次に、本発明の実施形態について説明する。
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。この図に示すように、本発明の実施形態に係るレーダ装置10は、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両の周囲に存在する他の車両、歩行者、障害物等の対象物を検出する。
ここで、レーダ装置10は、制御部11、発振部12、パルス整形部13、可変増幅部14、選択部15、送信アンテナ16−1〜16−2、受信アンテナ17−1〜17−4、選択部18、増幅部19、乗算部20、IF(Intermediate Frequency)増幅部21、A/D(Analog to Digital)変換部22、記憶部23、および、演算部24を主要な構成要素としている。
ここで、制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)等によって構成され、装置の各部を制御する。なお、図中破線の矢印は、制御線を示している。
発振部12は、制御部11の制御に応じて所定の周波数の局発信号を生成して出力する。
パルス整形部13は、制御部11から供給される矩形波を、後述するパルス波形を有する信号に整形して出力する。
可変増幅部14は、電圧制御増幅回路によって構成され、パルス整形部13から供給されるパルス波形の電圧に応じて局発信号を増幅して出力する。
選択部15は、制御部11の制御に応じて、送信アンテナ16−1〜16−2の一方を選択し、可変増幅部14からの出力信号を供給する。
送信アンテナ16−1〜16−2は、可変増幅部14からの出力信号を電磁波として対象物に向けて送信する。
受信アンテナ17−1〜17−4は、送信アンテナ16−1〜16−2によって送信され、対象物によって反射された反射信号を受信し、RF(Radio Frequency)信号に変換して選択部18に供給する。
選択部18は、受信アンテナ17−1〜17−4から供給されるRF信号のいずれか一つを選択して増幅部19に出力する。
増幅部19は、選択部18から出力されるRF信号を所定のゲインで増幅して乗算部20に供給する。
乗算部20は、発振部12から供給される局発信号と、増幅部19から供給されるRF信号とを乗算し、IF(Intermediate Frequency)信号を生成して出力する。
IF増幅部21は、乗算部20から出力されるIF信号を所定のゲインで増幅して出力する。
A/D変換部22は、IF増幅部21から出力されるIF信号をデジタルデータに変換して出力する。
記憶部23は、例えば、RAM等によって構成され、A/D変換部22から供給されるデジタルデータを記憶する。
演算部24は、水平方向検出処理部241、垂直方向検出処理部242、および、統合処理部243を有している。
水平方向検出処理部241は、記憶部23に格納されているデータを取得し、対象物の水平方向の位置を検出して出力する。垂直方向検出処理部242は、記憶部23に格納されているデータを取得し、対象物の垂直方向の位置を検出して出力する。
統合処理部243は、水平方向検出処理部241から供給されたデータと、垂直方向検出処理部242から供給されたデータを統合する処理を実行し、統合されたデータを、例えば、図示しない上位の装置(例えば、同レーダ装置10内のアプリケーション処理部、または、レーダ装置10外のECU(Electric Control Unit)等)に供給する。
なお、図1では図面を簡略化するために図示を省略しているが、乗算部20は増幅部19から出力される信号を直交復調してIQ信号として出力する。このため、乗算部20以降は、I,Qの2つの成分が伝達される。
(B)実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作を説明する。以下では、図2〜図18を参照して本発明の実施形態の動作について説明した後、図19〜図23のフローチャートを参照して詳細な動作を説明する。
図2〜図5は、本発明の動作原理を示す図である。一例として、図2に示す車両の後部バンパー内にレーダ装置を装備した場合を考える。この場合、従来のレーダ装置は、図3に示すような指向特性を有する送信信号を車両の後方に向けて送信する。図3において、横軸は利得[dB]を示し、縦軸は仰角(垂直方向の角度)を示す。図3の例では、送信信号は仰角0度の軸を中心として線対称の指向特性を有している。従来のレーダ装置は、垂直方向の角度を検出することができないため、図2(A)に示す対象物O1(例えば、地面に設置されたポール)と、図2(B)に示す対象物O2(例えば、地面に設置された車止め)とを識別することができない。このため、従来のレーダ装置では、対象物O2に対しても警告を発したり、ブレーキを動作させて停車したりする場合があった。
本実施形態では、図4に示すような、垂直方向に異なる指向特性を有する送信信号を異なるタイミングで送信する。そして、対象物で反射されたこれらの反射信号の電力(例えば、強度、振幅等)の差異から、垂直方向の角度を求める。より詳細には、図4に示す例では、実線の曲線は第1指向特性を有する送信信号の指向特性を示し、破線の曲線は第2指向特性を有する送信信号の指向特性を示している。
本発明の実施形態では、例えば、送信アンテナ16−1から第1指向特性を有する実線の送信信号を送信し、対象物で反射された第1反射信号を受信する。また、送信アンテナ16−2から第2指向特性を有する破線の送信信号を送信し、対象物で反射された第2反射信号を受信する。そして、第1反射信号と第2反射信号の差異(例えば、強度の比(第1反射信号/第2反射信号))を求め、この比を図5に示すようなテーブルと対比することで、対象物の高さを求めることができる。
