JP2019123026A - タッピング金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】タップの長寿命化を図ることが可能なタッピング金型を提供する。【解決手段】外筒と、外筒内において、外筒の軸方向に沿って移動可能かつ軸を中心として回転可能に配されたタップホルダと、タップホルダに支持されたタップとを備える。外筒は、外筒の内旺盛こう部と外部とを連通し、かつ、タップが挿通可能なタップ挿通孔を有する。タップホルダは、外筒のタップ挿通孔と整合する位置に、タップ挿通孔に向けて流体を噴出可能な流体噴出孔を有する。タップ挿通孔は、外筒の外部側の開口よりも外筒の内部側の開口の方が大きい形状を有し、かつ、内部側の開口の縁が流体噴出孔の外縁よりも外側に位置するよう形成されている。【選択図】図5

Description

本発明は、タップによって板材の穴内にタッピング加工を施すためのタッピング金型に関するものである。
従来、板材に形成された穴にタッピング加工を施すためのタッピング金型として、図7に示すタッピング金型100が知られている(特許文献1)。特許文献1のタッピング金型100は、図7に示すように、外筒102の下部に切削タップ104の外径よりも僅かに大径のタップ挿通孔106が形成されており、タッピング加工の実施時に、該タップ挿通孔106から切削タップ104の切粉排出溝に沿ってオイルミストを噴出するよう構成されている。
特開2011−235427号公報
しかしながら、特許文献1に記載のタッピング金型100は、切削タップ104の切粉排出溝から切粉が入り込むことを防止するために、切削タップ104の切粉排出溝にオイルミストを供給するものに過ぎず、切削タップ104の表面全体にオイルミストを供給することを主目的とするものではない。このため、特許文献1に記載のタッピング金型100には、タッピング加工時における板材の穴と切削タップ104との間における潤滑剤としてオイルミストを機能させ、タップの長寿命化を図るという観点において、改善の余地がある。
そこで、本発明は、タップの長寿命化を図ることが可能なタッピング金型を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るタッピング金型は、外筒と、前記外筒内において、該外筒の軸方向に沿って移動可能かつ軸を中心として回転可能に配されたタップホルダと、前記タップホルダに支持されたタップとを備え、前記外筒は、該外筒の内部と外部とを連通し、かつ、前記タップが挿通可能なタップ挿通孔を有し、前記タップホルダは、前記タップ挿通孔に向けて流体を噴出可能な流体噴出孔を有し、前記タップ挿通孔は、前記外筒の外部側の開口よりも該外筒の内部側の開口の方が大きい形状を有し、かつ、該内部側の開口の縁が前記流体噴出孔の外縁よりも外側に位置するよう形成されていることを特徴とする。
本発明に係るタッピング金型において、前記タップ挿通孔は、前記外筒の内部側から該外筒の外部側に向けて先細りとなるテーパ形状を少なくとも一部に有することが好ましい。
また、本発明に係るタッピング金型において、前記タップ挿通孔は、前記外筒の内部側の開口から該外筒の外部側の開口に亘って先細りとなるテーパ形状を有することが好ましい。
さらに、本発明に係るタッピング金型において、前記タップ挿通孔は、前記外筒の外部側の開口が前記流体噴出孔よりも小さい形状を有することが好ましい。
またさらに、本発明に係るタッピング金型において、前記外筒は、外筒本体と、該外筒本体の一端側の開口を閉塞可能なカバー部材とを備え、前記カバー部材は、前記外筒本体に対して着脱可能に構成されており、前記タップ挿通孔は、前記カバー部材に形成されることが好ましい。
本発明によれば、タップの長寿命化を図ることが可能なタッピング金型を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るタッピング金型を使用し得るタレットパンチプレスを概略的に示す正面図である。 本実施形態に係るタッピング金型を概略的に示す斜視図である。 タップが上昇した状態におけるタッピング金型の内部構造を概略的に示す断面図である。 タップが下降した状態におけるタッピング金型の内部構造を概略的に示す断面図である。 図5(a)は、初期状態におけるタッピング金型のカバー部材近傍を拡大して示す概略断面図であり、図5(b)は、作動状態におけるタッピング金型のカバー部材近傍を拡大して示す概略断面図である。 本実施形態に係るタッピング金型を用いたタッピング加工を示す工程図であり、図6(a)は初期状態を示し、図6(b)はタップホルダが下降した状態を示し、図6(c)はタップホルダが回転しながら更に下降し、タッピング加工を施している状態を示し、図6(d)はタップホルダが上昇した状態を示している。 特許文献1に記載のタッピング金型の内部構造を概略的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[タレットパンチプレスの全体構成]
