JP2019123703A - ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤及びその製造方法 - Google Patents

ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤を提供することであって、溶出を抑制できる錠剤及びその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含む医薬錠剤とすることで、溶出を抑制できる医薬錠剤を提供できることを見出した。また、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤とすることで、溶出を抑制できる医薬錠剤を提供できることを見出した。【選択図】なし

Description

本発明は、ダサチニブを有効成分としダサチニブの溶出を抑制できる医薬錠剤及びその製造方法に関する。
ダサチニブは、化学名をN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−({6−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]−2−メチルピリミジン−4−イル}アミノ)−1、3−チアゾール−5−カルボキサミドとする、式(1)で示される構造を有する化合物である。
Figure 2019123703
慢性骨髄性白血病(CML)及びPhiladelphia染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)は、いずれもPhiladelphia染色体上に形成されたbcr−ablキメラ遺伝子が産生するBcr−Abl融合タンパクが、発症と白血病細胞の増殖に関与している疾患である。
現在、CML及び同種造血幹細胞移植の適応とならないPh+ALLに対する薬物療法としては、Bcr−Ablチロシンキナーゼ活性を阻害するイマチニブメシル酸塩(以下、イマチニブと略す。)が用いられているが、Bcr−Ablのキナーゼ領域内における点突然変異によりイマチニブの結合親和性が低下することが報告されており、当該変異がイマチニブへの治療抵抗性の要因の一つであると考えられている。
ダサチニブは、Ablキナーゼの立体構造への結合様式がイマチニブと一部異なることから、イマチニブ抵抗性CML及びPh+ALLの治療薬として用いられており、スプリセル(登録商標)の商品名にて提供されている。
特許文献1には、ダサチニブの医薬錠剤が報告されており、錠剤内部に乳糖一水和物、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを含み、錠剤外部である被覆層にオパドライ(登録商標)ホワイトを含む薄層被覆錠剤が記載されている。
特表2008−540440号公報
本発明の目的は、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤を提供することであって、溶出を抑制できる錠剤及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含む医薬錠剤とすることにより、溶出抑制効果を有することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。また、本発明者は、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤とすることにより、溶出抑制効果を有することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]〜[12]を要旨とする。
[1] ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含む医薬錠剤。
本発明は、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含む医薬錠剤を用いることにより、pH5.0の溶液中における優れた溶出抑制効果を有することが可能となる。
[2] 塩がL−アスコルビン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、酢酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩である[1]に記載の医薬錠剤。
[3] 塩が医薬錠剤内部に分散している[1]又は[2]に記載の医薬錠剤。
[4] アミノ基修飾高分子添加剤を含む[1]〜[3]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
本発明は、ダサチニブと前記塩に、更にアミノ基修飾高分子添加剤を用いることで、更なる溶出の抑制をすることが可能となる。
また、本発明は、ダサチニブと前記塩に、更にアミノ基修飾高分子添加剤を用いることで、pH4.0の溶液中における優れた溶解度向上効果を有することが可能となる。
[5] アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散している[4]に記載の医薬錠剤。
[6] ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
(工程1)(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩と、(C)その他の医薬添加剤、を混合する工程、
(工程2)(工程1)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程、
を含む医薬錠剤の製造方法。
[7] ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、[6]に記載の(工程1)が、
(工程1−1)(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合する工程、
(工程1−2)(工程1−1)で得られた混合物と(C)その他の医薬添加剤を混合する工程、
を含む[6]に記載の医薬錠剤の製造方法。
[8] 前記(工程1)において、(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合した後に、水又はアミノ基修飾高分子添加剤の分散液を添加し混合する造粒工程を含む、[6]又は[7]の何れか一項に記載の医薬錠剤の製造方法。
[9] ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤。
本発明は、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤を用いることにより、pH5.0の溶液中における優れた溶出抑制効果を有することが可能となる。
また、本発明は、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤を用いることにより、pH4.0の溶液中における優れた溶解度向上効果を有することが可能となる。
[10] アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散している[9]に記載の医薬錠剤。
[11] ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
(工程1´)(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤と、(C)その他の医薬添加剤、を混合する工程、
(工程2´)(工程1´)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程、
を含む医薬錠剤の製造方法。
