JP2019137638A - 新規nampt阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規nampt阻害剤のスクリーニング方法、新規naprt阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規naprt阻害剤のスクリーニング方法、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法、並びに抗腫瘍剤の処方を補助する方法 - Google Patents

新規nampt阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規nampt阻害剤のスクリーニング方法、新規naprt阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規naprt阻害剤のスクリーニング方法、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法、並びに抗腫瘍剤の処方を補助する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正常細胞とNAPRTが発現している腫瘍細胞の混合細胞集団において、NAPRT発現腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法、及び抗腫瘍剤の処方を補助する方法を提供することを目的とする。【解決手段】正常細胞とNAPRTが発現している腫瘍細胞の混合細胞集団に対し、NAMPT阻害剤、NAPRT阻害剤に加えて、NMNを投与すると、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすことができる。NAPRTが発現している腫瘍を有する哺乳動物個体に対し、NAMPT阻害剤、NAPRT阻害剤に加えて、NMNを投与すると、正常細胞に対する増殖抑制などの副作用を減らすことができる。【選択図】なし

Description

本発明は、新規ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規NAMPT阻害剤のスクリーニング方法、新規ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規NAPRT阻害剤のスクリーニング方法、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法、並びに抗腫瘍剤の処方を補助する方法に関する。
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、生体内のエネルギー代謝系に関与する重要な補酵素である。細胞内NAD合成について、哺乳動物では、図1に示すように、トリプトファン(Trp)を材料としてキノリン酸(QA)を経るde novo合成経路とニコチンアミド(NAM)、ニコチン酸(NA)及びニコチンアミドリボシド(NR)を材料とする3つのサルベージ(salvage)経路の、合計4つの合成経路が知られている。
腫瘍細胞は、これらの経路のうち、主としてニコチンアミドを利用することが見出されており、正常な細胞で利用されるニコチン酸やトリプトファンは、利用され得ないか、または少なくとも細胞の生存に十分な程度までは利用され得ないと考えられている(例えば特許文献1参照)。したがって、ニコチンアミドをニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)に変換する酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)は、腫瘍特異的薬物を選択するための標的分子となっている。例えば、FK866/APO866(例えば、非特許文献1参照)、CHS828/GMX1778およびそのプロドラッグEB1627/GMX1777(例えば、非特許文献2参照)などのNAMPT阻害剤は、抗腫瘍剤として知られている。これらのNAMPT阻害剤によってNAD濃度を低下させると、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性が低下することによってがん細胞が依存する解糖系が抑制され、抗腫瘍作用が生じる。
WO2011/006988
Hasmann and Schemainda,Cancer Res 63(21):7463-7442 Hjarnaaら,Cancer Research 59;5751-5757;Binderup,Bioorg Med Chem Lett 15:2491-2494
本発明は、新規ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規NAMPT阻害剤のスクリーニング方法、新規ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規NAPRT阻害剤のスクリーニング方法、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法、並びに抗腫瘍剤の処方を補助する方法、を提供することを目的とする。
上述したように、腫瘍細胞は、主としてニコチンアミドを利用し、正常な細胞で利用されるニコチン酸やトリプトファンは、利用され得ないか、または少なくとも細胞の生存に十分な程度までは利用され得ないと考えられていた。しかしながら、本願発明者らは、新規NAMPT阻害剤を求めてスクリーニングし、腫瘍細胞に対する効果を確かめる中で、腫瘍細胞を培養する際、ニコチン酸を含有した培地でNAMPT阻害剤を添加しても、抗腫瘍作用が見られない場合があることを見出した。この発見から、本願発明者らは、(1)NADの材料としてニコチン酸を利用できる腫瘍細胞があること(2)そのような腫瘍細胞では、NAMPT阻害剤とともにNAPRT阻害剤を投与しないと、抗腫瘍作用が生じないこと(3)NA欠乏による抗腫瘍効果を観察するアッセイ系では、細胞培養用培地にNAが必要であること、などを明らかにし、本判明の完成に至った。本発明の主な実施態様は以下のとおりである。
(1)本発明の一実施態様は、下記式を有する化合物を有効成分して含有するニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤である。
(2)本発明の一実施態様は、上記NAMPT阻害剤を有効成分して含有する抗腫瘍剤である。この抗腫瘍剤が、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の発現が実質的にない腫瘍に対する薬剤であってもよい。
また、この抗腫瘍剤が、NAMPT阻害剤以外の抗腫瘍剤と共投与されてもよく、この場合、NAMPT阻害剤以外の抗腫瘍剤との合剤であってもよい。また、NAMPT阻害剤以外の抗腫瘍剤が、NAPRT阻害剤であってもよい。
NAPRT阻害剤と共投与される上記抗腫瘍剤は、NAPRTが発現している腫瘍に対する薬剤であってもよい。また、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)と共投与されてもよく、この場合、NMNとの合剤であってもよい。
(3)本発明の一実施態様は、下記式を有する化合物のNAMPT阻害活性を測定する、測定方法である。
(式中、Rは、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
本発明の他の実施態様は、複数種類の上記化合物のNAMPT阻害活性を測定する工程と、NAMPT阻害活性が得られた化合物をNAMPT阻害剤とする工程と、を含むNAMPT阻害剤のスクリーニング方法である。
(4)本発明の一実施態様は、NAPRT阻害剤と共投与される、NAMPT阻害剤である。さらにNMNと共投与されてもよい。
(5)本発明の一実施態様は、NAMPT阻害剤と共投与される、NAPRT阻害剤である。さらにNMNと共投与されてもよい。