図5に示すテーブルでは、第1反射信号/第2反射信号の比と、それぞれに対応する対象物の高さが格納されている。例えば、図2(B)に示す対象物O2の場合、第2指向特性を有する送信信号に対する第2反射信号はある程度の強度(電力)を有するが、第1指向特性を有する送信信号に対する第1反射信号の強度は第2反射信号に比較して小さい(第2反射信号>第1反射信号である)ため、第1反射信号/第2反射信号の比<1となる。
一方、図2(A)に示す対象物O1の場合、第1指向特性を有する送信信号に対する第1反射信号も第2指向特性を有する送信信号に対する第2反射信号の強度も略ある程度の大きさを有することから、第1反射信号/第2反射信号の比は、図2(B)に比較して大きくなる。
そこで、本実施形態では、例えば、第1反射信号/第2反射信号の比を求め、この比を図5に示すテーブルと対比することで、対象物の仰角方向の高さを検出する。そして、図2(A)に示すように、車両に接触(または衝突)する高さである場合には警告を行い、図2(B)に示すように、車両に接触しない高さである場合には警告を行わない。
つぎに、図6〜図18を参照して、本発明の実施形態の詳細な動作について説明する。
レーダ装置10が装備されている車両(不図示)のエンジンが始動されると、図1に示すレーダ装置10の各部に対して電源電力の供給が開始され、動作が可能な状態になる。
電源電力の供給が開始されると、制御部11は、発振部12に対して局発信号の出力を開始させるとともに、パルス整形部13に対して矩形波を供給し、パルス信号を生成させる。この結果、送信アンテナ16−1〜16−2からは図6に示すパルス信号が出力される。
図6は、図1に示すレーダ装置10から送信される送信信号の例を示す図である。図6(A)に示すように、送信信号には繰り返し周期T0でパルスPが含まれている。パルスPは、図6(B)に拡大して示すように、振幅がAとされている。
図6(C)は、制御部11からパルス整形部13に供給される信号の一例を示している。パルス整形部13は、制御部11から供給される図6(C)に示す矩形波を、図6(B)に示すように整形して出力する。可変増幅部14は、パルス整形部13から供給される信号の振幅に基づいて発振部12から供給される局発信号を増幅して出力する。図6(C)に示すように、制御部11から供給される信号は、可変増幅部14から出力されるパルス信号の振幅が図6(B)に示すAとなるように、パルス幅Wが調整されている。
送信アンテナ16−1,16−2のいずれか一方から送信されたパルスPは、対象物によって反射され、反射信号として受信アンテナ17−1〜17−4に受信され、RF信号に変換されて出力される。
選択部18は、受信アンテナ17−1〜17−4のいずれか1つを選択するので、選択部18によって選択された受信アンテナ17−1〜17−4によって受信された反射信号はRF信号に変換されて増幅部19に供給される。
増幅部19は、選択部18から供給されるRF信号を所定のゲインで増幅して出力する。乗算部20は、増幅部19から供給される受信信号と、発振部12から供給される局発信号とを乗算してIF信号に変換(ダウンコンバート)して出力する。
IF増幅部21は、乗算部20から供給されるIF信号を増幅して出力する。A/D変換部22は、IF増幅部21から供給されるIF信号をA/D変換して出力する。なお、A/D変換部22は、図18を参照して後述するように、IF増幅部21から供給される受信信号を、等価時間サンプリングして出力する。
記憶部23は、A/D変換部22から出力されるデジタルデータを記憶し、演算部24の水平方向検出処理部241と垂直方向検出処理部242にそれぞれ供給する。
水平方向検出処理部241は、従来のレーダ装置と同様に、水平方向における対象物の位置および速度を検出する処理を実行する。なお、水平方向検出処理部241は、送信アンテナ16−1〜16−2および受信アンテナ17−1〜17−4を用いて、仮想アレイアンテナの原理を用いることで、水平方向の位置の分解能を高めることができる。
以下では、仮想アレイアンテナの原理について説明する。図7に示すように、間隔dを隔てて、三角形で示す8つの受信アンテナRx(0)〜Rx(7)が配置され、受信アンテナRx(7)から所定の距離を隔てて、同じく三角形で示す送信アンテナTxが配置されているとする。このとき、図7に示すように、各アンテナの正面方向に対する電波の入射角度をθとするとき、受信アンテナRx(0)に対する受信アンテナRx(1)の行路差は、以下の式(1)で表される。なお、符号のプラスは行路差の距離が長いことを示し、マイナスは短いことを示す。
ΔL=−d・sin(θ) ・・・(1)
また、電波の波長をλとするとき、受信アンテナRx(0)に対する受信アンテナRx(1)の位相差Δφは、以下の式(2)で表される。
Δφ=−2πd/λ・sin(θ) ・・・(2)
以上から、各受信アンテナRx(m)(m=0,1,・・・,7)の受信信号v_Rx(m,Tx1)は、以下の式(3)で表される。なお、jは虚数である。
v_Rx(m,Tx1)=v_Rx(0,Tx1)・exp(j・m・Δφ)
・・・(3)
