JP2019123077A - 蓄熱抑制性表皮材 - Google Patents

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由則 長嶺
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Abstract

【課題】蓄熱抑制効果を一層高めた、自動車内装材に用いられる蓄熱抑制性表皮材の提供。【解決手段】第1繊維集合体層10と、貫通孔31を備え熱線5を反射する熱線反射層30と、第2繊維集合体層20とが、順次積層されてなり、第1繊維集合体層10及び第2繊維集合体層20は、第1繊維集合体層10及び第2繊維集合体層20のうち少なくとも一方を構成し且つ貫通孔31を通る構成繊維13,23によって互いに交絡されている蓄熱抑制性表皮材1。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄熱抑制性表皮材に関する。更に詳しくは、自動車の内装材に用いる表皮材であって室内の温度上昇抑制効果を一層高めた蓄熱抑制性表皮材に関する。
近年、自動車室内の冷房空調システムの負荷を減らす等の理由で、自動車室内に入射する熱線を反射できる材料開発への期待が高まっている。例えば炎天下に駐車中の自動車では、自動車の窓ガラスから太陽光が入射し、インストルメント・パネル、シート等に到達し、これら内装材に熱エネルギーとして蓄積され、室内が非常に高温になることが問題になる。従って、このように、各種内装材に用いられる表皮材であって、蓄熱を防止できる蓄熱抑制性表皮材への期待が高まっている。このような期待に応える表皮材として、例えば、特許文献1に開示される表皮材が知られている。
特開2004−358664号公報
しかしながら、特許文献1に開示される自動車用内装表皮材による蓄熱抑制程度では不十分であり、一層の蓄熱抑制性能が期待される実情がある。近年、ますます自動車の電動化を加速させることが待望されており、走行距離を長くすることが至上命題の一つとして掲げられる。そのためには、自動車を駆動する動力源に優先的に電気エネルギーを供給できれば好ましい。
このような問題意識の中、自動車室内が高温になると、乗車するヒトの不快感が増し、その不快感を緩和するために空調冷房システムに対する負荷が大きくなってしまう。ひいては、自動車の電気エネルギー消費総量が増す。他に先んじて動力源に費やすべき電気エネルギーが空調冷房システムによって消費されることを軽視できず、自動車電動化促進のマイナス要因になりかねない懸念がある。
上記の問題に対処すべく、特許文献1には、自動車の内装材としてシートに最適に用いられる表皮材が開示されている。従来構成の表皮材は、一層の自動車室内の温度上昇抑制性能を表皮材に求める観点から、改善余地をまだ残すという問題を有していた。
具体的には、表皮材は、意匠層と反射層とを積層してなる。意匠層は、織編物又は不織布よりなり(請求項4)、反射層は、織編物又は不織布を基材とし、当該基材表面に金属蒸着したものよりなる(請求項7)。また、意匠層と反射層とを一体化するために、意匠層と反射層とをフレームラミネーションによって接着する方法が用いられている([0051])。このように、意匠層と反射層とをラミネート材料を介して接着してなる表皮材では、当該ラミネート材料が、意匠層と反射層との間に接着層として残る。表皮材に入射する熱線を反射するためには、熱線が意匠層及び接着層を透過し、表面に金属蒸着された反射層表面に到達することを要する。当該表皮材では、意匠層は所定の日射透過率を有するものの(請求項1)、接着層に関しては何ら言及されていない。通常、接着層は樹脂系材料よりなり、基本的に樹脂系材料は熱線を吸収し易い材料であるため、熱線を反射することによる蓄熱抑制性能を十分に果たせないという虞があった。
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、蓄熱抑制効果を一層高めた蓄熱抑制性表皮材を提供することを目的とする。
本発明は以下に示すとおりである。
1. 第1繊維集合体層と、貫通孔を備え且つ熱線を反射する熱線反射層と、第2繊維集合体層とが、順次積層されてなり、
前記第1繊維集合体層及び前記第2繊維集合体層は、前記第1及び第2の前記各繊維集合体層のうち少なくとも一方を構成し且つ前記貫通孔を通る構成繊維によって互いに交絡されていることを特徴とする蓄熱抑制性表皮材。
2. 前記熱線反射層は、樹脂フィルム層と、前記樹脂フィルム層の少なくとも一面に設けられた金属膜と、を有する1.に記載の蓄熱抑制性表皮材。
3. 前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの一方は、意匠面を構成する繊維集合体層であり、
前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの他方は、裏面を構成し且つ前記熱線を拡散反射できる拡散反射能を有する繊維集合体層である、1.又は2.に記載の蓄熱抑制性表皮材。
4. 前記裏面を構成する前記繊維集合体層は、白色である3.に記載の蓄熱抑制性表皮材。
5. 前記意匠面を構成する前記繊維集合体層は、前記裏面を構成する前記繊維集合体層に比べて明度が低い3.又は4.に記載の蓄熱抑制性表皮材。
