JP2019120569A - Cod測定装置およびcod測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定場所の気圧等によらず、正確なCODを容易に測定することができるCOD測定装置およびCOD測定方法を提供する。【解決手段】COD測定装置100は、反応槽10と、この反応槽10に連通された加熱槽20と、を備えている。このCOD測定装置100において、加熱槽20と反応槽10との間で互いに測定対象である溶液の移送が可能であり、加熱槽20は、反応槽10から移送された溶液を加熱し、加熱槽20にて加熱された溶液は反応槽10へと移送される。【選択図】図1

Description

本発明は、水中の化学的酸素消費量(COD)を測定するCOD測定装置およびCOD測定方法に関するものである。
化学的酸素消費量(COD:Chemical Oxygen Demand)は、水質汚濁を示す指標の一つである。CODは、具体的には、水中に含まれる有機化合物等の被酸化性物質を、所定の方法により酸化剤を用いて酸化し、その際に消費された酸化剤の量を酸素当量(酸素の量)として表わしたものである。
CODの自動計測法は、JIS K 0806(化学的酸素消費量(COD)自動計測器)のような定められた方法により測定することができる。ここで、CODの測定においては、酸性法とアルカリ性法があり、酸性法は硝酸銀添加と硝酸銀無添加がある。例えば、塩化物イオンが比較的多く含まれる試料水を測定する場合は、酸性法硝酸銀添加を推奨されているが、一般的にアルカリ性法が多く用いられている。また塩化物イオンが少ない測定では酸性法無添加が用いられる。
上述の工業排水試験方法によるCODの測定は、硫酸または水酸化ナトリウム溶液を加えた試料水に、酸化剤として過マンガン酸カリウム溶液を加え、沸騰水浴中で30分間加熱し酸化反応させた後、しゅう酸ナトリウム溶液を加えて酸化を停止し、過マンガン酸カリウム溶液により滴定を行い、消費された酸化剤の量(mg/L)を求め、この酸化剤の量に基づいて試料水のCODを測定する。このような測定方法を用いて試料水のCODを測定するCOD測定装置は、従来より提案されている。例えば、特許文献1にCOD測定装置が開示されている。
特許文献1に記載されているように、従来のCOD測定装置は、加熱槽に水が満たされていて、この水に浸漬した反応槽が配置される構成を有している。加熱槽の沸騰水浴で、反応槽内の試料水と各試薬を混合した溶液は加熱される。また、水に代えて油で加熱する方法もあるが、この場合には油の温度制御や攪拌器等の付帯設備が必要となる。
実開平06−82558号公報
特許文献1に記載されているCOD測定装置のように、従来のCOD測定装置では、反応槽において大気開放状態で溶液の加熱が行われる。そのため、例えば高地のように気圧が相対的に低い場所でこのCOD測定装置を作動させると、100℃未満で沸騰することとなり、加熱槽中の水は100℃まで温度が上昇しない。そのため、同溶液の反応が十分に行われず、正確なCODを測定することが困難であるとの問題があった。
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、測定場所の気圧等によらず、正確なCODを容易に測定することができるCOD測定装置およびCOD測定方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るCOD測定装置は、反応槽と、前記反応槽に連通された加熱槽と、を備え、前記加熱槽と前記反応槽との間で互いに溶液の移送が可能であり、前記加熱槽は、前記反応槽から移送された溶液を加熱し、前記加熱槽にて加熱された溶液は前記反応槽へと移送されることを特徴とする。
このようなCOD測定装置によれば、試料水および試薬等を加熱するための加熱槽と反応槽とが分離されているので、単純な構成の加熱槽を容易にかつ安価に密閉構造にできて加圧が可能になり、測定場所の気圧等によらず、正確なCODを測定することができる。このように、製造コストを抑えて、測定場所の気圧等によらず、正確なCODを測定できるCOD測定装置を容易に実現できる。
