JP2019137981A - グラウト材の注入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】注入プラントからグラウト材の注入箇所までの距離が長い施工条件においても、施工箇所に十分な量のグラウト材を送出できる手段を提供する。【解決手段】硬化発現材を含む懸濁液としてのA液を第1のポンプ22を用いて、可塑剤を含むB液を第2のポンプ24を用いて各々長距離圧送し、各ポンプにより圧送された前記A液及び前記B液を合流混合させることで可塑状に変質したグラウト材を施工箇所に注入するグラウト材の注入方法10であって、前記A液の流路及び前記B液の流路は、分岐数が同一数となるように各々分岐され、前記グラウト材の流路は、分岐した前記A液の流路と分岐した前記B液の流路とを合流させることで複数並列した流路として設置され、分岐した前記A液の流路と分岐した前記B液の流路とに、前記第1のポンプ22及び前記第2のポンプ24とは異なる補助ポンプ19を設置したことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、グラウト材の注入方法に関する。
従来から、地盤、構造物及び地盤と構造物の境界面の空洞や隙間などの施工箇所にグラウト材を注入する裏込注入工事が施工されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また、裏込注入工事をトンネルに対して施工するシステムとして、例えばトンネル出口(入口)近傍に配置されたアジテータからトンネルの内部に配置された別のアジテータに向けて注入材を中継ポンプを用いて圧送することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。なお、アジテータは、注入材の分離を防止することを目的として、注入材を攪拌する装置である。
例えば鉄道のトンネルに対して裏込注入工事が施工される場合、裏込注入工事が夜間の線閉作業となり、また、トンネル内の施工箇所近傍に注入プラントを配置できない等の制約がある。したがって、鉄道のトンネルにおける裏込注入工事では、注入プラントをトンネル外に設置して、グラウト材を施工箇所まで長距離圧送し、対象となる施工箇所にグラウト材を注入している。
また、この他に、導水路に対して裏込注入工事を施行する場合もある。導水路に対する裏込注入工事では、導水路への通水が夜間にて実施されることから、グラウト材を導水路の施工箇所に注入する作業だけでなく、注入プラントを設置する作業や撤収する作業も導水路への通水が実施されない昼間に実施する必要がある。したがって、導水路に対する裏込注入工事では、注入プラントの設置上の制約の他に、時間的な制約もある。
特許第3514614号公報 特許第3600502号公報 特許第3830101号公報
例えばグラウト材を長距離圧送する場合、圧送するグラウト材の流量は、グラウト材を送り出す圧送ポンプの性能やグラウト材を圧送する配管の性能により制限される。したがって、グラウト材を圧送する距離が長くなるほど、グラウト材を圧送する配管での圧力損失が大きくなる。また、グラウト材を圧送する距離が長距離であるほど、グラウト材が施工箇所に到達するまでに時間が掛かることになるので、グラウト材の長距離圧送を伴う裏込注入工事では、グラウト材を施工箇所に注入する作業(充填作業)よりも、グラウト材を長距離圧送する作業に時間が費やされてしまう。したがって、鉄道のトンネルなどの裏込注入工事を、夜間の線閉期間内で行うことが困難となる。
例えば、特許文献3では、坑内の複数位置に設けたアジテータにセメント系材料からなるA液を順に圧送し、各アジテータに圧送されたA液と坑内の施工箇所近傍で生成されるB液とを施工箇所に混合注入している。この場合、A液は各アジテータ間で圧送されるため、A液を圧送する配管での圧力損失の上昇を防止することができる。しかしながら、鉄道のトンネルに対する裏込注入工事は、作業時間に制約がある夜間の線閉作業であることから、坑内又は坑内の施工箇所近傍に注入プラントやアジテータを設置する作業や、これらを撤去する作業を行うことは困難である。
上述した従来技術の課題を解決するために、本発明のグラウト材の注入方法の一態様は、硬化発現材を含む懸濁液としてのA液を第1のポンプを用いて、可塑剤を含むB液を第2のポンプを用いて各々長距離圧送し、各ポンプにより圧送された前記A液及び前記B液を合流混合させることで可塑状に変質したグラウト材を施工箇所に注入するグラウト材の注入方法であって、前記A液の流路及び前記B液の流路は、分岐数が同一数となるように各々分岐され、前記グラウト材の流路は、分岐した前記A液の流路と分岐した前記B液の流路とを各々合流させることで複数並列した流路として設置され、分岐した前記A液の流路と分岐した前記B液の流路とに、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプとは異なる補助ポンプを設置したことを特徴とする。
また、前記グラウト材の流路は、複数の前記施工箇所の各々に向けた流路に分岐され、分岐された前記グラウト材の流路に前記補助ポンプを設置したことを特徴とする。
また、本発明のグラウト材の注入方法の一態様は、硬化発現材を含む懸濁液としてのA液を第1のポンプを用いて、可塑剤を含むB液を第2のポンプを用いて各々長距離圧送し、各ポンプにより圧送された前記A液及び前記B液を合流混合させることで可塑状に変質したグラウト材を施工箇所に注入するグラウト材の注入方法であって、前記グラウト材の流路は、複数の前記施工箇所に向けて複数の流路に分岐され、分岐された前記グラウト材の流路に前記第1のポンプ及び前記第2のポンプとは異なる補助ポンプを設置したことを特徴とする。
