JP2019121853A - 原子発振器、周波数信号生成システム、および原子発振器の磁場制御方法 - Google Patents

原子発振器、周波数信号生成システム、および原子発振器の磁場制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子セルに対する外部の磁場の影響を低減できる周波数信号生成システムを提供する。【解決手段】光を出射する光源と、アルカリ金属原子が収容され、前記光源から出射された光が入射する原子セルと、前記原子セルに磁場を印加する第1コイルと、前記原子セルおよび前記第1コイルを収容し、磁場を遮蔽する第1シールドと、凹部を有する第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された空間に前記光源および前記第1シールドを収容し、磁場を遮蔽する第2シールドと、前記凹部の開口を通過する磁場を発生させる第2コイルと、を含む、原子発振器。【選択図】図1

Description

本発明は、原子発振器、周波数信号生成システム、および原子発振器の磁場制御方法に関する。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。原子発振器では、原子セルが外部の磁場(環境磁場)の影響を受けると、発振特性が不安定になってしまう。
そのため、例えば、特許文献1に記載された原子発振器は、ガスセルの外側に配置されているガスセル側磁気遮蔽部と、ガスセルとガスセル側磁気遮蔽部を挟んで配置されている外側磁気遮蔽部と、を備えている。
ここで、ガスセル側磁気遮蔽部は、板状の基部と有底筒状の蓋体とを備え、蓋体の開口が基部により封鎖されている。これにより、ガスセルを収容する空間が形成されている。基部および蓋体は、磁気遮蔽効果を有する材料で構成されている。
また、外側磁気遮蔽部は、底部と蓋部とを備え、蓋部の開口が基板により封鎖されている。これにより、ガスセル側磁気遮蔽部を収納する空間が形成されている。
特開2015−2447号公報
ガスセル側磁気遮蔽部において、基部と蓋体とは、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等により接合されている。また、基部と蓋体との間には、これらを接合するための接合部材が介在している場合もある。
そのため、ガスセル側磁気遮蔽部では、基部と蓋体との接合部において磁気抵抗が大きくなる。したがって、ガスセル側磁気遮蔽部では、基部から、蓋体の開口を通って、蓋体を通過するような外部の磁場、および蓋体から、蓋体の開口を通って基部を通過するような外部の磁場に対する磁気遮蔽効果が低い。
また、外側磁気遮蔽部において、底部と蓋部との間には基板が存在している。そのため、底部と蓋部とは磁気的に不連続となる。したがって、外側磁気遮蔽部は、底部から、蓋体の開口を通って、蓋体を通過するような磁場、および蓋体から、蓋体の開口を通って、底部を通過するような磁場に対する磁気遮蔽効果が低い。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、原子セルに対する外部の磁場の影響を低減できる原子発振器を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、原子セルに対する外部の磁場の影響を低減できる周波数信号生成システムを提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、原子セルに対する外部の磁場の影響を低減できる原子発振器の磁場制御方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本適用例に係る原子発振器は、光を出射する光源と、アルカリ金属原子が収容され、前記光源から出射された光が入射する原子セルと、前記原子セルに磁場を印加する第1コイルと、前記原子セルおよび前記第1コイルを収容し、磁場を遮蔽する第1シールドと、凹部を有する第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された空間に前記光源および前記第1シールドを収容し、磁場を遮蔽する第2シールドと、前記凹部の開口を通過する磁場を発生させる第2コイルと、を含む。
ここで、第1部材から凹部の開口を通過して第2部材を通過するような外部の磁場、および第2部材から凹部の開口を通過して第1部材を通過するような外部の磁場に対しては、第2シールドの磁気遮蔽効果が低い。本適用例に係る原子発振器では、第2コイルが第1部材の基部の凹部の開口を通過する磁場を発生させるため、第1部材から凹部の開口を通過して第2部材を通過するような外部の磁場、および第2部材から凹部の開口を通過して第1部材を通過するような外部の磁場を低減できる。したがって、本適用例に係る原子発振器では、原子セルに対する外部の磁場の影響を効率よく低減できる。
[適用例2]
本適用例に係る原子発振器において、前記第2コイルは、前記第1シールドの外部に配置されていてもよい。
本適用例に係る原子発振器では、第2コイルが第1シールドの外部に配置されているため、第1シールドの内部に第2コイルを配置するためのスペースを設けなくてもよい。そのため、第1シールドの小型化を図ることができる。
[適用例3]
本適用例に係る原子発振器において、前記第2コイルは、前記第2シールドの内部に配置されていてもよい。
本適用例に係る原子発振器では、第2コイルが第2シールドの内部に配置されているため、例えば第2コイルが第2シールドの外部に配置されている場合と比べて、第2コイルが発生させる磁場を弱くすることができる。これにより、本適用例に係る原子発振器では、消費電力を低減できる。
[適用例4]
本適用例に係る原子発振器において、前記第2シールドに収容された多層基板を含み、前記第2コイルは、前記多層基板の少なくとも2層に配置されていてもよい。
本適用例に係る原子発振器では、第2コイルが多層基板の少なくとも2層に配置されているため、例えば第2コイルが単層のコイルである場合と比べて、広い空間に一様な磁場を形成することができる。
[適用例5]
本適用例に係る原子発振器において、前記第2コイルは、前記第2シールドの外部に配置されていてもよい。
本適用例に係る原子発振器では、第2コイルが第2シールドの外部に配置されているため、第2シールドの内部に第2コイルを配置するスペースをつくらなくてもよい。そのため、第2シールドの小型化を図ることができる。
[適用例6]
本適用例に係る原子発振器において、前記第2コイルの内側に配置され、磁場を検出する磁気センサーを含んでいてもよい。
本適用例に係る原子発振器では、磁気センサーが第2コイルの内側に配置されているため、例えば磁気センサーが第2コイルの外側に配置されている場合と比べて、精度よく磁場を検出することができる。
[適用例7]
本適用例に係る周波数信号生成システムは、光を出射する光源と、アルカリ金属原子が収容され、前記光源から出射された光が入射する原子セルと、前記原子セルに磁場を印加する第1コイルと、前記原子セルおよび前記第1コイルを収容し、磁場を遮蔽する第1シールドと、凹部を有する第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された空間に前記光源および前記第1シールドを収容し、磁場を遮蔽する第2シールドと、前記凹部の開口を通過する磁場を発生させる第2コイルと、を含む。
本適用例に係る周波数信号生成システムでは、第2コイルが第1部材の基部の凹部の開口を通過する磁場を発生させるため、第1部材から凹部の開口を通過して第2部材を通過するような外部の磁場、および第2部材から凹部の開口を通過して第1部材を通過するような外部の磁場を低減できる。したがって、本適用例に係る周波数信号生成システムでは、原子セルに対する外部の磁場の影響を効率よく低減できる。
[適用例8]
本適用例に係る原子発振器の磁場制御方法は、原子発振器の磁場制御方法であって、前記原子発振器は、光を出射する光源と、アルカリ金属原子が収容され、前記光源から出射された光が入射する原子セルと、前記原子セルに磁場を印加する第1コイルと、前記原子セルおよび前記第1コイルを収容し、磁場を遮蔽する第1シールドと、凹部を有する第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された空間に前記光源および前記第1シールドを収容し、磁場を遮蔽する第2シールドと、前記凹部の開口を通過する磁場を発生させる第2コイルと、を含み、前記磁場制御方法は、前記第2コイルに電流を供給して前記凹部の開口を通過する磁場を発生させること、前記第2コイルによって前記凹部の開口を通過する磁場を発生させた状態で、前記第1コイルに電流を供給すること、を含む。