(6)本発明の一実施態様は、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤とを有効成分として含有する、抗腫瘍剤である。さらにNMNを含有してもよい。
(7)本発明の一実施態様は、ニコチン酸を含有する細胞培養用培地中で、NAPRTを発現している腫瘍細胞に対してNAMPT阻害剤に加えてNAPRT阻害剤の候補となる化合物を投与する工程と、前記腫瘍細胞の増殖及び/又は生死を調べる工程と、を含む、NAPRT阻害剤のスクリーニング方法である。ニコチン酸の濃度が、1.0μM以上または3.0μM以上であってもよい。培地が、エタノールアミンを含有してもよく、エタノールアミンの濃度が、10.0μM以上または100.0μM以上であってもよい。
(8)本発明の一実施態様は、6−アミノニコチン酸を有効成分して含有するNAPRT阻害剤である。
(9)本発明の一実施態様は、6−アミノニコチン酸を有効成分して含有する抗腫瘍剤である。NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤と共投与されてもよく、この場合、NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤との合剤であってもよい。NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤が、NAMPT阻害剤であってもよい。
NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤と共投与される抗腫瘍剤が、さらにNMNと共投与されてもよく、この場合、NMNとの合剤であってもよい。
この抗腫瘍剤は、NAPRTが発現している腫瘍に対する薬剤であってもよい。
(10)本発明の一実施態様は、下記式を有する化合物のNAPRT阻害活性を測定する、測定方法である。
(式中、R〜Rは、独立して、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
本発明の他の実施態様は、複数種類の上記化合物のNAPRT阻害活性を測定する工程と、NAPRT阻害活性が得られた化合物をNAPRT阻害剤とする工程と、を含むNAPRT阻害剤のスクリーニング方法である。
(11)本発明の一実施態様は、1.0μM以上のニコチン酸及び10.0μM以上のエタノールアミンを含有する細胞培養用培地である。3.0μM以上のニコチン酸及び100.0μM以上のエタノールアミンを含有してもよい。(7)に記載のスクリーニング方法に用いるための培地であってもよい。
(12)本発明の一実施態様は、in vitroにおいて、正常細胞とNAPRTを発現している腫瘍細胞との混合細胞集団において、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法であって、腫瘍細胞に、NAPRT阻害剤、NAMPT阻害剤、及びNMNを投与する工程、を含む方法である。
(13)本発明の一実施態様は、腫瘍を有する哺乳類個体に対して投与する抗腫瘍剤の処方を補助する方法であって、腫瘍患者の生検検体における腫瘍細胞がNAPRTを発現しているかどうか調べる工程と、腫瘍細胞におけるNAPRTの発現レベルが所定レベル以下の場合、薬剤としてNAMPT阻害剤を選択し、発現レベルが所定レベルより高い場合、薬剤としてNAPRT阻害剤、NAMPT阻害剤、及びNMNを選択することを提示する工程と、を含む方法である。
(14)本発明の一実施態様は、NMN類縁体が正常細胞とNAPRTが発現している腫瘍細胞の混合細胞集団に対し、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすかどうかを調べる方法であって、NAMPT阻害剤、NAPRT阻害剤、及びNMN類縁体を正常細胞と腫瘍細胞各々に投与する工程、および、正常細胞と腫瘍細胞各々の増殖及び/又は生死をしらべる工程と、を含み、NMN類縁体が以下の構造式である方法である。
(式中、R1は、水素またはリン酸基であり、R2は、それぞれ独立に、水素または炭素数3〜24のアシル基から選択される基である。)
本発明の他の実施態様は正常細胞とNAPRTが発現している腫瘍細胞の混合細胞集団に対し、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やす薬剤のスクリーニング方法であって、NAMPT阻害剤、NAPRT阻害剤、及びNMN類縁体を正常細胞と前記腫瘍細胞各々に投与する工程、および、正常細胞と前記腫瘍細胞各々の増殖及び/又は生死をしらべる工程と、を含む方法であって、NMN類縁体が以下の構造式である、
(式中、R1は、水素またはリン酸基であり、R2は、それぞれ独立に、水素または炭素数3〜24のアシル基から選択される基である。)
方法である。
正常細胞と腫瘍細胞が培養細胞であって、これらの方法がニコチン酸を含有する培地中で行われてもよく、ニコチン酸の濃度が、1.0μM以上または3.0μM以上であってもよい。
本発明によって、新規ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規NAMPT阻害剤のスクリーニング方法、新規ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤およびそれを含有する抗腫瘍剤、新規NAPRT阻害剤のスクリーニング方法、選択的に前記腫瘍細胞を殺す方法、並びに最適薬剤の選択方法選択を補助する方法、を提供できるようになった。
NADの前駆体とその生体内代謝経路を示した図である。 本発明の実施例で用いられた、TLM118〜TLM121の構造である。 本発明の一実施例において、TLM118処理群及びFK866処理群の腫瘍担持マウスでは、腫瘍体積の増大が抑制されたことを示すグラフである。 本発明の一実施例において、腫瘍細胞又は正常細胞を、3種のNAD前駆体NA,QA,またはNRとFK866をそれぞれFK866の濃度を変えて併用処理し、細胞生存率の変化を測定したグラフである。 本発明の一実施例において、図4のデータの細胞生存率の代わりに、増殖抑制からの回復率を算出して表したグラフである。 本発明の一実施例において、NAPRTが機能している腫瘍細胞における、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤の併用による細胞増殖抑制効果を調べたグラフである。 本発明の一実施例において、NAPRTを発現している腫瘍細胞株では、NMNの同時使用によって、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤とによる細胞増殖抑制が抑圧され、増殖が回復することを示す図である。 本発明の一実施例において、培養液中のエタノールアミンが細胞増殖増強作用を有することを示す図である。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
(1)ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤
本発明の一実施形態であるNAMPT阻害剤は、下記一般式を有する化合物を有効成分として含有する。
特に、図2に示すTLM118〜121が好ましい。
これらのNAMPT阻害剤は抗腫瘍剤として利用できる。腫瘍の種類は特に限定されないが、乳癌、前立腺癌、肺癌、胃癌、結腸・盲腸・直腸等の大腸癌、十二指腸・空腸・回腸等の小腸癌、十二指腸癌、子宮体癌、子宮頚癌、皮膚癌、扁平上皮癌、膀胱癌、膵癌、肝癌、腎癌、精巣癌、卵巣癌、舌癌、食道癌、咽頭癌、喉頭癌、口腔癌、胆嚢癌、頚癌、甲状腺癌、骨癌、脳腫瘍、グリオーマ、中皮腫、肉腫、骨肉腫、線維腫、脂肪腫、粘液腫、軟骨腫、骨腫、血管腫、黒色腫、筋腫、神経腫、神経膠腫、筋肉腫、線維肉腫、乳頭腫、腺腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫などが例示できる。
