以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
−建設機械−
図1は本発明の一実施形態に係る建設機械の側面図である。以降、運転席に座った操作者の前方(図1における左側)を旋回体12の前方とする。同図では運転室を一部透視して作業機を図示してある。図1にはいわゆるショートリーチ型油圧ショベルを建設機械として例示している。図示した建設機械は、機体本体10及び機体本体10に取り付けた作業機20を備えている。機体本体10は走行体11及び旋回体12からなる。
走行体11は建設機械の基部構造体をなすものであり、ホイール式の走行体でも良いが本実施形態では左右の履帯13を備えたクローラ式の走行体が用いてある。基部構造体としては、走行体に限らず、船体や地面に固定された架台が用いられる場合もある。左右の履帯13はそれぞれ左右の走行駆動装置14により駆動される。走行駆動装置14は油圧モータと減速機からなる。旋回体12は、走行体11上に旋回輪15を介して設けられており、旋回輪15を旋回モータ(不図示)で駆動することによって、鉛直に延びる軸を中心にして走行体11に対して旋回する。旋回モータは油圧モータであるが、電動モータが用いられる場合の他、油圧モータと電動モータが併用される場合もある。
旋回体12は、旋回フレーム16、運転室17、機械室18、カウンタウェイト19等を備えている。旋回フレーム16は旋回体12のベースフレームであり、旋回体12に搭載される各機器を支持する。運転室17は旋回フレーム16の前部における左右方向の一方側に位置し、本例では左側に位置しているが右側に配置される場合もある。運転室17内には、操作者が座る運転席(不図示)、操作者が操作する操作装置等が配置されている。機械室18は旋回フレーム16における運転室17の後側に配置されている。機械室18には、エンジン(内燃機関)である原動機18a、原動機18aにより駆動される油圧ポンプ18b、車載された各油圧アクチュエータを駆動する作動油を制御するコントロールバルブ、熱交換器類等が収容されている。原動機18aには電動モータが用いられる場合もある。また、図示していないが旋回フレーム16の前部における作業機20を挟んで運転室17と反対側にタンク類が配置してある。タンク類には、燃料タンク、作動油タンク等が含まれる。カウンタウェイト19は作業機20との重量バランスをとる錘であり、旋回フレーム16の後端に支持されている。旋回体12の前後方向と走行体11の走行方向が一致した状態(図1に示した状態)で、カウンタウェイト19は走行体11の後端よりも前方に位置している。これにより旋回体12の最大旋回半径が、例えば走行体11の車幅と同程度かそれよりも若干(例えば20%)大きい程度に抑えられている。そのため作業空間が制限された狭い環境で旋回体12を旋回させたときに、旋回体12の後端が車幅と程度の旋回半径で旋回し周囲物との接触が抑えられるので、結果として旋回操作がし易い操作環境となっている。このような旋回体12を備えた油圧ショベルを後方小旋回機と呼んでいる。このように旋回体12の後端側が制限されていることから、旋回体12上に配置される機器レイアウトは密であり、例えば原動機18aは上から見て旋回輪15に一部重なるように配置されている。
−作業機−
図2は作業機の側面図である。図示したように、作業機20は、ブーム21、アーム22、アタッチメント23、ブームシリンダ24、アームシリンダ25、及びアタッチメントシリンダ26を含む多関節型のフロント作業装置である。
ブーム21は作業機20の基礎構造体であり、後部21a(基端側の部分)に対して屈曲部21bを介して前部21c(先端側の部分)が前傾するように折れ曲がっており、側面視で上に凸のブーメラン型に構成されている。このブーム21は、旋回フレーム16の前部における運転室17の側方(本例では右側)の位置に設けたブラケット16aに、左右に延びるピン21pを介して上下方向に回動自在に連結されている。本実施形態では運転室17の右側にブーム21が配置されているが、運転室17が旋回体12の前部における右側に配置され、運転室17の左側にブーム21が配置される場合もある。アーム22はブーム21と異なり全体として直線的な形状をしており、左右に延びるピン22pを介してブーム21の先端に前後に回動可能に連結されている。アタッチメント23はアーム22の先端に左右に延びるピン23pを介して回動可能に連結されている。アタッチメント23は油圧アクチュエータ27を搭載した作動型の作業具であり、図1及び図2ではアタッチメント23として解体対象物をカニ鋏のように挟んで砕く破砕機をアーム22に装着した場合を例示している。アタッチメント23はブレーカ等の油圧アクチュエータ付きの他の作動型アタッチメントの他、バケット等の油圧アクチュエータを搭載していない非作動型アタッチメントとも交換可能である。
なお、以下の説明において、ブーム21の外壁面のうち作業機20を前に延ばした姿勢で上を向く面(ブーム上げ方向を向いた面)をブーム21の背側面、下を向く面(ブーム下げ方向を向いた面)をブーム21の腹側面と適宜記載する。また、アーム22の外壁面のうち作業機20を前に延ばした姿勢で上を向く面(アームダンプ方向を向いた面)をアーム22の背側面、下を向く面(アームクラウド方向を向いた面)をアーム22の腹側面と適宜記載する。ブーム21の前部21cの左右の側面には、左右から見て前部21cの背側面と腹側面との間に全部が位置するように前照灯28(図2)が設けられている。
