JP2019132330A - 玉軸受 - Google Patents

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貴裕 和久田
Takahiro Wakuta
貴裕 和久田
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Abstract

【課題】遠心力や昇温の影響を大きく受ける冠形の保持器を備える玉軸受を軸受サイズの大型化や高コスト化を避けつつ高速回転域に適用可能なものにする。【解決手段】回転速度が大きくなるにつれて保持器40が内輪案内の状態から玉案内の状態に遷移しながら、当該玉案内の状態でも玉30との間に隙間A´を確保可能な形状を有する。【選択図】図1

Description

この発明は、冠形の保持器を備える玉軸受に関する。
自動車用トランスミッション等の各種機械装置の回転軸支持部には、深溝玉軸受等の玉軸受が利用されている。玉軸受は、内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に介在する複数の玉と、これら玉を保持する保持器とを備える。
玉軸受に備わる保持器として、従来、冠形の保持器が利用されている。冠形の保持器は、軸方向一方側に設けられた一つの環状部と、この環状部から周方向に均等間隔で軸方向他方側へ突き出た複数の柱部とからなる。すなわち、冠形の保持器は、複数の柱部を軸方向一方側のみで片持ちする構造であるから、当該保持器の内径側、外径側及び軸方向他方側に開口した形状のポケット部を周方向に均等間隔で有する。その複数のポケット部の軸方向他方側の開口から冠形の保持器を複数の玉に対して軸方向に押し当てることにより、玉をポケット部に収容することができるようになっている。
玉軸受の運転において冠形の保持器が高速回転すると、その高速回転によって保持器に大きな遠心力が作用する。その遠心力により、その保持器は、環状部から柱部が保持器の外径へ倒れる捩れ変形を生じる。このため、高速回転で使用される冠形の保持器は、従来、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、高力黄銅等、高速回転時に発生する遠心力や熱膨張に耐え得る材料によって形成されている。
従来、自動車のトランスミッション、ハイブリッド車(HEV)の駆動モータ等の高速回転部に用いられる玉軸受として、冠形の保持器の内周面と内輪の外周面との間の内径側隙間に比して、保持器の外周面と外輪の内周面との間の外径側隙間が大きく設けられ、内輪の潤滑油流入側の端面と外周面との間に切欠き部が設けられているものがある(特許文献1)。特許文献1の玉軸受は、通常、保持器を玉で径方向に案内するようになっている。高速回転による保持器に捩れ変形が大きくなると、保持器が外輪に摺接するよりも先に内輪に摺接する。このため、特許文献1の玉軸受では、捩れ変形を生じた保持器の柱部が外輪の軌道溝の縁に摺接しないようにすることができる。保持器の内周面と内輪の外周面が摺接するが、切欠き部から潤滑油が保持器の内周面と内輪の外周面との間に行き渡るため、玉軸受の回転トルクの増加や焼き付きの発生を防止することができる。
さらに、特許文献1の玉軸受は、内輪の潤滑油流入側の端面と外周面との間に切欠き部を有する。この切欠き部から潤滑油が保持器の内周面と内輪の外周面との間に行き渡るため、玉軸受の回転トルクの増加や焼き付きの発生を防止することもできる。
特開2009−133483号公報(特に明細書の段落0010,0027〜0028,0062、図1参照)
しかしながら、特許文献1のように、通常、玉で径方向に案内される冠形の保持器の場合、高速回転時の捩れ変形の際、ポケット部を形成する柱部の内径側部分が玉に接触して当該玉を保持器の内径側から外径側に向かって抱え込んでしまい、玉軸受の回転トルクの増加や発熱の要因となる可能性がある。
PEEKや高力黄銅で保持器を形成すれば、保持器の捩れ変形を抑えることは可能だが、高価な材料であるため、コスト面で不利となる。
