JP2019125711A - テープ貼り付け方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ウェハに貼り付けられたテープの残留応力の異方性に起因するウェハの加工品質及び製造効率の低下を防止することが可能なテープ貼り付け方法及び装置を提供する。【解決手段】 本発明に係るテープ貼り付け方法は、第1の方向に沿う第1の張力を付与しながら、前記第1の方向とは異なる方向に沿って並べて配置された第1の部材及び第2の部材との間に架け渡すようにテープを貼り付ける第1の貼り付け工程と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に架け渡すように貼り付けられた前記テープに対して、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿う第2の張力を付与しながら、前記テープをウェハに貼り付ける第2の貼り付け工程とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明はテープ貼り付け方法及び装置に係り、特に半導体ウェハにテープを貼り付ける技術に関する。
特許文献1には、テープを貼着用ローラにより押圧しながら、貼着用ローラを転動させることにより、テープをウェハ(半導体ウェハ)に貼り付けるテープ貼り付け装置が開示されている。
特許文献2には、粘着シートを介してリング状のフレームにマウントされ、個々のチップにダイシング加工されたウェハに対し、ダイシング加工後に粘着シートをエキスパンドして個々のチップに分割するワーク分割装置及び方法が開示されている。
特開2013−004583号公報 特開2012−174795号公報
特許文献1のように、ウェハにテープを貼着用ローラにより押圧しながら貼り付けると、テープの貼り付け方向に張力が発生し、貼り付け後のテープに残留応力の異方性が生じる。このようにして貼り付けられたテープを、特許文献2のように、エキスパンド(拡張)してウェハを個々のチップに分割した場合、この残留応力の異方性に起因してウェハの加工品質及び製造効率が低下するという問題がある。
図9及び図10は、貼着用ローラを用いてダイシングフレーム及びウェハにテープを貼り付ける工程を示す図(それぞれ斜視図及び側面図)である。
図9及び図10に示すように、ダイシングテープSの貼り付け時には、供給リール316から繰り出されたダイシングテープSは、貼着用ローラ310によりダイシングフレームF及びウェハWに押圧される。これにより、供給リール316と貼着用ローラ310との間のダイシングテープSにMD方向(Machine direction:貼り付け方向)に沿う張力が付与される。この張力が付与された状態で、貼着用ローラ310とダイシングフレームF及びウェハWとを相対移動させることにより、ダイシングテープSがダイシングフレームF及びウェハWに貼り付けられる。上記のように、ダイシングテープSに張力を付与しながらダイシングフレームF及びウェハWに貼り付けることにより、ダイシングテープSに皺が発生したり、気泡が生じることを抑止することが可能になる。
しかしながら、上記の方法によれば、ウェハWに貼り付けられたダイシングテープSには、貼着用ローラ310によってMD方向に張力が付与されるため、貼り付け後にもダイシングテープSのMD方向に張力が残る(残留応力)。一方、MD方向に垂直なTD方向(Transverse direction:垂直方向)については、ダイシングテープSに張力が付与されないため、残留応力が発生しない。このように、貼り付け後のダイシングテープSの残留応力に異方性があると、半導体の製造プロセスに影響を及ぼし得る。この残留応力の異方性が半導体の製造プロセスに及ぼす影響の具体例としては、下記のようなものが考えられる。
第1に、残留応力の異方性に起因してダイシングテープSがチャックテーブル上で滑ることが考えられる。ダイシング加工時に、残留応力が小さい方向に沿ってダイシングテープSが滑ると、位置合わせの精度が低下する。この場合、ウェハWに照射されるレーザの照射位置、ウェハWを切断するためのブレードの当接位置等がずれてしまい、ウェハの加工品質が低下するという問題がある。
第2に、ダイシングテープSをエキスパンド(拡張)して、ウェハWを割断するときに、残留応力が小さい方向のウェハWの分断率が低下することが考えられる。この場合、ウェハWの製造効率が低下するという問題がある。
