JP2019120044A - L型擁壁ブロック、l型擁壁ブロック組及びコーナー部構築方法 - Google Patents

L型擁壁ブロック、l型擁壁ブロック組及びコーナー部構築方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に枢動回転させて所望の角度のコーナー部を構成することができるL型擁壁ブロック、L型擁壁ブロック組及びコーナー部構築方法を提供する。【解決手段】壁面部11と床版部12とで構成されたコンクリート製のL型擁壁におけるコーナー部L型擁壁を一対のL型擁壁ブロック10(10L,10R)で構成するL型擁壁ブロックユニットを、L型擁壁ブロック10(10L,10R)の壁面部11における側面のうち、コーナー部L型擁壁の枢動中心軸側の側面に、他方のL型擁壁ブロック10(10L,10R)と平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向Hに連結する枢動連結部20を備え、床版部12における枢動中心軸側に現場打ちコンクリートによって現場打ち床版部を構築する打設空間122を形成した。【選択図】図1

Description

例えば、壁面部と床版部とで構成するコンクリート製のL型擁壁におけるコーナー部を構成するL型擁壁ブロック、L型擁壁ブロック組及びコーナー部構築方法に関する。
従来から、例えば、造成箇所などにおいて、コンクリート製品のL型擁壁ブロックを連結してL型擁壁を連続的に構築することがあるが、コーナー部が設けられる場合、設置個所に応じた形状のコーナー用のL型擁壁ブロックを製作し、設置することがあった。しかしながら、コーナー部の角度は様々であり、設置個所ごとにL型擁壁ブロックを製作する必要があった。
そこで、特許文献1では、ふたつのL型擁壁ブロックを連結部材で角度調整可能に構成されたL型擁壁ブロックが提案されている。特許文献1で提案のL型擁壁ブロックは、複数の連結部材が隅角部に埋設されており、連結部材を塑性変形して所定の角度に調整することができるとされている。しかしながら、高さ方向に複数並んだ連結部材を、塑性変形するように精度よく曲げ変形することは困難であり、所望の曲げ角度に設置することは困難であった。
特開2010−163868号公報
そこで、この発明は、容易に枢動回転させて所望の角度のコーナー部を構成することができるL型擁壁ブロック、L型擁壁ブロック組及びコーナー部構築方法を提供することを目的とする。
この発明は、壁面部と床版部とで構成されたコンクリート製のL型擁壁のコーナー部を一対のL型擁壁ブロックで構成するL型擁壁ブロック組であって、前記L型擁壁ブロックの前記壁面部における側面のうち、前記コーナー部の隅角部側の前記側面に、他方の前記L型擁壁ブロックと平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向に連結する枢動連結部が備えられ、前記床版部における前記隅角部側に現場打ちコンクリートによって前記床版部とともに、複合床版を構成する現場打ち床版部を構築する打設空間が形成されたことを特徴とする。
またこの発明は、壁面部と床版部とで構成されたコンクリート製のL型擁壁のコーナー部を構築するコーナー部構築方法であって、前記コーナー部の隅角部の両側に配置されるL型擁壁ブロックは、前記L型擁壁ブロックの前記壁面部における側面のうち、前記コーナー部の隅角部側の前記側面に、他方の前記L型擁壁ブロックと平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向に連結する枢動連結部が備えられるとともに、前記床版部における前記隅角部側に現場打ちコンクリートによって前記床版部とともに、複合床版を構成する現場打ち床版部を構築する打設空間が形成され、前記コーナー部の隅角部の両側に配置した前記L型擁壁ブロック同士を、前記枢動連結部で所定の相対角度に調整して連結し、前記打設空間にコンクリートを打設して前記床版部とともに、複合床版を構成する現場打ち床版部を構築することを特徴とする。
またこの発明は、壁面部と床版部とで構成されたコンクリート製のL型擁壁のコーナー部を構成するL型擁壁ブロックであって、前記L型擁壁ブロックの前記壁面部における側面のうち、前記コーナー部の隅角部側の前記側面に、他方の前記L型擁壁ブロックと平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向に連結する枢動連結部が備えられ、前記床版部における前記隅角部側に現場打ちコンクリートによって前記床版部とともに、複合床版を構成する現場打ち床版部を構築する打設空間が形成されたことを特徴とする。
この発明により、容易に枢動回転させて所望の角度のコーナー部を構成することができる。