また、近年、自動車分野では、環境技術に着目されており、その一つとして低燃費化を目的とするトランスミッションの多段化が進められている。例えば、ハイブリッド車に搭載されるエンジン用ミッションでは、大型化を抑えつつ多段化を図るため、遊星歯車機構が適用されている。その遊星歯車機構の入出力に際し、遊星歯車機構に備わる内歯歯車が回転することがある。その内歯歯車からの純ラジアル荷重を支持する玉軸受の内輪は、そのミッションの幅を抑えるため、内歯歯車の外周に嵌合された構造になっている。その内歯歯車の外径は大きく、これに対応の軸受内径を有する玉軸受も大径化する。このように大径な玉軸受の場合、遠心力や、昇温による膨張の影響を大きく受けることになる。この玉軸受には、内歯歯車の回転に適した高dmn値への対応が求められ、また、極力、玉軸受を小サイズに収めることも求められる。つまり、薄肉大径で高dmn値に対応できる玉軸受が求められる。さらに、低コスト化の要望もある。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、遠心力や昇温の影響を大きく受ける冠形の保持器を備える玉軸受を軸受サイズの大型化や高コスト化を避けつつ高速回転域に適用可能なものにすることである。
上記の課題を達成するため、この発明は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介在する複数の玉と、合成樹脂によって形成された保持器とを備え、軸方向一方側の環状部と、前記環状部から軸方向他方側に向けて延びて前記玉を収容するポケット部を形成する柱部とを有する冠形の保持器であり、回転速度が大きくなるにつれて内輪案内の状態から玉案内の状態に遷移して、玉案内の状態で玉とポケット部との間に隙間が確保されている構成を採用した。
上記構成によれば、低速回転域から高速回転域へと保持器の回転速度が大きくなるにつれて、保持器が内輪案内から玉案内へと遷移することで、低速回転域で玉案内である従来の保持器と比べて、高速回転域で作用する遠心力によって保持器が変形して外輪と干渉するのを防ぐことができる。また、案内形式を遷移させることで上記変形を防止する形状を有する保持器であるため、保持器を安価な材料で形成した高速回転に対応した好適な軸受を提供することができる。更に、高速回転域でポケット部と玉との間に隙間が確保されているので、ポケット部を形成する柱部の内径側部分が玉に接触して当該玉を外径側へと持ち上げようとする玉の抱え込みも防止される。
具体的には、前記ポケット部が、前記玉のピッチ円直径よりも前記保持器の内径側の位置で前記玉との間に一定以上の隙間を形成する内方部分と、前記内方部分に対して当該保持器の外径側の位置で前記玉との間に前記一定以上の隙間に比して小さな隙間を形成する外方部分とからなり、前記ポケット部の前記内方部分が、軸方向他方側に向かって前記保持器の内径側に傾斜した方向に延びているとよい。このようにすると、低速回転域では、保持器を内輪で案内し、高速回転域では、保持器の変形によってポケット部の内方部分が玉に接近することを利用して保持器を玉で案内するのに適した隙間にすることが可能になる。
前記ポケット部の前記外方部分が、前記保持器が玉案内に遷移したときに、軸方向他方側に向かって前記内方部分から次第に径方向に遠ざかる外径側開口縁を有するとよい。このようにすると、高速回転域で保持器が外輪に摺接することを避けつつ、ポケット部の変形への抵抗性を高めることができる。
また、前記ポケット部の前記外方部分が、前記玉のピッチ円直径を規定する円周上に第一の中心をもった第一の凹球面からなり、前記ポケット部の前記内方部分が、前記第一の中心から前記保持器の内径側へ偏った位置に第二の中心をもった第二の凹球面からなるとよい。このようにすると、二つの凹球面を設定するだけで、ポケット部の内方部分と玉との間に一定以上の隙間を設定し、外方部分と玉との間に一定未満の隙間を設定することができる。
この発明に係る玉軸受は、遊星歯車機構に備わる内歯歯車の外周に嵌合される用途に好適である。これは、内歯歯車の外径に対応の大径な玉軸受となり、遠心力や昇温の影響を大きく受けるが、安価な保持器でも高速回転域で保持器が外輪、玉に強く干渉することを避けることができるためである。そのような遊星歯車機構としては、例えば、自動車のトランスミッションに備わるものが挙げられる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、遠心力や昇温の影響を大きく受ける冠形の保持器を備える玉軸受を軸受サイズの大型化や高コスト化を避けつつ高速回転域に適用可能なものにすることができる。
