本発明は、座席の座部やクッション等のように着席したユーザの身体の下に敷かれるだけでなく、着席したユーザの身体に掛けて用いることもできるシートを用いて、ユーザの着席に関する情報を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、敷きモード及び掛けモードのいずれかの使用モードで使用可能なシートと、前記シートの使用時に関連する関連情報を、その使用時における前記シートの前記使用モードと対応付けて蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積されている情報についての前記使用モードを加味した解析結果を提示する提示手段と、を含む情報処理システムである。
請求項2に係る発明は、前記シートの現在の使用モードを判定する手段を更に備え、前記提示手段は、前記蓄積手段に蓄積されている情報群のうち、判定された前記現在の使用モードに対応する前記情報群に基づく解析結果を提示する、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項3に係る発明は、前記提示手段は、前記敷きモードに対応付けて蓄積された前記関連情報と、前記掛けモードに対応付けて蓄積された前記関連情報と、をそれぞれについて設定された重みを付けて集計した集計情報を提示する、請求項1又は2に記載の情報処理システムである。
請求項4に係る発明は、前記敷きモード及び前記掛けモードのそれぞれについての前記重みとして、当該モードで使用したときの単位時間あたりの前記シートの劣化の程度を示す値を保持する手段を更に備え、前記提示手段は、前記シートの前記敷きモードでの使用時間と前記掛けモードでの使用時間とを、前記敷きモード及び前記掛けモードについての前記重みで重み付けして集計することで、前記シートの劣化の程度を示す値を求め、求めた値を提示する、請求項3に記載の情報処理システムである。
請求項5に係る発明は、前記提示手段は、前記シートが前記敷きモードで使用されている場合は座席に設置された前記シートの上にユーザが着席している状態を模式的に示す第1画像を表示し、前記シートが前記掛けモードで使用されている場合は座席に着席しているユーザの身体に前記シートが掛けられている状態を模式的に示す第2画像を表示し、前記第1画像及び前記第2画像における前記シートの表示態様を、前記劣化の程度を示す値に応じたものとする、請求項4に記載の情報処理システムである。
請求項6に係る発明は、前記シートが使用されている場所を特定する場所特定手段を更に含み、前記蓄積手段は、前記関連情報として、前記場所特定手段が特定した前記シートが使用されている場所の情報をその使用時における前記シートの前記使用モードと対応付けて蓄積し、前記提示手段は、前記蓄積手段に蓄積された情報に基づき、場所と前記使用モードとの関連を示す情報を提示する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理システムである。
請求項7に係る発明は、前記提示手段は、前記場所と前記使用モードとの関連を示す情報として同一の場所における前記シートの前記掛けモードでの使用の比率に対応する情報を提示する、請求項6に記載の情報処理システムである。
請求項8に係る発明は、前記提示手段は、前記掛けモードでの使用の比率が閾値以上である前記場所を、足下が寒い場所の候補として提示する、請求項7に記載の情報処理システムである。
請求項9に係る発明は、前記蓄積手段は、前記シートの使用時に関連する情報として、前記シートに設けられたセンサの検知したデータを蓄積する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の情報処理システムである。
請求項10に係る発明は、前記提示手段は、前記蓄積手段に蓄積された前記データに対して所定の関係を持つ二次情報をネットワーク上の他の装置から取得し、前記データとこれに関連する前記二次情報とについて前記使用モードを加味した解析結果を提示する、請求項9に記載の情報処理システムである。
請求項11に係る発明は、前記蓄積手段は、前記シートの使用時に関連する情報として、前記シートの使用時に前記シートの外部の情報源から得られるデータを蓄積する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の情報処理システムである。
請求項12に係る発明は、前記シートの前記使用モードを、前記シートに設けられた前記センサが検知したデータに基づいて判定する判定手段、を更に含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の情報処理システムである。
請求項13に係る発明は、前記シートに設けられた前記センサには、前記シートにかかる荷重又は圧力を検出する1以上の第1種センサが含まれ、前記判定手段は、1以上の前記第1種センサにより人間の体重を基準に定められた閾値以上の荷重が検知されている場合に、前記シートが前記敷きモードで使用されていると判定する、請求項12に記載の情報処理システムである。
請求項14に係る発明は、前記シートに設けられた前記センサには、前記第1種センサの他に、当該シートに接しているユーザの動き又は生体活動に由来する事象を検知する第2種センサが含まれ、前記判定手段は、1以上の前記第1種センサにより人間の体重を基準に定められた閾値以上の荷重が検知されておらず、かつ、前記第2種センサにより前記事象が検出されている場合には、前記シートが前記掛けモードで使用されていると判定する、請求項13に記載の情報処理システムである。
請求項15に係る発明は、前記判定手段は、1以上の前記第1種センサにより人間の体重を基準に定められた閾値以上の荷重が検知されておらず、かつ、前記第2種センサにより前記事象が検出されていない場合には、前記シートが不使用状態であると判定する、請求項14に記載の情報処理システムである。
請求項16に係る発明は、前記提示手段は、前記シートが前記敷きモード又は前記掛けモードで使用された時間を、着席時間として提示する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の情報処理システムである。
