JP2019137763A - 土壌造粒用添加材 - Google Patents

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Abstract

【課題】土壌の強度(例えば、コーン指数)を向上することができ、かつ、固化処理後の土壌が塊状となりにくく、ふるい等を用いて、土壌から草木、岩石等の不要な廃棄物を選別することが容易となり、さらには、土壌のpHを、例えば、排水基準値である5.8〜8.6の範囲内に収めるなど、中性に近づけることができる土壌造粒用添加材を提供する。【解決手段】無機粉末100質量部、増粘用材料0.01〜25質量部、およびアクリル系高分子0.01〜25質量部を含む土壌造粒用添加材。アクリル系高分子は、好ましくは、アクリルアミド系高分子凝集剤およびアクリル酸塩系吸水性樹脂の中から選ばれる1種以上である。アクリルアミド系高分子凝集剤およびアクリル酸塩系吸水性樹脂の中から選ばれる1種以上は、好ましくは、モノマーとしてアクリル酸またはアクリルアミドを含むアニオン性またはノニオン性の重合体である。【選択図】なし

Description

本発明は、土壌造粒用添加材に関する。
建設汚泥や軟弱土壌等の高含水土壌について、運搬や再利用等を行う際の取り扱いを容易にする目的で、固化材を用いた土壌の固化処理や、篩等を用いた選別を行う場合がある。
土壌に用いられる固化材として、例えば、特許文献1には、(A)合成水溶性高分子と天然水溶性高分子との混合物が0.2〜10重量部、(B)無機物粉末および/または有機物粉末が0.2〜20重量部、および(C)無機系固化剤が10〜200重量部、からなる残土固化処理剤が記載されている。
また、特許文献2には、(A)水性高分子が0.2〜10.0重量部、(B)アルカリ金属イオンを含有する塩類が0.2〜20.0重量部、および、(C)セメントが10〜200重量部、からなる残土改良剤が記載されている。該残土改良材によれば、高強度かつ砂状に残土を改良することができる。
特開平8−333571号公報 特開平8−333573号公報
東日本大震災により大量に発生した津波堆積物や、田畑および山林の除染作業により表層を剥ぎ取った除去土壌には、草木、岩石、廃材等の廃棄物が含まれている。津波堆積物や除去土壌等を盛土等として有効利用する場合、腐植による沈下を避けるために、上記廃棄物を篩等で選別する必要がある。しかし、津波堆積物や除染土壌には多くの水分が含まれることから、津波堆積物等に含まれている土壌が団粒化し、篩等を用いて選別することは困難である。また、固化材を用いて土壌を固化した場合、固化した土壌が塊状となり、該土壌から草木、岩石等の不要な廃棄物を選別することが困難となったり、再利用を行う前に、塊状の土壌を再度粉砕しなければならないことがある。
そこで、本発明の目的は、土壌の強度(例えば、コーン指数)を向上することができ、固化処理後の土壌が塊状となりにくく、かつ、篩等を用いて、該土壌から草木、岩石等の不要な廃棄物を選別することが容易となり、さらには、土壌のpHを、例えば、排水基準値である5.8〜8.6の範囲内に収めるなど、中性に近づけることができる土壌造粒用添加材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、無機粉末100質量部、増粘用材料0.01〜25質量部、およびアクリル系高分子0.01〜25質量部を含む土壌造粒用添加材によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[11]を提供するものである。
[1] 無機粉末100質量部、増粘用材料0.01〜25質量部、およびアクリル系高分子0.01〜25質量部を含むことを特徴とする土壌造粒用添加材。
[2] 上記無機粉末は、ブレーン比表面積が1,500cm/g以上で、かつ、炭酸カルシウム粉末、半水石膏、無水石膏、ベントナイト、ゼオライト、珪石粉末、石炭灰、頁岩粉末、セピオライト、活性炭、活性白土、珪藻土、およびドロマイトの中から選ばれる1種以上である前記[1]に記載の土壌造粒用添加材。
[3] 上記増粘用材料が、天然材料に由来する増粘多糖類、およびセルロース系増粘剤の中から選ばれる1種以上である前記[1]又は[2]に記載の土壌造粒用添加材。
[4] 上記増粘用材料は、水溶液中の濃度が1質量%になる量で水に溶解させた時点から1時間経過した時点における水溶液(20℃)の粘度が500mPa・s以上になるものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の土壌造粒用添加材。
[5] 上記アクリル系高分子が、アクリルアミド系高分子凝集剤およびアクリル酸塩系吸水性樹脂の中から選ばれる1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の土壌造粒用添加材。