詳しくは、前記L型擁壁ブロックの前記壁面部における側面のうち、前記コーナー部の隅角部側の前記側面に、他方の前記L型擁壁ブロックと平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向に連結する枢動連結部が備えられているため、前記コーナー部の隅角部の両側に配置した前記L型擁壁ブロック同士を、前記枢動連結部で所定の相対角度に調整して連結することができる。
また、所定の相対角度に調整した前記L型擁壁ブロックにおける前記打設空間にコンクリートを打設して前記床版部とともに、複合床版を構成する現場打ち床版部を構築するため、さまざまな角度のコーナー部であっても、設置個所ごとにL型擁壁ブロックを製作することなく、前記L型擁壁ブロック同士を枢動回転させて容易に所望の角度のコーナー部を構成することができる。
また、設置個所ごとに制作したL型擁壁ブロックを設置する場合であっても、例えば、現場の施工環境や構築済みL型擁壁によっては角度が合わないおそれもあるが、前記コーナー部の隅角部の両側に配置した前記L型擁壁ブロック同士を、前記枢動連結部で所定の相対角度に調整できるため、現場に適した角度のコーナー部を構成することができる。
なお、上述のコンクリート製は、プレキャストコンクリート(PCa)製や鉄筋コンクリート製などを含むものとする。
この発明の態様として、前記壁面部と前記床版部とで構成する内角部を補強する内角補強部が形成されるとともに、前記内角部に対応する向きの内角補強鉄筋が配筋されてもよい。
上記内角補強部は、いわゆるハンチと呼ばれ、内角部に設けられた傾斜面を有する補強部や、湾曲面を有する補強部としてもよい。
上述の前記内角部に対応する向きは、例えば、前記壁面部と前記床版部とで構成するL型断面における内角部において、前記壁面部と前記床版部とで成す角の半分の角度に対して直交する向きとしてもよい。
この発明により、前記壁面部と前記床版部とで構成し、断面強度が高いL型断面を構成することができる。
詳述すると、前記壁面部と前記床版部とで構成する内角部を補強する内角補強部が形成されるとともに、前記内角部に対応する向きの内角補強鉄筋が配筋されているため、前記内角補強部が設けられていなかったり、前記内角補強鉄筋が配筋されなかった場合に比べて、断面強度が高いL型断面、つまり見かけの剛性が高いL型断面を構成することができる。
またこの発明の態様として、前記壁面部の下部から、前記打設空間に突出する鉄筋が設けられてもよい。
この発明により、強度のある鉄筋コンクリート製の現場打ち床版部を構築することができる。
またこの発明の態様として、前記打設空間が、前記壁面部の幅に対して1/3以上2/3以下の幅で設けられてもよい。
この発明により、充分に強度のある鉄筋コンクリート製の前記現場打ち床版部を構築することができる。
詳述すると、前記打設空間が前記壁面部の幅に対して1/3以下である場合、前記打設空間に構築される前記現場打ち床版部の幅が狭くなり、充分な強度を有する前記現場打ち床版部を構築することができなくなる。これに対し、前記打設空間が前記壁面部の幅に対して2/3以上である場合、前記壁面部と一体構成された床版部の幅が狭くなり、前記壁面部と一体構成された床版部の強度が低下するおそれがある。これに対し、前記打設空間が、前記壁面部の幅に対して1/3以上2/3以下の幅で設けられることで、充分な強度を有する前記現場打ち床版部を構築することができるとともに、前記壁面部と一体構成された床版部の強度低下を防止することができる。つまり、前記打設空間が、前記壁面部の幅に対して1/3以上2/3以下の幅で設けられることで、前記打設空間に構築される前記現場打ち床版部と、前記壁面部と一体構成された床版部との強度が両立したL型擁壁を構成することができる。
またこの発明の態様として、前記枢動連結部は、前記壁面部より高さが低く、少なくとも前記隅角部側が平面視円弧状となる略円柱状の枢動柱部と、他方の前記L型擁壁ブロックにおける前記枢動柱部との対向面に装着され、前記枢動柱部同士を枢動回転自在に連結する枢動連結軸とで構成されてもよい。
この発明により、よりスムーズな枢動回転によって相対角度を調整することができる。
詳しくは、平面視円弧状となる略円柱状の枢動柱部が上下方向に対向する対向面に枢動連結軸が装着されているため、枢動連結軸を枢動中心としてスムーズに枢動回転することができる。したがって、前記L型擁壁ブロック同士を所望の相対角度に調整することができる。
またこの発明の態様として、前記枢動連結軸が、前記コンクリートより低強度である低強度材で構成されてもよい。
上記低強度材は、樹脂製材料、モルタル材料、あるいは金属材料等を含む。なお、上記低強度材は素材そのものの強度が低いのみならず、素材そのものの強度は低くないが、形状や構造によって強度が低くなるもののも含まれる。
