JP2019124521A - 検出装置および検出方法 - Google Patents

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Kenichi Moriwaki
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Abstract

【課題】磁気粒子と蛍光粒子との組み合わせ等を被検体とする被検体の検出において、検出を行うセルに非特異的に吸着した蛍光粒子等によるノイズを除去して、ウイルス等の目的物質を高感度に検出できる、検出装置および検出方法の提供を課題とする。【解決手段】被検体を含む液体を収容するセルと、被検体に蛍光を発生させる励起光を照射する励起光照射部と、光量測定部と、セルの内部の被検体を移動させる1以上の磁場発生部とを用い、光源の光軸と光量測定部の光軸とをセルの内壁面以外で交差させることにより、課題を解決する。【選択図】 図1

Description

本発明は、細菌等を目的物質として検出する検出装置および検出方法に関する。
蛋白質、ウイルスおよび細菌等の微小生物の検出では、目的物質が少量であっても、高い感度で検出ができるのが好ましい。特に、インフルエンザウイルスおよびノロウイルスなど感染症の拡大が懸念されるウイルスは、検体中の量が微量であっても、確実に検出できることが重要である。
少量のウイルス等の検出が可能である高感度な検出方法として、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR(Polymerase Chain Reaction))が知られている。
ポリメラーゼ連鎖反応法では、ポリメラーゼ連鎖反応によって、検査対象となる塩基配列だけを増幅することにより、検査対象となるウイルス等を20サイクルで約100万倍に増幅できる。そのため、高感度なウイルス等の検出が可能である。
その反面、ポリメラーゼ連鎖反応法は、夾雑物の影響が大きい、前処理が複雑である、冷凍保存が必要である等の問題がある。
これに対して、少量のウイルス等を簡便に検出できる方法として、特許文献1に記載される、検出板に近接場を形成して、検出板表面上の目的物質(標的物質)を含む結合体を、光信号として検出する光学的検出方法が知られている。
特許文献1に記載される光学的検出方法は、具体的には、例えば抗原−抗体反応を用いて目的物質に蛍光粒子(蛍光体)および磁気粒子を結合させた結合体を生成する。一方で、検出板の表面に、裏面側から全反射条件で照射される光によって近接場を生成する。この状態で、磁力によって、生成した結合体を近接場(検出板)に近接および離間させ、あるいは、生成した結合体を検出板に平行に移動させる。特許文献1に記載される光学的検出方法では、この結合体の移動によって生じる光量変動および光(輝点)の移動等を測定することにより、目的物質を検出する。
国際公開第2017/187744号
蛍光粒子を目的物質に結合させる光学的な検出方法では、非特異的な吸着によって目的物質以外に吸着した蛍光粒子がノイズになって、検出感度が低下し、高感度な目的物質の検出ができない、という問題がある。
これに対して、特許文献1に記載される方法では、非特異的に吸着した蛍光粒子は磁力によって移動せず、磁気粒子および蛍光粒子に結合した目的物質のみが、蛍光を発生しつつ磁力によって移動する。そのため、特許文献1に記載される方法によれば、光量変動および蛍光(輝点)の移動等を検出することで、非特異的に吸着した蛍光粒子によるノイズを除去して、目的物質を高い感度で検出できる。
しかしながら、特許文献1に記載される方法は、近接場を利用する。近接場は、検出面の極近傍に形成される。また、検出面には、非特異的に吸着した蛍光粒子が、非常に多く存在する。
そのため、光量変動および蛍光の移動によって、検出面等に非特異的に吸着した蛍光粒子によるノイズを除去できるとはいえ、近接場を利用する特許文献1に記載される方法は、やはり、検出面等に非特異的に吸着した蛍光粒子の蛍光も測定してしまい、この蛍光がノイズになって、検出感度を低下させてしまう。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、蛍光および磁力を利用する目的物質の検出において、測定を行うためのセル等に非特異的に吸着した蛍光粒子等によるノイズを好適に除くことができ、S/N比(signal-to-noise ratio)の高い、高感度な検出を可能にする検出装置および検出方法を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 磁気粒子と蛍光粒子との組み合わせ、または、磁性を帯びて蛍光を発する粒子を、被検体として検出する検出装置であって、
被検体を含む液体を収容するセルと、被検体に蛍光を発生させる励起光をセルの内部に照射する励起光照射部と、セルの内部の光量を検出する光量測定部と、セルの内部の被検体を移動させる1以上の磁場発生部と、を有し、
励起光照射部の光軸と光量測定部の光軸との交点が、セルの内壁面以外に位置することを特徴とする検出装置。
[2] 磁場発生部を、複数、有する、[1]に記載の検出装置。
[3] 励起光照射部、および、光量測定部の少なくとも一方が、集光光学系を有する、[1]または[2]に記載の検出装置。
[4] 励起光照射部の集光光学系の焦点、および、光量測定部の集光光学系の焦点の少なくとも一方が、セルの内部に位置する、[3]に記載の検出装置。
[5] 励起光照射部の集光光学系の焦点と、光量測定部の集光光学系の焦点とが、一致している、[3]または[4]に記載の検出装置。
[6] 光量測定部が、励起光照射部が照射する励起光の光路から外れた位置に配置される、[1]〜[5]のいずれかに記載の検出装置。
[7] 励起光照射部は、被検体が発生する蛍光の波長領域を含まない波長の励起光を照射する、[1]〜[6]のいずれかに記載の検出装置。
[8] 磁場発生部として、2つの電磁石を有し、2つの電磁石によって、交互に磁場を発生させる、[1]〜[7]のいずれかに記載の検出装置。
[9] 磁場発生部によって、セル内の被検体を往復動させる、[1]〜[8]のいずれかに記載の検出装置。
[10] セルと光量測定部との間に、励起光を遮断するフィルタを有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の検出装置。