これらのNAMPT阻害剤を単独で投与する場合、特にニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤と共投与しない場合、治療対象の腫瘍は、NAPRTの発現が正常細胞より低いか、実質的に発現がない腫瘍であることが好ましい。この場合の比較の対象である正常細胞は、腫瘍と同じ組織由来であることが好ましい。
投与方法は特に限定されず、全身投与または局所投与のいずれでもよく、経口投与、非経口投与のいずれであってもよい。非経口投与としては、静脈内投与、動脈内投与、皮下、皮内、筋肉内への投与、腫瘍内への投与などを例示できる。投与量は特に限定されず、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜選択される。
これらのNAMPT阻害剤は、他の抗腫瘍剤と共投与してもよい。NAMPT阻害剤と他の抗腫瘍剤とは、それぞれの単剤として投与してもよく、合剤として投与してもよい。他の抗腫瘍剤の投与量も特に限定されず、NAMPT阻害剤と相加的または相乗的効果が得られるように、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜決定される。なお、本明細書において、共投与とは、それぞれの有効な効果の少なくとも一部が重複するように投与することであって、時間的には前後して投与しても、投与方法が異なっていてもよい。
NAMPT阻害剤と共投与される抗腫瘍剤は、特に限定されないが、NAMPT阻害剤以外の抗腫瘍剤であることが好ましく、NAPRT阻害剤であることが好ましい。NAPRT阻害剤と共投与する場合、治療対象の腫瘍は、NAPRTの発現があるものが好ましい。
NAMPT阻害剤及びNAPRT阻害剤を共投与する場合、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)をさらに共投与することが好ましい。それによって、主に正常細胞に対して増殖を回復させることができるため、正常細胞に対するNAPRT阻害剤による副作用を抑制することができる。NMNと、NAMPT阻害剤またはNAPRT阻害剤は、それぞれの単剤として投与してもよく、合剤として投与してもよい。NMNの投与量も特に限定されず、正常細胞に対するNAPRT阻害剤による副作用を抑制する効果が得られるように、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜決定される。
なお、TLM118〜121は、以下のようにして合成できる。
まず、上記化合物1を公知の方法で合成する(Helvetica Chimica Acta, 2012, vol.95, p.34-42)。次に、化合物1、1H-pyrrolo[3,2-c]pyridine-2-carboxylic acid、及びHATUのDMF溶液をDIEAに徐々に添加した後、アルゴン中、室温で、スターラーで混合する。得られた混合溶液から、カラムクロマトグラフィーで上記化合物TLM118を精製する。TLM119〜121や(2)に後述するTLM118類縁体は、上記化合物1を合成する際に用いるPhCOClの代わりに、フェニル基があらかじめ修飾されたPhCOClを用いることによって合成することができる。
(2)リード化合物を用いた新規NAMPT阻害剤のスクリーニング方法
本発明の一実施形態は、下記式を有する化合物のNAMPT阻害活性を測定する、測定方法である。
(式中、Rは、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
本発明の他の実施形態は、NAMPT阻害剤のスクリーニング方法であって、下記式を有する複数種類の化合物のNAMPT阻害活性を測定する工程と、
(式中、Rは、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)NAMPT阻害活性が得られた化合物をNAMPT阻害剤とする工程と、を含むスクリーニング方法である。
ここで、NAMPT阻害活性を測定する具体的な測定方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、組換えNAMPTタンパク質を作製し、NAMPT反応系に0.01〜10μMの上記化合物を加えた場合のNAMPT活性を測定し、化合物を加えない場合のNAMPT活性と比較することによって、上記化合物のNAMPT阻害活性を測定することができる。簡便に行うため、CycLex NAMPT Colorimetric Assay Kitなどの市販品を用いてもよい。
このようにNAMPT阻害活性を測定する際、上記化合物を用いることによって、TLM118よりNAMPT阻害活性の強い化合物を得ることができる可能性が高くなる。
(3)NAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤の共投与
本願発明者らは、NADの材料としてニコチン酸を利用できる腫瘍細胞があることを見出した。このことから、NAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤を共投与することで、より広範囲の腫瘍に対し、抗腫瘍剤として使用できるようになる。腫瘍の種類は特に限定されず、(1)に例示したものでもよい。
NAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤を共投与する場合、治療対象の腫瘍は、NAPRTが発現している腫瘍であることが好ましく、特に、NADについてNAPRTの活性だけで腫瘍細胞の生存が維持できるレベルになるように、NAPRTが発現していることが好ましい。
本発明の一実施形態は、NAPRT阻害剤と共投与されるNAMPT阻害剤、またはNAMPT阻害剤と共投与されるNAPRT阻害剤、である。これらは単剤であっても合剤であってもよい。単剤の場合、両者の投与方法は同じであっても異なっていてもよい。各阻害剤の投与量は、これらが相乗効果を得られるように、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜決定される。
NAMPT阻害剤は、(1)に上述した化合物であっても、公知のものであってもよい。例えば、AS1604498、AS2334990、AS2292427(以上、アステラス製薬化合物ライブラリー)、GMX1778、STF−118804、P7C3(以上、セレック社)、CHS828などを例示できる。
NAPRT阻害剤は、(5)に後述する化合物であっても、公知のものであってもよい。例えば、2−ヒドロキシニコチン酸などを例示できる。
NAMPT阻害剤及びNAPRT阻害剤を共投与する場合、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)をさらに共投与することが好ましい。それによって、正常細胞に対するNAPRT阻害剤による副作用を抑制することができる。NMNと、NAMPT阻害剤及びNAPRT阻害剤は、それぞれを単剤として投与してもよく、いずれか2つもしくは3つを合剤として投与してもよい。NMNの投与量も特に限定されず、正常細胞に対するNAPRT阻害剤による副作用を抑制する効果が得られるように、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜決定される。
(4)培養細胞を用いた新規NAPRT阻害剤のスクリーニング方法
本発明の一実施形態にかかるNAPRT阻害剤のスクリーニング方法は、ニコチン酸およびNAMPT阻害剤に加え、NAPRT阻害剤の候補となる化合物を含有する細胞培養用培地中で、NAPRTを発現している腫瘍細胞を培養する工程と、腫瘍細胞の増殖及び/又は生死を調べる工程と、を含む。
