JP2019126776A - アンモニア合成用触媒及び該触媒を用いるアンモニア合成法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒性能の向上と安定化を両立させることができるアンモニア合成用触媒を提供する。【解決手段】本発明のアンモニア合成用触媒は、遷移金属と、前記遷移金属を担持する担体とを含み、前記担体が下記一般式(1)で表わされる金属水素化物と、MgO,SrO,BaOからなる群から選択されるいずれか1種のアルカリ土類金属酸化物とを含むことを特徴とするアンモニア合成用触媒である。XHn・・・(1)(前記一般式(1)において、Xは周期表第2族原子、第3族原子、又はランタノイド原子から選ばれる少なくとも1種を表わし、nは、2≦n≦3で表わされる数を表す。)【選択図】図1

Description

本発明は、アンモニア合成用触媒及び該触媒を用いるアンモニア合成法に関する。
代表的なアンモニア合成法であるハーバー・ボッシュ法は、Feに数質量%のAlとKOを含んだ二重促進鉄(doubly promoted iron)触媒を用い、この触媒に窒素と水素の混合気体を高温高圧条件で直接反応させ、アンモニアを製造する方法である。この技術は現在でも、ほぼ完成当時のままの製造工程で工業的に用いられている。
一方、ハーバー・ボッシュ法の反応温度よりも低い温度でアンモニアを合成する方法が検討されている。窒素及び水素と接触させることでアンモニアを合成することができる触媒が検討され、遷移金属がその触媒活性成分として検討されている。このうち、触媒活性成分としてルテニウム(Ru)を各種担体に担持させてアンモニア合成用触媒として用いる方法が、効率のよい方法として提案されている(例えば特許文献1)。
Ru等の遷移金属を用いた触媒は、その活性が非常に高いため、ハーバー・ボッシュ法で用いられている反応条件に比べ、より温和な条件でアンモニアを合成することができることが知られている。例えば反応温度200〜400℃、反応圧力は大気圧から1.1MPa程度の低温・低圧下で反応が進行することが知られている。
CaO、Al、SiOを構成成分とするアルミノケイ酸カルシウムであって、マイエナイトと同型の結晶構造を有する「マイエナイト型化合物」と呼ばれる化合物がある。前記マイエナイト型化合物は、その代表組成が、12CaO・7Alで表わされ、またその結晶骨格で形成されるケージ内の空間に「フリー酸素」として2個の酸素原子が包摂されている構造を有する。
本発明者は、前記マイエナイト型化合物中のフリー酸素を電子で置換したマイエナイト化合物(以下、C12A7エレクトライドという)に、触媒活性成分として遷移金属を担持した触媒が、アンモニア合成用触媒として高い活性を有することを見出した。(特許文献2)。
さらに、本発明者は、金属アミド化合物、金属水素化物等の化合物を用いた担持金属触媒が、アンモニア合成用触媒として高い活性を有することを見出した。(特許文献3及び4)。
これらの触媒は、ハーバー・ボッシュ法の反応条件に比べて低温、低圧の反応条件下であっても、十分な反応活性を有する。
特開2006−231229号公報 国際公開第2012/077658号 国際公開第2016/088896号 国際公開第2017/082265号
主として二重促進鉄触媒を用いるハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成は、実用化されているが、高温高圧条件を必要とするため、装置面、コスト面での負担が大きいという問題がある。
特許文献1に記載されるような担持金属触媒は、通常、活性炭等の炭素質担体や、無機酸化物担体を用いている。しかし、これらの担持金属触媒は、反応活性が低く、実用に用いるには不十分な性能しか有していない。
すなわちハーバー・ボッシュ法の反応条件に比べ、より低温、低圧の条件下でも十分な反応活性を有するアンモニア合成用触媒が求められている。
特許文献2〜3に記載の触媒は、低温、低圧の反応条件下でも十分な反応活性を有するが、これらの触媒に比べて、より簡便な方法で製造可能な、反応活性の高いアンモニア合成用触媒が求められている。
特許文献4に記載の触媒は、低温、低圧の反応条件下でも十分な反応活性を有しながら、特許文献2〜3に記載の触媒に比べて、より簡便な方法で製造可能であるが、合成反応を繰り返しても触媒活性の低下がみられないアンモニア合成用触媒が求められている。
本発明者は、アルカリ土類金属酸化物を含有する金属水素化物に、遷移金属を担持させ担持することにより、触媒性能の向上と安定化を両立させることができる本発明のアンモニア合成用触媒を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の要旨は、
[1] 遷移金属と、前記遷移金属を担持する担体とを含む金属担持物からなるアンモニア合成用触媒であって、前記担体が、下記一般式(1)で表わされる金属水素化物と、MgO,SrO,BaOからなる群から選択されるいずれか1種のアルカリ土類金属酸化物とを含むことを特徴とするアンモニア合成用触媒。
XH ・・・(1)
(前記一般式(1)において、Xは周期表第2族原子、第3族原子、又はランタノイド原子から選ばれる少なくとも1種を表わし、nは、2≦n≦3で表わされる数を表す。)
[2] 前記一般式(1)におけるXが、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、又はランタノイド原子から選ばれる少なくとも1種、である、[1]に記載のアンモニア合成用触媒。
[3] 前記遷移金属が、Ru、Co、又はFeから選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載のアンモニア合成用触媒。
[4] 前記遷移金属の前記担体に対する担持量が、1.0質量%以上、30質量%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のアンモニア合成用触媒。
[5] 前記アルカリ土類酸化物の前記担体に対する含有量が、0.5mol%以上、8mol%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載のアンモニア合成用触媒。
[6] アンモニアの製造方法であって、水素と窒素を含有する原料ガスを、[1]〜[5]のいずれかに記載のアンモニア合成用触媒に接触させ、アンモニアを合成することを特徴とする、アンモニアの製造方法。
[7] 前記アンモニア合成用触媒と接触させる際の反応温度が、100℃以上、600℃以下である、[6]に記載のアンモニアの製造方法。
[8] 前記アンモニア合成用触媒と接触させる際の反応圧力が、10kPa以上、20MPa以下である、[6]又は[7]に記載のアンモニアの製造方法。
[9] 前記原料ガスの水分含有量が100ppm以下である、[6]〜[8]のいずれかに記載のアンモニアの製造方法。
[10] 前記アンモニア合成用触媒と接触させる際の、窒素に対する水素の比率(H/N(体積/体積))が、0.4以上である、[6]〜[9]のいずれかに記載のアンモニアの製造方法。