本適用例に係る原子発振器の磁場制御方法では、第2コイルが第1部材の基部の凹部の開口を通過する磁場を発生させるため、第1部材から凹部の開口を通過して第2部材を通過するような外部の磁場、および第2部材から凹部の開口を通過して第1部材を通過するような外部の磁場を低減できる。したがって、本適用例に係る原子発振器の磁場制御方法では、原子セルに対する外部の磁場の影響を効率よく低減できる。
さらに、本適用例に係る原子発振器の磁場制御方法では、第2コイルによって凹部の開口を通過する磁場を発生させた状態で、第1コイルに電流を供給することを含むため、原子セルに対する外部の磁場の影響が低減された状態で、第2コイルによってアルカリ金属原子のエネルギー準位をゼーマン分裂させるための磁場を原子セルに印加することができる。これにより、原子発振器の周波数安定性を高めることができる。
実施形態に係る原子発振器を示す概略図。 実施形態に係る原子発振器を模式的に示す斜視図。 実施形態に係る原子発振器を模式的に示す平面図。 実施形態に係る原子発振器を模式的に示す断面図。 第2コイルが発生させる磁場を説明するための図。 シールド制御部および磁場制御部の処理の一例を示すフローチャート。 シールド制御部および磁場制御部の処理の一例を示すフローチャート。 第1変形例に係る原子発振器の第2コイルを模式的に示す斜視図。 第1変形例に係る原子発振器の第2コイルの他の例を模式的に示す断面図。 第2変形例に係る原子発振器の回路基板および第2コイルを模式的に示す側面図。 第2変形例に係る原子発振器を模式的に示す断面図。 第3変形例に係る原子発振器を模式的に示す斜視図。 第4変形例に係る原子発振器を模式的に示す斜視図。 第5変形例に係る原子発振器を模式的に示す断面図。 第6変形例に係る原子発振器を模式的に示す断面図。 実施形態に係る周波数信号生成システムを示す概略構成図。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 原子発振器
1.1. 概略
まず、本実施形態に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る原子発振器100を示す概略図である。
原子発振器100は、アルカリ金属原子に対して特定の異なる波長の2つの共鳴光を同時に照射したときに当該2つの共鳴光がアルカリ金属原子に吸収されずに透過する現象が生じる量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した原子発振器である。なお、この量子干渉効果による現象は、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象とも言う。また、本発明に係る原子発振器は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した原子発振器であってもよい。
原子発振器100は、図1に示すように、光源10と、光学系ユニット20と、原子セル30と、受光素子40と、ヒーター50と、温度センサー52と、第1コイル60と、第2コイル70と、磁気センサー80と、制御ユニット90と、を含む。
光源10は、周波数の異なる2種の光を含んでいる直線偏光の光LLを出射する。光源10は、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの発光素子である。図示はしないが、光源10は、ペルチェ素子などの温度制御素子によって温度が制御されていてもよい。
光学系ユニット20は、光源10と原子セル30との間に配置されている。光学系ユニット20は、減光フィルター22と、レンズ24と、1/4波長板26と、を有している。
減光フィルター22は、光源10から出射された光LLの強度を減少させる。レンズ24は、光LLの放射角度を調整する。例えば、レンズ24は、光LLを平行光にする。1/4波長板26は、光LLに含まれる周波数の異なる2種の光を、直線偏光から円偏光に変換する。
原子セル30は、光源10から出射される光LLを透過する。原子セル30には、アルカリ金属原子が収容されている。アルカリ金属原子は、互いに異なる2つの基底準位と励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。原子セル30には、光源10から出射された光LLが減光フィルター22、レンズ24、および1/4波長板26を介して入射する。
受光素子40は、原子セル30を通過した光LLを受光し、検出する。受光素子40は、例えば、フォトダイオードである。
ヒーター50は、原子セル30の温度を制御するための温度制御素子である。ヒーター50は、原子セル30に収容されたアルカリ金属原子を加熱し、アルカリ金属原子の少なくとも一部をガス状態にする。ヒーター50によって、原子セル30は、例えば60℃以上70℃以下に維持される。温度センサー52は、原子セル30の温度を検出する。
第1コイル60は、原子セル30に磁場を印加する。具体的には、第1コイル60は、原子セル30に収容されたアルカリ金属原子に所定方向の磁場を印加し、アルカリ金属原子のエネルギー準位をゼーマン分裂させる。
アルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光した共鳴光対がアルカリ金属原子に照射されると、ゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くなる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号が大きくなる。その結果、原子発振器100の発振特性を向上させることができる。
第2コイル70は、外部の磁場を打ち消す方向の磁場を発生させる。第2コイル70が磁場を発生させることによって、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。
磁気センサー80は、原子セル30における磁場に関する情報を出力する。具体的には、磁気センサー80は磁気センサー80が配置された場所の磁場を検出し、検出結果を出力する。磁気センサー80における磁場の検出結果から、原子セル30における外部の磁場の大きさや向きを推測できる。
制御ユニット90は、温度制御部92と、磁場制御部94と、光源制御部96と、シールド制御部98と、を有している。
温度制御部92は、温度センサー52の検出結果に基づいて、原子セル30の内部が所望の温度となるように、ヒーター50への通電を制御する。磁場制御部94は、第1コイル60が発生する磁場が一定となるように、第1コイル60に供給される電流を制御する。
光源制御部96は、受光素子40の検出結果に基づいて、EIT現象が生じるように、光源10から出射された光LLに含まれる2種の光の周波数を制御する。ここで、これら2種の光が原子セル30に収容されたアルカリ金属原子の2つの基底準位間のエネルギー差に相当する周波数差の共鳴光対となったとき、EIT現象が生じる。光源制御部96は、2種の光の周波数の制御に同期して安定化するように発振周波数が制御される電圧制御
型発振器(図示せず)を備えており、この電圧制御型発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)の出力信号を原子発振器100の出力信号(クロック信号)として出力する。
シールド制御部98は、第2コイル70に電流を供給する。シールド制御部98は、磁気センサー80の検出結果に基づいて、第2コイル70が外部の磁場を打ち消す方向の磁場を発生させるように第2コイル70に流れる電流を制御する。すなわち、シールド制御部98は、第2コイル70が原子セル30に対する外部の磁場の影響が低減される磁場を発生させるように第2コイル70に流れる電流を制御する。
1.2. 原子発振器の構成