[6] 上記アクリルアミド系高分子凝集剤およびアクリル酸塩系吸水性樹脂の中から選ばれる1種以上が、モノマーとしてアクリル酸またはアクリルアミドを含むアニオン性またはノニオン性の重合体である前記[5]に記載の土壌造粒用添加材。
[7] 上記増粘用材料と上記アクリル系高分子の質量比(増粘用材料/アクリル系高分子)が、0.10〜70である請求項1〜6のいずれか1項に記載の土壌造粒用添加材。
[8] 強度促進剤として、普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、酸化マグネシウム、生石灰、消石灰、および早強ポルトランドセメントの中から選ばれる1種以上を0.5〜100質量部含む前記[1]〜[6]のいずれかに記載の土壌造粒用添加材。
[9] 前記[1]〜[8]のいずれかに記載の土壌造粒用添加材を、処理対象物である土壌に添加して混合し、上記土壌が造粒されてなる改質された土壌を得る添加材添加工程、
を含むことを特徴とする土壌改質方法。
[10] 上記土壌が、地盤工学会規準「JGS 0051−2009(地盤材料の工学的分類方法)」における、有機質火山灰土、火山灰質粘性土I型、または火山灰質粘性土II型である前記[9]に記載の土壌改質方法。
[11] 上記添加材添加工程の後に、上記改質された土壌を、目開き寸法が20〜60mmの篩を用いて、篩分けして、上記篩を通過する細粒分の割合を算出する篩分け工程、および、上記篩分け工程で得た細粒分の割合の適否を評価して、上記土壌造粒用添加材中の増粘用材料およびアクリル系高分子の少なくともいずれか一方の割合を調整する添加材組成調整工程、を含む前記[9]または[10]に記載の土壌改質方法。
本発明の土壌造粒用添加材によれば、土壌の強度(例えば、コーン指数)を向上することができ、固化処理後の土壌が塊状となりにくく、かつ、篩等を用いて、該土壌から草木、岩石等の不要な廃棄物を選別することが容易となり、さらには、土壌のpHを、例えば、排水基準値である5.8〜8.6の範囲内に収めるなど、中性に近づけることができる。
本発明の土壌造粒用添加材は、無機粉末100質量部、増粘用材料0.01〜25質量部、およびアクリル系高分子0.01〜25質量部を含むものである。
本発明で用いられる無機粉末の例としては、炭酸カルシウム粉末、半水石膏、無水石膏、ベントナイト、ゼオライト、珪石粉末、石炭灰、頁岩粉末、セピオライト、活性炭、活性白土、珪藻土、およびドロマイト等が挙げられる。中でも、改質された土壌を、特定の目開きの篩を用いて篩分けを行った場合における、篩を通過する細粒分の割合(以下、「細粒分通過率」ともいう。)をより大きくする観点(換言すると、改質された土壌が塊状になりにくくなる観点)から、炭酸カルシウム粉末が好適である。
無機粉末は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の土壌造粒用添加材は、無機粉末を含むことで、改質された土壌のコーン指数を大きくすることができる。
なお、本明細書において、「無機粉末」には、後述する強度促進剤(普通ポルトランドセメント等)は含まれないものとする。
本発明で用いられる無機粉末のブレーン比表面積は、改質された土壌のコーン指数をより大きくする観点から、好ましくは1,500cm/g以上、より好ましくは2,000cm/g以上、さらに好ましくは3,000cm/g以上、特に好ましくは3,500cm/g以上である。
該ブレーン比表面積の上限は、特に限定されないが、容易に入手できる等の観点から、通常、15,000cm/g以下、好ましくは10,000cm/g以下、より好ましくは7,000cm/g以下、特に好ましくは5,000cm/g以下ある。
本発明で用いられる増粘用材料の例としては、天然材料に由来する増粘多糖類や、セルロース系増粘剤等が挙げられる。
これらの増粘用材料を用いることで、改質された土壌のコーン指数及び細粒分通過率を大きくすることができる。
天然材料に由来する増粘多糖類の例としては、グアガム、キサンタンガム、デュータンガム、ウェランガム、カラギナン、ローカストビーンガム、タラガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)およびこれらの誘導体(例えば、カチオン化グアガム)等が挙げられる。中でも、入手が容易であり、改質された土壌のコーン指数をより大きくする観点から、グアガムが好ましい。
セルロース系増粘剤の例としては、セルロース、メチルセルロース及びこれらの誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)等が挙げられる。