まず、本実施形態に係るタッピング金型10を使用し得る工作機械について、図1に示すタレットパンチプレス1を例に挙げて説明する。タレットパンチプレス1は、図1に示すように、複数の上型(パンチ金型やタッピング金型10等)を保持可能な円盤状の上部タレット3と、上型に対応する複数の下型(ダイや孔付きダイ等)7を保持可能な円盤状の下部タレット4と、上部タレット3及び下部タレット4間に板状のワークWを搬送するワーク搬送機構5と、上部タレット3に保持されている上型を下型に向けて打圧するストライカ機構6と、これら各構成要素を支持するフレーム2と、各構成要素の動作を制御するNC制御装置(図示せず)と、オイルミスト等の流体をタッピング金型10に対して供給可能な流体供給源(図示せず)とを備えている。
上部タレット3は、周方向及び径方向に沿って複数の金型装着孔(図示せず)が形成されており、該金型装着孔のそれぞれにおいて上型を保持可能に構成されている。また、下部タレット4は、上部タレット3の各上型と整合する位置にそれぞれ対応する下型を保持可能に構成されている。これら上部タレット3及び下部タレット4は、回転軸が同軸となるよう互いに対向かつ離間して配置されており、タレット駆動機構(図示せず)により同期回転することで、上型及び下型の複数の組み合わせの中から任意の組み合わせを選択可能に構成されている。
また、タレットパンチプレス1において、上部タレット3にタッピング金型10を使用する場合には、上部タレット3にタッピング金型10を装着させるためのタッピング用アダプタ(図示せず)と、タッピング用アダプタを介してタッピング金型10を回転させるためのタッピングユニット回転駆動手段(図示せず)とが上部タレット3に装着される。タッピング用アダプタは、上部タレット3の金型装着孔(図示せず)にタッピング金型10が収納された際に、該タッピング金型10の後述する回転伝達部材26に連結するようプーリやリングギア等の回転手段が設けられている。そして、タッピング用アダプタは、該回転手段を介して、モータ等からなるタッピングユニット回転駆動手段からの回転力をタッピング金型10の回転伝達部材26に伝達させ、該回転伝達部材26を介して後述する回転体40を回転させるよう構成されている。なお、これらタッピング用アダプタ及びタッピングユニット回転駆動手段は、例えば特開2010−17780号公報等に記載の種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
ストライカ機構6は、タッピング金型10を下型に向けて打圧可能なストライカ6aを有している。ストライカ6aは、タッピング金型10に向けて進退可能で、かつ、上部タレット3の径方向に沿って移動可能に構成されており、これにより、上部タレット3の径方向に並んだ上型の中から任意の上型を選択して打圧可能に構成されている。また、ストライカ6aは、入口側が流体供給源と接続され、出口側がストライカ6aの打圧面(下面)に開口した流体供給路(図示せず)を有しており、タッピング金型10を打圧する際に、該流体供給路が該タッピング金型10の後述する接続口43aと連通するよう構成されている。なお、このような流体供給路を有するストライカ機構6は、例えば特開2011−235427号公報や特開平4−41025号公報等に記載の種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
なお、上述したタレットパンチプレス1において、ワーク搬送機構5、フレーム2、NC制御装置及び流体供給源は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、本実施形態に係るタッピング金型10が使用される工作機械は、上述したタレットパンチプレス1に限定されるものではなく、オイルミスト等の流体をタッピング金型10に対して供給可能なものであれば、種々の工作機械に採用可能である。
[タッピング金型の構成]
次に、本実施形態に係るタッピング金型10について、図2〜図5を用いて説明する。タッピング金型10は、図2及び図3に示すように、タレットパンチプレス1の上部タレット3の金型装着孔内に装着可能に構成された外筒20と、該外筒20と同軸となるよう該外筒20内に配され、外筒20の軸方向に沿って移動可能かつ軸を中心として回転可能な状態でタップ41を保持する回転体40とを備えている。
