以下、図面を参照して、実施形態に係る画像再構成方法及び再構成装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、傾斜磁場コイル102と、傾斜磁場電源103と、寝台104と、寝台制御回路105と、送信コイル106と、送信回路107と、受信コイルアレイ108と、受信回路109と、シーケンス制御回路110と、ECG(Electrocardiogram)回路111と、計算機システム120とを備える。なお、MRI装置100に被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、MRI装置100は、再構成装置の一例である。
静磁場磁石101は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。
傾斜磁場コイル102は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル102は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源103から個別に電流の供給を受けて、X、Y、Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。ここで、傾斜磁場コイル102によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102に電流を供給する。例えば、傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102を形成する3つのコイルのそれぞれに、個別に電流を供給する。
寝台104は、被検体Pが載置される天板104aを備え、寝台制御回路105による制御のもと、天板104aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル102の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台104は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。
寝台制御回路105は、計算機システム120による制御のもと、寝台104を駆動して天板104aを長手方向及び上下方向へ移動するプロセッサである。
送信コイル106は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、送信回路107からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
送信回路107は、対象とする原子の種類及び磁場の強度で決まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル106に供給する。
受信コイルアレイ108は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と称する)を受信する。受信コイルアレイ108は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路109へ出力する。なお、第1の実施形態において、受信コイルアレイ108は、1以上、典型的には複数の受信コイルを有するコイルアレイである。
受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号に基づいてMRデータを生成する。例えば、受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信回路109は、生成したMRデータをシーケンス制御回路110へ送信する。
なお、受信回路109は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル102などを備える架台装置側に備えられていてもよい。ここで、第1の実施形態において、受信コイルアレイ108の各コイルエレメント(各受信コイル)から出力されるMR信号は、適宜分配・合成されることで、チャネルなどと呼ばれる単位で受信回路109に出力される。このため、MRデータは、受信回路109以降の後段の処理においてチャネル毎に取り扱われる。コイルエレメントの総数とチャネルの総数との関係は、同一の場合もあれば、コイルエレメントの総数に対してチャネルの総数が少ない場合、あるいは反対に、コイルエレメントの総数に対してチャネルの総数が多い場合もある。以下において、「チャネル毎」のように表記する場合、その処理が、コイルエレメント毎に行われてもよいし、あるいは、コイルエレメントが分配・合成されたチャネル毎に行われてもよいことを示す。なお、分配・合成のタイミングは、上述したタイミングに限られるものではない。MR信号若しくはMRデータは、後述する再構成処理の前までに、チャネル単位に分配・合成されればよい。
シーケンス制御回路110は、計算機システム120から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。例えば、シーケンス制御回路110は、プロセッサにより実現される。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源103が傾斜磁場コイル102に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信回路107が送信コイル106に送信するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路109がMR信号を検出するタイミングなどが定義される。
なお、シーケンス制御回路110は、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路109からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機システム120へ転送する。
ECG回路111は、ECGセンサ111aから出力される心電信号に基づいて、所定の心電波形を検出する。ECGセンサ111aは、被検体Pの体表に装着され、被検体Pの心電信号を検出するセンサである。ECGセンサ111aは、検出した心電信号をECG回路111に出力する。
例えば、ECG回路111は、所定の心電波形として、R波を検出する。そして、ECG回路111は、R波を検出したタイミングでトリガー信号を生成し、生成したトリガー信号をインタフェース回路121に出力する。トリガー信号は、インタフェース回路121により記憶回路122に格納される。ここで、トリガー信号は、無線通信によって、ECG回路111からインタフェース回路121へ送信されてもよい。なお、本実施形態では、心電信号をECGセンサ111aにより検出する場合を説明するが、これに限らず、例えば、脈波計により検出されてもよい。また、図1において、ECGセンサ111aおよびECG回路111がMRI装置100の一部となる例を説明したが、これに限らない。つまり、MRI装置100とは別に設けられたECGセンサ111aおよびECG回路111から得られる心電信号をMRI装置100が取得するようにしてもよい。
計算機システム120は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う。計算機システム120は、インタフェース回路121、記憶回路122、処理回路123、入力インタフェース124、及びディスプレイ125を有する。
インタフェース回路121は、シーケンス情報をシーケンス制御回路110へ送信し、シーケンス制御回路110からMRデータを受信する。また、インタフェース回路121は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶回路122に格納する。記憶回路122に格納されたMRデータは、処理回路123によってk空間に配置される。この結果、記憶回路122は、複数チャネル分のk空間データを記憶する。このようにして、k空間データが収集される。インタフェース回路121は、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される。
記憶回路122は、インタフェース回路121によって受信されたMRデータや、後述の取得機能123aによってk空間に配置された時系列データ(k−t空間データ)、後述する再構成機能123dによって生成された画像データなどを記憶する。また、記憶回路122は、各種のプログラムを記憶する。記憶回路122は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
入力インタフェース124は、医師や診療放射線技師等の操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力インタフェース124は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等によって実現される。入力インタフェース124は、処理回路123に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号に変換して処理回路123へと出力する。
ディスプレイ125は、処理回路123による制御のもと、各種GUI(Graphical User Interface)や、再構成機能123dによって生成されたMR(Magnetic Resonance)画像等を表示する。
処理回路123は、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路123は、入力インタフェース124を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信することによって撮像を制御する。また、処理回路123は、撮像の結果としてシーケンス制御回路110から送られるMRデータに基づいて行われる画像の再構成を制御したり、ディスプレイ125による表示を制御したりする。処理回路123は、プロセッサにより実現される。処理回路123は、取得機能123aと、算出機能123bと、結合機能123cと、再構成機能123dと、選択機能123eとを有する。なお、取得機能123aは、取得部の一例である。また、算出機能123bは、算出部の一例である。また、結合機能123cは、結合部の一例である。また、再構成機能123dは、再構成部の一例である。また、選択機能123eは、選択部の一例である。
ここで、例えば、処理回路123の構成要素である取得機能123a、算出機能123b、結合機能123c、再構成機能123d及び選択機能123eの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路122に記憶されている。処理回路123は、各プログラムを記憶回路122から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路123は、図1の処理回路123内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては、単一の処理回路123にて、取得機能123a、算出機能123b、結合機能123c、再構成機能123d及び選択機能123eの各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路123を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocessing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路122にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
ここで、MRI装置は、被検体から放出された電磁波をコイルにより測定する。この測定された電磁波をデジタル化することで得られた信号をk空間データと呼ぶ。