この発明の一例としての実施形態に係る玉軸受を示す断面図 図1の玉軸受が遊星歯車機構に取り付けられた様子を示す側面図 図1のポケット部の外観を保持器の内径側から示す部分拡大斜視図 図1の玉軸受が高速回転する状態を示す断面図
図1に示すように、実施形態に係る玉軸受1は、内輪10と、外輪20と、内輪10と外輪20間に介在する複数の玉30と、合成樹脂によって形成された冠形の保持器40とを備える。
なお、図1は、内輪と、外輪と、保持器とが同一の軸線(設計上の軸受中心軸)上に配置され、玉が内輪、外輪と正規に接触する状態で停止し、かつ20℃の雰囲気で玉軸受1が熱平衡状態にあるときの様子を示すものである。以下、前述の軸線に沿った方向を「軸方向」という。軸方向は、図1における左右方向に相当する。また、前述の軸線に直交する方向のことを「径方向」という。径方向は、図1における上下方向に相当する。また、前述の軸線回りの円周方向を「周方向」という。
玉軸受1は、自動車のトランスミッションに備わる図2の遊星歯車機構100を径方向に支持する深溝玉軸受となっている。
遊星歯車機構100は、太陽歯車110と、内歯歯車120と、複数の遊星歯車130と、遊星歯車130を支持するキャリア軸140とを有する。遊星歯車130は、太陽歯車110と内歯歯車120とに噛み合っている。太陽歯車110と内歯歯車120とキャリア軸140は、それぞれ同軸回りに回転可能である。遊星歯車130は、キャリア軸140回りに自転しながら太陽歯車110の周りを公転することができる。内歯歯車120は、遊星歯車機構100の外部から回転が入力される伝達軸又は遊星歯車機構100から外部へ回転を出力する伝達軸として機能する。
玉軸受1は、内歯歯車120の外径面と内輪10の内径面との嵌合によって内歯歯車120の外周に取り付けられている。外輪20は、ミッションケース等の他の静止部材に取り付けられる。内歯歯車120の回転中、内輪10が回転輪となり、外輪20が静止輪となる。
内歯歯車120の回転速度に対応の玉軸受1のdmn値は、例えば、60万以上、220万以下である。
なお、dmn値は、{(D+d)/2}×nの計算式で求められる値である。ここで、Dは、軸受外径(mm)であり、玉軸受1において外輪20の外径に相当する。dは、軸受内径(mm)であり、玉軸受1において内輪10の内径に相当する。nは、軸受回転数(rpm)であり、玉軸受1において保持器40の回転数(rpm)に相当する。玉軸受1において、Dは、例えば、50mm以上、200mm以下であり、dは、例えば、40mm以上、120mm以下である。
図1、図2に示すように、内輪10は、軌道溝11を外周側に有する環状の軸受部品である。外輪20は、軌道溝21を内周側に有する環状の軸受部品である。内輪10、外輪20のうち、それぞれ軌道溝11、21に対して軸方向両側に位置する部分は、肩部12、22である。
玉30は、軌道溝11と軌道溝21に接触する球状の転動体である。玉30は、軌道溝11と軌道溝21に呼び接触角90°で一点接触可能な球径になっている。
保持器40は、複数の玉30の周方向間隔を保持する環状の軸受部品である。保持器40は、当該保持器40の軸方向一方側に設けられた一つの環状部41と、環状部41から周方向に均等間隔で軸方向他方側へ突き出た複数の柱部42とからなる。
保持器40の全体は、金型によって一体に成形されている。保持器40は、ポリアミド系樹脂によって形成されている。ポリアミド系樹脂は、ポリアミドからなる熱可塑性樹脂の総称である。ポリアミド系樹脂に該当する樹脂として、例えば、PA6、PA11、PA12、PA66、PA46、PA9Tなどが挙げられる。
保持器40は、保持器40の内径側、外径側及び軸方向他方側に開口した形状のポケット部43を周方向に均等間隔で有する。ポケット部43は、保持器40のうち、一つの玉30の収容空間を規定する表面部分である。
玉30は、複数のポケット部43の軸方向他方側の開口から保持器40を複数の玉30に対して軸方向に押し当てることにより、ポケット部43に収容されている。すなわち、ポケット部43は軸方向他方側に開口部を有し、当該開口部の入口寸法は玉30の直径よりも小さい。