6. 車両用パッケージトレイに用いられる1.〜5.の何れか一項に記載の蓄熱抑制性表皮材。
7. 前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの一方は、意匠面を構成する繊維集合体層であり、
前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの他方は、裏面を構成する繊維集合体層であり、
前記意匠面を構成する前記繊維集合体層は、前記熱線が入射する側に配され、
前記裏面を構成する前記繊維集合体層は、前記熱線を拡散反射できる拡散反射能を有する裏面側構成繊維を含有し、
前記貫通孔を通る前記裏面側構成繊維は、前記意匠面を構成する前記繊維集合体層の内部に止まって交絡されている6.に記載の蓄熱抑制性表皮材。
本発明の蓄熱抑制性表皮材は、第1繊維集合体層及び第二繊維集合体層が、熱線反射層に設けられた貫通孔を通る構成繊維同士の相互交絡により一体化される構成であり、繊維集合体層と熱線反射層とが直接的に接することができる。従って、繊維集合体層と熱線反射層との間に熱線反射層の反射能を妨げる接合層が存在せず、熱線が熱線反射層で反射される確率を高め、一層蓄熱されにくい蓄熱抑制性表皮材が得られる。
また、熱線反射層が、樹脂フィルム層に金属膜を設ける構成とすることにより、例えば金属蒸着フィルムのような汎用される材料を用いることで、布生地の表面に直接金属蒸着する構成の反射層よりも適度に薄く、蓄熱抑制性表皮材を製造する際の取扱い性がよく、大量生産に適した形態であり、効率的に製造できるので、生産性が高められ、製造コストを抑制することができる。
また、意匠面を構成する繊維集合体層と、裏面を構成する繊維集合体層と、を備える構成とすることにより、意匠面側から入射する熱線が裏面側に向けて繊維集合体層中を進行し、裏面側の繊維集合体層に至る前に、熱線反射層でより確実に熱線を反射できる。更に、裏面を構成する繊維集合体層が、熱線を拡散反射できる拡散反射能を有するので、熱線反射層にある貫通孔を通過し、意匠面側から裏面側に至る熱線をも、裏面側の繊維集合体層で拡散反射できる。従って、蓄熱抑制性能が一層高められる。
上記の場合、裏面側の繊維集合体層を白色にすることで、白色以外の他色を用いるよりも拡散反射効果を向上させることができる。
また、上記意匠面側の繊維集合体層の明度を、裏面側の繊維集合体層よりも低くする構成により、意匠面側の繊維集合体層で可視光線を吸収できる。従って、拡散反射効果を得るために明度を高くした意匠面側繊維集合体層の反射面(例えば窓ガラス)への映り込み現象を抑制できる。具体的には、意匠面が所定の反射体に対面するように配設される場合に、その反射面に意匠面が映り込み、反射体を介した視界が遮られる現象を抑制できる。
また、上記蓄熱抑制性表皮材を車両用パッケージトレイを装飾するために用いることにより、ウインドウを介して、ウインドウに対面して配設されるパッケージトレイの意匠面に向けて入射する熱線を、熱線反射層で反射できる。従って、車両内の内装材の温度上昇を確実に抑制できる。
また、意匠面側の繊維集合体層と交絡する裏面側構成繊維が、意匠面側の繊維集合体層の内部に止まる構成とすることにより、拡散反射能を備える裏面側構成繊維が意匠面に表れない状態が維持される。意匠面表面では、拡散反射能が発揮されにくくなる。パッケージトレイがウインドウに対面して配設される場合に、ウインドウに意匠面が映り込む現象を抑制できる。従って、拡散反射能を活用した蓄熱抑制性能を繊維集合体層内部で発揮すると共に、ウインドウを介した車両内部から外側に向けた視界を良好に維持できる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
蓄熱抑制性表皮材の概略構成を説明する図である。 他の実施形態の蓄熱抑制性表皮材の概略構成を説明する図である。 他の実施形態の蓄熱抑制性表皮材の概略構成を説明する図である。 他の実施形態の蓄熱抑制性表皮材を全体的に示す説明図である。 図4の一部分(矩形部)を拡大して示す説明図である。 図5の一部分(楕円部)を拡大して示す説明図である。 本発明に係る車両用パッケージトレイの説明図である。
以下、本発明を、図も参照しながら詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものである。本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に、本発明の構造的な詳細を示すことを意図するものでない。図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
[1]蓄熱抑制性表皮材
本発明の蓄熱抑制性表皮材(1,1A,1B)は、第1繊維集合体層(10,10A,10B)と、貫通孔(31)を備え且つ熱線(5)を反射する熱線反射層(30、30A、30B)と、第2繊維集合体層(20,20A,10B)とが、順次積層されてなり、
第1繊維集合体層(10,10A,10B)及び第2繊維集合体層(20,20A,10B)は、第1繊維集合体層(10,10A,10B)及び第2繊維集合体層(20,20A,20B)のうち少なくとも一方を構成し且つ貫通孔(31)を通る構成繊維(13,23,131,231,18)によって互いに交絡されていることを特徴とする(図1〜図3参照)。