k空間データは、例えば、1次元の撮像を繰り返すことで得られる2次元あるいは3次元のデータである。そして、被検体内部の原子分布画像は、k空間データに対して、フーリエ変換(以後、フーリエ変換といえばフーリエ逆変換も含む場合がある)を施すことにより得られる。得られた原子分布画像をMR画像と呼び、k空間データからMR画像を算出する過程を、再構成あるいは画像再構成、画像生成などと呼ぶ。k空間データの中心部は、MR画像にフーリエ変換を施した際の低周波成分、k空間データの辺縁部は、MR画像にフーリエ変換を施した際の高周波成分に対応する。
MRI装置では、1次元の撮像を繰り返し行うことで再構成に必要なk空間データを得るが、この撮像は一般に時間がかかることが知られている。さらに、被検体の状態が時間とともに変化する場合には、再構成されたMR画像の画質が劣化することも知られている。したがって、被検体の状態が変化し且つデータ量の多い時系列データを取得する場合、例えば心臓を撮像する場合では、撮像時間を短縮したいとの要求が強い。そこで、より高速な撮像を行うために、例えば、コイルの配置によって感度が異なることを利用して、k空間データを複数のコイルで同時に間引き撮像し、得られた複数のk空間データから、アーティファクトを抑えつつMR画像を再構成する、パラレルイメージング(Parallel Imaging:PI)の研究開発が行われている。
一般に、PIでは、位相エンコード方向にk空間データを間引いて収集することで、撮像時間の短縮を図る。間引いて収集されたk空間データからは、折り返し画像が生成されるため、PIでは、感度が異なる複数のチャネルで収集されたk空間データに対し、チャネル間の感度の違いを利用して折り返しの無い画像を再構成する。つまり、PIでは、間引き率に応じた高速化が可能となる。なお、間引き率は倍速率と呼ばれる場合もある。例えば間引き率が4であれば、撮像時間はおよそ4分の1に短縮される。
PIをレトロスペクティブゲート法と組み合わせることにより、更なる高速化が期待される。つまり、位相エンコード方向に間引かれたk空間データ群の収集を複数時相にわたって実行しつつ、心電信号を取得する。そして、取得された心電信号を用いて、一連のk空間データの心時相が揃うように事後的に並べ替えを行う。例えば、PIの一つであるSENSE(Sensitivity Encoding)を用いて、位相エンコード方向に間引かれたk空間データを複数時相において収集し、心時相が揃うように事後的に並び替える。そして、並べ替えたk空間データ群に対し、チャネル間の感度の違いを利用した再構成を行う。
ところで、撮像時間の更なる短縮を図るためには、位相エンコード方向に加えて、時相方向(時間方向)にもk空間データを間引いて取得することが有効である。時相方向にk空間データを間引いて収集する手法として、例えば、k−t BLAST(k-space time Broad-use Linear Acquisition Speed-up Technique)やk−t SENSEと呼ばれる技術が知られている。ところが、これらの技術は、レトロスペクティブゲート法と組み合わせてもうまくいかない場合がある。なぜならば、これらの手法は、時系列に沿ったk空間の間引きパターンが規則的に変化することが前提となっているからである。つまり、レトロスペクティブゲート法を用いて再構成を行なう際に必要な、心時相を用いた並び替えの際に、時系列に沿ったk空間の間引きパターンが不規則になり、k−t BLASTやk−t SENSEといった技術が利用できなくなる。なお、コイルの数が間引いたサンプルの割合に対して少ない場合はk−t BLAST、そうでない場合をk−t SENSEと呼ぶが、以後の説明では明示的に区別しない限り、k−t BLASTも含めてk−t SENSEと呼ぶことにする。以後、主にコイルが複数の場合について説明するが、k−t BLASTの特別な場合として、コイルの数が1つである場合も許容される。コイルが1つの場合でも便宜上、k−t SENSEと呼ぶことにする。
k−t SENSEでは、収集されたk空間データ群を、フーリエ変換により画像空間と時間スペクトルとから成るx−f空間データに変換する。そして、このx−f空間データにおいて、x−f空間上の感度マップを用いて折り返し信号が除去されたx−f空間データが生成される。そして、生成されたx−f空間データを逆フーリエ変換によりx−t空間データに変換することにより、時系列に並ぶ複数のMR画像が生成される。
図2を用いて、k−t空間を時相方向に間引いてサンプリングする例を説明する。図2は、k−t空間におけるサンプリング位置の一例を示す図である。図2において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。図2では、説明の都合上、位相エンコード方向に8個、時相方向に16個の位置(枠)にk空間データが配置されるk−t空間データを例示する。また、黒丸印は、1ラインのk空間データが収集される位置を示す。言い換えると、黒丸印が配置されない枠は、k空間データが収集されない位置である。なお、各時相のk空間データは、1次元の周波数エンコード方向及び1次元の位相エンコード方向から成る2次元のk空間に対応する。また、時相T’1〜時相T’16までの間に、1心拍以上の期間が含まれるものとする。なお、k−t BLASTやk−t SENSEにおいては、本撮像前あるいは本撮像途中において行われる時相方向に間引かずにx−f空間に関する情報を取得するキャリブレーション撮像と、時相方向に間引いてk−t空間をサンプリングする本撮像とが存在するが、図2に示すサンプリング位置の例は、本撮像におけるサンプリング位置の一例と考えることができる。簡略化のため、図2においては、本撮像におけるサンプリング位置は図示しない。また、特許第6073627号に開示されているような、キャリブレーション撮像を必ずしも必要としない技術においては、図2を本撮像におけるサンプリング位置の一例と考えることができる。
図2に示す例では、1単位時相ごとに、位相エンコード方向に1サンプルずつサンプリング位置をずらしてサンプリングされる。例えば、時相T’2の複数のk空間データは、時相T’1の複数のk空間データと比較して、位相エンコード方向(図中の上方向)に1サンプルずつずれた位置でサンプリングされる。また、時相T’3の複数のk空間データは、時相T’2の複数のk空間データと比較して、位相エンコード方向に1サンプルずつずれた位置でサンプリングされる。また、時相T’4の複数のk空間データは、時相T’3の複数のk空間データと比較して、位相エンコード方向に1サンプルずつずれた位置でサンプリングされる。つまり、図2の例では、4分の1に間引かれたk空間データが、4単位時相ごとに周期的にサンプリングされる。
このように、k−t空間を時相方向に沿って、位相エンコード方向のサンプリングパターンを変化させる場合では、同一の位相エンコード量を有するk空間データが、4時相につき1時相の割合でしか存在しない。このため、心時相のみに注目してk空間データを並び替えてしまうと、再構成に必要な各位相エンコード量のデータが収集できない場合がある。例えば、時相T’1、T’16、T’3、T’4の順でk空間データを並べても、再構成することはできない。なぜならば、時相T’1、T’3、T’4と組み合わせて再構成するのに必要なk空間データのサンプリングパターンは時相T’2と同じものであり、時相T’2と時相T’16とではサンプリングパターンが異なるからである。
そこで、第1の実施形態に係るMRI装置100は、以下に説明する処理機能により、周期的な運動を行う部位に対して空間分解能、時間分解能の高い撮像を可能にする。なお、以下では、本実施形態に係る処理機能がk−t SENSEに適用される場合を説明するが、これに限定されるものではない。他の適用例については、別途説明する。また、以下では、周期的な運動を行う部位として心臓が適用される場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態は、呼吸動の影響を受ける胸部撮像に対しても適用可能である。
図3を用いて、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図3は、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図3に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
ステップS101において、取得機能123aは、複数のk空間データを収集する。つまり、取得機能123aは、複数の時相において、所定のサンプリングパターンで収集された複数のk空間データを取得する。
例えば、取得機能123aは、入力インタフェース124を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成する。例えば、取得機能123aは、操作者から入力される1心周期に対応する期間と、1心周期当たりのMR画像の取得枚数とに基づいて、シーケンス情報を生成する。
例えば、操作者は、1心周期に対応する期間(RR間隔)を定義する。例えば、操作者は、被検体の心拍がおよそ1000msecである場合には、1心周期を「1000msec」と定義する。ここで、1心周期に対応する期間を定義するのは、心拍には揺らぎが存在するからである。例えば、健常者においても、各心拍のRR間隔は900msec〜1100msec程度の範囲で揺らぐことが知られている。そこで、MRI装置100は、操作者が定義した期間に合わせて各心拍のRR間隔を伸縮させることで、所望の心周期を有する時系列のMR画像を撮像する。なお、ここでは1心周期が「1000msec」に定義される場合を説明するが、任意の時間に設定可能である。
また、操作者は、1心周期当たりのMR画像の取得枚数を設定する。例えば、操作者は、取得枚数を「24枚」に設定する。これにより、MRI装置100は、1心周期の中で等間隔に並んだ24枚のMR画像を撮像する。なお、ここでは1心周期当たりに「24枚」のMR画像を取得する場合を説明するが、任意の枚数に設定可能である。
図4を用いて、第1の実施形態に係るk−t空間データの一例を説明する。図4は、第1の実施形態に係るk−t空間データの一例を示す図である。図4において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。図4では、説明の都合上、位相エンコード方向に48個、時相方向に28個の位置(枠)にk空間データが配置されるk−t空間データを例示する。また、黒丸印は、1ラインのk空間データが収集される位置を示す。言い換えると、黒丸印が配置されない枠は、k空間データが収集されない位置である。なお、簡略化のため、図4においては周波数エンコード方向は図示していない。図4において、紙面に垂直な方向に周波数エンコード方向のk空間データが充填される。
図4に示すように、取得機能123aは、例えば、1単位時相ごとに、位相エンコード方向に1サンプルずつサンプリング位置をずらしてサンプリングするようにk−t空間データを設定する。つまり、設定されるサンプリングパターンは、k空間の位相エンコード方向に規則的に間引かれ、かつ、時相方向に連続するフレーム間では収集する位相エンコードのライン(位置)が異なる。言い換えると、k空間データは、k空間の位相エンコード方向に規則的に間引かれたサンプリングパターンであって、時相方向に連続するフレーム間では収集する位相エンコードのラインが異なるサンプリングパターンで収集される。なお、図4の例では、4分の1に間引かれたk空間データが、4単位時相ごとに周期的にサンプリングされる場合を例示するが、間引き率はこれに限定されるものではない。また、1単位時相ごとに1サンプルずつずらすサンプリングパターンに限らず、所定の単位時相ごとに周期的にサンプリングされるパターンであれば良い。つまり、k−t SENSEにおけるサンプリングは、サンプリングパターンが時間変化する、非単純間引きサンプリングの一例である。
図4に示すように、k−t空間データは、3つのセグメントA〜Cに分けて収集される。ここで、セグメントBは、中心セグメントに対応し、セグメントA及びセグメントCは、中心セグメント以外のセグメントである辺縁セグメントに対応する。つまり、セグメントBには、位相エンコード方向における中心部に相当する複数のk空間データが含まれる。また、また、セグメントA及びセグメントCには、位相エンコード方向における辺縁部に相当する複数のk空間データが含まれる。なお、セグメントBは、第1のデータ群の一例である。また、セグメントA及びセグメントCは、第2のデータ群の一例である。