つぎに、図8に示すように、送信アンテナTx2を新たに設けるとともに、受信アンテナRx(4)〜Rx(7)を除外する場合を考える。このとき、Tx2から対象物までの距離はTx1に比べてN・d/2・sin(θ)だけ長く、また、受信アンテナRx(4)に対し受信アンテナRx(0)から対象物までの距離もN・d/2・sin(θ)だけ長い。このとき、以下の式(4)および式(5)が成立する。但し、Nは受信アンテナの個数を示す(図8の例ではN=8)。
v_Rx(m,Tx1)=v_Rx(m,Tx1) ・・・(4)
但し、m≦N/2−1の場合
v_Rx(m,Tx1)=v_Rx(m−N/2,Tx2)・exp(j・N・Δφ)
・・・(5)
但し、m>N/2−1の場合
以上の式(4)および式(5)から、往路と復路の角度が同じである場合、1つの送信アンテナTx1だけの系と、2つの送信アンテナTx1,Tx2の系は等価であることが分かる。
ここで、式(5)の右辺にあるexp(j・N・Δφ)は、位相補正項であり、N分だけマイナス方向(図8の左方向)にアンテナを移動させたのと等価になる項である。このため、図9(A)に示す1つのTx1を有する系と、図9(B)に示す2つのTx1,Tx2を有する系とを等価にする場合、図9(C)に示すように、受信アンテナRx(−4)〜Rx(3)が配置されていると想定して計算することで、以下の式(6)〜式(13)に示すように、位相補正項であるexp(j・N・Δφ)については考慮する必要がなくなる。
v_Rx(−4,Tx)=v_Rx(0,Tx2) ・・・(6)
v_Rx(−3,Tx)=v_Rx(1,Tx2) ・・・(7)
v_Rx(−2,Tx)=v_Rx(2,Tx2) ・・・(8)
v_Rx(−1,Tx)=v_Rx(3,Tx2) ・・・(9)
v_Rx( 0,Tx)=v_Rx(0,Tx1) ・・・(10)
v_Rx( 1,Tx)=v_Rx(1,Tx1) ・・・(11)
v_Rx( 2,Tx)=v_Rx(2,Tx1) ・・・(12)
v_Rx( 3,Tx)=v_Rx(3,Tx1) ・・・(13)
すなわち、2つの送信アンテナを用いることで、4つの受信アンテナを仮想的に8つに拡張することができる。本実施形態では、このような仮想アレイアンテナの原理を利用している。
図10は、図1に示す送信アンテナ16−1〜16−2および受信アンテナ17−1〜17−4の詳細な構成例を示している。図10に示す例では、送信アンテナ16−1〜16−2は、それぞれ4つのパッチアンテナを有するアレイアンテナによって構成されている。また、受信アンテナ17−1〜17−4は、それぞれ8つのパッチアンテナを有するアレイアンテナによって構成されている。受信アンテナ17−1〜17−4は、例えば、誘電体基板等の表面に形成され、図10に示すように、上下方向であるY方向に8つのパッチが所定の間隔を隔てて直線状に配置されて構成される。また、受信アンテナ17−1〜17−4は、左右方向であるX方向に所定の間隔を隔てて配置され、受信アンテナ17−1〜17−4を構成するパッチがマトリクス状に配置される。送信アンテナ16−1は、受信アンテナ17−1の右下方に配置され、送信アンテナ16−2は、受信アンテナ17−4の左下方に配置される。なお、受信アンテナ17−1〜17−4のそれぞれの距離をdとすると、送信アンテナ16−1〜16−2の距離は4×dで表される。
なお、図10に示すアンテナの配置は、図8とは異なっているが、図11に示すように、仮想アレイアンテナとして動作することができる。すなわち、送信アンテナ16−1〜16−2を用いることで、受信アンテナ17−1〜17−4が、受信アンテナ17−1〜17−8の8アレイのアンテナに仮想的に拡張される。
図12は、図10に示す送信アンテナ16−1〜16−2の詳細な構成例を示している。なお、図12では、図面を簡略化するために送信アンテナ16−1〜16−2の距離を実際よりも狭めて描画している。図12の例では、送信アンテナ16−1は、4つのパッチアンテナ1611〜1614を有している。また、パッチアンテナ1611〜1614は、給電線L11〜L13によって相互に接続され、給電点Fp1から送信信号が供給される。また、送信アンテナ16−2も同様に、4つのパッチアンテナ1621〜1624を有している。また、パッチアンテナ1621〜1624は、給電線L21〜L23によって相互に接続され、給電点Fp2から送信信号が供給される。
ここで、送信アンテナ16−1を構成する給電線L11〜L13の長さは、L13>L12>L11となるように設定されている。送信アンテナ16−2を構成する給電線L21〜L23の長さは、L23>L22>L21となるように設定されている。
このように設定することで、給電線の長さに応じた位相遅れが生じることから、送信アンテナ16−1では、給電点Fp1に送信信号が供給されると、パッチアンテナ1611〜1614の順に位相が進んだ電磁波が送信されることから、電磁波が下向きに放射される、送信アンテナ16−2では、パッチアンテナ1624〜1621の順に位相が進んだ電磁波が送信されることから、電磁波が上向きに放射される。これにより、図4に示す指向特性を実現することができる。