第3に、ダイシングテープSのエキスパンド(拡張)の後にダイシングテープSへの張力の付与を止めたときに生じるダイシングテープSの弛みを熱収縮又は熱硬化により解消する場合がある。このとき、残留応力が小さい方向についてダイシングテープSが収縮しにくくなり、ダイシングテープSの弛みを十分に解消することが困難になることが考えられる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ウェハに貼り付けられたテープの残留応力の異方性に起因するウェハの加工品質及び製造効率の低下を防止することが可能なテープ貼り付け方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るテープ貼り付け方法は、第1の方向に沿う第1の張力を付与しながら、第1の方向とは異なる方向に沿って並べて配置された第1の部材及び第2の部材との間に架け渡すようにテープを貼り付ける第1の貼り付け工程と、第1の部材と第2の部材との間に架け渡すように貼り付けられたテープに対して、第1の方向とは異なる第2の方向に沿う第2の張力を付与しながら、テープをウェハに貼り付ける第2の貼り付け工程とを備える。
本発明の第2の態様に係るテープ貼り付け方法は、第1の態様において、第1の方向は、テープが供給される方向であり、第2の方向は、第1の方向と直交する方向としたものである。
本発明の第3の態様に係るテープ貼り付け方法は、第1又は第2の態様において、第2の貼り付け工程の後に、第1の部材及び第2の部材からテープを分離する工程を更に備えるようにしたものである。
本発明の第4の態様に係るテープ貼り付け方法は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、第2の貼り付け工程は、第1の部材と第2の部材との間のテープにウェハが貼り付けられたときに、テープの第1の方向の第1の残留応力と、テープの第2の方向の第2の残留応力との差分絶対値が第1のしきい値未満になるように、第2の張力を調整する張力調整工程を備えるようにしたものである。
本発明の第5の態様に係るテープ貼り付け方法は、第4の態様の張力調整工程において、第1の部材と第2の部材との間隔、及び第1の部材と第2の部材との間のテープをウェハに押圧する力のうちの少なくとも一方を調整することにより、第2の張力を調整するようにしたものである。
本発明の第6の態様に係るテープ貼り付け方法は、第4又は第5の態様の張力調整工程において、テープの力学的異方性に基づいて、第2の張力を調整するようにしたものである。
本発明の第7の態様に係るテープ貼り付け方法は、第6の態様において、第1の方向及び第2の方向のテープの力学的異方性を示す値の差分絶対値が閾値未満の場合には、張力調整工程において、第2の張力を第1の張力の大きさを等しくするようにしたものである。
本発明の第8の態様に係るテープ貼り付け方法は、第6又は第7の態様において、テープの力学的異方性を測定する工程を更に備えるようにしたものである。
本発明の第9の態様に係るテープ貼り付け方法は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、第1の貼り付け工程は、第1の張力を測定する第1の測定工程を含み、第2の貼り付け工程は、第2の張力を測定する第2の測定工程を含み、張力調整工程では、第1の測定工程及び第2の測定工程における測定結果に基づいて、第1の張力と第2の張力の差分絶対値が第2のしきい値未満になるように、第2の張力を調整するようにしたものである。
本発明の第10の態様に係るテープ貼り付け装置は、テープを供給するテープ供給手段と、テープが供給される方向とは異なる方向に沿って並べて配置された第1の部材及び第2の部材と、第1の方向に沿う第1の張力を付与しながら、第1の部材及び第2の部材との間に架け渡すようにテープを貼り付ける第1の貼り付け手段と、第1の部材と第2の部材との間に架け渡すように貼り付けられたテープに対して、第1の方向とは異なる第2の方向に沿う第2の張力を付与しながら、テープをウェハに貼り付ける第2の貼り付け手段とを備える。