また、蓄熱抑制性表皮材(1C)は、熱線反射層(30C)が、樹脂フィルム層(32)と、樹脂フィルム層(32)の少なくとも一面に設けられた金属膜(33)と、を有する、ことが好ましい(図4〜図6参照)。
また、蓄熱抑制性表皮材(1C)は、第1及び第2の各繊維集合体層(10C,20C)のうちの一方が、意匠面(17)を構成する繊維集合体層(10C)であり、第1及び第2の各繊維集合体層(10C,20C)のうちの他方が、裏面(27)を構成し且つ熱線(5)を拡散反射できる拡散反射能を有する繊維集合体層(20C)である、ことが好ましい(図6参照)。
また、蓄熱抑制性表皮材(1C)は、裏面(27)を構成する繊維集合体層(20C)が、白色である、ことが好ましい(図4〜図6参照)。
また、蓄熱抑制性表皮材(1C)は、意匠面(17)を構成する繊維集合体層(10C)が、裏面(27)を構成する繊維集合体層(20C)に比べて明度が低い、ことが好ましい(図4〜図6参照)。
また、蓄熱抑制性表皮材(1C)は、車両用パッケージトレイ(61)に用いられることが好ましい(図7参照)。
また、蓄熱抑制性表皮材(1C)は、第1及び第2の各繊維集合体層(10C,20C)のうちの一方が、意匠面(17)を構成する繊維集合体層(10C)であり、第1及び第2の各繊維集合体層(10C,20C)のうちの他方が、裏面(27)を構成する繊維集合体層(20C)であり、意匠面(17)を構成する繊維集合体層(10C)が、熱線(5)が入射する側に配され、裏面(27)を構成する繊維集合体層(20C)が、熱線(5)を拡散反射できる拡散反射能を有する裏面側構成繊維(25)を含有し、
貫通孔(31)を通る裏面側構成繊維(251)が、意匠面(17)を構成する繊維集合体層(10C)の内部に止まって交絡されている、ことが好ましい。
以下に、図1〜7を適宜に参照し、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
蓄熱抑制性表皮材は、蓄熱抑制性能が効果的に発揮される観点から、構造体の温度上昇が問題視される用途、例えば、車両の内装材を修飾するために好ましく用いられる。
図1に示す本実施形態の蓄熱抑制性表皮材1は、第1繊維集合体層10と、貫通孔31を備え且つ熱線5を反射する熱線反射層30と、第2繊維集合体層20とが、順次積層されて、互いに接合されてなる。即ち、第1繊維集合体層10及び第2繊維集合体層20は、熱線反射層30によって隔てられその両面側に積層及び接合される。
このような蓄熱抑制性表皮材は、通常、二層の繊維集合体層を備えるが、繊維集合体層の積層数は、繊維集合体層が熱線反射層を挟持する態様で複数層積層されていれば、特に限定されない。典型的には、蓄熱抑制性表皮材1は、第1及び第2の繊維集合体層10,20が、熱線反射層30の貫通孔31を貫通する互いの構成繊維13,23によって相互に交絡され、熱線反射層30を介して一体化される構成を備えている。
蓄熱抑制性表皮材は、第1繊維集合体層、熱線反射層及び第2繊維集合体層をそれぞれ形成する各前駆体層を順に積層した三層積層前駆体を用い、貫通孔を貫通する互いの構成繊維によって相互に交絡し一体化させる加工を施し得ることができる。
〔繊維集合体層〕
繊維集合体層は、一対の第1及び第2の各繊維集合体層を備え、三層積層体構造の蓄熱抑制性表皮材の上下層を形成する。各繊維集合体層は、多数の構成繊維を三次元的に無作為に組み合わせ一体に構成し、重なり合わせるために適した形状、例えば略シート状に成形してなる繊維集合体或いはその前駆体材料より形成されてなる。
繊維集合体層を構成する構成繊維の材料は、合成繊維、天然繊維及びその他繊維の中から1種又は2種以上を選択し、特に限定せずに適宜に利用できる。
合成繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維及びポリオレフィン繊維等の熱可塑性樹脂繊維等を利用できる。この中でポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等を、ポリアミド繊維としては、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等を、ポリオレフィン繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等を利用できる。
天然繊維としては、麻、綿等の植物繊維、羊毛、絹等の動物繊維等を、その他繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、レーヨン等の再生繊維等を利用できる。
構成繊維の集合形態は、特に限定されないが、通常は、シート状に集合する形態である。また、構成繊維をシート状に集合させる形態は、フィラメント糸を用いた織編物として構成繊維を集合させる態様であってもよいし、分散された長短の構成繊維を接着や機械的な絡合により集合させて不織布とする態様であってもよい。繊維集合体層がシート状であれば、基材の表面を広範囲に修飾する作業性がよいので好ましい。