また、このようなCOD測定装置によれば、試料水および試薬等を加熱するための加熱槽を反応槽とは別に備えていることから、反応槽が加熱されることにより劣化することを抑制することができる。特に、反応槽が高温強アルカリ(水酸化ナトリウム溶液等)に長時間曝されることがないことから、反応槽をガラス製とした場合であっても侵食による劣化を抑制することができる。なお、溶液とは、試料水、試料水に試薬が混合された液体等を指す。
また、上記COD測定装置において、前記加熱槽は、加熱手段と、前記加熱手段の近傍に配置された樹脂管と、を備え、溶液が前記樹脂管内に導入された状態で前記加熱手段が発熱することにより、前記樹脂管内の溶液が加熱されることとしてもよい。
これにより、加熱槽の構成が簡素であることから、製造コストを抑制することができる。また、加熱槽を小型化することもできる。さらに、加熱槽は容易に密閉構造にすることができることから、加圧可能とすることができる。また、試料水等の代りに水道水等を樹脂管内に導入することで、樹脂管内を簡単に加熱洗浄することもできる。
また、上記COD測定装置において、前記樹脂管はフッ素樹脂により構成されていることとしてもよい。
これにより、アルカリ性法を用いる場合であり試料水に水酸化ナトリウム溶液を加えて加熱する場合であっても、樹脂管が侵食されにくいことから、加熱槽の劣化を抑制することができる。
また、上記COD測定装置において、前記反応槽内に設置される、略筒状である仕切体と、前記反応槽内に設置される、一対の電極と、前記反応槽内に空気を送り込むための空気供給管と、を備え、前記一対の電極の一部は、前記仕切体の内側に位置して、互いに対向するように配置され、前記反応槽内に溶液が入った状態において、前記空気供給管から前記仕切体の外側に空気が供給されることとしてもよい。
このようなCOD測定装置によれば、空気供給管より反応槽に空気を送り込むことにより、反応槽内の試料水および試薬等をバブリングにより撹拌することが可能であり、特に、反応槽の容積が比較的小さい場合であっても、十分に反応槽内の溶液を撹拌することができる。また、空気は仕切体の外側に供給されることから、仕切体の内側には空気が入り込まないため、互いに対向するように配置された一対の電極間に空気が介在することがなく、これら電極間の電位差の測定において誤差が生じにくく、測定精度が低下することを防止できる。また、仕切体の外側に空気を供給することにより、仕切体の外側を上昇流とし、仕切体の内側を下降流として、仕切体の外側だけでなく内側も撹拌されることから、反応槽内は十分に撹拌される。
本発明の一態様に係るCOD測定方法は、反応槽において第1の試薬(酸化剤)を添加し混合撹拌した溶液を、前記反応槽とは異なる加熱槽に移送し、当該加熱槽で所定時間加熱し、再び前記反応槽に移送し、当該反応槽において第2の試薬(還元剤)を加えた後、滴定(酸化剤により滴定)を行うことでCODを測定することを特徴とする。
このようなCOD測定方法によれば、反応槽とは別の加熱槽において試料水および試薬等を加熱することから、複雑な構造である反応槽ではなく、加熱槽を密閉可能であり加圧できる構造とすることで、測定場所の気圧等によらず、正確なCODを測定することができる。例えば、気圧低下による沸騰温度の影響を受けることなく、正確なCODを測定することができる。また、加熱槽を密閉できることにより揮発性CODも測定できる。
また、上記COD測定方法において、前記反応槽内に空気を送り込むことにより、前記反応槽内の溶液の撹拌を行うこととしてもよい。
これにより、簡単な構成により、反応槽内の試料水の撹拌を確実に実行できる。特に、反応槽の容積が比較的小さい場合でも十分な撹拌を行うことができる。また、短時間で均質な攪拌を行うことができ、滴定の終点検出にタイムラグが生じることを防止でき、COD測定値にバラツキが生じることを防止できる。