また、本実施形態では、図10に示すように、送信アンテナ16−1〜16−2を構成するパッチアンテナの数は4とされ、受信アンテナ17−1〜17−4を構成するパッチアンテナの数は8とされ、送信アンテナ16−1〜16−2を構成するパッチアンテナの数の方が少なく設定されている。これは、以下の理由による。すなわち、送信アンテナ16−1〜16−2のビームの幅(例えば、半値幅)が広い場合には、ビームが重複する領域が広く、また、ビームの幅が狭い場合には、ビームが重複する領域が狭い。図13は、ビームが広い場合と狭い場合による重複する領域を模式的に示す図である。より詳細には、図13は垂直方向に上向きと下向きの2つのビームの重複する様子を示す模式図であり、図13(A)はビームの幅が広い場合を示し、図13(B)はビームの幅が狭い場合を示している。なお、図13(A)と図13(B)において、ビームの照射する角度(垂直方向の角度)は同じである。2つの送信アンテナ16−1〜16−2を用いて対象物を検出する場合、対象物を検出可能な範囲は2つのビームが重複する範囲であることから、図13(A)では利得G1に対応する範囲であり、図13(B)では利得G2に対応する範囲である。このため、ビーム幅が広い方が遠くまで対象物の検出が可能になる。
そこで、本実施形態では、送信アンテナ16−1〜16−2をそれぞれ構成するパッチアンテナの数を受信アンテナ17−1〜17−4の8よりも少ない4とすることで、垂直方向のビーム幅を広くし、水平方向における対象物の検出可能な距離を、垂直方向のビーム幅が狭い場合に比較して長くしている。なお、パッチアンテナの数としては、例えば、3〜7程度にすることができる。この場合、送信アンテナを構成するパッチアンテナの数を減らして(例えば、受信アンテナを構成するパッチアンテナの数の半分以下)垂直方向のビーム幅を広くする場合においても、可変増幅部14の出力を調整することで水平方向における対象物の検出可能な距離を維持することができる。
なお、以上は、送信アンテナ16−1〜16−2の送信利得についての説明であるが、受信アンテナ17−1〜17−4も受信利得を有しており、送信アンテナ16−1〜16−2の送信利得と受信アンテナ17−1〜17−4の受信利得の積によってトータルの利得が計算できる。図14は、送信アンテナ16−1〜16−2と受信アンテナ17−1〜17−4の積によって得られるトータルの利得を示す図である。この図において、破線は図15(A)に示す受信アンテナを使用した場合の利得を示し、実線は図15(B)に示す受信アンテナを使用した場合の利得を示している。
図15(A)に示す受信アンテナでは、パッチアンテナ1711〜1718同士を接続する給電線L31〜L36の幅は略一定とされている。一方、図15(B)に示す受信アンテナでは、パッチアンテナ1721〜1728同士を接続する給電線L41〜L46の一部に隘路が整形されて幅が調整されており、この結果として、図14に実線で示す曲線のように、破線で示す曲線に比較して、サイドローブが抑圧されている。より具体的には、例えば、図15(B)のアンテナの上下方向中央からパッチアンテナ1721〜1724を見た際の、各パッチアンテナのインピーダンスが互いに異なる値となるように、各パッチアンテナを接続する給電線の一部の幅が調整される。パッチアンテナ1725〜1728についても同様である。サイドローブが存在する角度範囲は、利得差が周期的に変化することから、対象物の検出には使用できない。破線で示す利得曲線の場合、実線の利得曲線に比較してサイドローブの利得が大きく、数も多いことから、対象物を検出可能な角度範囲が狭くなる。一方、実線の利得曲線では、サイドローブが抑圧されている(利得が小さく、数も少ない)ことから、対象物を検出可能な角度範囲を広くすることができる。
なお、前述したように、送信アンテナ16−1〜16−2と受信アンテナ17−1〜17−4の積によってトータルの利得が得られるので、送信アンテナ16−1〜16−2を調整することでもサイドローブを抑圧することは可能である。しかしながら、送信アンテナ16−1〜16−2は、パッチアンテナの数が少ないことから、設計の自由度が低い。一方、受信アンテナ17−1〜17−4は、パッチアンテナの数が多いことから、設計の自由度が高い。そこで、本実施形態では、受信アンテナ17−1〜17−4の給電線を調整することで、サイドローブを抑圧するようにしている。
図1に戻る。垂直方向検出処理部242は、水平方向だけでなく、垂直方向における対象物の位置および速度を検出する処理を実行する。なお、垂直方向検出処理部242は、送信アンテナ16−1〜16−2および受信アンテナ17−1〜17−4を仮想アレイアンテナとしては使用せずに、図16および図17に示すように、4アレイのアンテナとして使用する。
垂直方向検出処理部242では、送信アンテナ16−1および送信アンテナ16−2から送信される送信信号の指向性の差異(図4参照)に基づいて、垂直方向における対象物の位置を検出する。
つぎに、演算部24の処理について詳細に説明する。水平方向検出処理部241は、A/D変換部22によって等価時間サンプリングされ、記憶部23に記憶されているデータを読み出し、プリサム処理、FFT(Fast Fourier Transform)処理、クラスタリング処理、および、トラッキング処理等を実行し、車両の周辺に存在する対象物を検出する。
垂直方向検出処理部242も同様に、A/D変換部22によって等価時間サンプリングされ、記憶部23に記憶されているデータを読み出し、プリサム処理、FFT処理、クラスタリング処理、および、トラッキング処理等を実行し、車両の周辺に存在する対象物を検出する。垂直方向検出処理部242は、送信アンテナ16−1と送信アンテナ16−2から送信された図4に示す指向特性が異なる送信信号による反射信号の電力の比を求め、求めた比を図5に示すテーブルと照合することで、対象物の垂直方向の位置を検出する。