ブームシリンダ24はブーム21を駆動して上下に回動させる油圧シリンダであり、ブーム21の左右に1本ずつ設けられている。これら左右のブームシリンダ24の基端部(本例ではボトム側の端部)は、左右に延びるピン24pを介して旋回フレーム16のブラケット16aに回動自在に連結されている。ブームシリンダ24の先端部(本例ではロッド側の端部)は、左右に延びるピン24qを介してブーム21の前部21cの中間部(前照灯28よりも基端側)の側面に回動自在に連結されている。
アームシリンダ25はアーム22を駆動して前後に回動させる油圧シリンダであり、ブーム21及びアーム22の腹側面側(下側)に配置されている。アームシリンダ25はシリンダの受圧面積の比較で出力的に有利な伸長動作時に負荷の大きなアームクラウド動作が行われるようにすることが一般的であるところ、あえて収縮動作によりアームクラウド動作が行われる構成としてある。制約された作業空間での作業範囲を拡大するためである。ブーム21及びアーム22の腹側面側に配置することで、ブーム21やアーム22によって作業時の落下物からアームシリンダ25が保護される。またアームシリンダ25がトンネルの天井等の上方の障害物に干渉することがなく、トンネルの天井付近を掘削する際等にアームシリンダ25が邪魔にならない。このアームシリンダ25の基端部(本例ではボトム側の端部)は、左右に延びるピン25pを介してブーム21の後部21aの腹側面に設けたブラケット21xに回動自在に連結されている。アームシリンダ25の先端部(本例ではロッド側の端部)は、左右に延びるピン25qを介してアーム22の腹側面に設けたブラケット22xに回動自在に連結されている。
アタッチメントシリンダ26はアタッチメント23を駆動して回動させる油圧シリンダであり、本実施形態ではアーム22の背側面側に配置されている。アタッチメントシリンダ26の基端部(本例ではボトム側の端部)は、アーム22の基部側の背側面に左右に延びるピン26pを介して回動自在に連結されている。アタッチメントシリンダ26の基端側を支持するこのピン26pは、アーム22とブーム21とを連結するピン22pよりもアーム22の基端側に位置する。アタッチメントシリンダ26の先端部(本例ではロッド側の端部)は、リンク29を介してアーム22の先端及びアタッチメント23に連結されている。アタッチメントシリンダ26の先端とリンク29は左右に延びるピン26qで連結されている。図示していないが、アーム22の背側面側には、アタッチメントシリンダ26の左右両側及び上側(アーム22と反対側)を覆い保護するカバーが設けられる場合もある。
以上の構成の作業機20は、同程度の車格の一般的な油圧ショベルの作業機に比べて特にブーム21及びアーム22が短尺に構成されており、リーチが短くしてある。例えば、ブーム21の全長(ピン21p、22p間距離)は、機体本体10の全長(走行体11の前後長)より短い。同じくアーム22の全長(ピン22p、23p間距離)も機体本体10の全長より短い。また、ブームシリンダ24の最伸長状態でもブーム21の後部21aが鉛直を越えて後傾することがないように、ブーム21の動作範囲が限定される場合がある。この場合、ブームシリンダ24を伸長させて水平にするとブーム21の前部21cの背側面が、運転室17の上面と同程度の高さとなるように旋回体12上におけるブーム21と運転室17との位置関係が設定されている。ブーム21やアーム22の上方の障害物との干渉を避けるための配慮である。
−配管レイアウト−
作業機20には外壁面に沿って、アームシリンダ駆動回路、アタッチメントシリンダ駆動回路、アタッチメント駆動回路の油圧配管31〜33が敷設されている。アームシリンダ駆動回路はアームシリンダ25を、アタッチメントシリンダ駆動回路はアタッチメントシリンダ26を、アタッチメント駆動回路はアタッチメント23に搭載された油圧アクチュエータ27を駆動する油圧回路である。油圧配管31〜33は固定配管(例えば鋼管)と油圧ホースを継ぎ足して構成されている。油圧配管31〜33の経路のうち作業機20の関節部を跨ぐ部分や油圧アクチュエータに接続する部分のように可撓性を要する部分には油圧ホースが、それ以外の可撓性を必要としない部分には固定配管が用いてある。油圧配管31〜33を構成する各固定配管は、作業機20の外壁面に適所でクランプ装置40により固定されている。
油圧回路の油圧配管31〜33は、先に触れたコントロールバルブを介してそれぞれ対応する油圧アクチュエータと油圧ポンプ18bとを接続している。油圧配管31〜33について、コントロールバルブから対応する油圧アクチュエータまでの経路について説明する。油圧配管31〜33は、コントロールバルブからまずブーム21の後部21aの背側面に沿って取り回される。油圧配管31〜33は、アームシリンダ25と同じく、後述するようにブーム21の前部21cの背側面を避けて敷設され、前部21cの背側面に油圧配管が存在しない構成となっている。