細胞培養用培地は特に限定されないが、培養細胞に適しているものであればよく、MEM、DMEM、F12、RPMI、またはそれらの混合培地が例示できる。細胞培養用培地に含有しているニコチン酸の濃度は特に限定されないが、細胞がNAMPT阻害剤の存在下で生存できる濃度であることが好ましく、例えば、0.5μM以上であることが好ましく、1.0μM以上であることがより好ましく、3.0μM以上であることがさらに好ましく、10.0μM以上であることがさらに好ましい。また、500.0μM以下であることが好ましく、300.0μM以下であることがより好ましく、100.0μM以下であることがさらに好ましい。この細胞培養用培地が、さらにエタノールアミンを含有することが好ましく、それによって細胞増殖能が向上する。培地中のエタノールアミンの濃度は特に限定されないが、10.0μM以上であることが好ましく、30.0μM以上であることがより好ましく、100.0μM以上であることがさらに好ましい。また、5.0mM以下であることが好ましく、3.0mM以下であることがより好ましく、1.0mM以下であることがさらに好ましい。
NAPRTを発現している腫瘍細胞は特に限定されないが、NAとNAMPT阻害剤の存在下で生存できるレベルでNAPRTを発現していることが好ましい。腫瘍の種類は特に限定されず、(1)に例示したものでもよい。
NAMPT阻害剤は特に限定されず、(3)に述べたものから適宜選択すればよい。その濃度も、技術常識から容易に設定でき、例えば、NAPRTを発現していない腫瘍細胞に対して、増殖しないか、または細胞死を起こさせる最低濃度以上であり、細胞(正常細胞が好ましいが、それに限定されない)に対して非特異的に細胞死を起こさせる最低濃度未満であることが好ましい。具体的には、複数のNAPRTを発現していない腫瘍細胞に対して、増殖しないか、または細胞死を起こさせる最低濃度を測定し、もっとも高い最低濃度以上とする、及び複数の正常細胞に対して、増殖しないか、または細胞死を起こさせる最低濃度を測定し、もっとも低い最低濃度以下とするなどとすることによって、NAMPT阻害剤の濃度を決めることができる。具体的には、0.1〜1000nMが好ましく、1〜100nMがより好ましい。
NAPRT阻害剤の候補となる化合物の濃度も、技術常識から容易に設定でき、例えば、0.1〜1000μMが好ましく、1〜100μMがより好ましい。
腫瘍細胞の増殖及び/又は生死を調べる方法は特に限定されず、公知の技術を用いることができる。例えば、候補となる化合物の処理の前後で、生細胞数を数えればよい。生細胞数は、血球計算板を用いて数えることもできるし、死細胞が混在しているような場合は、WST-8やトリパンブルーで染色することによって、生細胞と死細胞を染め分けて測定することもできる。
候補となる化合物を含有する培地で培養した細胞の増殖抑制または細胞死によって、所定時間後に、当該化合物を含有しない培地で培養したコントロールの細胞より細胞数が減少した場合に、その化合物をNAPRT阻害剤と特定し、所定時間後でもコントロールの細胞と細胞数の変化がない場合に、その化合物をNAPRT阻害剤ではないと特定する。
候補となる化合物は、特に限定されないが、以下の一般式を有する化合物であることが好ましい。
(式中、R〜Rは、独立して、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
(5)NAPRT阻害剤
本発明の一実施形態であるNAPRT阻害剤は、下記一般式を有する化合物を有効成分として含有する。
(式中、R〜Rは、独立して水素、ハロゲン、C1〜3アルキル、C1〜3ハロアルキルからなる群より選択される。)
特に、以下の6−アミノニコチン酸が好ましい。
これらのNAPRT阻害剤は抗腫瘍剤として利用できる。腫瘍の種類は特に限定されず、(1)に例示したものでもよい。
これらのNAPRT阻害剤を単独で投与する場合、特にNAMPT阻害剤と共投与しない場合、治療対象の腫瘍は、NAMPTの発現が正常細胞より低いか、実質的に発現がない腫瘍であることが好ましい。この場合の正常細胞は、腫瘍と同じ組織由来であることが好ましい。
投与方法は特に限定されず、全身投与または局所投与のいずれでもよく、経口投与、非経口投与のいずれであってもよい。非経口投与としては、静脈内投与、動脈内投与、皮下、皮内、筋肉内への投与、腫瘍内への投与などを例示できる。投与量は特に限定されず、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜選択される。
これらのNAPRT阻害剤は、他の抗腫瘍剤と共投与してもよい。NAPRT阻害剤と他の抗腫瘍剤とは、それぞれの単剤として投与してもよく、合剤として投与してもよい。他の抗腫瘍剤の投与量も特に限定されず、NAMPT阻害剤と相加的または相乗的効果が得られるように、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜決定される。
他の抗腫瘍剤は、特に限定されないが、NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤であることが好ましく、NAMPT阻害剤であることが好ましい。この場合、治療対象の腫瘍は、NAMPTの発現があるものが好ましい。
NAMPT阻害剤及びNAPRT阻害剤を共投与する場合、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)をさらに共投与することが好ましい。それによって、正常細胞に対するNAPRT阻害剤による副作用を抑制することができる。NMNと、NAMPT阻害剤またはNAPRT阻害剤は、それぞれの単剤として投与してもよく、合剤として投与してもよい。NMNの投与量も特に限定されず、正常細胞に対するNAPRT阻害剤による副作用を抑制する効果が得られるように、投与方法、腫瘍の種類、患者の条件(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)などに応じて適宜決定される。
(6)リード化合物を用いた新規NAPRT阻害剤のスクリーニング方法
本発明の一実施形態は、下記式を有する化合物のNAPRT阻害活性を測定する、測定方法である。
(式中、R〜Rは、独立して、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
本発明の他の実施形態は、下記式を有する複数種類の化合物のNAPRT阻害活性を測定する工程と、
(式中、R〜Rは、独立して、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
NAPRT阻害活性が得られた化合物をNAPRT阻害剤とする工程と、を含むNAPRT阻害剤のスクリーニング方法である。
ここで、NAPRT阻害活性を測定する具体的な測定方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、組換えNAPRTタンパク質を作製し、NAPRT反応系に0.01〜10μMの上記化合物を加えた場合のNAPRT活性を測定し、化合物を加えない場合のNAPRT活性と比較することによって、上記化合物のNAPRT阻害活性を測定することができる。
このように上記化合物を用いてNAPRT阻害活性を測定することによって、NAPRT阻害活性を有する化合物を得ることができる可能性が高くなる。
(7)腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法、および抗腫瘍剤の選択を補助する方法
本発明の一実施態様は、in vitroにおいて、正常細胞とNAPRTを発現している腫瘍細胞との混合細胞集団において、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法であって、腫瘍細胞に、NAPRT阻害剤、NAMPT阻害剤、及びNMNを投与する工程、を含む方法である。薬剤、特にNMNの濃度を最適化することによって腫瘍細胞に特異的に増殖抑制及び/又は細胞死の効果を及ぼすことができる。一方、NAPRTの発現レベルが所定レベル以下の場合、NAMPT阻害剤を選択し、NAPRT阻害剤及びNMNは選択しなくてもよい。
