以下、実施形態に係る船舶について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る船舶1aの側面図である。図2は、船舶1aの上面図である。図3は、船舶1aの下面図である。本実施形態において、船舶1aは、ジェット推進艇であり、ジェットボートまたはスポーツボートと呼ばれるタイプの船である。
船舶1aは、船体2と、エンジン3L,3Rと、船舶推進機4L,4Rとを含む。船体2は、デッキ11とハル12とを含む。ハル12は、デッキ11の下方に配置されている。デッキ11には、操船席13が配置されている。操船席13には、船舶1aを操舵するためのステアリングホイール14が配置されている。また、操船席13には、船舶1aの前後進の切換、及び、船速を調整するための操作レバー15が配置されている。デッキ11の後部には、トランサムステップ16が配置されている。
船舶1aは、2つのエンジン3L,3Rと2つの船舶推進機4L,4Rとを含む。詳細には、船舶1aは、第1エンジン3Lと第2エンジン3Rとを含んでいる。船舶1aは、第1船舶推進機4Lと第2船舶推進機4Rとを含んでいる。ただし、エンジンの数は2つに限らず、1つであってもよく、或いは、3つ以上であってもよい。船舶推進機の数は2つに限らず、1つであってもよく、或いは、3つ以上であってもよい。
第1エンジン3Lと第2エンジン3Rとは、船体2に収容されている。第1エンジン3Lの出力軸は、第1船舶推進機4Lに接続されている。第2エンジン3Rの出力軸は、第2船舶推進機4Rに接続されている。第1船舶推進機4Lは、第1エンジン3Lによって駆動され、船体2を移動させる推進力を発生させる。第2船舶推進機4Rは、第2エンジン3Rによって駆動され、船体2を移動させる推進力を発生させる。第1船舶推進機4Lと第2船舶推進機4Rとは左右に並んで配置されている。
第1船舶推進機4Lと第2船舶推進機4Rとは、船体2のまわりの水を吸い込んで噴射するジェット推進機である。第1船舶推進機4Lは、第1水噴射口29Lを含む。第2船舶推進機4Rは、第2水噴射口29Rを含む。第1船舶推進機4Lは、第1水噴射口29Lから水を噴射する。第2船舶推進機4Rは、第2水噴射口29Rから水を噴射する。それにより、第1船舶推進機4Lと第2船舶推進機4Rとは、船体2を推進させる。すなわち、第1水噴射口29Lと第2水噴射口29Rとは、船体2を推進させる水流発生源である。
図4は、第1船舶推進機4Lの構成を示す側面図である。なお、図4においては第1船舶推進機4Lの一部が断面で示されている。図4に示すように、第1船舶推進機4Lは、第1インペラシャフト21Lと、第1インペラ22Lと、第1インペラハウジング23Lと、第1ノズル24Lと、第1デフレクタ25Lと、第1リバースバケット26Lとを含む。
第1インペラシャフト21Lは、前後方向に延びるように配置されている。第1インペラシャフト21Lの前部は、カップリング28Lを介してエンジン3Lの出力軸に接続されている。第1インペラシャフト21Lの後部には、第1インペラ22Lが取り付けられている。第1インペラ22Lは、第1インペラハウジング23L内に配置されている。第1インペラ22Lは、第1インペラシャフト21Lとともに回転して、水吸引口27Lから水を吸引する。第1インペラ22Lは、吸引した水を第1ノズル24Lから後方に噴射させる。
第1デフレクタ25Lは、第1ノズル24Lの後方に配置されている。第1リバースバケット26Lは、第1デフレクタ25Lの後方に配置されている。第1デフレクタ25Lは、第1ノズル24Lからの水の噴射方向を左右方向に転換するように構成されている。上述した第1水噴射口29Lは、第1デフレクタ25Lに設けられている。ただし、第1水噴射口29Lは、第1ノズル24Lなどの他の部分に設けられてもよい。
第1リバースバケット26Lは、前進位置と後進位置とに切換可能に設けられている。第1リバースバケット26Lが前進位置と後進位置とに切り換えられることで、第1ノズル24Lからの噴流の方向が変更される。それにより、船舶1aの前進と後進とが切り換えられる。図示を省略するが、第2船舶推進機4Rは、第1船舶推進機4Lと同様の構成である。
図5は、船舶1aの背面図である。図6及び図7は、船舶1aの後部の斜視図である。図3から図7に示すように、船舶1aはガイド5を含む。ガイド5は船体2に取り付けられている。ガイド5は、トランサムステップ16の下面に取り付けられている。ガイド5は、船速が所定速度以下であるときに水面下に位置し、船速が所定速度より高いときに水面よりも上方に位置するような高さに配置されている。所定速度は、船舶1aが滑走する速度である。ガイド5は、船体2に着脱可能に取り付けられる。