次に、原子発振器100の構成について説明する。図2は、原子発振器100を模式的に示す斜視図である。なお、図2では、便宜上、第1シールド110および第2シールド120を簡略化して図示している。図3は、原子発振器100を模式的に示す平面図である。図4は、原子発振器100を模式的に示す断面図であり、図3のIV−IV線断面図である。なお、図3では、便宜上、実装基板102および第2シールド120の図示を省略している。また、図4では、便宜上、実装基板102の図示を省略している。
図3および図4には、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。ここで、Z軸は、回路基板130の実装面の垂線に沿う軸である。+Z軸方向は、第2シールド120の基部122の第1面121から蓋部124の第2面125に向かう方向であり、−Z軸方向は、その反対方向である。X軸方向は、光源10から出射される光LLの光軸Aに沿う軸であり、+X軸方向は光LLの進行方向である。
原子発振器100は、図2〜図4に示すように、光源10と、光学系ユニット20と、原子セル30と、受光素子40と、ヒーター50と、第1コイル60と、第2コイル70と、磁気センサー80と、実装基板102と、第1シールド110と、第2シールド120と、回路基板130と、IC(Integrated Circuit)チップ140,142と、を含む。
光源10は、回路基板130に配置されている。図示の例では、光源10は、光源基板12に固定されており、光源基板12は、ねじ(図示せず)によって回路基板130に固定されている。なお、光源10は、第2シールド120の基部122に直接配置されていてもよいし、支持部材(図示せず)等を介して第2シールド120の基部122に配置されていてもよい。
光学系ユニット20は、回路基板130に配置されている。光学系ユニット20は、減光フィルター22と、レンズ24と、1/4波長板26と、これらを保持しているホルダー28と、を有している。ホルダー28は、例えば、ねじ(図示せず)によって回路基板130に固定されている。なお、光学系ユニット20は、第2シールド120の基部122に直接配置されていてもよいし、支持部材(図示せず)等を介して第2シールド120の基部122に配置されていてもよい。
原子セル30は、第1シールド110に収容されている。原子セル30は、第1シールド110の内部に配置されている。原子セル30は、第1シールド110の内部において、原子セル保持部材32によって保持されている。原子セル保持部材32は、ねじ(図示せず)によって第1シールド110に固定されている。
原子セル30には、気体のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が収容されている。原子セル30には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の
不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属原子とともに収容されていてもよい。原子セル30には、光源10から出射された光LLが入射する。原子セル30の壁部の材質は、例えば、ガラスなどである。
受光素子40は、第1シールド110に収容されている。なお、図示はしないが、受光素子40が、第1シールド110の外部に配置されていてもよい。
ヒーター50は、第1シールド110の外部に設けられている。ヒーター50は、例えば、第1シールド110の外表面に伝熱部材を介して配置されている。ヒーター50は、例えば、発熱抵抗体である。ヒーター50は、図示はしないが、ヒーター50が発生させる磁場を遮蔽するシールドに収容されていてもよい。
温度センサー52は、図2〜図4では図示していないが、原子セル30の近傍に配置されている。温度センサー52は、例えば、サーミスタ、熱電対等の各種温度センサーである。
第1コイル60は、第1シールド110に収容されている。第1コイル60は、第1シールド110の内部に配置されている。第1コイル60は、原子セル30の周囲に配置されている。第1コイル60は、例えば、原子セル30の外周に沿って巻回して設けられているソレノイドコイル、または、原子セル30を介して対向するヘルムホルツ型の1対のコイルである。第1コイル60は、原子セル30の内部に光LLの光軸Aに沿った方向の磁場を発生させる。これにより、原子セル30に収容されたアルカリ金属原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂により拡げて、分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる。
第2コイル70は、第1シールド110の外部に配置されている。第2コイル70は、第2シールド120に収容されている。すなわち、第2コイル70は、第2シールド120の内部に配置されている。第2コイル70は、回路基板130に設けられている。
第2コイル70は、例えば、回路基板130に設けられた配線によって構成されている。具体的には、第2コイル70は、回路基板130の表面または内部に設けられた配線によって構成されている。回路基板130がプリント基板である場合、第2コイル70は、例えば、プリント配線で構成されている。なお、第2コイル70の構成はこれに限定されない。
第2コイル70のZ軸方向から見た形状は、矩形である。なお、第2コイル70のZ軸方向から見た形状はこれに限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形であってもよい。第2コイル70は、単層のコイルである。
第2コイル70の内部には、光源10、光学系ユニット20、ヒーター50、磁気センサー80、第1シールド110、およびICチップ140,142が配置されている。すなわち、Z軸方向から見て、光源10、光学系ユニット20、ヒーター50、磁気センサー80、第1シールド110、およびICチップ140,142は、第2コイル70の内側に位置している。なお、第2コイル70の内側には、少なくとも原子セル30が配置されていればよい。
図5は、第2コイル70が発生させる磁場を説明するための図である。なお、図5では、便宜上、第2コイル70、第2シールド120、および回路基板130のみを図示している。また、図5では、便宜上、第2コイル70、第2シールド120、および回路基板130を簡略化して図示している。
第2コイル70は、第2シールド120の基部122に設けられた凹部2の開口123を通る磁場B2を発生させる。第2コイル70の開口部(コイル面)はZ軸方向を向いている。すなわち、第2コイル70の開口部(コイル面)の垂線は、Z軸に平行である。したがって、第2コイル70が発生させる磁場B2の方向はZ軸方向である。
図示の例では、第2コイル70は、+Z軸方向の磁場B2を発生させている。すなわち、第2コイル70は、第2コイル70から蓋部124の第2面125に向かう方向の磁場B2を発生させている。
また、図示はしないが、第2コイル70に流す電流の方向を変えることで、第2コイル70は、−Z軸方向の磁場B2を発生させることができる。すなわち、第2コイル70は、第2コイル70から基部122の第1面121に向かう方向の磁場B2を発生させることができる。
なお、第2コイル70が発生させる磁場B2は、第2シールド120の内部において、Z軸方向の成分を持っていればよい。すなわち、第2コイル70の開口部(コイル面)の垂線は、Z軸方向の成分を持っていればよい。
第2コイル70が凹部2の開口123を通る磁場B2を発生させることによって、第2シールド120内において、外部の磁場B4のZ軸方向の成分を低減できる。例えば、図5に示すように、第2コイル70が+Z軸方向の磁場B2を発生させることによって、第2シールド120内において、蓋部124から開口123を通って基部122を通過するような磁場(すなわち外部の磁場の−Z軸方向の成分)の影響を低減できる。
また、図示はしないが、第2コイル70が−Z軸方向の磁場B2を発生させることによって、基部122から開口123を通って蓋部124を通過するような磁場(すなわち外部の磁場の+Z軸方向の成分)の影響を低減できる。
図2ないし図4に戻り、磁気センサー80は、回路基板130に配置されている。磁気センサー80は、第2コイル70の内部に配置されている。すなわち、磁気センサー80は、Z軸方向から見て、第2コイル70の内側に位置している。磁気センサー80は、第1シールド110の外部に配置されている。第1シールド110および第2シールド120は、磁性材料で構成されているため、その近傍では磁場が乱れる。そのため、磁気センサー80は、第1シールド110および第2シールド120から所定の距離だけ離して配置されている。
