JP2019120185A - シリンダーの周壁面構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】膨張行程においてピストンとの間に生じる摩擦を低減することのできるシリンダーの周壁面構造を提供する。【解決手段】シリンダー20の周壁面21は、ピストン25が対向する領域として上段領域41、中段領域42、および、下段領域43を有する。中段領域42は、一様に、かつ、規則的に配列された複数の凹部45を第1面積率で有する第1領域46と、ピストン25の下動時にピストン25が偏倚するスラスト側に位置し、シリンダー20の周方向における両側とピストン25の下動方向側とが第1領域46で囲まれた第2領域47であって、凹部45が形成されていない第2領域47と、で構成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、シリンダーの周壁面構造に関する。
レシプロ式のエンジンにおいては、ピストンとシリンダーの周壁面との間の隙間であるピストンクリアランスに潤滑油が供給されている。また、例えば、特許文献1のように、シリンダーの周壁面に複数の小さな凹部を配列することでピストンとシリンダーの周壁面との間に作用する面圧を高め、ピストンとシリンダーの周壁面との間の摩擦抵抗を低減することが行われている。
近年、燃費向上等を目的としたエンジンのダウンサイジングにともなう高出力化によって、膨張行程においてピストンとシリンダーの周壁面との間に生じる面圧が上昇する傾向にある。こうした面圧の上昇は、図7に示すストライベック線図において、ピストンとシリンダーの周壁面との間の潤滑状態を流体潤滑状態Aから混合潤滑状態Bあるいは境界潤滑状態Cへ移行させてしまい、結果として摩擦抵抗の増大を招くおそれがある。
本発明は、膨張行程においてピストンとの間に生じる摩擦を低減することのできるシリンダーの周壁面構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するシリンダーの周壁面構造は、ピストンが上下動するシリンダーの周壁面構造であって、前記シリンダーの周壁面は、前記ピストンが対向する領域として上段領域、中段領域、および、下段領域を有し、前記中段領域は、規則的に配列された複数の凹部を第1面積率で有する第1領域と、前記ピストンの下動時に前記ピストンが偏倚するスラスト側に位置し、前記シリンダーの周方向における両側と前記ピストンの下動方向側とが前記第1領域で囲まれた第2領域であって、凹部が形成されていない、若しくは、規則的に配列された複数の凹部を前記第1面積率よりも低い第2面積率で有する前記第2領域と、で構成されている。
上記構成によれば、ピストンに爆発荷重が作用し面圧が大きくなる期間においてピストンが第2領域を摺動しやすくなる。これにより、ピストン膨張行程においてシリンダーの周壁面とピストンとの間に生じる面圧の過度な上昇を抑えることができる。その結果、潤滑状態が流体潤滑状態に維持されやすくなり、膨張行程においてシリンダーの周壁面とピストンとの間で生じる摩擦を低減することができる。
上記構成のシリンダーの周壁面構造において、前記中段領域は、前記ピストンの上死点を基準としたクランク角度10°CA以上において前記ピストンの下端が対向する位置に、前記ピストンの下動方向側における前記第1領域と前記第2領域との境界を有することが好ましい。
上記構成によれば、ピストンの下端が第2領域に対向する期間に筒内圧力が高く、かつ、ピストンに高い爆発荷重が作用する期間を含ませることが可能となる。これにより、シリンダーの周壁面とピストンとの間に生じる面圧の過度な上昇を効果的に抑えることができる。
上記構成のシリンダーの周壁面構造において、前記中段領域は、前記ピストンの上死点を基準としたクランク角度30°CA以下において前記ピストンの下端が対向する位置に前記境界を有することが好ましい。
上記構成によれば、ピストンに爆発荷重が作用したあとの期間において、シリンダーの周壁面とピストンとの間に生じる面圧がスラスト側において過度に低下することを抑えることが可能である。
上記構成のシリンダーの周壁面構造において、前記第2領域は、前記シリンダーの周方向において、前記ピストンのスラスト方向に沿う仮想線を二等分線とする前記シリンダーの中心軸回りの角度が45°以上の領域であることが好ましい。