なお、前記補助ポンプは、エアダイヤフラムポンプであることが好ましい。この場合、前記補助ポンプは、吸入口及び排出口を各々有する並列配置された2つの送出経路と、前記2つの送出経路の略中央に各々に設けられた中空空間を、前記吸入口と前記排出口とに連通される第1空間と、圧縮空気の流入及び排出を行う第2空間とに仕切るダイヤフラムと、前記2つの送出経路に設けたダイヤフラムを両端部に固着し、前記2つの送出経路の一方の送出経路に設けた第2空間への圧縮空気の送り込みに起因したダイヤフラムの動作を、他方の送出経路に設けたダイヤフラムに伝達する伝達部材と、を有し、前記補助ポンプは、前記2つの送出経路が有する第2空間への圧縮空気の送り込みを交互に実行することで前記ダイヤフラムを往復動させて、前記2つの送出経路における液体の送出を個別に行うことを特徴とする。
一の態様によれば、注入プラントからグラウト材の注入箇所までの距離が長い施工条件においても、施工箇所に十分な量のグラウト材を送出できる。
本発明のグラウト材の注入方法を実施する際に用いる施工システムの第1実施形態を示す図 エアダイヤフラムポンプの構成及び動作の一例を断面にて示す図 ブースト圧送試験を行う試験装置の一例を示す図 (a):実施例における圧送配管の各地点の圧力の推移を示す図、(b):圧送配管の0m地点の圧力の推移を示す図 (a):補助ポンプの吸入側での圧送配管の圧力の推移を示す図、(b):補助ポンプの吐出側での圧送配管の圧力の推移を示す図 第2実施形態の施工システムの一例を示す図 第3実施形態の施工システムの一例を示す図 第4実施形態の施工システムの一例を示す図 第4実施形態の施工システムに用いるエアダイヤフラムポンプの構成を断面にて示す図 エアダイヤフラムポンプの変形例を示す図
以下、図面に基づき、本発明のグラウト材の注入方法について説明する。ここで、実施形態のグラウト材の注入方法は、例えば、地盤、構造物、地盤と構造物の境界面の空洞や隙間などの施工箇所を対象とし、また、複数の施工箇所に同時にグラウト材を注入する複数点注入工法で使用することを目的としている。以下に示す実施形態において、グラウト材を地盤に注入する手段としては、二重管ストレーナ工法、二重管ダブルパッカ工法、単管ロッド工法、結束細管多点注入工法等を用いることができる。なお、二重管ストレーナ工法、二重管ダブルパッカ工法、単管ロッド工法、結束細管多点注入工法はいずれも周知の工法のため、本明細書での詳細な説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のグラウト材の注入方法を実施する際に用いる施工システムの第1実施形態を示す図である。施工システム10は、例えば共用中の鉄道トンネルの裏込注入工事や、導水路の裏込注入工事などに用いられる。
施工システム10は、A液送出部11と、B液送出部12と、スタティックミキサ13と、動態管理装置14と、注入管理装置15と、記録用PC(Personal Computer)16と、測定器17と、流量・圧力測定装置18と、複数の補助ポンプ19とを有する。なお、図1では、A液、B液及びグラウト材を圧送する配管(以下、圧送配管と称する)を太線で表している。
A液送出部11は、グラウトミキサ21と、注入ポンプ22とを有し、硬化発現材を含む懸濁液であるA液を注入ポンプ22により出力側の圧送配管に送り出す。A液は、硬化発現材の懸濁液のみ、または硬化発現材の懸濁液に骨材や添加剤を加えたものである。硬化発現材は、水に加えると硬化発現する物質であり、例えば、セメント、セメントとスラグ、スラグと石灰等が挙げられる。また、骨材としては、例えば、砂、フライアッシュ、石灰、一次鉱物微粉末、粘土鉱物等が挙げられる。なお、グラウトミキサ21は、A液を混練する装置である。
B液送出部12は、アジテータ23と、注入ポンプ24とを有し、可塑剤を含むB液を注入ポンプ24により出力側の圧送配管に送り出す。B液は、例えばベントナイト及び可塑剤を含む流動性の膨潤液である。なお、アジテータ23は、B液の分離を防止することを目的として、B液を攪拌する装置である。
A液送出部11の出力側の圧送配管及びB液送出部12の出力側の圧送配管は、例えば2系統の圧送配管に各々分岐され、分岐したA液の圧送配管と分岐したB液の圧送配管とが1組ずつ合流される。したがって、施工システム10では、分岐したA液の圧送配管と、分岐したB液の圧送配管とが合流した後のグラウト材の圧送配管が並列した2つの圧送配管となる。言い換えれば、A液を圧送する流路(以下、圧送流路と称する)とB液の圧送流路とが複数の流路に各々分岐され、分岐したA液の圧送流路と分岐したB液の圧送流路とが合流された複数のグラウト材の圧送流路が設けられる。なお、A液送出部11の出力側の圧送配管及びB液送出部12の出力側の圧送配管の分岐数は2に限定される必要はなく、3以上であってもよい。
スタティックミキサ13は、分岐したA液の圧送配管と分岐したB液の圧送配管とが1組ずつ合流される合流点の下流側に位置する圧送配管に設置される。スタティックミキサ13は、流れを遮る形状がそれぞれ異なる複数種類のエレメントを管内に交互に配置した構造で、駆動部のないラインミキサである。スタティックミキサ13の内部では、液体の流れの分割・再合流、流れ方向の反転という工程が繰り返される。これにより、A液及びB液がスタティックミキサ13により均一に混練される。その際に、B液がゲル化してA液及びB液の混合物が膨潤可塑状のグラウト材に変質する。スタティックミキサ13から送り出されたグラウト材は、施工箇所に設けた注入口に送出される。