本発明によれば、ウェハに貼り付けられたテープの残留応力の異方性に起因するウェハの加工品質及び製造効率の低下を防止することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るテープ貼り付け方法を示す斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係るテープ貼り付け方法を示す側面図である。 図3は、ウェハにダイシングテープを貼り付けた状態を示す斜視図である。 図4は、ダイシングテープの力学的異方性を測定する手順を説明するための図である。 図5は、ダイシングテープの力学的異方性の測定方法を示すフローチャートである。 図6は、本発明の第1の実施形態に係るテープ貼り付け方法を示すフローチャートである。 図7は、本発明の第2の実施形態に係るテープ貼り付け方法を示すフローチャートである。 図8は、拡張バーの別の実施形態を示す斜視図である。 図9は、貼着用ローラを用いてダイシングフレーム及びウェハにテープを貼り付ける工程を示す斜視図である。 図10は、貼着用ローラを用いてダイシングフレーム及びウェハにテープを貼り付ける工程を示す側面図である。
以下、添付図面に従って本発明に係るテープ貼り付け方法及び装置の実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係るテープ貼り付け方法を示す図(それぞれ斜視図及び側面図)である。図3は、ウェハにダイシングテープを貼り付けた状態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、Z方向を鉛直方向とする直交座標系を用いて説明する。
本実施形態に係るテープ貼り付け方法は、ダイシング工程(例えば、ブレードを用いてウェハWの表面に切れ込みを形成する工程、レーザを照射してウェハWの表面に改質層を形成する工程)、バックグラインドテープの貼り付け工程、及びバックグラインド工程(裏面の研削工程)をウェハWに実施した後、ウェハWの裏面にダイシングテープSを貼り付けるときに用いられる。
このダイシングテープSの貼り付け後、ダイシングテープSをエキスパンド(拡張)させることにより、ウェハWを個々のチップに分割する。このチップをダイシングテープSから分離することにより、半導体装置を作成することが可能になる。
なお、本実施形態に係るテープ貼り付け方法は、ダイシングテープS以外のテープ、粘着シート、バックグラインドテープ等をダイシングフレームF又はウェハWに貼り付ける場合に適用することも可能である。
また、本実施形態に係るテープ貼り付け方法の適用範囲は、シリコン製のウェハに限定されるものではなく、例えば、ガラス基板を備えたウェハ、圧電ウェハ等に適用することが可能である。
本実施形態では、まず、図1に示すように、ダイシングフレームF及びウェハWにダイシングテープSを貼り付ける前に、貼着用ローラ110によりダイシングテープSのMD方向に張力を付与しながら、拡張バー108Aと108Bとの間に架け渡すようにダイシングテープSを貼り付ける。次に、図2に示すように、拡張バー108A及び108Bに貼り付けられたダイシングテープSに対して、貼着用ローラ110によりTD方向に張力を付与しながら、ダイシングフレームF及びウェハWに貼り付ける。
本実施形態では、拡張バー108A及び108Bへの貼り付け時にダイシングテープSに付与する張力と、ダイシングフレームF及びウェハWへの貼り付け時にダイシングテープSに付与する張力を調整する。これにより、ダイシングフレームF及びウェハWに貼り付けた後に生じるダイシングテープSの残留張力の異方性を制御する。
図1から図3に示すように、本実施形態に係るテープ貼り付け装置100は、制御装置102、拡張バー駆動部104、ローラ駆動部106、拡張バー108A及び108B、貼着用ローラ110、テーブル112、テーブル駆動部114、供給リール116並びに供給リール駆動部118を備える。なお、図1及び図3では、テーブル112の図示を省略する。
制御装置102は、テープ貼り付け装置100の各部の動作を制御するプロセッサ、メモリ及び入力装置を含んでいる。メモリは、プロセッサにより行われる各種演算のための作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)を含んでいる。入力装置は、オペレータからの操作入力を受け付ける操作部材を備える。制御装置102は、テープ貼り付け装置100の各部との間で制御信号及びデータの送受信が可能となっており、入力装置からの操作入力に応じた制御信号を各部に送信して各部の動作を制御する。
テーブル112の表面には、ダイシングテープSが貼り付けられる対象、すなわち、拡張バー108A及び108B、ダイシングフレームF及びウェハWが載置される。このテーブル112の表面は、弾性体により形成されていてもよい。