ブーム21の後部21aの背側面に敷設した油圧配管31〜33のうち、アームシリンダ駆動回路の2本の油圧配管31は、屈曲部21bを超えることなく運転室17から目視できるブーム21の左側(運転室17に近い側)の側面に取り回されている。油圧配管31はブーム21の前部21cの左側面におけるピン24q(ブームシリンダ24の先端)よりも背側面側の領域を通り、前照灯28を過ぎてブーム先端(ピン22p)側に所定距離だけブーム21の背側面に沿って直線的に延びる。その後、油圧配管31は腹側面側に転向し、アームシリンダ25のチューブのボトム側とロッド側に1本ずつ接続されている。油圧配管31における旋回体12とブーム21の関節部を跨ぐ部分、及びブーム21からアームシリンダ25に渡る部分は油圧ホース、それ以外の部分は固定配管で構成されている。
アタッチメントシリンダ駆動回路の2本の油圧配管32は、ブーム21の後部21aから屈曲部21bを超えることなくブーム21の右側(運転室17から遠い側)の側面に取り回されている。油圧配管32はブーム21の後部21aの右側面に沿って延び、屈曲部21bで腹側面に取り回され、ブーム21の前部21cの腹側面に沿ってブーム先端方向に延びている。その後、油圧配管32は運転室17から目視できるブーム21の左側(運転室17に近い側)の側面に取り回され、ブーム21とアーム22の関節部を跨いでアタッチメントシリンダ26のチューブのボトム側及びロッド側に1本ずつ接続されている。油圧配管32における旋回体12とブーム21の関節部を跨ぐ部分、及びブーム21からアタッチメントシリンダ26に渡る部分は油圧ホース、それ以外の部分は固定配管で構成されている。
アタッチメント駆動回路の油圧配管33は、ブーム21の後部21aから屈曲部21bを超えることなく、油圧配管31と共に運転室17から目視できるブーム21の左側(運転室17に近い側)の側面に取り回される。油圧配管33はブーム21の前部21cの左側面におけるピン24qよりも背側面側の領域を通り、油圧配管31と共に前照灯28の付近(近接する範囲)までブーム21の背側面に沿って直線的に敷設される(後述する主部35a)。この直線的に延びる部分では、油圧配管33はブーム21の左側面との間に油圧配管31を挟んでレイアウトされており、かつ図3のように左側から見て油圧配管31に重なって配置されている。このように上下に並べるのではなく左右に重ねて配置することで、運転室17から目視できるブーム21の左側面に油圧配管31,33を取り回し、ブーム側面におけるブームシリンダ先端より背側面側の狭い領域に通してある。その後、油圧配管33は、ブーム21とアーム22の関節部を跨ぎ、アーム22の左側面からアーム22の背側面に取り回される。油圧配管33はアーム22の背側面から左右の側面に1本ずつ分かれて取り回され、アーム22の左右の側面に各固定されたストップ弁33vに直線的に最短経路で接続される。図示していないが、油圧配管33はストップ弁33vから更にアーム先端側に延び、アーム22とアタッチメント23の関節部を跨いて油圧アクチュエータ27に接続する。油圧配管33における旋回体12とブーム21の関節部を跨ぐ部分、ブーム21とアーム22の関節部を跨ぐ部分、アーム22から油圧アクチュエータ27に渡る部分は油圧ホース、それ以外の部分は固定配管で構成されている(後述)。次にアタッチメント駆動回路の油圧配管33について補足説明する。
−アタッチメント駆動回路の油圧配管(要部)−
図3は図1の建設機械に備わったアタッチメント駆動回路を構成する油圧配管の要部を表す図である。図2及び図3を参照して分かる通り、アタッチメント駆動回路の油圧配管33は耐圧性を確保するために油圧配管31よりも径(内径及び外径)が太く肉厚に構成してある。この油圧配管33は、ブーム固定管35、アーム固定管36(図2)及び油圧ホース37を含んで構成されている。油圧配管33におけるブーム21とアーム22の関節部を跨ぐ部分が油圧ホース37、ブーム21の外壁面に沿って油圧ホース37に至るまでの経路がブーム固定管35、油圧ホース37よりもアーム側の経路がアーム固定管36である。
ブーム固定管35はブーム21の外壁面に沿って固定された可撓性に乏しい硬質の配管(例えば鋼管)であり、ブーム21の外壁面のみにクランプ装置40によって固定されている。このブーム固定管35は作業機20の関節を跨いだり油圧アクチュエータに直接接続したりすることはなく、旋回体12側の端部がブーム21と旋回体12の関節部を跨ぐ油圧ホース(不図示)に接続し、ブーム先端側端部35bが油圧ホース37に接続している。本願明細書では、ブーム固定管35の経路のうちブーム21の左側(運転室17に近い側)の側面においてブーム21の背側面に沿って直線的に延びる部分(図3に示した部分)を便宜的に主部35aと呼ぶ。製作誤差等は許容されるが、本例では主部35aはブーム21の背側面に対して平行にブーム21の左側の側面に配管してある。ブーム固定管35における油圧ホース37に接続するブーム先端側端部35bは、作業機20の左右方向における運転室17に近い左側面のみに位置しており、主部35a(背側面)に対しブーム21の先端に向かってブーム21の腹側面側に角度θで屈曲している。角度θは、左から見て主部35a(中心線L1を図3に点線で図示)とブーム先端側端部35b(中心線L2を図3に点線で図示)とがなす角すなわち挟角(180°未満)であり、本実施形態では135°より大きく設定してある。本実施形態では、中心線L2はアーム22の回動動作に伴ってアーム固定管36のアーム基端側端部が描く軌道円Rの接線又はそれに沿って延びる線である。