[外筒の構成]
外筒20は、図2及び図3に示すように、略円筒状に形成された外筒本体(アウタホルダ)22と、外筒本体22の上端開口部に軸受け24を介して回転可能に設けられた回転伝達部材(インナホルダ)26と、外筒本体22の下端開口部に取り付けられたカバー部材30とを備えている。外筒20は、図2に示すように、カバー部材30から外筒本体22の所定領域に亘って軸方向に延びるキー溝21が形成されており、該キー溝21がタレットパンチプレス1の上部タレット3の金型装着孔内に設けられたキー(図示せず)と係合することで、該金型装着孔内において回転不能な状態で収納されるよう構成されている。なお、カバー部材30の詳細な構成の説明については、後述する。
回転伝達部材26は、図3に示すように、外筒本体22の外径と概ね同径の外径を有する大径部26aと、外筒本体22内に挿入される小径部26bとを有する断面略T字状に形成されている。回転伝達部材26は、小径部26bの外周面と外筒本体22の内周面との間に軸受け24が配されることで、外筒本体22に対して回転可能に構成されている。
回転伝達部材26の大径部26aには、図2に示すように、径方向外側に向けて突出する回転規制手段27が設けられており、該回転規制手段27がタレットパンチプレス1のタッピング用アダプタの回転手段(プーリやリングギア等)内に設けられたキー溝(図示せず)と係合することで、該回転手段と一体となって回転伝達部材26が回転するよう構成されている。また、回転伝達部材26には、回転体40の後述するシャフト支持体42が貫通可能な貫通孔が軸方向に亘って形成されており、該貫通孔内に突出するよう設けられたキー28がシャフト支持体42のキー溝と係合することで、回転伝達部材26に対するシャフト支持体42の軸方向の移動を許容しつつ、回転伝達部材26とシャフト支持体42とが一体となって回転するよう構成されている。すなわち、回転伝達部材26は、タレットパンチプレス1のタッピング用アダプタの回転手段の回転に伴い回転し、これにより回転体40のシャフト支持体42を回転させるよう構成されている。なお、回転規制手段27は、タッピング金型10がタッピング用アダプタに装着されていない状態においては、外筒本体22に対する回転伝達部材26の回転を規制し、タッピング金型10がタッピング用アダプタに装着された状態においては、外筒本体22に対する回転伝達部材26の回転を許容するよう構成されている。
[回転体の構成]
回転体40は、図3及び図4に示すように、外筒20の回転伝達部材26に対して軸方向に移動可能かつ一体回転可能に設けられたシャフト支持体42と、シャフト支持体42に対して軸方向に移動可能かつ一体回転可能に設けられたシャフト44と、シャフト44と一体となって軸方向に移動可能かつ回転可能に設けられたタップホルダ50と、タップホルダ50と一体となって軸方向に移動可能かつ回転可能に設けられた切削タップや転造タップ等のタップ41と、シャフト44の外周面と外筒20の内周面との間に配されたゲージナット46とを備えている。なお、以下の説明では、2以上の部材を軸方向に相対移動可能な状態で組み合わせるための構成として、一方の部材に設けられたキーを他方の部材に形成されたキー溝に係止させる所謂キー構造を例に挙げて説明するが、これに限定されず、例えばスプライン嵌合等の種々の構造を採用することが可能である。
シャフト支持体42は、図3及び図4に示すように、上端から下端に亘って延びる貫通孔が形成された円筒体であり、回転伝達部材26の大径部26aと概ね同径の外径を有する大径部42aと、回転伝達部材26内に挿入される小径部42bとを有する断面略T字状に形成されている。シャフト支持体42の小径部42bの外周面には、軸方向に沿って延びるキー溝が形成されており、該キー溝に回転伝達部材26のキー28が係合することで、回転伝達部材26に対して軸方向に移動可能で、かつ、回転伝達部材26と一体となって回転するよう構成されている。大径部42aの上端部には、ストライカ6aの流体供給路と連通可能な接続口43aを有する回転盤43が相対回転可能に取り付けられており、該回転盤43により、シャフト支持体42の回転力がストライカ6aに伝達されないよう構成されている。