図8及び図9は、ガイド5の斜視図である。図8及び図9に示すように、ガイド5は、第1プレート部51と、第2プレート部52と、取付部53とを含む。ガイド5は、第1プレート部51と第2プレート部52との間で屈曲した形状を有している。ガイド5が船体2に取り付けられた状態では、第1プレート部51は、トランサムステップ16の下面に面して配置される。
取付部53は、船体2に着脱可能に取り付けられる。取付部53は、第1プレート部51に設けられている。取付部53は、第1の吸盤531と第2の吸盤532とを含む。第1の吸盤531と第2の吸盤532とは、第1プレート部51の長手方向に並んで配置されている。なお、取付部53は、吸盤に限らず、ボルト等の他の取付手段によって構成されてもよい。
第2プレート部52は、第1ガイド面54と第2ガイド面55とを含む。第1ガイド面54は、第2プレート部52の内側の面である。第2ガイド面55は、第2プレート部52の外側の面である。第2ガイド面55は、第1ガイド面54の外側に配置されている。
図8に示すように、第1ガイド面54は、第1内面541と第2内面542と第3内面543とを含む。第1内面541は、第2内面542と第3内面543との間に位置している。第1内面541と第2内面542との間は、滑らかに湾曲した曲面状の形状を有する。第1内面541と第3内面543との間は、滑らかに湾曲した曲面状の形状を有する。
図9に示すように、第2ガイド面55は、第1外面551と第2外面552と第3外面553とを含む。第1外面551は、第2外面552と第3外面553との間に位置している。第1外面551は、第1内面541の外側に位置している。第2外面552は、第2内面542の外側に位置している。第3外面553は、第3内面543の外側に位置している。第1外面551と第2外面552との間は、滑らかに湾曲した曲面状の形状を有する。第1外面551と第3外面553との間は、滑らかに湾曲した曲面状の形状を有する。
図9に示すように、ガイド5は、ロープ31が取り付けられるブラケット56を含む。図7に示すように、ガイド5は、ロープ31によって船体2と接続されている。それにより、航行中に、万一、ガイド5の取付部53が船体2から外れても、ガイド5の紛失を防止することができる。
図10は、船体2の後部を示す拡大下面図である。図11は、船体2の後部を示す斜視図である。図10及び図11に示すように、第1ガイド面54は、第1、第2噴射口29L,29Rよりも側方の位置から、船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。図10及び図11において破線矢印A1で示すように、第1ガイド面54は、船体2の側方を流れる水を、第1、第2噴射口29L,29Rの後方、且つ、上方の位置に案内する。
図5に示すように、第1ガイド面54の下端は、第1、第2噴射口29L,29Rの下端よりも上方に配置されている。第1ガイド面54の上端は、第1、第2噴射口29L,29Rの上端よりも上方に配置されている。ガイド5が第1、第2噴射口29L,29Rよりも左方の位置に取り付けられる場合、第1ガイド面54は、第1噴射口29Lの左側端よりも左方に位置している。
図10に示すように、第1ガイド面54の第1内面541は、船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。第2内面542は、第1内面541の前方に配置されている。第2内面542は、第1内面541から船体2の前方へ向かって延びている。第3内面543は、第1内面541から、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。
第2ガイド面55は、第1ガイド面54と同様に、第1、第2噴射口29L,29Rよりも側方の位置から、船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。図10及び図11において破線矢印A2で示すように、第2ガイド面55は、船体2の一側方を流れる水の流速を、船体2の他側方を流れる水の流速よりも増大させるように、船体2の一側方を流れる水を案内する。
