JP2019131675A - グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えばステアリングコラム機構等に用いられて、優れた潤滑性を付与し、機構部品のコストを低減させることができるグリース組成物を提供する。【解決手段】本発明に係るグリース組成物は、(a)基油と、(b)増ちょう剤とを含むベースグリースに、(c)防錆剤と、(d)硫黄−リン系極圧剤と、(e)平均粒径が5μm以下である二硫化モリブデンと、(f)リグニン化合物と、を含有し、(a)基油の40℃における動粘度が400mm2/s〜1200mm2/sであり、組成物中における(e)二硫化モリブデンの含有量が30.0質量%〜60.0質量%である。【選択図】なし
Description
本発明は、グリース組成物に関し、より詳しくは、高面圧条件下においてもコーティングに近い優れた潤滑性を有し、ステアリングコラム機構等における摺動特性及びエネルギー吸収に寄与するグリース組成物に関する。
例えば、ステアリングコラムとは、自動車のステアリングホイールとステアリングギアとの間に位置する重要保安部品である。ステアリングコラムに求められる性能として、衝突安全性、盗難防止性、操舵特性、及び調節操作性が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。特に、ステアリングコラムは、車両の衝突時において、衝突エネルギーを吸収する機構を有している(例えば、特許文献1参照)。
ステアリングコラムの主な形式としては、ステアリングコラム全体が移動しながら衝突エネルギーを吸収する1重管タイプのものや、ステアリングコラム自体が収縮し、衝突エネルギーを吸収する2重管タイプのものが挙げられる(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。
さて、ステアリングコラムのインナーチューブ用の潤滑剤としては、最も一般的には、樹脂コーティングやグリースが使用されている(例えば非特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。例えば、非特許文献1においては、固体潤滑剤を配合した樹脂コーティングが採用されている。
近年、ステアリングコラム発展の課題として、部品点数の低減化や簡略化、低コスト化が挙げられている。しかしながら、コーティングにかかるコストは高く、十分なコストダウン効果は見込めない。また、例えば汎用のグリース組成物をステアリングシャフトに塗布することは、極圧性及びその摺動特性の点において、必ずしも十分とはいえない。
Koyo Engieering Journal No.167(11)
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えばステアリングコラム機構等に用いられて、優れた潤滑性を付与し、機構部品の製造コストを低減させることができるグリース組成物を提供することを目的とする。
本発明者による鋭意検討の結果、高粘度の基油に対して、主として、二硫化モリブデンとリグニン化合物とを組み合わせてなるグリース組成物によれば、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、(a)基油と、(b)増ちょう剤とを含むベースグリースに、(c)防錆剤と、(d)硫黄−リン系極圧剤と、(e)平均粒径が5μm以下である二硫化モリブデンと、(f)リグニン化合物と、を含有し、前記(a)基油の40℃における動粘度が400mm2/s〜1200mm2/sであり、組成物中における前記(e)二硫化モリブデンの含有量が30.0質量%〜60.0質量%である、グリース組成物である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、組成物中における前記(c)防錆剤の含有量が0.1質量%〜2.5質量%である、グリース組成物である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、組成物中における前記(d)硫黄−リン系極圧剤の含有量が0.25質量%〜2.5質量%である、グリース組成物である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記(f)リグニン化合物は、リグニンスルホン酸のナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選ばれる1種類以上である、グリース組成物である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、金属同士の接触面に塗布される、グリース組成物である。