[12] ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、[11]に記載の(工程1´)が、
(工程1´−1)(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤を混合する工程、
(工程1´−2)(工程1´−1)で得られた混合物と(C)その他の医薬添加剤を混合する工程、
を含む[11]に記載の医薬錠剤の製造方法。
本発明は、有効成分であるダサチニブと、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含む医薬錠剤を用いることにより、pH5.0の溶液中における優れた溶出抑制効果を有する医薬錠剤及びその医薬錠剤の製造方法を提供することができる。また、本発明は、有効成分であるダサチニブと、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤を用いることにより、pH5.0の溶液中における優れた溶出抑制効果を有する医薬錠剤及びその医薬錠剤の製造方法を提供することができる。
本願発明は、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含む医薬錠剤及びその製造方法に関する。また、本願発明は、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤及びその製造方法に関する。以下にその詳細について説明する。
本発明の医薬錠剤は、有効成分としてダサチニブを用いる。ダサチニブは、化学名をN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−({6−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]−2−メチルピリミジン−4−イル}アミノ)−1、3−チアゾール−5−カルボキサミドとする化合物である。当該化合物は、特表平14−542193号公報にて開示されており、それに記載の方法により合成することができる。
ダサチニブは医薬品の有効成分として用いることができる品質レベルの化合物を用いることが望ましい。
有効成分であるダサチニブは、当該医薬錠剤総量に対し5質量%以上60質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
本発明の医薬錠剤は、有効成分としてダサチニブ水和物、有機溶媒和物又はその医薬的に許容な塩を用いても良い。例えば、モノ水和物、ブタノール溶媒化合物、エタノール溶媒化合物、アセテート塩は特表2007−521340号公報にて公開されており、それに記載の方法により合成することができる。
まず、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、塩基性の塩を含む医薬錠剤について説明する。
本発明の医薬錠剤は、医薬製剤添加剤として、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含むことを特徴とする。L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩は、有機塩に分類される。また、ケイ酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、無機塩に分類される。本発明の医薬錠剤において、L−アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム等のL−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸ナトリウム等のL−グルタミン酸塩、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩、L−酒石酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム等のL−酒石酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含むことが好ましい。本発明の医薬錠剤において、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、酢酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含むことがより好ましく、L−グルタミン酸ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含むことがさらに好ましい。上記メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは市販品を用いてもよい。例えば、ノイシリン(登録商標)等を挙げることができ、ノイシリン(登録商標)を用いることが好ましい。また、上記メタケイ酸アルミン酸マグネシウムはケイ酸アルミン酸マグネシウムと表記されることもある。
当該塩は、医薬品添加剤として用いられる品質のものであれば、特に制限することなく用いることができる。
当該塩は、当該医薬錠剤総量に対し1質量%以上45質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは3質量%以上15質量%以下である。
本発明の医薬錠剤において、前記塩が医薬錠剤内部に分散していることが好ましい。本明細書において、医薬錠剤内部とは素錠の部分のことである。塩が医薬錠剤内部に分散していることで、溶出試験の際に、塩の効果がより長い時間発揮されることが考えられる。塩を医薬錠剤内部に分散させる方法としては、塩以外の素錠を構成する成分、例えば、有効成分であるダサチニブ、後述するその他の医薬添加剤とともに混合すればよい。
本発明において、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤であることが好ましい。前述したL−アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム等のL−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸ナトリウム等のL−グルタミン酸塩、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩、L−酒石酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム等のL−酒石酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのような塩基性の塩とアミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤とすることで、pH5.0の試験液での溶出試験において、塩基性の塩が溶出し、錠剤の周囲が部分的に塩基性となり、アミノ基修飾高分子添加剤の溶出が抑制され、その結果、ダサチニブの溶出も抑制されることが考えられる。また、本発明は、ダサチニブと前記塩に、更にアミノ基修飾高分子添加剤を用いることで、pH4.0の溶液中における優れた溶解度向上効果を有することが可能となる。アミノ基修飾高分子添加剤としては,例えばアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。上記アミノ基修飾高分子添加剤は市販品を用いてもよい。具体的には、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは例えばオイドラギット(登録商標)E100、オイドラギット(登録商標)EPO(株式会社樋口商会)等のアミノアルキルメタクリレートコポリマー等を挙げることができ、オイドラギット(登録商標)EPOを用いることが好ましい。ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートは例えば、AEA(登録商標、三菱ケミカルフーズ株式会社)を挙げることができる。本発明の医薬錠剤においてアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを用いることが好ましい。