シャフト44は、図3及び図4に示すように、上端から下端に亘って延びる貫通孔が形成された円筒体であり、シャフト支持体42の小径部42b内に挿入される小径部44aと、タップホルダ50が挿入される大径部44bとを有している。小径部44aは、キー構造等を介してシャフト支持体42の小径部42bと連結されており、これにより、シャフト支持体42に対して軸方向に移動可能で、かつ、シャフト支持体42と一体となって回転するよう構成されている。また、小径部44aの外周面には、ゲージナット46の内周面に形成された雌ねじと螺合可能な雄ねじが形成されており、ゲージナット46に対してシャフト44が回転することで、軸方向に沿ってシャフト44が螺進又は螺退するよう構成されている。
ゲージナット46は、図3及び図4に示すように、シャフト44の雄ねじと螺合可能な雌ねじを一部に有する内周面と、外筒本体22内に嵌入される外周面とを有する円筒体である。ゲージナット46は、キー構造等を介して外筒本体22の内周面と連結されると共に、その上端部が、軸受け48を介してシャフト支持体42の小径部42bの下端部と相対回転可能に連結されている。また、ゲージナット46は、該ゲージナット46と、シャフト44の下端部近傍に配された軸受け45との間に配されたコイルスプリング等の弾性部材47により、軸方向上方に向けて付勢されている。ゲージナット46は、以上の構成を有することにより、シャフト支持体42と共に軸方向に移動可能で、かつ、外筒本体22に対して回転不能な状態で収納されるよう構成されている。
タップホルダ50は、図3及び図4に示すように、シャフト44の大径部44b内に収容されており、軸方向下方に向けてタップ41を支持するよう構成されている。具体的には、タップホルダ50は、シャフト44の大径部44bの内面に密着するよう配された円筒状のアウター部材52と、アウター部材52と同軸となるよう該アウター部材52内に嵌合固定され、軸方向下方に向けてタップ41を支持する略円柱状のインナー部材54と、該インナー部材54を軸方向下方に向けて付勢するコイルスプリング等の弾性部材56と、アウター部材52の軸方向下方への抜け出しを防止するリング状のストッパ58とを備えている。タップホルダ50は、ストッパ58がシャフト44の下端開口部に対して着脱可能に構成されることで、タップ41の交換が可能に構成されている。
インナー部材54は、図3及び図4に示すように、アウター部材52の内径よりも小さい外径を有しており、ストッパ58は、アウター部材52の下端開口と連通する上端開口と、後述する流体圧室32に連通する下端開口とを有する略円筒状に形成されている。ストッパ58の上端開口は、アウター部材52の下端開口と概ね同径に形成されており、ストッパ58の下端開口(流体噴出孔57)は、ストッパ58の上端開口よりも小さく、かつ、タップ41の外径よりも大きい内径を有している。ストッパ58は、その内面の少なくとも一部が、上端開口から下端開口(流体噴出孔57)に向けて先細りとなるテーパ面58aとなるよう構成されている。以上の構成を備えることにより、タップホルダ50には、シャフト44の内部を流動するオイルミスト等の流体が後述する流体圧室32に向けて流動可能な流路55が形成されている。また、ストッパ58の下端開口が、カバー部材30の後述するタップ挿通孔34に向けて流体を噴出可能な流体噴出孔57として機能するよう構成されている。
回転体40は、以上の構成を有することにより、ストライカ機構6のストライカ6aによって下方に押圧されることで弾性部材47が圧縮し、図4に示すように、シャフト支持体42、シャフト44、ゲージナット46、タップホルダ50及びタップ41が外筒20に対して下降するよう構成されている。また、回転体40は、この下降状態において、タッピングユニット回転駆動手段、タッピング用アダプタ及び外筒20の回転伝達部材26を介してシャフト支持体42に回転力が付与されることで、シャフト支持体42、シャフト44、タップホルダ50及びタップ41がゲージナット46に対して回転し、これにより、ゲージナット46の雌ねじとシャフト44の雄ねじとのねじ作用によって、シャフト支持体42、シャフト44、タップホルダ50及びタップ41が外筒20に対して回転しながら更に下降するよう構成されている。さらに、回転体40は、その動作中において、ストライカ機構6のストライカ6aを介して供給されたオイルミスト等の流体を流動させ、タップホルダ50の流体噴出孔57から該流体を噴出させることが可能に構成されている。
[カバー部材の構成]