[11] セルに連通して、被検体を含む液体を収容する濾過室を有し、濾過室とセルとの間に、被検体を含む液体を濾過するフィルタを有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の検出装置。
[12] 磁気粒子と蛍光粒子との組み合わせ、または、磁性を帯びて蛍光を発する粒子を、被検体として検出するに際し、
被検体を含む液体をセルに収容して、磁場によってセルの内部で被検体を移動させると共に、
セルの内部に被検体に蛍光を発生させる励起光を照射して、セルの内壁面以外の場所において、セルの内部の光量を測定することを特徴とする検出方法。
本発明によれば、目的物質の検出を行うためのセル等に非特異的に吸着した蛍光粒子等によるノイズを除去して、高いS/N比で、高感度な目的物質の検出が可能である。
本発明の検出装置の一例を概念的に示す上面図である。 図1に示す検出装置の側面図である。 本発明の検出装置の作用を説明するための概念図である。 本発明の検出装置の作用を説明するための概念図である。 本発明の検出装置による測定結果の一例を概念的に示す図である。 本発明の検出装置による測定結果の別の例を概念的に示す図である。 本発明の検出装置を構成するシステムの一例を概念的に示す図である。 本発明の検出装置の別の例を概念的に示す上面図である。 本発明の検出装置の別の例を概念的に示す側面図である。 本発明の検出装置の別の例を概念的に示す側面図である。
以下、本発明の検出装置および検出方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1および図2に、本発明の検出方法の一例を実施する、本発明の検出装置の一例を概念的に示す。
図1および図2に示すように、検出装置10は、セル12と、励起光照射部14と、光量測定部16と、第1磁場発生部18および第2磁場発生部20と、を有する。
図示例において、セル12は、被検体を含む液体を収容する容器で、一方の底面が開放する透明な円筒状の容器である。図1は、本発明の検出装置10をセル12の開放面側から見た上面図で、図2は、側面図である。なお、図2においては、磁場発生部は、長方形で示す。
なお、図1および図2等は、あくまで概念図であって、各部材の寸法比および位置関係等は、実際の装置とは異なる。
本発明の検出装置10(検出方法)は、ウイルス等の目的物質に、磁気粒子および蛍光粒子を結合した結合体、または、磁性を帯びて蛍光を発する粒子を結合した結合体を、被検体として検出するものである。
本発明の検出装置10では、被検体を含む液体をセル12に収容する。その上で、第1磁場発生部18および第2磁場発生部20によって、セル12の内部で被検体を移動させると共に、励起光照射部によってセル12の内部に励起光を照射して、光量測定部16によってセル12の内部の光量を測定する。検出装置10を用いる被検体の検出では、光量測定部16による光量測定の結果から、液体中における被検体(目的物質)の有無を検出し、または、液体中における被検体の有無および量を測定する。
本発明において、検出対象となる目的物質(標的物質)には制限はない。一例として、ウイルス、細菌、DNA、RNA、蛋白質、および、汚染物質等が例示される。
また、目的物質を採取する試料にも制限はなく、目的物質を含むと考えられる各種のものが利用可能である。一例として、血液およびリンパ等の体液、唾液、汗、鼻水、涙、嘔吐物、尿、糞、薬品、環境水、拭き取り液、上水、および、下水等が例示される。
これらの試料は、試料に応じた公知の方法で採取すればよい。例えば、食中毒等が発生した現場のドアノブおよびテーブル等を、スワブ(綿棒)等によって拭き取って試料を採取する方法が例示される。別の方法として、嘔吐物および尿等にスワブを接触させて、試料を採取する方法が例示される。
磁気粒子(磁性体、磁性物質)には、制限はなく、磁気を利用する目的物質の検出に用いられる公知のものが、各種、利用可能である。一例として、磁気ビーズおよび磁性粉体等が例示される。これらは、市販品も利用可能である。
また、蛍光粒子(蛍光体、蛍光物質)にも制限はなく、蛍光を利用する目的物質の検出に用いられる公知のものが、各種、利用可能である。一例として、希土類、蛍光色素、量子ドット、蛍光顔料、および、生物学的蛍光分子等が例示される。これらは、市販品も利用可能である。
なお、目的物質の種類によっては、励起光の照射によって、目的物質が蛍光を発生する場合も有る。この際には、目的物質が蛍光粒子を兼ねる。
目的物質と磁気粒子との結合方法、および、目的物質と蛍光粒子との結合方法にも、制限はなく、目的物質、蛍光粒子および磁気粒子の種類に応じた公知の方法が利用可能である。一例として、物理吸着、抗原−抗体反応、DNAハイブリダイゼーション、ビオチン−アビジン結合、キレート結合、および、アミノ結合等が例示される。
物理吸着は、水素結合などの静電的な結合力を利用して、目的物質と磁気粒子とを結合する方法である。物理吸着は、磁気粒子の処理等が不要であることから、実施が容易である。その反面、物理吸着では、磁気粒子および蛍光粒子が目的物質と特異的に吸着するわけでは無いので、選択性が低い。すなわち、物理吸着では、磁気粒子および/または蛍光粒子が、試料に含まれる目的物質以外の物質と結合する可能性も有る。
これに対して、抗原−抗体反応は、目的物質との特異的な結合を利用するので、磁気粒子および蛍光粒子を目的物質のみと選択的に結合できるという利点がある。なお、抗原−抗体反応を利用する際に、目的物質がウイルス等の抗原である場合には、事前に、目的物質となるウイルスに対する抗体を、磁気粒子および/または蛍光粒子に結合させておく必要がある。
目的物質に、磁気粒子および蛍光粒子の両方を結合させる場合には、少なくとも一方の結合は、抗原−抗体反応のように、目的物質との特異的な結合であるのが好ましい。
目的物質に、磁気粒子および蛍光粒子の両方を結合させる場合に、結合が、いずれも非特異的な結合である場合には、目的物質以外の異物に、磁気粒子および蛍光粒子の両方が結合してしまう場合があり、この際には、目的物質と異物との区別ができなくなるという不都合が生じる。
なお、本発明においては、励起光の照射によって蛍光を発する磁気粒子(磁気を帯びている蛍光粒子)も利用可能である。
この場合には、励起光の照射によって蛍光を発する磁気粒子と、目的物質と粒子との結合は、抗原−抗体反応のように、目的物質との特異的な結合であるのが好ましい。励起光の照射によって蛍光を発する磁気粒子と、目的物質との結合が非選択的な結合である場合には、目的物質以外の異物に、励起光の照射によって蛍光を発する磁気粒子が結合してしまう場合があり、この際には、目的物質と異物との区別ができなくなるという不都合が生じる。