上記構成によれば、爆発荷重が作用するピストンの下端が摺動する領域をより確実に第2領域に設定することができる。
上記構成によれば、爆発荷重が作用するピストンの下端が摺動する領域をより確実に第2領域に設定することができる。
上記構成のシリンダーの周壁面構造において、前記第2領域は、前記シリンダーの周方向において、前記仮想線を二等分線とする前記シリンダーの中心軸回りの角度が90°以下の領域であることが好ましい。
上記構成によれば、爆発荷重が作用するピストンのスラストによる面圧の過度な上昇を抑えつつ、第1領域のうちでシリンダーの周方向において第2領域に隣接する部分において面圧が過度に低下することを抑えることができる。
上記構成のシリンダーの周壁面構造は、前記第2領域が凹部の形成されていない領域であることが好ましい。
上記構成によれば、ピストンの下端が第2領域を摺動する際にシリンダーの周壁面とピストンとの間に生じる面圧の過度な上昇を確実に抑えることができる。
上記構成によれば、ピストンの下端が第2領域を摺動する際にシリンダーの周壁面とピストンとの間に生じる面圧の過度な上昇を確実に抑えることができる。
図1〜図6を参照して、シリンダーの周壁面構造の一実施形態について説明する。図1は、シリンダーの周壁面構造の一実施形態が適用されたシリンダーにピストンが収容された状態を示す図であって、上死点に位置しているピストンを実線で示し、下死点に位置しているピストンを二点鎖線で示す図である。
図1に示すように、シリンダー20は、シリンダーブロック部11に形成される周壁面21と、シリンダーヘッド部12に形成される上壁面22とを有している。シリンダー20は、シリンダー20の中心軸C方向に沿って上下動可能なピストン25を収容している。シリンダー20には、シリンダー20の周壁面21、上壁面22、および、ピストン25に囲まれる空間である燃焼室26が形成される。
ピストン25には、1以上のピストンリングが装着される。たとえば、ピストン25には、燃焼室26の気密性を高めるトップリング27およびセカンドリング28、ならびに、シリンダー20に付着するオイル量を調整するオイルリング29が装着される。ピストン25のうち、最上位に位置するピストンリング(図1においてはトップリング27)よりも上方の部分をトップランドという。ピストン25は、図1における紙面鉛直方向に延びるピストンピン30によってコンロッド31の小端部に回動可能に連結されている。コンロッド31は、小端部の反対側に位置する大端部が図示されないクランクシャフトに回動可能に連結されている。クランクシャフトは、ピストン25の上下動にともなって吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程が繰り返し行われることで図1における紙面鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転する。
吸気行程においては、ピストン25の上死点から下死点への下動にともない、シリンダー20の上壁面22に開口する吸気ポート33を通じてシリンダー20に吸入空気が流入する。圧縮行程においては、ピストン25の下死点から上死点への上動にともない、吸気行程にてシリンダー20に吸入された吸入空気が圧縮される。こうして圧縮された吸入空気は、燃料噴射弁34から燃料が噴射されることにより混合気を生成する。
膨張行程においては、混合気の燃焼にともなう爆発荷重がピストン25の上面に作用することにより、ピストン25が上死点から下死点へと押し下げられる。こうした膨張行程におけるピストン25の下動により、クランクシャフトに対してコンロッド31を介して回転力が付与される。排気行程においては、ピストン25の下死点から上死点への上動にともない、燃焼後の混合気である排気ガスがシリンダー20の上壁面22に開口する排気ポート35を通じてシリンダー20から排出される。