図18は、パルスPに関する等価時間サンプリング処理の一例を示す図である。図18(A)は、送信されるパルスPを示している。また、図18(B)〜(G)は、等価時間サンプリングにおけるフィールドを示している。より詳細には、図18(A)に示すパルスPが送信されると、図18(B)に示すように、第1フィールドでは、パルスPのピーク位置からA/D変換部22が周期t1でサンプリングを実行する。なお、図18の例では、各フィールドでは、矢印で示すように5回のサンプリングが実行されている。図18(C)に示すように、第2フィールドでは、第1フィールドに比較すると、時間τ1だけオフセットされてサンプリングが開始される。なお、サンプリング周期は、第1フィールドと同様にT1である。図18(D)に示すように、第3フィールドでは、第2フィールドに比較して時間τ1だけオフセットされサンプリングが開始され、同様に、図18(E)〜(G)に示すように、第3〜6フィールドでは直前のフィールドに比べて時間τ1だけオフセットされてサンプリングが開始される。
なお、図18では、詳細は示していないが、各フィールドでは、送信アンテナ16−1,16−2および受信アンテナ17−1〜17−4のそれぞれについて、例えば、1回の高周波パルス信号が送受信され、同じオフセットでサンプリングが実行される。すなわち、第1フィールドでは、例えば、送信アンテナ16−1からパルスが送信され、受信アンテナ17−1により図18(B)に示す各タイミングで反射信号がサンプリングされる。つぎに、受信アンテナ17−2に切り替えられ、図18(B)に示す各タイミングで反射信号がサンプリングされる。つぎに、受信アンテナ17−3〜17−4によって、同様に、図18(B)に示す各タイミングで反射信号がサンプリングされる。つづいて、送信アンテナ16−2に切り替えられ、受信アンテナ17−1〜17−4によって、図18(B)に示す各タイミングで反射信号がサンプリングされる。以上の動作を1サイクルとすると、このようなサイクルを、例えば、第1フィールドについて1回行い(高周波パルス信号を合計8(=2×4×1)回送信し)、第1フィールドにおけるデータが取得される。第1フィールドのサンプリングが終了すると、続いて、第2〜第6フィールドのサンプリングが実行される。そして全てのフィールドのサンプリングが完了すると、再度、第1フィールドのサンプリングに戻る。このような等価時間サンプリング処理を所定回数(例えば、2,048回)繰り返した後、対象物を検出する処理その他が実行される。なお、図18では、各フィールドのサンプリング回数は5回とされているが、これ以外の回数としてもよい。また、各フィールドでは、1サイクルを1回行うようにしているが、これ以外の回数繰り返すようにしてもよい。
水平方向検出処理部241は、以上のようにして等価時間サンプリングによって得られたデータに対して、8アレイFFT処理を実行する。より詳細には、図11に示すように受信アンテナ17−1〜17−8が配置され、これらの受信アンテナ17−1〜17−8によって受信された反射信号を、FFT処理する。水平方向検出処理部241は、このようにして得られたFFTの結果に対して、クラスタリング処理およびトラッキング処理を実行し、対象物を特定する。
一方、垂直方向検出処理部242は、以上のようにして等価時間サンプリングによって得られたデータに対して、4アレイFFT処理を実行する。より詳細には、垂直方向検出処理部242は、図16に示す、送信アンテナ16−1によって送信され、受信アンテナ17−1〜17−4によって受信された反射信号を、FFT処理する。同様にして、垂直方向検出処理部242は、図17に示す、送信アンテナ16−2によって送信され、受信アンテナ17−1〜17−4によって受信された反射信号を、FFT処理する。
つぎに、垂直方向検出処理部242は、FFT処理の結果のデータから対象物を特定し、送信アンテナ16−1および送信アンテナ16−2に対応する受信信号から、対象物に対応する受信信号を抽出し、これらの比を計算する。より詳細には、FFTとしては複素FFTが実行され、I成分とQ成分が得られるので、これらの振幅AI,AQに基づいてAI2+AQ2を送信アンテナ16−1および送信アンテナ16−2の受信信号について計算する。つぎに、垂直方向検出処理部242は、送信アンテナ16−1に関するAI2+AQ2を、送信アンテナ16−2に関するAI2+AQ2で除して、これらの比を計算する。
垂直方向検出処理部242は、このようにして求めた比と、図5に示すテーブルとを対比し、対象物の垂直方向の高さを特定する。例えば、送信アンテナ16−1に関するAI2+AQ2を、送信アンテナ16−2に関するAI2+AQ2で除して得た比が0.4である場合、図5から対象物の高さが20cmであることが判明する。
統合処理部243は、水平方向検出処理部241と、垂直方向検出処理部242との検出結果を統合する処理を実行する。より詳細には、車両が後退している際に、水平方向検出処理部241によって車両の後方に対象物が検出されたとする。この場合、統合処理部243は、垂直方向検出処理部242の処理結果を参照し、水平方向検出処理部241によって特定された対象物と同じ位置に存在する対象物の高さを検出する。そして、当該高さが、車両に接触する高さでない場合には警告を行わない。また、接触する高さである場合には警告を行う。
以上に説明したように、本発明の実施形態では、垂直方向に指向性が異なる送信信号を送信し、対象物によって反射された反射信号の電力の差異(例えば、比)に基づいて、垂直方向(仰角方向)の対象物の位置を検出するようにしたので、簡易な構成によって、垂直方向の対象物の位置を検出することができる。