本発明のアンモニア合成用触媒は、低い反応温度かつ低い反応圧力でも高いアンモニア合成活性を有し、かつ合成反応を繰り返しても触媒活性の低下が見られないため、アンモニア合成用触媒として好適である。本発明のアンモニア合成用触媒を用いてアンモニアを製造することにより、より少ないエネルギーでアンモニアを合成でき、かつ合成反応を繰り返しても触媒活性の低下が見られないので、高効率に化学的、長期の安定性をもってアンモニアを製造することができる。すなわち、本発明のアンモニア合成用触媒は触媒性能の向上と安定化を両立させることができ、従来の遷移金属粒子/カルシウムハイドライド触媒の2倍以上の触媒性能を示すだけでなく、その触媒性能は経時劣化しない。
実施例1及び比較例1におけるアンモニア合成速度の経時変化を示すグラフである。 実施例1〜6におけるアンモニア合成速度の経時変化を示すグラフである。 触媒活性(アンモニア合成速度)のBaOモル比の依存性を示す図である。 実施例1における、アンモニア合成反応前後の触媒のSEM写真である。 実施例1における、アンモニア合成触媒のXPSスペクトルである。 実施例5における、アンモニア合成触媒のX線回折パターンを示す図である。 実施例1、7〜10におけるアンモニア合成速度の経時変化を示すグラフである。 触媒活性(アンモニア合成速度)のRu担持量の依存性を示す図である。 実施例1、11、12におけるアンモニア合成速度の経時変化を示すグラフである。 実施例1、13におけるアンモニア合成速度の経時変化を示すグラフである。
本発明について以下に詳細に説明する。
<アンモニア合成用触媒>
本発明のアンモニア合成用触媒は、遷移金属と前記遷移金属を担持する担体とを含み、前記担体が、下記一般式(1)で表わされる金属水素化物と、MgO,SrO,BaOからなる群から選択されるいずれか1種のアルカリ土類金属酸化物と、を含むことを特徴とする。
XH ・・・(1)
(前記一般式(1)において、Xは周期表第2族原子、第3族原子、又はランタノイド原子から選ばれる少なくとも1種を表わし、nは、2≦n≦3で表わされる数を表す。)
(金属水素化物)
本発明で用いられる前記担体は、金属元素Xの水素化物(ハイドライド)を含む。
前記一般式(1)において、Xは、周期表第2族原子、第3族原子、又はランタノイド原子から選ばれる少なくとも1種を表わす。
前記Xに用いられる原子は、特に限定されないが、1種類であっても2種類以上の元素が含まれていてもよい。2種類以上の元素が含まれるときは、特に限定されないが、同じ族の原子同士、又はランタノイド原子同士が含まれるほうが好ましい。
周期表第2族原子(以下、単に第2族原子といい、AEと略すことがある。)としては、特に限定はされないが、好ましくはMg、Ca、Sr、Baであり、より好ましくは、アンモニア合成用触媒として用いた際の活性が高いことからCa,Srであり、さらに好ましくは、アンモニア合成用触媒として用いた際の活性が高いことからCaである。
周期表第3族原子(以下、第3族原子という。)としては、特に限定はされないが、好ましくは、より存在量が多い元素であることからYである。
ランタノイド原子としては、特に限定はされないが、好ましくは、より汎用的な材料であることから、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Pr、Ybであり、より好ましくは、存在量が比較的多いLa、Ce、Nd、Smであり、さらに好ましくは、アンモニア合成用触媒として用いた際の活性が高いことからLa、Ceである。
Xがランタノイド原子の場合、複数のランタノイド原子を含んでいてもよく、具体的には、ミッシュメタル(Misch Metal)であってもよい。ミッシュメタルとは、複数の希土類元素(レアアース)が含まれた合金の通称であり、一般的にはCeをその含有成分として多く含む合金として知られている。
なお前記第3族原子とランタノイド原子を総称して、以下REと略すことがある。
前記Xとして好ましくは、元素の存在量が多く、アンモニア合成用触媒として用いた際の活性が高い第2族原子、又はランタノイド原子であり、より好ましくは、元素の存在量が多い点で第2族原子である。
また前記Xとして好ましくは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、又はランタノイド原子であり、より好ましくは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Pr、Ybであり、であり、さらに好ましくは、Caである。
前記一般式(1)におけるnは、2≦n≦3の数値を表わす。
前記nは、Xが第2族原子であるときは、特に限定はされないが、好ましくは2である。
前記nは、Xが第3族原子、又はランタノイド原子のときは、通常2から3の任意の数値を表わし、好ましくは2又は3である。
前記AE及び前記REは、通常イオン結合型水素化物を形成する。イオン結合型水素化物は、水素はヒドリドイオン(Hイオン)として存在し、水や酸との接触で水素(H)と水酸化物イオン(OH)を生成する。
前記REの水素化物(以下、REHという)は、一般的な水素化物である2水素化物と、高密度水素化物である3水素化物が知られている。そして、2水素化物と3水素化物の間の値を有する、高密度金属水素化物を形成することができ、2水素化物と3水素化物の間の値を連続的に変化することが可能である。
前記Xは、本発明の効果を損ねない限り、その一部が、さらにX以外の原子を含んでいてもよく、具体的には、少なくとも1種類のアルカリ金属原子含んでいてもよい。
本発明で用いられる金属水素化物は、特に限定はされず、市販の試薬や工業原料を使用しても、対応する金属を水素雰囲気下で加熱する等の既知の方法で合成して用いてもよい。
(アルカリ土類金属酸化物)
本発明で用いられる前記担体は、前記アルカリ土類金属酸化物を含む。前記アルカリ土類金属酸化物は、MgO,SrO,BaOからなる群から選択されるいずれか1種である。BaOが好ましい。
MgO,SrO,BaOは、例えば、高純度化学製のBaO粉末(比表面積:1.0m/g)などの市販品をそのまま使用してもよく、使用前に、乾燥してから使用してもよい。
その他、前処理などで、BaOを生成できる(BaOの前駆体として)水酸化バリウム(Ba(OH))などを使用してもよい。
また、前処理などで、金属Baを生成できるBa化合物などを使用してもよい。
本発明の触媒におけるBaOなど特定なアルカリ土類金属酸化物の作用効果について、まだ未解明であるが、後述の真空加熱処理工程において、酸素欠陥BaOが形成されている可能性が示唆される。
(遷移金属)
本発明において用いられる遷移金属は、特に限定されるものではないが、通常、周期表第6族、7族、8族、9族、10族の遷移金属であり、好ましくは、第6族、8族、又は9族の遷移金属であり、より好ましくは第8族又は9族金属である。
また具体的な金属元素としては、特に限定はされないが、通常、Cr、Mo、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ni、Pd、Ptであり、好ましくは、窒素との結合エネルギーが高い点でMo、Re、Fe、Ru、Os、Co、であり、より好ましくは、アンモニア合成用触媒をアンモニア合成用触媒として用いた際に、アンモニア合成活性を有する点で、Ru、Co又はFeであり、更に好ましくは、最も高い触媒活性を有する点でRuである。