本発明によれば、測定場所の気圧等によらず、正確なCODを容易に測定することができるCOD測定装置およびCOD測定方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係るCOD測定装置の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態に係るCOD測定装置の反応槽の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態に係るCOD測定装置の仕切体の構成を示す概略正面図である。 本発明の実施形態に係るCOD測定装置の仕切体の構成を示す概略平面図である。 本発明の実施形態に係るCOD測定装置の加熱槽の構成を示す概略正面断面図である。 本発明の実施形態に係るCOD測定装置の加熱槽の構成を示す概略平面図である。
本発明の実施形態に係るCOD測定装置について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るCOD測定装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係るCOD測定装置100は、反応槽10と、加熱槽20と、COD測定装置100の動作の制御や測定値の検出等を行う制御演算部30と、を備えている。反応槽10は、試料水の化学的酸素消費量(COD)を測定するために、試料水に各種の試薬を添加して酸化還元反応等を起こさせるためのものである。なお、図示していないが、反応槽10には、試料水や各種の試薬等の液体および空気等を供給するための複数の供給管が連結されている。また、加熱槽20は、過マンガン酸カリウム溶液等が添加された溶液を加熱するためのものである。これら反応槽10および加熱槽20は移送管1によって連結されており、反応槽10および加熱槽20間で互いに溶液の移送が可能である。
制御演算部30は、COD測定装置100の動作を制御しており、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えて構成されている。制御演算部30は、反応槽10に連結された供給管(図示せず)における液体や空気の供給や、移送管1における溶液の移送を制御している。具体的には、供給管および移送管1には、図示していないがバルブが設けられており、制御演算部30はバルブの開閉やポンプの駆動・停止等を制御し、反応槽10への液体や空気の供給や反応槽10および加熱槽20間の溶液の移送等を制御している。加熱槽20には図示していないが、バルブおよびポンプ等が設けられており減圧して溶液を導入したり、加圧して排出したり、溶液の移送を制御している。
また、制御演算部30は、加熱槽20における溶液の加熱の制御も行う。さらに、反応槽10内の一対の電極(図示せず)への電気の供給およびこの電極間の電位差に基づいてCODの算出も行う。
このように、COD測定装置100において、反応槽10および加熱槽20が別々に設けられており、CODの測定に必要な溶液の加熱は加熱槽20にて行う。これにより、加熱により反応槽10が劣化することを防止することができる。また、例えば、アルカリ性法によりCODを測定する場合は溶液に水酸化ナトリウム溶液を加えるが、加熱は加熱槽20にて行うことから、仮に水酸化ナトリウム溶液により侵食されるガラス製の反応槽10であっても侵食が抑制される。
次に、図面を用いて、本実施形態に係る反応槽10の構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係るCOD測定装置の反応槽の構成を示す概略図である。また、図3は、本発明の実施形態に係るCOD測定装置の仕切体の構成を示す概略正面図である。また、図4は、本発明の実施形態に係るCOD測定装置の仕切体の構成を示す概略平面図である。
図2に示すように、反応槽10は、移送管1、排出管2、第1供給管3、第2供給管4、第3供給管5、第4供給管6、第5供給管8および大気開放管7と連結された容器である。反応槽10内において、溶液に酸化還元反応等を行わせる。また、反応槽10は、水酸化ナトリウム溶液により侵食されにくいフッ素樹脂により構成されることが好ましい。特に、テフロン(登録商標)により構成されることとすれば好ましい。さらに、反応槽10の内側には、略円筒状の仕切体11が配置されている。また、反応槽10内で行われる滴定の状態を電気的に検出するために、溶液中において互いに対向配置される一対の電極12a、12bを備えている。