図10及び図11に示すように、第2ガイド面55の第1外面551は、船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。第2外面552は、第1外面551から船体2の前方へ向かって延びている。第2外面552の前端は、船体2の側面121の後端の後方に配置されている。第2外面552は、船体2の側面121よりも船体2の幅方向における内方に位置する。ただし、第2外面552は、船体2の左側面と面一に配置されてもよい。第3外面553は、第1外面551から、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。
上記の説明では、ガイド5が第1、第2噴射口29L,29Rよりも左方の位置で船体2に取り付けられている例について説明した。しかし、ガイド5は、船体2に着脱可能である。また、ガイド5は、ガイド5の長手方向における中心を通る平面に対して、左右対称な形状を有している。従って、ガイド5は、図10に示す第1、第2噴射口29L,29Rよりも左方の位置から取り外されて、図12に示す第1、第2噴射口29L,29Rよりも右方の位置に容易に付け替えることが可能である。
以上説明した第1実施形態に係る船舶1aでは、ガイド5の第1ガイド面54と第2ガイド面55によって、船体2の側方を流れる水が、船体2の幅方向における内側に向けて案内される。詳細には、第1ガイド面54によって、船体2の側方を流れる水が、第1、第2噴射口29L,29Rの後方、且つ、上方の位置に案内される。また、ガイド5の第2ガイド面55は、船体2の一側方を流れる水と、船体2の他側方を流れる水とが合流するタイミングを、ガイド5が船体2に設けられていない場合よりも早くする。すなわち、第2ガイド面55は、船体2の一側方を流れる水の流速を、船体2の他側方を流れる水の流速よりも増大させるように、船体2の一側方を流れる水を案内する。それにより、図11において矢印A1,A2で示すように、船体2の一側方を流れる水は、第1、第2噴射口29L,29Rから後方に向けて吹き出された水流A3を上方から覆うように、ガイド5によって案内される。それにより、船舶推進機4L,4Rによって生成される水流によって水面上に立つ水しぶきが抑えられ、水しぶきの少ない平坦な後流を作り出すことができる。その結果、図13に示すように、水面において船舶推進機4L,4Rによる水しぶきが立っている領域R1が、ガイド5によって案内される水流によって狭められ、ウェイクサーフィンにとって好ましい平坦な後流の領域R2を広く確保することができる。それにより、船体2の幅方向における中心に対してガイド5が配置されているのと同じ側にウェイクサーフィン用のウェイクを生成することができる。
ガイド5は、船舶1aに着脱可能である。そのため、既存の船舶1aに容易に後付けすることができる。また、船舶1aの後部において、第1、第2噴射口29L,29Rよりも左方の位置と右方の位置とのいずれかを任意に選択して、ガイド5を容易に取り付けることができる。そのため、平坦な後流の位置をウェイクサーファーの要望に応じて容易に変更することができる。
次に、第2実施形態に係る船舶1bに付いて説明する。図14は、第2実施形態に係る船舶1bを示す側面図である。図15は、船舶1bを示す上面図である。図16は、船舶1bを示す背面図である。図14から図16に示すように、船舶1bは、右ガイド5Rと左ガイド5Lとを含む。なお、第2実施形態に係る船舶1bの他の構造は、上述した第1実施形態に係る船舶1aと同様であるため、説明を省略する。
右ガイド5Rは、船体2の後部に取り付けられている。右ガイド5Rの前端は、船体2の側面122の後端の後方に配置されている。右ガイド5Rは、第1、第2噴射口29L,29Rよりも右方に配置されている。右ガイド5Rは、船舶1bの滑走時には水面よりも上方に位置し、船舶1bの停止時及びハンプ時には水面下に位置するような高さに配置されている。右ガイド5Rは、水面下に位置する状態で、船体2の側方を流れる水を、第1、第2噴射口29L,29Rの後方、且つ、上方の位置に案内する。
図17は、右ガイド5Rの拡大斜視図である。図17に示すように、右ガイド5Rは、右本体ガイド57Rと右可動機構58Rとを含む。右本体ガイド57Rは、船体2に取り付けられている。
右本体ガイド57Rは、右ガイド5Rによって案内される水が入る右入口61Rを含む。右入口61Rは、右本体ガイド57Rの内部通路に連通している。右入口61Rは、右本体ガイド57Rの側面に設けられている。図15に示すように、右入口61Rが設けられた右本体ガイド57Rの側面は、船体2の側面122と面一に配置されている。ただし、右本体ガイド57Rの側面は、船体2の側面122よりも船体2の幅方向における内方に位置してもよい。