本発明において、前記アミノ基修飾高分子添加剤は当該医薬錠剤総量に対して1質量%以上45質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは3質量%以上15質量%以下である。
本発明の医薬錠剤において、前記アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散していることが好ましい。アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散していることで、溶出試験の際に、アミノ基修飾高分子添加剤の効果がより長い時間発揮されることが考えられる。アミノ基修飾高分子添加剤を医薬錠剤内部に分散させる方法としては、アミノ基修飾高分子添加剤以外の素錠を構成する成分、例えば、有効成分であるダサチニブ、前記塩、アミノ基修飾高分子添加剤以外の後述するその他の医薬添加剤とともに混合すればよい。
本発明において、前記アミノ基修飾高分子添加剤は、粉体のまま添加してもよく、水に分散させた分散液として添加してもよい。本発明において、前記アミノ基修飾高分子添加剤は分散液として添加することが好ましい。
前記アミノ基修飾高分子添加剤の分散液は、水に対しアミノ基修飾高分子添加剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムを添加することにより調製することが好ましい。
前記アミノ基修飾高分子添加剤の分散液の成分の比率は任意であり、アミノ基修飾高分子添加剤の濃度は限定されないが、アミノ基修飾高分子添加剤10%、ラウリル硫酸ナトリウム1%、ステアリン酸1.5%、ステアリン酸マグネシウム3.5%、水84%の比率で調製することが好ましい。
本発明の医薬錠剤は、非イオン性高分子添加剤を用いても良い。非イオン性高分子添加剤としては、例えばエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー等が挙げられる。上記非イオン性高分子添加剤は市販品を用いてもよい。具体的には、エチルセルロースは例えば、アクアコート(登録商標)ECD(ウイルバー・エリス株式会社)等を挙げることができる。アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーは例えば、オイドラギット(登録商標)NE30D(株式会社樋口商会)等を挙げることができる。本発明の医薬錠剤においてエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーを用いることが好ましく、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーを用いることがさらに好ましい。
本発明において、前記非イオン性高分子添加剤は当該医薬錠剤総量に対して1質量%以上45質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
ダサチニブはイマチニブ抵抗性CML及びPh+ALLの治療薬として経口的に服用されて用いられる。
本発明は錠剤や口腔内崩壊錠といった錠剤形態である。すなわち本発明の医薬錠剤は、有効成分としてダサチニブとL−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を用い、その他の医薬添加剤として水、アミノ基修飾高分子添加剤もしくはアミノ基修飾高分子添加剤の分散液、及び任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の製剤用添加剤と併せて混合し、成型することで調製される錠剤である。 当該錠剤を調製するためには、任意に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、可溶化剤、流動化剤、コーティング剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着色剤等の、医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を用いても良い。
本発明において賦形剤としては、乳糖、マンニトール、マルトース、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、トウモロコシデンプン等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
賦形剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し5質量%以上90質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは10質量%以上80質量%以下である。
本発明において結合剤としては、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、部分アルファー化デンプン等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
結合剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し1質量%以上60質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは2質量%以上50質量%以下である。
本発明において崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
崩壊剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
本発明において滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
滑沢剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
本発明において可溶化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ダイズ油、ラウロマクロゴール等が挙げられる。
本発明において流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
本発明においてコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース等が挙げられる。
本発明において安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、亜硫酸塩等が挙げられる。
本発明において保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類等が挙げられる。
本発明において矯味剤としては、白糖、D−ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
本発明において着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬組成物又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
本発明はダサチニブを有効成分とし、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含有する経口投与用の医薬錠剤に関するが、その製剤型は、裸錠、フィルムコーティング錠、分散錠、口腔内崩壊錠、チュブアル錠、発泡錠等の形態の何れの態様であっても良い。