アーム固定管36はアーム22の外壁面に沿って固定された可撓性に乏しい硬質の配管(例えば鋼管)であり、アーム22の外壁面のみにクランプによって固定されている。このアーム固定管36も作業機20の関節を跨いだり油圧アクチュエータに直接接続したりすることはなく、そのアーム基端側端部(不図示)が油圧ホース37に接続し、アタッチメント側のアーム先端側端部がストップ弁33vに接続している。アーム固定管36の油圧ホース37に接続するアーム基端側端部(中心線L3を図2に点線で図示)は、作業機20の左右方向における運転室17に近い左側面のみに位置し、アーム22の腹側面側に開口を向けた姿勢で固定されている。中心線L3はアーム22の回動動作に伴ってアーム固定管36のアーム基端側端部が描く軌道円Rの接線又はそれに沿って延びる線である。
油圧ホース37はブーム21及びアーム22の連結部を跨いで敷設された可撓性の油圧配管である。油圧ホース37は、作業機20に対して運転室17に近い側(本例では左側)のみに全部が配置されており、ブーム固定管35のブーム先端側端部35b及びアーム固定管36のアーム基端側端部を接続している。この油圧ホース37は両端がブーム固定管35及びアーム固定管36に配管継手37aを介して支持されており、ブーム固定管35及びアーム固定管36との接続部間はブーム21やアーム22といった構成部材に固定することなくフリーな状態としてある。前述した通りアームシリンダ駆動回路の油圧配管32もブーム21とアーム22の関節部を跨ぐ部分は油圧ホースで構成されているが、油圧ホース37はそれより内径及び外径とも大きく肉厚で許容曲げ半径も大きい。大型のアタッチメント23を駆動する油圧アクチュエータ27を作動させる大流量を通すことができる構成とするためである。
油圧ホース37の配管態様について詳しく説明すると、まず油圧ホース37の先端部(アーム固定管36との接続端部)は、アーム22の背側面方向に開口を向けた姿勢でアーム固定管36に接続されている。アーム固定管36との接続部において、油圧ホース37の管中心線はアーム固定管36の上記中心線L3に一致している。油圧ホース37の先端部とアーム22の回動支点(ピン26p)との距離すなわち軌道円Rの半径は、油圧ホース37の許容曲げ半径が確保できる範囲で極力小さく設定してある。アタッチメント23と油圧ホース37との距離をなるべく長く確保し、破砕物や障害物等が油圧ホース37に干渉する可能性を下げるためである。
他方、油圧ホース37のブーム固定管35との接続部(基端部)において、油圧ホース37の管中心線はブーム固定管35の上記中心線L2に一致している。つまり、油圧ホース37の基端部は上記の軌道円Rの接線に沿いかつブーム21の屈曲部21bに向かってブーム21の背側面側に傾斜した方向に開口を向けた姿勢でブーム固定管35に接続されている。また油圧ホース37の基端部とアーム22の回動支点(ピン26p)との距離は軌道円Rの半径より長く、油圧ホース37の基端部は軌道円Rよりもブームシリンダ24の先端(ピン24q)や前照灯28の近くに位置している。特に本実施形態では、油圧ホース37の基端部の延在方向(中心線L2)が、左右方向から見てブーム21の前部21cにおける背側面に直交する方向よりも前部21cの延在方向に近付くように傾斜して配置されている。具体的には、油圧ホース37の基端部の管中心線(=中心線L2)とブーム固定管35の主部35a(=中心線L1)とがブームシリンダ24の先端(ピン24q)に対向してなす角(=θ)は、135°より大きい。但し、ブーム固定管35のブーム先端側端部35bは主部35aに対してブーム21の腹側面側に屈曲するため、θ<180°である(135°<θ<180°)。
上記構成により、油圧ホース37は、作業機20を延ばした姿勢では、図2に示したようにアーム22の回動支点(ピン22p)の付近からアーム22側の部分のみが軌道円Rに沿って円弧状に延在し、ブーム21側の部分は直線的に延在した形態となる。この形態では油圧ホース37に変曲点はない。この状態では、油圧ホース37の最下点(最も腹側面側の部位)は、図2に示した通りアームシリンダ25とブーム21の背側面との間に位置する。
その一方で、油圧ホース37は、作業機20を抱え込んだ姿勢では、図4に示したように運転室17側から見て油圧ホース37のアーム22側の部分が、ブーム21の背側面に向かって凸となるように折れ、S字を左右反転させたような形態に移行する。油圧ホース37のブーム21側の部分も、ブーム21の背側面に向かって凸となるように折れ曲がってS字型になる。その結果、油圧ホース37の全体は筆記体のV字のような形態に移行する。このように、作業機20を抱え込んだ状態では、油圧ホース37が先端部及び基端部の2箇所で変曲する。この状態では油圧ホース37は下側に弛むが、アーム22やアタッチメント23がこの油圧ホース37よりも大きくブーム21の腹側面側に移動する。
