JP2019137796A - フォトクロミック複合体 - Google Patents
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Description
(1)酸化タングステン、酸化チタン及び水溶性高分子化合物を含有するフォトクロミック複合体。
(2)水溶性高分子化合物がアルキルセルロースであることを特徴とする上記(1)記載のフォトクロミック複合体。
(3)ヒドロキシ基を有する水溶性化合物(ただし、上記(1)記載の水溶性高分子化合物を除く)を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載のフォトクロミック複合体。
(4)ヒドロキシ基を有する水溶性化合物がアルコール類又は有機酸類であることを特徴とする上記(3)記載のフォトクロミック複合体。
(5)アルコール類がエチレングリコールであることを特徴とする上記(4)記載のフォトクロミック複合体。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか記載のフォトクロミック複合体を用いた紫外線インディケーター。
(7)酸化タングステン、酸化チタン及び水溶性高分子化合物を含有する偽造防止に用いるためのフォトクロミック材料。
(8)酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有するフォトクロミック複合体形成用溶液。
(9)酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有する分散液を調製し、前記分散液を基板上に塗布して乾燥することを特徴とするフォトクロミック複合体の製造方法。
(10)酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有する分散液を調製し、前記分散液を型枠に充填し乾燥することを特徴とするフォトクロミック複合体の製造方法。
ヒドロキシ基を有する水溶性化合物がアルコール類の場合には、複合体の光応答性をより向上させる観点から、アルコール類/酸化タングステン(モル比)は、例えば、グリセリン/WO3の場合は1.0以上が好ましく、エチレングリコール/WO3の場合は2.0以上が好ましく、3.0以上がより好ましい。また、アルコール類を使用する場合、複合体の強度を維持する観点から、アルコール類/酸化タングステン(モル比)は、6以下が好ましい。ヒドロキシ基を有する水溶性化合物が有機酸類の場合には、複合体の光応答性をより向上させる観点から、有機酸類/酸化タングステン(モル比)は、例えば、シュウ酸/WO3の場合は0.1〜0.2が好ましく、グリコール酸/WO3の場合は0.2〜0.8が好ましい。
本発明の複合体における酸化タングステンと酸化チタンの含有割合は、特に制限されるものではないが、光応答性をより向上させる観点から、タングステン(W)とチタン(Ti)のモル比が、W:Ti=4:1〜1:3が好ましく、3:1〜1:3がより好ましく、3:1〜1:2がさらに好ましい。
本発明の複合体は、その製造方法は特に制限されるものではないが、例えば、酸化タングステン、酸化チタン及び水溶性高分子化合物を含有するフォトクロミック複合体形成用溶液を調製し、これを基材上に塗布して乾燥することや、流し込む等により型枠に充填し乾燥することで作製することができる。前者の場合、膜状の複合体を作製することができ、後者の場合、成形体を作製することができる。本発明におけるフォトクロミック複合体形成用溶液は、酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有し、酸化タングステン粒子及び酸化チタン粒子が分散した分散液であることが好ましい。
酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有する複合体形成用溶液は、例えば、酸化タングステンコロイド溶液と酸化チタンコロイド溶液を混合し、混合したコロイド溶液に水溶性高分子化合物を混合することにより調製することができる。これらの混合にあたっては、必要に応じて加熱、撹拌、超音波処理等を行う。複合体形成用溶液の調製においては、酸化タングステン粒子と酸化チタン粒子を複合体形成用溶液中に均一に分散させるために、酸化タングステンのコロイド水溶液と酸化チタンのコロイド水溶液を用いることが好ましい。酸化タングステンのコロイド水溶液としては、例えば、タングステン酸ナトリウムなどのタングステンの塩の水溶液をイオン交換(Na+ →H+ )したものを用いることができる。