請求項17に係る発明は、敷きモード及び掛けモードのいずれかの使用モードで使用可能なシートと、前記シートに設けられた1以上のセンサの検知したデータに基づき、前記シートが前記敷きモードで使用されている状態、前記掛けモードで使用されている状態、及び使用されていない状態、のいずれであるかを判定する判定手段と、前記判定手段で前記敷きモード又は前記掛けモードで使用されていると判定されている時間の長さに基づき、ユーザの着席時間を求める手段と、を含む情報処理システムである。
請求項1に係る発明によれば、着席したユーザの身体の下に敷かれるだけでなく、着席したユーザの身体に掛けて用いることもできるシートを用いて、ユーザの着席に関する情報を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、ユーザによるシートの現在の使用モードに連動した情報を提供することができる。
請求項3に係る発明によれば、敷きモードと掛けモードの特性に応じて集計情報を生成し、ユーザに提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、シートの劣化の程度を示す値を見積もり、提供することができる。
請求項5に係る発明によれば、シートの使用モードと共にシートの劣化の程度をユーザに直感的に理解しやすい態様で提示できる。
請求項6に係る発明によれば、シートの使用された場所とその使用時の使用モードとの関連の情報を提供することができる。
請求項7に係る発明によれば、掛けモードの比率に基づく情報を提供することができる。
請求項8に係る発明によれば、掛けモードの比率から推定される足下が寒い場所の情報をユーザに提供することができる。
請求項9に係る発明によれば、シートに設けられたセンサが検知したデータについての解析情報を提供することができる。
請求項10に係る発明によれば、シートに設けられたセンサが検知したデータに加え、他の装置から得られるそのデータに関連した情報についての解析情報を提供することができる。
請求項11に係る発明によれば、シートの使用時におけるシートの外部の情報源の情報についての解析情報を提供することができる。
請求項12に係る発明によれば、シートの設けられたセンサによりシートの使用モードを判定する。
請求項13に係る発明によれば、シートが敷きモードで使用されていることを判定できる。
請求項14に係る発明によれば、シートが掛けモードで使用されていることを判定できる。
請求項15に係る発明によれば、シートが使用されていないことを判定できる。
請求項16又は17に係る発明によれば、シートが敷きモードで使用されている場合だけでなく、掛けモードで使用されているときも、着席時間に計上することができる。
図1及び図2を参照して、本実施形態のシート状装置100について説明する。図1及び図2に示すように、シート状装置100は、例えば、人の横幅程度の幅と人の首から太ももの付け根まで程度の長さを持つ、矩形の比較的薄い装置である。ここでいう「比較的薄い」とは、シート状装置100を巻いたり折り畳んだりして持ち運びできる程度の厚みであることを意味する。シート状装置100は、例えば、椅子20の座部22から背もたれ24にわたる範囲に掛けて使用される。なお、図2では、シート状装置100を目立つように実際の寸法より太い厚みで示している。また、シート状装置100は、着座したユーザの脚部の保温のための膝掛け等のように身体に掛けて使用されることも想定している。
図1に示すように、シート状装置100は、長手方向に関する中央(図中破線で示す。ただしシート状装置100にその中央を示す何らかの印が設けられている必要はない)について対称に、荷重センサ102群及び温度センサ104群が配設されている。
荷重センサ102群は、ユーザの着座(着席)姿勢を評価できるよう、椅子20の座部22の座面の広い範囲にわたって分布している。例えば、これら荷重センサ102群は、シート状装置100を椅子20に対して正しく敷いて(例えば破線で示した中央部を、椅子20の座部22と背もたれ24の境界に位置決めして設置)、かつユーザが正しい着座姿勢をとったときの臀部や両足の大腿の下に来る位置に配設されている。荷重センサ102群が左右に分かれて分布しているのは、着座時にユーザが左右どちらかの方向に体重を掛けているかが判別できるようにするためである。また、荷重センサ102が縦方向についていくつかの異なる位置に設けられているのは、例えば、ユーザがどの程度深く腰掛けているかを判定できるようにするためである。なお、荷重センサ102を2列に配列した図1のような配列はあくまで一例に過ぎない。また、荷重センサ102群の代わりに、面内の圧力分布を測定可能なシート状の圧力分布センサを設けてもよい。この場合、圧力分布センサは、例えばシート状装置100のうちの座面に該当し得る範囲(すなわち標準的な椅子にシート状装置100を掛けたときに、背もたれ24の上面から後ろに垂れ下がったり、座部22の前端から垂れ下がったりする部分を除いた範囲)を少なくともカバーするような大きさ、設置範囲となるよう、シート状装置100に内蔵すればよい。
温度センサ104群を設ける一つの目的は、ユーザがシート状装置100を膝掛けとして使用していることを検知するというものである。シート状装置100を椅子20に敷いて、その上にユーザが座る場合は、荷重センサ102群の検知情報からユーザが着座しているか否かを判定できる。これに対し、椅子20に座っているユーザがシート状装置100を膝掛けとして使用しているときに荷重センサ102群の検知荷重は、使用されていないシート状装置100が例えば椅子20や机の上に置かれているときの検知荷重とほとんど変わらない。そこで、この例では、温度センサ104が検知している温度が、人間の体温に応じて決まる温度範囲(例えばセ氏28〜37度程度の範囲)内にあれば、ユーザがシート状装置100を、膝掛けにするか又は下に敷いてその上に腰掛けるかする形で「使用している」ものと判定する。この目的のために、温度センサ104は、シート状装置100を膝掛けとして用いているときに、ユーザの身体(例えば大腿部)に近接する場所に配設する。シート状装置100の長手方向についての中央部近傍の位置は、膝掛け状態のときにユーザの太ももに接する可能性が高いので、そのような位置に温度センサ104を設けてもよい。また、温度センサ104を設ける数を多くして、いずれかの温度センサ104がユーザの体温を検知可能な位置に来る可能性を高めてもよい。
