以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。図1は、本発明に係る実施形態に関する概略構成図であり、図2は、図1に示す実施形態の分解斜視図である。携帯機器用腕装着具1は、携帯機器を支持する支持部20が形成された支持部材2と、携帯機器の両側の一対の被係合部に着脱可能に係合する係合部30を備えた一対の取付部材3を備えており、支持部材2の支持部20の両側に延設された嵌合部21及び取付部材3を覆うように一対のカバー部材4が取り付けられている。
腕装着具1には、携帯機器が容易に着脱可能に取り付けられるようになっており、腕に着用する携帯機器であれば取り付けることができる。携帯機器としては、例えば、時計、携帯情報端末機器といったものが挙げられる。
支持部材2は、金属製又は樹脂製の薄板状弾性部材からなり、中央部分が携帯機器の形状に対応して幅広に形成された支持部20を備えている。そして、支持部20の両側に延設された一対の嵌合部21は所定の幅に形成されており、端部には差込部22が略半円形状に形成されている。支持部材2は、支持部20を中心に腕の周囲に巻き付くように湾曲形成されており、長手方向の両端部である差込部22は、所定の間隔を空けて設定されている。そのため、差込部22の間の間隔を拡げるように変形させて腕を差し込むことで、支持部材2を腕に簡単に装着することができる。
一対の取付部材3は、金属製又は樹脂製の弾性板材から形成されており、支持部20の両側にそれぞれ配置されている。取付部材3は、所定幅の基板部31の支持部20側の端部に、フック状に湾曲形成されて係合部30が形成されている。基板部31は、支持部20とは反対側の端部が支持部材2の嵌合部21に取付固定されている。取付部材3は、基板部31の一端部のみが支持部材2に固定されて、係合部30が固定箇所を中心に揺動可能となるように設定されている。
係合部30は、支持部20の支持面に対向する側に開口するようにフック状に湾曲形成されており、携帯機器の被係合部が支持部20の支持面側から係合部30に容易に挿入できるようになっている。そのため、携帯機器を係合部30と容易に係止状態に設定することができるとともに容易に取り外すことができる。
一対のカバー部材4は、樹脂製で硬質の成形部材からなり、所定幅の帯状で腕の周囲に巻き付くように湾曲形成され、支持部材2の嵌合部21を覆うように形成されている。カバー部材4の支持部20側の端部には、取付部材3を収容する切欠き部40が形成されており、切欠き部40の幅方向の両側には、携帯機器の被係合部に対応して溝部41が形成されている。切欠き部40から所定幅で段差部42が長手方向に延設されており、支持部材2の嵌合部21を段差部42に嵌め込んで収容することで、カバー部材4は嵌合部21を覆うように取り付けられる。段差部42の支持部20とは反対側の端部には、支持部材2の差込部22が挿入可能な間隙で形成された挿入孔部43が穿設されている。
一対のカバー部材4は、支持部材2の嵌合部21に対して、切欠き部40側から差し込むように取り付け、段差部42に嵌合部21が挿入されていき、差込部22を挿入孔部43内に突き当たるまで挿入することで、カバー部材4が支持部材2の両側に取り付けられる。カバー部材4を支持部材2に取り付けた状態では、取付部材3が切欠き部40内に収容されて係合部30と溝部41とがほぼ一致するように配置される。こうして、腕装着具1が簡単に組み立てられるようになる。
図3は、時計等の携帯機器Mを取り付けた腕装着具1に関する平面図(図3A)及び正面図(図3B)である。携帯機器Mは、両側に被係合部として棒状の被係合体M1が取り付けられている。携帯機器Mを支持部材2の支持部20の表面に接するように配置することで、被係合体M1が取付部材3の係合部30と対向配置した状態となる。そして、一対の係合部30を支持部材2の長手方向に互いに接近するように支持部材2を弾性変形させて、被係合体M1に対してフック状の開口部分を支持部20の支持面とは反対側から引っ掛けるように係合することで、係合部30は、対向配置された被係合体M1に簡単に係止状態とすることができる。