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、ステアリングコラムに封入するために用いられる、グリース組成物である。
本発明によれば、優れた潤滑性を付与し、塗布対象の機構部品の製造コストを低減させることができるグリース組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明に要旨を変更しない範囲において変更が可能である。
≪1.グリース組成物≫
本実施の形態に係るグリース組成物は、例えばステアリングコラム等の機構部品のように、金属同士の接触面に塗布されて用いられるものである。具体的に、このグリース組成物は、(a)基油と(b)増ちょう剤とを含むベースグリース(基グリース)に、(c)防錆剤と、(d)硫黄―リン系極圧剤と、(e)平均粒径が5μm以下である二硫化モリブデンと、そして(f)リグニン化合物とを含有してなる。
本実施の形態に係るグリース組成物は、例えばステアリングコラム等の機構部品のように、金属同士の接触面に塗布されて用いられるものである。具体的に、このグリース組成物は、(a)基油と(b)増ちょう剤とを含むベースグリース(基グリース)に、(c)防錆剤と、(d)硫黄―リン系極圧剤と、(e)平均粒径が5μm以下である二硫化モリブデンと、そして(f)リグニン化合物とを含有してなる。
そして、基油は、40℃における動粘度が400mm2/s〜1200mm2/sであり、組成物中における(e)二硫化モリブデンの含有量が30.0質量%〜60.0質量%であることを特徴としている。
このようなグリース組成物によれば、例えば金属同士の接触面等に塗布されたときに、優れた潤滑性を付与することができる。また、例えば、クリアランスが狭く高面圧の機構部品であるステアリングコラムに封入させたとき、ステアリングコラム機構の衝突エネルギー吸収時において優れた摺動特性を奏する。
[基油]
基油(ベースオイル)は、グリースの主成分をなすものであり、後述する増ちょう剤と共にベースグリース(基グリース)を構成する。この基油としては、特に限定されるものではなく、従来から一般的に使用されているものを用いることができる。例えば、鉱物油、エーテル油系合成油、エステル系合成油、及び炭化水素合成油等の潤滑油、又はそれらの合成油が挙げられる。その中でも、低温性の観点から合成油を用いることが好ましい。
基油(ベースオイル)は、グリースの主成分をなすものであり、後述する増ちょう剤と共にベースグリース(基グリース)を構成する。この基油としては、特に限定されるものではなく、従来から一般的に使用されているものを用いることができる。例えば、鉱物油、エーテル油系合成油、エステル系合成油、及び炭化水素合成油等の潤滑油、又はそれらの合成油が挙げられる。その中でも、低温性の観点から合成油を用いることが好ましい。
ここで、基油は、40℃における動粘度が400mm2/s〜1200mm2/sである。また、好ましくは600mm2/s〜1000mm2/sである。基油の動粘度が400mm2/s未満であると、例えば金属同士の接触面等の塗布面に十分な油膜を形成することができず、潤滑性が不十分となる。例えば、ステアリングコラムに封入する場合には、良好な油膜が形成されないことにより、摺動特性が不十分となる傾向がある。一方で、基油の40℃動粘度が1200mm2/sを超えると、塗布性が低下することがある。
組成物中における基油の含有量としては、特に限定されず、ベースグリースを構成する後述の増ちょう剤との配合割合を考慮して決定することができる。
なお、グリースにおける基油と後述の増ちょう剤との配合割合は、特に限定されず、所望のグリース硬度を得るために任意に定めることができる。例えば、グリース硬度を硬くするためには基油の割合を少なくし、一方で軟らかくするためには基油の割合を多くすることで調整することができる。
[増ちょう剤]
増ちょう剤は、油を保持するために必要な素材であり、基油と共にベースグリースを構成する。増ちょう剤としては、特に限定されるものではなく従来から一般的に使用されているものを用いることができる。具体的に、増ちょう剤としては、石鹸系と非石鹸系との大別でき、石鹸系としては、例えばリチウム石鹸、リチウム複合石鹸、カルシウム石鹸、カルシウム複合石鹸、アルミニウム石鹸、アルミニウム複合石鹸が挙げられ、非石鹸系としては、例えばウレア、ナトリウムテレフタラート、フッ素樹脂、有機ベントナイト、シリカゲル等が挙げられる。これらの増ちょう剤は、1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