図2(a)に示すように、膨張行程において、ピストン25は、コンロッド31からの反力を受けることで一方側へと偏倚した状態で下動する。このように膨張行程においてピストン25が偏倚する側をスラスト側、スラスト側の反対側を反スラスト側という。また、膨張行程においてピストン25が偏倚する方向をスラスト方向、スラスト方向の反対方向を反スラスト方向という。スラスト方向および反スラスト方向は、ピストンピン30の延在方向(クランクシャフトの回転軸に沿う方向)とシリンダー20の軸方向(ピストン25の上下動方向)とに直交する方向である。
また、膨張行程において、ピストン25は、スラスト側の部位よりも反スラスト側の部位が下側に位置するようにピストンピン30を中心として反スラスト側へ傾倒した状態で下動する。そのため、ピストン25は、スラスト側の下端36がシリンダー20の周壁面21を摺動するように下動する。なお、こうしたピストン25の偏倚および傾倒は、ピストン25が下動する吸入行程でも生じる。
図2(b)に示すように、圧縮行程および排気行程において、ピストン25は、コンロッド31に押し上げられることで反スラスト側へ偏倚した状態で上動する。また、ピストン25は、ピストンピン30を中心として反スラスト側の部位よりもスラスト側の部位が下側に位置するようにスラスト側へ傾倒した状態で上動する。そのため、ピストン25は、反スラスト側の下端37がシリンダー20の周壁面21を摺動するように上動する。
図1および図2に示すように、シリンダー20の周壁面21は、ピストン25が対向する領域として、ピストン25の上死点側から順に、上段領域41、中段領域42、および、下段領域43を有している。上段領域41および下段領域43は、後述する凹部の形成されていない平坦面である。中段領域42は、ブラスト法やエッチング法などによって形成された微小な複数の凹部45を有している。中段領域42では、凹部45が開口していない部分がピストン25からの圧力を受ける受圧部として機能する。中段領域42は、ピストン25が上死点に位置しているときに最下位のピストンリング(この場合はオイルリング29)よりも下動方向側の部位が対向する位置から、ピストン25が下死点に位置しているときにピストン25のトップランドが対向する位置までの領域に設定される。
中段領域42は、第1面積率Ra1で凹部45を有する第1領域46と、第2面積率Ra2で凹部45を有する第2領域47とで構成されている。ここでいう面積率は、たとえば第1領域46であれば、第1領域46の総面積S1に対して凹部45の総開口面積Sd1が占める割合(=Sd1/S1)である。
図3(a)に示すように、第1領域46は、凹部45が一様に、かつ、規則的に配列された領域である。凹部45は、たとえば、直径D1の複数の凹部45がピッチP1で列を構成し、かつ、隣の列の凹部45との中心間の角度が角度θ1で千鳥状に配列される。
第2領域47は、第1面積率Ra1よりも低い第2面積率Ra2(<Ra1)を有している。第2領域47は、たとえば図3(b)に示すように、第2面積率Ra2が0であり、第2領域47に凹部45が存在しない領域である。また、第2領域47は、たとえば図3(c)に示すように、直径D2の複数の凹部45がピッチP2、角度θ2にて一様に、かつ、規則的に千鳥状に配列された領域である。この場合、第2領域47は、第1面積率Ra1よりも低い第2面積率Ra2で凹部45が形成されていればよく、直径D2、ピッチP2、および、角度θ2のなかに直径D1、ピッチP1、および、角度θ1と同じ値が含まれていてもよい。すなわち、第2領域47は、単位面積における受圧面積が第1領域46も大きい領域であり、同じ圧力であればピストン25との間に生じる面圧が第1領域よりも小さい領域である。
第2領域47は、中段領域42においてスラスト側、かつ、ピストン25の上動方向側に位置する領域である。第2領域47は、シリンダー20の周方向における両側、および、ピストン25の下動方向側が第1領域46で囲まれた領域であり、中段領域42において第1領域46の一部をピストン25の上動方向側から凹状に切り欠くような領域である。第2領域47は、周壁面21の展開図において、長方形状を有する構成に限らず、たとえば台形形状を有する構成であってもよい。この場合、下端36が第2領域47を摺動する確実性を高めるうえで境界51が幅広となることが好ましい。なお、凹部45の配列は、図3(a)および図3(c)に示すような千鳥配列に限らず、たとえば凹部45が格子状に配置される配列であってもよい。また、第1領域46と第2領域47とにおいて凹部45の配列が異なる構成であってもよい。