カバー部材30は、図5(a)に示すように、周壁部30a及び底面部30bを有する有底筒状に形成されており、外筒本体22の下端開口部を閉塞可能に構成されている。周壁部30aは、外筒本体22の外径及び内径と概ね同径の外径及び内径を有しており、その上端部が外筒本体22の下端部に密着して取り付けられるよう構成されている。カバー部材30は、外筒本体22の下端開口部を閉塞するよう取り付けられることで、カバー部材30の内面と、外筒本体22の内面と、シャフト44及びタップホルダ50の下面とによって、オイルミスト等の流体が供給される流体圧室32が形成されるよう構成されている。
底面部30bには、図5(a)に示すように、外筒20の内部(流体圧室32)と外部とを連通し、かつ、タップ41が挿通可能なタップ挿通孔34が形成されている。タップ挿通孔34は、外筒20の外部側の開口(外部側開口34a)よりも外筒20の内部側の開口(内部側開口34b)の方が大きい形状を有しており、本実施形態では、内部側開口34bから外部側開口34aに亘って先細りとなるテーパ形状を有している。具体的には、底面部30bの径方向の中心部が、タップ41の中心軸に向かう方向、かつ、外筒20の内部(流体圧室32)から外部に向かう方向(図5(a)中の下方)に沿って略切頭円錐状に隆起しており、これにより、タップ挿通孔34の内面が、外筒20の外部に向けて先細りとなるテーパ面となっている。なお、タップ挿通孔34の外部側開口34aの開口幅Wは、タップ41の外径よりも僅かに大きくなるよう設定される。
また、タップ挿通孔34は、図5(a)に示すように、その内部側開口34bの縁がタップホルダ50の流体噴出孔57の外縁よりも外側に位置するよう形成されている。換言すれば、タップ挿通孔34の内部側開口34bは、その投影面積内にタップホルダ50の流体噴出孔57が収まるような大きさ(開口幅W)を有している。具体的には、本実施形態に係るタップ挿通孔34は、その内部側開口34bの開口幅Wが、タップホルダ50の流体噴出孔57の開口幅Wよりも大きくなるよう形成されている。
さらに、タップ挿通孔34は、図5(a)に示すように、その外部側開口34aの縁がタップホルダ50の流体噴出孔57の外縁よりも内側に位置するよう形成されている。換言すれば、タップ挿通孔34の外部側開口34aは、タップホルダ50の流体噴出孔57の投影面積内に収まるような大きさ(開口幅W)を有している。具体的には、本実施形態に係るタップ挿通孔34は、その外部側開口34aの開口幅Wが、タップホルダ50の流体噴出孔57の開口幅Wよりも小さくなるよう形成されている。
またさらに、タップ挿通孔34は、図5(b)に示すように、回転体40が最下降した状態において、その内部側開口34bの縁とタップ41の周面との間隔Dが、タップホルダ50の下面とカバー部材30の底面部30bとの間の間隔Dよりも大きくなるよう構成されている。換言すれば、本実施形態に係るタッピング金型10は、回転体40が最下降した状態において、オイルミスト等の流体がタップ挿通孔34内に流入する流路面積(内部側開口34bの開口面積からタップ41の断面積を除した面積)が、タップホルダ50の下面とカバー部材30の底面部30bとの間の空間に流れ込む流路面積よりも大きくなるよう構成されている。
以上の構成を備えるカバー部材30は、周壁部30aの上端開口を外筒本体22の下端開口部に密着させた状態で、ボルト等の着脱自在の締結具によって外筒本体22に取り付けられており、タップ41の大きさ(外径)等に応じて交換可能に構成されている。
[タッピング金型の動作]
次に、本実施形態に係るタッピング金型10の動作について、図6を用いて説明する。まず、タッピング金型10の回転体40が上昇端に位置した初期状態において、図6(a)に示すように、ワーク搬送機構5によって、下孔加工がされているワークWが所定の加工位置に位置決めされる。
次に、ストライカ機構6のストライカ6aが下降し、タッピング金型10の回転体40を下方に向けて押圧することで、図6(b)に示すように、タッピング金型10の弾性部材47が圧縮され、回転体40のシャフト支持体42、シャフト44、ゲージナット46、タップホルダ50及びタップ41が下降する。
そして、この下降状態において、タッピングユニット回転駆動手段、タッピング用アダプタ及び外筒20の回転伝達部材26を介してシャフト支持体42に回転力が付与されることで、図6(c)に示すように、回転体40のシャフト支持体42、シャフト44、タップホルダ50及びタップ41が回転しながら更に下降し、タップ41によってワークWの穴内にタッピング加工を施す。このタッピング加工が行われている間、回転体40にはストライカ6aを介してオイルミスト等の流体が供給され、該流体がタップ挿通孔34から噴出される。これにより、タップ41の周面及びワークWの穴に対して流体が供給された状態でタッピング加工が実行される。なお、タップ41及びワークWの穴に対する流体の噴出は、タップ41がワークWの穴に挿入される前に開始されることが好ましい。