当該医薬錠剤は、ダサチニブ及びL−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩、並びに任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の医薬製剤用添加剤を配合して、場合によって任意に顆粒体を調製した後、これを圧縮成型することにより医薬錠剤を調製することができる。圧縮成型する前に、滑沢剤を別に添加して錠剤形に成型しても良い。
アミノ基修飾高分子添加剤を用いる場合も同様に、ダサチニブ、並びに任意の添加剤と共に配合して、圧縮成型することで当該医薬錠剤を調製することができる。
フィルムコーティング錠を調製する場合は、前記の圧縮成型した医薬錠剤に、コーティング剤及び、任意の可塑剤、隠蔽剤や着色剤を、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水性溶剤にて溶解又は懸濁させたコーティング剤水性溶液を、スプレー等により錠剤表面付着させ、その後、熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、調製することができる。
本発明は医薬錠剤の製造方法を含み、(工程1)(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩と、(C)その他の添加剤、を混合調製する工程、(工程2)(工程1)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程を含む。
本発明の医薬錠剤の製造方法において、(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩と、(C)その他の添加剤、を混合する順番について特に限定はなく、(A)ダサチニブと(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合した後に(C)その他の添加剤を混合してもよく、(A)ダサチニブと(C)その他の添加剤を混合した後に(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合してもよく、全てを一緒に混合してもよい。
本発明の医薬錠剤の製造方法において、前記(工程1)が、(工程1−1)(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合する工程、(工程1−2)(工程1−1)で得られた混合物と(C)その他の添加剤を混合する工程、を含むことが好ましい。本発明の医薬錠剤の製造方法において、(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩が近くに存在することで、溶出抑制効果が得られると考えられることから、(A)ダサチニブと(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を先に混合することが好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法において、(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合した後に造粒工程を経ることが好ましい。造粒工程を経ることで、混合物を打錠し錠剤にした後においても(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩が近くに存在できることが考えられる。造粒方法は特に限定されないが、湿式造粒でもよく、乾式造粒でもよい。本発明において、湿式造粒することが好ましく、(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合し、水や有機溶媒、添加剤の分散液もしくは溶液を使用して湿式造粒することが好ましい。
有機溶媒としては、エタノールやアセトン、ヘプタン等の低毒性の溶媒が挙げられる。
本発明において、水もしくは添加剤の分散液を用いることが好ましく、添加剤の分散液としては、前述したアミノ基修飾高分子添加剤の分散液を用いることが好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩の造粒物とその他の添加剤を混合する工程を経ることが好ましい。
その他の添加剤としては、任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、可溶化剤、流動化剤、コーティング剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着色剤等が挙げられ、これらの添加剤は前述した添加剤と同義である。
その他の添加剤としては、任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤を用いることが好ましい。より好ましくは、賦形剤として乳糖一水和物、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムである。
混合する際は、滑沢剤を除く添加剤を混合した後、滑沢剤を添加し混合することが好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、(工程2)(工程1)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程を含む。
錠剤の硬度は約20〜120Nとすることが好ましい。より好ましくは約50〜90Nである。
本発明の医薬錠剤は、900mLのpH5.0の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、ダサチニブの溶出率が5分後に20%以下、10分後に40%以下、15分後に50%以下、20分後に55%以下、30分後に65%以下である。
前記溶出試験におけるpH5.0の水性溶液は、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用いることが好ましい。
前記の試験液900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明により調製される医薬錠剤から有効成分を試験液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液への溶出率を評価することで、本発明の特徴である優れた溶出抑制効果を確認することができる。
本発明の医薬錠剤は、900mLのpH4.0の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、ダサチニブの溶解度が120分後に65%以上、240分後に65%以上、360分後に70%以上である。
前記溶出試験におけるpH4.0の水性溶液は、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用いることが好ましい。
前記の試験液900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明により調製される医薬錠剤から有効成分を試験液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液への溶出率を評価することで、本発明の特徴である優れた溶解度向上効果を確認することができる。
本発明の医薬錠剤は、優れた溶出抑制効果を有することを特徴とする。すなわち、溶出抑制効果を有する医薬錠剤を提供することが可能となる。
次に、ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤について説明する。