テーブル駆動部114は、テーブル112をZ軸回りに回転させるための回転駆動機構を備えている。なお、テーブル駆動部114は、テーブル112をXYZ方向に移動させるためのスライド駆動機構を備えていてもよい。
図1に示すように、テーブル112の上方(+Z側)には、貼着用ローラ110及び供給リール116が配置されている。
供給リール116(テープ供給手段)には、ダイシングテープSが巻かれている。供給リール116は、テーブル112の表面に向けてダイシングテープSを繰り出すことが可能となっている。
貼着用ローラ110は、回転軸110Aの周りに回転可能に取り付けられた略円筒状の部材である。貼着用ローラ110の表面は、弾性体により形成されていてもよく、例えば、テーブル112の表面よりも軟らかい弾性体により形成されていてもよい。貼着用ローラ110は、供給リール116から繰り出されたダイシングテープSをテーブル112の表面側(−Z側)に押圧しながらX方向に移動可能となっている。
供給リール駆動部118は、供給リール116をMD方向(X方向)及び高さ方向(Z方向)に移動させるためのアクチュエータを備えている。なお、供給リール駆動部118は、上記のアクチュエータに代えて、又はアクチュエータに加えて、供給リール116を回転軸116Aの周りに回転させるためのモータを含んでいてもよい。
ローラ駆動部106(第1及び第2の貼り付け手段)は、貼着用ローラ110をMD方向(X方向)及び高さ方向(Z方向)に移動させるためのアクチュエータを備えている。
供給リール駆動部118は、上記のアクチュエータにより供給リール116を+Z側に移動させたり、又は繰り出したダイシングテープSをモータにより巻き上げることが可能となっている。一方、ローラ駆動部106は、貼着用ローラ110を移動させて、ダイシングテープSをテーブル112の表面側(−Z側)に押圧することが可能となっている。制御装置102を介して供給リール駆動部118及びローラ駆動部106を制御することにより、拡張バー108A及び108Bへの貼り付け時にダイシングテープSに付与する張力を調整することができる。
拡張バー108A及び108B(第1及び第2の部材)は、金属製(例えば、ステンレス製)の角柱である。拡張バー108A及び108Bのサイズは、ダイシングテープSを貼り付ける対象のダイシングフレームFの大きさによって決定される。ダイシングフレームFの外接円の直径が350mmの場合、拡張バー108A及び108Bの長さLは一例で500mmであり、幅W及び高さHは一例で30mmである。
拡張バー駆動部104(第2の貼り付け手段)は、テーブル112の上方に配置された治具であって、拡張バー108Aを固定するための治具と、この拡張バー108Aが固定された治具をZ方向及びX方向に移動させるためのアクチュエータとを備えている。
[拡張バーへの貼り付け]
次に、拡張バー108A及び108BにダイシングテープSを貼り付ける工程について、図1を参照しながら説明する。
拡張バー108A及び108BにダイシングテープSを貼り付けるときには、まず、拡張バー108A及び108BをX軸に略平行になるようにテーブル112の表面に載置する。ここで、拡張バー108Aと拡張バー108Bとの間隔(Y方向の距離)は、ダイシングテープSを貼り付ける対象のダイシングフレームFの大きさによって決定される。ダイシングフレームFの外接円の直径が350mmの場合、拡張バー108Aと108Bとの間隔は一例で500mmである。
なお、拡張バー108A及び108Bは、テーブル112の表面に固定するようにしてもよい。拡張バー108A及び108Bを固定するための手段としては、拡張バー108A及び108Bをテーブルの112の表面に平行な方向に挟持するクランプ機構を設けてもよい。
次に、供給リール116から拡張バー108A及び108Bの+X側の端部側にダイシングテープSを繰り出す。そして、貼着用ローラ110によりダイシングテープSを拡張バー108A及び108Bの+X側の端部に押しつける。
次に、供給リール駆動部118によりダイシングテープSを+Z側に引き上げる力と、貼着用ローラ110によりダイシングテープSを拡張バー108A及び108Bに押しつける力を調整しながら貼着用ローラ110を−X方向に移動させる。これにより、ダイシングテープSに付与するMD方向(第1の方向)の張力(第1の張力TMD)を調整しながら、ダイシングテープSを拡張バー108A及び108Bに貼り付けることができる。