また、各繊維集合体層は、適度に立体的に形成されるものでもよい。繊維集合体層を形成する前駆材料が適当に分厚い厚みに形成されていれば、互いの構成繊維によって相互に交絡され一体化され易い点で好ましい。また、蓄熱抑制性表皮材として一体化後の繊維集合体層が、適当に薄い厚みに形成されていれば、基材の広範囲な表面を覆うための作業性がよい点で好ましい。
上記した中で、繊維集合体層が不織布であれば、二層のシート状の前駆体材料(ウェブ)を用い、容易に繊維集合体層を形成できるのでよい。ウェブ自体が構成繊維を交絡させて形成されるシートであり、繊維集合体層同士をも交絡によって容易に一体化できる。このようなシート状のウェブとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、1種類の構成繊維を絡合させるウェブであっても、複数種類の構成繊維を絡合させるウェブであっても、どちらでもよい。複数種類の構成繊維を用いる例として、主繊維の他に細繊化繊維を含み、バインダー機能を備える繊維で適宜に結着するもの等が知られている。
不織布を形成する構成繊維の繊維長も特に限定されずに用いることができる。構成繊維はウェブ同士を交絡するために用いるため、その繊維長が短すぎると蓄熱抑制性表皮材の生産性が悪化する虞があり、繊維長が長すぎると繊維の密度にムラが発生しやすくなる実情に鑑み、適宜に定めることが出来る。構成繊維の太さも特に限定されず、基本的に上市される太さのものを使用可能である。
また、少なくとも一方の繊維集合体層が、適宜な熱線透過性を備えていてもよい。熱線を受ける繊維集合体層が熱線透過性を備えれば、熱線は、繊維集合体層中を透過し、熱線反射層に到達し、当該熱線反射層によって高確率で反射され得る点で好ましい。
従って、熱線を直接に受ける側の繊維集合体層の目付は、適宜な熱線透過性を備える観点から、適当な範囲にあればよい。目付量が小さいと、構成繊維を用いた交絡が行いにくくなり、目付量が大きいと、繊維集合体層が熱線を吸収し易くなり熱線の反射が妨げられるおそれがある。なお、熱線を直接に受けない側の繊維集合体層の目付は、適宜な取扱い性を備える観点から、適当な範囲にあればよい。
また、少なくとも一方の繊維集合体層が、熱線を拡散反射させる拡散反射能を備えていていてもよい。例えば、高明度の繊維集合体層を用いればよい。繊維集合体層が層全体として拡散反射能を発揮すればよく、拡散反射能を備える部材は、高明度の構成繊維自体に限らず、構成繊維以外で繊維集合体層に適宜に添加される高明度の材料等であってもよい。繊維集合体層が拡散反射能を備えれば、熱線反射層によって熱線を反射するのに加えて、繊維集合体層によって熱線を拡散反射できるので、熱線反射層による熱線反射を補完して拡散反射により放射することにより、蓄熱抑制性を高めることができる。
〔熱線反射層〕
熱線反射層は、第1及び第2の各繊維集合体層の間に介装される層であり、熱線を反射すると共に、構成繊維を交絡させるための貫通孔が形成される部材である。蓄熱抑制性表皮材として一体化される状態では、熱線反射層の形態は、平らな層状をなす形態に限られない。通常は、第1及び第2の各繊維集合体層の間に未加工の熱線反射層材料を積層した状態で、所定の機械的加工を行い、貫通孔を形成すると共に構成繊維を交絡させる。従って、機械的な加工を施した後の熱線反射層の形態は、第1及び第2の各繊維集合体層の形態に追従し、加工前のような平面的な形態を失っていたり、無作為な穴あき状であったりしてもよい。
本実施形態に係る熱線反射層は、蓄熱抑制性表皮材の表面に入射する熱線を反射する反射能を備える。本明細書で「熱線」は、熱作用を起こすことで特徴づけられる電磁波をいう。熱作用は、例えば、所定の物質が日射に含まれる近赤外線等を吸収し、物質内での熱運動が励起され、温度が上昇する作用として知られる。乗用車であれば、インパネ、ガラスよりなるウインドウ等の直射光で暖められる部品からの輻射に起因する熱作用を起こす熱線も含まれる。例えば、熱線反射層は、350nm以上2500nm以下程度の波長領域において、分光光度計(株式会社島津製作所製SolidSpec 3700DUV等)を用いて測定される分光反射率が所定範囲にある層として定められる。
熱線反射層は、構成繊維を交絡させる貫通孔を形成するのに適した形態である薄皮状に成形されていればよい。具体的には、金属箔、樹脂基材上に金属材料よりなる金属膜を設けたフィルム、樹脂基材上に金属薄膜、二酸化チタン若しくは二酸化ジルコニウムなどの高屈折率薄膜を設け積層した多層フィルム、又は、光学的性質(屈折率)が異なる多数の樹脂フィルムを多数層積層して所望の赤外線反射性能が得られるように構成された積層フィルム等により形成される。
これらの中では、汎用性を有し、生産コストを抑制できる観点から、樹脂基材上に金属材料よりなる金属膜を設けたフィルムを好ましく用いることができる。樹脂基材上に金属膜を設ける態様は特に限定されず、樹脂フィルム上に金属箔を貼着するものでもよいし、樹脂フィルム上に金属材料を蒸着した金属蒸着フィルムでもよいし、樹脂フィルム上に金属材料を含む熱線反射塗料を塗布したフィルムであってもよい。