また、本実施形態では、対象物の水平方向の位置を検出した後に、垂直方向の位置を特定するようにしたので、垂直方向の位置の検出に係る計算負荷を軽減することができる。すなわち、水平方向における位置を先に検出し、垂直方向における検出処理の際に、水平方向での検出位置を参照することで、検出対象範囲を狭くすることができることから、クラスタリング処理等の負荷を軽減することができる。
また、本実施形態では、図10に示すように、受信アンテナ17−1〜17−4と送信アンテナ16−1〜16−2を水平方向に並べて配置するようにしたので、水平方向に高い分解能を要求される車両に好適なレーダ装置10を構築することができる。
つぎに、図19〜図22を参照して、図1に示す実施形態において実行される処理の一例について説明する。
図19は、図1に示す実施形態において実行されるメインの処理の流れを説明するためのフローチャートの例である。図19に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS10では、制御部11は、処理回数をカウントするための変数kに初期値1を代入する。
ステップS11では、制御部11は、処理回数をカウントするための変数jに初期値1を代入する。
ステップS12では、制御部11は、処理回数をカウントするための変数iに初期値1を代入する。
ステップS13では、制御部11は、選択部15を制御して、第j送信アンテナを選択させる。なお、送信アンテナ16−1および送信アンテナ16−2のそれぞれを第1送信アンテナおよび第2送信アンテナと定義する。そして、j=1の場合には送信アンテナ16−1が選択され、j=2の場合には送信アンテナ16−2が選択される。
ステップS14では、制御部11は、選択部18を制御して、第i受信アンテナを選択させる。なお、受信アンテナ17−1〜受信アンテナ17−4のそれぞれを第1受信アンテナ〜第4受信アンテナと定義する。そして、i=1の場合には受信アンテナ17−1が、i=2の場合には受信アンテナ17−2が、i=3の場合には受信アンテナ17−3が、i=4の場合には受信アンテナ17−4が選択される。
ステップS15では、制御部11は、パルスを送信させる。より詳細には、制御部11は、発振部12を制御して局発信号を出力させるとともに、パルス整形部13に対して図6(C)に示す幅がWの矩形波を供給する。この結果、発振部12から供給される局発信号は、可変増幅部14において、パルス整形部13から供給されるパルスPの波形を有する信号によって変調され、図6(B)に示す振幅がAのパルスPが生成される。このようなパルスPは、ステップS13で選択部15によって選択されている送信アンテナから送信される。
ステップS16では、パルス受信処理が実行される。なお、パルス受信処理の詳細は、図20を参照して後述する。
ステップS17では、制御部11は、処理回数をカウントする変数iを1インクリメントする。
ステップS18では、制御部11は、変数iの値が4よりも大きいか否かを判定し、4よりも大きいと判定した場合(ステップS18:Y)にはステップS19に進み、それ以外の場合にはステップS14に戻って同様の処理を繰り返す。ステップS14〜ステップS18の処理を繰り返すことで、受信アンテナ17−1〜17−4が順次選択されて受信処理が実行される。
ステップS19では、制御部11は、処理回数をカウントする変数jを1インクリメントする。
ステップS20では、制御部11は、変数jの値が2よりも大きいか否かを判定し、2よりも大きいと判定した場合(ステップS20:Y)にはステップS21に進み、それ以外の場合にはステップS12に戻って同様の処理を繰り返す。ステップS12〜ステップS20の処理を繰り返すことで、送信アンテナ16−1〜16−2が順次選択されて送信処理が実行される。
ステップS21では、制御部11は、処理回数をカウントする変数kを1インクリメントする。
ステップS22では、制御部11は、変数kの値がnよりも大きいか否かを判定し、nよりも大きいと判定した場合(ステップS22:Y)には処理を終了し、それ以外の場合にはステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。ステップS11〜ステップS22の処理を繰り返すことで、図18に示す等価時間サンプリングが実行される。なお、nは、繰り返し回数であり、本実施形態では、12,288とされる。すなわち、サイクルおよびフィールドの数は、2,048回×6フィールドが繰り返し回数であることから、これらの積は12,288となるからである。
つぎに、図20を参照して、図19に示すパルス受信処理の詳細について説明する。図20に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS30では、制御部11は、処理回数をカウントする変数mに初期値1を代入する。
ステップS31では、反射信号を受信する。より詳細には、選択部18によって選択された受信アンテナによって受信されたRF信号は、増幅部19によって増幅され、乗算部20によって局発信号と乗算されてIF信号とされ、A/D変換部22に供給される。
ステップS32では、制御部11は、A/D変換部22を制御し、反射信号(IF信号)をA/D変換により、デジタルデータに変換させる。
ステップS33では、制御部11は、A/D変換部22から出力されるデータを記憶部23に記憶させる。
ステップS34では、制御部11は、処理回数をカウントする変数mを1インクリメントする。