−クランプ装置−
図5は作業機20のブーム21の左側面に取り付けた上記クランプ装置40を後方から見た斜視図、図6はそれを上方から見た平面図、図7は前方から見た斜視図である。図5及び図6ではクランプ装置40の構成を明確に図示するために背側面側の配管把持部42g,43g(後述)は図示省略してある。また図7においては油圧配管31,33を図示省略してある。ここで説明するクランプ装置40の構成は、油圧ポンプ18bと対応する油圧アクチュエータとを接続する油圧配管(油圧配管31〜33及びその他の油圧配管)を把持するもののうちの少なくとも1つに適用される。特に、ブーム21の側面においてブームシリンダ24の先端部よりも背側面側の狭い領域を通る油圧配管33の主部35aと主部35aに沿って延びる油圧配管31とを上記のように2段配置で把持するものとして、図5〜図7に示したクランプ装置40は好適である。以下、図5〜図7を用いて、ブーム21の側面において油圧配管33の主部35aとこれに沿う油圧配管31を把持するものをクランプ装置40の代表として説明する。このクランプ装置40は、基部フレーム41、複数(本例では2つ)のクランプ42,43、及び複数(本例では4つ)の固定具44を備えている。
基部フレーム41はクランプ装置40の基部構造体であり、取り付け対象である母材の壁面(この例ではブーム21の前部21cの左側面)に例えば溶接により固定されている。基部フレーム41は板状の部材で構成され、ブーム21の側壁面に直交して延在し、クランプ装置40が把持する油圧配管(油圧配管33の主部とこれに沿う油圧配管31)と平行な平面を構成する。本例ではブーム21の鉛直な左側面を母材壁面としているため、基部フレーム41は左方向に突出して延びている。しかし、作業機20のその他の部位や機体本体10を母材とする場合には、その母材の壁面が向く方向や把持する油圧配管の延在方向に応じて基部フレーム41の姿勢は変化する。
基部フレーム41は、これを取り付けたブーム21の側壁面からの距離が異なる端面で構成した複数(本例では2つ)の座面41a,41b(図6)を含んで階段状に形成されている。座面41a,41bはクランプ42,43の取り付け面であり、基部フレーム41を取り付けたブーム21の側壁面と平行な又はそれに近い平面である。座面41a,41bには、基部フレーム41の板厚方向の中心にブーム21の側壁面と直交する方向に延びる各2つのネジ穴(不図示)が設けられている。これらネジ穴は、座面41a,41bのそれぞれにおいて、油圧配管31,33の延在方向に並んで配置されている。基部フレーム41における座面41aから座面41bに向かって立ち上がるコーナー部41cは、応力集中を避けるためにR形状に形成されている。また、座面41aから座面41bに向かって立ち上がる傾斜面41dは、ブーム21の側壁面から遠ざかるに連れて座面41aから座面41bに向かう方向に傾斜している。
本実施形態ではブーム21の側壁面との距離が短い座面41aを第1座面、ブーム21の側壁面との距離が座面41aよりも長く設定された座面41bを第2座面とする。これら座面41a,41bはクランプ装置40が把持する油圧配管31,33の延在方向に隣接している(位置がずれている)が、いずれもブーム21と基部フレーム41との接触面との間に基部フレーム41を介在させている。つまり座面41a,41bとブーム21の側壁面との間には、全域に基部フレーム41の構成部材が介在している。また座面41aと母材壁面との距離は、クランプ42で把持する油圧配管(この例では油圧配管31)の半径より長く、本実施形態の固定具44であるボルトのねじ込み長さが十分に確保できる長さに設定してある。クランプ42で把持する油圧配管と母材壁面との間のクリアランスを確保すると共に、クランプ42の固定強度を十分に確保するためである。また座面41a,41bの距離は、クランプ42,43で把持する油圧配管(この例では油圧配管31,33)の半径の合計より長く設定してある。クランプ42,43で把持する油圧配管同士の間のクリアランスを確保するためである。
クランプ装置40には、基部フレーム41の複数の座面41a,41bに対応して各1つのクランプ42,43が備わっている。クランプ42はブーム21の側壁面に近い方の座面41aに対応しており、基部フレーム41を挟んで両側に位置する筒状の2つの配管把持部42gとこれらを連結する連結部42hとで、油圧配管31の延在方向から見て眼鏡状(8の字状)に形成されている。このクランプ42は座面41aに平行な平面で二等分した半割れ状の2つの部材42a,42bからなり、これら部材42a,42bの間に挟んで両側の配管把持部42gに油圧配管31を各1本把持する。部材42a,42bは同一形状に構成されているが、異なる形状としても良い。連結部42hには座面41aの2つネジ穴に対応して2つの貫通孔(不図示)が設けられている。クランプ42は、両側の配管保持部42gに油圧配管31を挟み込んだ状態で固定具44としてのボルトで座面41aに連結部42hを固定することによって基部フレーム41に固定される。