前記の各元素は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。またこれらの元素の金属間化合物、例えば、CoMoN、FeMoN、NiMoN、MoN等を用いることもできる。好ましくは各元素を単独又は2種類以上の組み合わせであり、より好ましくは、単独で用いることがコストの面で有利である。
(アンモニア合成用触媒の組成)
本発明のアンモニア合成用触媒に用いられる前記担体における、前記アルカリ土類金属酸化物のモル比含有量は、特に限定はされないが、前記金属水素化物と前記アルカリ土類金属酸化物の合計量に対して、通常、0.5mol%以上、好ましくは1mol%以上、より好ましくは2mol%以上であり、通常10mol%以下、好ましくは5mol%以下、より好ましくは4mol%以下である。前記下限値以上であれば、本発明の効果が得られ、前記上限値以下であれば、触媒活性が逆に低下する。
本発明のアンモニア合成用触媒における、前記金属水素化物と前記アルカリ土類金属酸化物とを含む担体に対する前記遷移金属の担持量は、特に限定はされないが、通常、その触媒の全体量に対して、0.5wt%以上、好ましくは2wt%以上、より好ましくは5wt%以上であり、通常20wt%以下、好ましくは15wt%以下、より好ましくは10wt%以下である。前記下限値以上であれば、本発明の効果が得られ、前記上限値以下であれば、担持量とコストの見合った本発明の効果が得られる。
本発明のアンモニア合成用触媒の比表面積は、特に限定はされないが、通常0.1m/g以上であり、好ましくは1m/g以上であり、好ましくは3m/g以上である。
(アンモニア合成用触媒の形状)
本発明のアンモニア合成用触媒の形状は、特に限定はされず、具体的には塊状、粉末状、被膜状等のいずれの形状でもよいが、通常は粉末状である。粉末状のアンモニア合成用触媒の粒子径は特に限定はされないが、通常、1nm以上、100nm以下である。
本発明のアンモニア合成用触媒における遷移金属の粒子径は、特に限定はされないが、通常、1nm以上、100nm以下である。好ましくは、アンモニア合成用触媒として使用した際に、窒素解離の活性点であるステップサイト数が多くなる点で有利な10nm以下、より好ましくは5nm以下である。
本発明のアンモニア合成用触媒の担体における前記アルカリ土類金属酸化物の分散度は、特に限定はされないが、例えば、担体中のアルカリ土類金属酸化物粒子(領域)は、通常、10nm以上、20μm以下である。アンモニア合成用触媒の表面においてアルカリ土類金属酸化物が分散されていることが望ましいが、表面を完全に覆うことは望ましくない。
(アンモニア合成用触媒の製造方法)
本発明のアンモニア合成用触媒は、前記金属水素化物と前記アルカリ土類金属酸化物とを含む前記担体に、前記遷移金属を担持させて製造する。製造方法は特に限定されないが、通常は、前記担体に対し、遷移金属、又は遷移金属の前駆体となる化合物(以下、遷移金属化合物)を担持させて製造する。
本発明のアンモニア合成用触媒の原料となる、前記金属水素化物は、市販の試薬や工業原料を用いても、対応する金属から既知の方法により得られたものを使用してもよい。通常、金属水素化物は、対応する金属を水素雰囲気下で加熱することにより得られる。
例えば水素化カルシウム(CaH)は、金属カルシウムを水素雰囲気中で、400℃程度に加熱することで得られる。
また例えば水素化セリウム(CeH)は、金属セリウムを水素雰囲気中700〜800 ℃程度に加熱することにより得られる。
本発明で用いられる前記金属水素化物に、前記アルカリ土類金属酸化物を混ぜて担体を作る方法は、特に限定されず、既知の方法を用いることができる。具体的には例えば、物理的混合法、CVD法(化学蒸藩法)、スパッタ法等の方法を使用できる。金属水素化物は水と反応しやすく、また、有機溶媒への溶解度が低いことから、粉末状態の前記アルカリ土類金属酸化物を、粉末状態の前記金属水素化物に、物理的混合法で混合する方法が好ましい。物理的混合法は、前記担体と、前記遷移金属化合物とを固体混合した後に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス気流中、又は真空下で加熱する方法である。固体混合法としては、例えば、既知の2種類以上の固体の混合・粉砕する装置と方法が用いられる。その場合の加熱温度は通常、遷移金属化合物の分解温度以上で400℃以下が望ましい。加熱時間は2時間以上が望ましい。
上記で得られた前記担体をそのまま用いて、後述の遷移金属担持工程で前記遷移金属を担持させてもよく、或いは、水素雰囲気中において200〜500℃程度数時間、例えば、340℃2時間に加熱する前処理を行った後、後述の遷移金属担持工程で前記遷移金属を担持させてもよい。
前記担体予め水素雰囲気下で加熱した試料を用いて製造した触媒では、例えば、アンモニア合成反応に用いられる場合、反応開始後すぐに高い活性が得られる。
本発明で用いられる前記担体に、方法は、特に限定されず、既知の方法を用いることができる。通常は、担持する遷移金属の化合物であって、還元や熱分解等により遷移金属に変換することができる遷移金属化合物を、前記担体に担持させた後、遷移金属に変換する方法が用いられる。
前記遷移金属化合物は特に限定されないが、熱分解し易い遷移金属の無機化合物又は有機遷移金属錯体等を用いることができる。具体的には遷移金属の錯体、遷移金属の酸化物、硝酸塩、塩酸塩等の遷移金属塩等を用いることができる。
例えばRu化合物としては、トリルテニウムドデカカルボニル[Ru(CO)12]、ジクロロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[RuCl(PPh]、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[RuCl(PPh]、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)[Ru(acac)]、ルテノセン[Ru(C)]、ニトロシル硝酸ルテニウム[Ru(NO)(NO]、ルテニウム酸カリウム、酸化ルテニウム、硝酸ルテニウム、塩化ルテニウム等が挙げられる。トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)[Ru(acac)]が好ましい。
Fe化合物としては、ペンタカルボニル鉄[Fe(CO)]、ドデカカルボニル三鉄[Fe(CO)12]、ノナカルボニル鉄[Fe(CO)]、テトラカルボニル鉄ヨウ化物[Fe(CO)]、トリス(アセチルアセトナト)鉄(III) [Fe(acac)]、フェロセン[Fe(C]、酸化鉄、硝酸鉄、塩化鉄(FeCl)等が挙げられる。
Co化合物としては、コバルトオクタカルボニル[Co(CO)]、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)[Co(acac)]、コバルト(II) アセチルアセトナト[Co(acac)]、コバルトセン[Co(C]、酸化コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト等が挙げられる。