増ちょう剤は、油を保持するために必要な素材であり、基油と共にベースグリースを構成する。増ちょう剤としては、特に限定されるものではなく従来から一般的に使用されているものを用いることができる。具体的に、増ちょう剤としては、石鹸系と非石鹸系との大別でき、石鹸系としては、例えばリチウム石鹸、リチウム複合石鹸、カルシウム石鹸、カルシウム複合石鹸、アルミニウム石鹸、アルミニウム複合石鹸が挙げられ、非石鹸系としては、例えばウレア、ナトリウムテレフタラート、フッ素樹脂、有機ベントナイト、シリカゲル等が挙げられる。これらの増ちょう剤は、1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
組成物中における増ちょう剤の含有量としては、特に限定されず、ベースグリースを構成する上述の増ちょう剤との配合割合を考慮して決定することができる。
[防錆剤]
防錆剤としては、特に限定されず、例えば中性金属塩、アミン塩、塩基性金属塩等があげられる。これらの防錆剤は、1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。具体的には、カルシウムスルホネート、バリウムスルホネート等が挙げられる。
防錆剤としては、特に限定されず、例えば中性金属塩、アミン塩、塩基性金属塩等があげられる。これらの防錆剤は、1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。具体的には、カルシウムスルホネート、バリウムスルホネート等が挙げられる。
組成物中における防錆剤の含有量としては、特に限定されないが、0.1質量%〜2.5質量%程度の割合で含有させることが好ましい。含有量が0.1質量%未満であると、十分な防錆性を付与することができない可能性があり、一方で2.5質量%を超えて含有させても、効果の増大がない場合がある。
[硫黄−リン系極圧剤]
硫黄−リン系極圧剤は、摩耗防止性能や焼き付き防止性能を向上させるために添加する。硫黄−リン系極圧剤は、リン原子及び硫黄原子を有する化合物であり、分子中にリン原子及び硫黄原子の双方を有するチオフォスフェート類、チオフォスファイト類等が挙げられる。また、例えば、硫黄系極圧剤とリン系極圧剤とを所定の比率で混合したものを用いることもできる。
硫黄−リン系極圧剤は、摩耗防止性能や焼き付き防止性能を向上させるために添加する。硫黄−リン系極圧剤は、リン原子及び硫黄原子を有する化合物であり、分子中にリン原子及び硫黄原子の双方を有するチオフォスフェート類、チオフォスファイト類等が挙げられる。また、例えば、硫黄系極圧剤とリン系極圧剤とを所定の比率で混合したものを用いることもできる。
組成物中における硫黄−リン系極圧剤の含有量としては、特に限定されないが、0.25質量%〜2.5質量%程度の割合で含有させることが好ましい。含有量が0.25質量%未満であると、所期の効果を得ることが困難になり、一方で2.5質量%を超えて含有させても、効果の増大がない場合がある。
[二硫化モリブデン]
二硫化モリブデンは、固体潤滑剤として用いられる。二硫化モリブデンとしては、粒径サイズが異なる、Technical grade、Technical Fine Grade、及びSuper Fine Grageが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
二硫化モリブデンは、固体潤滑剤として用いられる。二硫化モリブデンとしては、粒径サイズが異なる、Technical grade、Technical Fine Grade、及びSuper Fine Grageが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
二硫化モリブデンは、細粒のものであり、具体的には平均粒径が5μm以下である。このように、平均粒径が5μm以下の細粒の二硫化モリブデンを使用することで、長期に亘って持続性を有するグリース被膜を形成することができ、安定して優れた潤滑性を発現させることができる。さらに、クリアランスが狭い摺動面等にも供給されやすく、また表面粗さが滑らかな摺動面等にも有効に介在させることができる。このことから、クリアランスが狭かったり、表面粗さが滑らかな摺動部等にも有効に適用することができ、潤滑性をより一層に向上させることができる。なお、二硫化モリブデンの平均粒径は、レーザー回折法にて粒度分布を求めることで測定することができる。
組成物中における二硫化モリブデンの含有量としては、30.0質量%〜60.0質量%の範囲である。含有量が30.0質量%未満であると、十分な潤滑性を付与することができない。一方で、含有量が60.0質量%を超えると、グリースが硬くなり過ぎてしまう。また、過剰に含有させても、効果の増大がない場合があり、コストが増加する。
[リグニン化合物]