図1に示すように、ポケット部43は、玉30のピッチ円直径PCDよりも保持器40の内径側の位置で玉30との間に一定以上の隙間Aを形成する内方部分43aと、内方部分43aに対して保持器40の外径側の位置で玉30との間に前述の隙間Aに比して小さな隙間を形成する外方部分43bとからなる。内方部分43aは、軸方向他方側に向かって保持器40の内径側に傾斜した方向に延びている。
図1、図3に示すように、ポケット部43の外方部分43bは、玉30のピッチ円直径PCD(以下、単に「PCD」という。)を規定する円周上に第一の中心Oをもった第一の凹球面からなる。なお、ピッチ円直径PCDを規定する円周は、複数の玉30の中心を通る円周である。図1において外方部分43bの中心Oは、玉30の中心と同心である。
ポケット部43の内方部分43aは、第一の中心Oから径方向に保持器40の内径側へ偏った位置に第二の中心Oをもった第二の凹球面からなる。内方部分43aの球半径は、外方部分43bの球半径と同等である。内方部分43aの球半径は、外方部分43bの球半径よりも大きく設定してもよい。
前述の中心Oに対する中心Oの偏心配置と、外方部分43bの球半径に比して内方部分43aの球半径を同等以上に設定することにより、ポケット部43の内方部分43aと玉30との間の全域において、保持器40の内径側に進む程に次第に拡大するように隙間Aが設定され、ポケット部43の外方部分43bと玉30との間の全域において、隙間Aよりも小さな隙間が設定されている。
ポケット部43の内方部分43aと外方部分43bの境界となる辺縁43cは、軸方向他方側に向かって保持器40の内径側へ傾斜した方向に延びている。辺縁43cのうち、最も軸方向一方側に位置する一端部は、第一の中心Oと軸方向に正対する位置にある。辺縁43cは、柱部42の軸方向他方側の先端まで連続している。辺縁43cと周方向に正対する位置に内方部分43aの中心Oが配置されている。
ポケット部43の内方部分43aは、辺縁43cに沿って延びる内径側開口縁43dを有する。内径側開口縁43dは、環状部41の内周から、柱部42の内径側面取り部まで連続している。内径側開口縁43dの軸方向他方側の部分は、内輪10の肩部12の外径に比して小径又は同径の部分を有する。保持器40と内輪10との間の径方向隙間δiは、内径側開口縁43dと、内輪10の肩部12との間で規定されている。
ポケット部43の外方部分43bは、図4に示すように保持器40が玉案内のとき(玉軸受1が高速回転で回転しているとき)、軸方向他方側に向かって内方部分43aから次第に径方向に遠ざかる外径側開口縁43eを有する。外径側開口縁43eは、環状部41の外周から、柱部42の軸方向他方側の先端まで連続している。柱部42と外輪20間のクリアランスを減らすことなく遠心力に対するポケット部43(特に柱部42上の部分)の抵抗性を可及的に高めるため、図1に示す状態のとき、外径側開口縁43eの全体は、軸方向に沿った方向に延びている(保持器40の外径を規定する円筒面の一部となっている)。保持器40と外輪20との間の径方向隙間δoは、外径側開口縁43eと、外輪20の肩部22との間で規定されている。径方向隙間δo>径方向隙間δiに設定されている。
ポケット部43と玉30との間における隙間の分布は、保持器40の回転速度が所定以下の場合(低速回転域の場合)、保持器40が玉30に対して径方向に自由に動き得る変位量の限界が玉30と外方部分43bとの接触で決まり、かつ当該限界の変位量が径方向隙間δiに比して大きい。さらに保持器40の回転速度が前述の所定を超える場合(高速回転域の場合)、その変位量の限界が玉30と内方部分43aとの接触で決まり、かつ当該限界の変位量が径方向隙間δi,δoに比して小さくなると共に玉30と内方部分43aとの間に隙間が残るように設定されている。
保持器40の回転速度が所定未満の低速回転域では、保持器40の回転による遠心力や昇温の影響は小さく、保持器40の形状は図1の状態から大きく変化しない。このため、保持器40は、内輪10の肩部12によって径方向に案内される内輪案内形式である。保持器40の回転速度が高くなる程、その回転による遠心力や昇温の影響が大きくなり、各柱部42が保持器40の外径側へ大きく倒れて保持器40の捩れ変形が大きくなる。このため、ポケット部43の内方部分43aが玉30に接近すると共に、外方部分43bが玉30から遠ざかる。