混合細胞集団とは、細胞レベルで混在していてもよく、腫瘍細胞集団と正常細胞集団が同じ培養系の中に存在していてもよい。培地は、ニコチン酸を含有した、(4)で記載した培地を使用することが好ましい。
本発明の他の実施形態は、腫瘍を有する哺乳類個体に対して投与する抗腫瘍剤の選択を補助する方法であって、腫瘍細胞がNAPRTを発現しているかどうか調べ、発現レベルが所定レベルより高い場合、薬剤として、NAPRT阻害剤、NAMPT阻害剤、及びNMNを選択することを提示する方法である。それによって、正常細胞に対する副作用を少なくし、腫瘍に対して増殖抑制及び/又は細胞死のより大きな効果を及ぼす薬剤の選択を補助することができる。一方、NAPRTの発現レベルが所定レベル以下の場合、NAMPT阻害剤を選択し、NAPRT阻害剤及びNMNは選択しないことを提示しなくてもよい。
腫瘍細胞がNAPRTを発現しているかどうか調べる方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、in vitroの場合、腫瘍特異的抗体と用いたFACSなどで腫瘍細胞だけを濃縮してサンプルとすることができる。in vivoでは、生検サンプルを用いることができ、生検サンプルにおいて、例えばRNAレベルではRT−PCRなど、タンパクレベルでは抗体染色などを用いて発現レベルを調べることができる。間接的ではあるが、腫瘍細胞を培養し、NAMPT阻害剤を投与しても残存し、NAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤を共投与すると増殖抑制及び/又は細胞死が生じることを観察することで、NAPRTを発現していると判断してもよい。
ここで、所定レベルとは、NAMPT阻害剤を投与した時にNAPRTを用いてNADを合成することによって残存できる最小の発現量以上であり、NAPRT阻害剤によって、特異的に阻害されて増殖抑制及び/又は細胞死が生じる最大の発現量以下の範囲にある。
なお、用いるNAMPT阻害剤やNAMPT阻害剤は、上述の選択肢から選ぶことができる。
(8)NMN類縁体
上述のように、NMNは、NAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤とを共投与する際に正常細胞への副作用を少なくし、腫瘍細胞の損傷を特異的にする効果がある。
本発明の一実施形態は、正常細胞とNAPRTが発現している腫瘍細胞に対し、選択的に腫瘍細胞の増殖抑制及び/又は細胞死が生じるかどうかを調べる方法であって、NAMPT阻害剤、NAPRT阻害剤、及び以下の一般式を有するNMNまたはその類縁体を、in vitroで正常細胞と腫瘍細胞に投与する工程、および、正常細胞と腫瘍細胞の増殖及び/又は生死をしらべる工程と、を含む方法である。
[化]
(式中、R1は、水素またはリン酸基であり、R2は、それぞれ独立に、水素または炭素数3〜24のアシル基から選択される基である。)
アシル基のカルボニル炭素に結合している炭化水素基は、炭素数2〜23の直鎖状または分岐鎖状の、飽和または不飽和の炭化水素基となる。
およびRにおける前記アシル基の炭素数は、3〜18であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜6であることが特に好ましい。前記アシル基のカルボニル炭素に結合している炭化水素基の炭素数は、2〜29であり、3〜23であることが好ましく、4〜19であることがより好ましく、5〜15であることが特に好ましい。
本発明の他の実施形態は、NAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤に共投与する薬剤のスクリーニング方法であって、NAPRT阻害剤、NAMPT阻害剤、及び候補となる上記一般式のNMN類縁体を、in vitroで正常細胞とNAPRTが発現している腫瘍細胞に投与する工程、および、それらの細胞の増殖及び/又は生死をしらべる工程と、を含む。
いずれの方法においても、正常細胞と腫瘍細胞は、混合していても、別々の集合体であってもよい。混合していても、例えば、腫瘍細胞特異的なマーカーを同時に使うことによって、選択的に腫瘍細胞の増殖抑制及び/又は細胞死が生じるかどうかを調べることができる。
培地は、ニコチン酸を含有した、(4)で記載した培地を使用することが好ましい。培地に含有させるNAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤は特に限定されず、(3)に例示したものでもよい。NAPRTを発現している腫瘍細胞は特に限定されないが、NAMPT阻害剤の存在下で生存できるレベルでNAPRTを発現していることが好ましい。腫瘍の種類は特に限定されず、(1)に例示したものでもよい。
細胞の増殖及び/又は生死を調べる方法は特に限定されず、公知の技術を用いることができる。例えば、候補となる化合物の処理の前後で、生細胞数を数えればよい。生細胞数は、血球計算板を用いて数えることもできるし、死細胞が混在しているような場合は、WST-8やトリパンブルーで染色することによって、生細胞と死細胞を染め分けて測定することもできる。
スクリーニング方法においては、候補となるNMN類縁体を含有する培地で培養した細胞の増殖抑制または細胞死によって、所定時間後に、腫瘍細胞について、そのNMN類縁体を含有しない培地で培養したコントロールの腫瘍細胞より細胞数が減少し、正常細胞について、そのNMN類縁体を含有しない培地で培養したコントロールの正常細胞と細胞数がほぼ変わらない場合に、その化合物をNAPRT阻害剤と特定し、所定時間後でもコントロールの細胞と細胞数の変化がない場合に、その化合物をNAPRT阻害剤とNAMPT阻害剤に共投与する薬剤とする。このスクリーニング方法によって、選択的に腫瘍細胞の増殖抑制及び/又は細胞死を生じさせることのできる薬剤の組み合わせを選択することができる。
このように上記化合物を用いて正常細胞と腫瘍細胞の増殖及び/又は生死をしらべることによって、選択的に腫瘍細胞の増殖抑制及び/又は細胞死を生じさせることのできる薬剤を容易に得ることができるようになる。
(1)TLM118の合成
TLM118は、以下のようにして合成した。
まず、上記化合物1を公知の方法で合成する(Helvetica Chimica Acta, 2012, vol.95, p.34-42)。次に、化合物1(72mg,0.246mmol,1eq.)、1H-pyrrolo[3,2-c]pyridine-2-carboxylic acid (41mg,0.246mmol,1eq.)、及びHATU(94mg,0.246mmol,1eq.)のDMF溶液をDIEA(64μL,0.369mmol,1.5eq.)に徐々に転嫁した後、アルゴン中、室温で12時間、スターラーで混合した。得られた混合溶液を真空で濃縮した。その後、シリカゲル(10%メタノール―90%DCM)カラムクロマトグラフィーで精製し、30mgの上記化合物TLM118が得られた(収率30%)。
1H NMR (500 MHz; CD3OD): δ8.86 (s, 1H), 8.20 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.47-7.42 (m, 4H), 7.37-7.35 (m, 2H), 4.59 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 3.68 (d, J = 10 Hz, 1H), 3.40 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.06 (t, J = 10 Hz, 1H), 2.82 (t, J = 10 Hz, 1H), 1.84 (d, J = 10 Hz, 1H), 1.67-1.59 (m, 5H), 1.47-1.33 (m, 5H).
