さくなることから、インナービット本体16をインナーロッド18とともに、パイプアンカー20の内側を通して上方へ移動させて回収し、埋設作業を終了する。
このように、本実施形態の環境配慮型パイプアンカーの埋設装置及び埋設方法によれば、パイプアンカー20を回転させることなく、その埋設作業を行うことが可能となり、埋設されるパイプアンカー20の表面や下端部等を傷付けるといった事態を防止することができる。
また、本実施形態のパイプアンカー埋設装置10では、パイプアンカー20に対し、その下端側から打撃力を加える他、上端側は位置決め治具30によって、パイプアンカー20の横方向の動きを規制しながら、上方より位置決め治具30を介して押圧力を付与するようにしているため、精度よく迅速にパイプアンカー20の埋設作業を行うことが可能となった。
また、本実施形態のパイプアンカー埋設装置10では、パイプアンカー20に対し、その下端側から打撃力を加える他、上端側は位置決め治具30によって、パイプアンカー20の横方向の動きを規制しながら、上方より位置決め治具30を介して押圧力を付与するようにしているため、精度よく迅速にパイプアンカー20の埋設作業を行うことが可能となった。
以上説明したように、本発明に係る環境配慮型パイプアンカーの埋設装置及び埋設方法によれば、パイプアンカーの設置作業を精度よく、且つ効率的に行うことを可能ならしめるという効果を奏する。
本発明は、雪崩予防柵の施工工事、太陽電池パネルの架台の設置工事、法面でのアンカー埋設工事などの土木工事の分野で利用が可能である。
10 パイプアンカー埋設装置
12 打ち込み架台
12A ガイドレール
13 支持具
14 削岩機(掘削力伝達手段)
16 16´ インナービット本体
16A 16´A パイロットビット
16B ウイングビット
16´B 楕円形ビット
17 17´ 推進力段部
18 インナーロッド
20 パイプアンカー
20A,20A´ 推進力受け部
20B パイプアンカー上端部
30 位置決め治具
30A 開口部
30B 嵌合部
12 打ち込み架台
12A ガイドレール
13 支持具
14 削岩機(掘削力伝達手段)
16 16´ インナービット本体
16A 16´A パイロットビット
16B ウイングビット
16´B 楕円形ビット
17 17´ 推進力段部
18 インナーロッド
20 パイプアンカー
20A,20A´ 推進力受け部
20B パイプアンカー上端部
30 位置決め治具
30A 開口部
30B 嵌合部
Claims (4)
- 回転力及び打撃力のうち少なくとも一方を付与しうる掘削力伝達手段、該掘削力伝達手段に対しインナーロッドにより接続されて地盤への掘削力が付与されるインナービット本体を有し、該インナービット本体はパイプアンカーの内側に挿通可能な外径に形成されているとともに地盤掘削用のパイロットビットを備え、前記掘削力伝達手段から該インナーロッドを介して、前記インナービット本体に回転力及び打撃力の一方若しくは双方の力を伝達することにより、該インナービット本体及びインナーロッドがパイプアンカー内に挿通された状態でパイプアンカーの埋設作業を行うように構成された環境配慮型パイプアンカーの埋設装置であって、
前記インナービット本体の前記パイロットビットよりも上方位置に推進力段部が形成され、該推進力段部は前記パイプアンカー下端付近の内周側に取り付けられた推進力受け部に当接することにより、前記掘削力伝達手段から打撃力が伝達されるとともに、
前記インナービット本体は、掘削時にパイプアンカーの外径以上に拡径するとともに、該インナービット本体を抜き取る際にパイプアンカーの内径以下に縮径する径可変ビットを備え、
前記掘削力伝達手段の動力伝達部と前記パイプアンカーとの間に、パイプアンカーの上端部が嵌め込まれることによって、パイプアンカーの上端部の位置を規制する位置決め治具を設置したことを特徴とする環境配慮型パイプアンカーの埋設装置。 - 前記インナービット本体の径可変ビットは、該インナービット本体の側面部から進退自在に設けられたウイングビットであり、
前記インナーロッドが回転しながら掘削方向に進んだ場合に、前記パイロットビットによる掘削作業を行うとともに、前記ウイングビットが飛び出すことにより埋設孔を拡径し、このウイングビットによって埋設しようとするパイプアンカーの外径よりも大きな径の埋設孔を掘削する一方、前記インナーロッドが掘削時とは逆方向に回転して抜き取り方向へ進む場合に、前記ウイングビットがインナービット本体の側面に収容されてインナービット本体をパイプアンカーから抜き取るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の環境配慮型パイプアンカーの埋設装置。 - 前記インナービット本体の径可変ビットは、掘削時に前記パイロットビットよりも外側へ飛び出す偏芯した楕円形ビットであり、
前記インナーロッドが回転しながら掘削方向に進んだ場合に、前記パイロットビットによる掘削作業を行うとともに、前記楕円形ビットが飛び出すことにより埋設孔を拡径し、この楕円形ビットによって埋設しようとするパイプアンカーの外径よりも大きな径の埋設孔を掘削する一方、インナーロッドが掘削時とは逆方向に回転して抜き取り方向へ進む場合に、前記楕円形ビットが収容されて、インナービット本体をパイプアンカーから抜き取るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の環境配慮型パイプアンカーの埋設装置。 - 前記請求項1〜3に記載された環境配慮型パイプアンカーの埋設装置を利用した埋設方法であって、
前記インナーロッドの下端にインナービット本体を取り付けるとともに、前記パイプアンカー内に前記インナーロッドを挿通させ、その上端側を前記掘削力伝達手段と接続して該パイプアンカーを、該インナービット本体と前記位置決め治具との間に挟み込んで固定する工程と、
前記掘削力伝達手段から前記インナーロッドを介して、前記インナービット本体に回転力及び打撃力の一方若しくは双方の力を伝達することにより、該インナービット本体の推進力段部と、前記パイプアンカーの前記推進力受け部とを当接させることにより、前記掘削力伝達手段から打撃力を伝達しながらパイプアンカーの埋設作業を行うとともに、さらに前記インナーロッドの一方向の回転によって前記径可変ビットを収容状態から横方向へ突出させ、該径可変ビットによって前記パイプアンカーの外径よりも大きな内径の埋設孔を掘削しながら該パイプアンカーを埋設する工程と、
前記インナーロッドを逆方向へ回転させ、前記径可変ビットを前記インナービット本体に収容し、該インナービット本体を前記インナーロッドとともに前記パイプアンカーの内側を通して上方へ移動させて回収する工程とを具備したことを特徴とする環境配慮型パイプアンカーの埋設方法。
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