動態管理装置14は、測定器17から出力される測定データを記録用PC16から受信し、受信した測定データを用いて、測定器17に対応した注入ポンプの回転数の制限や停止指示を行う。
注入管理装置15は、流量・圧力測定装置18から流量圧力、瞬時流量、積算流量の計測データを取得し、流量圧力、瞬時流量、積算流量の計測データをモニタ等に表示する。また、注入管理装置15は、不図示のインバータを介して注入ポンプ22,24に接続され、注入ポンプ22,24に対するオン/オフの指示信号や周波数制御信号を出力する。
記録用PC16は、測定器17から出力される測定データを取得し、グラウト材の注入時における応力や変位データをモニタ等に表示する。また、記録用PC16は、測定データを記録するとともに、動態管理装置14に測定データを送信する。
測定器17は、注入口の近傍に設けられ、グラウト材の注入時における応力や地盤の変位を測定する。流量・圧力測定装置18は、注入ポンプ22,24と、注入口近傍のホースとに設けられ、各位置での流量圧力、瞬時流量、積算流量の計測データを取得する。
補助ポンプ19は、分岐したA液の圧送配管及び分岐したB液の圧送配管に設置される。なお、補助ポンプ19が設置される箇所は、A液の圧送配管及び分岐したB液の合流点よりも上流側の位置である。これら補助ポンプ19は、同一のポンプが使用される。
例えばポンプとしては、特開平11−50955号公報に開示された中継ポンプや、チューブポンプ、ネジポンプなどが挙げられる。特開平11−50955号公報に開示された中継ポンプは、胴部断面が円筒状の両側フランジ付きのスリーブを吸入用バルブ、スリーブ、吐出用バルブの順に直列に配置し、スリーブの拡縮と、バルブの開閉とを時間差作動によって行うものである。しかしながら、この中継ポンプでは、動作の性質上、液体を圧送する流路を全閉してしまう。したがって、特開平11−50955号公報に開示される中継ポンプを補助ポンプとして用いる場合には、出力側のポンプへの負荷が増大する。また、このようなポンプを用いる場合、出力側のポンプの脈動のタイミングと、中継ポンプにおける流路の全閉のタイミングとが重なる(一致する)場合もあり、出力側のポンプへの負荷が増大する。したがって、特開平11−50955号公報に開示される中継ポンプは、長距離圧送用の補助ポンプとすることは難しい。同様の理由により、チューブポンプやネジポンプも長距離圧送用の補助ポンプとすることは難しい。したがって、施工システム10に用いられる補助ポンプ19としては、例えば圧縮空気の供給により作動するエアダイヤフラムポンプが好ましい。
図2は、エアダイヤフラムポンプの構成及び動作の一例を示す。以下、エアダイヤフラムポンプに対して、符号30を付して説明する。エアダイヤフラムポンプ30は、左右に対向して配置された2つの空気室31a,31bと、2つの空気室31a,31bの外側に設けられて、これら空気室31a,31bを挟みこむように配置された左右2つのポンプ室32a,32bとを有する。空気室31aは、圧縮空気を空気室31aに送り込む吸気口、及び空気室31aの内部の圧縮空気を排出する排気口に接続される。空気室31bは、圧縮空気を空気室31bに送り込む吸気口、及び空気室31bの内部の圧縮空気を排出する排気口に接続される。ポンプ室32aは、液体の吸入口35及び吐出口36とそれぞれ接続され、ポンプ室32aの入口及び出口には逆止弁37a,37bが設けられる。同様にして、ポンプ室32bは、液体の吸入口35及び吐出口36とそれぞれ接続され、ポンプ室32bの入口及び出口には逆止弁37c,37dが設けられる。上述した空気室31a及びポンプ室32aは、ダイヤフラム33aで仕切られる。同様に、空気室31b及びポンプ室32bは、ダイヤフラム33bで仕切られる。これら2つのダイヤフラム33a,33bは左右方向に延びるシャフト34の両端部に固定される。
エアダイヤフラムポンプ30の中央には、吸気側のエア切換弁と、排気側のエア切換弁を内蔵したセンターブロック38が設けられる。センターブロック38は、吸気口からの圧縮空気を空気室31a,31bのいずれか一方の空気室に導き、他方の空気室から空気を排気口に導くように、吸気側のエア切換弁と排気側のエア切換弁とを動作する。なお、センターブロック38の吸気口は、圧縮空気を供給する不図示のエアコンプレッサと接続される。
図2(a)は、吸気口と空気室31bとが連通し、排気口と空気室31aとが連通したエアダイヤフラムポンプ30の状態を示している。この状態で圧縮空気が吸気口から送り込まれると、圧縮空気は空気室31bに供給されて空気室31b及びポンプ室32bの間に位置するダイヤフラム33bをポンプ室32b側(図中左側)に押圧する。
上述したように、ダイヤフラム33a,33bはシャフト34に固定される。したがって、図2(b)に示すように、空気室31b及びポンプ室32bの間のダイヤフラム33bが図中左側に押圧されることで、空気室31a及びポンプ室32aの間のダイヤフラム33aが図中左側に引っ張られて移動する。これにより、ポンプ室32aの内部が負圧となり、液体が吸入口35からポンプ室32aの内部に吸い込まれる。