13C NMR (500 MHz; CD3OD):
δ163.0, 145.5, 141.8, 141.6, 137.4, 130.9, 129.7, 126.3, 108.8, 103.3, 79.5, 43.7, 40.6, 37.14, 37.09, 33.9, 33.1, 30.7, 25.0
(2)TLM118及びその類縁体のNAMPT阻害活性
本実施例では、TLM118がNAMPT阻害活性を有することを示す。
具体的には、TLM118について、Cyclex NAMPT Colorimetric Assay Kit (Cyclex)を用いて、0.03〜10μMの範囲でNAMPT阻害活性を測定し、IC50を算出した。コントロールとして、従来からよく知られているNAMPT阻害化合物であるFK866を用いた。
その結果、FK866及びTLM118は濃度依存的にNAMPT活性を阻害し、IC50は、それぞれ、0.62及び0.19μMであった。
このように、TLM118は、FK866に比較して、強力なNAMPT阻害活性を有する。
(3)TLM118及びその類縁体の細胞増殖抑制効果(in vitro)
本実施例では、培養ヒト腫瘍細胞を用いて、図2に示すTLM118〜121の化合物が細胞増殖抑制活性を有することを示す。
ヒト膵臓腺癌細胞株PANC1、ヒト大腸がん細胞株HCT116、非小胞性肺がん細胞株NCI-H522、急性白血病細胞株Jurkatは、American Type Collection (ATCC)から購入した。培地として、PANC1細胞及びHCT116細胞は、D−MEM(High-glucose)(Wako, Cat #043-30085)を、NCI-H522及びJurkatは、RPMI−1640を用いた。それぞれの培地に、10%FBS(Biosera, Cat # FB-1061/500)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Wako, Cat #168-23191)を追加し、37℃、5%COの条件で培養した。
まず、96ウエルのディッシュにPANC1を2000個/ウエルで、HCT116及びNCI-H522は1000個/ウエルの濃度で播種し、37℃、5%COの条件で16〜24時間培養した後、TLM118〜121を0.1nM〜30μMの範囲で培地に添加した。その後72時間さらに培養し、WST-8試薬を添加して細胞生存率を測定した。
その結果、FK866、TLM118〜121は、濃度依存的に腫瘍細胞の増殖を阻害し、EC50は、それぞれ、5.0μM、26nM,24nM、20nM、18nMであった。
次に、FK866及びTLM118については、コロニー・フォーミング・アッセイを行って腫瘍細胞の増殖阻害活性を確認した。PANC1細胞を6ウエルのディッシュに400個/2mL/ウエルで播種し、37℃、5%COの条件で16〜24時間培養した後、薬剤処理を行った。薬剤処理後10日間培養を行い、細胞を4%中性緩衝ホルマリン溶液で固定、0.1%(w/v)クリスタルバイオレットで染色した。洗浄、風乾後、コロニー数を計測してコロニー形成能を算出した。
その結果、FK866及びTLM118は、コロニー・フォーミング・アッセイにおいても、濃度依存的に腫瘍細胞の増殖を阻害し、EC50は、それぞれ、18、5.4nMであった。
このように、TLM118及びその類縁体である化合物(II)、(III)は、FK866に比較して、強力な腫瘍細胞の増殖阻害活性を有する。
(4)TLM118の制がん効果(in vivo)
本実施例では、担がんモデルマウスを用いて、TLM118が抗腫瘍活性を有することを示す。
免疫不全ヌードマウスであるBALB/cAJcl-nu/nu (日本クレア)を搬入後1週間順化し、PANC1細胞を1×10個/100μL/個体で移植することで担癌マウスを作出した。その後、腫瘍体積が約35cmに成長した時(実験開始時とする)、TLM118を1日2回4日間連続で投与した。以後、28日目まで、週に2回、腫瘍体積と体重を測定した。
その結果、図3に示すように、化合物非投与(NT)群、TLM118処理群、FK866処理群のいずれにおいても、マウスの体重減少は見られなかった(図3A)。一方、腫瘍体積はNT群で実験開始時の2.5倍まで増大したのに対し、TLM118処理群、FK866処理群では腫瘍体積の増大が見られなかった(図3B)。
このように、in vivoにおいても、TLM118は、FK866と少なくとも同じレベルの抗腫瘍効果を示す。
(5)腫瘍細胞におけるNAD生合成経路
本実施例では、ヒト腫瘍細胞の中で、NAPRTが機能している腫瘍細胞があることを示す。
腫瘍細胞のモデルとして、ヒト肺腺がん細胞株NCI-H522及びヒト大腸がん細胞株HCT116を、正常細胞のモデルとして、ヒト網膜上皮由来細胞株ARPE-19を、ATCCから購入した。培地として、NCI-H522細胞は、RPMI−1640(Wako, Cat #189-02025)、HCT116細胞は、D−MEM(High-glucose)(Wako, Cat #043-30085)、ARPE-19細胞は、D−MEM/Ham’s F12(Wako, Cat #042-30555)を用いた。それぞれの培地に、10%FBS (Biosera, Cat # FB-1061/500)及びペニシリン/ストレプトマイシン (Wako, Cat #168-23191)を追加し、37℃、5%COの条件で培養した。3〜4日おきに継代培養を行った。
これらの細胞に、濃度を段階的に希釈した3種のNAD前駆体NA,QA,NRとFK866(NCI-H522:8nM、HCT116:26.5nM、ARPE-19:58nM)をそれぞれ併用処理し、細胞生存率をWSTアッセイを用いて評価した(図4)。WSTアッセイは(2)と同様に行った。また、その時の回復率を(対照群-FK866と各前駆体添加群)/(対照群-FK866単剤処理した群)×100(%)として求めた(図5)。斜線で示した領域は、生体内に存在していると考えられている濃度領域であり、NA:10μM、QA:<3μM、NR:3μMである。
その結果、図4及び図5に示すように、NAMPT阻害剤FK866の存在下で、NAを添加した場合、NCI-H522では増殖が回復しないのに対し、HCT116、ARPE-19では、1μMの添加では増殖がほぼ回復した。QAでは、いずれも増殖がほとんど回復しなかった。NRは、いずれの細胞の場合も、NRの濃度依存的に増殖が回復し、生体内での濃度と比べてはるかに高濃度で添加することで、ようやく増殖が回復した。
なお、NCI-H522では、NAMPT阻害剤FK866でNAD濃度が低下し、NA添加によってもNAD濃度は低下したままであるのに対し、HCT116、ARPE-19では、NAMPT阻害剤FK866でNAD濃度が低下するが、NA添加によって増殖が回復するとともに、NAD濃度も回復する。
このように、de novo合成経路とNAM、NA及びNRを材料とする3つのサルベージ経路のうち、NCI-H522では、NAMPTが発現し、NAMを材料とするサルベージ経路が主に機能し、HCT116、ARPE-19では、NAMPT及びNAPRTが発現し、NAM及びNAを材料とするサルベージ経路が主に機能している。
(6)NAPRTが機能している腫瘍細胞における、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤の併用による細胞増殖抑制効果
本実施例では、NAPRTが機能している腫瘍細胞において、NA存在下でも、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤を併用すれば細胞増殖を抑制できることを示す。
HCT116、ARPE-19をFK866(26.5nM)、NA(3μM)、2-HNA(1mM)の様々な組み合わせで処理し、その際の細胞生存率をWSTアッセイで評価した。WSTアッセイは(2)と同様に行った。
その結果、図6に示すように、HCT116、ARPE-19では、NAの存在下で、NAMPT阻害剤であるFK866は細胞増殖抑制効果を失うが、NAPRT阻害剤である2-HNAを追加すると、細胞増殖抑制効果が生じた。