保持器40の回転速度が所定以上の高速回転域では、図4に示すように、保持器40の捩れ変形により、内方部分43aと玉30との間の隙間A´は、図1の隙間Aよりも小さくなるが、無くなることはない。一方、図4に示す外方部分43bと玉30との間の隙間は、隙間A´よりも大きくなる。このため、高速回転域では、玉30とポケット部43との間の隙間を保持器40が自由に内輪10と径方向に接触できず、玉30によって径方向に案内されると共に、玉案内形式(転動体案内形式)の状態へ遷移させつつ、この玉案内の状態で玉30とポケット部43との間に隙間A´が確保される。玉案内形式の保持器40が回転しているときは、例えば、ポケット部43のうち内方部分43aの底面と玉30との間に隙間A´及び外方部分43bと玉30との間に隙間が確保されつつ、ポケット部43のうち内方部分43aの内径側開口縁43dが玉30と接触している。保持器40は遠心力の作用を受けながら回転するため(振れ回りするため)、その回転状態によっては、内方部分43aと玉30との間の領域の一部が隙間A´を介さずに接触する。なお、外方部分43bと玉30とが接触することはない。よって、保持器40が玉案内形式のとき、外方部分43bと玉30との間及び内方部分43aの少なくとも一部と玉30との間に隙間が確保された状態で保持器40は回転する。
ここで、保持器40を低速回転域で内輪案内としつつ、高速回転域で玉案内へと移行したときに玉30が保持器40の柱部42によって抱え込まれるのを防ぐためには、保持器40のうちポケット部43の底部の内径縁Xから径方向外側に向けて垂直に伸ばして玉30と接触する点Yと結ぶ垂線の距離δiiが、内輪10と保持器40の内径面との距離δiよりも大きいことも条件となる。
なお、図4では、保持器40が所定の回転速度のときを示している。すなわち、保持器40が内輪案内の状態から玉案内の状態へ遷移する時点での捩れ変形の様子を示している。このとき、ポケット部43の辺縁43c、内径側開口縁43dは、それぞれ軸方向に水平に延びている。一方、外径側開口縁43eは、図1における辺縁43cの傾斜方向に相当の方向に延びている。
玉軸受1は、上述のようなものであり、低速回転域から高速回転域へと保持器40の回転速度が大きくなるにつれて、保持器40が内輪案内から玉案内へと遷移することで、低速回転域で玉案内である従来の保持器と比べて、高速回転域で作用する遠心力によって保持器40が変形して外輪と干渉するのを防ぐことができる。また、低速回転域で保持器40を内輪10で案内するため、保持器40と内輪10との間の径方向隙間δiに比して保持器40と外輪20との間の径方向隙間δoを大きく設けることになる(図1参照)。このため、高速回転域での保持器40の捩れ変形が許容され、その捩れ変形によって保持器40が外輪20と干渉することが防止される(図4参照)。また、高速回転域での保持器40の捩れ変形が許容されているので、保持器40を高剛性化するために大型化することが不要となる。このため、玉軸受1のサイズの大型化も避けられる。また、高速回転域での保持器40の捩れ変形を許容しても、ポケット部43と玉30との間に隙間A´が確保されているので、ポケット部43を形成する柱部42の内径側部分が玉30に接触して当該玉30を外径側へと持ち上げようとする玉30の抱え込みも防止される。
このように、玉軸受1は、高速回転域で保持器40が捩れ変形しても、保持器40が外輪20に摺接したり、玉30を抱え込んだりする事態が防止されるので、高速回転域にも適用可能なものにすることができる。
また、玉軸受1は、保持器40を高剛性化するために大型化せずに済むため、軸受サイズの大型化を避けることもできる。
また、玉軸受1は、ポケット部43の形状の工夫だけで高速回転域への適用性を実現可能なため、PEEK等の高価な材料で保持器40を形成することも不要であり、保持器40の高コスト化を避けることもできる。