[ダイシングフレーム及びウェハへの貼り付け]
次に、ダイシングフレームF及びウェハWにダイシングテープSを貼り付ける工程について、図2及び図3を参照しながら説明する。
拡張バー108A及び108Bに貼り付けられたダイシングテープSをダイシングフレームF及びウェハWに貼り付けるときには、まず、ダイシングフレームF及びウェハWをテーブル112の表面に載置する。そして、ダイシングフレームF及びウェハWに対して+X側、かつ、Y軸に対して略平行になるように、拡張バー108Bをテーブル112の表面に載置して固定する。拡張バー108Bを固定するための手段としては、例えば、クランプを用いてもよい。なお、拡張バー108Bは、拡張バー108Bを把持するためのアーム等を設けて、テーブル112の表面から浮かせた状態で固定されるようにしてもよい。
次に、拡張バー108Aを拡張バー駆動部104に取り付ける。そして、貼着用ローラ110によりダイシングテープSをダイシングフレームFの+X側の端部に押しつける。そして、拡張バー駆動部104により拡張バー108Aを+Z側に引き上げる力と、貼着用ローラ110によりダイシングテープSをダイシングフレームF及びウェハWに押しつける力を調整しながら、貼着用ローラ110を−X方向に移動させる。また、貼着用ローラ110の移動に伴い、拡張バー108Aを−X方向及び−Z方向に移動させる。これにより、ダイシングテープSに付与するTD方向(第2の方向)の張力(第2の張力TTD)を調整しながら、ダイシングテープSをダイシングフレームF及びウェハWに貼り付けることができる。
なお、ダイシングフレームF及びウェハWにダイシングテープSを貼り付けるときには、拡張バー108A及び108Bがたわまないように保持されることが好ましい。
なお、本実施形態では、テーブル112を回転可能として同一の貼着用ローラ110を用いて、拡張バー108A及び108Bへの貼り付けとウェハW等への貼り付けを行うようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、テーブル112を回転させずに、拡張バー108A及び108Bの移動は、手動で行ってもよい。また、テーブル112を回転させずに、拡張バー108A及び108Bへの貼り付けとウェハW等への貼り付け用の貼着用ローラをそれぞれ設けてもよい。
[テープ貼り付け方法]
次に、本発明の第1の実施形態に係るテープの貼り付け方法について、図4から図6を参照して説明する。
本実施形態では、ダイシングテープSの力学的異方性をあらかじめ測定しておき、その測定結果に基づいて、貼り付け時にダイシングテープSに付与する張力の大きさを調整する。ここで、ダイシングテープSの力学的異方性とは、ダイシングテープSの力学的特性の異方性をいう。より具体的には、ダイシングテープSの力学的異方性とは、ダイシングテープSに対して、MD方向及びTD方向に沿って張力をそれぞれ付与した場合における張力に対する応答特性(例えば、張力の大きさと、ダイシングテープSの伸び量又はひずみ量との関係)の相違をいう。
上記のように力学的異方性に基づいて、第1の張力TMDと第2の張力TTDとの関係を調整することにより、拡張バー108Aと108Bとの間のダイシングテープSをダイシングフレームF及びウェハWに貼り付けた後のMD方向及びTD方向の残留応力(それぞれ第1及び第2の残留応力という。)を略等しくする、すなわち、第1の残留応力と第2の残留応力の差分絶対値がしきい値(第1のしきい値)未満になるようにすることが可能になる。この第1のしきい値は、第1の残留応力と第2の残留応力とが実質的に等しいとみなすことができる基準となる値であり、例えば、ダイシングテープSの貼り付けに関する要求精度に応じて実験的に決めることができる。例えば、貼り付け時にダイシングテープSに付与した第1及び第2の張力TMD及びTTDと、貼り付け後の第1及び第2の残留応力との関係をあらかじめ実験的に求めておき、この実験結果に基づいて、第1の残留応力と第2の残留応力の差を算出するようにしてもよい。
まず、ダイシングテープの力学的異方性を測定する手順について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、ダイシングテープの力学的異方性を測定する手順を説明するための図であり、図5は、ダイシングテープの力学的異方性の測定方法を示すフローチャートである。