磁気センサー80は、例えば、磁気抵抗効果素子(magneto resistive device、MR素子)、磁気インピーダンス素子(Magneto Impedance device、MI素子)、ホール素子などを用いたセンサーである。磁気センサー80は、一軸の磁気センサーであってもよいし、多軸の磁気センサーであってもよい。
実装基板102には、図2に示すように、第2シールド120が固定されている。実装基板102には、回路基板130に配置されたICチップ140,142と電気的に接続された配線(図示せず)が設けられている。ICチップ140,142と回路基板130に設けられた配線とは、回路基板130に設けられたリードピン150を介して、電気的に接続される。また、実装基板102と第2シールド120とは、リードピン150によって固定されていてもよい。実装基板102には、各種電子部品(図示せず)が設けられていてもよい。実装基板102は、例えば、プリント基板である。
第1シールド110は、少なくとも原子セル30を収容する容器である。第1シールド110は、図示の例では、原子セル30、原子セル保持部材32、受光素子40、および第1コイル60を収容している。第1シールド110は、回路基板130に配置されている。なお、図示はしないが、第1シールド110は、第2シールド120の基部122に直接配置されていてもよいし、支持部材等を介して第2シールド120の基部122に配置されていてもよい。
第1シールド110は、略直方体の外形形状を有している。第1シールド110の材質は、例えば、鉄、ケイ素鉄、パーマロイ、スーパーマロイ、センダストなどである。このような材料を用いることにより、第1シールド110は、外部の磁場を遮蔽することができる。これにより、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。なお、本明細書において、「磁場を遮蔽する」とは、磁場を完全に遮断する場合と、磁場の強度を低減する場合と、を含むものとして用いている。
第1シールド110には、貫通孔が設けられている。光源10から出射された光LLは、貫通孔を通って原子セル30に入射する。貫通孔には、光LLを透過させる部材が設けられていてもよい。
第2シールド120は、光源10、光学系ユニット20、ヒーター50、第2コイル70、磁気センサー80、第1シールド110、回路基板130、およびICチップ140,142を収容している。第2シールド120は、さらに、図2〜図4には図示しないが温度センサー52を収容している。第2シールド120は、実装基板102に固定されている。
第2シールド120は、基部(第1部材の一例)122と、基部122とは別体の蓋部(第2部材の一例)124と、を有している。基部122は、第1シールド110等が収容される空間を形成する凹部2を有している。基部122に設けられた凹部2の開口123は蓋部124によって塞がれている。また、蓋部124には凹部4が設けられており、当該凹部4の開口は基部122で塞がれている。基部122と蓋部124によって、光源10や第1シールド110等が収容される空間が形成されている。
なお、第2シールド120の構成はこれに限定されない。例えば、基部122が平坦であり、蓋部124が凹部を有していてもよい。蓋部124の凹部の開口を基部122で塞ぐことによって、第1シールド110等が収容される空間が形成されてもよい。また、例えば基部122が凹部を有し、蓋部124が平坦であり、基部122の凹部の開口を蓋部124が塞ぐことによって、第1シールド110等が収容される空間が形成されてもよい。
基部122と蓋部124とは、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等により接合されている。また、基部122と蓋部124との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
基部122は、第1面121を有している。蓋部124は、第2面125を有している。第1面121と第2面125とは対向している。第1面121は、第1シールド110等が収容される空間の下方(−Z軸方向)を規定する面である。第2面125は、第1シールド等が収容される空間の上方(+Z軸方向)を規定する面である。
第2シールド120の材質は、例えば、第1シールド110と同じである。そのため、第2シールド120は、外部の磁場を遮蔽することができる。これにより、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。
なお、第1シールド110および第2シールド120の少なくとも一方の材質として、電気伝導率の高い金属を用いてもよい。このようにシールドの材質を電気伝導率の高い金属とすることによって高周波の磁場を遮蔽することができる。また、第1シールド110および第2シールド120の少なくとも一方を、パーマロイ等の磁性体と、電気伝導率の高い金属と、の2層構造にしてもよい。このようにシールドを2層構造にすることによって、磁気シールドとしての機能に加えて高周波の磁場を遮蔽する機能をシールドに持たせることができる。
回路基板130は、第2シールド120に収容されている。回路基板130は、複数のリードピン150を介して、第2シールド120の基部122に固定されている。回路基板130には、図示はしないが、ICチップ140と光源10を接続する配線や、ICチップ140と受光素子40を接続する配線、ICチップ140とヒーター50を接続する配線、ICチップ140と温度センサー52を接続する配線、ICチップ142と第2コイル70を接続する配線、ICチップ142と磁気センサー80を接続する配線などが設けられている。
ICチップ140は、回路基板130に配置されている。ICチップ140は、第2コイル70の内側に配置されている。なお、ICチップ140は、第2コイル70の外側に配置されていてもよい。ICチップ140は、温度制御部92、磁場制御部94、および光源制御部96として機能する回路を含む。
ICチップ142は、回路基板130に配置されている。ICチップ142は、第2コイル70の内側に配置されている。ICチップ142は、シールド制御部98として機能する回路を含む。なお、シールド制御部98として機能する回路は、ICチップに組み込まれていなくてもよく、抵抗やトランジスタなどの個別の素子を組み合わせて形成された回路であってもよい。
原子発振器100は、例えば、以下の特徴を有する。
原子発振器100では、第2コイル70が、基部122の凹部2の開口123を通過する磁場B2を発生させる。そのため、原子発振器100では、外部の磁場のZ軸方向の成分を低減できる。したがって、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。これにより、原子発振器100の発振特性の安定化を図ることができる。
ここで、第2シールド120において、基部122と蓋部124とは、別部材であり、基部122と蓋部124との接合部において磁気抵抗が大きくなる。そのため、第2シールド120は、例えばX軸方向の磁場およびY軸方向の磁場に比べて、Z軸方向の磁場に対する磁気遮蔽効果が低い。原子発振器100では、上述したように、第2コイル70によって、Z軸方向の磁場の影響を低減できるため、原子セル30に対する外部の磁場の影響を効率よく低減できる。
原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減するために、例えば、第2コイル70のかわりに第2シールド120の内部に、第1シールド110を収容するシールド(以下「第3シールド」ともいう)を設けることも考えられる。すなわち、原子セル30を3つのシールドで覆って外部の磁場を遮蔽することも考えられる。しかしながら、第3シールドを設けた場合、第2シールド120の内部に第3シールドを設けるスペースをつくる必要があり、装置が大型化してしまう。また、シールドをパーマロイなどで形成する場合、焼鈍が必要であり、寸法公差が大きくなる。そのため、原子セル30を3つのシールドで覆う場合、原子発振器の組み立て精度が低下してしまう。