セル12は、ガラスおよび樹脂等で形成される光透過性の容器で、被検体を含む液体を収容する。以下の説明では、被検体を含む液体を『被検査液』ともいう。
本例では、一例として、磁気粒子と目的物質と蛍光粒子との結合体を、被検体とする。従って、セル12に収容される被検査液の中には、被検体である磁気粒子と目的物質と蛍光粒子との結合体に加え、磁気粒子と目的物質との結合体、目的物質と蛍光粒子との結合体、目的物質、磁気粒子、および、蛍光粒子等が存在する可能性がある(図3参照)。
なお、以下の説明は、磁気粒子と目的物質と蛍光粒子との結合体を被検体とする場合を代表例として行うが、本発明は、これに制限されないのは、前述のとおりである。
例えば、目的物質が励起光の照射で蛍光を発生する場合には、セル12に収容される被検査液の中には、被検体である磁気粒子と目的物質との結合体に加え、目的物質、および、磁気粒子が存在する可能性がある。
また、励起光の照射によって蛍光を発する磁気粒子を利用する場合には、セル12に収容される被検査液の中には、被検体である励起光の照射によって蛍光を発する磁気粒子と目的物質との結合体に加え、目的物質、および、励起光の照射によって蛍光を発する磁気粒子が存在する可能性がある。
前述のように、検出装置10において、セル12は、被検査液を収容する容器である。
本発明において、被検査液(被検体を含む液体)とは、具体的には、目的物質が存在する可能性がある試料と、磁気粒子および蛍光粒子とを含む液体において、被検体である磁気粒子と目的物質と蛍光粒子との結合体が形成された液体である。すなわち、本発明において、被検査液とは、言い換えれば、被検体(目的物質)が存在する可能性がある液体、である。
前述のように、試料は、例えば、スワブで採取されて、セル12に収納される液体に供給される。
本発明において、セル12には制限はなく、医療および生物学等において、光による目的物質の検出に利用可能される光透過性の容器が、各種、利用可能である。さらに、セル12の内壁は、目的物質、磁気粒子、蛍光粒子、および、その他の各種粒子が付着しにくい設計であるのが好ましい。例えば、公知の市販ブロッキング材などを処理することが例示される。
前述のように、図示例の検出装置10において、セル12は、一例として、一方の底面が開放する透明な円筒状物で、開放面を上方に向けて配置される。
励起光照射部14は、セル12の内部、すなわち、セル12に収容された液体に励起光を照射して、蛍光粒子に蛍光を発生させるためのものである。
図示例の検出装置10において、励起光照射部14は、光源24と、集光光学系26とを有する。
光源24は、蛍光粒子に蛍光を発生させるための励起光を照射するものである。光源24には、制限はなく、蛍光粒子を励起させて蛍光を発生させる成分を含む光を照射可能な光源が、各種、利用可能である。
光源24としては、一例として、水銀灯などの電球、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)、および、半導体レーザなどのレーザ等が例示される。中でも、熱の発生を抑え、時間による精度変化を低減できるLEDおよびレーザが好適に利用され、LEDが、最も好適に利用される。
なお、光源24は、励起光として、被検体(蛍光粒子)が発生する蛍光とは異なる波長域の光を出射するのが好ましい。これにより、励起光がノイズとなって、被検体の検出感度および精度が低下することを防止できる。
セル12に対する光源24からの光照射角度にも制限はない。
セル12に対する光源24(集光光学系26)からの光照射角度は、120°以下が好ましく、60°以下がより好ましく、30°以下がさらに好ましい。また、セル12に対する光源24からの光照射角度は、0.1°以上が好ましく、1°以上がより好ましく、5°以上がさらに好ましい。
集光光学系26は、好ましい態様として設けられるもので、光源24が照射した励起光を集光してセル12の内部に照射するためのものである。
集光光学系26は、セル12の内部に焦点を有するのが好ましい。集光光学系26は、セル12の内壁から10μm以上、離れた位置に焦点を有するのがより好ましく、セル12の内壁から100μm以上、離れた位置に焦点を有するのがさらに好ましい。これにより、セル12の内壁に非特異的に吸着した蛍光粒子に起因するノイズを低減して、よりS/N比の高い高感度な被検体の検出が可能になる。
集光光学系26には、制限はなく、1枚あるいは複数のレンズを用いる集光光学系等、公知の集光光学系が、各種、利用可能である。
なお、本発明においては、集光光学系26は、光源24が出射した光を、焦点を結ぶように集光する集光光学系に制限はされない。
例えば、集光光学系26は、光源24からの光を平行光に成形する、コリメート光学系でもよい。この場合には、図1において、集光光学系26から出射される励起光が、集光されずに平行光(略平行光)となる。
励起光照射部14は、光源24とセル12との間に、光源24が照射する光から、励起光の波長領域以外の光を除去する、波長制限フィルタを有するのが好ましい。波長制限フィルタは、励起光の波長領域に応じて、公知の光学フィルタが利用可能である。
このような波長制限フィルタを設けることにより、ノイズとなる可能性がある余分な波長領域の光がセル12内に入射することを抑制して、よりS/N比の高い高感度な被検体の検出が可能になる。
光量測定部16は、セル12内の光量を測定するものである。
図示例の検出装置10において、光量測定部16は、検出器30と、集光光学系32とを有する。
検出器30は、公知の光量測定器である。従って、検出器30には、制限はなく、蛍光粒子が発生する蛍光の波長領域に応じて、この波長領域の光の光量を測定可能な光量測定器が、各種、利用可能である。
検出器30としては、一例として、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ、硫酸カドミウムセル(CdSセル)、光伝導セル、光電増倍管(フォトマルチプライヤ)、焦電検出器、ゴーレイセル、ボロメータ、熱電対、および、サーミスタ等が例示される。また、光が通過するスリットを有する板材を配置し、板材のセル12とは逆側の面に写真感材を配置して、写真感材を移動させることで、時間変化を検出する方法も利用可能である。検出器30としては、フォトダイオードが好適に利用される。