ダイシングテープSの力学的異方性を測定する場合、まず、ダイシングテープSのサンプルS1を切り出す(ステップS10)。サンプルS1は、各辺の長さL1及びL2が一例で25mmの正方形状である。
次に、テンションメーター(張力計)150により、サンプルS1に対してMD方向及びTD方向に沿う張力をそれぞれ付与して、MD方向及びTD方向における力学的異方性を測定する(ステップS12)。ステップS12では、例えば、サンプルS1に対してMD方向及びTD方向に沿う張力をそれぞれ付与したときの伸び量を測定して、各方向のバネ定数を算出する。この測定結果は、制御装置102に入力されて記録される(ステップS14)。
次に、ダイシングテープSの貼り付け方法について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の第1の実施形態に係るテープ貼り付け方法を示すフローチャートである。
まず、制御装置102により、ダイシングテープSの力学的異方性に基づいて拡張バー108A、108B及びウェハWに貼り付けるときにテープに付与する第1及び第2の張力TMD及びTTDを計算する(ステップS20)。
ステップS20では、ダイシングテープSに異方性がない場合、例えば、MD方向及びTD方向におけるバネ定数が等しい場合、又はバネ定数の差分絶対値がしきい値未満の場合には、拡張バー108A及び108Bに貼り付ける時のMD方向の第1の張力TMDとウェハWに貼り付ける時のTD方向の第2の張力TTDを等しくする(TMD:TTD=1:1)。
一方、ダイシングテープSに異方性がある場合、例えば、MD方向及びTD方向におけるバネ定数が異なる場合、又はバネ定数の差分絶対値がしきい値以上の場合には、MD方向及びTD方向の応力又はひずみが同一になるように、拡張バー108A及び108Bに貼り付ける時のMD方向の第1の張力TMDとウェハWに貼り付ける時のTD方向の第2の張力TTDとを調整する。ステップS20では、例えば、MD方向及びTD方向のうち、バネ定数が相対的に小さい方向に付与する張力を、バネ定数が大きい方向に付与する張力よりも大きくするようにしてもよい。
なお、本実施形態では、ダイシングテープSの力学的異方性を示す値として、バネ定数を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、バネ定数に代えて、張力の大きさと、ダイシングテープSの伸び量又はひずみ量との関係を示す関数を用いてもよい。
次に、貼着用ローラ110及び供給リール116を制御して、ステップS20で計算した張力TMDをダイシングテープSに付与しながら拡張バー108A及び108Bに貼り付ける(ステップS22:第1の貼り付け工程)。そして、拡張バー108A及び108Bに貼り付けたダイシングテープSを供給リール116から切り離し、テーブル112を略90°回転させる。
次に、拡張バー108A及び108Bに貼り付けたダイシングテープSに張力を付与しながらダイシングフレームF及びウェハWに貼り付ける(ステップS24:第2の貼り付け工程、張力調整工程)。そして、拡張バー108A及び108Bの分離(剥離又は切り離し)が行われ、ワークが作成される(ステップS26)。このワークをテーブルに吸着してダイシングテープSをエキスパンドすることにより、ウェハWを個々のチップに分割することが可能になる。
本実施形態によれば、ダイシングテープSの力学的異方性をあらかじめ測定しておき、力学的異方性の測定結果に基づいて、各方向の張力を調整することにより、テープの残留応力の異方性を抑制することが可能になる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るテープ貼り付け装置及び方法について説明する。本実施形態では、貼着用ローラ110、供給リール116等の張力付与のための機構の出力及び変位等を測定し、フィードバックすることにより、ダイシングテープSに付与する張力を調整する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るテープ貼り付け方法を示すフローチャートである。
まず、拡張バー108A及び108BへのダイシングテープSの貼り付けが開始されると(ステップS30)、制御装置102は、供給リール駆動部118及びローラ駆動部106の出力並びに供給リール116及びローラ110の変位を測定して記録する(ステップS32)。ステップS32では、供給リール駆動部118に含まれるモータの出力(例えば、負荷、電圧等)及びローラ駆動部106に含まれるアクチュエータの出力(例えば、負荷、変位、電圧等)が記録される。