もう一方のクランプ43はブーム21の側壁面に遠い方の座面41bに対応しており、クランプ42と同じく2つの配管把持部43gとこれらを連結する連結部43hとで、油圧配管33(主部35a)の延在方向から見て眼鏡状に形成されている。本実施形態においては、油圧配管31に比べて油圧配管33が太いため、クランプ42の配管把持部42gに比べてクランプ43の配管把持部43gの内径が大きくしてある。またクランプ42と同様、クランプ43も半割れ状の2つの部材43a,43bからなり、これら部材43a,43bの間に挟んで両側の配管把持部43gに油圧配管33を各1本把持する。部材43a,43bは本例では同一形状であるが異なる形状であっても良い。連結部43hには座面41bの2つネジ穴に対応して2つの貫通孔(不図示)が設けられている。クランプ43は、両側の配管保持部43gに油圧配管31を挟み込んだ状態で固定具44としてのボルトで座面41bに連結部43hを固定することによって基部フレーム41に固定される。
本実施形態において、複数の固定具44には、ねじ込み長さや径が同じ同一規格の4本のボルトを用いている。クランプ42,43を基部フレーム41に固定する際、固定具44の頭部とクランプ42,43との間にワッシャ45を介在させるが、ワッシャ45は省略可能である。本例では、クランプ42,43は基部フレーム41の座面41a,41bとワッシャ45に接触した状態で固定具44により固定されている。以上の構成により、クランプ装置40は油圧配管31,33の延在方向から見て基部フレーム41とクランプ42,43とでT字型に構成されている。なお、十分な固定強度が確保できるのであれば、ボルトに限らずレバークランプ等の他の固定手段を固定具44として採用しても良い。
以上説明したクランプ装置40により、少なくともブーム21の左側面においてブームシリンダ24の先端部より背側面側の領域でブーム21の前部21cの背側面に沿って延びる油圧配管31,33が、前述した通り2段のレイアウトで把持されている。まとめると、クランプ装置40により把持された油圧配管31は、クランプ42によってブーム21の前部21cの背側面に直交する方向に基部フレーム41を挟んで2本並んだ状態で固定される。他方の油圧配管33はクランプ43によって同じく前部21cの背側面に直交する方向に基部フレーム41を挟んで2本並んだ状態で固定される。前述した通りクランプ42,43はブーム21の左側面からの距離が異なっており、2列ずつの油圧配管31,33が左右に2段に(平行な2平面上に)レイアウトされ、計4本の油圧配管31,33はそれらの延在方向から見て2行2列の立体的な配列となる。
−効果−
(1)本実施形態によれば、クランプ42,43により基部フレーム41を挟んでそれぞれ油圧配管31,33を把持し、かつこれら2本ずつの油圧配管31,33を重ねて立体的に配置することができる。そのため複数本の油圧配管31,33を密にレイアウトすることができる。加えて、クランプ装置40は基部フレーム41とクランプ42,43を主要素とする単純な構造であり、基部フレーム41も一枚板であるため、製作が極めて容易である。また、クランプ42,43に対応した段違いの取り付け座(座面41a,41b)が基部フレーム41に備わっているため、油圧配管31,33を把持したクランプ42,43をそれぞれ独立して固定具44で座面41a,41bに固定することができる。よって配管作業も効率的かつ容易に行うことができる。また、クランプ42,43を取り付ける座面41a,41bが同一の基部フレーム41に設けられているため、例えばそれぞれ座面を個別に備えた複数の部材で基部フレームを構成した場合と比較して、本実施形態はクランプ42,43の取り付け座の強度が高い。従って、ブーム21の側面からの距離が近い座面41aで油圧配管31を支持し、遠い座面41bで油圧配管31に比べて大径の油圧配管33を支持する構成としても、構造的に不安定になることがない。更には、クランプ42が基部フレーム41を挟んで2本の油圧配管31を把持し、2本の油圧配管31の間の位置(連結部42h)で基部フレーム41に支持されている。クランプ43も同様である。このような構成とすることでバランスのとれた安定性の高い支持構造とすることができる。油圧配管31,33を把持するクランプ42,43を支持する支持構造体が1つの基部フレーム41のみであるため、油圧配管31,33の支持強度も強く、また溶接を要する箇所が少なく亀裂も発生し難い。このように構造的にもバランス的にも支持構造として優れており、サイズ違いの油圧配管を配対象とする場合でも配管レイアウトの自由度が高い。また、座面の数に応じてクランプを支持する基礎構造体の構成部材が増加する構造と異なり、基部フレーム41の形状を3段以上の階段状に形成することで、把持対象となる油圧配管数の増加にも、以上の効果を維持しつつ柔軟に対応できる。