集光光学系32は、好ましい態様として設けられるもので、セル12内の光を検出器30に集光させると共に、検出器30側から見た際に、検出器30が測光する光をセル12の内部に集光する光学系である。
集光光学系32は、セル12の内部に焦点を有するのが好ましい。集光光学系32は、セル12の内壁から10μm以上、離れた位置に焦点を有するのがより好ましく、セル12の内壁から100μm以上、離れた位置に焦点を有するのがさらに好ましい。これにより、セル12の内壁に非特異的に吸着した蛍光粒子に起因するノイズを低減して、よりS/N比の高い高感度な被検体の検出が可能になる。
集光光学系32には、制限はなく、1枚あるいは複数のレンズを用いる集光光学系等、公知の集光光学系が、各種、利用可能である。
なお、本発明においては、集光光学系32は、焦点を結ぶように集光する集光光学系に制限はされない。例えば、集光光学系32は、検出器30から見た際に、光を平行光に成形する、コリメート光学系でもよい。この場合には、図1において、集光光学系32からセル12の内部に到る光が、集光されずに平行光(略平行光)となる。
光量測定部16は、検出器30とセル12との間に、励起光の波長領域の光を除去する、励起光カットフィルタを有するのが好ましい。励起光カットフィルタは、公知の光学フィルタが利用可能である。このような励起光カットフィルタを設けることにより、励起光が検出器30に入射してノイズになることを抑制して、より高感度な被検体の検出が可能になる。
また、光量測定部16(検出器30)は、励起光照射部14が照射する励起光の光路から外れた位置に配置されるのが好ましい。この構成を有することにより、同様に、励起光が検出器30に入射してノイズになることを抑制して、よりS/N比が高い高感度な被検体の検出が可能になる。
図示例の検出装置10は、光量測定部16を、1つのみ有するが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、本発明の検出装置は、複数の光検出部を有し、その中の1以上において、セル12内の光量を測定してもよい。
ここで、本発明の検出装置10においては、励起光照射部14の光軸(光路)と、光量測定部16の光軸(測定する光の光路)との交点が、セル12の内壁面以外に位置する。すなわち、本発明においては、励起光照射部14の光軸と、光量測定部16の光軸との交点が、セル12の内部に位置する。
本発明の検出装置10は、このような構成を有することにより、セル12の内壁面に非特異的に吸着した蛍光粒子等に起因するノイズを除去して、S/N比の高い高感度な被検体(目的物質)を可能にしている。この点に関しては、後に詳述する。
励起光照射部14の光軸と、光量測定部16の光軸との交点は、セル12の内部で、セル12の内壁面から10μm以上、離れた場所に位置するのが好ましく、セル12の内壁面から100μm以上、離れた場所に位置するのがより好ましく、セル12の内壁面から1000μm以上、離れた場所に位置するのがさらに好ましい。これにより、セル12の内壁に非特異的に吸着した蛍光粒子に起因するノイズを低減して、よりS/N比の高い高感度な被検体の検出が可能になる。
なお、本発明において、励起光照射部14の光軸とは、集光光学系26を有さない場合には光源24の光軸であり、集光光学系26を有する場合には、集光光学系26の光軸である。なお、光源24の光軸と、集光光学系26の光軸とは、通常、一致させる。
また、本発明において、光量測定部16の光軸とは、集光光学系32を有さない場合には検出器30の光軸であり、集光光学系32を有する場合には、集光光学系32の光軸である。なお、検出器30の光軸と、集光光学系32の光軸とは、通常、一致させる。
また、本発明の検出装置10においては、励起光照射部14の集光光学系26の焦点と、光量測定部16の集光光学系32の焦点とが、セル12の内部で一致しているのが好ましい。
本発明においては、このような構成を有することにより、より高感度かつ高精度な被検体の検出が可能になる。この点に関しては、後に詳述する。
第1磁場発生部18および第2磁場発生部20は、磁場を発生することによって、磁力で磁気粒子を移動させるものである。
検出装置10において、第1磁場発生部18は、電磁石18aと、電源18bと、スイッチ18cとを有する。第2磁場発生部20は、電磁石20aと、電源20bと、スイッチ20cとを有する。第1磁場発生部18および第2磁場発生部20は、共に、電磁石を用いた公知の磁場発生部であり、各構成要素も公知のものである。
なお、本発明において、磁場発生部は、電磁石を用いるものに制限はされない。
例えば、磁場発生部は、永久磁石と、永久磁石からセル12に到る磁力を遮蔽/通過する磁力の遮蔽部材とで構成してもよい。
検出装置10においては、好ましい態様として、第1磁場発生部18のスイッチ18cと、第2磁場発生部20のスイッチ20cとを、交互にon/offして、被検体である磁気粒子と目的物質と蛍光粒子との結合体を往復動させて、励起光を照射して、光量の変動を測定する。検出装置10を用いる被検体(目的物質)の検出では、この光量の測定結果から、被検体(目的物質)を検出する。
以下、図3および図4の概念図を参照して、検出装置10の作用を説明する。
なお、図3および図4では、検出対象となる目的物質Tを円(〇)で、蛍光粒子Fを三角形(△)で、磁気粒子Mを四角形(□)で、それぞれ示す。
前述のように、本発明は、被検査液(被検体を含む液体)から、被検体を検出する。
本例では、目的物質Tを含む可能性がある試料と、磁気粒子Mおよび蛍光粒子Fとを含む液体をセル12に収容して、被検体である目的物質Tと磁気粒子Mと蛍光粒子Fとの結合体が形成された液体を被検査液とし、被検体を検出することで、試料の中に目的物質Tが存在するか否か、あるいはさらに、目的物質Tの量を検出する。
従って、セル12に収容される被検査液には、図3の左側に示されるように、被検体である磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体に加え、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体、および、目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体、目的物質T、磁気粒子M、および、蛍光粒子F等が存在する可能性がある。