移送管1は、上述したように加熱槽20とも連結されており、反応槽10および加熱槽20間で溶液を互いに移送するためのものであり、図示していないがバルブ等が設置されていることにより反応槽10および加熱槽20間で溶液の移送が可能である。
排出管2は、CODの測定の終わった溶液を装置外に排出するためのものであり、図示していないがバルブおよびポンプ等が設置されており、測定後に溶液を排水するためにバルブが開き、必要であればポンプで吸引が行われることで、外部に溶液が排出される。
第1供給管3は、測定に用いる試料水、希釈水や洗浄水等の水および空気(エア)を反応槽10に送りこむためのものであり、図示していないがバルブおよびポンプ等が設置されている。また、第2供給管4は、硫酸を反応槽10に送りこむためのものであり、図示していないがバルブおよびポンプ等が設置されている。また、第3供給管5は、しゅう酸ナトリウム溶液を反応槽10に送りこむためのものであり、図示していないがバルブおよびポンプ等が設置されている。また、第4供給管6は、過マンガン酸カリウム溶液を反応槽10に送りこむためのものであり、図示していないがバルブおよびポンプ等が設置されている。さらに、第5供給管8は、硝酸銀または水酸化ナトリウム溶液を供給するためのものである。また、大気開放管7は、図示しないバルブを介して大気中と連結されている。
第1供給管3、第2供給管4、第3供給管5、第4供給管6、第5供給管8および大気開放管7は、反応槽10の平面視において反応槽10の外周から放射状に伸びるように配置されている。また、排出管2は反応槽10から下方へと伸び、移送管1は排出管2から分かれて加熱槽20へと伸びるように配置されている。なお、配管についてはこのような配置以外であってもよく、スペース等を考慮して適宜変更は可能である。
図3および図4に示すように、仕切体11は略円筒状であり、例えば、水酸化ナトリウム溶液により侵食されにくいフッ素樹脂により構成される。具体的には、テフロン(登録商標)等により構成されることが好ましい。仕切体11の側壁には、上方あたりに、貫通孔である通流孔13が少なくとも1つ形成されている。通流孔13は、反応槽10に試料水と各試薬を導入した状態が必ず水面以下で、かつ、同溶液の液面付近に位置すること。さらに、仕切体11の側壁には、一対の電極12a、12bのそれぞれを仕切体11に設置するための貫通孔である設置用孔14が複数形成されている。
一対の電極12a、12bは、それぞれ反応槽10の上方から内部に挿入されている電線と接続されている。なお、反応槽10において、一対の電極12a、12bに連結される電線が挿入される箇所は封止材等で封止されている。一対の電極12a、12bは、白金線で互いに接触することなく、反応槽10の内部において、少なくとも一部が互いに対向配置されるように設置される。一対の電極12a、12bは、それぞれ設置用孔14に通されて仕切体11の外側と内側とを交互に縫うように配置される。そして、仕切体11の内部において、特に図4に示すように、一対の電極12a、12bの少なくとも一部が互いに対向配置されるように設置される。
このように、溶液中の仕切体11内部は一対の電極12a、12bの少なくとも一部が互いに対向配置されるように設置され、これら電極12a、12b間に定電流を流している。溶液中のイオン濃度に応じて溶液の抵抗値は変動するので、電極12a、12b間の電位差を測定して、滴定の終点を検出する。それによりCODを算出する。通常、COD測定装置の滴定装置は一定時間に一定量の過マンガン酸カリウムが注入できる機構になっているので、滴定した時間で注入量がわかる。例えば、滴定開始時はしゅう酸ナトリウム溶液のイオン濃度が大きいので、溶液の抵抗値は小さく電極間の電位は低い。