特に、本実施形態のようにショートリーチ型油圧ショベル(以下、ショートリーチ)にあっては、クランプ装置40を適用する意義が大きい。ショートリーチ型油圧ショベルは、建築物の地下空間内やトンネル内等、高さが制約された空間での作業に用いられる。ショートリーチはブーム21やアーム22の長さを抑えて作業機を短くすることで、例えばトンネルの壁面、剥き出しの梁や柱の鉄筋等、周囲の様々な障害物との干渉を避けつつ、硬い地山を力強く掘削したり建物等を解体したりすることができる。また、高さが制約された狭隘な空間で作業する場合が多いため、落下物との干渉を避けるためにアームシリンダ25が作業機20の下側に配置されている。加えて、ショートリーチは小型機種であるが、先に触れた通り岩盤掘削、構造物の破砕や解体等の負荷の大きな作業に用いられることが少なくない。高負荷作業を効率良く実施したいとの要望から、アタッチメント23として車格に相応したものよりも大型のものを用いる場合がある。大型のアタッチメント23を装着するために、油圧駆動系(アクチュエータ、操作用の方向切換弁、配管、オイルフィルター、オイルクーラ等)は車格相応のサイズより大型のアタッチメントを装着して十分に機能を発揮できるように対策されている。ショートリーチに装着されるアタッチメント23は最大駆動圧が25MPa以上のものもあるため、地上で地表面の掘削等を行う通常の小型機種に比べてアタッチメント駆動回路の油圧配管33は大径かつ肉厚で耐圧性が高くなっている。
仮にブームシリンダ24の先端(ピン24q)の腹側面側の領域にアームシリンダ駆動回路及びアタッチメント駆動回路の油圧配管31,33を通すと、油圧配管31,33はブームシリンダ24と交差してしまう。この場合、作業中の揺れや振動によりブームシリンダ24のロッドに油圧配管31,33が干渉し、ブームシリンダ24のロッドを傷付ける恐れがある。特に前述した理由で径が太い油圧配管33はブームシリンダ24のロッドとの干渉を起こし易い。そのためブーム21の前部21cの側面に敷設する上では油圧配管31,33をブームシリンダ24の先端(ピン24q)の背側面側の領域に通すことが好ましいが、この領域は2本ずつ計4本の油圧配管31,33を上下に並べて敷設するには狭い。そこでクランプ装置40を用いて油圧配管31,33をブーム21の側面に直交する左右方向に2段に重ねて配管することで、ブームシリンダ24との干渉を避けてブーム21の前部21cの側面における狭隘な領域に直線的に効率良く油圧配管31,33を敷設できる。2段の配管レイアウトにすることで計4本の油圧配管31,33を、1列に並べた場合に比べて列幅を半分にすることができるためである。
配管スペースをコンパクトにすることができ、かつ固定作業もし易い本実施形態のクランプ装置40は、このように狭いスペースに複数本の配管を通す場合に特に高い効果を発揮する。
(2)基部フレーム41における座面41aから座面41bに向かって立ち上がるコーナー部41cをR形状としたので、例えば作業中に作業機20に作用する応力がコーナー部41cに集中することを避けることができる。またコーナー部41cをR形状とすると共に、座面41aから座面41bに向かう端面を傾斜面41dで形成したことで、R部の半径分と立ち上がり部の傾斜の分だけ座面41a,41bの間隔を確保することができ、固定具44の操作がし易いメリットもある。但し、前述した本質的な効果(1)を得る限りにおいては、基部フレーム41のコーナー部41cのR形状、傾斜面41dの有無や傾斜方向は必ずしも必要ではなく、適宜変更可能である。
(3)仮に基部フレーム41との間に別途部材を介在させてクランプ42又はクランプ43を固定する構造とすると、間に別途介在させた部材の分だけ長いボルトを固定具44として用いる必要がある。それに対し、本実施形態では基部フレーム41が一枚板構造であるため、クランプ42,43とも基部構造体である基部フレーム41に直接固定することができる。従って、クランプ42,43の連結部42h,43hとワッシャ45の厚みを考慮しても固定具44としてのボルトに必要以上の長さを要さず、またクランプ42,43を固定する固定具44には全て同じ同形のボルトを用いることができる。これにより固定具44の負荷を軽減することができ、かつ部品の共通化により分解組立作業の更なる容易化が可能である。但し、上記効果(1)を得る限りにおいては、必ずしも全ての固定具44を同形のものとする必要はなく、固定具44については必要な締結強度に応じて適宜変更可能である。
(4)仮に油圧ホース37の基端部を軌道円R上に配置してブーム21の背側面に正対する方向に向けた構成とすると、作業機20を延ばした状態で軌道円Rに沿うようにする(つまり半円状の経路とする)ことで油圧ホース37の長さを短くできる。しかし軌道円Rは、前述した通りアタッチメント23との距離を確保する観点で極力小さく設定されている。そのため、油圧ホース37の経路を軌道円Rに沿って半円状にすると、図4のように作業機20が抱え込み姿勢に移行した場合に、油圧ホース37の許容曲げ半径を確保しつつ先端部及び基端部の2箇所で変曲を許容することは難しい。作業機20が抱え込み姿勢に移行した際の許容曲げ半径を確保する観点で、油圧ホース37は軌道円Rに沿った円弧よりも余裕を持って長くしなければならない。このような事情から、油圧ホース37の基端部を軌道円R上に配置した場合、油圧ホース37には作業機20を延ばした状態でブーム21の軌道円Rよりも腹側面側を通る大きな弛みが必要である。よって、作業機20を延ばした姿勢で油圧ホース37がアームシリンダ25を超えないようにすることは難しい。