増粘用材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増粘用材料を、水溶液中の濃度が1質量%になる量で水に溶解させた時点から1時間経過した時点における水溶液(20℃)の粘度(本明細書中、「粘度」と略すことがある。)は、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1,500mPa・s以上、さらに好ましくは2,000mPa・s以上、さらに好ましくは3,000mPa・s以上、さらに好ましくは4,000mPa・s、特に好ましくは5,000mPa・s以上である。該粘度が500mPa・s以上であれば、改質された土壌のコーン指数をより大きくすることができる。
上記粘度の上限は、特に限定されないが、容易に入手でき、かつ、作業性の向上の観点から、通常、25,000mPa・s以下、好ましくは20,000mPa・s以下である。
本発明の土壌造粒用添加材において、無機粉末100質量部に対する増粘用材料の量は、0.01〜25質量部、好ましくは0.05〜20質量部、より好ましくは0.1〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜12質量部、さらに好ましくは0.8〜10質量部、特に好ましくは0.9〜8質量部である。該量が0.01質量部未満であると、改質された土壌のコーン指数が小さくなる。また、改質された土壌の細粒分通過率が小さくなる(換言すると、改質された土壌が塊状になりやすくなる)。該量が25質量部を超えると、必要以上に固化の程度が大きくなる一方で、増粘用材料の量が過大となることから、増粘用材料のコストが増え、処理コストが過度に大きくなる。
本発明で用いられるアクリル系高分子の例としては、アクリルアミド系高分子凝集剤およびアクリル酸塩系吸水性樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリルアミド系高分子凝集剤やアクリル酸塩系吸水性樹脂の例としては、モノマーとしてアクリル酸またはアクリルアミドを含む、アニオン性またはノニオン性の重合体が挙げられる。具体的には、アニオン性またはノニオン性のポリアクリルアミド、アニオン性またはノニオン性のポリアクリルアミド・(メタ)アクリル酸塩重合体、及び、アニオン性またはノニオン性のポリアクリルアミド・(メタ)アクリル酸塩・AMPS(2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)重合体等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明において、アクリル系高分子の好ましい一例としては、モノマーとしてアクリル酸を含むものが挙げられる。
本発明の土壌造粒用添加材において、無機粉末100質量部に対するアクリル系高分子の量は、0.01〜25質量部、好ましくは0.05〜20質量部、より好ましくは0.1〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜12質量部、特に好ましくは0.8〜10質量部である。該量が0.01質量部未満であると、改質された土壌のコーン指数が小さくなる。また、改質された土壌の細粒分通過率が小さくなる。該量が25質量部を超えると、必要以上に固化の程度が大きくなる一方で、アクリル系高分子の量が過大となることから、アクリル系高分子のコストが増え、処理コストが過度に大きくなる。
本発明において、増粘用材料とアクリル系高分子の質量比(増粘用材料/アクリル系高分子)は、好ましくは0.10〜70、より好ましくは0.12〜40、さらに好ましくは0.14〜20、さらに好ましくは0.15〜10、特に好ましくは0.16〜8である。
該質量比が0.10以上であれば、改質された土壌のコーン指数および細粒分通過率をより大きくすることができる。該質量比が70以下であれば、土壌造粒用添加材の製造、及び、該添加材を用いた土壌改質方法における該添加材の土壌への添加と混合を、より容易に行うことができる。
本発明の土壌造粒用添加材は、改質された土壌のコーン指数および細粒分通過率をより大きくする目的で、強度促進剤を含むことができる。
強度促進剤の例としては、普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、酸化マグネシウム、生石灰、消石灰、および早強ポルトランドセメント等が挙げられる。強度促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、普通ポルトランドセメント、および早強ポルトランドセメントとしては、これらのセメントを含むセメント系固化材の形態のものも用いることができる。
セメント系固化材に含まれるセメント以外の材料が、上述の無機粉末に該当する場合、当該セメント以外の材料は、上述の無機粉末の一部を構成するものとする。
無機粉末100質量部に対する強度促進剤の量は、強度促進剤の種類によっても異なるが、好ましくは0.5〜100質量部、より好ましくは1〜90質量部、さらに好ましくは2〜80質量部、さらに好ましくは3〜40質量部、特に好ましくは4〜30質量部である。該量が0.5質量部以上であれば、改質された土壌のコーン指数および細粒分通過率をより大きくすることができる。該量が100質量部以下であれば、改質された土壌のpHを、より中性に近づけることができる。