本実施の形態に係るグリース組成物は、さらにリグニン化合物を含有する。このグリース組成物においては、高粘度の基油に対して、主として、二硫化モリブデンとリグニン化合物とを組み合わせて用いることで、塗布面に対して優れた潤滑性を付与することができる。特に、ステアリングコラムのように、金属同士が接触する部品であり、高い圧力が加わる機構部品に対して、優れた潤滑性と極圧性(耐荷重性)を付与することができる。
本実施の形態に係るグリース組成物は、さらにリグニン化合物を含有する。このグリース組成物においては、高粘度の基油に対して、主として、二硫化モリブデンとリグニン化合物とを組み合わせて用いることで、塗布面に対して優れた潤滑性を付与することができる。特に、ステアリングコラムのように、金属同士が接触する部品であり、高い圧力が加わる機構部品に対して、優れた潤滑性と極圧性(耐荷重性)を付与することができる。
ここで、リグニン化合物は、リグノセルロース系材料を原料として、これからセルロース、ヘミセルロース及び抽出成分を除去した後の残渣分等の形態で得られる高分子化合物である。具体的には、リグニンスルホン酸金属塩、ソーダリグニン、クラフトリグニン、及びリグノフェノール誘導体から選択される1種以上を用いることができる。その中でも、汎用性を考慮すると、リグニンスルホン酸金属塩の使用が望ましい。
例えば、リグニンスルホン酸金属塩は、木粉等の天然リグニンを含有する原料(リグニン含有原料)に対して亜硫酸塩や亜硫酸水素塩の溶液を用いて高温で蒸解(亜硫酸法)することで得られる工業リグニンである。リグニンスルホン酸金属塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩等を使用することが可能であり、耐荷重性をより効果的に発現させることができるという観点から、ナトリウム塩を使用することが好ましい。リグニンスルホン酸金属塩の分子量としては、特に限定されないが、例えば平均分子量が2,000〜200,000程度のものを用いることができる。
また例えば、リグノフェノール誘導体は、針葉樹、広葉樹の間伐材、草本系植物等のリグニン含有材料にフェノール誘導体を反応させることによって、リグニン含有材料中の天然リグニンの一次分子鎖にフェノール誘導体をグラフト化させることによって得られる。より具体的には、リグニン含有材料にフェノール誘導体を添加した後、濃酸を添加して得られるフェノール誘導体相(有機相)と濃酸相(水相)とからなる相分離系のうちのフェノール誘導体相から得られるものである。フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有し、少なくとも1つの無置換のオルト位又はパラ位を有する化合物であり、1価フェノール誘導体、2価フェノール誘導体、又は3価フェノール誘導体を用いることができる。リグノフェノール誘導体の分子量としては、特に限定されないが、平均分子量が2,000〜20,000程度のものを用いることができる。
上述したリグニン化合物のうち、リグニンスルホン酸金属塩、ソーダリグニン、及びクラフトリグニンの工業リグニンは、市販されているグレードのものを用いることができる。また、リグノフェノール誘導体としては、耐荷重性能をより効果的に発現させることができるという観点から、針葉樹由来のリグノフェノール誘導体であることを好ましい。
組成物中におけるリグニン化合物の含有量としては、特に限定されないが、1.0質量%〜25.0質量%の割合で含有させることが好ましく、3.0質量%〜25.0質量%の割合がより好ましい。含有量が1.0質量%未満であると、所期の効果が十分に得られない可能性がある。一方で、25.0質量%を超えて含有させても、効果の増大がない場合がある。
[その他の添加剤]
なお、本実施の形態に係るグリース組成物においては、上述した各成分に加え、さらに、潤滑油やグリースに一般的に用いられている各種添加剤、例えば極圧剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、防錆剤、ポリマー添加剤等を必要に応じて添加配合することができる。
なお、本実施の形態に係るグリース組成物においては、上述した各成分に加え、さらに、潤滑油やグリースに一般的に用いられている各種添加剤、例えば極圧剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、防錆剤、ポリマー添加剤等を必要に応じて添加配合することができる。
なお、上述した他の添加剤は、(a)基油と(b)増ちょう剤と共に、ベースグリースを構成する成分として添加してもよいことは言うまでもない。
