JP2019137871A - ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー - Google Patents
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Abstract
Description
化合物(A):ポリイソシアネート
化合物(B):炭素数2〜5の鎖状脂肪族ジオール
化合物(C):水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、少なくとも下記化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)を反応させて得られ、ウレタン結合量が5.2×10−3〜10.0×10−3eq/g、(メタ)アクリロイル基量が0.8×10−3〜3.0×10−3eq/gであるものである。
化合物(A):ポリイソシアネート
化合物(B):炭素数2〜5の鎖状脂肪族ジオール
化合物(C):水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート
本発明に用いる化合物(A)は、ポリイソシアネートである。ポリイソシアネートは、イソシアネート基及び/又はイソシアネート基を含む置換基を1分子中に合計2個以上有する化合物である。化合物(A)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。なお、本発明において、イソシアネート基及びイソシアネート基を含む置換基を総称して「イソシアネート基類」と称することがある。また、化合物(A)において、イソシアネート基類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明に用いる化合物(B)は炭素数2〜5の鎖状脂肪族ジオールである。化合物(B)における鎖状構造は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
本発明に用いる化合物(C)の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートは、1個以上の水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基と炭化水素基とを有する化合物である。水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートは硬化膜を得る際の硬化反応において複数の(メタ)アクリロイル基が関与することにより、良好な架橋構造を形成し、耐汚染性、耐摩耗性等の物性を良好なものとすることができる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料化合物において、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、前記化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)以外のその他の原料化合物を用いてもよい。このようなその他の原料化合物としては、例えば、炭素数6〜16の鎖状脂肪族ジオール、脂環式構造を有するジオール、ポリアルキレングリコール、これら以外の高分子量ポリオール(以下、「その他の高分子量ポリオール」と称する。)、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、鎖延長剤等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのウレタン結合量は、5.2×10−3〜10.0×10−3eq/gである。ウレタン結合量が上記5.2×10−3以上であると硬化膜の耐汚染性、未硬化膜のハンドリング性が向上し、10.0×10−3eq/g以下であると溶液安定性、ハンドリング性が向上する。また、これらの効果をより良好なものとする観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのウレタン結合量は、5.3×10−3eq/g以上であることが好ましく、5.5×10−3eq/g以上であることがより好ましく、5.8×10−3eq/g以上であることが更に好ましく、一方、9.0×10−3eq/g以下であることが好ましく、8.0×10−3eq/g以下であることがより好ましい。なお、上記のウレタン結合量は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料配合を調整することにより制御することができる。
以下であることが好ましく、19,000以下であることがより好ましく、8,000以下であることが更に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量が上記下限値以上であると、得られる硬化膜の3次元加工適性が良好となる傾向にある。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が上記上限値以下であると、
硬化性組成物から得られる硬化膜の耐汚染性が良好となる傾向にある。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量がこれを用いて得られる硬化膜の3次元加工適性と耐汚染性が網目構造における架橋点間の距離に関係があり、重量平均分子量が小さいほど架橋点間の距離は短く、また、重量平均分子量が大きいほど架橋点間の距離は長くなる傾向にある。重量平均分子量が3次元加工適正及び耐汚染性に影響する理由は架橋点間距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり3次元加工適性がより良好となり、一方、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐擦傷性、耐汚染性、耐摩耗性がより良好となるものと推定される。なお、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定(GPC測定)により、求めることができ、より詳細な測定方法を後掲の実施例において示す。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、前記化合物(A)に、前記化合物(B)と前記化合物(C)を付加反応させることにより製造することができる。また、その際の各原料化合物の仕込み比は通常、目的とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの組成と実質的に同等、又は同一とする。
(1)前記化合物(A)と化合物(B)とを、イソシアネート基が過剰となるような条件下で反応させてイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを得て、次いで該イソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーと前記化合物(C)とを反応させる方法。(2)全原料化合物を同時に一括添加して反応させる方法。