図17に示すように、右本体ガイド57Rは、右ガイド5Rによって案内される水が噴出す右出口62Rを含む。右出口62Rは、第2噴射口29Rの右側端よりも右方に位置している。右出口62Rは右入口61Rよりも狭い。それにより、右入口61Rから右ガイド5R内に取り込まれた水は、増速して右出口62Rから吹き出される。
図18は、船舶1bの後部の拡大上面図である。図18に示すように、右本体ガイド57Rは、第1右ガイド面54Rと第2右ガイド面55Rとを含む。第1右ガイド面54Rは、第1、第2噴射口29L,29Rよりも右方の位置から、船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。
第2右ガイド面55Rは、第1右ガイド面54Rの外側に配置されている。第2右ガイド面55Rは、第1右ガイド面54Rと同様に、第1、第2噴射口29L,29Rよりも側方の位置から、船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びている。第2右ガイド面55Rは、船体2の一側方を流れる水の流速を、船体2の他側方を流れる水の流速よりも増大させるように、船体2の一側方を流れる水を案内する。
右可動機構58Rは、右可動ガイド63Rと右アクチュエータ64Rとを含む。右可動ガイド63Rは、右本体ガイド57Rに対して可動的に設けられている。例えば、右可動ガイド63Rは、ピボット軸65Rを中心に、右本体ガイド57Rに対して回転可能に取り付けられている。
右可動ガイド63Rの内部通路は、右本体ガイド57Rの内部通路と連通している。右可動ガイド63Rの下端は、第1、第2噴射口29L,29Rの下端よりも上方に配置されている。右可動ガイド63Rの上端は、第1、第2噴射口29L,29Rの上端よりも上方に配置されている。
右アクチュエータ64Rは、右可動ガイド63Rの向きを変更することで、右ガイド5Rによる水の案内方向を変更する。右ガイドアクチュエータ64Rは、例えば、油圧シリンダと油圧ポンプとを含む。ただし、右ガイドアクチュエータ64Rは、油圧シリンダと油圧ポンプに限らず他の装置であってもよい。例えば、右ガイドアクチュエータ64Rは、電動モータとギアとによって構成されてもよい。
図18に示すように、右ガイド5Rは、右開閉機構59Rを含む。右開閉機構59Rは、右入口61Rを開閉する。右開閉機構59Rは、図18に示す右シャッター部66Rと、図19に示す右開閉アクチュエータ67Rとを含む。右シャッター部66Rは開状態と閉状態とに切り換えられる。右シャッター部66Rは、開状態で右入口61Rを開く。右開閉アクチュエータ67Rは、閉状態で右入口61Rを閉じる。
右シャッター部66Rを開状態と閉状態に切り換える。右開閉アクチュエータ67Rは、例えば、油圧シリンダと油圧ポンプとを含む。ただし、右開閉アクチュエータ67Rは、油圧シリンダと油圧ポンプに限らず他の装置であってもよい。例えば、右開閉アクチュエータ67Rは、電動モータとギアとによって構成されてもよい。
左ガイド5Lは、左本体ガイド57Lと、左可動機構58Lと、左開閉機構59Lを含む。左本体ガイド57Lは、第1左ガイド面54Lと第2左ガイド面55Lとを含む。左本体ガイド57Lは、左入口61Lと左出口62Lとを含む。左可動機構58Lは、左可動ガイド63Lと左ガイドアクチュエータ64Lとを含む。左開閉機構59Lは、左シャッタ部66Lと、左開閉アクチュエータ67Lとを含む。上記の左ガイド5Lの各部は、右ガイド5Rの対応する各部と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
図16に示すように、船舶1bは、右トリムタブ68Rと左トリムタブ68Lとを含む。右トリムタブ68Rと左トリムタブ68Lとは、船体2の後部に取り付けられている。右トリムタブ68Rと左トリムタブ68Lとは、格納位置とトリム位置とに移動可能に船体2に取り付けられている。右トリムタブ68Rは、格納位置において、船底(滑走面)及び右ガイド5Rの底面とほぼ面一となる。左トリムタブ68Lは、格納位置において、船底(滑走面)及び左ガイド5Lの底面とほぼ面一となる。右トリムタブ68Rと左トリムタブ68Lとは、トリム位置において、船底(滑走面)よりも下方に突出して配置される。