熱線反射層が可撓性を有する薄膜状であれば、熱線反射層単体としての取扱い性が良好になる。冒頭の特許文献1に係る従来構成の熱線反射層のように、繊維集合体の表面に直接金属蒸着して得られる反射層では、熱線反射層のみ単部品として取扱えない。繊維集合体層に金属蒸着した物としての取扱いになるので、嵩高になる欠点がある。熱線反射層として金属蒸着フィルムを用いることにより、蓄熱抑制性表皮材を製造する際の熱線反射層の取扱い性が向上する。従って、蓄熱抑制性表皮材の生産部材としてコンパクトであり、容易に生産管理出来る利点があり、大量生産に適しており、効率的に製造できるので、蓄熱抑制性表皮材の生産性が高められる。
上記樹脂フィルムに用いる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂及びナイロン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂フィルムに貼着、蒸着又は塗布する金属材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、パラジウム、鉄、ステンレス等白色系の金属や、銅、金等有色系の金属、及びこれらを含む合金等が挙げられる。
〔蓄熱抑制性表皮材〕
本実施形態の蓄熱抑制性表皮材は、基材を装飾する材料であり、基本的に基材と共に用いる材料であるが、その用途は、基材を用いずに単独で用いる場合を妨げるものではない。基材の形状は、特に限定されず、中実体であってもよいし、中空体であってもよい。基材を構成する材料は、特に限定されず、有機材料及び無機材料の何れであってもよく、これらを含む複合材料でもよい。有機材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂等を挙げることができる。無機材料としては、金属、合金、セラミックス等を用いることができる。表皮材を基材に配設する方法は特に限定されず、接着剤等を介した貼着や、熱融着等の公知の方法が挙げられる。また、基材と表皮材との間には、吸音層、弾性層等の他の機能層が介在していてもよい。
また、所望の基材を本実施形態の蓄熱抑制性表皮材で装飾した構造体は、種々の技術分野において利用することができる。具体的には、自動車及び鉄道車両等の車両(特に車両用内装材)、航空機、船舶、建築、アパレル等の各種産業における表皮材が関わる技術分野に関して好適に利用される。具体的には、ドアトリム、ルーフトリム、パッケージトレイ及び座席シート等の車両用内装材、ソファ等の家具、鞄、財布及び衣服等の生活用品等を挙げることができる。上述したように、本実施形態の蓄熱抑制性表皮材は、蓄熱抑制性能が効果的に発揮する観点から、構造体の温度上昇が問題視される用途、例えば、車両の内装材を修飾するために好ましく用いられる。
本実施形態の蓄熱抑制性表皮材は、上記した繊維集合体層を通常は二層用い、第1繊維集合体層と第2繊維集合体層との間に熱線反射層を介装し、第1及び第2の各繊維集合体層を構成する構成繊維を用いて三層を一体化して形成される。第1及び第2の各繊維集合体層のうち少なくとも一方を構成する構成繊維が、熱線反射層に形成される貫通孔を貫通し、他方側の構成繊維に交絡することにより、蓄熱抑制性表皮材として一体化される構成である。
第1及び第2の各繊維集合体層の構成繊維がそれぞれ相手の繊維集合体層の構成繊維に交絡する態様は、貫通孔を貫通する構成繊維によって蓄熱抑制性表皮材として一体化できる態様であれば、特に限定されない。例えば、熱線反射層を貫通する一方の構成繊維を他方の構成繊維に交絡させる態様は、ニードルパンチを行うことによって得られる交絡態様である。或いは、高圧水流を用いて構成繊維同士を交絡させる態様であってもよい。又は、構成繊維として糸を用い、第1及び第2の各繊維集合体層を熱線反射層を介して縫合する交絡態様であってもよい。
具体的に、図1に本実施形態の蓄熱抑制性表皮材1を示す。図1に示すように、蓄熱抑制性表皮材1は、第1繊維集合体層10と、貫通孔31を備え且つ熱線5を反射する熱線反射層30と、第2繊維集合体層20とが、順次積層されてなる。また、蓄熱抑制性表皮材1は、第1繊維集合体層10及び第2繊維集合体層20が、第1及び第2の各繊維集合体層10,20をそれぞれ構成する構成繊維13,23であって、しかも貫通孔31を貫通する構成繊維13,23によって、互いに交絡され一体化される構成を備える。
より具体的に、図2を用いて、本実施形態の一例である蓄熱抑制性表皮材1Aについて説明する。蓄熱抑制性表皮材1Aに係る第1繊維集合体層10A、第2繊維集合体層20Aは、それぞれ第1及び第2の各構成繊維13,23(例えば左右方向に延びる細い実線で模式的に図示する繊維)が絡まり合って集積される不織布よりなる。
また、蓄熱抑制性表皮材1Aに係る熱線反射層30Aは、金属箔よりなり、貫通孔31が形成されている。
蓄熱抑制性表皮材1Aは、熱線反射層30Aと、熱線反射層30Aを介してその一面側S1及び他面側S2に相対向するように配される第1繊維集合体層10A及び第2の繊維集合体層20Aとの、三層積層体である。
蓄熱抑制性表皮材1Aは、一面側S1(又は他面側S2)の第1繊維集合体層10A(又は繊維集合体層20A)の第1構成繊維13(又は第2構成繊維23)と、相手の他面側S2(又は一面側S1)の第2構成繊維23(又は第1構成繊維13)とが、それぞれ熱線反射層30Aに設けられた貫通孔31を貫通し、相互に交絡することにより一体化されている。図2では、第1及び第2の各構成繊維13,23のうち、貫通孔31を貫通して相手の第2及び第1の各構成繊維23,13に交絡する繊維を区別して異なる符号131、231を付し、第1及び第2の各構成繊維13,23よりも太い点線及び太い実線を用いて模式的に示した。