また、玉軸受1は、ポケット部43がPCDよりも保持器40の内径側の位置で玉30との間に一定以上の隙間Aを形成する内方部分43aと、内方部分43aに対して保持器40の外径側の位置で玉30との間に隙間Aに比して小さな隙間を形成する外方部分43bとからなり、その内方部分43aが軸方向他方側に向かって保持器40の内径側に傾斜した方向に延びているため(図1参照)、低速回転域では、保持器40を内輪10で案内し、高速回転域では、保持器40の捩れ変形によってポケット部43の内方部分43aが玉30に接近することを利用して保持器40を玉30で案内するのに適した隙間A´にすることができる。
また、玉軸受1は、保持器40が玉案内のとき、ポケット部43の外方部分43bが軸方向他方側に向かって内方部分43aから次第に径方向に遠ざかる外径側開口縁43eを有するため、高速回転域で保持器40が外輪20に摺接することを避けつつ、ポケット部43の捩れ変形への抵抗性を高めることができる。
また、玉軸受1は、ポケット部43の外方部分43bがPCDを規定する円周上に第一の中心Oをもった第一の凹球面からなり、内方部分43aが第一の中心Oから保持器40の内径側へ偏った位置に第二の中心Oをもった第二の凹球面からなるため、二つの凹球面を設定するだけで、内方部分43aと玉30との間に一定以上の隙間Aを設定し、外方部分43bと玉30との間に隙間A未満の隙間を設定することができる。
また、玉軸受1は、保持器40がポリアミド系樹脂によって形成されているため、PEEK等に比して安価な材料で保持器40を形成して高コスト化を避けることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 玉軸受
10 内輪
20 外輪
30 玉
40 保持器
43 ポケット部
43a 内方部分
43b 外方部分
43c 辺縁
43d 内径側開口縁
43e 外径側開口縁
100 遊星歯車機構
120 内歯歯車

Claims (5)

  1. 内輪(10)と、外輪(20)と、前記内輪(10)と前記外輪(20)との間に介在する複数の玉(30)と、合成樹脂によって形成された保持器(40)とを備え、
    前記保持器(40)が、軸方向一方側の環状部(41)と、前記環状部(41)から軸方向他方側に向けて延びて前記玉(30)を収容するポケット部(43)を形成する柱部(42)とを有する冠形の保持器であり、回転速度が大きくなるにつれて内輪案内の状態から玉案内の状態に遷移して、
    前記玉案内の状態で前記玉(30)と前記ポケット部(43)との間に隙間(A´)が確保されていることを特徴とする玉軸受。
  2. 前記ポケット部(43)が、前記玉(30)のピッチ円直径(PCD)よりも前記保持器(40)の内径側の位置で前記玉(30)との間に一定以上の隙間(A)を形成する内方部分(43a)と、前記内方部分(43a)に対して当該保持器(40)の外径側の位置で前記玉(30)との間に前記一定以上の隙間(A)に比して小さな隙間を形成する外方部分(43b)とからなり、
    前記ポケット部(43)の前記内方部分(43a)が、軸方向他方側に向かって前記保持器(40)の内径側に傾斜した方向に延びている請求項1に記載の玉軸受。
  3. 前記ポケット部(43)の前記外方部分(43b)が、前記保持器が玉案内に遷移したときに、軸方向他方側に向かって前記内方部分(43a)から次第に径方向に遠ざかる外径側開口縁(43e)を有する請求項2に記載の玉軸受。
  4. 前記ポケット部(43)の前記外方部分(43b)が、前記玉(30)のピッチ円直径(PCD)を規定する円周上に第一の中心(O)をもった第一の凹球面からなり、
    前記ポケット部(43)の前記内方部分(43a)が、前記第一の中心(O)から前記保持器(40)の内径側へ偏った位置に第二の中心(O)をもった第二の凹球面からなる請求項2又は3に記載の玉軸受。
  5. 遊星歯車機構(100)に備わる内歯歯車(120)の外周に嵌合される請求項1から4のいずれか1項に記載の玉軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023210092A1 (ja) * 2022-04-27 2023-11-02 ミネベアミツミ株式会社 玉軸受

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