船舶1bは、右トリムアクチュエータ69Rと左トリムアクチュエータ69Lとを含む。右トリムアクチュエータ69Rは、右トリムタブ68Rに取り付けられている。右トリムアクチュエータ69Rは、右トリムタブ68Rを格納位置とトリム位置とに移動させる。左トリムアクチュエータ69Lは、左トリムタブ68Lに取り付けられている。左トリムアクチュエータ69Lは、左トリムタブ68Lを格納位置とトリム位置とに移動させる。右トリムアクチュエータ69Rと左トリムアクチュエータ69Lとは、例えば、油圧シリンダと油圧ポンプとを含む。ただし、右トリムアクチュエータ69Rと左トリムアクチュエータ69Lとは、油圧シリンダと油圧ポンプに限らず他の装置であってもよい。例えば、右トリムアクチュエータ69Rと左トリムアクチュエータ69Lとは、電動モータとギアとによって構成されてもよい。
図19は、船舶1bの制御系を示す図である。図19に示すように、船舶1bは、入力装置33とコントローラ34とを備えている。入力装置33は、例えばタッチパネルであり、ユーザーによる入力操作に応じた信号を出力する。ただし、入力装置33は、スイッチ、或いはレバーなどの他の装置であってもよい。コントローラ34は、例えば、CPUなどのプロセッサと、RAM,ROMなどのメモリとを含む。
コントローラ34は、有線、或いは無線を介して、入力装置33と、左右のガイドアクチュエータ64L,64Rと、左右の開閉アクチュエータ67L,67Rと、左右のトリムアクチュエータ69L,69Rと接続されている。コントローラ34は、ユーザーによる入力装置33の操作に応じて、左右の可動機構58L,58Rを動作させる。コントローラ34は、ユーザによる入力装置33の操作に応じて、左右の開閉機構59L,59Rを動作させる。コントローラ34は、ユーザによる入力装置33の操作に応じて、左右のトリムアクチュエータ69L,69Rを動作させる。
詳細には、コントローラ34は、ユーザーによる入力装置33の操作に応じて、右ガイドアクチュエータ64Rを制御することで、右可動ガイド63Rの向きを変更する。それにより、右ガイド5Rによる水の案内方向を変更することができる。コントローラ34は、ユーザーによる入力装置33の操作に応じて、左ガイドアクチュエータ64Lを制御することで、左可動ガイド63Lの向きを変更する。それにより、左ガイド5Lによる水の案内方向を変更することができる。
コントローラ34は、ユーザーによる入力装置33の操作に応じて、左右のガイドアクチュエータ64L,64Rを制御することで、左右のガイド5L,5Rの選択を行うことができる。例えば、コントローラ34は、入力装置33によって右ガイド5Rが選択されたときには、左右のガイドアクチュエータ64L,64Rを制御することで、右入口61Rを開くと共に、左入口61Lを閉じる。それにより、右ガイド5Rによって平坦な後流を生成することができる。コントローラ34は、入力装置33によって左ガイド5Rが選択されたときには、左右のガイドアクチュエータ64L,64Rを制御することで、左入口61Lを開くと共に、右入口61Rを閉じる。それにより、左ガイド5Lによって平坦な後流を生成することができる。或いは、コントローラ34は、入力装置33によって左右のガイド5R,5Lの不使用が選択されたときには、左右のガイドアクチュエータ64L,64Rを制御することで、右入口61Rと左入口61Lとを閉じる。
コントローラ34は、右ガイド5Rが選択されたときには、右トリムタブ68Rを格納位置に配置すると共に、左トリムタブ68Lをトリム位置に配置する。コントローラ34は、左ガイド5Lが選択されたときには、左トリムタブ68Lを格納位置に配置すると共に、右トリムタブ68Rをトリム位置に配置する。
以上説明した第2実施形態に係る船舶1bにおいても、右ガイド5R、或いは左ガイド5Lによって、ウェイクサーフィンにとって好ましい平坦な後流の領域を広く確保することができる。
また、右ガイド5Rによって平坦な後流を生成する場合には、右可動機構58Rによって、右ガイド5Rから噴出される水流の向きを変更することができる。左ガイド5Lによって平坦な後流を生成する場合には、左可動機構58Lによって、左ガイド5Lから噴出される水流の向きを変更することができる。それにより、ウェイクサーフィンにとって、さらに好ましい後流を作り出すことができる。