本発明の医薬錠剤は、医薬製剤添加剤として、アミノ基修飾高分子添加剤を含むことを特徴とする。この場合、上記L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩は含んでいても構わない。アミノ基修飾高分子添加物を含むことで、pH5.0の溶液中のダサチニブの溶出抑制効果を発揮することができる。また、アミノ基修飾高分子添加物を含むことで、pH4.0の溶液中のダサチニブの溶解度向上効果を発揮することができる。アミノ基修飾高分子添加剤としては,例えばアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。上記アミノ基修飾高分子添加剤は市販品を用いてもよい。具体的には、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは例えばオイドラギット(登録商標)E100、オイドラギット(登録商標)EPO(株式会社樋口商会)等のアミノアルキルメタクリレートコポリマー等を挙げることができ、オイドラギット(登録商標)EPOを用いることが好ましい。ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートは例えば、AEA(登録商標、三菱ケミカルフーズ株式会社)を挙げることができる。本発明の医薬錠剤においてアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを用いることが好ましい。
本発明において、前記アミノ基修飾高分子添加剤は当該医薬錠剤総量に対して1質量%以上45質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
本発明の医薬錠剤において、前記アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散していることが好ましい。アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散していることで、溶出試験の際に、アミノ基修飾高分子添加剤の効果がより長い時間発揮されることが考えられる。アミノ基修飾高分子添加剤を医薬錠剤内部に分散させる方法としては、アミノ基修飾高分子添加剤以外の素錠を構成する成分、例えば、有効成分であるダサチニブ、アミノ基修飾高分子添加剤以外の後述するその他の医薬添加剤とともに混合すればよい。
本発明において、前記アミノ基修飾高分子添加剤は、粉体のまま添加してもよく、水に分散させた分散液として添加してもよい。本発明において、前記アミノ基修飾高分子添加剤は分散液として添加することが好ましい。
前記アミノ基修飾高分子添加剤の分散液は、水に対しアミノ基修飾高分子添加剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムを添加することにより調製することが好ましい。
前記アミノ基修飾高分子添加剤の分散液の成分の比率は任意であり、アミノ基修飾高分子添加剤の濃度は限定されないが、アミノ基修飾高分子添加剤10%、ラウリル硫酸ナトリウム1%、ステアリン酸1.5%、ステアリン酸マグネシウム3.5%、水84%の比率で調製することが好ましい。
本発明の医薬錠剤は、非イオン性高分子添加剤を用いても良い。非イオン性高分子添加剤としては、例えばエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー等が挙げられる。上記非イオン性高分子添加剤は市販品を用いてもよい。具体的には、エチルセルロースは例えば、アクアコート(登録商標)ECD(ウイルバー・エリス株式会社)等を挙げることができる。アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーは例えば、オイドラギット(登録商標)NE30D(株式会社樋口商会)等を挙げることができる。本発明の医薬錠剤においてエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーを用いることが好ましく、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーを用いることがさらに好ましい。
本発明において、前記非イオン性高分子添加剤は当該医薬錠剤総量に対して1質量%以上45質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
ダサチニブはイマチニブ抵抗性CML及びPh+ALLの治療薬として経口的に服用されて用いられる。
本発明は錠剤や口腔内崩壊錠といった錠剤形態である。すなわち本発明の医薬錠剤は、有効成分としてダサチニブとアミノ基修飾高分子添加剤もしくはアミノ基修飾高分子添加剤の分散液を用い、その他の医薬添加剤として任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の製剤用添加剤と併せて混合し、成型することで調製される錠剤である。 当該錠剤を調製するためには、任意に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、可溶化剤、流動化剤、コーティング剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着色剤等の、医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を用いても良い。
本発明において賦形剤としては、乳糖、マンニトール、マルトース、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、トウモロコシデンプン等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
賦形剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し5質量%以上90質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは10質量%以上80質量%以下である。
本発明において結合剤としては、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、部分アルファー化デンプン等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
結合剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し1質量%以上60質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは2質量%以上50質量%以下である。
本発明において崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
崩壊剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
本発明において滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
滑沢剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
本発明において可溶化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ダイズ油、ラウロマクロゴール等が挙げられる。
本発明において流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
本発明においてコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース等が挙げられる。