これらの遷移金属化合物のうち、[Ru(CO)12]、[Fe(CO)]、[Fe(CO)12]、[Fe(CO)]、[Co(CO)]等の遷移金属のカルボニル錯体は、担持した後、加熱することにより、遷移金属が担持されることから、本発明のアンモニア合成用触媒を製造する上で、後述する還元処理を省略できる点で好ましい。
前記遷移金属化合物の使用量は、特に限定はされず、所望の担持量を実現するための量を適宜使用することができるが、通常は、用いる前記担体の質量に対して、通常2wt%以上、好ましくは10wt%以上、より好ましくは20wt%以上であり、通常50wt%以下、好ましくは40wt%以下、より好ましくは30wt%以下である。
前記遷移金属化合物を担体に担持させる方法としては、具体的には例えば、物理的混合法、CVD法(化学蒸藩法)、スパッタ法等の方法を使用できる。
物理的混合法は、前記担体と、前記遷移金属化合物とを固体混合した後に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス気流中、又は真空下で加熱する方法である。このときの加熱温度は特に限定はされないが、通常200℃以上、600℃以下である。加熱時間は特に限定されないが、通常2時間以上が望ましい。
ここで熱分解により遷移金属に変換される遷移金属化合物であれば、この段階で通常、遷移金属が、担持され、本発明のアンモニア合成用触媒となる。
熱分解により遷移金属に変換される遷移金属化合物以外のものを用いた場合は、遷移金属化合物を、通常還元することにより、本発明のアンモニア合成用触媒となる。
前記遷移金属化合物を還元する方法(以下、還元処理という)は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、還元性ガスを含む雰囲気下で行なう方法や、前記遷移金属化合物を含む溶液に、NaBH、NHNH又は、ホルマリン等の還元剤を加えて前記金属水素化物の表面に析出させる方法が挙げられるが、好ましくは還元性ガスを含む雰囲気下で行なう。前記還元性ガスとしては水素、アンモニア、メタノール(蒸気)、エタノール(蒸気)、メタン、エタン等が挙げられる。
また前記還元処理の際に、本発明の目的、特にアンモニア合成反応を阻害しない、還元性ガス以外の成分が反応系を共存していてもよい。具体的には、還元処理の際に、水素等の還元性ガスの他に反応を阻害しないアルゴンや窒素といったガスを共存させてもよく、窒素を共存させることが好ましい。
前記還元処理を、水素を含むガス中で行なう場合、水素と共に窒素を共存させることで、後述するアンモニアの製造と並行して行なうことができる。すなわち、本発明のアンモニア合成用触媒を後述するアンモニア合成用触媒として用いる場合は、前記遷移金属化合物を、前記金属水素化物に担持させたものを、アンモニア合成反応の反応条件中に置くことにより、前記遷移金属化合物を還元し、遷移金属に変換してもよい。
前記還元処理の際の温度は、特に限定はされないが、通常200℃以上であり、好ましくは300℃以上、通常、金属水素化物担体の分解温度以下の温度であり、好ましくは600℃以下で行う。前記の還元処理温度範囲内で行なうことで、前記遷移金属の成長が十分に、また好ましい範囲で起こるためである。
前記還元処理の際の圧力は、特に限定はされないが、通常、0.01MPa以上、10MPaである。還元処理時の圧力は、後述するアンモニア合成条件と同じ条件にすると、煩雑な操作は不要になり製造効率の面で有利である。
前記還元処理の時間は、特に限定されないが、常圧で実施する場合は、通常1時間以上であり、2時間以上が好ましい。
また反応圧力の高い条件、例えば1MPa以上で行う場合は、1時間以上が好ましい。
本発明のアンモニア合成用触媒の製造方法には、前述の例のように、先に前記金属水素化物と前記アルカリ土類金属酸化物とを含む担体を作成してから、前記遷移金属を担持させて製造する方法の以外に、前記金属水素化物に前記遷移金属を担持させてから、前記アルカリ土類金属酸化物を含ませる方法もある。
また、熱分解により遷移金属に変換される遷移金属化合物を用いる場合、前記アルカリ土類金属酸化物と、前記金属水素化物と、前記遷移金属化合物と、を任意の順で混合した後に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス気流中、又は真空下で加熱する方法もある。製造方法が簡単である観点から、この3成分混合方法が好ましい。その中において、前記アルカリ土類金属酸化物と前記金属水素化物との分散性が良くなる観点から、前記アルカリ土類金属酸化物を入れた、メノウ乳鉢や固体混合機などの固体混合用装置に、前記金属水素化物を添加して固体混合してから、前記遷移金属化合物を添加し、更に固体混合した後に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス気流中、又は真空下で加熱する方法がより好ましい。
熱分解により遷移金属に変換される遷移金属化合物以外のものを用いた場合は、前述の還元処理方法と同様に、固体混合物に含まれている遷移金属化合物を、通常の方法で還元することにより、本発明のアンモニア合成用触媒となる。
前記金属水素化物及び前記遷移金属以外の成分としては、SiO、Al、ZrO、MgO、活性炭、グラファイト、SiCなどを前記金属水素化物の担体としてさらに含んでいてもよい。
本発明のアンモニア合成用触媒は、通常の成型技術を用い成型体として使用することができる。具体的には、粒状、球状、タブレット、リング、マカロニ、四葉、サイコロ、ハニカム状などの形状が挙げられる。また、適当な支持体にコーティングしてから使用することもできる。
本発明のアンモニア合成用触媒を用いる際、その反応活性は特に限定はされないが、反応温度340℃、反応圧力0.1MPaにおけるアンモニアの生成速度を例に取った場合で、0.5mmol/g・h以上であることが好ましく、1.0mmol/g・h以上であることが実用の製造条件に適していることからより好ましく、2.0mmol/g・h以上であるものがより高効率の製造条件に適していることから更に好ましく、3.0mmol/g・h以上であるものが更に高効率の製造条件に適している点で更に好ましい。
以下に本発明のアンモニア合成用触媒を用いたアンモニアの製造方法について記す。
<アンモニアの製造方法>
本発明のアンモニアの製造方法(以下、本発明の製造方法ということがある)は、本発明のアンモニア合成用触媒を触媒として用い、水素と窒素とを前記触媒上で反応させてアンモニアを合成する方法である。
具体的な製造方法としては、水素と窒素とを前記触媒上で接触させてアンモニアを合成する方法であれば、特に限定されず、適宜既知の製造方法に準じて製造をすることができる。
本発明のアンモニアの製造方法では、通常、水素と窒素とを前記触媒上で接触させる際に、触媒を加熱して、アンモニアを製造する。
本発明の製造方法における反応温度は特に限定はされないが、通常200℃以上、好ましくは250℃以上であり、より好ましくは300℃以上であり、通常600℃以下であり、好ましくは500℃以下であり、より好ましくは450℃以下である。アンモニア合成は発熱反応であることから、低温領域のほうが化学平衡論的にアンモニア生成に有利であるが、十分なアンモニア生成速度を得るためには上記の温度範囲で反応を行うことが好ましい。