終点近くになると、過マンガン酸カリウムと中和して、移動できるイオンが少なくなり、抵抗値が大きくなり電極間の電位が高くなる。中和点を通り過ぎると過マンガン酸カリウム溶液のイオン濃度が増加してくるので、再び電位が低くなる。これを制御演算部30で、電極間の電位を一定間隔で測定し、この電位がピークになったときを終点(当量点)としている。また、電極間に気泡が介在すると、抵抗値は大きくなり電位は高くなる。終点の直前で気泡の影響を受けると、気泡のピークを終点と看做してしまい真のCOD値より小さな値となる。また、ピークの直後にこのようなことが起きると、反対に大きな値となり、COD値のバラツキの要因となる。以上のことから、滴定中は電極間に気泡が介在しないようにする必要がある。
反応槽10内の溶液を撹拌する場合に、第1供給管3から供給する空気は仕切体11の外側を通過し、仕切体11の内側を通過しないようにする。特に、仕切体11の下面が第1供給管3の設置位置よりも下方に位置することにより、第1供給管3から供給された空気は、仕切体11の内部に入ることはない。これにより、対向配置される一対の電極12a、12b間に空気が介在することがないので、バラツキのない電位差が得られる。
なお、上述したように、一対の電極12a、12bは、それぞれ設置用孔14に通されて仕切体11の外側と内側とを交互に縫うように配置されることから、電極12a、12bは仕切体11の外側にも存在する。これら外側に配置される電極12a、12bも互いに対向配置されているといえるが、これらは間に仕切体11が存在するほど離間されていることから、CODの測定に影響を及ぼすことはほとんどない。
図3に示すように、仕切体11には通流孔13が形成されている。また、図2に示すように、仕切体11の外側を通る空気は気泡16となって移動方向17で示すように上方へと移動していき、大気開放管7から空気は抜けていく。また、気泡16が移動方向17に移動することにより、溶液は仕切体11の外側を上方へと向かい、通流孔13を通って仕切体11の内部に入って、さらに下方へと向かい、仕切体11の下部から出るような方向15に溶液の流れが生じることになる。このような方向15の流れが生じることにより、溶液は仕切体11の外部を上昇流となり、内部は下降流となって循環し撹拌されることとなる。循環する距離が短いので、短時間での均質化できる。終点付近では急激に反応が進むことから、この必要性に応えられる。
このように、反応槽10の内部の溶液は、第1供給管3から供給される空気により十分に撹拌される。このような構成であることから、反応槽10内に撹拌用の部材を設ける必要がなく、反応槽10の容積が比較的小さくすることができる。例えば、溶液が10ml程度の量であっても十分に撹拌することが可能である。さらに少量の試料水でもCODの測定ができ、小型化もできる。
次に、図面を用いて、本実施形態に係る加熱槽20の構成について説明する。図5は、本発明の実施形態に係るCOD測定装置の加熱槽の構成を示す概略断面図である。また、図6は、概略平面図である。
図5および図6に示すように、加熱槽20は、樹脂管21と、ヒータ22と、略円柱状のアルミブロック23を備えている。加熱槽20は、アルミブロック23の中心部にヒータ22が設けられ、さらにアルミブロック23の周りを取り囲むように、樹脂管21がアルミブロック23の外側にコイル状に巻かれた構成である。また、アルミブロック23には、中心軸に沿った方向に複数の貫通孔24が形成されている。
樹脂管21は、その内部に溶液を蓄えて加熱するものであり、CODの測定において用いられる薬品等により侵食されにくい材料で構成される。樹脂管21は両端にバルブ等(図示せず)が設けられており、樹脂管21内を密閉できる構造になっている。また、樹脂管21内に圧力をかけることができるようにバルブおよびポンプ等(図示せず)も設けられている。このようにバルブおよびポンプを設けるだけで容易に樹脂管21を密閉および加圧/減圧することができることから、低コストで樹脂管21を完全に密閉可能および加圧/減圧可能な構造とすることができる。また、図示していないが、樹脂管21の一端が移送管1と連結されており、反応槽10から溶液を樹脂管21内に移送することができ、樹脂管21から反応槽10に溶液を移送することもできる。