ステップS35では、制御部11は、変数mの値が5よりも大きいか否かを判定し、m>5を満たす場合(ステップS35:Y)にはステップS36に進み、それ以外の場合(ステップS35:N)にはステップS32に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。なお、ステップS32〜ステップS35の処理により、図18に示すように、5回のサンプリングが実行される。
ステップS36では、制御部11は、(k mod 6)の結果が0か否かを判定し、0である場合(ステップS36:Y)にはステップS37に進み、それ以外の場合(ステップS36:N)にはステップS38に進む。なお、modは、kを6で割った余りを求める演算子である。ここで、kは、図18に示す1サイクル(送信アンテナ16−1〜16−2の双方による送信処理および受信アンテナ17−1〜17−4の全てによる受信処理が1サイクル)が実行されると値が1インクリメントされる変数である。パルス受信処理では、1フィールドでは、1サイクルが1回実行されてつぎのフィールドに進み、第6フィールドまで進むと第1フィールドに戻って同じ処理を繰り返す。このため、(k mod 6)が0になる場合には、第1フィールドに戻り、それ以外の場合にはつぎのフィールドに進む。
ステップS37では、制御部11は、第1フィールドに復帰する。例えば、現在、図18の第6フィールドの処理が完了した場合には、第1フィールドに復帰する。
ステップS38では、制御部11は、つぎのフィールドの処理に移行する。例えば、現在、図18の第1フィールドの処理が完了した場合には、第2フィールドに移行する。
つぎに、図21を参照して、図1に示す水平方向検出処理部241において実行される処理について説明する。図21に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS50では、水平方向検出処理部241は、記憶部23に記憶されている送信アンテナ16−1および送信アンテナ16−2の双方によって送信されたデータを取得する。
ステップS51では、水平方向検出処理部241は、8アレイFFT処理を実行する。より詳細には、図11に示すように、仮想アレイアンテナである受信アンテナ17−1〜17−8によって受信された反射信号に対してFFT処理を施す。
ステップS52では、水平方向検出処理部241は、対象物検出処理を実行する。より詳細には、FFTによって得られた距離ゲートと周波数ゲートに関する2次元データから、対象物に対応する信号を検出する。
ステップS53では、水平方向検出処理部241は、対象物の水平方向の角度を特定する。より詳細には、水平方向検出処理部241は、ステップS52で検出した対象物に対応する受信信号の電力の比を求める。つぎに、水平方向検出処理部241は、電力の比と水平方向の角度との関係を示す水平方向のテーブル(不図示)を参照し、対象物の水平方向の角度を特定する。
ステップS54では、水平方向検出処理部241は、ステップS53で特定した対象物の位置を出力する。
つぎに、図22を参照して、垂直方向検出処理部242において実行される処理について説明する。図22に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS70では、垂直方向検出処理部242は、送信アンテナ16−1から送信された送信信号に関するデータを記憶部23から取得する。
ステップS71では、垂直方向検出処理部242は、4アレイFFT処理を実行する。より詳細には、図16に示す受信アンテナ17−1〜17−4によって受信されたデータに対するFFT処理を実行する。
ステップS72では、ステップS71でFFT処理によって周波数領域に変換されたデータから対象物に対応するデータを検出する処理を実行する。
ステップS73では、垂直方向検出処理部242は、送信アンテナ16−2から送信された送信信号に関するデータを記憶部23から取得する。
ステップS74では、垂直方向検出処理部242は、4アレイFFT処理を実行する。より詳細には、図17に示す受信アンテナ17−1〜17−4によって受信されたデータに対するFFT処理を実行する。
ステップS75では、ステップS74でFFT処理によって周波数領域に変換されたデータから対象物に対応するデータを検出する処理を実行する。
ステップS76では、垂直方向検出処理部242は、対象物に対応する受信信号の電力の比を算出する。より詳細には、垂直方向検出処理部242は、ステップS72で検出された送信アンテナ16−1に関する受信信号の電力を、ステップS75で検出された送信アンテナ16−2に関する受信信号の電力で除算して、これらの比を算出する。
ステップS77では、垂直方向検出処理部242は、図5に示す、仰角方向のテーブルを参照し、仰角を特定する。例えば、前述した比が0.4である場合には、図5に示すテーブルから、対象物の高さである20cmが特定される。
ステップS78では、垂直方向検出処理部242は、ステップS77で特定された対象物の高さを出力する。
つぎに、図23を参照して図1に示す統合処理部243において実行される処理の一例について説明する。図23に示す処理が開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS90では、統合処理部243は、水平方向検出処理部241の処理結果を取得する。より詳細には、統合処理部243は、水平方向検出処理部241から対象物の水平方向の位置を示す情報を取得する。
ステップS91では、統合処理部243は、垂直方向検出処理部242から処理結果を取得する。より詳細には、統合処理部243は、垂直方向検出処理部242から対象物の垂直方向の高さを示す情報を取得する。