被係合体M1に係止状態となった一対の係合部30は、互いに離間する方向に付勢力が働いて被係合体M1を引っ張るように作用するため係合部30が被係合体M1から外れにくくなり、携帯機器Mは支持部20の支持面から離間する方向に移動しないように規制されるようになる。また、支持部20は、一対の係合部30が係止状態となることで弾性変形して付勢力が生じ、携帯機器Mの対向する表面に対して圧接するようになる。そのため、携帯機器Mは、安定した状態で支持されて腕装着具1から外れにくくなり、がたつきのない状態で取り付けられる。
カバー部材4は、切欠き部40が形成された部分が被係合体M1とほぼ同じ幅に形成されており、携帯機器Mを取り付けた状態では、被係合体M1の全長にわたって切欠き部40及び溝部41が嵌まり込んで被係合体M1全体を覆うようになっている。
携帯機器を取り付けた腕装着具1を手首に装着する場合、一対のカバー部材4を引き離すように拡げることで、離間している端部の間の間隔が拡がって手首を差し込めるようにする。そして、カバー部材4の間に手首を差し込むことで、腕装着具1を簡単に装着することができる。カバー部材4を引き離すように拡げる際に、カバー部材4に嵌め込まれた嵌合部21も拡がるように弾性変形するようになるが、携帯機器Mは両側に取付部材3の係合部30が係止状態となっているため、嵌合部21の弾性変形に伴って携帯機器Mが外れることはない。
腕装着具1は、バングルのように手首に簡単に装着することができ、バングルと同様に装飾品として用いることも可能となる。例えば、支持部材2に取り付けるカバー部材4として、様々な色彩や模様のカバー部材4を取り付けることで、着用者の嗜好にきめ細かく対応した装飾品を得ることができる。そのため、装着が容易でバラエティに富んだデザインを備えた腕装着具を実現することが可能となる。
また、腕装着具1に取り付ける携帯機器Mは、取付部材3から簡単に取り外すことが可能で、様々なデザイン及び機能を有する携帯機器を適宜交換して取り付けることができる。そのため、着用者が必要に応じて携帯機器を交換して腕装着具に取り付けることができるようになり、携帯機器毎に装着具を取り付けておくことが不要となる。
図4は、上述した実施形態の変形例に関する正面から見た分解図である。この例では、支持部材2’の嵌合部21’が上述した実施形態の支持部材2の嵌合部21の半分程度の長さに設定されており、嵌合部21’の端部には、カバー部材4’に固定する止着ピン5’が取り付けられる穴部が形成されている。また、カバー部材4’には、止着ピン5’が挿入される孔部が形成されている。嵌合部21’をカバー部材4’に嵌め込んだ状態で、嵌合部21’の穴部とカバー部材4’の孔部が一致した状態となり、止着ピン5’を穴部及び孔部に挿入して固定する。止着ピン5’によりカバー部材4’が支持部材2’から外れないように固定されて確実に取り付けることができる。そして、一対のカバー部材4’を引き離すように拡げる際に嵌合部21’も連動して拡がるように弾性変形するようになり、上述した実施形態と同様に手首に容易に装着することが可能となる。
図5は、上述した実施形態の支持部材の変形例に関する正面図(図5A)及び支持部材の伸展した状態に関する平面図(図5B)である。この例では、支持部材2”の支持部20”に円形の穴部20a”が形成されており、携帯機器Mの表面形状に合わせてこうした穴部を形成することで、支持部材2”の支持部20”と携帯機器Mとがより密着した状態に設定することができ、携帯機器Mがずれることなく支持部材2”により安定して支持されるようになる。図6は、さらに別の変形例に関する正面図(図6A)及び支持部材の伸展した状態に関する平面図(図6B)を示しており、この例では、支持部20”の携帯機器Mと対向する面を携帯機器Mの表面形状に合わせて凹凸形状に形成している。この例では、外側に向かって円形の凸部20b”が形成されている。このように携帯機器Mの表面形状に合わせて凹凸形状を形成することで、支持部材2”の支持部20”と携帯機器Mとがより密着した状態に設定することができ、携帯機器Mがずれることなく支持部材2”により安定して支持されるようになる。