さらに、右ガイド5Rが選択されたときには、右トリムタブ68Rが格納位置に配置されると共に、左トリムタブ68Lがトリム位置に配置される。それにより、船体2が右方に傾くことで、船側からの水を右ガイド5Rによって取り込み易くすることができる。また、船体2が、ウェイクサーフィンのプレイ面へ、より沈み込むことになり、より高い後流(wake)を発生させることができる。また、右トリムタブ68Rは、格納位置において、船底及び右ガイド5Rの底面とほぼ面一となる。それにより、右ガイド5Rによる後流の発生への影響が押さえられる。なお、左ガイド5Lが選択されたときも同様の効果が得られる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
船舶推進機は、上述したようなジェット推進機に限らず、他の装置であってもよい。例えば、船舶推進機は、図20に示す船外機9であってもよい。船外機9は、例えば、エンジン91と、ドライブシャフト92と、プロペラシャフト93とを含む。エンジン91のクランク軸94は、ドライブシャフト92に接続されている。プロペラシャフト93は、ドライブシャフト92に接続されている。プロペラシャフト93にはプロペラ95が接続されている。船舶推進機が船外機9である場合には、水流発生源は船外機9のプロペラ95であってもよい。
第1実施形態に係るガイド5は、船体2に一体的に形成されてもよい。第2実施形態に係る右ガイド5Rの右本体ガイド57Rと、左ガイド5Lの左本体ガイド57Lとは、船体2に一体的に形成されてもよい。
左右の可動機構58L,58Rは、手動により動作してもよい。或いは、左右の可動機構58L,58Rは、省略されてもよい。左右の開閉機構59L,59Rは、手動により動作してもよい。或いは、左右の開閉機構59L,59Rは、省略されてもよい。
コントローラ34は、後流を平坦に整える場合には、左右の可動ガイド63L,63Rの一方のみを船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びるように配置し、他方を船体2の前後方向に対して真っ直ぐに配置してもよい。例えば、コントローラ34は、入力装置33によって右ガイド5Rが選択されたときには、右可動ガイド63Rを船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びるように配置し、左可動ガイド63Lを船体2の前後方向に対して真っ直ぐに配置してもよい。コントローラ34は、入力装置33によって左ガイド5Lが選択されたときには、左可動ガイド63Lを船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びるように配置し、右可動ガイド63Rを船体2の前後方向に対して真っ直ぐに配置してもよい。なお、コントローラ34は、左右のガイド5L,5Rによって後流を平坦に整えない場合には、左右の可動ガイド63L,63Rの両方を船体2の前後方向に対して真っ直ぐに配置してもよい。
ガイドの構造は、上述した第1実施形態のものに限られず、変更されてもよい。図21は、第1実施形態の第1変形例に係る船舶1aを示す図である。第1変形例に係る船舶1aでは、ガイド5は、ラッチバー71によって船体2に固定される。図22は、第1変形例に係るガイド5を示す図である。図22では、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付している。図22に示すように、ガイド5は、第1開口501と第2開口502とを含む。第1開口501と第2開口502とは、第1プレート部51に設けられている。図21に示すように、船舶1aの底部にはアイ74が設けられている。ガイド5が船舶1aの左舷に取り付けられる場合には、第1開口501にアイ74が通される。
第1開口501にアイ74が通されてアイ74が第1開口501から突出した状態で、ラッチバー71がアイ74に挿入される。図23はラッチバー71の拡大図である。図23に示すように、ラッチバー71は、第1孔711を含む。第1孔711は、ラッチバー71を貫通しており、第1孔711には雌ネジが設けられている。第1孔711には、雄ネジを有する固定部材76が螺合している。固定部材76の先端761が第1孔711から突出してガイド5を押圧することにより、ラッチバー71がガイド5に固定される。
また、ラッチバー71は、第1孔712を含む。第1孔712は、ラッチバー71を貫通している。第1孔712には、抜け止め部材78が挿入される。図24は、抜け止め部材78の拡大図である。