図1に示したセンサ群の配置構成は、シート状装置100を、長手方向についてどちらを上に(すなわち背もたれ側に)してもよいよう、荷重センサ102の配置を対称にしている。しかし、これは一例に過ぎない。シート状装置100のうち椅子20の背もたれ24に掛かる部分と座部22の上に掛かる部分とが区別されており、ユーザがその区別に従って正しくシート状装置100を椅子20に設置できる構成の場合には、荷重センサ102の配置を座部22用と背もたれ24用とで異ならせてもよい。
図1に示した他に、シート状装置100は、湿度センサ、GPS(グローバルポジショニングシステム)や電波等を用いた屋内測位システム等の公知の測位システムを利用してシート状装置100の位置を検出する位置センサ、特許文献5に開示されているのと同様のシート状配列の光ファイバアレイを用いたセンサ(以下、「センサシート」と呼ぶ)等を内蔵していてもよい。この光ファイバアレイのセンサを用いる場合、そのセンサは、シート状装置100のうちの椅子20の座部22上に置かれる部分には少なくとも設けられる。
シート状装置100は、それらセンサや後述する制御部110、通信部112(図3参照)、電源回路(及び場合によっては電源となる内蔵電池)、及びそれらを繋ぐ配線等が設けられた基体シートと、その基体シートを着脱自在に覆うカバーとから構成されていてもよい。膝掛けとして使用するために、基体シートは柔軟な材質で構成されている。カバーは、例えばウールや化学繊維等を織ったり編んだりして形成される生地から形成されていてもよい。カバーが汚れた場合等に、カバーを基体シートから取り外して洗濯できるようにしてもよい。
シート状装置100は、上述のように柔軟であり、例えばロール状に巻いた状態で運搬可能である。シート状装置100は、例えば、椅子20の背もたれ24の表面に対してカバーの生地の摩擦力で(あるいは、更に、シート状装置100の一部を背もたれ24の上部を跨いで裏側まで掛けることによる重さのバランスを利用して)付着し、下にずり落ちない。
次に、図3を参照して、シート状装置100の電気的機能構成の一例を説明する。図3の例では、シート状装置100は、荷重センサ102群、温度センサ104群、位置センサ106、センサシート108、制御部110、通信部112を備える。
荷重センサ102は、当該センサに掛かる力の大きさを検知するセンサである。荷重センサ102は、圧力センサであってもよい。温度センサ104は、温度を検出するセンサであり、室温(例えば十数度)から人間の体温程度の範囲に十分な感度を持つセンサでよい。位置センサ106は、GPS等の測位システムを利用して当該位置センサ106の現在位置(すなわちシート状装置100の現在位置)を測定するセンサである。なお、シート状装置100に位置センサ106を設けず、シート状装置100と近接通信方式で通信している携帯端末200の位置センサ(GPS等)が検知した位置情報を、そのシート状装置100の位置情報として用いてもよい。
センサシート108は、特許文献5に開示されたものと同様の原理で動作する光ファイバアレイのシート、光源、光検出器、信号処理回路、制御回路を含んでいる。この制御回路は、光源等を制御して、光ファイバアレイのシートに所定の入力光信号を供給させる等の制御を行う。また信号処理回路は、光ファイバアレイのシートからの出力光信号を電気信号に変換し、特許文献5に開示された解析を行うことで、脈拍その他の目的の情報を抽出する処理を行う。またシート状装置100は、図に例示した以外のセンサを備えていてもよい。例えば、シート状装置100は、加速度センサや照度センサ等を有していてもよい。
制御部110は、それらセンサから検知信号や検知データ(以下検知データと総称)を受け取り、それら検知データを処理する。制御部110が行う処理には、例えば、それら検知データ群を通信部112経由でサーバ250(図4参照)に送信する処理が含まれていてもよい。また、制御部110は、センサ群から得た検知データを解析し、解析結果を求めてもよい。例えば、荷重センサ102群の検知荷重の組合せから、制御部110がユーザの着座姿勢の良否や種類を判定してもよい。制御部110は、センサ群から得た検知データの代わりに、あるいはそれら検知データと共に、それら検知データを解析して得た解析結果の情報を、携帯端末200経由で、又は直接に、サーバ250に対して送信してもよい。なお、センサ群の検知データに対する解析は、ユーザの携帯端末200内のシート連携アプリ204で行ってもよいし、サーバ250で行ってもよい。また、制御部110と、シート連携アプリ204と、サーバ250とが、それぞれ検知データ群に対する解析を分担してもよい。また、シート状装置100内に、ランプやスピーカー等の能動的に動作する装置が内蔵されている場合に、制御部110は、それらセンサからの検知データや、携帯端末200からの指示に応じて、それらの装置の動作を制御してもよい。
通信部112は、いずれかの通信規格に準拠したデータ通信を行うための装置である。一つの例では、通信部112は、ユーザの持つ携帯端末200(スマートフォン、タブレット端末)等との間で、所定の近接通信規格に従った通信を行う。ここで用いる近接通信規格としては、例えばBluetooth(登録商標)、zigbee(商標)、z-wave(商標)等のパーソナルエリア(例えば数十cm〜数mの範囲)をターゲットとする無線通信規格がある。この例では、通信部112は、制御部110の制御下で、上述のセンサ群が取得したセンサの情報を携帯端末200(図4参照)に送る。この場合、センサの検知情報は、携帯端末200を経由して、サーバ250に送信される。また、別の例では、通信部112は、携帯電話規格やLPWA(Low Power Wide Area)に分類される各種通信規格(例えばLoRaやSIGFOX)等の広域通信可能な規格を用い、携帯端末200を介さずにサーバ250に対して「直接」、センサ群の検知した情報を送信してもよい。なお、ここでいう「直接」の送信には、同規格に準拠した中継装置を経由する送信も含まれる。
シート状装置100内の各要素は、商用電源等の外部電源及び/又は当該部材が内蔵する電池(例えば充電池)から電力供給を受けて動作する。
次に、図4を参照して、本実施形態のシステム構成の一例を説明する。シート状装置100が設置された椅子20に座るユーザにより使用され、そのユーザが携帯している携帯端末200と通信部112経由で通信可能である。