図4に示すように、シリンダー20の周方向における第2領域47の範囲は、スラスト方向に沿う仮想線50を二等分線とするシリンダー20の中心軸C回りの角度θの範囲である。角度θは、シリンダー20の内径、ピストン25の形状や外径、および、ピストン25とシリンダー20との間の隙間であるピストンクリアランスなど、各種設計値に基づいて設定される値である。
角度θは、膨張行程においてピストン25の下端36が摺動する領域がより確実に第2領域47の一部となる値に設定されることが好ましい。こうした観点から角度θは、30°以上であることが好ましく、45°以上であることがより好ましい。また、角度θは、第1領域46のうちシリンダー20の周方向で第2領域47に隣接する部分においてシリンダー20とピストン25との間に生じる面圧が過度に低下することが抑えられる値に設定される。こうした観点から、角度θは、120°以下であることが好ましく、90°以下であることがより好ましい。角度θの一例は90°である。
図5に示すように、ピストン25の下動方向側における第1領域46と第2領域47との境界51は、混合気の燃焼中にピストン25の下端36が対向する位置に設定される。境界51は、ピストン25に作用する爆発荷重が高い期間においてピストン25の下端36を第2領域47に対向する位置に設定されることが好ましい。こうした観点から、境界51は、燃料噴射量に基づく発生熱量Q1に対する熱発生率に基づく発生熱量の積算値Q2の割合Rq(=Q2/Q1)が90%に到達したあとにピストン25の下端36が対向する位置に設定されることが好ましい。
具体的には、境界51は、燃焼室26の圧力である筒内圧力が高く、かつ、ピストン25に高い爆発荷重が作用する期間において、ピストン25の下端36がより確実に第2領域47に対向させることが好ましい。こうした観点から、境界51は、上死点を基準としてクランク角度10°CA以上でピストン25の下端36が対向する位置に設定されることが好ましい。
また、境界51は、ピストン25に爆発荷重が作用したあとの期間において、シリンダー20の周壁面21とピストン25との間に生じる面圧が過度に低下することが抑えられる位置に設定されることが好ましい。こうした観点から、境界51は、上死点を基準としてクランク角度30°CA以下でピストン25の下端36が対向する位置に設定されることが好ましい。
たとえば、図6に示すように、上死点を基準(=0°CA)としたクランク角度に対して筒内圧力Pcおよび熱発生率Qsが推移するエンジンにおいては、上記割合Rqが90%に到達するクランク角度28°CAにおいてピストン25の下端36が対向している位置に境界51が設定されることが好ましい。
上述した構成のシリンダーの周壁面構造の作用について説明する。
上述したシリンダー20においては、膨張行程においてピストン25がスラスト側に偏倚し、かつ、傾倒した状態で下動する。その際、ピストン25の下端36は、筒内圧力が高く、かつ、爆発荷重によりシリンダー20の周壁面21に対する圧力が高くなる期間において第2領域47を摺動する。第2領域47は、第1面積率Ra1よりも低い第2面積率Ra2を有していることから、第1領域46よりも受圧面積が大きい。そのため、ピストン25の下端36とシリンダー20の周壁面21との間に生じる面圧を小さくすることができる。これにより、面圧の過度な上昇が抑えられることから、ピストン25とシリンダー20の周壁面21との間の潤滑状態が流体潤滑状態に維持されやすくなる。その結果、同期間におけるピストン25とシリンダー20の周壁面21との摩擦を低減することができる。
上述したシリンダー20においては、膨張行程においてピストン25がスラスト側に偏倚し、かつ、傾倒した状態で下動する。その際、ピストン25の下端36は、筒内圧力が高く、かつ、爆発荷重によりシリンダー20の周壁面21に対する圧力が高くなる期間において第2領域47を摺動する。第2領域47は、第1面積率Ra1よりも低い第2面積率Ra2を有していることから、第1領域46よりも受圧面積が大きい。そのため、ピストン25の下端36とシリンダー20の周壁面21との間に生じる面圧を小さくすることができる。これにより、面圧の過度な上昇が抑えられることから、ピストン25とシリンダー20の周壁面21との間の潤滑状態が流体潤滑状態に維持されやすくなる。その結果、同期間におけるピストン25とシリンダー20の周壁面21との摩擦を低減することができる。