抜け止め部材78は、軸部81と、突起部82,83と、把持部84と、スイッチ85とを含む。軸部81は、第1孔712に挿入される。突起部82,83は軸部81の先端に設けられている。把持部84は軸部81の基端に設けられている。スイッチ85は把持部84に設けられている。スイッチ85が押されている状態では、突起部82,83は軸部81内に引っ込んだ状態となる。スイッチ85が押されていないときには、突起部82,83は軸部81から突出した状態となる。
抜け止め部材78が第1孔712に挿入された状態で、突起部82,83がラッチバー71に係止することで、抜け止め部材78がラッチバー71に固定される。アイ74は、固定部材76と抜け止め部材78との間に位置する。従って、ラッチバー71は、抜け止め部材78によってアイ74から抜け止めされる。これにより、ガイド5が船舶1aから脱落することを防止することができる。
図23に示すように、ラッチバー71には、第1連結部713が設けられている。抜け止め部材78には、第2連結部781が設けられている。ラッチバー71の第1連結部713と抜け止め部材78の第2連結部781とには、ローブ等の連結部材80が接続される。ラッチバー71と抜け止め部材78とは、連結部材80によって接続される。
なお、図22に示すように、ガイド5は連結部505を含む。ガイド5は、ロープ等の連結部材79によって、船体2と接続される。連結部材79は、ガイド5の連結部505に接続される。このように、ガイド5が連結部材79によって船体2に接続されることで、ガイド5が脱落することを防止することができる。
以上説明した第1変形例に係るガイド5は、第1実施形態と同様に、水しぶきの少ない平坦な後流を作り出すことができる。また、ガイド5は、船体2に着脱可能である。ガイド5を船体2の左舷に取り付けるときには、第1開口501にアイ74を挿入した状態で、ラッチバー71をアイ74に挿入する。そして、固定部材76を第1孔711にねじ込んで締め付け、抜け止め部材78を第1孔712に取り付ける。それにより、ガイド5を容易に船体2に取り付けることができる。
ガイド5を船体から取り外すときには、固定部材76を緩めると共に、抜け止め部材78のスイッチ85を押した状態で、抜け止め部材78を第1孔712から引き抜く。そして、ラッチバー71をアイ74から引き抜くことによって、ガイド5を船体2から容易に取り外すことができる。
なお、図示を省略するが、ガイド5が船舶1aの右舷に取り付けられる場合には、第1開口502にアイ74が通される。そして、左舷に取り付けられる場合と同様に、ラッチバー71がアイ74に通され、固定部材76と抜け止め部材78とによって、ラッチバー71が固定される。従って、船舶1aの左舷と右舷とにガイド5を容易に付け替えることができる。
また、ラッチバー71と抜け止め部材78とは連結部材80によって接続される。それにより、抜け止め部材78が水中に脱落することが防止される。
図25は、第2変形例に係るガイド5を示す図である。図25に示すように、第2変形例に係るガイド5は、リブ503,504を含む。リブ503,504は、第1プレート部51と第2プレート部52とに亘って設けられている。リブ503,504は、第1プレート部51と第2プレート部52とに接続されている。リブ503,504は、第1リブ503と第2リブ504とを含む。第1開口501と第2開口502とは、第1リブ503と第2リブ504との間に配置されている。ラッチバー71は、アイ74に挿入された状態で、第1リブ503と第2リブ504との間に配置される。
第2変形例に係るガイド5では、リブ503,504によってガイド5の強度が向上する。また、ラッチバー71がアイ74に挿入された状態で、ラッチバー71がリブ503,504によって抜け止めされる。
なお、図25に示すように、ガイド5は連結部505を含んでもよい。ガイド5は、ロープ等の連結部材79によって、船体2と接続されてもよい。連結部材79は、ガイド5の連結部505に接続されてもよい。連結部505は、リブ503に設けられてもよい。或いは、連結部505は、ガイド5の他の部分に設けられてもよい。
なお、連結部材79は、船体2と、ガイド5、ラッチバー71とに接続されてもよい。例えば、連結部材79は、船体2と、ガイド5の連結部505と、ラッチバー71の第1連結部713とに接続されてもよい。それにより、ガイド5とラッチバー71とが水中に脱落することを防止することができる。