図7は、支持部材2”の支持部の別の変形例に関する正面図(図7A)及び支持部材2”の伸展した状態に関する平面図(図7B)である。この例では、支持部20c”は、嵌合部と同じ幅に形成されており、支持部材2”を効率よく成形加工することができる。また、図8は、さらに別の変形例に関する正面図(図8A)及び支持部材の伸展した状態に関する平面図(図8B)を示しており、この例では、携帯機器Mの形状に合わせて支持部20d”を矩形状に形成している。このように、支持部材の支持部の形状は、携帯機器の形状や成形加工の効率化により様々な形状に形成することができ、上述した変形例に限定されることなく多様な形状とすることが可能である。
図9は、参考例に関する正面から見た分解図(図9A)及び正面図(図9B)である。この例では、支持部材2は、上述した実施形態と同様に、支持部20、嵌合部21及び差込部22が形成されている。一対の取付部材6は、上述した実施形態の取付部材3及びカバー部材4を兼ねた構成となっており、樹脂製で硬質の成形部材からなり、所定幅の帯状で腕の周囲に巻き付くように湾曲形成されている。取付部材6の支持部20側の端部には、携帯機器の被係合部と係合する溝状の係合部60が幅方向に形成されている。取付部材6の内側には、所定幅で段差部61が長手方向に延設されており、支持部材2の嵌合部21を段差部61に嵌め込んで収容することで、取付部材6は嵌合部21を覆うように取り付けられる。段差部61の支持部20とは反対側の端部には、支持部材2の差込部22が挿入可能な間隙で形成された挿入孔部62が穿設されている。
一対の取付部材6は、支持部材2の嵌合部21を段差部61に嵌め込んで、差込部22を挿入孔部62内に突き当たるまで挿入することで、支持部材2の両側に取り付けられる。取付部材6を支持部材2に取り付けた状態では、図9Bに示すように、携帯機器の被係合部に対応する位置に係合部60が配置されるようになる。嵌合部21の差込部22側の端部には、止着ピン7を取り付ける穴部が形成されており、取付部材6には穴部に対応して止着ピン7が挿入される孔部が形成されている。嵌合部21を取付部材6に嵌め込んだ状態で、嵌合部21の穴部と取付部材6の孔部が一致するようになり、止着ピン7を穴部及び孔部に挿入して固定する。止着ピン7により取付部材6が支持部材2から外れないように固定されて確実に取り付けることができる。こうして、腕装着具1が簡単に組み立てられるようになる。
携帯機器を腕装着具1に取り付ける場合には、上述した実施形態と同様に、一対の係合部60を支持部材2の長手方向に互いに接近するように支持部材2を弾性変形させる。そして、携帯機器の一対の被係合部に対して係合部60を支持部20の支持面の反対側から引っ掛けるように係合することで、係合部60は、対向配置された被係合部に簡単に係止状態とすることができる。
被係合部に係止状態となった一対の係合部60は、互いに離間する方向に付勢力が働いて被係合部を引っ張るように作用するため係合部60が被係合部から外れにくくなり、携帯機器は支持部20の支持面から離間する方向に移動しないように規制されるようになる。また、支持部20は、一対の係合部60が係止状態となることで弾性変形して付勢力が生じ、携帯機器の対向する表面に対して圧接するようになる。そのため、携帯機器は、安定した状態で支持されて腕装着具1から外れにくくなり、がたつきのない状態で取り付けられる。
図10は、係合部60の変形例に関する説明図である。この例では、係合部60’は、携帯機器の被係合部が挿入される開口60a’から支持部20側に向かって入り込むように保持溝60b’が形成されている。こうした溝の形状にすることで、開口60a’から挿入された被係合部は保持溝60b’に案内されて保持されるようになる。そのため、係合部60’に被係合部が確実に保持されるようになり、携帯機器が支持部20に押し付けられるように移動した場合でも被係合部が不用意に外れないようにすることができる。
図11は、上述した参考例の変形例に関する正面から見た分解図である。この例では、図4に示す例と同様に、支持部材2’の嵌合部21’が別の実施形態の支持部材2の嵌合部21の半分程度の長さに設定されており、嵌合部21’の端部には、取付部材6’に固定する止着ピン7’が取り付けられるようになっている。そのため、嵌合部21’を取付部材6’に嵌め込んだ状態で止着ピン7’により固定することで取付部材6’を支持部材2’に確実に取り付けることができる。そして、一対の取付部材6’を引き離すように拡げる際に嵌合部21’も連動して拡がるように弾性変形するようになり、上述した別の実施形態と同様に手首に容易に装着することが可能となる。