その後、センターブロック38に設けた吸気側のエア切換弁及び排気側のエア切換弁が切り替わる。図2(c)に示すように、センターブロック38に設けた吸気側のエア切換弁及び排気側のエア切換弁が切り替わると、吸気口と空気室31aとが連通し、排気口と空気室31bとが連通した状態となる。これにより、吸気口からの圧縮空気は空気室31aに供給されて空気室31aとポンプ室32aとの間のダイヤフラム33aをポンプ室32a側(図中右側)に押圧する。その結果、ポンプ室32bの液体は吐出口36に向けて送出される。
図2(d)に示すように、ダイヤフラム33aが図中右側に押圧されると、空気室31b及びポンプ室32bの間のダイヤフラム33bも右側に引っ張られて移動する。これにより、ポンプ室32bは負圧となり、液体が吸入口35からポンプ室32bの内部に吸い込まれる。
その後、センターブロック38に設けた吸気側のエア切換弁及び排気側のエア切換弁を切り替えと、図2(d)の状態から図2(a)の状態に戻る。そして、図2(d)の後の図2(a)から図2(b)の工程において、空気室31b及びポンプ室32bの間のダイヤフラム33bが圧縮空気で左側に押圧されることにより、ポンプ室32bの液体は吐出口36に向けて送出される。エアダイヤフラムポンプ30は、上述した図2(a)から図2(d)の工程を繰り返す。つまり、送り込まれる圧縮空気により左右のダイヤフラム33a,33bを往復動させて、吸入口35から吐出口36に液体を送出する。
以下に示す表1は、モータの駆動により作動するポンプ及び圧縮空気(表中エアと称する)の供給により作動するポンプの性能及び重量をまとめた表である。
例えば満18歳以上の労働者が人力のみで取り扱うことのできる重量は55kg以下、又、常時人力のみで取り扱う場合の重量は、労働者の体重のおおむね40%以下、満18歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことができる重量の60%であることが労働基準法により定められている。
また、例えば鉄道のトンネルに対して裏込注入工事を施工する場合、電力の供給が困難である。これら理由を考慮すると、モータ駆動により作動するポンプではなく、圧縮空気の供給により作動するポンプを使用することが好ましい。
例えば圧縮空気を供給することで作動するポンプでは、単位時間当たりのストローク数が増加すると、内蔵されたダイヤフラムの吸引動作から吐出動作に変化したときに、逆流防止用のボールバルブの開閉が追いつかず、最大吐出量の20%程度に低下する。また、通常、単位時間当たりの吐出量が50〜70L/minとなるポンプを使用しているが、単位時間当たりの吐出量が100L/minとしたときのストローク数が30回/min以上となるポンプでは、可塑性グラウト材を高速でせん断、再攪拌してしまい、圧送後のグラウト材のフロー値の増大や、グラウト材の材料分離の原因となる。したがって、単位時間当たりの吐出量が100L/minとしたときのストローク数が30回/分未満のポンプを使用することが好ましい。
これら理由を考慮すると、補助ポンプ19として、ポンプAからポンプGのうち、ポンプFで示すエアダイヤフラムポンプ、詳細には、単位時間当たりのストローク数12.9回/minで吐出量50L/minのエアダイヤフラムポンプ、又は、単位時間当たりのストローク数25.6回/minで吐出量100L/minのエアダイヤフラムポンプを使用することが好適である。なお、単位時間当たりのストローク数が30回/min未満で、吐出量が50〜100L/minのエアダイヤフラムポンプであれば、適用することが可能である。
補助ポンプ19としてエアダイヤフラムポンプを用いる利点は、以下の通りである。
エアダイヤフラムポンプは、小型軽量であるため、例えば共用中の鉄道トンネルの裏込注入工事など夜間線閉作業における設置作業や撤去作業を容易に行うことが可能である。また、エアダイヤフラムポンプは、圧縮空気の供給のみで使用可能である。したがって、ポンプに電力を供給する電源を確保する必要はない。また、例えば共用中の鉄道トンネルの裏込注入工事等、電力の供給が困難な施工箇所であっても、確実にグラウト材を供給することが可能となる。さらに、電力を供給することで動作するポンプでは過負荷時に発熱し火災の恐れがあるが、圧縮空気の供給のみで使用可能となるエアダイヤフラムポンプを用いることで、予期しない火災など作業を中断させる事象の発現を防止できる。
さらに、エアダイヤフラムポンプを用いる場合、圧縮空気をエアダイヤフラムポンプに供給するコンプレッサの能力以上に加圧されることがないので、レギュレータの故障時にも過大な圧力を配管に作用させることがなく、安全性が高いという利点がある。
<グラウト材のブースト圧送試験>
図1に示す施工システムを実施するにあたり、グラウト材のブースト圧送試験を行った。図3は、グラウト材のブースト圧送試験で用いた試験装置の一例を示す。
図3に示すように、試験装置40は、A液送出部41と、B液送出部42と、補助ポンプ43と、スタティックミキサ44とを有する。A液送出部41は、グラウトミキサ51と、A液の流量を検出する検出器52と、注入ポンプ53とを有する。B液送出部は、アジテータ54と、B液の流量を検出する検出器55と、注入ポンプ56とを有する。なお、検出器52、55の出力はそれぞれ記録部57に記録される。