これに対して、原子発振器100では、第3シールドを設けなくてもよい。そのため、原子発振器100では、小型化を図ることができる。特に、第3シールドを設けないことで、Z軸方向の大きさを小さくできる。すなわち、原子発振器100を低背化することができる。さらに、原子発振器100では、例えば原子セル30を3つのシールドで覆う場合と比べて、組み立て精度を向上できる。
また、パーマロイ等は、加工が難しく、また材料価格も高い。原子発振器100では、第2コイル70によって外部の磁場の影響を低減できるため、例えば原子セル30を3つのシールドで覆う場合と比べて、低コスト化を図ることができる。
原子発振器100では、第2コイル70が第1シールド110の外部に配置されている。そのため、原子発振器100では、第1シールド110に第2コイル70を配置するためのスペースを設けなくてもよく、第1シールド110の小型化を図ることができる。また、第2コイル70の大きさが第1シールド110の大きさの制約を受けないため、例えば第2コイル70が第1シールド110の内部に配置される場合と比べて、第2コイル70として大きなコイルを用いることができる。
原子発振器100では、第2コイル70が第2シールド120の内部に配置されている。そのため、原子発振器100では、第2コイル70が発生させる磁場B2の強さは、第2シールド120の内部に侵入した磁場に応じた強さであれば足りる。例えば、第2コイル70が第2シールド120の外部に配置されている場合と比べて、第2コイル70が発生させる磁場B2を弱くすることができる。これにより、原子発振器100の消費電力を低減できる。
原子発振器100では、第2コイル70が回路基板130に設けられた配線で構成されている。そのため、原子発振器100では、低コスト化および小型化を図ることができる。また、例えば、第2コイル70としてらせん状の銅配線等で構成されたコイルを用いた場合、回路基板130に当該コイルを精度よく位置決めすることは困難である。これに対して、原子発振器100では、第2コイル70が回路基板130に設けられた配線で構成されているため、回路基板130に対して第2コイル70を精度よく位置決めできる。
原子発振器100では、磁気センサー80が第2コイル70の内側に配置されている。そのため、原子発振器100では、例えば、磁気センサー80が第2コイル70の外側に配置されている場合と比べて、精度よく磁場を検出することができる。
1.3. 原子発振器の磁場制御方法
次に、原子発振器100の磁場制御方法について説明する。
原子発振器100では、シールド制御部98が第2コイル70に供給される電流(第2コイル70のコイル電流)を制御することによって、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減している。また、原子発振器100では、磁場制御部94が第1コイル60に供給される電流(第1コイル60のコイル電流)を制御することによって、アルカリ金属原子のエネルギー準位をゼーマン分裂させるための磁場を発生させている。以下、シールド制御部98の処理、および磁場制御部94の処理について説明する。
シールド制御部98は、磁気センサー80による磁場の検出結果に基づいて、第2コイル70のコイル電流を制御して磁場B2を発生させる。シールド制御部98は、原子セル30の位置における外部の磁場の大きさが目標値(例えば磁場の大きさが零)となるように第2コイル70のコイル電流を制御する(フィードバック制御)。
シールド制御部98は、例えば、PID制御(Proportional Integral Differential Controller)により第2コイル70のコイル電流を制御する。例えば、シールド制御部98は、まず、磁気センサー80の出力信号から、当該出力信号と原子セル30の位置における磁場とを関連付けたテーブルを用いて、原子セル30の位置における磁場を求める。次に、原子セル30の位置における磁場の大きさと目標値との差分をPID演算し、演算結果に基づき第2コイル70のコイル電流を調整する。これにより、外部の磁場が変動した場合(例えば交流磁場など)であっても、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。
ここで、磁気センサー80は、外部の磁場だけでなく、第1コイル60が発生させる磁場も検出する。そのため、磁気センサー80の出力信号と原子セル30の位置における磁場との関係は、第1コイル60が磁場を発生させていない状態と、第1コイル60が磁場を発生させている状態とで変わってしまう。したがって、磁気センサー80の出力信号と原子セル30の位置における磁場とを関連付けたテーブルとして、第1コイル60が磁場を発生させていない状態におけるテーブル(以下「第1テーブル」という)と、第1コイル60が磁場を発生させている状態におけるテーブル(以下「第2テーブル」という)と、を用いる。第1テーブルおよび第2テーブルは、例えば、ICチップ142に搭載された記憶装置(メモリ)に記憶されている。
磁場制御部94は、第1コイル60に供給される電流を制御して、原子セル30の内部に光LLの光軸Aに沿った方向の磁場を発生させる。これにより、原子セル30に収容されたアルカリ金属原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂により拡げて、分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる。この結果、原子発振器100では、周波数安定性を高めることができる。磁場制御部94は、例えば、第1コイル60が発生させる磁場が一定となるように、第1コイル60のコイル電流を制御する。
磁場制御部94による第1コイル60に電流を供給する制御は、シールド制御部98による第2コイル70の制御が行われている状態で行われる。すなわち、図5に示すように、第2コイル70によって基部122の凹部2の開口123を通過する磁場B2を発生させた状態で、第1コイル60に電流が供給される。そのため、原子セル30に対する外部の磁場の影響が低減された状態で、原子セル30に、アルカリ金属原子のエネルギー準位をゼーマン分裂させるための磁場を印加することができる。
図6は、シールド制御部98および磁場制御部94の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図6では、シールド制御部98がフィードバック制御を行う場合の処理の流れを示している。
まず、シールド制御部98は、電源がオンの状態になるまで待機し(S100のNo)、電源がオンの状態になると(S100のYes)、磁気センサー80の出力信号から第1テーブルを用いて原子セル30の位置における磁場を求め、原子セル30の位置における磁場の大きさが目標値となるように第2コイル70のコイル電流を制御する処理を開始する(S102)。
シールド制御部98は、磁気センサー80の出力信号に基づいて、原子セル30の位置における磁場の大きさが目標範囲内となったか否かを判定する(S104)。原子セル30の位置における磁場の大きさが目標範囲内となっていないと判定された場合(S104のNo)、シールド制御部98は、再び、原子セル30の位置における磁場の大きさが目標範囲内になったか否かを判定する。
原子セル30の位置における磁場の大きさが目標範囲内となったと判定された場合(S104のYes)、光源制御部96が、受光素子40の検出結果に基づいて、EIT現象が生じるように光源10から出射された光LLに含まれる2種の光の周波数を制御し、磁場制御部94が、第1コイル60のコイル電流を制御する処理を開始する(S106)。
磁場制御部94は、第1コイル60が発生させる磁場が一定となるように、第1コイル60に供給される電流を制御する。磁場制御部94が、第1コイル60に所定のコイル電流を供給することにより、原子セル30に収容されたアルカリ金属原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂により拡げて、EIT信号の線幅を小さくできる。
次に、シールド制御部98は、磁気センサー80の出力信号から第1テーブルを用いて原子セル30の位置における磁場を求めて第2コイル70のコイル電流を制御する処理を終了し、磁気センサー80の出力信号から第2テーブルを用いて原子セル30の位置における磁場を求め、原子セル30の位置における磁場の大きさが目標値となるように第2コイル70のコイル電流を制御する処理を開始する(S108)。