タッピング加工が行われた後、タッピングユニット回転駆動手段の回転方向を切り替え、回転体40のシャフト支持体42、シャフト44、タップホルダ50及びタップ41を逆回転させることで、図6(d)に示すように、これらの部材を上昇させる。この回転体40の上昇過程においても、タップ41及びワークWの穴に対する流体の噴出が継続されることが好ましい。その後、オイルミスト等の流体の供給を停止させ、ストライカ機構6のストライカ6aを上昇させることで、タッピング金型10の回転体40を上述の初期状態に復帰させる。
以上のとおり、本実施形態に係るタッピング金型10は、ワーク搬送機構5によってタッピング加工の対象となる下穴を切り替えながら以上の一連の動作を繰り返し実行することで、連続してタッピング加工を実行可能に構成されている。
以上説明したとおり、本実施形態に係るタッピング金型10は、タップ挿通孔34が、外部側開口34aよりも内部側開口34bの方が大きい形状を有するという構成と、内部側開口34bの縁がタップホルダ50の流体噴出孔57の外縁よりも外側に位置するよう形成されるという構成とを備え、これらの構成が相乗的に作用し合うことによって、タップ41の長寿命化を図ることが可能となる。
すなわち、本実施形態に係るタッピング金型10では、タップ挿通孔34の内部側開口34bの縁がタップホルダ50の流体噴出孔57の外縁よりも外側に位置するよう形成されることにより、タップホルダ50の流体噴出孔57から噴出されたオイルミスト等の流体の大部分をタップ挿通孔34内に誘導させることが可能となる。また、本実施形態に係るタッピング金型10では、タップ挿通孔34が、外部側開口34aよりも内部側開口34bの方が大きい形状を有することにより、図5(b)に示すように、タップ挿通孔34を通って外部に排出される流体がタップ41の中心軸に向けて噴出されるよう、流体の指向性を高めることが可能となる。そして、このような構成を備える本実施形態に係るタッピング金型10によれば、タップ41の周面に流体を万遍なく供給することが可能となると共に、タッピング加工部位であるワークWの穴に対しても高い指向性を持って流体を供給することが可能となるため、タップ41の長寿命化を図ることが可能となる。
また、本実施形態に係るタッピング金型10によれば、大径の内部側開口34bから流入した流体を小径の外部側開口34aから流出させることで、内部側開口34bと外部側開口34aとが同径に形成される場合と比較して、外部側開口34aから噴出される流体の圧力(流速)を高めることが可能になると共に、該噴出される流体の温度を下げることが可能となる。このため、本実施形態に係るタッピング金型10では、タップ41やワークWに対する流体の吹き付け力や、該流体によるタップ41及びワークWの冷却効果を高める効果が期待できる。さらに、タップ41が切削タップである場合には、タップ挿通孔34から噴出される高指向性かつ高圧の流体によって、タップ41に付着した切屑やワークWの穴内に生じた切屑を除去する優れた清掃効果を付与することも可能となる。
さらに、本実施形態に係るタッピング金型10は、タップ挿通孔34が、外筒20の内部側から外部側に向けて先細りとなるテーパ形状を少なくとも一部に有している。このような構成を備えるタッピング金型10によれば、タップ挿通孔34から噴出される流体の指向性を更に高めることが可能となるため、より一層、タップ41の長寿命化を図ることが可能となる。なお、このような流体の指向性の向上は、タップ挿通孔34の全域がテーパ形状を有する場合(換言すれば、タップ挿通孔34が内部側開口34bから外部側開口34aに亘って先細りとなるテーパ形状を有する場合)に、より顕著となる。
さらに、本実施形態に係るタッピング金型10は、タップ挿通孔34の外部側開口34aがタップホルダ50の流体噴出孔57よりも小さい形状を有している。このような構成を備えるタッピング金型10によれば、流体圧室32に流入する流路面積(タップホルダ50の流体噴出孔57の開口面積)よりも流体圧室32から流出する流路面積(外部側開口34aの開口面積)を小さくさせることが可能となるため、その面積差により、タップ41やワークWに対する流体の吹き付け力や該流体によるタップ41及びワークWの冷却効果等のエアブロー効果をより一層高めることが可能となる。