図26は、第3変形例に係るガイド5を示す図である。図26に示すように、第1プレート部51は、凹部507を含んでもよい。図25に示す第2変形例に係るガイド5では、第1開口501と第2開口502とは近接して配置されている。しかし、図26に示す第3変形例に係るガイド5のように、第1開口501と第2開口502とは、ガイド5の長手方向に離れて配置されてもよい。連結部505は、第2プレート部52に設けられてもよい。
図27は、第4変形例に係るガイド5を示す図である。上述した第2変形例及び第3変形例に係るガイド5は、2つのリブ503,504を含む。しかし、図27に示すように、ガイド5は、1つのリブ506のみを含んでもよい。リブ506は、第1開口501と第2開口502との間に配置されてもよい。
左右のガイド5L,5Rの構成は、上述した第2実施形態のものに限らず、変更されてもよい。図28及び図29は、第2実施形態の変形例に係る船舶2bを示す図である。第2実施形態の変形例に係る船舶2bでは、左ガイド5L,5Rは、船体2の底面から突出して配置される展開位置と、船体2の底面に沿って配置される収納位置とに移動可能に設けられる。図28は、展開位置での左ガイド5Lを示している。図29は、収納位置での左ガイド5Lを示している。
左ガイド5Lが展開位置では、左ガイド5Lは、上述した第1実施形態のガイド5と同様に配置される。すなわち、左ガイド5Lの第1ガイド面54は、水噴射口29L,29Rよりも側方の位置から、船体2の後方、且つ、船体2の幅方向における中心に向かって延びるように配置される。また、第1ガイド面54の少なくとも一部が、水噴射口29L,29Rよりも上方に配置される。それにより、水しぶきの少ない平坦な後流を作り出すことができる。
第2実施形態の変形例に係る船舶2bは、図30に示す左アクチュエータ86Lを備えている。図30に示すように、左ガイド5Lは、回転軸87Lを含み、回転軸87Lまわりに回転することで、収納位置と展開位置とに移動するように構成されている。なお、図30において、実線は、展開位置での左ガイド5L及び左アクチュエータ86Lを示している。破線は、展開位置での左ガイド5L及び左アクチュエータ86Lを示している。左アクチュエータ86Lは、左ガイド5Lに接続されており、左ガイド5Lを収納位置と展開位置とに移動させる。
詳細には、左ガイド5Lには、アーム部88Lが接続されている。左アクチュエータ86Lは、油圧シリンダ、或いは電動シリンダである。左アクチュエータ86Lは、アーム部88Lに対して回転可能に接続されている。左アクチュエータ86Lは、船体2に対して回転可能に接続されている。左アクチュエータ86Lが伸張することにより、左ガイド5Lを収納位置から展開位置に移動させる。左アクチュエータ86Lが収縮することにより、左ガイド5Lを展開位置から収納位置に移動させる。ただし、左アクチュエータ86Lはシリンダに限らず、モータとギアなどの他の機構であってもよい。
図31は、第2実施形態の変形例に係る船舶2bの制御系を示す図である。図31に示すように、第2実施形態の変形例に係る船舶2bは、右ガイド5Rと右アクチュエータ86Rとを備えている。右ガイド5Rは、左ガイド5Lと左右対称であり、左ガイド5Lと同様の構成を有している。右アクチュエータ86Rは、左アクチュエータ86Lと左右対称であり、左アクチュエータ86Lと同様の構成を有している。
左右のアクチュエータ86L,86Rは、コントローラ34によって制御される。コントローラ34は、ユーザーによる入力装置33の操作に応じて、左右のアクチュエータを制御することで、左右のガイド5L,5Rの選択を行うことができる。例えば、コントローラ34は、入力装置33によって左ガイド5Lが選択されたときには、左右のアクチュエータ86L,86Rを制御することで、右ガイド5Rを収納位置に配置すると共に、左ガイド5Lを展開位置に配置する。それにより、左ガイド5Lによって平坦な後流を生成することができる。
コントローラ34は、入力装置33によって右ガイド5Rが選択されたときには、左右のアクチュエータ86L,86Rを制御することで、左ガイド5Lを収納位置に配置すると共に、右ガイド5Rを展開位置に配置する。それにより、右ガイド5Rによって平坦な後流を生成することができる。或いは、コントローラ34は、入力装置33によって左右のガイド5L,5Rの不使用が選択されたときには、左右のアクチュエータ86L,86Rを制御することで、左ガイド5Lを収納位置に配置すると共に、右ガイド5Rを収納位置に配置する。
以上説明した第2実施形態の変形例に係る船舶2bにおいても、右ガイド5R、或いは左ガイド5Lによって、ウェイクサーフィンにとって好ましい平坦な後流の領域を広く確保することができる。