(3)前記化合物(A)と前記化合物(C)とを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、得られたプレポリマーに、化合物(B)を反応させる方法。
m以下であり、特に好ましくは500ppm以下であり、一方、下限が通常50ppm以上、好ましくは100ppm以上である。
本発明の硬化性組成物は、少なくとも前述の本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと有機溶剤とを含むものである。
本発明の硬化性組成物は、有機溶剤を含む。有機溶剤を用いることにより、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを良好に溶解し、後述するようにウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに活性エネルギー線を照射して硬化する際に、塗膜を形成するための粘度を調整し、均一な硬化膜を得ることができる。
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲において、更に、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び前記有機溶剤以外の成分(本発明において
、「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、活性エネルギー線反応性モノマー、活性エネルギー線硬化性オリゴマー(本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを除く。)、重合開始剤、光増感剤、エポキシ化合物及びその他の添加剤等が挙げられる。
エリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが好ましく、得られる硬化膜の延伸性が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)等のポリエーテル(メタ)アクリレート類が好ましい。
キシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンがより好ましい。
限定はなく、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。なお、前記任意成分をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。具体的には、例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式攪拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等で処理する方法が挙げられる。
前述の本発明の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより、硬化物を得ることができる(以下、「本発明の硬化物」と称することがある。)。硬化性組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が挙げられる。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が好適である。
以下の実施例及び比較例における、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び硬化膜の物性、特性の測定・評価方法は以下の通りである。
1−1)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
GPC(東ソー社製「HLC−8120GPC」)で、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)、標準サンプルにポリスチレン、カラムにTSKgel superH1000+H2000+H3000を使用して、送液速度0.5mL/分、カラムオーブン温度40℃にて、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量、数平均分子量(GPC測定値)を測定した。
2−1)ハンドリング性(未硬化)の評価
硬化性樹成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、120℃で30秒間乾燥させて得られた塗膜を用いて未硬化時のハンドリング性をフィルム重ね合わせ時の貼り付き度合い(耐ブロッキング性)にて評価した。この塗膜を、23℃、相対湿度55%下で12時間以上静置した。次いで、塗膜の表面にポリエチレンテレフタレートフィルム(未処理タイプ)を重ね合わせ、1kg/cm2の荷重を23℃、相対湿度55%下で12時間かけ、塗膜とポリエチレンテレフタレートフィルムの未処理面とをブロッキングさせた。除荷後、加圧した全面積に対するブロッキングの生じた面積の割合を目視にて以下の基準で評価した。
○:ブロッキングしている部分無し
○−:ブロッキング面積割合≦10%
△:10%<ブロッキング面積割合≦30%
△−:30%<ブロッキング面積割合≦50%
×:50%<ブロッキング面積割合
後述する製膜方法Iで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜の塗膜外観を、目視にて以下の基準で評価した。
○:均一な膜厚で、塗膜表面に異物、皺、ユズ肌等の異常が見られない
△:積層体の角度を変えたり、光を当てて凝視すると、塗膜表面に異物、皺、ユズ肌等の異常が見られる
×:塗膜表面に異物、皺、ユズ肌等の異常が見られる
後述する製膜方法Iで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について、耐擦傷試験前に測定したヘーズ値をH1とした。一方、23℃、55%RHの雰囲気下、乾布(綿−JIS L 0803準拠染色堅ろう度試験用)に200gf(面積4cm2あたり)の錘を載せ、上記製膜方法Iで得られたポリエチレンテレフタレート上に積
層された硬化膜面を学振磨耗試験機(東洋精機製)で50往復擦り、直後に測定したヘーズ値をH2とした。H2とH1との差(ΔH(ΔH=H2−H1))を求めて、以下の基準で評価した。なお、上記において、ヘーズ値は、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所(株)社製「HAZE METER HM−65W」)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
○ :ΔH≦2.5
○−:2.5<ΔH≦4.5
△ :4.5<ΔH≦6.5
△−:6.5<ΔH≦8.5
× :8.5<ΔH
後述する製膜方法I又は製膜方法IIIで得られた硬化膜及び硬化後延伸膜を用い、日焼け止めクリーム(ニベア花王社製ニベアSUNプロテクトフェイスエッセンスミルク)(以下、汚染物と称する)を接触させ、静置した後、水を含んだ脱脂綿で汚染物を拭き取った後の汚染度を目視により評価した。評価膜とその接触条件及び評価基準は以下の通りである。
(1)製膜作成方法Iで得られた硬化膜に0.005g/cm2を接触させ、80℃にて1時間静置
(2)製膜方法IIIで得られた硬化後延伸膜に0.005g/cm2を接触させ、23℃にて4時間静置