構成繊維の交絡により一体化される蓄熱抑制性表皮材1Aは、図示しない熱線反射層前駆体(未加工の金属箔)と図示しない第1及び第2の各繊維集合体層前駆体(ウェブ)とを重ね合わせた三層積層前駆体をニードルパンチ加工して得られる。
ニードルパンチ加工は、第1及び第2の各構成繊維13,23によって、相手側の第2及び第1の各構成繊維23,13に交絡させる交絡態様を得るために適したパンチ密度、針深さ及び針形状等の加工条件を適宜に設定して行う。上記の三層積層前駆体に一体にニードルパンチ加工を行い、貫通孔31を備える熱線反射層30Aを形成し、貫通孔31を貫通する第1及び第2の各構成繊維131,231によって、第2及び第1の各繊維集合体層20A,10Aを交絡させる。これにより、第1構成繊維13(131)及び第2構成繊維23(231)によって、第2及び第1の各繊維集合体層20A,10Aが互いに交絡され、一体化される蓄熱抑制性表皮材1Aを得ることができる。
上記構成を備える蓄熱抑制性表皮材1Aは、第1及び第2の各繊維集合体層10A,20Aが構成繊維の交絡により一体化される構成であり、図2に示すように、第1及び第2の各繊維集合体層10A,20Aと熱線反射層30Aとが、直接的に接することができる。従って、第1繊維集合体層10A及び第2繊維集合体層20Aと、熱線反射層30Aとの間に熱線反射層30Aの反射能を妨げる接合層(例えば、接着層等)を設けずに、蓄熱抑制性表皮材1Aを一体化できる。第1及び第2の各繊維集合体層10A,20Aと熱線反射層30Aとの間に、熱線5を吸収し易い性質の接合層が存在しないので、図2に示すように、一面側S1から入射する熱線5が、第1繊維集合体層10A中を透過して熱線反射層30Aに到達する確率が高められる。従って、熱線5の反射率を高め、熱線5が第1繊維集合体層10A中で熱エネルギーに変換されにくくできるので、表皮材ひいては表皮材を用いた構造体に熱が蓄えられることを抑制できる。
なお、図2では、一面側S1から入射する熱線5が、第1繊維集合体層10A中を透過して熱線反射層30Aの表面で反射される例を示したが、蓄熱抑制性表皮材1Aでは、他面側S2から熱線5が入射する場合であっても、上述したのと同様の効果が得られる。
次に、図3に、蓄熱抑制性表皮材1Bについて説明する。図3に示すように、蓄熱抑制性表皮材1Bでは、蓄熱抑制性表皮材1Bに係る第1及び第2の各繊維集合体層10B,20Bが、それぞれ上記の実施形態より短い第1及び第2の各構成繊維14,24の不織布よりなる点で、蓄熱抑制性表皮材1Aと異なっている。
また、熱線反射層30Bは、多層フィルム(図2では三層のみ図示した)よりなる点で、上記の実施形態と異なっている。なお、熱線反射層30Bの多層フィルムは、少なくとも一面側S1の最外層301に熱線反射率が高い金属材料が積層されている。
また、蓄熱抑制性表皮材1Bは、交絡態様に関して、図2に示した蓄熱抑制性表皮材1Aと異なっている。図3の蓄熱抑制性表皮材1Bは、第1及び第2の各繊維集合体層10B,20Bの構成繊維としての縫合糸18で、第1及び第2の各繊維集合体層10B、20Bを一体に縫合することにより、第1及び第2の各繊維集合体層10B、20Bを相互に交絡する態様で一体化する構成を備える。縫合による交絡態様であっても、熱線反射層30Bの貫通孔31を挿通する縫合糸18によって、第1及び第2の各繊維集合体層10B、20B、並びにその間にある熱線反射層30Bが一体化される。第1繊維集合体層10Bと熱線反射層30Bとは、直接的に接する。
蓄熱抑制性表皮材1Bは、縫合糸18が第1及び第2の各構成繊維14,24と交絡する態様によって一体化され、第1繊維集合体層10Bと熱線反射層30Bとの間に接合層を要さないので、蓄熱抑制性表皮材1Aと同様の作用効果を奏することができる。即ち、一面側S1から入射する熱線5が、一面側S1の第1繊維集合体層10B中を進行し、熱線反射層30B(最外層301)まで到達して反射される確率を高めることができる。第1繊維集合体層10B層中で熱エネルギーに変換される熱線5量を少なくできるので、蓄熱されにくい蓄熱抑制性表皮材1Bが得られる。
次に、図4〜図6を用いて、本実施形態の蓄熱抑制性表皮材1Cについて説明する。図4に示すとおり、蓄熱抑制性表皮材1Cは、構造体6を装飾するために用いられる表皮材であり、基材4の表面を覆うように被せて配置して用いられる。
蓄熱抑制性表皮材1Cに係る第1及び第2の各繊維集合体層は、図2を用いて説明した蓄熱抑制性表皮材1Aと同様に不織布を用いて形成されるが、以下の点で異なる。
図4及び図5に示すとおり、蓄熱抑制性表皮材1Cの一面側S1に配される意匠面側繊維集合体層10Cが、意匠面17を形成する繊維集合体層であり、他面側S2に配される裏面側繊維集合体層20Cが、基材4表面に接する裏面27を形成する繊維集合体層である点で異なる。また、裏面側繊維集合体層20Cが、熱線5を拡散反射する白色の不織布よりなる。即ち、裏面側繊維集合体層20Cが、熱線5を拡散反射する白色の裏面側構成繊維25よりなる不織布である点で異なる。また、意匠面側繊維集合体層10Cが、裏面側繊維集合体層20Cよりも明度が低い暗色の不織布よりなる点で異なる。