図3に示す試験装置40は、A液送出部41の出力側の圧送配管とB液送出部42の出力側の圧送配管を合流させ、合流後の圧送配管にスタティックミキサ44を接続している。また、試験装置40は、A液送出部41の出力側の圧送配管と、B液送出部42の出力側の圧送配管との各々に、補助ポンプ43を設置している。また、試験装置40では、補助ポンプ43の出力側の配管を各々分岐し、分岐した一方の配管を合流させ、他方の配管を補助ポンプ43からグラウトミキサ51までA液を還流させる還流路45、補助ポンプ43からアジテータ54までB液を還流させる還流路46としている。
上記圧送試験において使用されるグラウト材は、日本基礎技術株式会社のJPG Plas−ZEROである。表2は、グラウト材の配合を示す。なお、グラウト材のゲルタイム(20℃)は30秒以下であり、28日経過時におけるグラウト材の一軸圧縮強さは、1.5N/mm2以上である。なお、遅延剤は、A液の粘性が高くなり流動性を維持できなくなることを防止するためにA液に投入される。
また、圧送試験において、注入ポンプ53,56から補助ポンプ43までの配管の長さは3420m、配管内径は56.9mmである。また、還流路45、46における補助ポンプ43からリターンホースまでの圧送配管の長さは912m、配管内径は56.9mmである。また、還流路45、46においてミキサ等に接続されるリターンホースの長さは40mで、ホース内径は2インチである。
グラウト材のブースト圧送試験では、A液の圧送流路において、注入ポンプ53、圧送配管、補助ポンプ43、還流路45の圧送配管を介してA液を循環させた。そして、注入ポンプ53の近傍を起点として0m、1140m、2052m、3420m、4332mの各地点に圧力センサ(不図示)を配置し、圧送配管の圧力の推移を測定した。なお、グラウト材のブースト圧送試験でのA液の注入速度は100L/minに固定した。
図4(a)は、圧送試験における圧送配管の各地点の圧力の推移を示す図であり、図4(b)は、図4(a)における圧送配管の0m地点の圧力の推移を示す図である。図4の各図において、縦軸は圧力(MPa)を示し、横軸は時間(min)を示す。
図4に示すように、補助ポンプ43の駆動前の圧送配管の圧力の最大値は0mの地点において約3.4MPaであった。そして、補助ポンプ43の駆動後には各地点で圧送配管の圧力が徐々に低下することが分かる。そして、図4(b)に示すように、補助ポンプ43のエア圧が0.6MPaに到達した時点では、0m地点における圧送配管の圧力は約0.6MPa低下する。
また、図5(a)は、補助ポンプ43の吸入側での圧送配管の圧力の推移を示す図であり、図5(b)は、補助ポンプの吐出側での圧送配管の圧力の推移を示す図である。図5の各図において、縦軸は圧力(MPa)を示し、横軸は時間(min)を示す。
図5(a)に示すように、補助ポンプ43の吸入側の圧送配管の圧力は、補助ポンプ43の駆動後に約0.52MPa低下している。一方、図5(b)に示すように、補助ポンプ43の吸入側の配管の圧力は、補助ポンプ43の駆動後に最大で約0.23MPa低下している。なお、補助ポンプ43の吸入側では、補助ポンプ43の脈動による圧力変動が補助ポンプ43の駆動後に生じている。
以上のように、圧送試験では、補助ポンプ43の駆動により圧送配管の最大圧力を低減できることが分かる。なお、圧送試験の条件の注入ポンプのみを動作させて配管圧力が0.6MPaに達したときの液体の圧送距離は、A液が約2km、B液が約1kmである。したがって、圧送試験の場合、補助ポンプ43を動作させたときには、上記のB液の圧送距離に基づいて1km程度の圧送補助効果を期待できる。つまり、上述した圧送試験の結果を考慮すると、補助ポンプを設けることで、A液の圧送距離は、おおよそ2〜5.5kmで有効であることがわかる。
また、補助ポンプ43を設置することで、注入ポンプ53,56における吐出圧力が低下する。したがって、注入ポンプ53,56に余力が生まれ、注入ポンプによる吐出量を増加させることが可能となる。その結果、施工箇所に対する単位時間当たりの注入量を増加させることができ、施工効率を向上させることができる。
このように、グラウト材の圧送試験の結果から、A液を送出する圧力と、B液を送出する圧力とを補助ポンプ43で各々補うことができ、補助ポンプ43を設けない場合と比べて、グラウト材の長距離圧送を行うことが可能であることがわかる。また、上記圧送試験では、ポンプによる加圧箇所が分散されていることがわかるので、圧送する配管にかかる最大圧力を軽減でき、また、長距離圧送で用いる配管での圧力損失が少なくなることがわかる。
<補助ポンプによる分岐圧送>
第1実施形態の施工システムで適用した複数点注入工法では、A液及びB液の圧送流路は、施工箇所毎に異なる長さとなる。A液及びB液を圧送する流路長が異なると、A液及びB液の圧送状態が各流路で異なる可能性がある。その結果、各施工箇所に注入されるグラウト材の性能が低下する恐れが生じる。したがって、図1に示す施工システムと同様にA液の配管とB液の配管とを分岐させた構成の試験装置を設け、補助ポンプ(エアダイヤフラムポンプ)の駆動前後でのA液及びB液の流量変化の試験を行った。なお、A液の配管とB液の配管に設置した補助ポンプは同一である。この実験では、補助ポンプの駆動前においてA液の流量をB液の流量よりも大きくし、流量比のバランスを意図的に崩した状態とした。本実施例での実験結果を表3に示す。
表3に示す実験結果では、補助ポンプの駆動前のA液とB液の流量比が60:39であるが、補助ポンプの駆動後のA液とB液の流量比は50:47となった。したがって、補助ポンプの駆動により、A液の流量とB液の流量との等量性を向上し得ることが分かる。