また、ヒータ22としては、カートリッジヒータを用いることが好ましい。また、アルミブロック23は、ヒータ22が発する熱を効率良く樹脂管21に伝えるものである。また、アルミブロック23には複数の貫通孔24が形成し、熱容量を小さくして、より熱の伝達効率を高めている。また、樹脂管21内で加熱された溶液を加熱槽から移動したあと、貫通孔24にファン(図示せず)で空気を送ることにより、効率良くアルミブロック23を急速に冷却することができる。ここで、ファンやヒータ22の制御は、制御演算部30により行われる。例えば、加熱槽20には温度センサ(図示せず)が設けられており、この温度センサからの信号を制御演算部30が受信し、この信号に基づいて、樹脂管21内の溶液が所定の温度となるように、ヒータ22の作動を制御すればよい。
次に、COD測定装置100の動作について説明する。なお、以下に示すCOD測定装置100の動作は、制御演算部30により制御されて行われる。測定方法が酸性法(酸性法硝酸銀添加、酸性法硝酸銀無添加)およびアルカリ性法のいずれの方法でもCOD測定が可能である。ここで、試料水としては、例えば、河川水、湖沼水、海水、工場排水等のCOD測定が可能である。海水以外では一般的に酸性法硝酸銀無添加が用いられる。海水のように塩化物イオンが比較的多く含まれている場合は、試料水に硝酸銀を添加して、塩化物イオンのマスキングと酸化の効果が期待できる酸性法硝酸銀添加が推奨される。しかし、硝酸銀は高価であり経済的な理由その他技術的な観点から、酸性法硝酸銀添加を採用するケースは少なく、一般的にアルカリ性法による測定が多い。
まず、酸性法硝酸銀無添加によりCODを測定する場合について説明する。まず、CODを測定する対象である試料水を第1供給管3から反応槽10に供給する。この際、測定範囲を超えるときは希釈して、試料水と希釈水を合わせて7mlを反応槽10に供給する。
試料水を反応槽10に供給する際は、試料水が反応槽10から排出等されないように、例えば、大気開放管7のバルブを開放し、残りの移送管1、排出管2、第2供給管4、第3供給管5、第4供給管6および第5供給管8のバルブは閉じた状態で供給(導入)する。
次に、反応槽10内の試料水に第2供給管4から硫酸を0.7ml導入し、第4供給管6からに過マンガン酸カリウム溶液を0.7ml添加し撹拌する。なお、酸性法硝酸銀添加のときは、硫酸と硝酸銀を添加する。第5供給管8から反応槽10に硝酸銀を0.35ml導入して撹拌する。そして塩化物イオンをマスキングしたあとに、過マンガン酸カリウム溶液を添加し撹拌する。
過マンガン酸カリウム溶液を添加した後、移送管1を介して反応槽10内の溶液を加熱槽20へと移送する。具体的には、樹脂管21内に移送する。同溶液を樹脂管21内に移送すると、樹脂管21の両端に設置されたバルブ(図示せず)を閉じて樹脂管21内を密閉状態として、ヒータ22により樹脂管21を加熱する。これにより、樹脂管21中の溶液を100℃で30分間加熱する。このように、樹脂管21を密閉した状態で溶液を加熱することから、測定場所の気圧等によらず、溶液は100℃まで加熱することができる。例えば、高地等の気圧が低い場所で測定を行ったとしても試料水を100℃まで加熱することができる。また、樹脂管21が密閉されることにより、溶液中の成分の一部が蒸発または揮発等することを防ぐことができる。そのため、高精度の測定が可能である。
溶液を加熱槽20において加熱した後、ヒータ22を停止して、アルミブロック23を空冷する。この際に、ファン等で送風し、貫通孔24に空気を通すようにして冷却してもよい。少し冷却後、移送管1を介して加熱槽20から再び反応槽10に溶液をすべて移送する。
加熱槽20にて加熱した後の溶液を戻した反応槽10に、第3供給管5からしゅう酸ナトリウム溶液を0.7ml導入する。また、第1供給管3から水を導入し滴定に最適な温度とされる50〜60℃にする。なお、第1供給管3から空気を供給することで試料水を撹拌し、それにより試料水を冷却して最適な温度とすることとしてもよい。