セル12の中に被検査液を収容し、かつ、第1磁場発生部18および第2磁場発生部20のスイッチが、共にoffの状態では、図3の左側に示されるように、被検体および磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体等は、セル12(液体)の中で、不規則に浮遊した状態になっている。
この状態で、例えば、第2磁場発生部20のスイッチ20cをonにして電磁石20aによって磁場を発生させると、図3の右側に示すように、被検体(磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体)、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体、および、磁気粒子Mのみが、第2磁場発生部20に向かって移動する(図中矢印m1方向)。
すなわち、第2磁場発生部20に向かって移動するのは、磁気粒子Mと結合した結合体および磁気粒子Mのみであり、目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体、目的物質T、および、蛍光粒子Fは、磁力によって移動しない。
本発明では、この磁場による結合体等の移動を、図3の右側に示すように、励起光照射部14による励起光の照射、および、光量測定部16によるセル12内の光量測定によって検出することで、被検体である磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体を検出する。
なお、以下の説明では、第2磁場発生部20のスイッチ20cをonにして電磁石20aによって磁場を発生させることを、単に、『第2磁場発生部20をonにする』、ともいう。この点に関しては、スイッチ20cをoffにする場合も同様であり、また、第1磁場発生部18に関しても同様である。
前述のように、図3の左側に示す状態から、第2磁場発生部20をonにすると、図3の右側に示すように、被検体、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体、および、磁気粒子Mのみが、第2磁場発生部20に向かって移動し(図中矢印m1方向)、図4の左側に示すように、被検体、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体、および、磁気粒子Mのみが、第2磁場発生部20側に集まる。
なお、図中の破線Sは、主たる測定エリアである。主たる測定エリアとは、すなわち、励起光の光路と光量測定部16が測定する光の光路とが交差する位置であり、言い換えれば、励起光照射部14の光軸と光量測定部16の光軸とが交差する位置の近傍である。従って、光量測定部16は、主に、測定エリアSにおける蛍光の光量を測定する。
図4の左側に示す状態から、第2磁場発生部20をoffして第1磁場発生部18をonにすると、図4の左から2番目〜最も右側に示すように、被検体、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体、および、磁気粒子Mのみが、磁力によって第1磁場発生部18側(図中矢印m2)に移動する。
また、この状態でも、目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体、目的物質T、および、蛍光粒子Fは、移動しない。
この被検体および磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体等が移動している状態では、当初、測定エリアSに存在する蛍光粒子F、および、目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体のみが励起光に照射されて、蛍光を発光している。従って、この状態では、測定エリアSを測光する光量測定部16による測定光量は、低い。
この状態から被検体、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体、および、磁気粒子Mが第1磁場発生部18側(図中矢印m2)に移動すると、一部は、測定エリアSに入り、測定エリアSを通って、測定エリアSから抜けて第1磁場発生部18に向かって移動する。
ここで、被検体(磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体)が測定エリアSに入ると、測定エリアS内において被検体の蛍光粒子Fが励起光によって蛍光を発生する。
前述のように、当初は、被検体は、第2磁場発生部20側に移動している。そのため、第1磁場発生部18側(図中矢印m2)への移動によって、測定エリアS内の被検体の数は、徐々に増加し、ある時点で最大になって、その後、減少する。従って、測定エリアSを測光する光量測定部16による測定光量は、徐々に増加し、次いで、ある時点を最大になって、その後、徐々に減少し、元の低い状態に戻る。
なお、測定エリアSに存在する蛍光粒子F、および、目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体は、移動しないので、この光量の変動には、作用しない。また、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体および磁気粒子Mは、蛍光粒子Fを有さないので、測定エリアSに進入しても蛍光を発光せず、したがって、測定エリアSを通過しても、この光量の変動には、作用しない。
すなわち、磁場による各物質の移動において、光量測定部16による測定光量の変動に作用するのは、被検体である磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体のみである。
次いで、第1磁場発生部18をoffして、第2磁場発生部20をonにすると、第1磁場発生部18側に移動した磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体等が、磁力によって第2磁場発生部20(矢印m1方向)に向かって移動する。この移動によって、先と同様に、光量測定部16による測定光量は、低い状態から、徐々に増加し、ある時点で最大になって、その後、徐々に減って、元の低い状態に戻る。
次いで、第1磁場発生部18をonして、第2磁場発生部20をoffにすると、第2磁場発生部20側に移動した磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体等が、磁力によって第1磁場発生部18(矢印m2方向)に向かって移動する。この移動によって、先と同様に、光量測定部16による測定光量は、低い状態から、徐々に増加し、ある時点で最大になって、その後、徐々に減って、元の低い状態に戻る。