酸化タングステンのコロイド水溶液中の濃度としては、特に限定されないが、例えば0.01〜0.60mol/L程度で行うことができ、好ましくは0.01〜0.20mol/L程度で行うことができる。酸化チタンのコロイド水溶液としては、例えば、チタンのアルコキシドを加水分解して得たものを用いることができ、必要に応じてこれを解膠したものを用いることができる。酸化チタンのコロイド水溶液中の濃度としては、特に限定されないが、例えば0.01〜0.60mol/L程度で行うことができ、好ましくは0.01〜0.20mol/L程度で行うことができる。酸化タングステンコロイド水溶液や酸化チタンコロイド水溶液の濃度は、誘導結合プラズマ発光分光分析等によって求めることができる。このようにして調製した酸化タングステンコロイド水溶液と酸化チタンコロイド水溶液とを混合し、その混合コロイド水溶液に水溶性高分子化合物を混合する。複合体形成用溶液中の水溶性高分子化合物の濃度は、複合体を形成できる限り特に限定されないが、例えば、0.1〜10重量%程度とすることができる。さらに、必要に応じてヒドロキシ基を有する水溶性化合物を混合する。複合体形成用溶液中のヒドロキシ基を有する水溶性化合物の濃度は、複合体を形成できる限り特に限定されないが、例えば、0.1〜10重量%程度とすることができる。複合体形成用溶液中の各成分の配合比は、上記複合体中の各成分の配合比と同様である。
上記で調製した複合体形成用溶液を用いて、従来公知の方法によりフォトクロミック複合体を作製することができる。たとえば、フォトクロミック膜を作製する場合、ガラスやテフロン(登録商標)基板上に、従来公知の方法により複合膜形成用溶液を塗布、印刷などの手段により成膜し、次いで乾燥してゲル化させることにより作製することができる。乾燥の条件はアルコール類が蒸発しない温度で乾燥すればよく、常圧下、室温〜40℃の温度範囲で乾燥してもよいし、蒸発しにくいアルコール類を用いれば加熱乾燥してもよい。膜の作製に用いる基材は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラスや金属等の無機基材や、樹脂等の有機基材を含む従来公知の基材を用いることができる。本発明のフォトクロミック複合膜は、耐久性に十分な厚みを有しているが、さらに耐久性を高めるためや、ガラス等との接着性などの新たな物性を得ることを目的として、保護層や接着層等のその他の層を設けることができる。その他の層を設ける場合、当該層は、本発明の複合膜の上部及び/又は下部に設けられてよいが、当該その他の層の組成物を本発明の複合膜の構成成分と同時に塗布して成膜してもよい。また、フォトクロミック成形体を作製する場合、上記で調製した複合体形成用溶液を型枠内に流し込み、これを乾燥させることにより、所定の形状の成形体を作製することができる。型枠に使用する基材や乾燥温度等は、膜の作製の場合と同様である。本発明のフォトクロミック複合体、例えばフォトクロミック膜やフォトクロミック成形体は、紫外線によるフォトクロミズム性に優れるので、暴露している紫外線量を示す紫外線インディケーターとして使用することができる。また、本発明のフォトクロミック膜は、偽造を防止したい対象物に形成すると、太陽光下で発色するため対象物の真贋を判別することができ、偽造防止用に使用することができる。ここで、膜とは、様々なパターンに形成された膜を含み、フォトクロミック複合体形成用溶液を用いて印字することもでき、また複合体を繊維等に埋め込むこともできる。このように、本発明のフォトクロミック複合体形成用溶液やフォトクロミック複合体は、偽造防止に用いるためのフォトクロミック材料として使用することができる。
(WO3ゾルの調製)
Na2WO4・2H2Oを15.831g測りとり水100mLに溶解した。この水溶液90mLをスターラー上で攪拌しながら、塩酸(9.3M)9.5mLを一滴ずつ滴下した。得られた溶液を、あらかじめ洗浄した分画分子量3500の透析膜(12cm)4枚に均等に25mLずつ入れ、1Lの水中で8時間透析し、塩化物イオンを除去して酸化タングステンゾル(WO3ゾル)を得た。なお、水は1時間ごとに新しいものに交換した。ゾル中のWO3濃度は0.16Mであり、WO3粒子の粒子径は10〜20nmの範囲であった。
水180mLに硝酸1.3mL加え、スターラー上で撹拌し、チタンテトライソプロポキシド15mLを滴下後、暗所下において6日間撹拌を続けた。解膠により得られた酸化チタンゾルを分画分子量3500の透析膜(12cm)4枚に25mLずつ均等に入れ1Lの水中で8時間透析操作を行い、酸化チタンゾル(TiO2ゾル)を得た。なお、水は1時間ごとに新しいものに交換した。透析終了時の水のpHは3.96であった。また、硝酸イオンが、8時間の透析により完全に除去されたことをイオンクロマトグラフィーにより確認した。ゾル中のTiO2濃度は0.19Mであり、TiO2粒子の粒子径は10nm以下の範囲であった。