このように、NAPRTが機能している細胞では、NAM及びNAを材料とするサルベージ経路を両方阻害することによって、細胞増殖を抑制することができる。
(7)NMNの併用による、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤とによる細胞増殖抑制の抑圧
本実施例では、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤とNMNを併用すれば、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤とによる細胞増殖抑制が抑圧され、増殖が回復するが、正常細胞のほうが腫瘍細胞より、回復率が高いことを示す。
NAPRTを発現していない腫瘍細胞株(NCI−H552、NCI−H460(NAMPT)、A−549、PC3、MIAPaCa−2、HT1080、T98G、U251.G361、WM−266−4)、NAPRTを発現している腫瘍細胞株(875、Lu139、HCT−116、Colo205、U−87MG、SKOV3、PANC−1)及び正常細胞株(ARPE−10、W138、MRC5、TIG−120、正常ヒト上皮性ケラチノサイト)をNA(3μM)+FK866(26.5nM)、NA(3μM)+FK866(26.5nM)+2−HNA(1mM)、またはNA(3μM)+FK866(26.5nM)+2−HNA(1mM)+1〜100μMのNMNで処理し、その際の細胞生存率をWSTアッセイで評価した。WSTアッセイは(2)と同様に行った。その結果に対し、EC50(nM)を算出した。
図7に示したように、NA+FK866(上段)では、NAPRTを発現していない腫瘍細胞株の細胞生存率は低く、NAPRTを発現している腫瘍細胞株及び正常細胞株では細胞生存率は高かった。NA+FK866+2−HNA(中段)では、NAPRTを発現している腫瘍細胞株及び正常細胞株でも細胞生存率は低くなった。ところが、それにNMNを加えると(下段)、いずれの細胞ともにNMNの濃度依存的に細胞生存率は回復するが、正常細胞のほうがはるかに回復の度合いが強かった。
このように、NMNは、NAMPT阻害剤とNAPRT阻害剤の併用による細胞増殖抑制を抑圧する活性があり、特に正常細胞でその効果は高い。従って、3つの薬剤の併用剤をNAPRTを発現している腫瘍を有する哺乳類個体に投与した時、副作用がより少ない抗腫瘍剤となる。
(8)培地中のエタノールアミンの効果
Lympholyte(登録商標) リンパ球分離溶液(コスモ・バイオ株式会社)を用いて、ヒト末梢血から、リンパ球を回収した。インスリン、トランスフェリン、ヒトアルブミンを含有する市販の無血清リンパ球培養培地を用い、0〜500μMのエタノールアミンを添加して、5%CO,37℃の条件で培養し、96時間、120時間、144時間後に細胞数を計測したところ、図8に示すように、細胞培養液中にエタノールアミンを添加することにより、細胞の増殖が増強された。
このように、エタノールアミンを含有する細胞培養培地を用いることにより、細胞増殖速度を増強することができる。

Claims (43)

  1. 下記式を有する化合物を有効成分して含有するニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤。
  2. 請求項1に記載のNAMPT阻害剤を有効成分して含有する抗腫瘍剤。
  3. ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の発現が実質的にない腫瘍に対する薬剤である、請求項3に記載の抗腫瘍剤。
  4. NAMPT阻害剤以外の抗腫瘍剤と共投与される、請求項3に記載の抗腫瘍剤。
  5. 前記NAMPT阻害剤以外の抗腫瘍剤との合剤である、請求項4に記載の抗腫瘍剤。
  6. 前記NAMPT阻害剤以外の抗腫瘍剤が、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤である、請求項4または5に記載の抗腫瘍剤。
  7. ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)が発現している腫瘍に対する薬剤である、請求項6に記載の抗腫瘍剤。
  8. ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)と共投与される、請求項6または7に記載の抗腫瘍剤。
  9. ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)との合剤である、請求項9に記載の抗腫瘍剤。
  10. 下記式を有する化合物のNAMPT阻害活性を測定する、測定方法。
    (式中、Rは、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
  11. NAMPT阻害剤のスクリーニング方法であって、
    請求項10に記載の化合物の複数種類に対してNAMPT阻害活性を測定する工程と、
    NAMPT阻害活性が得られた化合物をNAMPT阻害剤とする工程と、
    を含むスクリーニング方法。
  12. ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤と共投与される、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤。
  13. さらにニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)と共投与される、請求項12に記載のNAMPT阻害剤。
  14. ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤と共投与される、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤。
  15. さらにニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)と共投与される、請求項15に記載のNAPRT阻害剤。
  16. ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤とニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤とを有効成分として含有する、抗腫瘍剤。
  17. さらにニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を含有する、請求項16に記載の抗腫瘍剤。
  18. ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤のスクリーニング方法であって、
    ニコチン酸を含有する細胞培養用培地中で、NAPRTを発現している腫瘍細胞に対して、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤に加えてNAPRT阻害剤の候補となる化合物を投与する工程と、
    前記腫瘍細胞の増殖及び/又は生死を調べる
    工程と、
    を含むスクリーニング方法。
  19. 前記ニコチン酸の濃度が、1.0μM以上である、請求項19のスクリーニング方法。
  20. 前記ニコチン酸の濃度が、3.0μM以上である、請求項19のスクリーニング方法。
  21. 前記培地が、エタノールアミンを含有する、請求項18〜20のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  22. 前記エタノールアミンの濃度が、10.0μM以上である、請求項22のスクリーニング方法。
  23. 前記エタノールアミンの濃度が、100.0μM以上である、請求項21のスクリーニング方法。
  24. 6−アミノニコチン酸を有効成分して含有するニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤。
  25. 6−アミノニコチン酸を有効成分して含有する抗腫瘍剤。