すなわち、セル12内の液体に、被検体である磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体が存在する場合には、第1磁場発生部18と、第2磁場発生部20とを、交互にon/offすることで、被検体は、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20との間を往復動する。その結果、光量測定部16による測定光量は、図5に概念的に示すような増加および現象を繰り返すように変動する。好ましくは、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20とのon/offを周期的にすると、光量測定部16による測定光量は、図5に概念的に示すような増加および現象を、周期的に繰り返す。
しかも、この光量変動に作用するのは、前述のように、被検体である磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体のみである。
従って、励起光照射部14によってセル12の内部に励起光を照射しつつ、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20とを、交互にon/offして、光量測定部16によって光量を測定し、光量変動を知見することによって、セル12内の被検査液に、被検体である磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体が存在するか否か、すなわち、被検査液に添加した試料の中に目的物質Tがするか否かが、検出できる。
また、本発明によれば、セル12内の被検査液に含まれる被検体(目的物質)が微量であっても、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20とのon/offに応じて、被検体が移動して、光量測定部16による測定光量が、増減を繰り返す。従って、本発明によれば、試料中の目的物質が微量であっても、目的物質の検出が可能で、試料中の目的物質の有無を検出できる。
さらに、この光量変動の大きさは、液体の中に存在する被検体(磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体)の量に比例する。すなわち、この光量変動の大きさは、試料に含まれる目的物質Tの量に比例する。従って、この光量変動の大きさから、試料に含まれる目的物質Tの量を検出できる。
例えば、予め、光量変動の大きさと、目的物質T(被検体)の量との関係を示すLUT(Look up Table)を作成しておき、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20とのon/offの切り換えによる光量変動の平均値を算出して、LUTを参照して、目的物質Tの量を検出すればよい。
ここで、本発明においては、励起光照射部14の光軸と、光量測定部16の光軸との交点が、セル12の内壁面以外に位置する。すなわち、本発明においては、励起光照射部14の光軸と、光量測定部16の光軸との交点が、セル12の内部に位置する。さらに、本発明においては、励起光照射部14の光軸と、光量測定部16の光軸との交点は、セル12の内部で、セル12の内壁面から10μm以上、離れた場所に位置するのが好ましい。
本発明は、このような構成を有することにより、セル12の内壁面に非特異的に吸着した蛍光粒子によるノイズを除去して、S/N比の高い高感度な被検体の検出ができる。
蛍光物質は、常に特異的に目的物質に吸着するわけではなく、多くの蛍光粒子が、非特異的な吸着によってセル12の内壁面に付着する。従って、図1で太線で示す領域12aのように、セル12の内壁面に励起光が照射されると、この部分に非特異的に吸着した蛍光粒子が蛍光を発生する。
このような非特異的な吸着は、特許文献1に記載される検出方法で被検体の検出位置となる近接場においても、多く生じる。なお、本発明におけるセル12の内壁面は、特許文献1の近接場に対応する。
非特異的に吸着した蛍光粒子は、磁力が掛けられても移動することはない。特許文献1に記載される検出方法では、これを利用して、磁場によって被検体を移動し、光量の変化および移動した光(輝点)の検出等で、非特異的に近接場に吸着した蛍光粒子と被検体との差別化を行い、非特異的に近接場に吸着した蛍光粒子によるノイズを除去している。
しかしながら、この方法でも、非特異的に近接場に吸着した蛍光粒子による不要な蛍光は、検出器によって検出され、やはり、ノイズになってしまい、S/N比は低下する。すなわち、近接場のようなセル12の内壁面では、セル12の内壁面に非特異的に吸着している、検出したくない蛍光粒子に励起光が高輝度で照射されて発光し、この蛍光粒子の発光が測光されることでバックグラウンドが増加して、S/N比が低下する。
これに対し、本発明では、励起光照射部14の光軸と、光量測定部16の光軸との交点が、セル12の内壁面以外に位置する。
前述のように、本発明の検出装置10において、主たる検出エリアは励起光の光路と光量測定部16が測定する光の光路とが交差した位置であり、すなわち、励起光照射部14の光軸と光量測定部16の光軸との交点である。
従って、励起光照射部14の光軸と光量測定部16の光軸との交点が、セル12の内壁面以外に位置する本発明によれば、光量測定部16が、セル12の内壁面に非特異的に吸着した蛍光粒子の蛍光を測定することを防止できる。このような本発明によれば、セル12の内壁面に非特異的に吸着した蛍光粒子が発生する蛍光に起因するノイズを除去して、S/N比の高い高感度な目的物質の検出が可能になる。すなわち、励起光照射部14の光軸と光量測定部16の光軸との交点がセル12の内部である本発明によれば、セル12の内壁面に非特異的に吸着している蛍光粒子に励起光が高輝度で照射されて発光しても、この発光が検出器30で測定されることを防止できるので、バックグラウンドの増加を防止して、高いS/N比での検出が可能になる。
また、本発明おいては、好ましい態様として、励起光照射部14または光量測定部16が集光光学系を有し、より好ましくは図示例のように励起光照射部14および光量測定部16が集光光学系を有する。