携帯端末200は、通信部202を備えており、図示例では、この通信部202により、シート状装置100の通信部112と例えば近接通信方式で通信可能となっている。また携帯端末200には、シート連携アプリ204がインストールされている。シート連携アプリ204は、シート状装置100の通信部112から受信した情報、又はサーバ250から取得した情報を用いて、ユーザに対してシート状装置100に関連する情報処理サービスを提供するアプリケーションソフトウエアである。シート連携アプリ204は、シート状装置100のセンサ群が検知した情報やそれら情報から導かれる二次情報(例えばその情報が検知された時点の天気)等の分析により得られた、ユーザに役立つ情報を表示した画面を表示する。シート連携アプリ204が表示する情報は、例えばユーザ(例えば働く女性)の健康や美容のための情報である。例えば、ユーザの着席時間の長さや着席時の姿勢等を解析し、長時間にわたり座り続けることや着座姿勢の悪さ等のよる健康や美容上の弊害を警告する画面や、着席の観点でのユーザの日々の行動についての解析結果等の情報を提供する(詳細な例は後述)。また、シート連携アプリ204は、シート状装置100から受信した検知データ群に対して解析を行ってもよい。シート連携アプリ204は、シート状装置100から受信した検知データ群、それらデータ群に対する解析結果、又はその両方を、通信部202を介してサーバ250に送信してもよい。
サーバ250は、図示例では、通信部252を備えており、例えば、シート状装置100から携帯端末200が受け取った検知データや解析結果を、携帯端末200の通信部202から受信する。受信したデータは、そのシート状装置100に対応付けられたユーザのID(識別情報)に対応付けて、データベース254に登録される。また、サーバ250は、受信したデータを解析し、その解析結果をユーザIDと対応づけてデータベース254に登録してもよい。また、サーバは、データベース254に蓄積されたデータを用いて、ユーザに対して提供する情報を生成してもよい。サーバ250が生成するそれら提供情報は、例えばウェブページの形態であってもよい。
本実施形態のシート状装置100の特徴の一つは、敷きモードでの使用と、掛けモードでの使用の両方を想定している点である。敷きモードとは、シート状装置100を椅子20等の座席に敷いて、その上にユーザが着座するモードである。掛けモードとは、座席に腰掛けているユーザが、防寒等のためにシート状装置100を膝その他の身体部分に掛けて使用するモードである。本実施形態では、シート状装置100が備えるセンサ群の検知データから、ユーザによるシート状装置100の使用モードが敷きモードと掛けモードのいずれであるかを判定する。そして、その判定結果をデータベース254に蓄積し、他のセンサ群の検知データの解析やユーザへの情報提供に利用する。
このモード判定の手順の例を、図5に示す。図5に例示した処理手順は、シート状装置100内の制御部110が実行してもよいし、シート状装置100内のセンサ群の検知データを受信した携帯端末200内のシート連携アプリ204又はサーバ250が実行してもよい。以下では、一例として、制御部110が実行するものとして説明する。
この処理では、まず制御部110は、荷重センサ102群の検出値を取得し(S10)、それら検出値の合計があらかじめ定めた閾値以上であるか否かを判定する(S12)。そして、S12の判定結果がYesの場合、制御部110は、シート状装置100が敷きモードで使用されていると判定する(S14)。敷かれたシート状装置100の上にユーザが腰掛けている場合、ユーザの体重が荷重センサ102群に掛かるからである。なお、S12の判定に用いる閾値は、ユーザ自身の体重又は人間の標準体重に基づき定められる。ユーザは着座しているときに座席に全体重を預けるとは限らないので、閾値は体重の何割かの値に定める。
S12の判定結果がNoの場合、シート状装置100上には何もないか、あるいは人間より顕著に軽い物(例えばカバンや小物等)が置かれているかである。このケースには、ユーザがシート状装置100を掛けモードで使用している場合、及び、ユーザがシート状装置100を座席や机の上に放置している場合(すなわち不使用の場合)の両方が含まれる。制御部110は、掛けモードで使用中であるか、不使用であるかを、温度センサ104の検知データに基づき切り分ける。すなわち、制御部110は、各温度センサ104の検出値を取得し(S16)、それら検出値のうち少なくとも1つが、人間の体温を基準に定められる所定の温度範囲内の温度を検知しているかどうかを判定する(S18)。温度センサ104は、ユーザの身体に接する場合でも着衣を挟んでの接触になるため、S18の判定に用いる温度範囲は、人間の体温よりも若干低めの範囲とする。S18の判定結果がYesの場合、制御部110は、シート状装置100が掛けモードで使用中であると判定する(S20)。
S18の判定結果がNoの場合、制御部110は、シート状装置100が不使用状態にあると判定する(S22)。不使用状態とは、ユーザがシート状装置100を敷きモード及び掛けモードのいずれでも使用していない状態である。一つの例では、不使用状態は、ユーザが着席していない状態と捉える。
以上の例では、敷きモードと不使用状態の切り分けを温度センサ104の検出温度に基づき行ったが、これは一例に過ぎない。この他に、例えば、S16でセンサシート108の検出信号を取得し、S18でその検出信号が脈拍又は呼吸を示す信号を含んでいるかどうかを判定し、この判定の結果がYesであれば掛けモードで使用中と判定し、Noであれば不使用状態と判定してもよい。また、シート状装置100に加速度センサを設け、S18では、その加速度センサが検知する加速度が0に近い所定閾値以下である状態が所定時間以上続いたか否かを判定し、その判定結果がNoであれば掛けモード、Yesであれば不使用状態と判定してもよい。
それら温度センサ104、センサシート108、加速度センサは、シート状装置100を敷きモード又は掛けモードで使用しているユーザの動きや生体活動に由来する事象(例えば、体温に由来する温度、心拍や脈拍に応じた身体の周期的な微細な動き、身体の動きに由来する加速度)を検知するセンサである。温度センサ104、センサシート108、加速度センサ以外に、ユーザの動きや生体活動に由来する他の事象を検知するセンサをシート状装置100に設けてもよい。そして、荷重センサ102群がユーザの体重とみなせる荷重を検知していない場合でも、そのセンサがユーザの動き又は生体活動に由来する事象を検知している場合には、制御部110等は、シート状装置100がユーザに掛けモードで使用されていると判定する。