上記で調製したWO3ゾル及びTiO2ゾルをそれぞれ水で希釈して、0.016MWO3ゾルと0.016MTiO2ゾルを調製した。それぞれ10mLずつを混合して20mL溶液(モル比はW:Ti=1:1)とした。この混合ゾル溶液中に水溶性高分子として、メチルセルロース(MC400)を0.4g(2wt%)あるいはポリビニルアルコール(PVA)0.6g(3wt%)を添加し、さらにエチレングリコール(EG)0.027mL(モル比はEG/WO3=3.0となる)を加え、湯浴(55〜63℃)中で撹拌し、超音波処理、さらに撹拌を行って均一溶液を得た。この溶液を、疎水処理を行ったシャーレ(内径:9.5cm)に入れて、40℃で2日間乾燥した。得られたフィルムは透明であった。図1に得られたフィルムの外観の写真を示す。図1(a)は、メチルセルロースを添加した溶液から得られたフィルムであり、図1(b)は、ポリビニルアルコールを添加した溶液から得られたフィルムである。
(フォトクロミックバルク体(塊)の作製)
実施例1と同様にして調製したTiO2ゾルを水で希釈して、0.16MTiO2ゾルを調製した。0.16MWO3ゾルと0.16MTiO2ゾルを10mLずつ混合して20mL溶液(モル比はW:Ti=1:1)とした。さらに、混合するWO3ゾルとTiO2ゾルの体積比を変えることで、W:Ti=1:3、W:Ti=3:1の混合ゾル20mLを調製した。それぞれの混合ゾル溶液中に水溶性高分子として、メチルセルロース(MC400)を0.4g(2wt%)添加し、湯浴(55〜63℃)中で撹拌し、超音波処理、さらに撹拌を行って均一溶液を得た。また、前記モル比がW:Ti=1:1の混合ゾルにメチルセルロース(MC400)を添加したものに、さらにエチレングリコール(EG)0.27ml(モル比EG/WO3=3.0となる)を加え、湯浴(55〜63℃)中で撹拌し、超音波処理、さらに撹拌を行って均一溶液としたものも調製した。得られた溶液を、それぞれ疎水処理を行ったビーカー(内径3.5cm)に移して40℃で2日間乾燥した。いずれも白色の塊となったが、EGを添加した場合は柔軟性の高いソフトな塊であった。図2に得られた塊の外観の写真を示す。図2(a)は、モル比W:Ti=1:1であり、メチルセルロースを添加した溶液[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:1)]から得られた塊であり、図2(b)は、モル比W:Ti=1:1であり、メチルセルロースとエチレングリコールを添加した溶液[WO3/TiO2/MC/EG(W:Ti=1:1)]から得られた塊であり、図2(c)は、モル比W:Ti=1:3であり、メチルセルロースを添加した溶液[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:3)]から得られた塊であり、図2(d)は、モル比W:Ti=3:1であり、メチルセルロースを添加した溶液[WO3/TiO2/MC(W:Ti=3:1)]から得られた塊である。
(WO3ゾルの調製)
実施例1と同様にWO3ゾルを調製した。WO3ゾル中のWO3濃度は0.15Mであった。
解膠により得られたTiO2ゾルを分画分子量3500の透析膜(15cm)2枚に49mlずつ均等に入れ、1.75Lの水中で、1日に1回水を交換しながら、3日間透析したこと以外は実施例1と同様にしてTiO2ゾルを得た。TiO2ゾル中のTiO2濃度は0.17Mであった。
上記で調製したWO3ゾル及びTiO2ゾルをそれぞれ水で希釈して、0.14MWO3ゾルと0.14MTiO2ゾルを調製した。それぞれ10mlずつを混合して20ml溶液(モル比はW:Ti=1:1)とした。さらに、混合するWO3ゾルとTiO2ゾルの体積比を変えることで、W:Ti=1:3、W:Ti=3:1の混合ゾル20mlを調製した。それぞれの混合ゾル溶液中に水溶性高分子として、メチルセルロース(MC400)を0.4g(2wt%)を添加し、湯浴(55〜63℃)中で撹拌し、超音波処理、さらに撹拌を行って均一溶液を得た。また、WO3ゾルとTiO2ゾルの混合ゾル(モル比はW:Ti=1:1)にメチルセルロース(MC400)を0.4g(2wt%)添加し、さらにエチレングリコール0.27ml(モル比EG/WO3=3.0となる)を加え、湯浴(55〜63℃)中で撹拌し、超音波処理、さらに撹拌を行って均一溶液としたものも得た。得られた溶液を、それぞれ疎水処理を行ったシャーレ(内径:9.5cm)に入れて、40℃で1日間乾燥しところ、白濁したフィルムが得られた。図3に得られたフィルムの外観の写真を示す。