このように、第1実施形態に示す施工システム10においては、分岐したA液の圧送流路及びB液の圧送流路の各流路内を各液が圧送される際に生じる圧力を、各流路に設置した補助ポンプ19で各々補うことができ、補助ポンプを設けない場合と比べて、グラウト材の長距離圧送を行うことが可能である。また、ポンプによる加圧箇所が分散されていることで、配管にかかる最大圧力を軽減でき、また、長距離圧送で用いる配管での圧力損失を低減させることができる。さらに、分岐した各圧送流路に設置した補助ポンプの駆動により、A液の流量とB液の流量との等量性を向上できるので、各施工箇所に注入されるグラウト材の性能劣化を防止することが可能となる。
その結果、例えば共用中の鉄道トンネルの裏込注入工事など、夜間等の所定時間だけ工事可能で、施工箇所近傍に注入プラントを配置できない等の制約がある場合であっても、図1に示す施工システム10を用いることで、限られた時間内に施工箇所まで十分な量のグラウト材を供給でき、効率良く工事を行うことが可能となる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明するが、第1実施形態に示す要素と同一又は同様の要素には同一の符号を付して重複説明を省略する。
図6は、グラウト材の注入方法の施工システムの第2実施形態を示す図である。第2実施形態に示す施工システム10aは、第1実施形態の施工システム10と同様に、例えば共用中の鉄道トンネルの裏込注入工事や、導水路の裏込注入工事などに用いられる。
第2実施形態に示す施工システム10aは、A液の圧送配管とB液の圧送配管とを合流させた後、スタティックミキサ13の出力側の圧送配管を例えば2つの圧送配管に分岐させることで、例えば2箇所の施工箇所にグラウト材を同時に注入するものである。つまり、グラウト材の圧送流路のみが分岐されて複数の圧送流路となる。なお、第2実施形態の施工システム10aにおいて使用する補助ポンプ19の性能は、第1実施形態の施工システム10において使用する補助ポンプ19と同一の性能のポンプが使用される。この第2実施形態の施工システム10aでは、スタティックミキサ13の出力側の圧送配管を例えば2つの圧送配管に分岐させているが、3以上の圧送配管に分岐することも可能である。
<補助ポンプによるショット後のグラウト材の圧送>
図6に示す施工システムと同一構成の試験装置を用いて圧送試験を行った。この試験装置では、スタティックミキサ13を通過した後のグラウト材の流路の分岐流路のうち、一方の流路のみに補助ポンプを設置し、各々の分岐流路における吐出量を計測した。表4は、各流路におけるグラウト材の吐出量(流量)と、各流路におけるフロー値とをまとめた表である。表4において、分岐された流路のうち、補助ポンプを設置していない流路を第1流路、補助ポンプを設置した流路を第2流路としている。また、表4においては、第2流路に設置した補助ポンプを作動させない場合を「例1」、補助ポンプによる吐出量を50L/minとした場合を「例2」、補助ポンプによる吐出量を100L/minとした場合を「例3」、補助ポンプによる吐出量を83L/minとした場合を「例4」としている。なお、補助ポンプにおける吐出量は、補助ポンプの最大吐出量の20%を最大とした。
上記計測において、注入ポンプ22から送り出されるA液の吐出量及び注入ポンプ24から送り出されるB液の吐出量を各々100L/minとした。グラウト材のフロー値は、JIS313に示すコンシステンシー試験法のシリンダー法で測定した。この規格におけるフロー値の規格値は、80〜155mmである。したがって、例1から例4のうち、例1から例3においては、フロー値の規格値を満たしている一方で、例4は、第2流路を圧送されたグラウト材のフロー値が規格値を超過している。また、例4では、補助ポンプにおける単位時間当たりのストローク数が30回/min以上となる。したがって、補助ポンプにおける単位時間当たりの吐出量が50〜100L/minであれば、適切にグラウト材を圧送することができる。
第2実施形態の施工システム10aにおいても、第1実施形態の施工システム10と同様にして、グラウト材を送出する圧力を補助ポンプ19で補うことができ、補助ポンプ19を設けない場合と比べてグラウト材を長距離圧送できる。また、施工システム10aでは、補助ポンプ19を配置せずに注入ポンプ22,24の圧力を上げて長距離圧送する場合と比べ、ポンプによる加圧箇所が分散することで配管にかかる最大圧力を軽減させることができ、また配管での圧力損失も少なくなる。したがって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、図6に示す施工システムに関し、A液の圧送流路において、A液及びB液の合流点の手前に、グラウトミキサ21に向けてA液を還流させる還流路を設けてもよい。同様に、B液の圧送流路において、A液及びB液の合流点の手前に、アジテータ23に向けてB液を還流させる還流路を設けてもよい。
なお、上記のA液の還流路は、A液送出部11のグラウトミキサ21にA液を還流させる構成でもよく、注入ポンプ22と補助ポンプ19の間にアジテータをさらに設け、このアジテータにA液を還流させる構成であってもよい。同様に、上記のB液の還流路は、B液送出部12のアジテータ23にB液を還流させる構成でもよく、注入ポンプ24と補助ポンプ19の間に別のアジテータをさらに設け、このアジテータにB液を還流させる構成であってもよい(図6では、A液の還流路、B液の還流路の図示は省略する)。