ここで、図4に示すk−t空間データは、操作者により設定された1心周期の期間及び取得枚数を120%程度充足するように設定される。例えば、取得枚数が「24」に設定される場合には、28枚程度の画像に相当する時相数が設定される。このため、図4に示すk−t空間データの時相方向は、28個(28時相)のサンプリング位置が設定される。また、1心周期が「1000msec」に定義される場合には、1200msec分のk−t空間データが収集される。
このように、取得機能123aは、操作者から入力される撮像条件に基づいて、シーケンス情報を生成する。例えば、取得機能123aは、撮像条件に基づいて、サンプリングされるk−t空間データを生成する。なお、図4の説明はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図4にて例示したセグメントの分割数や分割幅は、位相エンコード量の設定により任意に変更可能である。
そして、取得機能123aは、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信することによって撮像を制御する。例えば、シーケンス制御回路110は、取得機能123aから受信したシーケンス情報に基づいて、サンプリングを行う。
図5を用いて、第1の実施形態に係るk空間データの収集順序の一例を説明する。図5は、第1の実施形態に係るk空間データの収集順序の一例を説明するための図である。
図5に示すように、シーケンス制御回路110は、図4に示すk−t空間データを、3つのセグメントA〜Cに分けて収集する。例えば、シーケンス制御回路110は、セグメントA、セグメントB、セグメントCの順序でそれぞれ28時相分のk空間データを収集する。なお、図示しないが、シーケンス制御回路110は、ダミーショットやウェイトタイムを適宜挿入してシーケンスを実行可能である。
このように、シーケンス制御回路110は、取得機能123aから受信したシーケンス情報に基づいて、サンプリングを行う。なお、図5の説明はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図5では、セグメントA、セグメントB、セグメントCの順序で収集する場合を説明したが、これに限定されるものではなく、任意の順序で収集可能である。
このように、シーケンス制御回路110は、セグメント単位に分割された複数のk空間データを収集し、収集した複数のk空間データを撮像の結果として取得機能123aへ送る。これにより、取得機能123aは、複数の時相において、所定のサンプリングパターンで収集され、かつ、位相エンコード方向に複数のセグメントに分割された複数のk空間データを取得する。
また、取得機能123aは、k空間データ収集時のトリガー信号を記憶回路122から取得する。例えば、取得機能123aは、トリガー信号の検出時刻(タイミング)を取得する。連続するトリガー信号の間隔は、RR間隔に対応する。なお、トリガー信号の検出時刻は、生体信号情報の一例である。
言い換えると、取得機能123aは、時間方向にサンプリングパターンが変化する非単純間引きサンプリングにより被検体から収集された複数のk空間データと、各k空間データを収集した時刻である収集時刻と、被検体の時系列的な生体信号情報とを取得する。
ステップS102において、算出機能123bは、中心セグメントの心時相情報を算出する。例えば、算出機能123bは、セグメントBに含まれる各時相のk空間データに対して、位相エンコード方向の略中心に位置するラインの心時相情報を、セグメントBの各時相における心時相情報として算出する。
図6を用いて、第1の実施形態に係る算出機能123bの処理を説明する。図6は、第1の実施形態に係る算出機能123bの処理を説明するための図である。図6に示す「PE Line番号」は、収集されたk空間データのラインを示す番号である。また、「Time」は、収集されたk空間データの収集時刻を示す情報である。また、「RR Interval」は、収集されたk空間データが含まれる心拍のRR間隔を示す情報である。「trigger」は、収集されたk空間データが含まれる心拍のトリガー信号が検出された時刻を示す情報である。「Phase中心」は、収集された各ラインのデータがセグメント内において位相エンコード方向の略中心であるか否かを示す情報である。このPhase中心は、サンプリングパターン、セグメントの分割数及び分割幅が決定された段階で設定可能である。「心時相情報」は、1心周期における時相方向の位置を示す情報である。例えば、心時相情報は、RR間隔を100%とした場合に、収集されたk空間データがRR間隔の起点から何%の位置で収集されたかを示す。
図6に示す例では、PE Line番号が「2561」から「2568」までの8ラインが、一つのセグメントに含まれる場合を説明する。この場合、8ラインのうち、セグメント内において位相エンコード方向の略中心に位置するデータは、PE Line番号「2564」のラインである。このため、PE Line番号「2564」のラインがPhase中心として設定され、「1」が登録される。なお、Phase中心として設定されないラインには、「0」が登録される。
ここで、算出機能123bは、Phase中心として設定されているラインの心時相情報を算出する。例えば、PE Line番号「2564」のラインは、Phase中心として設定されている。このため、算出機能123bは、PE Line番号「2564」のラインの心時相情報を算出する。具体的には、算出機能123bは、Timeとtriggerとの差をRR Intervalで除算し、百分率とすることで、このセグメントの心時相情報「54.97」を算出する。
また、算出機能123bは、PE Line番号が「2569」から「2576」までの8ラインが、一つのセグメントに含まれる場合を説明する。この場合、8ラインのうち、セグメント内において位相エンコード方向の略中心に位置するデータは、PE Line番号「2572」のラインである。このため、PE Line番号「2572」のラインがPhase中心として設定され、「1」が登録される。このため、算出機能123bは、PE Line番号「2572」のラインの心時相情報を算出する。具体的には、算出機能123bは、Timeとtriggerとの差をRR Intervalで除算し、百分率とすることで、このセグメントの心時相情報「58.37」を算出する。
このように、算出機能123bは、複数のラインのうち、基準とする位相エンコード量で収集されたラインのデータを含む中心セグメントの心時相情報を算出する。なお、図6はあくまで一例であり、図示の例に限定されるものではない。例えば、算出機能123bは、PE Line番号「2564」のラインに代えて、「2565」のラインの心時相情報を算出しても良い。つまり、「略中心」とは、セグメント内において位相エンコード方向の中心に最も近いラインに限定されないことを表す。
ステップS103において、算出機能123bは、辺縁セグメントの心時相情報を算出する。例えば、算出機能123bは、セグメントAに含まれる各時相のk空間データに対して、位相エンコード方向の略中心に位置するラインの心時相情報を、セグメントAの各時相における心時相情報として算出する。また、算出機能123bは、セグメントCに含まれる各時相のk空間データに対して、位相エンコード方向の略中心に位置するラインの心時相情報を、セグメントCの各時相における心時相情報として算出する。
すなわち、算出機能123bは、中心セグメントとは異なる位相エンコード量で収集された複数のk空間データを含む辺縁セグメントの心時相情報を算出する。なお、辺縁セグメントの心時相情報を算出する処理は、中心セグメントの心時相情報を算出する処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS104において、結合機能123cは、中心セグメントに対して、中心セグメントの心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントを結合させる。例えば、結合機能123cは、中心セグメントの心時相情報それぞれに対して、辺縁セグメントの心時相情報のなかから近い心時相情報を対応付け、対応付けられた心時相情報に基づいて中心セグメントと辺縁セグメントとを結合させて複数時相の結合データを作成する。
図7から図11を用いて、第1の実施形態に係る結合機能123cの処理を説明する。図7から図11は、第1の実施形態に係る結合機能123cの処理を説明するための図である。図7から図11において、上段には、シーケンス制御回路110により実行されたシーケンスを例示する。また、下段には、上段のシーケンスにより収集されたk空間データを、予め設定されたサンプリングパターンに従ってk−t空間に配置する過程を例示する。なお、上段のシーケンスは、図5に示したシーケンスと同様である。また、下段のk−t空間には、図4に示したサンプリングパターンでk空間データが配置される。
ここで、説明の都合上、セグメントAに含まれる28時相を、時相方向の順にTA1、TA2、TA3、・・・TA28と表記する。また、セグメントBに含まれる28時相を、時相方向の順にTB1、TB2、TB3、・・・TB28と表記する。また、セグメントCに含まれる28時相を、時相方向の順にTC1、TC2、TC3、・・・TC28と表記する。
図7に示すように、結合機能123cは、中心セグメントであるセグメントBに含まれる28時相のk空間データを、k−t空間に配置する。このとき、結合機能123cは、所定のサンプリングパターンで収集した28時相のk空間データを、収集した順序のまま並べ替えずにk−t空間の領域R1に配置する。つまり、k−t空間の時相方向は、TB1、TB2、TB3、・・・TB28に対応する。この結果、k−t空間の位相エンコード方向における中心部には、図4と同様に1単位時相ごとに1サンプルずつずれたサンプリングパターンのk空間データが配置される。
次に、結合機能123cは、基準として配置した時相TB1のセグメントBに対して、セグメントBの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントAを結合させる。例えば、図8に示すように、結合機能123cは、時相TB1のセグメントB(領域R2)の心時相情報を読み出す。そして、結合機能123cは、時相TA1〜TA28のセグメントAのなかから、時相TB1のセグメントBの心時相情報に最も近い心時相情報を有するセグメントAを選択する。
ここで、結合機能123cは、予め設定されたサンプリングパターンに基づいて、セグメントAを選択する。例えば、結合機能123cは、予め設定されたサンプリングパターン(図4)を参照することで、領域R3に配置されるサンプリングパターンを特定する。具体的には、結合機能123cは、領域R3の16枠のうち、上から4番目、8番目、12番目、及び16番目の位置にk空間データが配置されたパターンであることを特定する。そして、結合機能123cは、特定したサンプリングパターンを有し、かつ、時相TB1のセグメントBの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントAを選択する。そして、結合機能123cは、選択したセグメントA(例えば、時相TA3のセグメント)を、時相TB1のセグメントBに結合する。
続いて、図9に示すように、結合機能123cは、時相TB2のセグメントB(領域R4)の心時相情報を読み出す。そして、結合機能123cは、時相TA1〜TA28のセグメントAのなかから、時相TB2のセグメントBの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントAを選択する。
そして、結合機能123cは、予め設定されたサンプリングパターン(図4)を参照することで、領域R5に配置されるサンプリングパターンを特定する。具体的には、結合機能123cは、領域R5の16枠のうち、上から3番目、7番目、11番目、及び15番目の位置にk空間データが配置されたパターンであることを特定する。そして、結合機能123cは、特定したサンプリングパターンを有し、かつ、時相TB2のセグメントBの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントAを選択する。そして、結合機能123cは、選択したセグメントAを、時相TB2のセグメントBに結合する。