さらに、本発明においては、好ましい態様として、励起光照射部14の焦点または光量測定部16の焦点が、セル12の内部に位置し、より好ましくは図示例のように励起光照射部14および光量測定部16の焦点がセル12の内部に位置する。
このような構成とすることにより、測定エリアを、セル12の内部の小領域に絞り込むことができる。その結果、光量測定部16が、被検体(磁気粒子と目的物質と蛍光粒子との結合体)以外の、余分な蛍光粒子による蛍光を測定することを抑制して、よりノイズを除去した高S/N比での高感度な測定が可能になる。
さらに好ましくは、励起光照射部14の焦点と光量測定部16の焦点とを、セル12の内部で一致させることにより、この効果を、さらに好適に得られる。
前述のように、本発明の検出装置10によれば、セル12の内壁面に非特異的に吸着した蛍光粒子に起因するノイズを除去して、S/N比を向上できる。
しかしながら、このようなノイズを除去しても、やはり、光量測定部16には、測定すべき蛍光以外にも、様々な光が入射し、光量測定部16(検出器30)による光量測定結果には、図6に概念的に示すように、ノイズが乗る。
このような不都合を解消するために、検出器30の出力信号を、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20とのon/offの切り換え周波数に対応するロックインアンプ等によって処理するのが好ましい。これにより、図5に示すような、ノイズを除去した光量変動を得ることができる。
あるいは、ロックインアンプを用いずに、検出器30の出力信号に、平均化処理等のスムーシング処理を施すことで、同様に、ノイズを除去した光量変動を得てもよい。
図7に、本発明の検出方法を実施する、本発明の検出装置を構成する検出システムの一例を概念的に示す。
図7に示す検出システムは、セル12を含む検出管40を用いる。検出管40は、セル12に連通した濾過室42を有し、さらに、濾過室42に連通した混合室46を有する。検出管40において、濾過室42と混合室46とは隔壁48によって隔離され、濾過室42とセル12との間には、フィルタ50が設けられている。濾過室42と混合室46とを隔離する隔壁48は、スワブ52等によって破断可能なアルミ箔などの材料で形成される。
図7に示す検出システムにおいて、目的物質を含む可能性が有る試料は、スワブ52によって採取される。
検出管40の混合室46には、試料を溶解または分散可能な溶剤が収容されている。この溶剤には、制限はないが、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酒石酸緩衝液、水、水系の溶剤、および、アルコール系の溶剤等が例示される。水は、純水、イオン交換水、および、蒸留水のいずれかを用いるのが好ましい。また、これらの溶液に微量のブロッキング材を含んだ溶液も用いられる。
この検出システムにおいては、図7の左側に示すように、試料を採取したスワブ52を混合室46の溶剤に浸漬して、攪拌することにより、試料を溶剤に混合する。
次いで、図7の左から2番目に示すように、スワブ52によって隔壁48を破断して、試料を混合した溶剤を濾過室42に供給する。
濾過室42には、磁気粒子および蛍光粒子が収容されている。図示例の検出管40では、濾過室42で、試料を含む溶剤に、磁気粒子および蛍光粒子が混合され、セル12に収容する被検査液となる。なお、磁気粒子および蛍光粒子が収容されるのは、濾過室42に制限はされず、混合室46でもセル12でもよい。また、磁気粒子と蛍光粒子とは、互いに異なる室(セル)に収容されてもよい。
被検査液は、濾過室42から落下してフィルタ50によって濾過されて、大きな異物を除かれて、セル12に収容される。なお、フィルタ50は、被検査液の直線透過率が0.1%以上となるように、被検査液を濾過するのが好ましい。
図7の左から3番目に示すように、全ての液体が濾過されてセル12に収容されたら、図7の右側に示すように、第1磁場発生部18および第2磁場発生部20、ならびに、図示を省略する励起光照射部14および光量測定部16を有するユニットに検出管40を装填して、前述のように、被検体(目的物質)の検出を行う。
図3および図4に示す例では、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20とを、交互に、複数回、on/offすることで、被検体を何回か往復動させて、被検体を検出したが、本発明は、これに制限はされない。
例えば、図3および図4に示す操作のみを行い、被検体(磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体)を一往復のみさせて、前述のような、光量が増加および減少する光量変動を測定して、被検体の検出を行ってもよい。
あるいは、本発明においては、被検体を往復動するのではなく、1方向に1回のみ移動することで、光量変動を測定して、被検体の検出を行ってもよい。
前述のように、セル12の中に液体を収容し、かつ、第1磁場発生部18および第2磁場発生部20のスイッチが、共にoffの状態では、図3の左側に示されるように、被検体(磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体)および目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体等は、セル12(液体)の中で、不規則に浮遊した状態になっている。
従って、この状態で励起光照射部14によって励起光を照射して、光量測定部16によって光量を測定すると、主に、測定エリアSに存在する、被検体、目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体、および、蛍光粒子Fによる蛍光が、光量測定部16によって光量を測定される。
この状態から、例えば、第2磁場発生部20をonにして電磁石20aによって磁場を発生させると、前述のように、図3の右側に示すように、被検体、磁気粒子Mと目的物質Tとの結合体、および、磁気粒子Mのみが、第2磁場発生部20に向かって移動して、最終的には、図4の左側に示すように、第2磁場発生部20側の端部に移動する。
従って、第2磁場発生部20のonによって、当初、測定エリアSに存在した被検体が測定エリアSの外に移動し、測定エリアSに存在するのは、目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体、および、蛍光粒子Fのみになり、測定されるのは、これらによる蛍光の光量のみになる。