本発明において安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、亜硫酸塩等が挙げられる。
本発明において保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類等が挙げられる。
本発明において矯味剤としては、白糖、D−ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
本発明において着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬組成物又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
本発明はダサチニブを有効成分とし、アミノ基修飾高分子添加剤を含有する経口投与用の医薬錠剤に関するが、その製剤型は、裸錠、フィルムコーティング錠、分散錠、口腔内崩壊錠、チュブアル錠、発泡錠等の形態の何れの態様であっても良い。
当該医薬錠剤は、ダサチニブ及びアミノ基修飾高分子添加剤、並びに任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の医薬製剤用添加剤を配合して、場合によって任意に顆粒体を調製した後、これを圧縮成型することにより医薬錠剤を調製することができる。圧縮成型する前に、滑沢剤を別に添加して錠剤形に成型しても良い。
フィルムコーティング錠を調製する場合は、前記の圧縮成型した医薬錠剤に、コーティング剤及び、任意の可塑剤、隠蔽剤や着色剤を、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水性溶剤にて溶解又は懸濁させたコーティング剤水性溶液を、スプレー等により錠剤表面付着させ、その後、熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、調製することができる。
本発明は医薬錠剤の製造方法を含み、(工程1´)(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤と、(C)その他の添加剤、を混合する工程、(工程2´)(工程1´)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程を含む。
本発明の医薬錠剤の製造方法において、(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤と、(C)その他の添加剤、を混合する順番について特に限定はなく、(A)ダサチニブと(B´)アミノ基修飾高分子添加剤を混合した後に(C)その他の添加剤を混合してもよく、(A)ダサチニブと(C)その他の添加剤を混合した後に(B)アミノ基修飾高分子添加剤を混合してもよく、全てを一緒に混合してもよい。
本発明の医薬錠剤の製造方法において、前記(工程1´)が、(工程1´−1)(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤を混合する工程、(工程1´−2)(工程1´−1)で得られた混合物と(C)その他の添加剤を混合する工程、を含むことが好ましい。本発明の医薬錠剤の製造方法において、(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤が近くに存在することで、溶出抑制効果が得られると考えられることから、(A)ダサチニブと(B´)アミノ基修飾高分子添加剤を先に混合することが好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法において、(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤を混合した後に造粒工程を経ることが好ましい。造粒工程を経ることで、混合物を打錠し錠剤にした後においても(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤が近くに存在できることが考えられる。造粒方法は特に限定されないが、湿式造粒でもよく、乾式造粒でもよい。本発明において、湿式造粒することが好ましく、(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤を混合し、水や有機溶媒、添加剤の分散液もしくは溶液を使用して湿式造粒することが好ましい。
有機溶媒としては、エタノールやアセトン、ヘプタン等の低毒性の溶媒が挙げられる。
本発明において、水もしくは添加剤の分散液を用いることが好ましく、添加剤の分散液としては、前述したアミノ基修飾高分子添加剤の分散液を用いることが好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤の造粒物とその他の添加剤を混合する工程を経ることが好ましい。
その他の添加剤としては、任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、可溶化剤、流動化剤、コーティング剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着色剤等が挙げられ、これらの添加剤は前述した添加剤と同義である。
その他の添加剤としては、任意の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤を用いることが好ましい。より好ましくは、賦形剤として乳糖一水和物、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムである。
混合する際は、滑沢剤を除く添加剤を混合した後、滑沢剤を添加し混合することが好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、(工程2´)(工程1´)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程を含む。
錠剤の硬度は約20〜120Nとすることが好ましい。より好ましくは約50〜90Nである。
本発明の医薬錠剤は、900mLのpH5.0の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、ダサチニブの溶出率が5分後に20%以下、10分後に40%以下、15分後に50%以下、20分後に55%以下、30分後に65%以下である。
前記溶出試験におけるpH5.0の水性溶液は、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用いることが好ましい。
前記の試験液900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明により調製される医薬錠剤から有効成分を試験液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液への溶出率を評価することで、本発明の特徴である優れた溶出抑制効果を確認することができる。
本発明の医薬錠剤は、900mLのpH4.0の水性溶液中における、37℃で50rpmの条件下、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法において、ダサチニブの溶解度が120分後に65%以上、240分後に65%以上、360分後に70%以上である。
前記溶出試験におけるpH4.0の水性溶液は、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用いることが好ましい。