このように、結合機能123cは、予め設定されたサンプリングパターンを有し、かつ、セグメントBの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントAを選択する。そして、結合機能123cは、選択したセグメントAをセグメントBに対してセグメント単位で結合する。この結果、図10に示すように、時相TB1〜TB28までの各セグメントBに対して、予め設定されたサンプリングパターンを乱すことなく、最も近い心時相を有するセグメントAを結合することができる。つまり、結合機能123cは、所定のサンプリングパターンが時相方向に沿って規則的に並ぶように結合データを作成する。
また、図11に示すように、結合機能123cは、セグメントCについてもセグメントAと同様の処理により、セグメントBに結合する。これにより、結合機能123cは、予め設定されたサンプリングパターンを有し、かつ、セグメントBの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントCを選択し、セグメント単位で結合する。
このように、結合機能123cは、予め設定されたサンプリングパターンを有し、かつ、中心セグメントの心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントを選択する。そして、結合機能123cは、中心セグメントと、選択した辺縁セグメントとを、セグメント単位で結合し、結合データを作成する。そして、結合機能123cは、k−t空間データに含まれる各時相について、各時相の結合データを作成する。言い換えると、結合機能123cは、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データのうち、中心セグメントの心時相に近い心時相を有するk空間データを、中心セグメントに含まれる複数のk空間データに対して結合させる。
ステップS105において、再構成機能123dは、再構成処理を実行する。例えば、再構成機能123dは、結合機能123cにより作成された複数時相の結合データに対して、フーリエ変換(例えば、離散フーリエ変換)を含む再構成処理を行い、複数時相のMR画像を生成する。なお、MR画像は、再構成画像の一例である。
ステップS106において、選択機能123eは、予め設定された各時相情報に近い心時相情報を有するMR画像を選択する。例えば、選択機能123eは、再構成機能123dにより生成された複数時相のMR画像のなかから、予め設定された複数の時相情報それぞれに近い心時相情報を有する再構成画像を選択する。
図12及び図13を用いて、第1の実施形態に係る再構成機能123d及び選択機能123eの処理を説明する。図12及び図13は、第1の実施形態に係る再構成機能123d及び選択機能123eの処理を説明するための図である。図12の上段には、結合機能123cにより作成された複数時相の結合データ、つまり、図11の下段のk−t空間データを例示する。なお、図12には、図示の都合上、k−t空間データの一部を例示する。また、図13には、予め設定された1心周期当たりのMR画像の取得枚数に応じた位相(フェーズ)と、各MR画像の時相方向における位置を示す時相情報とを例示する。
例えば、再構成機能123dは、複数時相の結合データを、フーリエ変換により画像空間と時間スペクトルとから成るx−f空間データに変換する。また、k−t SENSEを用いる場合には、再構成機能123dは、x−f空間上の感度マップを用いて、x−f空間データにおける折り返し信号が除去されたx−f空間データを生成する。そして、再構成機能123dは、生成したx−f空間データを逆フーリエ変換によりx−t空間データに変換することにより、時系列の複数のMR画像を生成する。
すなわち、図12に示すようには、再構成機能123dは、予め設定されたサンプリングパターンに応じて再構成処理を実行することで、28時相のk−t空間データから28時相(28枚)のMR画像を生成する。なお、この28枚のMR画像は、セグメントBの28時相に対応する。
そして、選択機能123eは、28枚のMR画像から、予め設定された取得枚数に対応する枚数のMR画像が選択される。図13に示すように、取得枚数が「24枚」に設定される場合、1心周期における各MR画像の位相(フェーズ)は、P1〜P24の24位相に対応する。ここで、P1〜P24の各MR画像の時相情報は、P24(24枚目)を100%とした場合に、P1〜P23の各MR画像が1心周期の起点から何%の位置に対応するかを示す。具体的には、P1のMR画像の時相情報は、4.1667(%)となり、P2のMR画像の時相情報は、8.3333(%)となる。このように、P1〜P24の各MR画像の時相情報が算出される。
そして、図12に示すように、選択機能123eは、P1〜P24の時相情報に最も近い心時相情報を有するMR画像を、28時相のMR画像のなかから選択する。ここで、28時相のMR画像は、セグメントBの時相TB1〜TB28に対応するので、各時相のセグメントBの心時相情報をMR画像の心時相情報として利用可能である。図12に示す例では、選択機能123eは、位相P1のMR画像として時相TB2のMR画像を選択する。また、選択機能123eは、位相P2のMR画像として時相TB3のMR画像を選択する。また、選択機能123eは、位相P3のMR画像として時相TB28のMR画像を選択する。
このように、選択機能123eは、再構成機能123dにより生成された28時相のMR画像のなかから、予め設定された複数の時相情報それぞれに近い心時相情報を有するMR画像を選択する。
この結果、処理回路123は、操作者により設定された撮像条件を満たす複数時相のMR画像を生成する。なお、生成された複数時相のMR画像は、処理回路123の指示により、ディスプレイ125に表示されたり、記憶回路122に格納されたりする。
なお、図3に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS102及びステップS103に示した処理は、必ずしも図示した順序で実行されなくてもよい。例えば、ステップS102及びステップS103の処理が同時に実行される場合であっても良いし、ステップS103の処理が実行されてからステップS102の処理が実行される場合であっても良い。
上述してきたように、第1の実施形態に係るMRI装置100において、処理回路123は、位相エンコード方向に分割された複数のセグメントそれぞれに、所定のサンプリングパターンでk空間データを複数時相にわたって収集する。処理回路123は、複数のセグメントのうち基準となる中心セグメントの心時相情報と、中心セグメントとは異なる辺縁セグメントの心時相情報とを算出する。処理回路123は、中心セグメントと、中心セグメントの心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントとを結合させることで、複数時相の結合データを生成する。処理回路123は、所定のサンプリングパターンに基づいて、複数時相の結合データを再構成することで、複数時相の再構成画像を生成する。処理回路123は、複数時相の再構成画像のなかから、予め設定された複数の心時相情報に近い心時相情報を有する再構成画像をそれぞれ選択する。これによれば、第1の実施形態に係るMRI装置100は、周期的な運動を行う部位に対して空間分解能、時間分解能の高い撮像を可能にする。
例えば、第1の実施形態に係るMRI装置100は、周期的な運動を行う部位である心臓に対して、時系列に沿ったk空間の間引きパターンを規則的に変化させてサンプリングを行う。そして、MRI装置100は、ライン単位ではなく、セグメント単位で心時相を揃える。このため、MRI装置100は、予め設定されたサンプリングパターンを有するセグメント同士を結合することができる。したがって、MRI装置100は、k−t空間データにおける心時相が揃うように事後的に並べ替えを行うことができる。これによれば、操作者は、より自由度の高い高速撮像での撮像条件を定義することができる。
また、MR画像に描出される形態情報の主要な成分は、k空間における中心部に対応する。そこで、MRI装置100は、中心部に対応する中心セグメントを基準にして、再構成処理の対象となるk−t空間データを作成する。このため、中心セグメントの心時相の正確性が保たれる。
なお、ある時相のセグメントに含まれる複数のk空間データは、連続的に収集されていたとしても厳密には収集時間に違いがある。結合対象となるセグメント間においても、収集時間の違いは生じうる。しかしながら、MRI装置100は、これらの収集時間の違いについては許容して、所定のサンプリングパターンで配置されるk−t空間データを形成する。このため、MRI装置100は、ある程度の心時相のずれを許容して高速撮像を実現するものである。
(第1の実施形態の変形例1)
上記の実施形態では、一例として、図4に示したサンプリングパターンによりサンプリングされる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。
図14を用いて、第1の実施形態の変形例1に係るk−t空間データの一例を説明する。図14は、第1の実施形態の変形例1に係るk−t空間データの一例を示す図である。図14に示す例では、セグメントA及びセグメントCについては、図4のk−t空間データと同様である。つまり、セグメントA及びセグメントCには、位相エンコード方向に4分の1に間引かれたk空間データが、1単位時相ごとに、位相エンコード方向に1サンプルずつずらしてサンプリングされる。
一方、セグメントBでは、図4のk−t空間データと比較して2倍の密度でサンプリングされる。つまり、セグメントBには、位相エンコード方向に2分の1に間引かれたk空間データが、1単位時相ごとに、位相エンコード方向に1サンプルずつずらしてサンプリングされる。
すなわち、予め設定されるサンプリングパターンは、時相方向に沿って連続するフレーム間で異なっていればよい。このようなサンプリングパターンのk−t空間データが設定される場合には、MRI装置100は、上述した処理により、セグメント単位で心時相が揃うように事後的に並べ替えを行うことができる。言い換えると、k空間データは、時相方向に沿って連続するフレーム間で異なるサンプリングパターンで収集される。
(第1の実施形態の変形例2)
また、上記の実施形態では、時系列に沿ったk空間の間引きパターンが規則的に変化する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態に係る処理機能は、圧縮センシング(Compressed Sensing:CS)にも適用可能である。なお、圧縮センシングにおけるサンプリングは、非単純間引きサンプリングの一例である。圧縮センシングにおける収集方法としては、ラディアル収集やカーテシアン収集が好適である。
圧縮センシングは、信号のスパース性を利用して、少数のk空間データから画像を再構成する撮像法である。例えば、圧縮センシングでは、k空間にk空間データを充填するにあたり、位相エンコード方向に不規則的に間引いてサンプリングされる。この結果、圧縮センシングでは、スパース性を導入しつつ、データの収集時間を短縮することができる。
図15を用いて、第1の実施形態の変形例2に係るk−t空間データの一例を説明する。図15は、第1の実施形態の変形例2に係るk−t空間データの一例を示す図である。なお、図15に示すk−t空間データは、位相エンコード方向に複数のセグメントに分割されて収集される。
図15に示す例では、位相エンコード方向に不規則的に間引きつつ、シネ位相方向(時相方向)にも不規則的に間引いたサンプリングが行われる。これにより、圧縮センシングによる収集時間の短縮が実現される。
すなわち、圧縮センシングでは、所定のサンプリングパターンとして、位相エンコード方向及びシネ位相方向における不規則的な間引きパターンが予め設定される。そこで、MRI装置100は、時系列に沿ったk空間の間引きパターンを規則的に変化させる場合と同様に、圧縮センシングを用いる場合にもk−t空間データにおける心時相が揃うような事後的並べ替えが適用可能となる。