シールド制御部98による第2コイル70のコイル電流の制御、および磁場制御部94による第1コイル60のコイル電流の制御は、電源オフの操作が行われるまで行われ(S110のNo)、電源がオフの操作が行われた場合(S110のYes)に終了する。
なお、上記では、シールド制御部98がフィードバック制御を行う場合について説明したが、シールド制御部98は、例えば、任意の時間における磁気センサー80の出力信号に基づいて第2コイル70のコイル電流を決定し、決定されたコイル電流を第2コイル70に供給し続けてもよい。すなわち、シールド制御部98は、第2コイル70のコイル電流を一定としてもよい(一定制御)。
一定制御では、例えば、第1コイル60が磁場を発生させていない状態において、磁気センサー80で磁場を検出し、その検出結果に基づいて第2コイル70のコイル電流を決定する。このとき、第2コイル70のコイル電流は、第1テーブルに基づき決定される。一定制御では、第2コイル70には一定のコイル電流が供給されるため、第2コイル70が発生させる磁場の強度は一定となる。そのため、例えばフィードバック制御の場合と比べて、第2コイル70が発生させる磁場が原子セル30に与える影響が小さい。
なお、一定制御では、交流磁場を打ち消すことができないため、第1シールド110および第2シールド120の少なくとも一方の材質として、電気伝導率の高い金属を用いてもよい。また、第1シールド110および第2シールド120の少なくとも一方を、電気伝導率の高い金属で被覆してもよい。これにより、一定制御の場合であっても、原子セル30に対する交流磁場の影響を低減できる。
図7は、シールド制御部98および磁場制御部94の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図7では、シールド制御部98が一定制御を行う場合の処理の流れを示している。
まず、シールド制御部98は、電源がオンの状態になるまで待機し(S200のNo)、電源がオンの状態になると(S200のYes)、磁気センサー80の出力信号から第1テーブルを用いて原子セル30の位置における磁場を求め、原子セル30の位置における磁場の大きさが目標値となるような第2コイル70のコイル電流を決定する(S202)。
次に、シールド制御部98は、決定されたコイル電流を第2コイル70に供給する制御を開始する(S204)。これにより、第2コイル70には、一定のコイル電流が供給され、第2コイル70が発生させる磁場の強度が一定となる。
次に、光源制御部96が、受光素子40の検出結果に基づいてEIT現象が生じるように光源10から出射された光LLに含まれる2種の光の周波数を制御し、磁場制御部94が、第1コイル60のコイル電流を制御する処理を開始する(S206)。
ステップS206の処理は、ステップS106の処理と同様に行われる。
シールド制御部98による第2コイル70のコイル電流の制御、および磁場制御部94による第1コイル60のコイル電流の制御は、電源オフの操作が行われるまで行われ(S208のNo)、電源がオフの操作が行われた場合(S208のYes)に終了する。
原子発振器100の磁場制御方法は、例えば、以下の特徴を有する。
原子発振器100の磁場制御方法は、第2コイル70に電流を供給して基部122の凹部2の開口123を通過する磁場B2を発生させること、および、磁場B2を発生させた状態で、第1コイル60に電流を供給すること、を含む。そのため、原子セル30に対する外部の磁場の影響が低減された状態で、第2コイル70によってアルカリ金属原子のエネルギー準位をゼーマン分裂させるための磁場を原子セル30に印加することができる。これにより、原子発振器100の周波数安定性を高めることができる。
1.4. 変形例
次に、本実施形態に係る原子発振器の変形例について説明する。以下、本実施形態に係る原子発振器の変形例において、上述した原子発振器100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
1.4.1. 第1変形例
まず、第1変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図8は、第1変形例に係る原子発振器の第2コイル70を模式的に示す斜視図である。
上述した原子発振器100では、図3〜図5に示すように、第2コイル70は、単層のコイルであった。これに対して、第1変形例に係る原子発振器では、図8に示すように、回路基板130が多層基板であり、第2コイル70は回路基板130を構成する複数の基板130a,130b,130c,130d,130eに設けられた多層のコイルである。
回路基板130は、基板130a、基板130b、基板130c、基板130d、および基板130eが積層された多層基板である。ここでは、回路基板130が5層であるが、その層数は特に限定されない。
第2コイル70は、基板130a,130b,130c,130d,130eに配置されている。第2コイル70は、基板130a,130b,130c,130d,130eに配置された配線で構成されている。例えば、基板130aに配置された配線と基板130bに配置された配線とは、基板130aに設けられた貫通電極(図示せず)によって電気的に接続されている。このように隣り合う基板に配置された配線は、貫通電極によって電気的に接続されている。
第2コイル70は、図示の例では、回路基板130のすべての層に配置されているが、回路基板130の少なくとも2層に配置されていればよい。
第1変形例に係る原子発振器では、上述した原子発振器100と同様に、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。さらに、第1変形例に係る原子発振器では、第2コイル70は、多層基板である回路基板130の少なくとも2層に配置されている。そのため、第1変形例に係る原子発振器では、第2コイル70をソレノイドとすることができる。したがって、例えば第2コイル70が単層のコイルである場合と比べて、広い空間に一様な磁場を形成することができる。また、第1変形例に係る原子発振器では、例えば、回路基板130上にらせん状の銅配線等で構成されたソレノイドコイルを配置する場合と比べて、小型化を図ることができる。
図9は、第1変形例に係る原子発振器の第2コイル70の他の例を模式的に示す断面図である。
第2コイル70は、回路基板130の上面に設けられた配線70aと、回路基板130の下面に設けられた配線70bと、回路基板130に設けられ、配線70aと配線70bとを接続する貫通電極70cと、を有していてもよい。これにより、1層の回路基板130で2層の第2コイル70を設けることができる。
1.4.2. 第2変形例
次に、第2変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図10は、第2変形例に係る原子発振器の回路基板130および第2コイル70を模式的に示す側面図である。図11は、第2変形例に係る原子発振器を模式的に示す断面図である。なお、図11は、図4に対応している。
上述した原子発振器100では、図4に示すように、第2コイル70は、回路基板130に設けられた配線によって構成されていた。これに対して、第2変形例に係る原子発振器では、図10および図11に示すように、第2コイル70は、回路基板130に配置されたソレノイドコイルによって構成されている。
第2コイル70は、例えば、らせん状の銅配線等で構成されたコイルである。第2コイル70のZ軸方向から見た形状は、特に限定されず、例えば、矩形、円形、楕円形などであってもよい。
第2コイル70の内側には、図示の例では、光源10、光学系ユニット20、ヒーター50、磁気センサー80、第1シールド110、およびICチップ140,142が配置されている。なお、第2コイル70の内側には、少なくとも原子セル30が配置されていればよい。
第2変形例に係る原子発振器では、上述した原子発振器100と同様に、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。
1.4.3. 第3変形例
次に、第3変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図12は、第3変形例に係る原子発振器を模式的に示す斜視図である。なお、図12は、図2に対応している。