図3(a)は、モル比W:Ti=1:1であり、メチルセルロースを添加した溶液[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:1)]から得られたフィルムであり、図3(b)は、モル比W:Ti=1:1であり、メチルセルロースとエチレングリコールを添加した溶液[WO3/TiO2/MC/EG(W:Ti=1:1、EG/WO3=3.0)]から得られたフィルムであり、図3(c)は、モル比W:Ti=1:3であり、メチルセルロースを添加した溶液[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:3)]から得られたフィルムであり、図3(d)は、モル比W:Ti=3:1であり、メチルセルロースを添加した溶液[WO3/TiO2/MC(W:Ti=3:1)]から得られたフィルムである。
実施例1〜3で得られたフィルム及び塊に対して、ペン型紫外線照射器(アズワンMOS−Cure mini365 UV波長:365nm)を使用して紫外線を照射し、発色の様子を目視で観察した。実施例1〜3で得られたフィルム及び塊のいずれも紫外線を照射することにより青色に発色した。実施例1で得られたフィルムは、フィルム作製に使用した溶液中のWO3及びTiO2の含有量が少ないため、透明であったが、実施例2及び3に比べて発色強度は強くなかった。実施例2で得られた塊における発色の強度は、エチレングリコールを添加したもの(W:Ti=1:1)が一番強く、次に(W:Ti=3:1)と(W:Ti=1:1)がほぼ同程度であり、(W:Ti=1:3)がその次であった。実施例3で得られたフィルムにおける発色の強度も、実施例2と同様に、エチレングリコールを添加したもの(W:Ti=1:1)が一番強く、次に(W:Ti=3:1)と(W:Ti=1:1)がほぼ同程度であり、(W:Ti=1:3)がその次であった。TiO2ゾルの透析時間については、8時間と3日間とで発色の強度に差は認められなかった。
(WO3ゾルとTiO2ゾルの調製)
実施例3と同様に、WO3濃度0.12MのWO3ゾルと、TiO2濃度0.12MのTiO2ゾルを得た。
上記で調製したWO3ゾルとTiO2ゾルをそれぞれ10mLずつ混合した(モル比はW:Ti=1:1)。混合したゾル溶液中に水溶性高分子として、メチルセルロース(MC400)を2.0wt%、あるいはTEMPO酸化CNF(セルロースナノファイバー)0.7wt%を添加し、湯浴(55〜63℃)中で撹拌し、超音波処理、さらに撹拌を行って均一溶液としたものも得た。得られた溶液を、それぞれ疎水処理を行ったシャーレ(内径:9.5cm)に入れて、30℃で46時間乾燥した。白色のフィルムが得られた。ここで、TEMPOとは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルのことである。また、メチルセルロースを添加した溶液から実施例2と同様にして塊(モル比はW:Ti=1:1)を作製した。
実施例4で得られたフィルムに対して、ペン型紫外線照射器(アズワンMOS−Cure mini365 UV波長:365nm)を使用して紫外線を照射した。図4はその結果(発色の様子)を示す写真である。図4(a)は、メチルセルロースを添加した溶液から得られたフィルムの紫外線照射前であり、図4(b)は紫外線照射後である。図4(c)は、TEMPO酸化CNFを添加した溶液から得られたフィルムの紫外線照射前であり、図4(d)は紫外線照射後である。両者共にペン型紫外線照射器による紫外線照射により速やかに青色に発色した。また、実施例4で作製された塊を、晴れの日(雲が50%存在)に太陽光下に置いて発色試験を行った。図5はその結果(発色の様子)を示す写真である。図5(a)は、太陽光照射前であり、図5(b)は、太陽光照射開始10秒後であり、図5(c)は、太陽光照射開始20秒後であり、図5(d)は、太陽光照射開始30秒後であり、図5(e)は、太陽光照射開始1分後である。また、図5(f)は、WO3濃度0.12MのWO3ゾル20mLに、メチルセルロースを2wt%、エチレングリコールを0.45g(エチレングリコール/WO3のモル比は3)を添加して、湯浴(55〜63℃)中で撹拌し、超音波処理、さらに撹拌を行って得られた均一溶液で作製した透明フィルムについての、太陽光照射開始2分後の写真である。本発明のフォトクロミック材料から得られた塊は、太陽光照射開始後10秒で青色の発色が認められ、1分後には濃青色の発色が認められることから、光照射時の応答性が非常に速い。一方、TiO2を含まない透明フィルムでは、光照射開始後2分経っても淡青色の発色しか認められなかった。