つまり、MRI装置100において、取得機能123aは、所定のサンプリングパターンで配置され、かつ、位相エンコード方向に複数のセグメントに分割された複数のk空間データを複数時相にわたって収集する。算出機能123bは、複数のセグメントのうち基準となる中心セグメントの心時相情報と、中心セグメントとは異なる辺縁セグメントの心時相情報とを算出する。結合機能123cは、中心セグメントと、中心セグメントの心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントとを結合させることで、複数時相の結合データを生成する。再構成機能123dは、所定のサンプリングパターンに基づいて、複数時相の結合データを再構成することで、複数時相の再構成画像を生成する。選択機能123eは、複数時相の再構成画像のなかから、予め設定された複数の心時相情報に近い心時相情報を有する再構成画像をそれぞれ選択する。これによれば、MRI装置100は、圧縮センシングが適用される場合にも、周期的な運動を行う部位に対してより高速な撮像を可能にする。
なお、図15はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、圧縮センシングにおけるサンプリングパターンは、少なくとも時相方向に連続するフレーム間では、収集する位相エンコードのラインが不規則的であれば良い。また、結合機能123cは、所定のサンプリングパターンが時相方向に沿って不規則的に並ぶように結合データを作成する。言い換えると、k空間データは、少なくとも時相方向に連続するフレーム間では収集する位相エンコードのラインが不規則的なサンプリングパターンで収集される。
また、例えば、上記のMRI装置100の処理は、所定のサンプリングパターンに基づいていなくても良い。そして、再構成画像の画質が低い場合には、MRI装置100は、中心セグメントの心時相情報に最も近い心時相情報ではなく、二番目に近い心時相情報を有する辺縁セグメントを中心セグメントに結合させることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、1心拍以上の期間に対応する複数時相のMR画像から、1心拍に対応する複数のMR画像を選択する場合を説明した。しかしながら、この複数のMR画像を再生する場合、画像の切り替え時に不連続な印象となってしまう場合が考えられる。
例えば、図12に示した処理では、位相P2のMR画像として時相TB3のMR画像が選択されるのに対して、位相P3のMR画像として時相TB28のMR画像が選択される。つまり、互いに異なる心拍で得られた時相TB3及び時相TB28の2枚のMR画像が、連続するフレームとして再生されることとなる。時相TB3及び時相TB28の2枚のMR画像は、所望の心時相のMR画像として選択されたものであるため、心臓の画像としては十分なものと期待されるが、例えば、背景の画像に違いが生じている場合が考えられる。このような場合、この2枚のMR画像を再生すると、両者の切り替え時に違和感を与える可能性がある。
そこで、第2の実施形態に係るMRI装置100は、以下の処理を実行することにより、互いに異なる心拍で得られたMR画像が連続する場合にも、違和感を抑えることが可能となる。
図16を用いて、第2の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図16は、第2の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図16に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。なお、図16に示すステップS201〜ステップS205の処理は、図3に示したステップS101〜ステップS105の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS206において、選択機能123eは、フーリエ逆変換により複数のk空間データを生成する。つまり、選択機能123eは、複数時相の再構成画像に対してフーリエ逆変換を実行することで、フルサンプリングの複数のk空間データを生成する。
図17を用いて、第2の実施形態に係る選択機能123eの処理を説明する。図17は、第2の実施形態に係る選択機能123eの処理を説明するための図である。図17の上段には、結合機能123cにより作成された28時相の結合データ(k−t空間データ)を例示する。また、図17では、28時相の結合データに対する再構成処理により、28枚の再構成画像が生成される。図17には、図示の都合上、k−t空間データの一部を例示する。
図17に示すように、選択機能123eは、28枚の再構成画像に対してフーリエ逆変換(IFFT)を実行することで、28時相のk−t空間がフルサンプリングされた複数のk空間データを生成する(図17の中段)。
ステップS207において、選択機能123eは、複数のk空間データに対して擬似的なタイムスタンプを付与する。つまり、選択機能123eは、フルサンプリングの複数のk空間データそれぞれに対し、各k空間データの擬似的な収集時間を付与する。
例えば、選択機能123eは、図17の中段に示すフルサンプリングの複数のk空間データのうち、図17の上段に示すk−t空間において収集されていたk空間データについては、その収集時間を割り当てる。図17の上段において、時相TB1の下から1段目と5段目にはk空間データが収集済みである。そこで、選択機能123eは、この1段目と5段目のk空間データの収集時間を、図17の中段の対応するサンプリング位置のk空間データに割り当てる。そして、選択機能123eは、下から2段目、3段目、4段目のk空間データに対しては、1段目と5段目のk空間データの収集時間に基づいて算出する。例えば、選択機能123eは、1段目と5段目の間を等分するように、2段目、3段目、4段目のk空間データの擬似的な収集時間(タイムスタンプ)を算出する。このように、選択機能123eは、擬似的な収集時間を算出し、算出した擬似的な収集時間を各k空間データに付与する。言い換えると、選択機能123eは、非単純間引きサンプリングにより収集された各k空間データの収集時刻に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データそれぞれの擬似的な収集時刻を生成する。ここで、フルサンプリングに対応する複数のk空間データとは、非単純間引きサンプリングにより間引かれたk空間データに相当するk空間データが補填されたデータである。
ステップS208において、選択機能123eは、レトロスペクティブゲート法により複数のk空間データを並び替える。つまり、選択機能123eは、各k空間データの擬似的な収集時間に基づいて、予め設定された複数の心時相それぞれに対応するk空間データを選択する。言い換えると、選択機能123eは、擬似的な収集時刻及び生体信号情報に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データの並び替え処理を行う。
例えば、図17の中段のk−t空間には、28時相のk空間データが配置されている。そこで、選択機能123eは、予め設定された24位相(P1〜p24)に対応するk空間データを選択する。これにより、選択機能123eは、時相方向が24位相に変換されたk−t空間データを生成する(図17の下段)。
ステップS209において、再構成機能123dは、再構成処理を実行する。例えば、再構成機能123dは、複数の心時相それぞれに対応するk空間データを再構成することで、複数の心時相それぞれに対応する再構成画像を生成する。図17に示す例では、再構成機能123dは、時相方向が24位相に変換されたk−t空間データから、24枚のMR画像を再構成する。言い換えると、再構成機能123dは、並び替え処理後の複数のk空間データに対して再構成処理を行うことで、複数の再構成画像を生成する。
このように、第2の実施形態に係るMRI装置100は、28時相の再構成画像に対してフーリエ逆変換を実行することで、フルサンプリングの複数のk空間データを生成する。そして、MRI装置100は、フルサンプリングの複数のk空間データに対して、擬似的なタイムスタンプを付与し、ライン単位で事後並び替え処理(レトロスペクティブゲート法)を行う。そして、MRI装置100は、所望の心位相に対応する複数のk空間データを生成する。そして、MRI装置100は、これを再構成することで、所望の心位相に対応する複数の再構成画像を生成する。これにより、MRI装置100は、より高画質な時系列の再構成画像を生成することができる。
(第2の実施形態の変形例)
なお、第2の実施形態では、フルサンプリングに対応するk空間データを生成する際に、一旦、中間データとしてのMR画像(再構成画像)に変換(再構成)する処理を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。つまり、MRI装置100は、必ずしもMR画像に変換しなくとも、フルサンプリングに対応するk空間データを生成することができる。
例えば、再構成機能123dは、結合機能123cにより作成された複数時相の結合データに対して、k−t SENSEに対応する再構成処理を実行する。この過程で、再構成機能123dは、上述したように、折り返し信号が除去されたx−f空間データを生成する。このx−f空間データは、画像データ(実空間データ)に変換される前の中間データである。
ここで、第2の実施形態の変形例に係る再構成機能123dは、このx−f空間データに対して、フーリエ変換(フーリエ逆変換)を含む処理を行う。これにより、再構成機能123dは、結合機能123cにより作成された複数時相の結合データから、フルサンプリングに対応するk空間データを生成することができる。すなわち、再構成機能123dは、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、所定のサンプリングパターンで間引かれた複数のk空間データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。
なお、再構成機能123dは、ステップS205及びステップS206の処理に代えて、上記のフルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する処理を行う。ステップS207以降の処理は、図16にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
また、フーリエ変換を含む処理により生成されるk空間データは、必ずしもフルサンプリングに対応する複数のk空間データが全て充填されていなくても良い。例えば、k−t再構成が可能なサンプリングパターンが再現できれば十分である。一例としては、フーリエ変換を含む処理により生成されるk空間データは、単純間引きサンプリングに対応する複数のk空間データであっても良い。言い換えると、再構成機能123dは、複数のk空間データを変換して得られる中間データを逆変換することで、複数のk空間データに関して、フルサンプリングに対する間引き領域の少なくとも一部が充填された複数のk空間データを生成する。
(第3の実施形態)
上記の実施形態では、セグメント分割を行う場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、セグメント分割を行わない場合には、以下のように処理を実行することができる。
図18を用いて、第3の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図18は、第3の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図18に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
ステップS301において、取得機能123aは、複数のk空間データを収集する。この処理は、図3のステップS101の処理と基本的に同様であるが、セグメント分割が行われない点が相違する。つまり、第3の実施形態に係る取得機能123aは、セグメント分割を行なわずに、k−t SENSEで規定されたサンプリングパターンに対応する複数のk空間データを収集する。この時点で、図11に示したk−t空間データ(結合データ)と同様のk−t空間データが得られる。