前記の試験液900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明により調製される医薬錠剤から有効成分を試験液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液への溶出率を評価することで、本発明の特徴である優れた溶解度向上効果を確認することができる。
本発明の医薬錠剤は、優れた溶出抑制効果を有することを特徴とする。すなわち、溶出抑制効果を有する医薬錠剤を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ダサチニブ200mg、L−グルタミン酸ナトリウム40mgを混合した。この混合物に水を0.4mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物60mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース57.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例1に係る錠剤を調製した。
[実施例2]
実施例1において、L−グルタミン酸ナトリウム40mgに代えてメタケイ酸アルミン酸マグネシウム40mgを用い、その他は実施例1と同様の操作を行うことにより実施例2に係る錠剤を調製した。
[実施例3]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ300mg、L−アスコルビン酸ナトリウム60mgを混合した。この混合物に分散液を0.6mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物76mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース47.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例3に係る錠剤を調製した。
[実施例4〜10]
実施例3において、L−アスコルビン酸ナトリウム60mgに代えて表1に挙げる塩を用い、その他は実施例3と同様の操作を行うことにより実施例4〜10に係る錠剤を調製した。
Figure 2019123703
[実施例11]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ300mg、L−グルタミン酸ナトリウム105mgを混合した。この混合物に分散液を0.6mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物83.5mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース40.0mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例11に係る錠剤を調製した。
[実施例12]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ300mg、L−グルタミン酸ナトリウム150mgを混合した。この混合物に分散液を0.6mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物91mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース32.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例12に係る錠剤を調製した。
[実施例13]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ300mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム150mgを混合した。この混合物に分散液を0.6mLおよび水を0.9mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物91mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース32.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例13に係る錠剤を調製した。
[実施例14]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ300mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム150mgを混合した。この混合物に分散液を1.5mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物115mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース17.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例14に係る錠剤を調製した。
[実施例15]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ200mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム40mgを混合した。この混合物に分散液を1.0mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物100mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース32.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例15に係る錠剤を調製した。
[実施例16]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ300mgにこの分散液を0.3mL添加し、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液を0.1mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物63mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース57.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例16に係る錠剤を調製した。
[実施例17]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE10g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、ステアリン酸1.5g、ステアリン酸マグネシウム3.5gを水84gに添加し、分散液を調製した。ダサチニブ390mgにこの分散液を0.39mL添加し、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液を0.2mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物65.5mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース55.0mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、実施例17に係る錠剤を調製した。
[比較例1]
ダサチニブ50mg、乳糖一水和物67.5mg、結晶セルロース67.5mg、ヒドロキシプロピルセルロース6mg、クロスカルメロースナトリウム8mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム1mgを加えて打錠することで、比較例1に関わる錠剤を調製した。
[試験例1]