本発明の土壌造粒用添加材は、改質された土壌の溶出検液のpHを、排出基準値である5.8〜8.6を満たすものとする目的で、pH調整剤を含むことができる。改質された土壌の溶出検液のpHが上記数値範囲内であれば、改質された土壌の用途が制限されることがない。
pH調整剤の例としては、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、みょうばん、塩化第一鉄、塩化第二鉄、クエン酸もしくはその塩、およびグルコン酸もしくはその塩等が挙げられる。pH調整剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機粉末100質量部に対するpH調整剤の量は、改質された土壌の溶出検液のpHを、排出基準値である5.8〜8.6を満たすようにする観点から、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは1〜40質量部、特に好ましくは2〜30質量部である。
pH調整剤を用いなくても、改質された土壌の溶出検液のpHが5.8〜8.6の範囲内に収まる場合には、pH調整剤は用いなくてもよい。
本発明の土壌改質方法は、上述した土壌造粒用添加材を、処理対象物である土壌に添加して混合し、上記土壌が造粒されてなる改質された土壌を得る添加材添加工程、を含むものである。
なお、本明細書における造粒とは、処理対象物である土壌に、上述した土壌造粒用添加材(もしくは土壌造粒用添加材を含むスラリー溶液)を添加して混合すること(具体的には、ミキサーの種々の形状の羽根が回転すること等)によって、処理対象物である土壌と土壌造粒用添加材が、混合、せん断、転動され、圧密作用が起こることで、土壌中の間隙水の吸水や増粘が起こったり、土粒子と土粒子の架橋形成が進行することで、微小粒(粒度0.1mm以上)が生成することと定義する。
処理対象物である土壌としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(a)建設汚泥
(b)軟弱土壌
(c)掘削土
(d)地盤工学会規準「JGS 0051−2009(地盤材料の工学的分類方法)」における、岩石質材料;石分まじり土質材料;細粒分まじり礫、細粒分まじり砂等の粗粒土;シルト、粘土、有機質土(例えば、有機質粘土、有機質火山灰土)、火山灰質粘性土(例えば、火山灰粘性土I型、火山灰粘性土II型)等の細粒土
中でも、本発明の効果をより大きく発揮する観点から、地盤工学会規準「JGS 0051−2009(地盤材料の工学的分類方法)」における、有機質火山灰土、火山灰質粘性土I型、または火山灰質粘性土II型が好ましい。
添加材添加工程において、上記土壌の単位体積当たりの土壌造粒用添加材の添加量は、好ましくは10〜300kg/m、より好ましくは15〜200kg/m、特に好ましくは20〜150kg/mである。該添加量が10kg/m以上であると、改質された土壌のコーン指数をより大きくすることができる。該添加量が300kg/m以下であると、処理コストの過度な増大を避けることができる。
土壌造粒用添加材を、処理対象物である土壌に添加して混合する方法は、特に限定されるものではなく、処理対象物である土壌に上述した無機粉末、増粘用材料、アクリル系高分子等の各成分を同時に添加して混合してもよく、あるいは、別々に添加して混合してもよい。また、予め調製した土壌造粒用添加材を、処理対象物である土壌に添加して混合してもよい。
本発明の土壌改質方法は、添加材添加工程の前に、土壌を、目開き寸法が20〜60mmである篩を用いて、篩分けし、篩を通過した細粒分を、添加材添加工程における処理対象物である土壌として用いる前処理工程を含むことができる。前処理工程を行うことで、土壌から、ある程度以上の大きさを有する草木、岩石等の不要な廃棄物を予め除去することで、作業の効率化を図ることができる。
上記篩の目開き寸法は、処理の対象となる土壌の性状に応じて、適宜定めればよい。
本発明の土壌改質方法は、添加材添加工程の後に、改質された土壌を、目開き寸法が20〜60mmの篩を用いて、篩分けして、篩を通過する細粒分の割合を算出する篩分け工程、および、篩分け工程で得た細粒分の割合の適否を評価して、土壌造粒用添加材中の増粘用材料およびアクリル系高分子の少なくともいずれか一方の割合を調整する添加材組成調整工程を含むことができる。
篩分け工程、および、添加材組成調整工程を行うことで、添加材添加工程で得られた、土壌が造粒されてなる改質された土壌を、運搬や再利用等を行うのに最適な形態(粒度)にすることができる。
より具体的には、添加材添加工程の後に、改質された土壌を、目開き寸法が特定の数値(例えば、20mm)である篩を用いて、篩分けして、篩を通過する細粒分の割合(細粒分通過率)を算出し、得られた細粒分通過率が特定の数値(例えば、50質量%未満)であれば、土壌造粒用添加材中の増粘用材料およびアクリル系高分子の少なくともいずれか一方の割合を調整(例えば、大きく)することで、土壌が造粒されてなる改質された土壌の形態(粒度)を調整することができる。