本発明の製造方法において、前記触媒に接触させる窒素と水素のモル比率は、特に限定はされないが、通常、窒素に対する水素の比率(H/N(体積/体積))で、通常0.4以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、通常10以下、好ましくは5以下で行う。
本発明の製造方法における反応圧力は、特に限定はされないが、窒素と水素含む混合ガスの圧力で、通常0.01MPa以上、好ましくは0.1MPa以上、通常20MPa以下、好ましくは15MPa以下、より好ましくは10MPa以下である。また実用的な利用を考慮すると、大気圧以上の加圧条件で反応を行うことが好ましい。
本発明の製造方法において、窒素と水素とを前記触媒に接触させる前に、前記触媒に付着する水分や酸化物を、脱水材を用いる方法、深冷分離する方法や水素ガス等を用いて除去することが好ましい。除去の方法としては還元処理が挙げられる。
本発明の製造方法においては、より良好なアンモニア収率を得るためには、本発明の製造方法に用いる窒素及び水素中の水分含有量が少ないことが好ましく、特に限定はされないが、通常、窒素と水素の混合ガス中の総水分含有量が100ppm以下、好ましくは、50ppm以下であることが好ましい。
本発明の製造方法において、反応容器の形式は特に限定されず、アンモニア合成反応に通常用いることができる反応容器を用いることができる。具体的な反応形式としては、例えばバッチ式反応形式、閉鎖循環系反応形式、流通系反応形式等を用いることができる。このうち実用的な観点からは流通系反応形式が好ましい。また触媒を充填した一種類の反応器、又は複数の反応器を連結させる方法や、同一反応器内に複数の反応層を有する反応器の何れの方法も使用することができる。
水素と窒素からアンモニアを合成する反応は、体積収縮を伴う発熱反応であることから、アンモニア収率を上げるために工業的には反応熱を除去することが好ましく、通常用いられる除熱手段を伴う既知の反応装置を用いてもよい。例えば具体的には触媒が充填された反応器を直列に複数個連結し、各反応器の出口にインタークーラーを設置して除熱する方法等を用いてもよい。
本発明のアンモニアの製造方法においては、本発明の製造方法で得られるアンモニア合成用触媒を単独で用いても、アンモニア合成に通常用いることができる他の公知の触媒と組み合わせて使用することができる。
以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。NHの生成量をガスクロマトグラフにより、又は生成したNHを硫酸水溶液中に溶解させ、その溶液をイオンクロマトグラフにより定量してアンモニア生成速度を求めることによりアンモニア合成活性の評価を行った。
(BET比表面積測定方法)
BET比表面積の測定は、対象物の表面に液体窒素温度で窒素ガスを吸着させ、−196℃における窒素ガスの吸脱着に基づく吸脱着等温線から求めた。分析条件は以下の通り。
[測定条件]
測定装置:高速・比表面/細孔分布測定装置 BELSORP−mini 2(MicrotracBEL社製)
吸着ガス:窒素 99.99995体積%
吸着温度:液体窒素温度 −196℃
(イオンクロマトグラム分析)
反応容器から排出されたアンモニアガスを、5mM硫酸水溶液に溶解させ、捕捉したアンモニウムイオン(NH4+)をイオンクロマトグラフにより分析した。分析条件は以下の通り。
[測定条件]
装置 :島津製作所社製 Prominence
検出器:電気伝導度検出器CDD―10Avp (島津製作所社製)
カラム:イオンクロマトグラム用カラムIC−C4(島津製作所社製)
溶離液:3.0mM シュウ酸+2.0mM 18−クラウン−6−エーテル水溶液
流速 :1.0 mL/分
カラム温度:40℃
(実施例1)
(アンモニア合成用触媒の調製)
BaO(高純度化学社製、純度99.9%)0.009gを、Ar雰囲気のグローブボックス中でCaH粉末(Aldrich製、純度99.9%)0.081gと物理混合し、担体としての3mol%のBaOを含むCaHとBaOの混合物(「97CaH−3BaO」)を調製し、さらに、Ru(acac)粉末(Aldrich社製、純度99.7%)0.041gを、97CaH−3BaOと物理混合し、石英ガラス管に封入した。次に前記石英ガラス管を260℃で1時間窒素ガス雰囲気下で加熱した後、水素ガス雰囲気下において260℃で1時間および340℃で5時間加熱した。これによりCaH/BaOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/97CaH−3BaO)が得られた。このアンモニア合成用触媒のBET表面積は、20m/gであった。以下で、前記アンモニア合成用触媒を用いて、アンモニア合成を行なった。
(アンモニア合成反応)
窒素ガス(N)と水素ガス(H)を触媒上で反応させてアンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。前記Ru/97CaH−3BaO 0.1gをガラス管に詰め、固定床流通式反応装置で前記アンモニア合成反応を行った。原料のNガス、Hガスはいずれも水分濃度は1ppm以下であった。原料ガスの流量は、N:15mL/min、H:45mL/min、合計60mL/minに設定し、圧力は0.1mPa、反応温度は340℃で反応を行った。
(アンモニアの生成速度)
前記固定床流通式反応装置から出てきたガスを0.005M硫酸水溶液中にバブリングさせ、前記ガス中のアンモニアを溶解させ、生じたアンモニウムイオンをイオンクロマトグラフにより前記の方法により定量した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、7.7mmol/g・h、9.5mmol/g・h、10.0mmol/g・hであった。結果を表1に示した。
(触媒の長期の安定性)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、250時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図1に結果を示す。本実施例の触媒は、250時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(触媒反応前後の構造変化)
本実施のアンモニア合成用触媒10wt%Ru/97CaH−3BaOについて、アンモニア合成反応前と100時間反応後の構造変化を観測した。SEM電子顕微鏡(SEM)写真を図4に示す。
(真空加熱処理した担体のXPS測定)
本実施例の97CaH−3BaO担体の真空加熱処理時間を2時間、50時間で得られたサンプルのXPSを測定した。結果を図5に示す。比較するために、原料のBaO(高純度化学製)のXPSを測定し、結果を図5に示す。加熱処理2時間の段階で酸素欠陥を含有したBaOが生成した。
真空加熱処理条件:340℃
XPS測定条件:装置(島津製作所製、ESCA 3200)、X線源(MgKα線,30kV,8mA)