ステップS92では、統合処理部243は、水平方向検出処理部241からの処理結果を参照して対象物が接近しているか否かを判定し、接近していると判定した場合(ステップS92:Y)にはステップS93に進み、それ以外の場合(ステップS92:N)には処理を終了する。
ステップS93では、統合処理部243は、ステップS92で接近する対象物が存在すると判定した場合には、垂直方向検出処理部242からの処理結果を参照して当該対象物の高さを特定する。
ステップS94では、統合処理部243は、ステップS93で特定した高さが安全な高さか否かを判定し、安全な高さと判定した場合(ステップS93:Y)には処理を終了し、それ以外の場合(ステップS93:N)にはステップS95に進む。
ステップS95では、統合処理部243は、対象物に衝突(または接触)する危険があることから、運転者に対して警告を発する処理を実行する。より詳細には、例えば、統合処理部243は、上位装置であるECUに対して衝突の可能性があることを通知する。この結果、ECUは、警告音等によって衝突の可能性があることを通知する。なお、ECUがブレーキを動作させて停車させるようにしてもよい。
以上の処理によれば、前述した動作を実現することができる。
(C)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、パルスPは、図18に示すように、6フィールドを有するとともに、各フィールドが5回のサンプリングを行うようにしたが、これ以外の数のフィールドを有するとともに、これ以外のサンプリング回数としてもよい。
さらに、図2の例では、対象物O1,O2はともに地面に接地された状態としたが、例えば、図24に示すように、地面に接地されない対象物O3(例えば、中空に配置されたポール等)を検出対象とすることもできる。このような対象物O3の場合、第1指向特性を有する送信信号に対する第1反射信号は、第2指向特性を有する送信信号に対する第2反射信号の強度よりも大きい(第1反射信号>第2反射信号)であることから、第1反射信号/第2反射信号の比>1となる。このような対象物O3の場合、(第1反射信号>第2反射信号)が所定の閾値(例えば、図5の0.3(15cm))よりも大きい場合には衝突の可能性があると判定するようにすれば、図24に示す対象物O3への衝突も回避できる。
また、以上の実施形態では、2つの送信アンテナ16−1〜16−2から垂直方向の指向特性が異なる2種類の電磁波を送信するようにしたが、3つ以上の送信アンテナから垂直方向の指向特性が異なる3種類以上の電磁波を送信するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、2つの特性が異なる送信アンテナ16−1〜16−2によって垂直方向の指向特性が異なる電磁波を送信するようにしたが、例えば、特性が変更できる送信アンテナを用いて、送信のたびに特性を変化させることで、垂直方向の指向特性が異なる複数の電磁波を送信するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、送信アンテナ16−1〜16−2は2個とし、受信アンテナ17−1〜17−4を4個の2×4の構成としたが、これ以外のn×m(n,m>1)の構成としてもよい。
また、以上の実施形態では、図6に示すパルスの繰り返し周期T0は固定としたが、例えば、繰り返し周期T0をサンプリング毎に変化させることで、その直前の繰り返し周期において送信されるパルスに対する反射信号による誤検出を防止するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、パルス方式に基づいて対象物を検出するようにしたが、例えば、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式のレーダ装置に本発明を適用するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、給電線の長さを調整することで送信アンテナ16−1〜16−2の指向性を変更するようにしたが、これ以外にも、例えば、誘電体の誘電率を変更するようにしたり、パッチアンテナの形状を変更したりするようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、対象物からの反射信号の電力の比に基づいて高さを特定するようにしたが、例えば、反射信号の電力の差に基づいて高さを特定するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、車両として自動四輪車を例に挙げて説明したが、これ以外にも自動二輪車や自転車等を検出するようにしてもよい。すなわち、本明細書中において、車両とは自動四輪車には限定されない。
また、以上の実施形態では、車両の後方にレーダ装置を搭載する場合を例に挙げて説明したが、前方に搭載するようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、垂直方向に指向性が異なる複数の送信信号を異なるタイミングで送信し、受信電力の差異に基づいて対象物の垂直方向の位置を検出するようにしたが、垂直方向以外の所定の方向(例えば、水平方向等)に指向性が異なる複数の送信信号を異なるタイミングで送信し、受信電力の差異に基づいて対象物の所定の方向の位置を検出するようにしてもよい。
また、図19〜図23に示すフローチャートの処理は一例であって、本発明がこれらフローチャートの処理に限定されるものではないことはいうまでもない。