上述した原子発振器100では、図2〜図4に示すように、第2コイル70は、第2シールド120の内部に配置されていた。これに対して、第3変形例に係る原子発振器では
、図12に示すように、第2コイル70は、第2シールド120の外部に配置されている。
第2コイル70は、図示の例では、実装基板102に配置されている。第2コイル70は、第2シールド120を囲っている。Z軸方向から見て、第2シールド120は、第2コイル70の内側に配置されている。
なお、図示はしないが、実装基板102に配置される第2コイル70を、らせん状の銅配線等で構成されたソレノイドコイル(図10参照)としてもよい。
シールド制御部98として機能するICチップ142は、第2シールド120の外部に配置されている。ここで、ICチップ142は、第2コイル70の電源用のICチップであり、ICチップ142からは比較的大きな磁場が発生する。ICチップ142を第2シールド120の外部に配置することによって、ICチップ142が発生させる磁場が、原子セル30に与える影響を低減できる。
第3変形例に係る原子発振器では、上述した原子発振器100と同様に、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。さらに、第3変形例に係る原子発振器では、第2コイル70が第2シールド120の外部に配置されているため、第2シールド120の内部に第2コイル70を配置するスペースをつくらなくてもよい。そのため、例えば第2シールド120の小型化を図ることができる。また、第2コイル70の大きさが第2シールド120の大きさの制約を受けないため、例えば第2コイル70が第2シールド120の内部に配置されている場合と比べて、第2コイル70として大きなコイルを用いることができる。
さらに、第3変形例に係る原子発振器では、第2コイル70に電流を供給するICチップ142が第2シールド120の外部に配置されているため、ICチップ142が発生させる磁場が原子セル30に与える影響を低減できる。
1.4.4. 第4変形例
次に、第4変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図13は、第4変形例に係る原子発振器を模式的に示す斜視図である。なお、図13は、図2に対応している。
上述した原子発振器100では、図2〜図4に示すように、シールド制御部98として機能するICチップ142および磁気センサー80は、第2シールド120の内部に配置されていた。これに対して、第4変形例に係る原子発振器では、図12に示すように、ICチップ142および磁気センサー80は、第2シールド120の外部に配置されている。
ICチップ142および磁気センサー80は、実装基板102に配置されている。なお、図示はしないが、ICチップ142が第2シールド120の外部に配置され、磁気センサー80が第2シールド120の内部に配置されていてもよい。
第4変形例に係る原子発振器では、上述した原子発振器100と同様に、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減できる。さらに、第4変形例に係る原子発振器では、ICチップ142および磁気センサー80が第2シールド120の外部に配置されているため、第2シールド120の内部にICチップ142および磁気センサー80を配置するスペースをつくらなくてもよい。そのため、例えば、第2シールド120の小型化を図ることができる。また、ICチップ142を第2シールド120の外部に配置することによっ
て、ICチップ142が発生させる磁場が、原子セル30に与える影響を低減できる。
1.4.5. 第5変形例
次に、第5変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図14は、第5変形例に係る原子発振器を模式的に示す断面図である。なお、図14は、図4に対応している。
上述した原子発振器100では、図4に示すように、第2コイル70は、第1シールド110の外部に配置されていた。
これに対して、第5変形例に係る原子発振器では、図14に示すように、第2コイル70は、第1シールド110の内部に配置されている。
第2コイル70は、原子セル保持部材32に設けられている。第2コイル70は、例えば、銅配線などを円状、または矩形状にした単層のコイルである。なお、第2コイル70として、らせん状の銅配線等で構成されたコイルを用いてもよい。
図示の例では、光源10および光学系ユニット20は、第2コイル70の外側に配置され、原子セル30は、第2コイル70の内側に配置されている。
第5変形例に係る原子発振器では、第2コイル70が第1シールド110の内部に配置されている。そのため、例えば、第2コイル70が第1シールド110の外部に配置されている場合と比べて、第2コイル70が発生させる磁場B2を弱くすることができる。これにより、原子発振器の消費電力を低減できる。
第5変形例に係る原子発振器では、第1シールド110の内部に第2コイル70が配置されている。例えば、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減するために3つのシールドで原子セル30を覆う場合が考えられるが、第5変形例に係る原子発振器では、3つのシールドのうちの最も内側のシールド(すなわち原子セル30に最も近いシールド)を設けなくてもよい。そのため、第5変形例に係る原子発振器では、小型化および低背化を図ることができる。さらに、第5変形例に係る原子発振器では、組み立て精度を向上できる。
1.4.6. 第6変形例
次に、第6変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図15は、第6変形例に係る原子発振器を模式的に示す断面図である。なお、図15は、図4に対応している。
上述した原子発振器100では、図4に示すように、第2コイル70は、第2シールド120の内部に配置されていた。
これに対して、原子発振器100では、図15に示すように、第2コイル70は、第2シールド120の外部に配置されている。
第2シールド120は、図示の例では、基部122が平坦であり、蓋部124が凹部を有している。蓋部124の凹部の開口を基部122で塞ぐことによって、第1シールド110等が収容される空間が形成されている。
第2シールド120は、第1シールド110のみを覆うように設けられている。すなわち、第2シールド120の内部には、第1シールド110および第1シールド110に収
容された原子セル30等が配置されており、第1シールド110に収容されていない光源10等は第2シールド120の内部に配置されていない。第2シールド120には、貫通孔が設けられている。光源10から出射された光LLは、第2シールド120の貫通孔および第1シールド110の貫通孔を通って原子セル30に入射する。第2シールド120の貫通孔には、光LLを透過させる部材が設けられていてもよい。
第6変形例に係る原子発振器では、第2シールド120の外部に第2コイル70が配置されている。例えば、原子セル30に対する外部の磁場の影響を低減するために3つのシールドで原子セル30を覆う場合が考えられるが、第6変形例に係る原子発振器では、3つのシールドのうちの最も外側のシールドを設けなくてもよい。そのため、第6変形例に係る原子発振器では、小型化および低背化を図ることができる。さらに、第6変形例に係る原子発振器では、組み立て精度を向上できる。
2. 周波数信号生成システム
次に、本実施形態に係る周波数信号生成システムについて、図面を参照しながら説明する。以下のクロック伝送システム(タイミングサーバー)は、周波数信号生成システムの一例である。図16は、クロック伝送システム900を示す概略構成図である。
本発明に係るクロック伝送システムは、本発明に係る原子発振器を含む。以下では、一例として、原子発振器100を含むクロック伝送システム900について説明する。
クロック伝送システム900は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