なお、上記篩の目開き寸法や、細粒分通過率は、改質された土壌の運搬方法や再利用の用途に応じて、適宜定めればよい。
改質された土壌の、固化した後の溶出検液のpHは、好ましくは8.6以下、より好ましくは5.8〜8.6(排出基準値)である。該pHが8.6以下であれば、土壌が高アルカリ性になって、周囲の環境に悪影響を与えることを防ぐことができる。
なお、上記溶出検液のpHは、「JGS 0211−2009(土懸濁液のpH試験方法)」に準拠して、測定することができる。
改質された土壌の、固化した後のコーン指数は、好ましくは500kN/m以上、より好ましくは600kN/m以上、さらに好ましくは700kN/m以上、さらに好ましくは800kN/m以上、特に好ましくは900kN/m以上である。
コーン指数が500kN/m以上である改質された土壌は、十分な強度を有することから、盛土用材料や埋立用材料として好適に使用できる。また、この場合、固化処理後の土壌の運搬が容易となる。
なお、本明細書において、コーン指数は、「JIS A 1228:2009(締固めた土のコーン指数試験方法)」に準拠して測定した値である。測定時の対象物の材齢は、処理対象物である土壌と、本発明の土壌造粒用添加材の混合の終了時(混合物の調製終了時)から7日間経過後の時点に定めた。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1)有機質火山灰土(黒ボク土);湿潤密度:1.42g/cm、自然含水比(自然状態における土の含水量):75.7%、pH:6.1、コーン指数:297kN/m、目開き寸法が9.5mmである篩を通過する細粒分の質量割合(以下、「9.5mm篩通過率」と示す。):0質量%、塑性限界:38.4%、液性限界:97.2%
(2)無機粉末;炭酸カルシウム粉末、秩父太平洋セメント社製、ブレーン比表面積:3,890cm/g
(3)増粘用材料A;グアガム、粘度:5,600mPa・s、三晶社製、商品名「グリンステッドグアー8S」
(4)増粘用材料B;メチルセルロース、粘度:17,700mPa・s、松本油脂製薬社製、商品名「マーポローズ ME−350TS」
(5)アクリル系高分子A;アクリルアミド系高分子凝集剤、ポリアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体、アニオン性、三洋化成工業社製、商品名「サンフロックAH−400P」
(6)アクリル系高分子B;アクリルアミド系高分子凝集剤、ポリアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体、ノニオン性、三洋化成工業社製、商品名「サンフロックN−500P」
(7)アクリル系高分子C;アクリル酸塩系吸水性樹脂、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、アニオン性、三洋化成工業社製、商品名「サンフレッシュST−250」
(8)強度促進剤A;普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、ブレーン比表面積:3,350cm/g
(9)強度促進剤B;高炉スラグ微粉末、デイ・シイ社製、商品名「セラメントCR」、ブレーン比表面積:4,050cm/g
(10)強度促進剤C;酸化マグネシウム、太平洋セメント社製、ブレーン比表面積:6,050cm/g
なお、無機粉末および強度促進剤のブレーン比表面積は、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に準拠して測定した値である。
また、増粘用材料の粘度は、増粘用材料を、水溶液中の濃度が1質量%になる量で水に溶解させた時点から1時間経過した時点における水溶液(20℃)の粘度を、ブルックフィールド社製「B型粘度計(HBF)」を用いて測定した値である。
[実施例1〜8]
上記有機質火山灰土(黒ボク土)に、表1に示す種類及び量の材料(無機粉末、増粘用材料、アクリル系高分子、強度促進剤)からなる土壌造粒用添加材を、有機質火山灰土1mあたり50kgとなる量で添加した後、30リットルのホバート社製のミキサーを用いて低速で60秒間混練した後、ミキサーの内壁面に付着した混合物を掻き落とし、さらに、低速で60秒間混練した。なお、各材料は同時に土壌に添加した。
次いで、土壌造粒用添加材を土壌に添加し混合してなる混合物(以下、単に「混合物」という。)を、目開き寸法が9.5mmである篩を用いて篩分けして、目開き寸法が9.5mmである篩を通過する細粒分の質量割合(以下、「9.5mm篩通過率」と示す。)を算出した。
なお、実際の現場で使用される目開き寸法が20〜60mmである篩に代えて、実施例および比較例では、本発明の効果をより明確にする目的で、目開き寸法が9.5mmである篩を使用した。