(3)製膜方法IIIで得られた硬化後延伸膜に0.005g/cm2を接触させ、40℃にて4時間静置また、評価基準は以下の通りである。
○ :汚染している部分がない
○−:(汚染部面積割合)≦10%
△ :10%<(汚染部面積割合)≦30%
△−:30%<(汚染部面積割合)≦50%
× :50%<(汚染部面積割合)
後述する製膜方法IIの硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製「RTC−1210A」)を用いて、温度23℃、湿度55%RH、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行って引張弾性率を測定した。より具体的には、上記の条件で引張試験を行って得られた応力−ひずみ曲線(SSカーブ)の0%伸び時と0.5%伸び時の応力とを結んだ直線を延長し、100%伸び時に換算した応力を引張弾性率とした。2,000〜6,000MPaであれば機械的強度が良好であるものと評価した。
後述する製膜方法IIの硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機((株)イマダ製「MX2−500N」)を用いて、温度140℃、引張速度40mm/分、チャック間距離40mmの条件で延伸して破断伸度を測定し、以下の基準で評価した。
◎:伸び100%以上
○:伸び60%以上100%未満 ×:伸び60%未満
以下に実施例及び比較例において用いた原料及び溶媒とその略称は以下の通りである。(化合物(A):ポリイソシアネート)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(エボニック デグサ ジャパン社製 商品名「VESTANAT IPDI」)
EG:エチレングリコール
1,6−HD:1,6−ヘキサンジオール
V−300:大阪有機社製 商品名ビスコート(登録商標)300(ペンタエリスリトールトリアクリレート40〜45重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート35〜40重量%の混合物(カタログ値)(OH価:120mgKOH/g))
なお、OH価:120mgKOH/gよりOH基当量(ヒドロキシル基1個当たりの分子量)468を算出し、全成分がペンタエリスリトールトリアクリレート(PET3A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET4A)から成るとして、PET3A/PET4A=298/(468−298)=64/36(重量比)と算出した。
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
MEK:メチルエチルケトン(SP値:9.0)
IPA:イソプロピルアルコール(SP値:11.5)
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを163g、エチレングリコールを40g入れ、更にメチルエチルケトン203g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.25g、メチルハイドロキノン0.15g、メチルエチルケトン96gを加え、V−300を96g(PET3A:61g/PET4A:35g)滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失により反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン400gを加え、硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量、数平均分子量を測定した。得られた結果を表−1に示す。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーのウレタン結合量は以下の値を用いて計算した。・IPDIのモル数:0.73モル(=163g(IPDIの仕込量)/222(IPDIの分子量))
・EGのモル数:0.64モル(=40g(EGの仕込み量)/62(EGの分子量))・PET3Aのモル数:0.20モル(=61g(PET3Aの仕込み量)/298(PET3Aの分子量))
・イソシアネート基数:1.47eq(=0.73モル(IPDIのモル数)×2(イソシアネート基官能基数)
・ヒドロキシル基数:1.49eq(=0.64モル(EGのモル数)×2(ヒドロキシル基官能基数)+0.20(PET3Aのモル数)×1(ヒドロキシル基官能基数)
レタン結合量の計算にはPET3A:0.18モル((0.20eq−0.02eq)/ヒドロキシル基官能基数:1)を用いて計算した。
(ウレタン結合量)
=1.47eq(イソシアネート基の総当量数とヒドロキシル基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の総当量数との少ない方の値)/(163g+40g+0.18モル×298)
≒5.8×10−3eq/g
上記ウレタンアクリレートオリゴマーの(メタ)アクリロイル基量は次のようにして計算した。
((メタ)アクリロイル基量)
=0.18eq(0.20モル(過剰に加えている成分量を除いたヒドロキシアルキルポリ(メタ)アクリレートのモル数)−0.02モル×3((メタ)アクリロイル基数))/(163(IPDIの構成成分量)+40(EGの構成成分量)+0.18モル×298(PET3Aの構成成分量))
≒2.1×10−3eq/g
硬化性樹成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、120℃で30秒間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して硬化膜を形成して膜厚約5μmの硬化膜がポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜を得た。得られた硬化膜について、前記2−2)〜2−4)の物性評価を行った。これらの結果を表−1に示す。
硬化性組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、120℃で30秒間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して硬化膜を形成した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから硬化膜を剥離して膜厚約30μmの硬化膜を得た。得られた硬化膜について、前記2−5)、2−6)の物性評価を行った。これらの結果を表−1に示す。
前述の製膜方法Iの硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機((株)イマダ製「MX2−500N」)を用いて、温度140℃、引張速度40mm/分、チャック間距離40mmの条件で20mm(50%伸び)延伸して、硬化後延伸膜を得た。得られた硬化後延伸膜について、前記2−4)の物性評価を行った。この結果を表−1に示す。