ステップS302において、再構成機能123dは、再構成処理を実行する。この処理は、図3のステップS105の処理と基本的に同様である。つまり、再構成機能123dは、ステップS301において取得機能123aにより取得された複数のk空間データに対して、k−t SENSEに対応する再構成処理を行い、複数時相のMR画像を生成する。
ステップS303において、再構成機能123dは、フーリエ逆変換により複数のk空間データを生成する。この処理は、図16のステップS206の処理と基本的に同様である。つまり、選択機能123eは、複数時相の再構成画像に対してフーリエ逆変換を実行することで、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。
ステップS304において、選択機能123eは、複数のk空間データに対して擬似的なタイムスタンプを付与する。この処理は、図16のステップS207の処理と基本的に同様である。つまり、選択機能123eは、フルサンプリングの複数のk空間データそれぞれに対し、各k空間データの擬似的な収集時間を付与する。
ステップS305において、選択機能123eは、レトロスペクティブゲート法により複数のk空間データを並び替える。この処理は、図16のステップS208の処理と基本的に同様である。つまり、選択機能123eは、各k空間データの擬似的な収集時間に基づいて、予め設定された複数の心時相それぞれに対応するk空間データを選択する。
ステップS306において、再構成機能123dは、再構成処理を実行する。この処理は、図16のステップS209の処理と基本的に同様である。つまり、再構成機能123dは、複数の心時相それぞれに対応するk空間データに対して再構成処理を行うことで、複数の心時相それぞれに対応する再構成画像を生成する。
なお、図18に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図18に示した処理手順は、処理内容に矛盾が生じない範囲で処理順序を適宜変更することができる。
すなわち、第3の実施形態に係るMRI装置100において、取得機能123aは、非単純間引きサンプリングにより被検体から収集された複数のk空間データと、各k空間データの収集時刻と、被検体の時系列的な生体信号情報とを取得する。再構成機能123dは、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、複数の第1k空間データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。選択機能123eは、収集時刻に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データそれぞれの擬似的な収集時刻を生成する。選択機能123eは、擬似的な収集時刻及び生体信号情報に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データの並び替え処理を行う。再構成機能123dは、並び替え処理後の複数のk空間データに対して再構成処理を行うことで、複数の再構成画像を生成する。これにより、MRI装置100は、動きのある撮像対象に対する撮像を好適に行うことができる。例えば、MRI装置100は、周期的な運動を行う部位(心臓)に対して、空間分解能や時間分解能の高い撮像を行うことができる。
(第4の実施形態)
第1の実施形態では、セグメント分割を行った場合に、中心セグメントのk空間データに対して、心時相が近い辺縁セグメントのk空間データをグループ単位で結合させることにより、最終的な再構成画像を生成する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、辺縁セグメントのk空間データをフルサンプリング化するためのキャリブレーションデータを、中心セグメントのk空間データから生成することで、最終的な再構成画像を生成することも可能である。
図19を用いて、第4の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図19は、第4の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図19に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
なお、図19では、図20〜図26を参照しつつ説明する。図20〜図26は、第4の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。図20〜図26において、トリガーテーブルは、各k−t空間データの時間方向に対応する。なお、図19〜図26にて説明する内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。
ステップS401において、取得機能123aは、複数のk空間データを収集する。つまり、取得機能123aは、k空間の中心に対応する中心セグメントと、中心セグメントとは異なる辺縁セグメントとを含む複数のセグメントに分けて収集された複数のk空間データを取得する。
例えば、取得機能123aは、図20に示すように、中心セグメント及び辺縁セグメントの2つのセグメントに分けて、複数のk空間データを収集する。ここで、例えば、操作者により設定された取得枚数が「13」である場合、その取得枚数の120%程度を充足するように、16時相分のk空間データが収集される。また、中心セグメント及び辺縁セグメントは、異なるタイミングで収集されるため、互いに異なるタイミングでトリガー信号が検出される。
なお、図20では、2つのセグメントに分けて収集する場合を例示したが、3つ以上のセグメントに分けて収集することも可能である。
ステップS402において、再構成機能123dは、中心セグメントのフルサンプリング化を実行する。つまり、再構成機能123dは、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、中心セグメントに含まれる複数のk空間データから、中心セグメントのフルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。
例えば、再構成機能123dは、図21に示すように、中心セグメントに含まれる複数のk空間データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。この処理は、処理対象が中心セグメントに含まれる複数のk空間データである点を除き、図16のステップS205及びステップS206の処理と同様である。
ステップS403において、選択機能123eは、疑似的なタイムスタンプを付与する。この処理は、処理対象が中心セグメントに含まれる複数のk空間データである点を除き、図16のステップS207の処理と同様である。
ステップS404において、選択機能123eは、辺縁セグメントの心時相に合わせて、フルサンプリング化された中心セグメントのk空間データを並び替える。つまり、選択機能123eは、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを、辺縁セグメントの心時相に応じて並べ替える。
例えば、選択機能123eは、図20に示した辺縁セグメントの各時相に含まれる4ラインのk空間データのうち、時間的に略中心に位置するk空間データの心時相情報を算出する。そして、選択機能123eは、フルサンプリング化された中心セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、位相エンコード量が一致し、算出した心時相情報に最も近い心時相情報を有するk空間データを選択する。これにより、選択機能123eは、図22に示すように、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを並べ替えることで、キャリブレーションデータを生成する。キャリブレーションデータにおけるトリガー検出タイミング(図22の右図)は、辺縁セグメントのk−t空間データのトリガー検出タイミング(図20の右図)と略一致する。つまり、このキャリブレーションデータは、辺縁セグメントにおけるトリガー検出タイミングと略同一のトリガー検出タイミングとなるように、中心セグメントのフルサンプリングに対応する複数のk空間データが並べ替えられたk−t空間データである。
ステップS405において、選択機能123eは、並べ替え後の中心セグメントのk空間データから、辺縁セグメントのサンプリングパターンに対応するk空間データを抽出する。
例えば、選択機能123eは、図23に示すように、キャリブレーションデータから辺縁セグメントのサンプリングパターンに対応するk空間データを抽出することで、抽出データを生成する。つまり、この抽出データは、辺縁セグメントのサンプリングパターンと同一のサンプリングパターンとなるように、キャリブレーションデータのk空間データが間引かれたk−t空間データである。このように、選択機能123eは、並べ替え後の複数のk空間データから、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データのサンプリングパターンに対応する複数のk空間データを抽出する。
ステップS406において、結合機能123cは、抽出したk空間データを、辺縁セグメントのk空間データに結合する。
例えば、結合機能123cは、図24に示すように、抽出データと、図20の右図に示した辺縁セグメントのk−t空間データとを結合させることで、結合データを生成する。
ここで、抽出データにおけるトリガー検出タイミングは、辺縁セグメントにおけるトリガー検出タイミングと略同一であるので、各時相のk空間データをそれぞれ結合させることができる。
ステップS407において、再構成機能123dは、全セグメントのフルサンプリング化を実行する。つまり、再構成機能123dは、抽出された複数のk空間データと、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データとに対して、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理を行うことで、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。
例えば、再構成機能123dは、図25に示すように、結合データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。この処理は、図16のステップS205及びステップS206の処理と同様である。このように、再構成機能123dは、キャリブレーションデータを利用することで、辺縁セグメントのk空間データをフルサンプリング化することができる。
ステップS408において、選択機能123eは、擬似的なタイムスタンプを付与する。この処理は、図16のステップS207の処理と同様である。
ステップS409において、選択機能123eは、フルサンプリング化された全セグメントのk空間データから、中心セグメントのk空間データに対応するk空間データを選択する。
例えば、選択機能123eは、図26に示すように、図25の右図のフルサンプリング化された全セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、領域R11及び領域R12に対応する複数のk空間データを選択する。具体的には、選択機能123eは、図20に示した中心セグメントの各時相に含まれる4ラインのk空間データのうち、時間的に略中心に位置するk空間データの心時相情報を算出する。そして、選択機能123eは、フルサンプリング化された辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、位相エンコード量が一致し、算出した心時相情報に最も近い心時相情報を有するk空間データを選択する。これにより、選択機能123eは、図26の右図に示すように、領域R11及び領域R12に対応する複数のk空間データを選択する。そして、選択機能123eは、選択した領域R11及び領域R12に対応する複数のk空間データを、図20の左図の中心セグメントに含まれる複数のk空間データに対して結合させることで、図26の右図の結合データ(第2の結合データ)を生成する。第2の結合データは、中心セグメントにおけるトリガー検出タイミングと略同一のトリガー検出タイミングとなるように配列される。