また、複数のセンサを組合せて、掛けモードと不使用状態を判別してもよい。例えば、S18にて、温度センサ104の検出値が人間の体温を判定するための所定範囲内にあるという第1条件と、加速度センサの検出値が0に近い所定閾値以下の状態の継続時間が所定時間未満であるという第2条件の少なくとも一方が満たされた場合に、掛けモードであると判定し、両方が満たされない場合に不使用状態であると判定してもよい。また、センサ群の検出値についての条件設定の仕方によっては、敷きモードの判定条件も満たさず、掛けモードの判定条件も満たさず、不使用状態の判定条件も満たさない場合があり得る。このように規定のいずれのモード、状態とも判定できない場合、例えば「不明」という第4の状態に分類してもよい。不明に分類されたときの検知データ等は、データベース254には記録するが、ユーザが着席している場合についての解析には用いない。
制御部110は、以上に説明したモード判定の手順を、例えば定期的に実行する。
また、ユーザが座席上のシート状装置100の上に座っている状態(すなわち敷きモード)から座席を離れた直後は、荷重センサ102群への荷重はほとんど無く、温度センサ104群はユーザの体温に近い温度を検知した状態である。図5の手順では、この状態は掛けモードと判定されてしまうが、これを避けるために、例えば敷きモードと判定している状態から荷重センサ102群等の検出値が敷きモードの判定条件を満たさない状態に変化した直後は、直ちに掛けモードに判定替えせず、「不明」乃至「敷きモード終了」といった特別な状態と判定してもよい。そして、所定の冷却期間(例えば数分程度)だけ待って、温度センサ104の検出温度がS18の条件を満たさないことが確定した段階で、その敷きモードの終了時点まで遡って「不使用状態」であると判定してもよい。なお、センサシート108や加速度センサ等も含む複数のセンサの検知データを複合的に分析して不使用状態や掛けモード、敷きモード等の判別を行う場合には、ユーザがシート状装置100の上から立ち上がった直後から、不使用状態であると判定することも可能である。
さて、シート状装置100の制御部110は、例えば定期的(あくまで一例だが1秒ごと)に、シート状装置100内の各センサ(荷重センサ102群、温度センサ104等)の検知データを取得し、それら検知データをサーバ250に送信する。また、制御部110は、センサ群の検知データ群の代わりに、又はそれに加えて、検知データ群を解析して得た解析結果(例えば着座姿勢の判定結果)を、サーバ250に対して例えば定期的に送信してもよい。この送信は、近接通信等を介して接続されているユーザの携帯端末200を経由してもよいし、LPWA等のプロトコルを用いた直接の送信であってもよい。携帯端末200を経由する場合、携帯端末200のシート連携アプリ204が、制御部110から受け取った検出値や解析結果の組を、サーバ上のユーザアカウントを特定するユーザID(これはシート連携アプリ204に保持されている)と対応付けて、サーバ250に送信する。また、シート状装置100からサーバ250に直接送信するケースでは、制御部110は、各センサの検出値や解析結果を、ユーザID又はシート状装置100の装置IDと対応付けて、サーバ250に送信する。ユーザIDは、例えばユーザの携帯端末200のシート連携アプリ204から制御部110に設定すればよい。また、シート状装置100の装置IDとユーザIDの対応関係をサーバ250に登録しておけば、制御部110が検出値等の情報を装置IDと対応付けてサーバ250に送信することで、サーバ250はその情報がどのユーザIDに関するものかを判別できる。
サーバ250は、シート状装置100のセンサ群の検知データや解析結果を受信すると、それら受信したデータを、その受信の日時の情報と共に、データベース254に、それら受信データに対応するユーザIDについての記録データとして登録する。
以上では、制御部110は、定期的に、シート状装置100内のすべてのセンサの検知データの組やその解析結果をまとめてサーバ250に送るとしたが、これは一例に過ぎない。この代わりに、例えば、センサごと、又は同一種類のセンサ群ごとに、それぞれ異なるタイミングや時間間隔で検知を行い、その結果得られた検知データや解析結果をサーバ250に送信してもよい。
また、定期的に送信する代わりに、サーバ250に通知すべき顕著な変化が生じた場合にのみ、検知データや解析結果をサーバ250に送信することとしてもよい。顕著な変化の一例は、シート状装置100の使用モード(敷き、掛け、不使用状態等)の変化である。また、ユーザの着座姿勢の区分(例えば良姿勢と悪姿勢の区分、あるいはより詳しく正常姿勢、猫背、エンジニア座り等の姿勢種別の区分)の変化も、サーバ250の通知のトリガとなる顕著な変化の一例である。また、位置センサ106が検知した位置が変化したとき(例えば別の部屋に移動したとき)や、心拍数又は呼吸数が警戒閾に達したときを、顕著な変化と捉え、そのときの検知データ等をサーバ250に送信するようにしてもよい。センサ群の検知データから、このようにあらかじめ規定した顕著な変化が生じたと判定した場合、制御部110自身、又は制御部110からの検知データを受け取って解析するシート連携アプリ204は、そのときのセンサ群の検知データやそれら検知データの解析結果の組、又はそのうちの顕著な変化に関連する検知データ又は解析結果のみ、をサーバ250に送信する。
次に、サーバ250のデータベース254に登録されるデータの例を説明する。