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを184g、エチレングリコールを45g入れ、更にメチルエチルケトン230g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.25g、メチルハイドロキノン0.15g、メチルエチルケトン70gを加え、HEAを11g、V−300を59g(PET3A:38g/PET4A:21g)滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失により反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン400gを加え、硬化性組
成物を得た。
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを190g、エチレングリコールを50g入れ、更にメチルエチルケトン240g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.25g、メチルハイドロキノン0.15g、メチルエチルケトン60gを加え、V−300を60g(PET3A:38g/PET4A:22g)滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失により反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン200g、イソプロピルアルコール200gを加え、硬化性組成物を得た。
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを140g、エチレングリコールを31g入れ、更にメチルエチルケトン170g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.25g、メチルハイドロキノン0.15g、メチルエチルケトン130gを加え、V−300を130g(PET3A:83g/PET4A:47g)滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失により反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン400gを加え、硬化性組成物を得た。
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを214g、エチレングリコールを51g入れ、更にメチルエチルケトン265g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.03gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.06g、メチルハイドロキノン0.15g、メチルエチルケトン35gを加え、HEAを35g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失により反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン400gを加え、硬化性組成物を得た。
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを142g、1,6−ヘキサンジオールを65g入れ、更にメチルエチルケトン207g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.25g、メチルハイドロキノン0.15g、メチルエチルケトン93gを加え、V−300を93g(PET3A:59g/PET4A:34g)滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失により反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン400gを加え、硬化性組成物を得た。
表−1に示した結果より、実施例1〜3と比較例1〜3とを対比すると以下のことがわ
かる。まず、比較例1は、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーにおけるウレタン結合量よりもその値が小さく、また、(メタ)アクリロイル基量の値が大きい例であるが、実施例1〜3と比較してハンドリング性(未硬化時)及び延伸性が悪かった。また、比較例2は、化合物(C)を使用せず、その代わりに「HEA」を使用した例であるが、実施例1〜3と比較して耐摩耗性、硬化後の耐汚染性が悪かった。更に、比較例3は、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーにおけるウレタン結合量よりもその値が小さいものを用いた例であるが、実施例1〜3と比較してハンドリング性(未硬化時)、硬化・延伸後の耐汚染性及び延伸性が悪かった。
Claims (10)
- 少なくとも下記化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)を反応させて得られ、ウレタン結合量が5.2×10−3〜10.0×10−3eq/g、(メタ)アクリロイル基量が0.8×10−3〜3.0×10−3eq/gであるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
化合物(A):ポリイソシアネート
化合物(B):炭素数2〜5の鎖状脂肪族ジオール
化合物(C):水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート - 重量平均分子量(Mw)が1,500〜30,000である、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
- 前記化合物(B)として少なくともエチレングリコールを含む、請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
- 前記化合物(A)と化合物(B)を反応させてウレタンプレポリマーを得た後、これに前記化合物(C)を反応させて得られたものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと有機溶剤とを含む硬化性組成物。
- 前記有機溶剤の溶解度パラメーターが、8.0〜11.5である、請求項5に記載の硬化性組成物。
- 固形分濃度が5〜90重量%である、請求項6に記載の硬化性組成物。
- 請求項6または7に記載の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
- 基材上に請求項5乃至7のいずれか1項に記載の硬化性組成物を塗布し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させたものである積層体。
- 請求項6又は7に記載の硬化性組成物を基材上に塗布する工程、該硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化物を得る工程、該硬化物を延伸する工程を経る、硬化フィルムの製造方法。
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