(実施例2)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、BaOを1mol%含む99CaH−1BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、99CaH−1BaOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/99CaH−1BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/99CaH−1BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、8.5mmol/g・h、9.4mmol/g・h、8.6mmol/g・hであった。結果を表1に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/99CaH−1BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図2に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例3)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、BaOを2mol%含む98CaH−2BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、98CaH−2BaOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/98CaH−2BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/98CaH−2BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、8.3mmol/g・h、10mmol/g・h、10mmol/g・hであった。結果を表1に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/98CaH−2BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図2に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例4)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、BaOを4mol%含む96CaH−4BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、96CaH−4BaOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/96CaH−4BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/96CaH−4BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、5.6mmol/g・h、7.9mmol/g・h、7.9mmol/g・hであった。結果を表1に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/96CaH−4BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図2に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例5)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、BaOを5mol%含む95CaH−5BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、95CaH−5BaOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/95CaH−5BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/95CaH−5BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、5.5mmol/g・h、6.4mmol/g・h、6.9mmol/g・hであった。結果を表1に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/95CaH−5BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図2に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(真空加熱処理した担体のXRD測定)
95CaH−5BaO担体を真空加熱処理したサンプルのXRDを測定した。結果を図6に示す。比較するために、原料のBaO(高純度化学製)のXRDを測定し、結果を図6に示す。
真空加熱処理条件:340℃,2時間
XPD測定条件:装置(Bruker製、D8 ADVANCE)、X線(Cu Kα,45kV,360mA)
(実施例6)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、BaOを7mol%含む93CaH−7BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、93CaH−7BaOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/93CaH−7BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/93CaH−7BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、2.7mmol/g・h、 3.0mmol/g・h、4.6mmol/g・hであった。結果を表1に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/93CaH−7BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図2に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(比較例1)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、BaOを含まないCaHを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、CaHに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/CaH)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/CaHを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、6.7mmol/g・h、6.6mmol/g・h、5.6mmol/g・hであった。結果を表1に示した。
(触媒の長期の安定性)
比較例1の10wt%Ru/CaHを触媒として用いて、同じ反応条件において、110時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図1に結果を示す。本比較例の触媒は、開始から100時間まで、反応活性が低下していることが分かった。