ステップS410において、再構成機能123dは、再構成処理を実行する。例えば、再構成機能123dは、図26の右図に示す第2の結合データに対して、非単純間引きサンプリングに対応する再構成処理を行い、16時相のMR画像を生成する。そして、選択機能123eは、再構成機能123dにより生成された16時相のMR画像のなかから、予め設定された取得枚数「13」に対応するMR画像を選択する。例えば、再構成機能123dは、1心拍期間を13等分する心時相を算出し、算出した心時相に近い心時相情報を有するMR画像を選択する。なお、この処理は、図3のステップS105及びステップS106の処理と同様である。
このように、第4の実施形態に係るMRI装置100は、辺縁セグメントのk空間データをフルサンプリング化するためのキャリブレーションデータを、中心セグメントのk空間データから生成することで、最終的な再構成画像を生成することができる。
なお、図19に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図19に示した処理手順は、処理内容に矛盾が生じない範囲で処理順序を適宜変更することができる。また、ステップS402及びステップS407にて説明したフルサンプリング化の処理は、MR画像に変換せずにフルサンプリング化する処理(第2の実施形態の変形例の処理)が適用可能である。
また、ステップS409及びステップS410の処理はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS408の処理が完了した時点で、中心セグメント及び辺縁セグメントのそれぞれについて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データが得られている。このため、再構成機能123dは、上記のステップS409及びステップS410の処理に限らず、任意のk空間データを適宜選択して再構成処理を行うことが可能である。
(第5の実施形態)
上記の実施形態では、心電同期を行わずに複数セグメントのk空間データを収集する場合の処理を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、心電同期を行って、複数セグメントのk空間データを収集することができる。
図27を用いて、第5の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図27は、第5の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図27に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
なお、図27では、図28を参照しつつ説明する。図28は、第5の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。なお、図27及び図28にて説明する内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。
ステップS501において、取得機能123aは、中心セグメントのk空間データと辺縁セグメントのk空間データとを心電同期により収集する。
例えば、取得機能123aは、図28に示すように、トリガー信号(R波)を検出したタイミングで、中心セグメントのサンプリングと辺縁セグメントのサンプリングを行う。ここで、それぞれのサンプリングの前に挿入されるダミーショットに要する時間は一定であるため、中心セグメントにおけるトリガー検出タイミングと辺縁セグメントにおけるトリガー検出タイミングは、略同一となる。
このように、取得機能123aは、k空間の中心に対応する中心セグメントと、中心セグメントとは異なる辺縁セグメントとを含む複数のセグメントそれぞれが、生体信号情報に基づいて同期収集された複数のk空間データを取得する。
ステップS502において、結合機能123cは、中心セグメントのk空間データと辺縁セグメントのk空間データとを結合させる。例えば、結合機能123cは、中心セグメントに含まれる複数のk空間データと、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データとを結合させる。ここで、中心セグメントにおけるトリガー検出タイミングと辺縁セグメントにおけるトリガー検出タイミングは略同一であるので、各時相のk空間データをそれぞれ結合させることができる。
ステップS503〜ステップS507の処理は、図16に示したステップS205〜ステップS209の処理と同様であるので、説明を省略する。
このように、第5の実施形態に係るMRI装置100は、心電同期を行って、複数セグメントのk空間データを収集する。そして、MRI装置100は、収集した複数セグメントのk空間データを結合させ、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。そして、MRI装置100は、フルサンプリングに対応する複数のk空間データの並び替え処理を行い、取得枚数に対応する時相数のMR画像を再構成することができる。
(第6の実施形態)
上記の実施形態では、中心セグメントの収集期間と辺縁セグメントの収集期間とが同一である場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、辺縁セグメントの収集期間を中心セグメントの収集期間より長くすることで、各再構成画像を構成する複数のk空間データの間で生じる心時相のずれを低減させることができる。
図29は、第6の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。なお、図29にて説明する内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば、図29に示すように、取得機能123aは、中心セグメントの収集期間より長い収集期間において、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データの収集を行う。ここで、例えば、操作者により設定された取得枚数が「13」である場合、中心セグメントについては取得枚数の120%程度を充足するように、16時相分のk空間データが収集される。また、辺縁セグメントについては、取得枚数の240%程度を充足するように、32時相分のk空間データが収集される。
このように、辺縁セグメントの収集期間が中心セグメントの収集期間より長い場合には、中心セグメントに対して結合させる辺縁セグメントの選択肢が多くなる。このため、結合機能123cは、中心セグメントの心時相情報に更に近い心時相情報を有する辺縁セグメントを結合させることが可能となる。この結果、MRI装置100は、各再構成画像を構成する複数のk空間データの間で生じる心時相のずれを低減させることができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(k空間データのサンプリング順序)
例えば、上記の実施形態では、各時相に含まれる複数のk空間データが位相エンコード方向における一方向に向かってサンプリングされる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、各時相に含まれる複数のk空間データを、位相エンコード方向における双方向に向かって交互にサンプリングすることができる。
図30は、その他の実施形態に係るMRI装置100によるサンプリング順序を説明するための図である。図30の上段には、中心セグメント及び辺縁セグメントのk−t空間データを示す。図30の下段には、各時相に含まれる複数のk空間データのサンプリング順序を示す複数の矢印を示す。
例えば、図30に示すように、取得機能123aは、中心セグメントについては、位相エンコード方向における一方向に向かってサンプリングを行う。具体的には、取得機能123aは、S11、S12、S13、S14、S15、S16、S17、及びS18のサンプリング順序で各k空間データを収集する。
一方、取得機能123aは、辺縁セグメントについては、位相エンコード方向における双方向に向かって交互にサンプリングを行う。具体的には、取得機能123aは、1時相目については、S21、S22、S23、及びS24のサンプリング順序でk空間データを収集する。次に、取得機能123aは、2時相目については、S25、S26、S27、及びS28のサンプリング順序でk空間データを収集する。
このように、辺縁セグメントのサンプリング方向を時相ごとに交互に変えながらk空間データを収集するのは、渦電流による影響を低減させるためである。例えば、取得機能123aは、S24のk空間データの次にS25のk空間データを収集することで、連続する2つのk空間データにおける位相エンコード量の違いを小さくする。これにより、取得機能123aは、渦電流の発生を抑え、渦電流による影響を低減させることができる。
なお、図30では、中心セグメントについては一方向に向かってサンプリングを行う場合を説明したが、サンプリング方向を時相ごとに交互に変えながらk空間データを収集しても良い。ただし、各心時相における心臓の動きの変化を捉えるためには、取得機能123aは、中心セグメントのk空間データについては一方向に向かってサンプリングを行うのが好適である。
(ブロック単位での結合)
また、例えば、上記の実施形態では、各時相に含まれる複数のk空間データをセグメント単位(グループ単位)で結合させる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、k−t SENSEにおけるブロック単位で結合させることも可能である。
ここで、「ブロック」とは、k−t SENSEにおける再構成処理において規定される時相数のk空間データを一纏めにしたグループを意味する。例えば、k−t SENSEにおける間引き率が「4」であれば、各ブロックには4時相分のk空間データが含まれる。
図31は、その他の実施形態に係る結合機能123cの処理を説明するための図である。図31の上段には、シーケンス制御回路110により実行されたシーケンスを例示する。また、図31の下段には、上段のシーケンスにより収集されたk空間データを、予め設定されたサンプリングパターンに従ってk−t空間に配置する過程を例示する。なお、図31では、k−t SENSEにおける間引き率が「4」である場合を例示する。つまり、図31において、領域R21に含まれる複数のk空間データは、セグメントBにおける1ブロックに相当する。また、領域R22に含まれる複数のk空間データは、セグメントAにおける1ブロックに相当する。
まず、算出機能123bは、セグメントBに含まれる各ブロックについて、心時相情報を算出する。例えば、算出機能123bは、各ブロックに含まれる16ラインのk空間データのうち、時間的に略中心に位置するk空間データの心時相情報を、各ブロックの心時相情報として算出する。同様に、算出機能123bは、セグメントAに含まれる各ブロックについて、心時相情報を算出する。
そして、結合機能123cは、図31に示すように、セグメントBの各ブロックに対して、セグメントBの各ブロックの心時相情報に近い心時相情報を有するセグメントAのブロックを結合させる。具体的には、結合機能123cは、領域R21のブロックの心時相情報に最も近い心時相情報を有するブロックを、セグメントAのブロックの中から選択する。そして、結合機能123cは、選択したセグメントAのブロックを領域R22に配置する。このように、結合機能123cは、各セグメントのk空間データを、ブロック単位で結合させることができる。
(圧縮センシングにおける辺縁セグメントの探索)
また、圧縮センシングが利用される場合には、中心セグメントと辺縁セグメントのサンプリングパターンは必ずしも一致していなくてもよい。そこで、MRI装置100は、辺縁セグメントの中から結合対象となるk空間データを探索し、中心セグメントのk空間データに結合することも可能である。
例えば、結合機能123cは、再構成画像の画質が一定の基準を満たすように、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、結合対象となる複数のk空間データを探索して結合させる。