図6に、サーバ250のデータベース254が持つ、あるユーザID「user-A」に対応するシート状装置100のセンサ群に由来するデータの例を示す。例示したとおり、データベース254には、個々のユーザについて、制御部110又はシート連携アプリ204からのデータの受信日時に対応付けて、そのとき受信した各情報項目が登録される。これら情報項目には、例えば、シート状装置100の使用モード(敷きモード、掛けモード、不使用状態等)、位置センサ106が検知した位置、荷重センサ102群の検知荷重の組、その検知荷重の組等から判定される着座姿勢の区分(図示例では良姿勢か悪姿勢かの区別)、センサシート108から求められる心拍数が含まれる。このうち情報項目「位置」については、位置センサ106が検出した緯度及び経度の組(位置センサ106がGPS準拠の場合)をそのまま記録してもよいし、地図データベース(図示省略)から得られるその組に対応する場所の名前(建物名やオフィス名、部屋名など)を記録してもよいし、それら両方を記録してもよい。また、着座姿勢は、荷重センサ102群の検出値から判定するので、敷きモード以外のモードでは着座姿勢は不明である。また、図示例では、心拍数も敷きモードのときのみ記録している。しかし、掛けモードでもセンサシート108から信頼性のある心拍数が得られる場合には、掛けモードの時にも心拍数を記録してもよい。また、掛けモードや不使用状態の場合、荷重センサ102の検知した荷重は無意味なので、検知荷重の組は記録しない。ただし、敷きモード、掛けモード、及び不使用状態のいずれのモードにも該当しない「不明」状態の場合には、後の解析に備えて、検知荷重の組をデータベース254に記録してもよい(心拍数等の他の検知データも同様)。
図6の例は、「顕著な変化」が生じた場合にのみ制御部110等からサーバ250にデータが送信される場合の例である。サーバ250に対して制御部110等から定期的にデータが送信される場合には、データベース254にはそれら定期的に送信されてきたデータが受信日時と共に記録される。
図6に例示した情報項目群はあくまで一例に過ぎない。これらに加えて、シート状装置100内のセンサ群の検知データに由来する他の情報項目をデータベース254に記録してもよい。また、データベース254に記録する情報項目のうちのいくつかについては、制御部110等から受信したデータをサーバ250が解析することで求めてもよい。
また、データベース254には、図6に例示したシート状装置100のセンサ群の検知データに直接由来する情報項目(一次情報と呼ぶ)の他に、それら一次情報をキーとしてネットワーク上の他のデータベースやセンサから取得できる二次情報を記録してもよい。例えば、サーバ250が、制御部110等から一次情報を受信した時に、その一次情報に含まれる位置情報が示す場所にあるセンサ(例えば部屋にある室温センサや湿度センサ)からそのセンサの検知データ(例えばその部屋の室温や湿度)の情報を取得し、それらをその時点の二次情報として、その一次情報と対応付けてデータベース254に記録してもよい。一次情報に含まれる日時と位置の組合せから、その位置に対応する地方のその日時における天気を、インターネット上の天気情報サービスから取得し、データベース254に記録してもよい。なお、インターネット上のサーバにある情報については、後で必要になったときに検索することもできるので、一次情報を取得した時点でサーバ250がデータベース254に記録しなくてもよい。
また、データベース254には、個々のユーザごとの管理情報が保持されていてもよい。図7に、そのようなユーザ管理情報の例を示す。例示するユーザ管理情報には、ユーザごとに、ユーザID、シート装置ID、敷きモードでの汚れ係数、掛けモードでの汚れ係数、累積汚れ値が含まれる。シート状装置100の使用を重ねるに従ってそのカバーは汚れていくが、汚れ係数は、使用に応じた汚れの進み具合を示す係数である。図示例では、敷き/掛けのモードごとに、そのモードでカバーが一時間あたりどの程度汚れるかを汚れ係数として数値化している。図示例では、汚れ係数の値は、累積汚れ値の上限値(図示例では100)を基準に決めた値であり、その上限はカバーが非常に汚れた状態での値である。各モードでの汚れ係数は、例えば、ユーザ自身がサーバ250にログインして設定する。累積汚れ値は、各モードでの汚れ係数とその継続時間の積を足し合わせた値であり、現在のカバーの汚れの度合いを示す(図示例では上限100に対して28)。ユーザがカバーをクリーニングし、その旨をサーバ250に通知すると、累積汚れ値は0にリセットされる。汚れ係数や累積汚れ値の情報は、サーバ250がユーザに提供する画面表示に利用される(詳細は後述)。
また、サーバ250は、図6に例示した記録データを集計し、その集計結果をデータベース254に登録してもよい。図8には、データベース254内に登録されているそのようなデータの例を示す。この例は、あるユーザ「user-A」についての記録データから着席時間、良姿勢時間、及び悪姿勢時間を日毎に集計して得たデータを示している。例えば、サーバ250は、ある1日において使用モードが敷きモード又は掛けモードのいずれかに該当する時間の合計を、その一日の着席時間としてデータベース254に登録する。敷きモードか掛けモードであれば、ユーザが座席に座っているとみなせるので、それら両モードの合計時間を着席時間とするのである。図6に例示した記録データは、使用モードの変化等の顕著な変化があったときに記録されるので、敷きモードが記録された時点から、次に別のモードが記録されるまでの時間は、敷きモードが継続している時間と判定される。図6の例で言えば、まず9時15分から9時50分までの45分間は敷きモードであり、9時54分から12時2分までの2時間8分の時間も敷きモードである。同様に、掛けモードが記録された時点から、次に別のモードが記録されるまでの時間は、掛けモードの継続時間にカウントされる。
敷き時間及び掛け時間は、図6の記録データにおいて、それぞれ敷きモード及び掛けモードと記録されている時間の一日での合計である。
また、良姿勢時間及び悪姿勢時間は、それぞれ、図6の記録データにおいて姿勢が「良」及び「悪」と判定されている時間の一日の中での合計値である。姿勢が「良」となっている記録データの時刻から、次に姿勢が「良」以外の値になるまでの時間が、良姿勢の継続時間である。この継続時間の一日における総和が、その日の良姿勢時間として求められ、データベース254に記録される。悪姿勢時間についても同様である。
また、図8には日毎の集計データの例を示したが、週毎や月毎といった他の単位での集計データを求めて記録してもよい。またこのような集計データをあらかじめ作成しなくても、ユーザからの要求に応じて、サーバ250が、生の記録データ(図6)から動的に集計を行ってもよい。
次に、サーバ250がユーザに提供する提供情報の画面の例を説明する。