以上のように、本実施の形態に係るグリース組成物は、ベースグリースに、(c)防錆剤と、(d)硫黄―リン系極圧剤、(e)二硫化モリブデン、及び(f)リグニン化合物とを含有してなる。このような潤滑剤組成物によれば、塗布面に対して優れた潤滑性を付与することができ、特に、クリアランスが狭い高面圧下における潤滑を容易にする。具体的には、このグリース組成物によれば、当該組成物を封入した機構に対して優れた摺動特定を発揮することができ、ステアリングコラム用として極めて有効に適用できる。
≪2.グリース組成物の製造方法≫
本実施の形態に係るグリース組成物は、上述したように、基油と増ちょう剤とを含むベースグリースに、(c)防錆剤と、(d)硫黄―リン系極圧剤、(e)二硫化モリブデン、及び(f)リグニン化合物とを含有してなる。このグリース組成物は、従来のグリース組成物と同様に、周知の方法により製造することができる。
本実施の形態に係るグリース組成物は、上述したように、基油と増ちょう剤とを含むベースグリースに、(c)防錆剤と、(d)硫黄―リン系極圧剤、(e)二硫化モリブデン、及び(f)リグニン化合物とを含有してなる。このグリース組成物は、従来のグリース組成物と同様に、周知の方法により製造することができる。
具体的には、例えば、基油と、金属石鹸等の増ちょう剤とを混練してベースグリースを作製し、このベースグリースに、防錆剤、硫黄―リン系極圧剤、二硫化モリブデン、及びリグニン化合物を添加して分散させ、さらに必要に応じて各種の添加剤を加えて混練することにより得ることができる。
混練処理においては、例えば三本ロール、万能撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル等の周知の撹拌・分散処理装置を用いて行うことができる。なお、上述のように各成分を順に添加して混練することに限られず、各成分を同時に添加し混練してもよい。
以下に、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜6]
先ず、耐熱容器に、合成油(Spectrasyn Plus6、Exxon Mobil Chemical社製)及び12−ヒドロキシステアリン酸を投入し加熱した。次に、80℃付近で水酸化リチウム水溶液を添加し、けん化反応によりリチウム−12−ヒドキシステアレートを生成させた。さらに、90℃付近で水酸化リチウム水溶液及びアゼライン酸を加えて約2時間反応させ、リチウムコンプレックス石鹸を生成させた。その後、これを加熱し冷却した。これをベースグリースとした。
先ず、耐熱容器に、合成油(Spectrasyn Plus6、Exxon Mobil Chemical社製)及び12−ヒドロキシステアリン酸を投入し加熱した。次に、80℃付近で水酸化リチウム水溶液を添加し、けん化反応によりリチウム−12−ヒドキシステアレートを生成させた。さらに、90℃付近で水酸化リチウム水溶液及びアゼライン酸を加えて約2時間反応させ、リチウムコンプレックス石鹸を生成させた。その後、これを加熱し冷却した。これをベースグリースとした。
なお、ベースグリース中の基油(固体成分及び添加剤を除いた部分)に関しては、予め合成油にポリイソブチレン(JXTGエネルギー株式会社製)を40%溶解させた溶液(溶液A)を調製し、基油の40℃の動粘度(mm2/s)が400、600、1000、及び1200mm2/sとなるように、合成油を含むベースグリースに溶液Aを追油となるように添加した。そして、得られたそれぞれのベースグリースを、ベースグリース[1](40℃動粘度:400)、ベースグリース[2](40℃動粘度:600)、ベースグリース[3](40℃動粘度:1000)、ベースグリース[4](40℃動粘度:1200)とした。
次に、得られたベースグリースに対し、下記表1に示す配合で残りの添加剤を添加し、得られる混合物に対して三本ロールを用いて分散処理を行った。
なお、表1中に示す各成分は以下の通りであり、表中の数字は質量%を示す。
「防錆剤」:カルシウムスルホネート(LobaseC4501,Crompton社製)
「硫黄−リン系極圧剤」:硫化オレフィン(Anglamol99、日本ルーブリゾール株式会社製)
「二硫化モリブデン」:平均粒径1.4μm(Molybdenum Disulfide(SuperFine),ClimaxMolybdenum社製)
「リグニン化合物」:リグニンスルホン酸ナトリウム塩(Lignosulfonic acid sodium salt,シグマアルドリッチジャパン株式会社製)
「防錆剤」:カルシウムスルホネート(LobaseC4501,Crompton社製)
「硫黄−リン系極圧剤」:硫化オレフィン(Anglamol99、日本ルーブリゾール株式会社製)
「二硫化モリブデン」:平均粒径1.4μm(Molybdenum Disulfide(SuperFine),ClimaxMolybdenum社製)