<第3実施形態>
図7は、グラウト材注入方法の施工システムの第3実施形態を示す図である。第3実施形態に示す施工システム10bは、第1実施形態の施工システム10、第2実施形態の施工システム10aと同様に、例えば共用中の鉄道トンネルの裏込注入工事や、導水路の裏込注入工事などに用いられる。図7に示す施工システム10bは、A液送出部11からの圧送配管とB液送出部12からの圧送配管とを2つの圧送配管に各々分岐させ、同時にグラウト材の圧送配管も2つの圧送配管に分岐させている。つまり、A液の圧送配管とB液の圧送配管とが合流したときには、グラウト材の圧送配管の数は2つとなるが、グラウト材の圧送配管が2つの圧送配管にさらに分岐されることで、グラウト材の圧送配管は4つとなり、これら圧送配管が並列に配置される。なお、A液の圧送配管、B液の圧送配管及びグラウト材の圧送配管の分岐数は3以上としてもよい。
さらに、施工システム10bでは、分岐したA液の圧送配管、分岐したB液の圧送配管の各々に補助ポンプ19が設置される他、分岐したグラウト材の圧送配管の各々にも補助ポンプ19が設置される。また、第3実施形態の施工システムにおいて使用する補助ポンプの性能は、第1実施形態の施工システムにおいて使用する補助ポンプと同一の性能のポンプが使用される。
図7に示す施工システム10bにおいても、第1実施形態の施工システムと同様の作用効果を得ることができる。また、図7に示す施工システム10bでは、複数の施工箇所に同時にグラウト材を注入できるとともに、各々の施工箇所にそれぞれ独立してグラウト材を圧送する流路を設ける場合と比べて、各流路の敷設にかかるコストや、施工後に流路に残るグラウト材の廃棄量を抑制できる。
なお、図7に示す施工システムに関し、分岐したA液の流路の各々に対して、A液及びB液の合流点の手前に、グラウトミキサ21に向けてA液を還流させる還流路を設けてもよい。同様に、分岐したB液の流路の各々に対して、A液及びB液の合流点の手前に、アジテータ23に向けてB液を還流させる還流路を設けてもよい。
なお、上記のA液の還流路は、A液送出部11のグラウトミキサ21にA液を還流させる構成でもよく、注入ポンプ22と補助ポンプ19の間にアジテータをさらに設け、このアジテータにA液を還流させる構成であってもよい。同様に、上記のB液の還流路は、B液送出部12のアジテータ23にB液を還流させる構成でもよく、注入ポンプ24と補助ポンプ19の間に別のアジテータをさらに設け、このアジテータにB液を還流させる構成であってもよい(図7では、A液の還流路、B液の還流路の図示は省略する)。
第1から第3実施形態では、A液の圧送配管、B液の圧送配管、グラウト材の圧送配管に、エアダイヤフラムポンプ30からなる補助ポンプ19を設置した場合を例に挙げている。しかしながら、1つの補助ポンプを用いて2つの圧送配管の内部を圧送される液体を同時に圧送することも可能である。
<第4実施形態>
以下、1つの補助ポンプを用いて2つの圧送配管の内部を圧送される液体を同時に圧送する場合について、図8に示す施工システムに適用した場合について説明する。なお、図8に示す施工システム10cは、図1に示す施工システム10に、以下に説明する補助ポンプ19aを適用した場合の施工システムを示す。したがって、図8に示す施工システムにおいて、図1に示す施工システムと同一の構成については、重複説明を避けるため、説明を省略する。
図9は、補助ポンプ19aとして用いられるエアダイヤフラムポンプの構成を示す断面図である。以下、図9に示すエアダイヤフラムポンプ30aにおいて、エアダイヤフラムポンプ30と同一の構成に対しては、図1と同一の符号を付している。
図9に示すエアダイヤフラムポンプ30aは、液体が流入口35aからポンプ室32aに流入し、吐出口36aに到達するまでの液体の流路と、液体が流入口35bからポンプ室32bに流入した後、吐出口36bに到達するまでの液体の流路とが完全に独立した流路となる点で図2に示すエアダイヤフラムポンプ30と相違する。このエアダイヤフラムポンプ30aを補助ポンプ19aとして使用する場合、補助ポンプ19aをA液の圧送配管とB液の圧送配管とに跨って設置する。その結果、補助ポンプ19aが動作を開始することで、補助ポンプ19aの内部に、A液を圧送する流路と、B液を圧送する流路との2つの流路を確保できる。したがって、A液を圧送する流路、及びB液を圧送する流路に補助ポンプ19を各々設けなくとも、各液体を圧送することができる。
なお、図9に示すエアダイヤフラムポンプ30aは、第1実施形態における補助ポンプ19として使用できるだけでなく、第2実施形態における補助ポンプや第3実施形態における補助ポンプ19としても使用することができる。このように、エアダイヤフラムポンプ30aを補助ポンプとして用いた場合には、設置する補助ポンプの数を低減することができ、グラウト材を注入する施工システムの設置作業や、撤去作業を簡略化できる。また、図9に示すエアダイヤフラムポンプ30aを狭隘な施工箇所に対して使用することで、占有範囲を限定でき、施工箇所近傍で他の作業を行う場合に作業の妨げにならずに済む。
また、図9では、2つの圧送流路を圧送される液体(A液及びB液、グラウト材)を同時に圧送する場合に用いるエアダイヤフラムポンプの例を取り上げている。しかしながら、例えば合流部分にエアダイヤフラムポンプを設置することも可能である。