図9及び図10は、シート連携アプリ204が提供するホーム画面300の表示を模式的に示す図である。例示するホーム画面300には、シート状装置100の現在の使用モード302と、その使用モードのイメージ表示304と、シート状装置100の汚れレベル306の表示が含まれる。イメージ表示304には、椅子20に座っているユーザと、使用モードに応じたシート状装置100の状態が、模式的に示されている。図9は敷きモード時の画面を示しており、シート状装置100はユーザの下に敷かれている状態である。図10は掛けモード時の画面であり、シート状装置100は座っているユーザの膝に掛けられた状態である。また、汚れレベル306は、データベース254に当該ユーザのIDに対応付けて管理されている累積汚れ値(図7参照)である。また、この汚れレベル306の値は、イメージ表示304内のシート状装置100の表示色に反映されている。汚れレベル306が高い程、シート状装置100の表示色の黒ずみ度合いが高くなる。なお、シート連携アプリ204のUI(ユーザインターフェース)では、シート状装置100を「ブランケット」という名称で呼んでいる。
このようなホーム画面300は、例えばウェブページの形でサーバ250が生成し、サーバ250にログインしてきたユーザのシート連携アプリ204に提供する。また、以下に説明する各種の画面も、サーバ250が、データベース254内の当該ユーザの記録データやネットワーク上の他のサーバやデータベースから取得できる情報を用いて生成し、ユーザの携帯端末200やパーソナルコンピュータに提供する。
以上、シート状装置100の汚れレベルを画面表示する例を示したが、汚れのみならず、シート状装置100やその一部であるカバーの摩耗その他の劣化度合いを、汚れレベルの場合と同様の方法で数値化し、ユーザに情報提供してもよい。
図11に、サーバ250がユーザに提供する「今日の状況」画面310を例示する。この画面310には、シート状装置100のセンサ群からの本日得た一次情報や、それに慣例する二次情報の要約が表示される。図示例では、この画面310には、今日の着席状況312と、直近1週間の着席時間314の推移が表示される。今日の着席状況312は、今日の始まり(例えばユーザの出社時刻)からその画面310の表示の時点までのユーザの着席時間と、着席以外の状態(例えば席から離れている状態)の時間を表示したものである。このうち着席時間は、今日のその時点までの、敷きモード又は掛けモードに該当する時間の合計である。また、着席以外の状態の時間は、今日の始まりからその時点までの時間から、着席時間を除いた残りの時間である。また、直近1週間の着席時間314は、今日又は前日までの1週間の各日の着席時間を棒グラフで表している。この表示において、あらかじめ設定された閾値(図中破線で示す)を超える長い着席時間の日の棒グラフには、注意を促すマーク(棒グラフの上の三角形内にエクスクラメーションマークが内包されたマーク)が表示される。またこの画面310には、今日の天気や気温、湿度、ユーザの現在位置(例えばユーザがいる部屋)の室温や湿度、今日一日における使用モードの時間推移、サーバ250からのレコメンド情報等が表示されてもよい。レコメンド情報は、例えば今日一日の中での使用モードや着席時間、直近1週間の着席時間314の推移等に応じて、サーバ250の内部ルールで選択されたメッセージである。例えば、着席時間が閾値を超える日が多い場合には、立って身体を動かすことを勧めるメッセージをレコメンド情報として表示する。
またこの画面310に、又は別の画面に、ユーザの現在位置(シート状装置100又は携帯端末200の位置センサが検知)の現在の環境情報(例えば室温と湿度の組)や、その環境情報に対する美容の観点からの説明を表示してもよい。ユーザの現在位置の現在の環境情報は、サーバ250がインターネット等を介してその現在位置近傍のセンサから取得すればよい。また、美容の観点からの説明は、湿度が美容面からみて乾燥しすぎているのか、少し乾燥気味なのか、適切なのか等の評価や、室温についての同様の評価を示す説明文である。また、サーバ250は、データベース254内の記録データに記録されているユーザの過去の所在位置(オフィス等)のそれぞれについての環境情報を取得し、それら各位置(オフィス等)の美容観点での推奨度合いのランキングを作成してもよい。そして、ユーザの現在位置がそのランキングの中の何にいるかを示す画面をユーザに提供してもよい。
図12に、現在モード画面320を例示する。現在モード画面320は、シート状装置100の現在の使用モードに関連する情報を提供する画面である。図示例では、現在モード画面320には、現在の使用モード322と、直近1週間の当該モードの時間推移情報324が示される。時間推移情報324は、直近1週間の日毎に、現在の使用モードでのシート状装置100の使用時間の当該日における合計値が棒グラフで示されている。
現在モード画面320には、時間推移情報324に限らず、当該ユーザの現在の使用モードと同じ使用モードの時の過去の関連情報(例えば、そのときの位置、姿勢、心拍数、室温、天気等)についての集計や解析の結果を表示してもよい。例えば、現在の使用モードをとっている時間が長い位置(例えばオフィスや部屋等)のランキング表示、又は今の位置における現在の使用モードともう一方のモードとの比率の表示、等がその一例である。
また、サーバ250は、ユーザの記録データやそれに関連する二次情報を様々な観点から集計又は分析し、その結果を示す画面をユーザに提供する。図13には、そのような画面の一つである「曜日ごとの着席時間」画面330の表示例を示す。この画面330には、当該ユーザの過去の着席時間の曜日ごとの平均値が棒グラフで示される。同様に、曜日ごとの敷きモード、掛けモードそれぞれの平均時間等を表示してもよい。この画面330に、曜日ごとの着席時間の傾向の分析結果に対応するコメントや、その傾向に対する改善案を説明する文章を表示してもよい。
図13の例は曜日ごとの集計であったが、サーバ250は、この他に位置(例えばオフィス、部屋、カフェ等)ごと、時間帯(午前、午後、残業時間等)ごと、期間ごと(例えば月ごと、四半期ごと)、天気ごと、室温の温度帯ごと、等といった他の観点についての集計や分析の結果を提供してもよい。また、複数の観点の組合せでの集計や分析の結果を提供してもよい。例えば、位置と曜日の組合せ毎の着席時間の平均がその一例である。このような様々な観点、又は観点の組合せに関する集計/分析の対象は、着席時間、各使用モードの時間の他に、着席姿勢ごとの継続時間(例えば1日の累計)、心拍数等様々なものが考えられる。