すなわち、被検体を往復動するのではなく、1方向に1回のみ移動しただけでも、被検体(磁気粒子Mと目的物質Tと蛍光粒子Fとの結合体)が測定エリアSの中から、測定エリアSの外に移動することで、測定される光量の低下が生じ、これによって、被検体の検出を行うことができる。従って、この場合には、磁場発生部は、1個のみで良い。
ただし、検出精度の点では、前述のように、被検体を往復動するのが好ましく、特に、第1磁場発生部18と第2磁場発生部20とを、交互に、複数回、on/offし、被検体を何回か往復動させるのが好ましい。
図1に示す検出装置10は、第1磁場発生部18および第2磁場発生部20の2つの磁場発生部によって、磁場の方向を変更して、被検体等を往復動させたが、本発明は、これに制限はされず、各種の構成が利用可能である。
例えば、図8に概念的に示すように、第1磁場発生部18のみを設け、図8に矢印および破線で示すように、第1磁場発生部18を移動することにより、磁場の方向を変更して、被検体等を往復動させて、光量の変動を測定してもよい。
なお、この際において、第1磁場発生部18の移動手段は、公知の方法で構成すればよい。また、このように磁場発生部を移動する構成では、磁場発生部は電磁石を利用するものに制限はされず、永久磁石を利用してもよい。
あるいは、図9に概念的に示すように、セル12を挿通するコイル56を設け、コイル56に交流電源を接続して、交流電力を供給することにより、交流電源の周波数に応じて磁場の方向を変更することで、矢印m1方向および矢印m2方向に被検体等を往復動させて、光量の変動を測定してもよい。
なお、図9においては、セル12とコイル56との関係を明確に示すために、励起光照射部および光量測定部は省略している。
また、図1に示す検出装置10は、円筒状のセル12の底面と平行な方向に被検体等を移動して、セル12の側面から光量測定部16によって光量を測定したが、本発明は、この構成にも制限はされない。
例えば、図10に概念的に示すように、励起光照射部14による励起光の照射は、同様に円筒状のセル12の周面からとし、セル12の上面側から光量測定部16による光量の測定を行うようにする。
その上で、第1磁場発生部18および第2磁場発生部20によって発生する磁場を、セル12の軸線方向とし、図10中の矢印m1および矢印m2に示すように、被検体等をセル12の軸線方向に往復動(一方向のみの移動)させることで、光量測定部16によって光量を測定して、光量変動から、被検体の検出を行ってもよい。
以上、本発明の検出装置および検出方法について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
医療および研究等におけるウイルス等の検出に好適に利用可能である。
10 検出装置
12 セル
12a 領域
14 励起光照射部
16 光量測定部
18 第1磁場発生部
18a,20a 電磁石
18b,20b, 電源
18c,20c スイッチ
20 第2磁場発生部
24 光源
26,32 集光光学系
30 検出器
40 検出管
42 濾過室
46 混合室
48 隔壁
50 フィルタ
52 スワブ
56 コイル
58 交流電源
F 蛍光粒子
M 磁気粒子
T 目的物質

Claims (12)

  1. 磁気粒子と蛍光粒子との組み合わせ、または、磁性を帯びて蛍光を発する粒子を、被検体として検出する検出装置であって、
    前記被検体を含む液体を収容するセルと、前記被検体に蛍光を発生させる励起光を前記セルの内部に照射する励起光照射部と、前記セルの内部の光量を検出する光量測定部と、前記セルの内部の前記被検体を移動させる1以上の磁場発生部と、を有し、
    前記励起光照射部の光軸と前記光量測定部の光軸との交点が、前記セルの内壁面以外に位置することを特徴とする検出装置。
  2. 前記磁場発生部を、複数、有する、請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記励起光照射部、および、前記光量測定部の少なくとも一方が、集光光学系を有する、請求項1または2に記載の検出装置。
  4. 前記励起光照射部の前記集光光学系の焦点、および、前記光量測定部の前記集光光学系の焦点の少なくとも一方が、前記セルの内部に位置する、請求項3に記載の検出装置。
  5. 前記励起光照射部の前記集光光学系の焦点と、前記光量測定部の前記集光光学系の焦点とが、一致している、請求項3または4に記載の検出装置。
  6. 前記光量測定部が、前記励起光照射部が照射する励起光の光路から外れた位置に配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の検出装置。
  7. 前記励起光照射部は、前記被検体が発生する蛍光の波長領域を含まない波長の励起光を照射する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の検出装置。
  8. 前記磁場発生部として、2つの電磁石を有し、前記2つの電磁石によって、交互に磁場を発生させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の検出装置。
  9. 前記磁場発生部によって、前記セル内の前記被検体を往復動させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検出装置。
  10. 前記セルと前記光量測定部との間に、励起光を遮断するフィルタを有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の検出装置。
  11. 前記セルに連通して、前記被検体を含む液体を収容する濾過室を有し、前記濾過室と前記セルとの間に、前記被検体を含む液体を濾過するフィルタを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の検出装置。
  12. 磁気粒子と蛍光粒子との組み合わせ、または、磁性を帯びて蛍光を発する粒子を、被検体として検出するに際し、
    前記被検体を含む液体をセルに収容して、磁場によって前記セルの内部で前記被検体を移動させると共に、
    前記セルの内部に前記被検体に蛍光を発生させる励起光を照射して、前記セルの内壁面以外の場所において、前記セルの内部の光量を測定することを特徴とする検出方法。
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