そして、シリンダー20の周壁面21に対するピストン25の圧力が低くなると、ピストン25の下端36は、第2領域47よりも受圧面積の小さい第1領域46を摺動する。これにより、面圧の過度な低下が抑えられ、ピストン25とシリンダー20の周壁面21との間の潤滑状態を流体潤滑状態に維持しつつ、これらの間に生じる摩擦を低減することができる。
上記実施形態のシリンダーの周壁面構造によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)膨張行程においてピストン25とシリンダー20の周壁面21との間に生じる面圧の過度な上昇を抑えることができる。その結果、潤滑状態が流体潤滑状態に維持されやすくなることから、膨張行程全体としてピストン25とシリンダー20の周壁面21との間の摩擦を低減することができる。
(1)膨張行程においてピストン25とシリンダー20の周壁面21との間に生じる面圧の過度な上昇を抑えることができる。その結果、潤滑状態が流体潤滑状態に維持されやすくなることから、膨張行程全体としてピストン25とシリンダー20の周壁面21との間の摩擦を低減することができる。
(2)シリンダー20の周壁面21は、反スラスト側が第1面積率Ra1の第1領域46で構成されている。そのため、圧縮行程や排気行程において、ピストン25が反スラスト側に偏倚し、かつ、スラスト側へ傾倒した状態で上動する際に、ピストン25とシリンダー20の周壁面21との間に生じる面圧を適度に上昇させることができる。その結果、ピストン25の上動時におけるピストン25とシリンダー20の周壁面21との間の摩擦を低減することができる。
(3)第1領域46と第2領域47との境界51は、上死点を基準とするクランク角度10°以上においてピストン25の下端36が対向する位置に設定されることが好ましい。こうした構成によれば、膨張行程における筒内圧力Pcが高い期間であり、かつ、ピストン25に作用する爆発荷重が高い期間においてピストン25の下端36を第2領域47に対向させることができる。これにより、過度な上昇を効果的に抑えることができる。また、ピストン25の下端36が境界51に到達したときに割合Rqが90%に到達している確率を高めることもできる。
(4)境界51は、上死点を基準とするクランク角度30°以下においてピストン25の下端36が対向する位置に設定されることが好ましい。こうした構成によれば、シリンダー20の周壁面21に対してピストン25が付与する圧力が低くなったときにピストン25の下端36が第1領域46を摺動する。これにより、爆発荷重が作用したのちにシリンダー20の周壁面21とピストン25との間に生じる面圧の過度な低下を抑えることができる。
(5)シリンダー20の周方向における第2領域47の角度θは、30°以上であることが好ましい。こうした構成によれば、膨張行程においてピストン25の下端36が摺動する領域をより確実に第2領域47の一部に設定することができる。
(6)シリンダー20の周方向における第2領域47の角度θは、90°以下であることが好ましい。こうした構成によれば、第2領域47においては面圧の過度な上昇を抑えつつ、第1領域46のうちシリンダー20の周方向で第2領域47に隣接する部分においてはシリンダー20とピストン25との間に生じる面圧が過度に低下することを抑えることができる。すなわち、シリンダー20のスラスト側全体においてピストン25との間に生じる摩擦を効果的に低減することができる。
(7)第2領域47が凹部45の形成されていない領域(Ra2=0)であることにより、第2領域47における面圧の過度な上昇をより確実に抑えることができる。