表1における実施例1〜6のNH生成速度(反応時間50hr)と担体中のBaO−CaHモル比との関係を図3に示す。触媒活性がBaO−CaHモル比に依存していることがわかった。
(実施例7)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における10wt%Ruの担持量に代えて、2wt%Ruの担持量を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、97CaH−3BaOに金属Ruが2wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、2wt%Ru/97CaH−3BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、2wt%Ru/97CaH−3BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、5.1mmol/g・h、5.1mmol/g・h、4.1mmol/g・hであった。結果を表2に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の2wt%Ru/97CaH−3BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図7に結果を示す。本実施例の触媒は、20時間の反応においては安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例8)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における10wt%Ruの担持量に代えて、4wt%Ruの担持量を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、97CaH−3BaOに金属Ruが4wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、4wt%Ru/97CaH−3BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、4wt%Ru/97CaH−3BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、6.6mmol/g・h、6.5mmol/g・h、5.1mmol/g・hであった。結果を表2に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の4wt%Ru/97CaH−3BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図7に結果を示す。本実施例の触媒は、20時間の反応においては安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例9)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における10wt%Ruの担持量に代えて、5wt%Ruの担持量を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、97CaH−3BaOに金属Ruが5wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、5wt%Ru/97CaH−3BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、5wt%Ru/97CaH−3BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、7.9mmol/g・h、8.6mmol/g・h、8.4mmol/g・hであった。結果を表2に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の5wt%Ru/97CaH−3BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図7に結果を示す。本実施例の触媒は、50時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例10)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における10wt%Ruの担持量に代えて、15wt%Ruの担持量を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、97CaH−3BaOに金属Ruが15wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、15wt%Ru/97CaH−3BaO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、15wt%Ru/97CaH−3BaOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、5.5mmol/g・h、6.2mmol/g・h、6.9mmol/g・hであった。結果を表2に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の15wt%Ru/97CaH−3BaOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図7に結果を示す。本実施例の触媒は、50時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
表2における実施例1、7〜10のNH生成速度(反応時間50hr)とRuの担持量との関係を図8に示す。触媒活性がBaO−CaHモル比に依存していることがわかった。
(実施例11)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、SrOを3mol%含む97CaH−3SrOを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、97CaH−3SrOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/97CaH−3SrO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/97CaH−3SrOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、7.5mmol/g・h、8.4mmol/g・h、8.6mmol/g・hであった。