また、サーバ250は、記録データの「位置」の情報を用いた様々な情報を提供する。例えば、サーバ250は、データベース254内のユーザの記録データ(図6参照)に含まれる各レコードの日時と位置の組合せに該当する室温や湿度(すなわちその位置に該当するオフィスや部屋に設置された温度センサ、湿度センサがその日時に検知した温度及び湿度)をオフィスや部屋ごとに集計し、例えばオフィスや部屋ごとの平均温度や平均湿度を求める。そして、サーバ250に登録されている、美容目的で推奨される室温及び湿度の範囲に該当する室温及び湿度のオフィスや部屋があれば、サーバ250は、そのようなオフィス又は部屋を推奨オフィスとして示す画面をユーザに提供する。この画面には、例えば、推奨オフィスの名前や周辺地図、利用可能時間帯、そのオフィスの環境情報(例えば平均的な室温や湿度)、ユーザ(携帯端末200)の現在位置からの距離、等の情報が表示される。
また、サーバ250は、データベース254内のデータから、位置(オフィスや部屋等)ごとの使用モードの比率を求め、その比率に基づく情報提供を行ってもよい。例えば、位置ごとの使用モードの比率は、その位置におけるシート状装置100の敷きモードでの使用の時間が何割で、掛けモードでの使用の時間が何割であるか(言い換えれば着席時間のうちの敷きモードと掛けモードの時間がそれぞれ占める割合)という、時間同士の比率を示す情報である。サーバ250は、ユーザ(携帯端末200)の現在位置についてのその比率情報を表示した画面をユーザに提供してもよい。
ユーザは、足下が寒い場合にシート状装置100を掛けモードで使用する可能性が高いといえる。そこで、サーバ250からユーザに対して、例えば、過去の掛けモードの比率があらかじめ設定した閾値以上であるオフィスや部屋を、足下が寒い場所として紹介する画面を提供したり、逆に掛けモードの比率が低いオフィス等を足下が寒くないオフィスランキングとして紹介する画面を提供したりしてもよい。
また、サーバ250又はシート連携アプリ204は、着座姿勢のチェック画面をユーザに提供してもよい。ユーザがこのチェック画面を携帯端末200に呼び出すと、サーバ250又はシート連携アプリ204が、シート状装置100の制御部110から各荷重センサ102の検知データを受け取り、その検知データに基づいて、ユーザの現在の着座姿勢が良いか悪いかを判定する。そしてその判定結果を示す画面を、携帯端末200に表示する。
また、シート連携アプリ204又はサーバ250は、シート状装置100が検出しているユーザの着座姿勢が各種のアラーム条件を満たす場合に、そのアラーム条件に応じたアラーム画面を表示してもよい。アラーム条件には、例えば、悪い着座姿勢が閾値時間以上続いたという第1条件、着席時間が別のある閾値時間以上連続したという第2条件、更に別の閾値時間以上の着席していた日が閾値日数以上連続したという第3条件など様々な条件が考えられる。例えば、第1条件が満たされた時、シート状装置100は、姿勢が崩れていることを示す通知や正しい姿勢に戻すためのアドバイスを表示したアラーム画面を携帯端末200に表示する。例えば、シート連携アプリ204又はサーバ250が、そのアラーム画面に関連付けられたプッシュ通知を携帯端末200に送り、そのプッシュ通知に気づいたユーザがその画面を呼び出す。第2条件、第3条件等の他の条件にも、それぞれその条件が満たされたときに表示するアラーム画面が用意されている。例えば第2条件には、長時間座ったままであることやストレッチ体操を促すメッセージを表示したアラーム画面、第3条件にはリラックスできる行動をいくつか例示して勧めるアラーム画面が用意される。
また、シート状装置100を利用してユーザの日々の体重を測定し、その測定結果をサーバ250に記録し、解析できるようにしてもよい。通常の着座姿勢の場合、足が床についたり、肘が肘掛けに掛けられたりするため、全体重が荷重センサ102群に掛からない。そこで、シート連携アプリ204に体重測定モードを用意する。ユーザがこのモードを選択すると、シート連携アプリ204は、体重測定のための姿勢(例えば両足を床から浮かせ、背もたれにもたれず、肘を肘掛けに掛けない姿勢)を画像や文章で示した画面を表示する。そして、例えば、体重測定開始までのカウントダウン画面を表示し、測定開始が開始されると、所定時間(例えば数秒)その姿勢を維持する旨を示した画面を表示する。例えば、この測定期間の間の荷重センサ102群の検出した荷重の時間平均を、ユーザの体重の測定結果とする。測定終了後、シート連携アプリ204は、測定した体重の値を示す画面を表示する。この画面には、直近数日間の体重の推移を示すグラフ等を併せて表示してもよい。また、シート連携アプリ204は、測定した体重が、あらかじめ設定されている当該ユーザの身長等から決まる適正体重範囲の上限を超えたり下限を下回ったりした場合に、アラーム画面を表示してもよい。また、ユーザが自分の理想体重をシート連携アプリ204又はサーバ250に登録しておき、測定した体重のその理想体重からの差が閾値を超えると、アラーム画面を表示するようにしてもよい。
また、サーバ250は、シート状装置100から得られる一次情報の各項目や、これらに関連する二次情報の各項目同士の間の相関を解析し、その解析結果をユーザに提供してもよい。例えば、サーバ250は、着席時間(その月の一日あたりの平均値)と体重(その月の平均)の月毎の推移を示すグラフを生成し、シート連携アプリ204に提供してもよい。またサーバ250は、気温と体重の相関を求め、その相関の内容を表示した画面をシート連携アプリ204に提供してもよい。またサーバ250は、位置情報から分かるユーザの居場所(オフィス等)とその場所での着席時間の相関を解析し、その解析結果を表示してもよい。
以上に説明した実施形態では、シート状装置100のセンサ群に由来する一次情報やこれに関連する二次情報を蓄積するデータベースがネットワーク上のサーバ250に設けられる例を示したが、これは一例に過ぎない。データベース254を携帯端末200に設け、携帯端末200内のシート連携アプリ204がサーバ250と同様の解析や制御を行うシステム構成もあり得る。