次に、拡張バー108A及び108BへのダイシングテープSの貼り付けが終了し(ステップS34)、拡張バー108A及び108Bに貼り付けたダイシングテープSのダイシングフレームF及びウェハWへの貼り付けが開始されると(ステップS36)、拡張バー駆動部104及びローラ駆動部106の出力並びに拡張バー108A及び108B及びローラ110の変位を測定して測定する(ステップS38)。そして、制御装置102は、ステップS32における測定結果とステップS38における測定結果に基づいて、拡張バー駆動部104及びローラ駆動部106の出力並びに拡張バー108A及び108B及びローラ110の変位を調整しながらダイシングフレームF及びウェハWへの貼り付けを実行する(ステップS40)。
ステップS40では、まず、供給リール駆動部118及びローラ駆動部106の出力並びに供給リール116及びローラ110の変位に基づいて、拡張バー108A及び108Bへの貼り付け時において、ダイシングテープSに付与される第1の張力TMDを算出する。具体的には、供給リール駆動部118及びローラ駆動部106の出力電圧から、供給リール116と貼着用ローラ110にかかる負荷をそれぞれ推定する。そして、供給リール116と貼着用ローラ110との位置関係又は距離と、これらにかかる負荷に基づいて、供給リール116と貼着用ローラ110とによってダイシングテープSに付与される第1の張力TMDを算出することができる。
次に、拡張バー駆動部104及びローラ駆動部106の出力並びに拡張バー108A及び108B及びローラ110の変位に基づいて、ウェハWへの貼り付け時において、ダイシングテープSに付与される第2の張力TTDを算出する。具体的には、拡張バー駆動部104及びローラ駆動部106の出力電圧から、拡張バー108A及び108B及び貼着用ローラ110にかかる負荷をそれぞれ推定する。そして、拡張バー108A及び108B並びに貼着用ローラ110の位置関係又は距離と、これらにかかる負荷に基づいて、拡張バー駆動部104と貼着用ローラ110とによってダイシングテープSに付与される第2の張力TTDを算出することができる。
そして、ステップS40では、上記のようにして算出された第1の張力TMDと第2の張力TTDとの差分絶対値がしきい値(第2のしきい値)未満になるように、第2の張力TTDの大きさを調整する。この第2のしきい値は、第1の張力TMDと第2の張力TTDとが実質的に等しいとみなすことができる基準となる値であり、例えば、ダイシングテープSの貼り付けに関する要求精度に応じて実験的に決めることができる。
次に、ダイシングフレームF及びウェハWへの貼り付けが終了すると(ステップS42)、拡張バー108A及び108Bの分離(剥離又は切り離し)が行われ、ワークが作成される(ステップS44)。
本実施形態によれば、フィードバック制御により各方向の張力を調整することで、テープの残留応力の異方性を抑制することが可能になる。
[拡張バーの別の実施形態]
上記の各実施形態では、直線棒状の拡張バー108A及び108Bを用いたが、本発明に係る拡張バーの形状は上記に限定されるものではない。拡張バーは、例えば、曲線棒状であってもよい。
図8に示す例では、拡張バー208A及び208Bは、ダイシングフレームF及びウェハWを囲む略円弧状である。拡張バー208A及び208Bのサイズは、ダイシングテープSを貼り付ける対象のダイシングフレームFの大きさによって決定される。ダイシングフレームFの外接円の直径が350mmの場合、拡張バー208A及び208Bの両端部の距離LMDは一例で500mmであり、幅及び高さは一例で30mmである。また、拡張バー208Aと208Bとの間隔LTDは一例で500mmである。
なお、図8に示す例においても、ダイシングフレームF及びウェハWにダイシングテープSを貼り付けるときには、拡張バー208A及び208Bがたわまないように保持されることが好ましい。
なお、上記の各実施形態では、拡張バー108A及び108BをダイシングテープSの供給方向に略平行に載置して第1の張力を付与し、ウェハWへの貼り付け時には、拡張バー108A及び108Bと略垂直な方向に第2の張力を付与したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1の張力の付与方向とダイシングテープSの供給方向とは、異なっていてもよいし、また、第1の張力の付与方向と第2の張力の付与方向とは、直交していなくてもよい。