クロック伝送システム900は、図16に示すように、A局(上位(N系))のクロック供給装置901およびSDH(Synchronous Digital Hierarchy)装置902と、B局(上位(E系))のクロック供給装置903およびSDH装置904と、C局(下位)のクロック供給装置905およびSDH装置906,907と、を備える。クロック供給装置901は、原子発振器100を有し、N系のクロック信号を生成する。クロック供給装置901内の原子発振器100は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック908,909からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置902は、クロック供給装置901からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、N系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置905に伝送する。クロック供給装置903は、原子発振器100を有し、E系のクロック信号を生成する。クロック供給装置903内の原子発振器100は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック908,909からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置904は、クロック供給装置903からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、E系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置905に伝送する。クロック供給装置905は、クロック供給装置901,903からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
クロック供給装置905は、通常、クロック供給装置901からのN系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。そして、N系に異常が発生した場合、クロック供給装置905は、クロック供給装置903からのE系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。このようにN系からE系に切り換えることにより、安定したクロック
供給を担保し、クロックパス網の信頼性を高めることができる。SDH装置906は、クロック供給装置905からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置907は、クロック供給装置905からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
本実施形態に係る周波数信号生成システムは、クロック伝送システムに限定されない。周波数信号生成システムは、原子発振器が搭載され、原子発振器の周波数信号を利用する各種の装置および複数の装置から構成されるシステムを含む。
本実施形態に係る周波数信号生成システムは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、デジタルスチルカメラ、液体吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS(point of sales)端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡、心磁計)、魚群探知機、GNSS(Global Navigation Satellite System)周波数標準器、各種測定機器、計器類(例えば、自動車、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送システム、携帯電話基地局、移動体(自動車、航空機、船舶等)であってもよい。
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…凹部、4…凹部、10…光源、12…光源基板、20…光学系ユニット、22…減光フィルター、24…レンズ、26…1/4波長板、28…ホルダー、30…原子セル、32…原子セル保持部材、40…受光素子、50…ヒーター、52…温度センサー、60…第1コイル、70…第2コイル、70a…配線、70b…配線、70c…貫通電極、80…磁気センサー、90…制御ユニット、92…温度制御部、94…磁場制御部、96…光源制御部、98…シールド制御部、100…原子発振器、102…実装基板、110…第1シールド、120…第2シールド、121…第1面、122…基部、123…開口、124…蓋部、125…第2面、130…回路基板、130a…基板、130b…基板、130c…基板、130d…基板、130e…基板、140…ICチップ、142…ICチップ、150…リードピン、900…クロック伝送システム、901…クロック供給装置、902…SDH装置、903…クロック供給装置、904…SDH装置、905…クロック供給装置、906…SDH装置、907…SDH装置、908…マスタークロック、909…マスタークロック

Claims (8)

  1. 光を出射する光源と、
    アルカリ金属原子が収容され、前記光源から出射された光が入射する原子セルと、
    前記原子セルに磁場を印加する第1コイルと、
    前記原子セルおよび前記第1コイルを収容し、磁場を遮蔽する第1シールドと、
    凹部を有する第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された空間に前記光源および前記第1シールドを収容し、磁場を遮蔽する第2シールドと、
    前記凹部の開口を通過する磁場を発生させる第2コイルと、
    を含む、原子発振器。
  2. 請求項1において、
    前記第2コイルは、前記第1シールドの外部に配置されている、原子発振器。
  3. 請求項1または2において、
    前記第2コイルは、前記第2シールドの内部に配置されている、原子発振器。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記第2シールドに収容された多層基板を含み、
    前記第2コイルは、前記多層基板の少なくとも2層に配置されている、原子発振器。
  5. 請求項1または2において、
    前記第2コイルは、前記第2シールドの外部に配置されている、原子発振器。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記第2コイルの内側に配置され、磁場を検出する磁気センサーを含む、原子発振器。
  7. 原子発振器を含む周波数信号生成システムであって、
    前記原子発振器は、
    光を出射する光源と、
    前記光源から出射された光が入射する原子セルと、
    前記原子セルに磁場を印加する第1コイルと、
    前記原子セルおよび前記第1コイルを収容し、磁場を遮蔽する第1シールドと、
    凹部を有する第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された空間に前記光源および前記第1シールドを収容し、磁場を遮蔽する第2シールドと、
    前記凹部の開口を通過する磁場を発生させる第2コイルと、
    を含む、周波数信号生成システム。
  8. 原子発振器の磁場制御方法であって、
    前記原子発振器は、
    光を出射する光源と、
    アルカリ金属原子が収容され、前記光源から出射された光が入射する原子セルと、
    前記原子セルに磁場を印加する第1コイルと、
    前記原子セルおよび前記第1コイルを収容し、磁場を遮蔽する第1シールドと、
    凹部を有する第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された空間に前記光源および前記第1シールドを収容し、磁場を遮蔽する第2シールドと、
    前記凹部の開口を通過する磁場を発生させる第2コイルと、
    を含み、
    前記磁場制御方法は、
    前記第2コイルに電流を供給して前記凹部の開口を通過する磁場を発生させること、
    前記第2コイルによって前記凹部の開口を通過する磁場を発生させた状態で、前記第1コイルに電流を供給すること、
    を含む、磁場制御方法。
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