実施例1〜14並びに比較例1の錠剤を、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用い調製したpH5.0の水性溶液を用い、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。また、実施例15〜17の錠剤も、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用い調製したpH5.0の水性溶液を用い、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験器(NTR−6400A、富山産業株式会社製)を用い、試験液量を900mL、試験液温を37±0.5℃、パドル回転数を50rpmとして溶出率を評価した。
経時点は5分、10分、15分、20分、30分とし、サンプリング量を3mLとし、液体クロマトグラフィーにて測定した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2019123703
Figure 2019123703
実施例1〜14の錠剤は、ダサチニブの溶出率が5分後に20%以下、10分後に40%以下、15分後に50%以下、20分後に55%以下、30分後に65%以下であることが確認された。本発明の医薬錠剤は、ダサチニブの溶出抑制効果を有するダサチニブ製剤であることが示された。また、実施例15〜17の錠剤においても、ダサチニブの溶出率が5分後に20%以下、10分後に40%以下、15分後に50%以下、20分後に55%以下、30分後に65%以下であることが確認された。本発明の医薬錠剤は、ダサチニブの溶出抑制効果を有するダサチニブ製剤であることが示された。
[試験例2]
実施例10、15〜17並びに比較例1の錠剤を、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用い調製したpH4.0の水性溶液を用い、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験器(NTR−6400A、富山産業株式会社製)を用い、試験液量を900mL、試験液温を37±0.5℃、パドル回転数を50rpmとして溶出率を評価した。
経時点は30分、60分、120分、240分、360分とし、サンプリング量を3mLとし、液体クロマトグラフィーにて測定した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2019123703
実施例10、15〜17の錠剤は、ダサチニブの溶解度が120分後に65%以上、240分後に65%以上、360分後に70%以上であることが確認された。アミノ基修飾高分子添加剤を含む本発明の医薬錠剤は、ダサチニブの溶解度向上効果を有するダサチニブ製剤であることが示された。
本発明のダサチニブを有効成分とする医薬錠剤は、L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を含む医薬錠剤を用いることにより、優れた溶出抑制効果を有することが可能となることが明らかとなった。アミノ基修飾高分子添加剤を含むことでさらに優れた溶出抑制効果を有することが可能となることが明らかとなった。また、本発明のダサチニブを有効成分とする医薬錠剤は、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤を用いることにより、優れた溶出抑制効果を有することが可能となることが明らかとなった。すなわち本発明により、溶出抑制効果を有するダサチニブを有効成分とする医薬錠剤を提供することが可能となる。

Claims (12)

  1. ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、
    L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩
    を含む医薬錠剤。
  2. 塩がL−アスコルビン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、酢酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩である請求項1に記載の医薬錠剤。
  3. 塩が医薬錠剤内部に分散している請求項1又は請求項2に記載の医薬錠剤。
  4. アミノ基修飾高分子添加剤を含む請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の医薬錠剤。
  5. アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散している請求項4に記載の医薬錠剤。
  6. ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
    (工程1)(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩と、(C)その他の医薬添加剤、を混合する工程、
    (工程2)(工程1)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程、
    を含む医薬錠剤の製造方法。
  7. ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、請求項6に記載の(工程1)が、
    (工程1−1)(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合する工程、
    (工程1−2)(工程1−1)で得られた混合物と(C)その他の医薬添加剤を混合する工程、
    を含む請求項6に記載の医薬錠剤の製造方法。
  8. 前記(工程1)において、(A)ダサチニブと、(B)L−アスコルビン酸塩、L−グルタミン酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、L−酒石酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の塩を混合した後に、水又はアミノ基修飾高分子添加剤の分散液を添加し混合する造粒工程を含む、請求項6又は請求項7の何れか一項に記載の医薬錠剤の製造方法。
  9. ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤。
  10. アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散している請求項9に記載の医薬錠剤。
  11. ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
    (工程1´)(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤と、(C)その他の医薬添加剤、を混合する工程、
    (工程2´)(工程1´)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程、
    を含む医薬錠剤の製造方法。
  12. ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、請求項11に記載の(工程1´)が、
    (工程1´−1)(A)ダサチニブと、(B´)アミノ基修飾高分子添加剤を混合する工程、
    (工程1´−2)(工程1´−1)で得られた混合物と(C)その他の医薬添加剤を混合する工程、
    を含む請求項11に記載の医薬錠剤の製造方法。
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