また、上記の各実施形態では、第1の張力に対して第2の張力を調整するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、拡張バー108A及び108Bの間隔をウェハWへの貼り付け時に所定の範囲に維持することにより、ウェハWへの貼り付け時にダイシングテープSに付与される第2の張力の範囲を規制して、この第2の張力から逆算して第1の張力を調整するようにしてもよい。
100…テープ貼り付け装置、102…制御装置、104…拡張バー駆動部、106…ローラ駆動部、108A、108B、208A、208B…拡張バー、110…貼着用ローラ、112…テーブル、114…テーブル駆動部、116…供給リール、118…供給リール駆動部、150…テンションメーター

Claims (10)

  1. 第1の方向に沿う第1の張力を付与しながら、前記第1の方向とは異なる方向に沿って並べて配置された第1の部材及び第2の部材との間に架け渡すようにテープを貼り付ける第1の貼り付け工程と、
    前記第1の部材と前記第2の部材との間に架け渡すように貼り付けられた前記テープに対して、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿う第2の張力を付与しながら、前記テープをウェハに貼り付ける第2の貼り付け工程と、
    を備えるテープ貼り付け方法。
  2. 前記第1の方向は、前記テープが供給される方向であり、
    前記第2の方向は、前記第1の方向と直交する方向である、請求項1記載のテープ貼り付け方法。
  3. 前記第2の貼り付け工程の後に、前記第1の部材及び前記第2の部材から前記テープを分離する工程を更に備える請求項1又は2記載のテープ貼り付け方法。
  4. 前記第2の貼り付け工程は、前記第1の部材と前記第2の部材との間の前記テープに前記ウェハが貼り付けられたときに、前記テープの前記第1の方向の第1の残留応力と、前記テープの前記第2の方向の第2の残留応力との差分絶対値が第1のしきい値未満になるように、前記第2の張力を調整する張力調整工程を備える請求項1から3のいずれか1項記載のテープ貼り付け方法。
  5. 前記張力調整工程において、前記第1の部材と前記第2の部材との間隔、及び前記第1の部材と前記第2の部材との間の前記テープを前記ウェハに押圧する力のうちの少なくとも一方を調整することにより、前記第2の張力を調整する、請求項4記載のテープ貼り付け方法。
  6. 前記張力調整工程において、前記テープの力学的異方性に基づいて、前記第2の張力を調整する、請求項4又は5記載のテープ貼り付け方法。
  7. 前記第1の方向及び前記第2の方向の前記テープの力学的異方性を示す値の差分絶対値が閾値未満の場合には、前記張力調整工程において、前記第2の張力を前記第1の張力の大きさを等しくする、請求項6記載のテープ貼り付け方法。
  8. 前記テープの力学的異方性を測定する工程を更に備える請求項6又は7記載のテープ貼り付け方法。
  9. 前記第1の貼り付け工程は、前記第1の張力を測定する第1の測定工程を含み、
    前記第2の貼り付け工程は、前記第2の張力を測定する第2の測定工程を含み、
    前記張力調整工程では、前記第1の測定工程及び前記第2の測定工程における測定結果に基づいて、前記第1の張力と前記第2の張力の差分絶対値が第2のしきい値未満になるように、前記第2の張力を調整する、請求項1から3のいずれか1項記載のテープ貼り付け方法。
  10. テープを供給するテープ供給手段と、
    前記テープが供給される方向とは異なる方向に沿って並べて配置された第1の部材及び第2の部材と、
    第1の方向に沿う第1の張力を付与しながら、前記第1の部材及び前記第2の部材との間に架け渡すように前記テープを貼り付ける第1の貼り付け手段と、
    前記第1の部材と前記第2の部材との間に架け渡すように貼り付けられた前記テープに対して、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿う第2の張力を付与しながら、前記テープをウェハに貼り付ける第2の貼り付け手段と、
    を備えるテープ貼り付け装置。
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