<第5実施形態>
以下、第1から第3実施形態の施工システムの補助ポンプとして使用されるエアダイヤフラムポンプについて説明する。なお、図2及び図9に示すエアダイヤフラムポンプと同一の構成については、重複説明を避けるため、説明を省略する。
この場合、図10に示すように、例えば2つの流入口35a,35bと、1つの吐出口36とを有するエアダイヤフラムポンプ30bを使用し、このエアダイヤフラムポンプ30bを、A液の圧送流路とB液の圧送流路との合流点に設置する。図10に示すエアダイヤフラムポンプ30bは、液体が流入口35aからポンプ室32aに流入した後、吐出口36に到達するまでの液体の流路をA液又はB液のいずれか一方の流路とし、液体が流入口35bからポンプ室32bに流入した後、吐出口36に到達するまでの液体の流路を他方の流路とする。したがって、このエアダイヤフラムポンプ30bでは、吐出口36から例えばA液、B液、A液、・・・の順(又はその逆)で吐出される。A液の圧送流路とB液の圧送流路とを合流させた後の流路には、スタティックミキサ13が設置される。したがって、エアダイヤフラムポンプ30bによりA液及びB液が交互に吐出されたとしても、下流側のスタティックミキサ13にてA液及びB液が混練される。したがって、このエアダイヤフラムポンプ30bを用いた場合であっても、図9に示すエアダイヤフラムポンプ30aと同一の作用効果を得ることができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神及び権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点及び利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良及び変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物及び均等物に拠ることも可能である。
10,10a,10b,10c…施工システム
11,41…A液送出部
12,42…B液送出部
13,44…スタティックミキサ
14…動態管理装置
15…注入管理装置
16…記録用PC
17…測定器
18…流量・圧力測定装置
19,43…補助ポンプ
21,51…グラウトミキサ
22,24,53,56…注入ポンプ
23,54…アジテータ
30…エアダイヤフラムポンプ
40…試験装置
45,46…還流路
52,55…検出器
57…記録部

Claims (5)

  1. 硬化発現材を含む懸濁液としてのA液を第1のポンプを用いて、可塑剤を含むB液を第2のポンプを用いて各々長距離圧送し、各ポンプにより圧送された前記A液及び前記B液を合流混合させることで可塑状に変質したグラウト材を施工箇所に注入するグラウト材の注入方法であって、
    前記A液の流路及び前記B液の流路は、分岐数が同一数となるように各々分岐され、
    前記グラウト材の流路は、分岐した前記A液の流路と分岐した前記B液の流路とを合流させることで複数並列した流路として設置され、
    分岐した前記A液の流路と分岐した前記B液の流路とに、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプとは異なる補助ポンプを設置したことを特徴とするグラウト材の注入方法。
  2. 請求項1に記載のグラウト材の注入方法において、
    前記グラウト材の流路は、複数の前記施工箇所に向けた複数の流路に分岐され、
    分岐された前記グラウト材の流路に前記補助ポンプを設置したことを特徴とするグラウト材の注入方法。
  3. 硬化発現材を含む懸濁液としてのA液を第1のポンプを用いて、可塑剤を含むB液を第2のポンプを用いて各々長距離圧送し、各ポンプにより圧送された前記A液及び前記B液を合流混合させることで可塑状に変質したグラウト材を施工箇所に注入するグラウト材の注入方法であって、
    前記グラウト材の流路は、複数の前記施工箇所の各々に向けた流路に分岐され、
    分岐された前記グラウト材の流路に前記第1のポンプ及び前記第2のポンプとは異なる補助ポンプを設置したことを特徴とするグラウト材の注入方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のグラウト材の注入方法において、
    前記補助ポンプは、エアダイヤフラムポンプであることを特徴とするグラウト材の注入方法。
  5. 請求項4に記載のグラウト材の注入方法において、
    前記補助ポンプは、
    吸入口及び排出口を各々有する並列配置された2つの送出経路と、
    前記2つの送出経路の略中央に各々に設けられた中空空間を、前記吸入口と前記排出口とに連通される第1空間と、圧縮空気の流入及び排出を行う第2空間とに仕切るダイヤフラムと、
    前記2つの送出経路に設けたダイヤフラムを両端部に固着し、前記2つの送出経路の一方の送出経路に設けた第2空間への圧縮空気の送り込みに起因したダイヤフラムの動作を、他方の送出経路に設けたダイヤフラムに伝達する伝達部材と、
    を有し、
    前記補助ポンプは、前記2つの送出経路が有する第2空間への圧縮空気の送り込みを交互に実行することで前記ダイヤフラムを往復動させて、前記2つの送出経路における液体の送出を個別に行うことを特徴とするグラウト材の注入方法。
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