次に、第4供給管6から過マンガン酸カリウム溶液を一定時間に一定量を導入して滴定を行う。このときにも空気による撹拌を継続しているが、上述したように、第1供給管3から空気を供給する際は、空気が仕切体11の外側を通るようにして、仕切体11の内側に空気が入らないようにする。滴定中は、電極12a、12b間の電位差を一定間隔で測定する。
制御演算部30は、電極12a、12b間に定電流を流し、電極12a、12b間の電位差を測定し、この電位差から滴定の終点を検出する。その滴定量を換算して、これらの値から試料水のCODの値を計算する。なお、滴定量の検出は滴定時間を測定しておき、時間当たりの滴下量に基づいて求めてもよい。
測定後は、測定排液を排出管2から排出する。その際、大気開放管のバルブを閉じて、第1供給管3から空気を導入し反応槽10内を加圧しながら、排出管2のバルブを開くと勢いよく速い流速で排出する。
次に、アルカリ性法によりCODを測定する場合における酸性法と異なる部分について説明する。アルカリ性法は、海水等のように塩化物イオンが比較的多い場合に用いる。酸性法では試料水に硝酸銀を添加して、塩化物イオンのマスキングを行う。しかし、硝酸銀は高価であり経済的な理由その他技術的な観点からアルカリ法を採用する。
アルカリ性法では、反応槽10内の試料水に、第5供給管8から水酸化ナトリウム溶液を0.7ml導入撹拌する。第4供給管6から過マンガン酸カリウム溶液を導入撹拌した後に、加熱槽20に移送する。加熱槽20において加熱し、反応槽10に移送した後に、第3供給管5からしゅう酸ナトリウムを導入し、第2供給管4から硫酸を導入する。その後は、酸性法と同様に、第1供給管3から水を導入し、滴定の最適の温度にして滴定をする。
本実施形態のCOD測定装置100は、反応槽10、加熱槽20等すべての接液部に耐薬品性のフッ素樹脂で構成されるので酸性法でも、アルカリ性法においても問題となる箇所はなくなった。従来のように接液部がガラス製であれば、アルカリ性法のときは水酸化ナトリウム溶液による高温強アルカリ状態にて浸食され劣化するので、部品の交換頻度が多く、保守が容易でなかった。
COD測定装置100は、以下に示すCOD測定方法を用いて、試料水のCODを測定するものである。COD測定装置100は、反応槽10において測定する試料水に酸化剤である過マンガン酸カリウム溶液を添加し、撹拌した溶液を加熱槽20に移送して、加熱槽20において所定時間加熱分解する。このとき、試料水の化学的に分解できる物質量に比例して過マンガン酸カリウムは消費される。次に、加熱分解した溶液を、再び反応槽10に移送して、還元剤であるしゅう酸ナトリウム溶液を添加する。すると、酸化還元反応が起こり、未消費の過マンガン酸カリウムは未消費のしゅう酸ナトリウムと置き換わる。この量は試料水の汚れに比例しているので、これを過マンガン酸カリウム溶液で逆滴定を行っている。滴定量は滴定時間に比例しているので、終点までの時間から演算を行ってCOD値を求めている。上記の基本的な説明には、それぞれの測定法による試薬の添加は省略した。
従来のCOD装置では、撹拌器のプロペラや検出電極が反応槽内の溶液に浸漬していることによる放熱から、実際の反応槽の液温は沸騰水の温度より低くなる。気圧による沸騰温度の低下に加えて反応槽の放熱による温度低下が相まって、正確なCODを測定できない問題があった。また、加熱槽を水浴ではなく油浴にすれば100℃に昇温できるが、温度制御と粘性があるため油用撹拌器等の付帯設備が必要となっていた。さらに、反応槽を密閉構造にするには構造上困難であった。本実施形態に係るCOD測定装置100では、このような問題が生じることはない。また、本実施形態に係るCOD測定装置100によれば、溶液を密閉し加熱できることから、気化や蒸発もなく、揮発成分も含めたCODを測定することができる。さらに、100℃以上、例えば120℃におけるCODの測定も可能で、より精度の高い測定が可能となる。