図32は、その他の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。図32において、トリガーテーブルは、各k−t空間データの時間方向に対応する。なお、図32に示す例では、中心セグメント(図32の左図)及び辺縁セグメント(図32の右図)のk空間データは、時間方向にランダムに収集される。
例えば、図32に示すように、中心セグメントの領域R31に含まれる複数のk空間データには、領域R31の心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントの領域R32に含まれる複数のk空間データが結合される。そして、全ての中心セグメントのk空間データに対して辺縁セグメントのk空間データが結合されると、画像が再構成される。
ここで、結合機能123cは、再構成画像の画質が一定の基準を満たすか否かに基づいて、再構成画像の画質が乱れているか否かを判定する。一例としては、結合機能123cは、複数の再構成画像のうち、連続する時相の2つの再構成画像間で差分を算出する。そして、結合機能123cは、算出した差分が心臓領域において一定値(閾値)を超えた場合に、画質が乱れていると判定する。なお、画質が乱れているか否かを判定する処理は、この処理に限定されるものではなく、公知の画像解析技術を広く適用可能である。
そして、再構成画像の画質が乱れている場合には、結合機能123cは、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、結合対象となる複数のk空間データを探索して結合させる。例えば、結合機能123cは、領域R32を前後に移動させることで、最適な時相のk空間データを探索する。
具体的には、結合機能123cは、領域R32の次に、領域R31の心時相情報に近い心時相情報を有する辺縁セグメントの領域を探索する。そして、結合機能123cは、探索した領域に含まれる複数のk空間データを、領域R31に含まれる複数のk空間データに対して結合させる。そして、再構成機能123dは、結合後のk空間データを用いて再構成画像を生成する。
そして、結合機能123cは、再度、再構成画像の画質が乱れているか否かを判定する。このように、結合機能123cは、再構成画像の画質が一定の基準を満たすまで、上記の探索処理を繰り返し実行する。
そして、再構成画像の画質が一定の基準を満たした場合には、MRI装置100は、上記の実施形態と同様の処理を実行する。例えば、MRI装置100は、生成した再構成画像を用いて、図16のステップS206以降の処理を実行する。
このように、結合機能123cは、再構成画像の画質が一定の基準を満たすまで、辺縁セグメントに含まれる複数のk空間データの中から、結合対象となる複数のk空間データを探索して結合させる。これにより、MRI装置100は、再構成画像の画質を向上させることができる。
(心臓シネ撮像以外への適用)
また、上記の実施形態では、心臓シネ撮像を行う場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、造影撮像を行う場合にも、上述したMRI装置100の処理機能を適用することができる。
例えば、MRI装置100は、造影撮像を行う場合には、造影剤の注入開始時刻を取得する。そして、MRI装置100は、造影剤の注入開始時刻に基づいて複数のk空間データの並び替え処理を行って、複数の再構成画像を生成する。
すなわち、MRI装置100は、非単純間引きサンプリングにより被検体から収集された複数のk空間データと、各k空間データの収集時刻と、撮像対象の動きの基準となる時間情報(造影剤の注入開始時刻)とを取得する。そして、MRI装置100は、非単純間引きサンプリングに対応するフーリエ変換を含む処理により、複数のk空間データから、フルサンプリングに対応する複数のk空間データを生成する。そして、MRI装置100は、収集時刻に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データそれぞれの擬似的な収集時刻を生成する。そして、MRI装置100は、擬似的な収集時刻及び時間情報に基づいて、フルサンプリングに対応する複数のk空間データの並び替え処理を行う。そして、MRI装置100は、並び替え処理後の複数のk空間データに対して再構成処理を行うことで、複数の再構成画像を生成する。これにより、MRI装置100は、動きのある撮像対象に対する撮像を好適に行うことができる。
また、例えば、MRI装置100は、PC(Phase Contrast)法によるフロー収集にも適用可能である。例えば、MRI装置100は、図33に示すように、PC法によりフロー収集を行って、血流の画像化を行う。図33は、その他の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。
なお、図33に示す例では、黒丸印と白丸印はそれぞれk空間データを示す。MRI装置100は、黒丸印で示したk空間データと、白丸印で示したk空間データとを個別に再構成することで、2系統の再構成画像群を生成する。そして、MRI装置100は、2系統の再構成画像群に対して、例えば図16のステップS206以降の処理をそれぞれ実行することで、高画質な2系統の再構成画像群を生成する。そして、MRI装置100は、高画質な2系統の再構成画像群の差分をとることで、高画質な血流画像を生成することができる。なお、図33に示した例はあくまで一例であり、公知のフロー収集が任意に適用可能である。
なお、造影撮像やフロー収集に限らず、2次元スキャン、3次元スキャン等に広く適用することが可能である。
(再構成装置)
また、例えば、上述した実施形態に係る処理は、ネットワーク上の再構成装置として提供可能である。この再構成装置は、例えば、ネットワークを介した情報処理サービス(クラウドサービス)を提供可能である。
図34は、その他の実施形態に係る再構成装置の構成例を示すブロック図である。図34に示すように、例えば、情報処理サービスを提供するサービスセンタには、再構成装置200が設置される。再構成装置200は、操作端末201に接続される。また、再構成装置200は、ネットワーク202を介して複数のクライアント端末203A,203B,・・・,203Nに接続される。なお、再構成装置200及び操作端末201は、ネットワーク202を介して接続されてもよい。また、複数のクライアント端末203A,203B,・・・,203Nを区別無く総称する場合、「クライアント端末203」と記載する。
操作端末201は、再構成装置200を操作する者(操作者)が利用する情報処理端末である。例えば、操作端末201は、マウス、キーボード、タッチパネル等、操作者からの各種の指示や設定要求を受け付けるための入力装置を備える。また、操作端末201は、画像を表示したり、操作者が入力装置を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したりする表示装置を備える。操作者は、操作端末201を操作することで、各種の指示や設定要求を再構成装置200に送信したり、再構成装置200内部の情報を閲覧したりすることができる。また、ネットワーク202は、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等、任意の通信網である。
クライアント端末203は、情報処理サービスを利用する利用者が操作する情報処理端末である。ここで、利用者は、例えば、医療機関に従事する医師や技師などの医療従事者である。例えば、クライアント端末203は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置、又は、MRI装置に含まれるコンソール装置等の医用画像診断装置の操作端末に対応する。クライアント端末203は、再構成装置200により提供される情報処理サービスを利用可能なクライアント機能を有する。なお、このクライアント機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でクライアント端末203に予め記録されている。
再構成装置200は、通信インタフェース210、記憶回路220、及び処理回路230を備える。通信インタフェース210、記憶回路220、及び処理回路230は、相互に通信可能に接続される。
通信インタフェース210は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタである。通信インタフェース210は、ネットワーク202に接続することで、再構成装置200と外部装置との間での情報通信を行う。
記憶回路220は、例えば、NAND(Not AND)型フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)であり、医用画像データやGUIを表示するための各種のプログラムや、当該プログラムによって用いられる情報を記憶する。
処理回路230は、再構成装置200における処理全体を制御する電子機器(プロセッサ)である。処理回路230は、取得機能231と、算出機能232と、結合機能233と、再構成機能234と、選択機能235とを実行する。処理回路230が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路220内に記録されている。処理回路230は、各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。取得機能231、算出機能232、結合機能233、再構成機能234、及び選択機能235は、図1に示した取得機能123a、算出機能123b、結合機能123c、再構成機能123d、及び選択機能123eと基本的に同様の処理を実行可能である。
例えば、利用者は、クライアント端末203を操作して、サービスセンタにある再構成装置200へ複数のk空間データを送信する(アップロードする)旨の指示を入力する。複数のk空間データを送信するこの指示が入力されると、クライアント端末203は、再構成装置200へ複数のk空間データを送信する。ここで、複数のk空間データは、シーケンス制御回路110により収集されたセグメント単位に分割された複数のk空間データである。
そして、再構成装置200は、クライアント端末203から送信された複数のk空間データを受信する。そして、再構成装置200において、取得機能231は、複数の時相において、所定のサンプリングパターンで収集された複数のk空間データを取得する。算出機能232は、複数のk空間データのうち、基準とする位相エンコード量で収集された複数のk空間データを含む第1のデータ群の心時相情報と、第1のデータ群とは異なる位相エンコード量で収集された複数のk空間データを含む第2のデータ群の心時相情報とを算出する。結合機能233は、第1のデータ群の心時相情報それぞれに対して、第2のデータ群の心時相情報のなかから近い心時相情報を対応付け、対応付けられた心時相情報に基づいて第1のデータ群と第2のデータ群とを結合させて複数時相の結合データを作成する。再構成機能234は、所定のサンプリングパターンに基づいて、複数時相の結合データを再構成することで、複数時相の再構成画像を生成する。選択機能235は、複数時相の再構成画像のなかから、予め設定された複数の心時相情報に近い心時相情報を有する再構成画像を選択する。そして、再構成装置200は、選択された再構成画像をクライアント端末203に送信する(ダウンロードさせる)。これにより、再構成装置200は、周期的な運動を行う部位に対して空間分解能、時間分解能の高い撮像を可能にする。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上述した実施形態で説明した画像再構成方法は、予め用意された画像再構成プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像再構成プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像再構成方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、周期的な運動を行う部位に対してより高速な撮像を可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。