また、本実施形態に係るタッピング金型10は、回転体40が最下降した状態において、その内部側開口34bの縁とタップ41の周面との間隔Dが、タップホルダ50の下面とカバー部材30の底面部30bとの間の間隔Dよりも大きくなるよう構成されている。このような構成を備えるタッピング金型10によれば、タップホルダ50の下面とカバー部材30の底面部30bとの間の空間よりも優先してタップ挿通孔34内に流体を流入させることが可能となるため、特許文献1のタッピング金型100(図7参照)と比較して、タップホルダ50の流体噴出孔57から噴出された流体の勢いを活かしたままタップ挿通孔34内を流動させることが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、タレットパンチプレス1に用いられるタッピング金型10であるものとして説明したが、これに限定されず、種々の工作機械に用いることが可能である。
上述した実施形態では、タップ挿通孔34が、内部側開口34bから外部側開口34aの全域に亘って先細りとなるテーパ形状を有するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、内部側開口34bから外部側開口34aに至る内面の一部のみがテーパ状に形成される構成としても良いし、内部側開口34bから外部側開口34aに亘って徐々に径が小さくなる階段状に形成される構成としても良い。
上述した実施形態では、カバー部材30の底面部30bの中心部を略切頭円錐状に隆起させることで、タップ挿通孔34の内面をテーパ面とするものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カバー部材30の底面部30bの厚みを十分に確保可能である場合には、底面部30bを隆起させることなくタップ挿通孔34を形成しても良い。
上述した実施形態では、タップホルダ50に、タップ41の周囲を取り囲むように1つの流体噴出孔57が形成されるものとして説明したが、これに限定されず、タップ41の周囲に点在するよう小径の流体噴出孔が複数形成される構成とすることも可能である。この場合においては、半分以上の流体噴出孔、好ましくは全ての流体噴出孔が、タップ挿通孔34の内部側開口34bの投影面積内に収まるよう配置されることが好ましい。
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 タレットパンチプレス、10 タッピング金型、20 外筒、22 外筒本体、30 カバー部材、34 タップ挿通孔、34a 外部側開口(外筒の外部側の開口)、34b 内部側開口(外筒の内部側の開口)、41 タップ、50 タップホルダ、57 流体噴出孔、W ワーク

Claims (5)

  1. 外筒と、
    前記外筒内において、該外筒の軸方向に沿って移動可能かつ軸を中心として回転可能に配されたタップホルダと、
    前記タップホルダに支持されたタップと
    を備え、
    前記外筒は、該外筒の内部と外部とを連通し、かつ、前記タップが挿通可能なタップ挿通孔を有し、
    前記タップホルダは、前記タップ挿通孔に向けて流体を噴出可能な流体噴出孔を有し、
    前記タップ挿通孔は、前記外筒の外部側の開口よりも該外筒の内部側の開口の方が大きい形状を有し、かつ、該内部側の開口の縁が前記流体噴出孔の外縁よりも外側に位置するよう形成されている
    ことを特徴とするタッピング金型。
  2. 前記タップ挿通孔は、前記外筒の内部側から該外筒の外部側に向けて先細りとなるテーパ形状を少なくとも一部に有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のタッピング金型。
  3. 前記タップ挿通孔は、前記外筒の内部側の開口から該外筒の外部側の開口に亘って先細りとなるテーパ形状を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタッピング金型。
  4. 前記タップ挿通孔は、前記外筒の外部側の開口が前記流体噴出孔よりも小さい形状を有している
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のタッピング金型。
  5. 前記外筒は、外筒本体と、該外筒本体の一端側の開口を閉塞可能なカバー部材とを備え、
    前記カバー部材は、前記外筒本体に対して着脱可能に構成されており、
    前記タップ挿通孔は、前記カバー部材に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のタッピング金型。
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