結果を表3に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/97CaH−3SrOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図9に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例12)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1における3mol%BaOを含む97CaH−3BaOに代えて、MgOを3mol%含む97CaH−3MgOを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、97CaH−3MgOに金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/97CaH−3MgO)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/97CaH−3MgOを用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、9.9mmol/g・h、9.4mmol/g・h、8.9mmol/g・hであった。結果を表3に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/97CaH−3MgOを触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図9に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
(実施例13)
(アンモニア合成用触媒の調製)
実施例1と同様な方法で調製したCaHとBaOの混合物(「97CaH−3BaO」)を、石英ガラス管に封入し、水素ガス雰囲気下において340℃で2時間加熱し、前処理された97CaH−3BaOが得られた。前処理された97CaH−3BaO(「97CaH−3BaO*」)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、97CaH−3BaO*に金属Ruが10wt%担持されたアンモニア合成用触媒(以下、Ru/97CaH−BaO*)が得られた。
(アンモニア合成反応)
実施例1の10wt%Ru/97CaH−3BaOに代えて、10wt%Ru/97CaH−3BaO*を用いた以外は、実施例1と同様の方法と条件により、アンモニア(NH)を生成させる反応(以下、アンモニア合成反応)を行った。
(アンモニアの生成速度)
実施例1と同様の方法により、340℃におけるアンモニアの生成速度を測定した。340℃におけるアンモニアの生成速度は、1時間、20時間、50時間において、それぞれ、10.1mmol/g・h、11.2mmol/g・h、10.6mmol/g・hであった。結果を表3に示した。
(触媒の長期の安定性)
本実施例の10wt%Ru/97CaH−3BaO*を触媒として用いて、同じ反応条件において、60時間継続してアンモニア合成反応を行い、触媒の長期の安定性を評価した。図10に結果を示す。本実施例の触媒は、60時間の反応においても安定してアンモニアを生成し、ほとんど反応活性が低下しないことが分かった。
本発明のアンモニア合成用触媒の効果は、BaO或いは酸素欠陥含有BaOの存在で、金属水素化合物に含まれるヒドリドイオン(Hイオン)の動的役割がもたらす作用を長く維持したと考えられる。すなわち、金属水素化物にRuなどの遷移金属を担持したアンモニア合成用触媒が加熱されると、アンモニア合成用触媒中のHイオンが中性水素として脱離して、その欠損サイトを電子が占有するF中心が生成する。その本発明で用いられる金属水素化物から発生する金属イオンの原子価は、通常、+2価又は+3価であるため、これらの結晶は、アルカリ金属等のイオン結晶に比べ大きな格子エネルギーを有している。また、酸素イオンやハロゲンイオンと比べて、ヒドリドイオンは、そのイオン半径を環境によってかなり変化できるという特徴がある。よって、これらの水素化物結晶中のF中心の電子のエネルギー準位は、ヒドリドイオンを電子で置き換えた際にアルカリ金属酸化物やハロゲン化物にみられるようなF中心の周りの構造の緩和によって大幅に低下せずに、高く保たれるものと推測される。これによって、アンモニア合成用触媒そのものの仕事関数が低くなることにより、担持した金属種への電子供与が効率よく起こり、金属種の触媒活性を促進していると考えられる。そして、金属水素化合物の周辺において、BaO或いは酸素欠陥含有BaOの存在で、金属水素化物による活性効果を長く維持できると考えられる。
また、上記酸素欠陥含有BaOは低い仕事関数を有することが一般的に知られており、この酸素欠陥含有BaOからのRuへの電子供与も本発明の高い触媒活性に寄与している可能性がある。

Claims (10)

  1. 遷移金属と、
    前記遷移金属を担持する担体と
    を含む金属担持物からなるアンモニア合成用触媒であって、
    前記担体が、
    下記一般式(1)で表わされる金属水素化物と、
    MgO,SrO,BaOからなる群から選択されるいずれか1種のアルカリ土類金属酸化物と
    を含むことを特徴とするアンモニア合成用触媒。
    XH ・・・(1)
    (前記一般式(1)において、Xは周期表第2族原子、第3族原子、又はランタノイド原子から選ばれる少なくとも1種を表わし、nは、2≦n≦3で表わされる数を表す。)
  2. 前記一般式(1)におけるXが、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、又はランタノイド原子から選ばれる少なくとも1種、である、請求項1に記載のアンモニア合成用触媒。
  3. 前記遷移金属が、Ru、Co、又はFeから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のアンモニア合成用触媒。
  4. 前記遷移金属の前記担体に対する担持量が、0.5質量%以上、20質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンモニア合成用触媒。
  5. 前記アルカリ土類酸化物の前記担体に対する含有量が、0.5mol%以上、10mol%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンモニア合成用触媒。
  6. アンモニアの製造方法であって、水素と窒素を含有する原料ガスを、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンモニア合成用触媒に接触させ、アンモニアを合成することを特徴とする、アンモニアの製造方法。
  7. 前記アンモニア合成用触媒と接触させる際の反応温度が、100℃以上、600℃以下である、請求項6に記載のアンモニアの製造方法。
  8. 前記アンモニア合成用触媒と接触させる際の反応圧力が、10kPa以上、20MPa以下である、請求項6又は7に記載のアンモニアの製造方法。
  9. 前記原料ガスの水分含有量が100ppm以下である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
  10. 前記アンモニア合成用触媒と接触させる際の、窒素に対する水素の比率(H/N(体積/体積))が、0.4以上である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
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