「リグニン化合物」:リグニンスルホン酸ナトリウム塩(Lignosulfonic acid sodium salt,シグマアルドリッチジャパン株式会社製)
[比較例1〜6]
比較例1及び2では、実施例の組成において40℃の動粘度(mm2/s)が50及び200である基油を用いた(なお、ベースグリースはそれぞれ、ベースグリース[5]、ベースグリース[6]とした)。
比較例1及び2では、実施例の組成において40℃の動粘度(mm2/s)が50及び200である基油を用いた(なお、ベースグリースはそれぞれ、ベースグリース[5]、ベースグリース[6]とした)。
比較例3では、実施例1と同様に基油の40℃の動粘度(mm2/s)が400であるベースグリース[1]を用いたが、リグニン化合物を含有させなかった。また、比較例4では、大粒径の二硫化モリブデン(平均粒径23μm)を用いた。また、比較例5では、二硫化モリブデンの含有量を組成物中20.0質量%とした。また、比較例6では、二硫化モリブデンの含有量を組成物中70.0質量%とした。
なお、参考例1では、市販品の固体潤滑剤配合樹脂コーティング剤(市販品A)を金属板SPCC−SBにコーティングしたものを用いた。
[評価方法]
上述した実施例1〜6、比較例1〜6、及び参考例1のグリースについて、以下に示す試験方法で物性の評価を行った。
(フリクションプレーヤー試験)
テストピース ボール :直径3/16 inch(SUS304)
プレート:100mm×50mm×1mm(SPCC−SB)
試験条件 荷重 :200gf(面圧:633MPa)
摺動距離:90mm
速度 :0.47mm/s
試験温度:25℃
測定項目 平均摩擦係数(μ)
判定基準 ○:0.12以下
△:0.12より大きく0.14以下
×:0.14より大きい
上述した実施例1〜6、比較例1〜6、及び参考例1のグリースについて、以下に示す試験方法で物性の評価を行った。
(フリクションプレーヤー試験)
テストピース ボール :直径3/16 inch(SUS304)
プレート:100mm×50mm×1mm(SPCC−SB)
試験条件 荷重 :200gf(面圧:633MPa)
摺動距離:90mm
速度 :0.47mm/s
試験温度:25℃
測定項目 平均摩擦係数(μ)
判定基準 ○:0.12以下
△:0.12より大きく0.14以下
×:0.14より大きい
[結果]
下記表1に、実施例1〜6にて調製したグリース組成物の組成と物性評価の結果を示し、下記表2に、比較例1〜6にて調製したグリース組成物の組成と物性評価の結果を示す。
下記表1に、実施例1〜6にて調製したグリース組成物の組成と物性評価の結果を示し、下記表2に、比較例1〜6にて調製したグリース組成物の組成と物性評価の結果を示す。
表1〜2に示される結果から分かるように、実施例1〜6のグリース組成物は、優れた潤滑性を付与することができることが分かった。
Claims (6)
- (a)基油と、(b)増ちょう剤とを含むベースグリースに、
(c)防錆剤と、
(d)硫黄−リン系極圧剤と、
(e)平均粒径が5μm以下である二硫化モリブデンと、
(f)リグニン化合物と、を含有し、
前記(a)基油の40℃における動粘度が400mm2/s〜1200mm2/sであり、組成物中における前記(e)二硫化モリブデンの含有量が30.0質量%〜60.0質量%である
グリース組成物。 - 組成物中における前記(c)防錆剤の含有量が0.1質量%〜2.5質量%である
請求項1に記載のグリース組成物。 - 組成物中における前記(d)硫黄−リン系極圧剤の含有量が0.25質量%〜2.5質量%である
請求項1又は2に記載のグリース組成物。 - 前記(f)リグニン化合物は、リグニンスルホン酸のナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選ばれる1種類以上である
請求項1乃至3のいずれかに記載のグリース組成物。 - 金属同士の接触面に塗布される
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のグリース組成物。 - ステアリングコラムに封入するために用いられる
請求項5に記載のグリース組成物。
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JP (1) | JP2019131675A (ja) |
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2018
- 2018-01-30 JP JP2018014072A patent/JP2019131675A/ja active Pending
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