更に、蓄熱抑制性表皮材1C係る熱線反射層30Cが、樹脂フィルム層32と、樹脂フィルム層32の一面側に設けられた金属膜33と、を有する金属蒸着フィルムよりなる点で、蓄熱抑制性表皮材1Aと異なっている。熱線反射層30Cは、裏面側Srに樹脂フィルム層32を配置し、意匠面側Sdに金属膜33が配置するように、二層の意匠面側繊維集合体層10Cと裏面側繊維集合体層20Cとの間に介装されている。
また、蓄熱抑制性表皮材1Cは、意匠面側及び裏面側の各繊維集合体層10C,20C同士が、ニードルパンチ加工によって得られる交絡態様を備える点で、図2の蓄熱抑制性表皮材1Aと同様構成を備える。一方で、裏面側繊維集合体層20Cの不織布を形成する白色の裏面側構成繊維25のうち、貫通孔31を貫通する裏面側構成繊維251が、意匠面側の第1構成繊維13と交絡する交絡態様が異なっている。図5に示すとおり、貫通孔31を貫通する裏面側構成繊維251は、意匠面側繊維集合体層10Cの意匠面17に現われずに意匠面側繊維集合体層10Cの内部に止まってその第1構成繊維13に交絡している。積層方向Lに沿って最も意匠面側Sdに(意匠面17に近い位置)配置する全ての裏面側構成繊維251の繊維端部251aが、意匠面17よりも深さDだけ内層側に揃って位置し、意匠面側の第1構成繊維13(131)と交絡している。
上記の交絡態様は、ニードルパンチ加工を行う際の加工条件を適宜に定めることにより行うことができる。例えば、裏面側構成繊維25を交絡させるためにパンチング加工するときのパンチ深さを適宜に設定することにより、実施可能である。
ニードルパンチ加工を行う際の蓄熱抑制性表皮材1Aの目付けは特に限定されず、通常は、第1及び第2の各繊維集合体層10C,20Cで同程度に加工されるが、それぞれ異なる目付けであっても構わない。例えば、蓄熱抑制性表皮材1Aの目付けは、10g/cm以上300g/cm以下程度とすることができる。特に、第1繊維集合体層10Aの目付けが、好ましくは150g/cm以下、更に好ましくは120g/cm以下程度であれば、意匠面側Sdに入射する熱線5の透過を適宜に妨げないのでよい。また、第1繊維集合体層10Aの目付けが、好ましくは50g/cm以上、より好ましくは80g/cm以上程度であれば、意匠面側Sdから熱線反射層30Aが透けて見え装飾性を損なう虞を軽減できるのでよい。
上記の蓄熱抑制性表皮材1Cは、意匠面側繊維集合体層10Cと裏面側繊維集合体層20Cとを備えるので、二層のうち一方の繊維集合体層が意匠面17を、他方の繊維集合体層が裏面27を形成する。従って、図4及び図5に示すとおり、意匠面17に入射する熱線5が裏面側Srに向けて意匠面側繊維集合体層10C内部に進入し(図4及び図5では、繊維集合体層内を進行中の熱線5を点線で図示する)、裏面側繊維集合体層20Cに至る前に、熱線反射層30Cによってより確実に熱線5を内部反射できる。
更に、熱線反射層30Cにある貫通孔31を通過し、意匠面側Sdから裏面側Srに進行する一部の熱線5をも、裏面側繊維集合体層20C内で拡散反射できる。
具体的には、図6に示すとおり、熱線反射層30Cに到達する熱線5のうち一部分は、貫通孔31の意匠面側Sdにある開口部311に到達し得る。蓄熱抑制性表皮材1Cでは、貫通孔31は、金属膜33に穿孔される金属貫通孔部313と樹脂フィルム層32に穿孔される樹脂貫通孔部312とが、略積層方向Lに連続的に連なって形成されている。熱線5は、意匠面側Sdの開口部311から貫通孔31内に進入し、金属貫通孔部313の内周面で反射しながら、続いて透明の樹脂フィルム層32内を透過し、裏面側繊維集合体層20Cに到達する。裏面側繊維集合体層20Cは、白色の裏面側構成繊維25よりなる白色の繊維集合体層であり、熱線5は、裏面側繊維集合体層20C内で裏面側構成繊維25に遭遇し得る。裏面側構成繊維25は、熱線5を拡散反射できる拡散能を有しており、遭遇した熱線5を放射状に拡散反射する。裏面側構成繊維25が拡散反射した一部の熱線51は、樹脂フィルム層32或いは樹脂貫通孔部312又は金属貫通孔部313を通り抜け、再び意匠面側繊維集合体層10C内部に進入できる。
このように、裏面側繊維集合体層20Cから意匠面側繊維集合体層10C方向に向けて、入射時と反対方向に進行する熱線51(図6で黒塗り三角の矢印を付して示す)は、意匠面側繊維集合体層10C内部を通過し、更に意匠面17から外部に向けて放出され得る。貫通孔31を通過して裏面側Srに進入する熱線5をも、裏面側繊維集合体層20B内で拡散反射できるので、従って、蓄熱抑制性能が一層高められる。
次に、上述した蓄熱抑制性表皮材1Cを乗用車8のパッケージトレイ61に用いる例について説明する。図7に示すとおり蓄熱抑制性表皮材1Cは、パッケージトレイ61の基材4表面を覆うように被せて用いられる。図7で、符号81,82,83,84、85は、それぞれルーフ、バックドア、ミラー、シート、運転者を示す。