実施例4で作製した[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:1)]溶液から得られた塊(厚さ2mm)と、実施例3で作製した[WO3/TiO2/MC/EG(W:Ti=1:1、EG/WO3=3.0)]溶液を100mLビーカー(底面の直径5cm)に入れて40℃で2日間乾燥後に得られた塊(厚さ0.4mm)を、曇天の日(雲が80%存在)に太陽光下に置いて発色試験を行った。図6はその結果(発色の様子)を示す写真である。図6(a)は、太陽光照射前であり、図6(b)は、太陽光照射開始10秒後であり、図6(c)は、太陽光照射開始20秒後であり、図6(d)は、太陽光照射開始1分後である。写真の左側が実施例4の塊である。曇天のために、太陽光照射開始後1分における実施例4の塊は、図5(e)の場合より発色が弱かったが、エチレングリコールを添加した方は濃青色となり光応答性が非常に速かった。
実施例3で作製した、モル比W:Ti=1:1であり、メチルセルロース(MC)を添加した溶液[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:1)]から得られたフィルムと、モル比W:Ti=1:1であり、メチルセルロースとエチレングリコール(EG)を添加した溶液[WO3/TiO2/MC/EG(W:Ti=1:1、EG/WO3=3.0)]から得られたフィルムを、曇天の日(雲が80%存在)に太陽光下に置いて発色試験を行った。両フィルムとも、直径9.5cmのシャーレで乾燥させて得たものであり、おおよそ60μmの厚さを有する。図7はその結果(発色の様子)を示す写真である。図7(a)は、太陽光照射前であり、図7(b)は、太陽光照射開始10秒後であり、図7(c)は、太陽光照射開始1分後であり、写真の左側が[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:1)]の場合、写真の右側が[WO3/TiO2/MC/EG(W:Ti=1:1、EG/WO3=3.0)]の場合である。図7(d)は、太陽光照射開始1分後に、[WO3/TiO2/MC/EG(W:Ti=1:1、EG/WO3=3.0)]の場合のフィルム上に試験開始前から貼っておいた紫色テープをはがした写真である。エチレングリコールを添加した場合、添加しない場合に比べて非常に発色の速さが速く、太陽光照射開始1分後には濃い青色となった(図7(c))。図7(d)から太陽光が照射された部分だけが青色に発色していることが分かる。また、図8には、実施例3と同様に作成した[WO3/TiO2/MC(W:Ti=1:1)]の厚さ約68μmのフィルムに、超高圧水銀ランプ(18mW/cm2)で紫外線を5分照射した後のフィルムと、紫外線を照射する前のフィルムを拡散反射法(測定装置:紫外可視赤外分光光度計、JASCO、日本分光製 V−670、積分球ユニット(ISN−723)で測定した結果を示す。この結果からも本発明の複合体(フィルム)が紫外線の照射により青色に発色することが分かる。
Claims (10)
- 酸化タングステン、酸化チタン及び水溶性高分子化合物を含有するフォトクロミック複合体。
- 水溶性高分子化合物がアルキルセルロースであることを特徴とする請求項1記載のフォトクロミック複合体。
- ヒドロキシ基を有する水溶性化合物(ただし、請求項1記載の水溶性高分子化合物を除く)を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のフォトクロミック複合体。
- ヒドロキシ基を有する水溶性化合物がアルコール類又は有機酸類であることを特徴とする請求項3記載のフォトクロミック複合体。
- アルコール類がエチレングリコールであることを特徴とする請求項4記載のフォトクロミック複合体。
- 請求項1〜5のいずれか記載のフォトクロミック複合体を用いた紫外線インディケーター。
- 酸化タングステン、酸化チタン及び水溶性高分子化合物を含有する偽造防止に用いるためのフォトクロミック材料。
- 酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有するフォトクロミック複合体形成用溶液。
- 酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有する分散液を調製し、前記分散液を基板上に塗布して乾燥することを特徴とするフォトクロミック複合体の製造方法。
- 酸化タングステン粒子、酸化チタン粒子及び水溶性高分子化合物を含有する分散液を調製し、前記分散液を型枠に充填し乾燥することを特徴とするフォトクロミック複合体の製造方法。
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