それに対し本実施形態では、油圧ホース37の基端部を軌道円Rよりもブームシリンダ24の先端部の近く(軌道円Rの外側)に配置してある。加えて、この油圧ホース37の基端部は、軌道円Rの接線に沿ってかつブーム21の前部21cの背側面に向かって屈曲部21b側に傾斜した方向に開口を向けてブーム固定管35に接続するように構成した。これにより、図2のように作業機20を延ばした状態で油圧ホース37を軌道円Rよりも腹側面側に大きく弛ませることなく、図4のように作業機20が抱え込み姿勢に移行した際に許容曲げ半径を確保するだけの油圧ホース37の長さを確保することができる。作業機20を延ばしても油圧ホース37がアームシリンダ25を超えて地面側に垂れ下がらないように配置できるので、狭隘な地下空間内で作業機20の下方の障害物に油圧ホース37が干渉し難くすることができる。
そして、このような配管レイアウトにする場合、前述した通りブーム21の側面に油圧配管31,33を2段に配管するに当たり、クランプ装置40における配管レイアウトの自由度があるので、油圧配管33をブーム21の側面から遠い側に配管することができる。このようにアタッチメント駆動回路の油圧配管33をブーム21の側面から遠い側に配置することで、アームシリンダ駆動回路の油圧配管31をブーム21の壁面に近い側に通してブーム21の壁面に近接させて取り回すことができる。
(5)前述した通りクランプ装置40によってブーム21の側面のブームシリンダ24の先端部より背側面側の狭い領域に油圧配管31,33を通すことができるので、作業機20に対して運転室17に近い側に油圧ホース37を配置できる。このように弛みにより周囲の障害物への引っ掛かりが懸念される油圧ホース37が運転室17側にあることで、油圧ホース37を作業中にオペレータが目視することができる。従って、油圧ホース37が周囲の障害物に干渉することを抑制できる。また、作業機20は旋回体12の前部に運転室17と左右に並設されてオフセットしているので、油圧ホース37はブーム21やアーム22に対して車幅方向の内側に位置することとなり、構造的にも周囲の障害物に比較的干渉し難い。
(6)アームシリンダ25はブーム21の腹側面側に配置されている。加えて油圧配管31〜33(固定配管)も、ブーム21の背側面に対しては前部21cを避けて後部21aに敷設してある。ブーム21の後部21aの背側面は前部21cの背側面に対し屈曲部21bを境にして腹側面側に退避しているので、ここに通して敷設することで油圧配管31〜33をブーム21の前部21cの背側面よりも腹側面側にレイアウトできる。クランプ装置40を用いることで、前述したブーム21の狭い領域に油圧配管31,33を通すことができ、このように油圧駆動系の構成要素をブーム21の前部21cの背側面を避けて配置することができる。よって、ブーム上げ動作の際にアームシリンダ25や油圧配管31〜33が上方の障害物に干渉することを抑制することができる。但し、上記効果(1)を得る限りにおいては、油圧配管31〜33のレイアウトは必ずしもこのような態様に限定されない。
(7)前述した通り、アタッチメント駆動回路の油圧配管33を構成する2本のアーム固定管36は、油圧ホース37との接続端部からアーム22の背側面を経由し、1本はアタッチメントシリンダ26とアーム22の間を通ってアーム22の右側面に取り回される。このとき、アタッチメントシリンダ26の基端側を支持するピン26pは、ブーム21とアーム22とを連結するピン22pよりもアーム22の基端側に位置している。これにより、アーム22の回動支点(ピン22p)の近くでアーム22の左右に跨るように油圧配管33をレイアウトでき、アーム固定管36の油圧ホース37との接続部をアーム22の回動支点に近付けることができる。従って、油圧ホース37とアタッチメント23との距離を確保することができ、それだけ油圧ホース37を障害物に干渉し難くすることができる。また、油圧ホース37のアーム固定管36との接続端部(先端部)とアーム22の回動支点との距離が抑えられ、油圧ホース37の短縮にも貢献し、前述した油圧ホース37の基端部の角度θと相乗して上記効果(4)に貢献する。
(8)前述したようにアーム22の上部にはアタッチメントシリンダ26を保護するカバーが設けられる場合があり、この場合にはアタッチメント駆動回路の油圧配管33(アーム固定管36)をカバーに敷設することも考えられる。しかしカバーが障害物に干渉した場合、カバーと共に油圧配管33が変形するリスクがあり、このリスク低減のためにカバーを厚くして強度を上げると、必要以上にアーム22が重くなり、機体の重量バランスに影響する。それに対し、本実施形態ではカバーを避けてアーム22の背側面に油圧配管33を敷設することで、カバーを必要以上に厚くする必要がなく、アーム22の重量化を抑制でき機体安定性の悪化を回避することができる。また、中空のアーム22の内部空間に油圧配管33を通すことも考えられるが、配管レイアウトが難しく、配管スペースが狭隘であるために作業中の揺れや振動により配管同士が擦れ合い易い。本実施形態の場合、アーム22の外壁面に油圧配管33を敷設しているので配管レイアウトの困難化を回避でき、配管同士が擦れ合う現象も比較的起き難く、アクセスのし易さから油圧配管33のメンテナンス性も良い。但し、上記効果(1)を得る限りにおいては、このような油圧配管33のアーム固定管36の途中経路も特に制約されず、必要に応じて適宜変更可能である。