また、混合物について、「JIS A 1228:2009(締固めた土のコーン指数試験方法)」に準拠して供試体を作製した後、20℃の恒温室内で、密封養生を行い、材齢7日(混合物の調製終了から7日間経過後)におけるコーン指数を測定した。
さらに、コーン指数を測定した後(材齢7日後)の混合物を用いて、「JGS 0211−2009(土懸濁液のpH試験方法)」に準拠して、土壌の溶出検液のpHを測定した。
結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
土壌造粒用添加材の代わりに、表1に示す種類および量の無機粉末及び増粘用材料を添加する以外は実施例1と同様にして混合物を得た。該混合物について、実施例1と同様にして、9.5mm篩通過率を算出し、コーン指数およびpHを測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2019137763

表1から、本発明の土壌造粒用添加材を含む混合物(実施例1〜8)は、9.5mm篩通過率が大きく(82.9〜97.9%)、かつ、コーン指数が大きく(981〜1,684kN/m)、さらには、土壌の溶出検液のpH(7.0〜7.9)が、排出基準値である5.8〜8.6の範囲内であることがわかる。
一方、比較例1〜4の混合物(添加材がアクリル系高分子を含まないもの)は、コーン指数が小さく(69〜238kN/m)、また、9.5mm篩通過率が小さい(0.0〜3.8%)ことがわかる。

Claims (11)

  1. 無機粉末100質量部、増粘用材料0.01〜25質量部、およびアクリル系高分子0.01〜25質量部を含むことを特徴とする土壌造粒用添加材。
  2. 上記無機粉末は、ブレーン比表面積が1,500cm/g以上で、かつ、炭酸カルシウム粉末、半水石膏、無水石膏、ベントナイト、ゼオライト、珪石粉末、石炭灰、頁岩粉末、セピオライト、活性炭、活性白土、珪藻土、およびドロマイトの中から選ばれる1種以上である請求項1に記載の土壌造粒用添加材。
  3. 上記増粘用材料が、天然材料に由来する増粘多糖類、およびセルロース系増粘剤の中から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載の土壌造粒用添加材。
  4. 上記増粘用材料は、水溶液中の濃度が1質量%になる量で水に溶解させた時点から1時間経過した時点における水溶液(20℃)の粘度が500mPa・s以上になるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の土壌造粒用添加材。
  5. 上記アクリル系高分子が、アクリルアミド系高分子凝集剤およびアクリル酸塩系吸水性樹脂の中から選ばれる1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の土壌造粒用添加材。
  6. 上記アクリルアミド系高分子凝集剤およびアクリル酸塩系吸水性樹脂の中から選ばれる1種以上が、モノマーとしてアクリル酸またはアクリルアミドを含むアニオン性またはノニオン性の重合体である請求項5に記載の土壌造粒用添加材。
  7. 上記増粘用材料と上記アクリル系高分子の質量比(増粘用材料/アクリル系高分子)が、0.10〜70である請求項1〜6のいずれか1項に記載の土壌造粒用添加材。
  8. 強度促進剤として、普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、酸化マグネシウム、生石灰、消石灰、および早強ポルトランドセメントの中から選ばれる1種以上を0.5〜100質量部含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の土壌造粒用添加材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の土壌造粒用添加材を、処理対象物である土壌に添加して混合し、上記土壌が造粒されてなる改質された土壌を得る添加材添加工程、を含むことを特徴とする土壌改質方法。
  10. 上記土壌が、地盤工学会規準「JGS 0051−2009(地盤材料の工学的分類方法)」における、有機質火山灰土、火山灰質粘性土I型、または火山灰質粘性土II型である請求項9に記載の土壌改質方法。
  11. 上記添加材添加工程の後に、上記改質された土壌を、目開き寸法が20〜60mmの篩を用いて、篩分けして、上記篩を通過する細粒分の割合を算出する篩分け工程、および、上記篩分け工程で得た細粒分の割合の適否を評価して、上記土壌造粒用添加材中の増粘用材料およびアクリル系高分子の少なくともいずれか一方の割合を調整する添加材組成調整工程、を含む請求項9または10に記載の土壌改質方法。
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