  26. NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤と共投与される、請求項25に記載の抗腫瘍剤。
  27. 前記NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤との合剤である、請求項26に記載の抗腫瘍剤。
  28. 前記NAPRT阻害剤以外の抗腫瘍剤が、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤である、請求項26または27に記載の抗腫瘍剤。
  29. ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)と共投与される、請求項28に記載の抗腫瘍剤。
  30. ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)との合剤である、請求項29に記載の抗腫瘍剤。
  31. ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)が発現している腫瘍に対する薬剤である、請求項25〜30のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
  32. 下記式を有する化合物のNAPRT阻害活性を測定する、測定方法。
    [化]
    (式中、R〜Rは、独立して、水素、置換されていてもよい炭素原子1〜12個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、置換されていてもよい炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と二重結合1又は2個を有するアルケニル基、置換されていてもよい炭素原子2〜6個と三重結合1又は2個を有するアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいC1〜C12アルコキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボニル基、ホルミル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルカルボキシレート基、置換されていてもよいC1〜C12アルキルアミド基、アミノカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、チオ基、スルホキシル基、及びスルホニル基から成る群から独立して選択され、前記アリール基は、炭素環式アリール基又は複素環式アリール基であり、ここで、前記炭素環式アリールは原子6〜20個を含み、前記複素環式アリールは炭素原子2〜20個と、窒素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれるヘテロ原子1〜5個を含む3〜8員環のアザシクロアルキル基を形成する。置換基における水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基等によって置換されている。)
  33. NAPRT阻害剤のスクリーニング方法であって、
    請求項32に記載の化合物の複数種類に対してNAPRT阻害活性を測定する工程と、
    NAPRT阻害活性が得られた化合物をNAPRT阻害剤とする工程と、
    を含むスクリーニング方法。
  34. 1.0μM以上のニコチン酸及び10.0μM以上のエタノールアミンを含有する細胞培養用培地。
  35. 3.0μM以上のニコチン酸及び100.0μM以上のエタノールアミンを含有する細胞培養用培地。
  36. 請求項18〜23のいずれか1項に記載のスクリーニング方法に用いるための培地である、請求項34または35に記載の培地。
  37. in vitroにおいて、正常細胞とニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)を発現している腫瘍細胞との混合細胞集団において、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすための方法であって、
    前記腫瘍細胞に、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤、NAMPT阻害剤、及びニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を投与する工程、を含む方法。
  38. 腫瘍を有する哺乳類個体に対して投与する抗腫瘍剤の処方を補助する方法であって、
    前記腫瘍患者の生検検体における腫瘍細胞がニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)を発現しているかどうか調べる工程と、
    前記腫瘍細胞におけるNAPRTの発現レベルが所定レベル以下の場合、前記薬剤として、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤を選択し、前記発現レベルが前記所定レベルより高い場合、前記薬剤として、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤、NAMPT阻害剤、及びニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を選択することを提示する工程と、
    を含む方法。
  39. 正常細胞とニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)が発現している腫瘍細胞の混合細胞集団に対し、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)類縁体が腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やすかどうかを調べる方法であって、
    NAMPT阻害剤、NAPRT阻害剤、及び前記NMN類縁体を前記正常細胞と前記腫瘍細胞に投与する工程、および、
    前記正常細胞と前記腫瘍細胞各々の増殖及び/又は生死をしらべる工程と、
    を含み、
    前記ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)類縁体が以下の構造式である方法。
    (式中、R1は、水素またはリン酸基であり、R2は、それぞれ独立に、水素または炭素数3〜24のアシル基から選択される基である。)
  40. 正常細胞とニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)が発現している腫瘍細胞の混合細胞集団に対し、腫瘍細胞に対して正常細胞の割合を増やす薬剤のスクリーニング方法であって、
    ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)阻害剤、及びニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)類縁体を前記正常細胞と前記腫瘍細胞に投与する工程、および、
    前記正常細胞と前記腫瘍細胞各々の増殖及び/又は生死をしらべる工程と、
    を含む方法であって、
    前記ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)類縁体が以下の構造式である、
    (式中、R1は、水素またはリン酸基であり、R2は、それぞれ独立に、水素または炭素数3〜24のアシル基から選択される基である。)
    方法。
  41. 前記正常細胞と前記腫瘍細胞が培養細胞であって、
    請求項37、39〜40のいずれか1項に記載の方法がニコチン酸を含有する培地中で行われる、方法。
  42. 前記ニコチン酸の濃度が、1.0μM以上である、請求項41の方法。
  43. 前記ニコチン酸の濃度が、3.0μM以上である、請求項41の方法。
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