(7)第2領域47が凹部45の形成されていない領域(Ra2=0)であることにより、第2領域47における面圧の過度な上昇をより確実に抑えることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・シリンダー20は、ピストン25を上下動可能に収容するものであればよい。そのため、シリンダー20は、シリンダーブロック部11に対する機械加工により形成されたものであってもよい。また、シリンダー20は、シリンダーブロック部11に形成された孔に対してシリンダーライナーが装着されることにより形成されるものであってもよい。すなわち、シリンダーライナーが上述した周壁面構造を有していてもよい。
・シリンダー20は、ピストン25を上下動可能に収容するものであればよい。そのため、シリンダー20は、シリンダーブロック部11に対する機械加工により形成されたものであってもよい。また、シリンダー20は、シリンダーブロック部11に形成された孔に対してシリンダーライナーが装着されることにより形成されるものであってもよい。すなわち、シリンダーライナーが上述した周壁面構造を有していてもよい。
・凹部45は、一様に、かつ、規則的に配列されていればよい。そのため、凹部45の開口は、円形に限らず、楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。また、第1領域46に形成される凹部と第2領域47に形成される凹部とが互いに異なる形状の開口を有していてもよい。
・シリンダーブロック部11とシリンダーヘッド部12とは、別々の部材(シリンダーブロックとシリンダーヘッド)であってもよいし、一体的に連結されたモノブロックであってもよい。
・シリンダーの周壁面構造が適用されるエンジンは、レシプロ式のエンジンであればよく、ディーゼルエンジンであってもよいし、ガソリンエンジンやガスエンジンであってもよい。また、燃料の噴射方式も燃焼室に直接噴射する方式に限らず、たとえば吸気ポート33などに燃料を噴射する方式であってもよい。
C…中心軸、11…シリンダーブロック部、12…シリンダーヘッド部、20…シリンダー、21…周壁面、22…上壁面、25…ピストン、26…燃焼室、27…トップリング、28…セカンドリング、29…オイルリング、30…ピストンピン、31…コンロッド、33…吸気ポート、34…燃料噴射弁、35…排気ポート、36,37…下端、41…上段領域、42…中段領域、43…下段領域、45…凹部、46…第1領域、47…第2領域、50…仮想線、51…境界。
Claims (6)
- ピストンが上下動するシリンダーの周壁面構造であって、
前記シリンダーの周壁面は、
前記ピストンが対向する領域として上段領域、中段領域、および、下段領域を有し、
前記中段領域は、
規則的に配列された複数の凹部を第1面積率で有する第1領域と、
前記ピストンの下動時に前記ピストンが偏倚するスラスト側に位置し、前記シリンダーの周方向における両側と前記ピストンの下動方向側とが前記第1領域で囲まれた第2領域であって、凹部が形成されていない、若しくは、規則的に配列された複数の凹部を前記第1面積率よりも低い第2面積率で有する前記第2領域と、で構成されている
シリンダーの周壁面構造。 - 前記中段領域は、前記ピストンの上死点を基準としたクランク角度10°CA以上において前記ピストンの下端が対向する位置に、前記ピストンの下動方向側における前記第1領域と前記第2領域との境界を有する
請求項1に記載のシリンダーの周壁面構造。 - 前記中段領域は、前記ピストンの上死点を基準としたクランク角度30°CA以下において前記ピストンの下端が対向する位置に前記境界を有する
請求項2に記載のシリンダーの周壁面構造。 - 前記第2領域は、前記シリンダーの周方向において、前記ピストンのスラスト方向に沿う仮想線を二等分線とする前記シリンダーの中心軸回りの角度が30°以上の領域である
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリンダーの周壁面構造。 - 前記第2領域は、前記シリンダーの周方向において、前記仮想線を二等分線とする前記シリンダーの中心軸回りの角度が90°以下の領域である
請求項4に記載のシリンダーの周壁面構造。 - 前記第2領域が凹部の形成されていない領域である
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダーの周壁面構造。
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