蓄熱抑制性表皮材1Cは、基材4の上に配置して用いられており、リアウインドウ7を透過してパッケージトレイ61に入射する熱線5や、車両内のシート84が放射する熱線52を、図5や図6を用いて説明した例と同様に、蓄熱抑制性表皮材1Cの熱線反射層30Cで反射できる。上述したとおり、蓄熱抑制性表皮材1Cが、第1構成繊維13(131)と、裏面側構成繊維25(251)との交絡により一体化されており、意匠面側繊維集合体層10Cと熱線反射層30Cの間に接合層がないので、熱線5,52が熱線反射層30C(の金属膜33)で反射される確率を高められる。従って、乗用車8の内装材の温度上昇を効果的に抑制できる。
また、意匠面17を構成する意匠面側繊維集合体層10Cの明度が低く抑えられた暗色なので、意匠面側繊維集合体層10Cで可視光線53が吸収される確率が高まる(図5参照)。つまり、意匠面17に入射する可視光線53が、意匠面17で反射されることを抑制できる(図7で×印で図示する)。従って、図7に示すように、パッケージトレイ61を装飾する蓄熱抑制性表皮材1Cが、リアウインドウ7の反射面71に対面するように配設される場合に、反射面71に意匠面17が映り込むことを抑制できる。運転者85が、ミラー83及びリアウインドウ7を介して見る乗用車8後方の視界が、反射面71に映る意匠面17の映り込みによって遮られる現象を抑制できる。
また、意匠面側繊維集合体層10Cと交絡する裏面側構成繊維251が、意匠面側繊維集合体層10Cの内部に止まるので(図5参照)、拡散反射能を備える裏面側構成繊維25のうち貫通孔31を貫通する裏面側構成繊維251が意匠面17に表れない状態を維持できる。図5を用いて説明したとおり、裏面側構成繊維251の繊維端部251aが、意匠面17よりも深さDだけ内層にあり、意匠面側Sdに表れない状態が維持される。裏面側構成繊維25が備える拡散反射能が、意匠面17の表面では発揮されにくくなる。従って、リアウインドウ7に意匠面17が映り込む現象をより確実に抑制できる。拡散反射能を活用して熱線5を拡散反射させる蓄熱抑制性能を裏面側繊維集合体層20C内部で発揮すると共に、リアウインドウ7を介した乗用車8内部から外側に向けた視界を良好に維持できる。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。変形又は変更した場合であっても、本実施形態の蓄熱抑制性表皮材と同様の作用効果を得ることができる。即ち、自動車の内装材に用いる表皮材として室内の温度上昇抑制効果を一層高めることができる。
1,1A,1B,1C:蓄熱抑制性表皮材
13,131,14:(第1)構成繊維
17:意匠面
18:縫合糸
10,10A,10B:第1繊維集合体層
10C:意匠面側繊維集合体層
20,20A,20B:第2繊維集合体層
20C:裏面側繊維集合体層
23,231,24:(第2)構成繊維
25,251:裏面側構成繊維
27:裏面
30,30A,30B,30C:熱線反射層
31:貫通孔、311:開口部
32:樹脂フィルム層、321:樹脂貫通孔部
33:金属膜、331:金属貫通孔部
4:基材
5:熱線
53:可視光
61:パッケージトレイ
7:(リア)ウインドウ
71:反射面

Claims (7)

  1. 第1繊維集合体層と、貫通孔を備え且つ熱線を反射する熱線反射層と、第2繊維集合体層とが、順次積層されてなり、
    前記第1繊維集合体層及び前記第2繊維集合体層は、前記第1及び第2の前記各繊維集合体層のうち少なくとも一方を構成し且つ前記貫通孔を通る構成繊維によって互いに交絡されていることを特徴とする蓄熱抑制性表皮材。
  2. 前記熱線反射層は、樹脂フィルム層と、前記樹脂フィルム層の少なくとも一面に設けられた金属膜と、を有する請求項1に記載の蓄熱抑制性表皮材。
  3. 前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの一方は、意匠面を構成する繊維集合体層であり、
    前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの他方は、裏面を構成し且つ前記熱線を拡散反射できる拡散反射能を有する繊維集合体層である、請求項1又は2に記載の蓄熱抑制性表皮材。
  4. 前記裏面を構成する前記繊維集合体層は、白色である請求項3に記載の蓄熱抑制性表皮材。
  5. 前記意匠面を構成する前記繊維集合体層は、前記裏面を構成する前記繊維集合体層に比べて明度が低い請求項3又は4に記載の蓄熱抑制性表皮材。
  6. 車両用パッケージトレイに用いられる請求項1乃至5の何れか一項に記載の蓄熱抑制性表皮材。
  7. 前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの一方は、意匠面を構成する繊維集合体層であり、
    前記第1及び第2の各繊維集合体層のうちの他方は、裏面を構成する繊維集合体層であり、
    前記意匠面を構成する前記繊維集合体層は、前記熱線が入射する側に配され、
    前記裏面を構成する前記繊維集合体層は、前記熱線を拡散反射できる拡散反射能を有する裏面側構成繊維を含有し、
    前記貫通孔を通る前記裏面側構成繊維は、前記意匠面を構成する前記繊維集合体層の内部に止まって交絡されている請求項6に記載の蓄熱抑制性表皮材。
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