以上、本実施形態に係るCOD測定装置100およびCOD測定方法ついて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の構成や配置、試料水に添加する試薬等は、本発明の趣旨に沿って適宜変更可能である。
本発明は、水質汚濁の指標の一つであるCODの測定に用いることが有用である。
1 移送管
2 排出管
3 第1供給管
4 第2供給管
5 第3供給管
6 第4供給管
7 大気開放管
8 第5供給管
10 反応槽
11 仕切体
12a、12b 電極
13 通流孔
14 設置用孔
15 方向
16 気泡
17 移動方向
20 加熱槽
21 樹脂管
22 ヒータ
23 アルミブロック
24 貫通孔
30 制御演算部
100 COD測定装置

本発明の一態様に係るCOD測定装置は、内部に一対の電極が配置された反応槽と、前記反応槽に連通され、密閉可能である加熱槽と、を備え、前記加熱槽と前記反応槽との間で互いに溶液の移送が可能であり、前記加熱槽は、前記反応槽から移送された溶液を密閉状態で加熱し、前記加熱槽にて加熱された溶液は前記反応槽へと移送され、前記反応槽内において、前記一対の電極により、前記加熱槽から前記反応槽へ移送された加熱後の溶液を用いてCODを測定するようにしたことを特徴とする。
また、上記COD測定装置において、前記加熱槽は、密閉可能な樹脂管を有し、前記反応槽から移送管を介して前記樹脂管内に導入された溶液を当該樹脂管内に密閉した状態で、前記樹脂管の近傍に配置された加熱手段を用いて加熱ることとしてもよい。
また、上記COD測定装置において、前記反応槽内に設置される、略筒状である仕切体と、前記反応槽内に空気を送り込むための空気供給管と、を備え、前記一対の電極の一部は、前記仕切体の内側に位置して、互いに対向するように配置され、前記仕切体の上方には開口が形成され、前記反応槽内に溶液が入った状態において、前記空気供給管から前記仕切体の外側に空気が供給されることとしてもよい。
本発明の一態様に係るCOD測定方法は、反応槽において第1の試薬(酸化剤)を添加し混合撹拌した溶液を、前記反応槽とは異なる加熱槽に移送し、密閉状態とした前記加熱槽内で所定時間加熱し、再び前記反応槽に移送し、当該反応槽において第2の試薬(還元剤)を加えた後、滴定(酸化剤により滴定)を行いつつCODを測定することを特徴とする。

Claims (6)

  1. 反応槽と、
    前記反応槽に連通された加熱槽と、を備え、
    前記加熱槽と前記反応槽との間で互いに溶液の移送が可能であり、
    前記加熱槽は、前記反応槽から移送された溶液を加熱し、
    前記加熱槽にて加熱された溶液は前記反応槽へと移送される、COD測定装置。
  2. 前記加熱槽は、加熱手段と、前記加熱手段の近傍に配置された樹脂管と、を備え、
    溶液が前記樹脂管内に導入された状態で前記加熱手段が発熱することにより、前記樹脂管内の溶液が加熱される、請求項1に記載のCOD測定装置。
  3. 前記樹脂管はフッ素樹脂により構成されている、請求項2に記載のCOD測定装置。
  4. 前記反応槽内に設置される、略筒状である仕切体と、
    前記反応槽内に設置される、一対の電極と、
    前記反応槽内に空気を送り込むための空気供給管と、を備え、
    前記一対の電極の一部は、前記仕切体の内側に位置して、互いに対向するように配置され、
    前記反応槽内に溶液が入った状態において、前記空気供給管から前記仕切体の外側に空気が供給される、請求項1〜3のいずれかに記載のCOD測定装置。
  5. 反応槽において第1の試薬を添加し混合撹拌した溶液を、前記反応槽とは異なる加熱槽に移送し、
    当該加熱槽で所定時間加熱し、再び前記反応槽に移送し、当該反応槽において第2の試薬を加えた後、滴定を行うことでCODを測定する、COD測定方法。
  6. 前記反応槽内に空気を送り込むことにより、前記反応槽内の溶液の撹拌を行う、請求項5に記載のCOD測定方法。

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