この発明により、前記L型擁壁ブロック同士の枢動回転時における回転軸が不用意にずれた場合であっても、前記コンクリートより低強度である低強度材で構成された前記枢動連結軸が変形することで、前記コンクリートに負荷が作用することを防止できる。そのため、上述のような不具合が生じても前記L型擁壁ブロックが損傷することを防止できる。
またこの発明の態様として、前記枢動柱部との対向面に形成され、前記枢動連結軸が装着される軸装着部の少なくとも一方は、前記枢動連結軸が平面視方向における所定方向に移動可能な形状であってもよい。
この発明により、前記L型擁壁ブロック同士の枢動回転時における回転軸が不用意にずれた場合であっても、前記枢動連結軸が平面視方向における所定方向に移動することで、前記コンクリートに負荷が作用することを防止できる。そのため、上述のような不具合が生じても前記L型擁壁ブロックが損傷することを防止できる。
またこの発明の態様として、前記壁面部が、高さ方向下側の壁面本体部と、該壁面本体部の上部に配置され、前記壁面本体部より厚みが薄い上部壁面部とで構成され、前記壁面本体部、及び前記上部壁面部の外面が面一であってもよい。
この発明により、設置・埋戻し後の供用状態において露出する外面が面一となるため、景観性に優れたコーナー部を構成することができる。
さらに、前記壁面本体部及び前記上部壁面部の外面が面一となるため、前記L型擁壁ブロック同士がいずれの相対角度であっても、コーナー部の頂部が変化することがなく、景観性に優れたコーナー部を構成することができる。
また、該壁面本体部の上部に配置された上部壁面部は、前記壁面本体部より厚みが薄いため、容易に上部壁面部を所定高さに加工し、所望の擁壁高さに構成することができる。
またこの発明の態様として、前記壁面本体部における前記隅角部側の前記側面における内側に、角度調整するための控え空間が設けられてもよい。
この発明により、前記壁面本体部及び前記上部壁面部の外面が面一である、つまり枢動中心から前記壁面本体部の内面までの間隔が広がるが、前記壁面本体部における前記隅角部側の前記側面における内側に、角度調整するための控え空間が設けられているため、前記壁面本体部における前記隅角部側の前記側面における内側が支障することなく、前記L型擁壁ブロック同士を枢動回転させて容易に所望の角度のコーナー部を構成することができる。
またこの発明の態様として、前記壁面部の外面が、内側に傾斜する傾斜外面で構成されてもよい。
この発明により、埋戻し圧によってL型擁壁ブロックが外側に変形したり、傾倒した場合であっても、内側に傾斜する傾斜外面が外側に傾斜することがなく、安定性の高い擁壁を構成することができる。
またこの発明は、所定の角度で配置された上述のL型擁壁ブロック組と、該L型擁壁ブロック組における前記打設空間に打設されたコンクリートによって構築された現場打ち床版部とで構成されるとともに、前記現場打ち床版部と前記床版部とで複合床版が構成されたコーナー部L型擁壁であることを特徴とする。
この発明により、コーナー部の所定角度に応じた角度に調整されたL型擁壁を構築することができる。
またこの発明の態様として、前記壁面部と前記現場打ち床版部とで構成するL型断面における断面強度に対して、前記壁面部と前記床版部とで構成するL型断面における断面強度が高強度であってもよい。
この発明により、堅牢なコーナー部L型擁壁を構築することができる。
詳述すると、前記壁面部と前記現場打ち床版部とで構成するL型断面における断面強度に対して、前記壁面部と前記床版部とで構成するL型断面における断面強度が高強度であるため、コーナー部L型擁壁に硫黄力が作用した際に弱点になり易い打ち継ぎ目が存在する前記壁面部と前記現場打ち床版部とで構成するL型断面よりも、断面強度が高強度である前記壁面部と前記床版部とで構成するL型断面に、負荷が荷重分配されて作用するため、堅牢なコーナー部L型擁壁を構築することができる。
この発明によれば、容易に枢動回転させて所望の角度のコーナー部を構成することができるL型擁壁ブロック、L型擁壁ブロック組及びコーナー部構築方法を提供することができる。
連結前のL型擁壁ブロックユニットの内側上方からの斜視図。 連結状態のL型擁壁ブロックユニットの外側上方からの斜視図。 L型擁壁ブロックユニットの平面図による説明図。 L型擁壁ブロックの側面図による説明図。 枢動連結軸の斜視図。 L型擁壁のコーナー部の内側上方からの斜視図。 L型擁壁のコーナー部の斜視図による構築方法の説明図。 L型擁壁のコーナー部の斜視図による構築方法の説明図。 L型擁壁のコーナー部の斜視図による構築方法の説明図。
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
まず、L型擁壁Rにおけるコーナー部L型擁壁Rcを構築するためのL型擁壁ブロックユニット1及びL型擁壁ブロックユニット1を構成するL型擁壁ブロック10について、図1乃至図9とともに説明する。
なお、図1は連結前のL型擁壁ブロックユニット1の内側上方からの斜視図を示し、図2は連結状態のL型擁壁ブロックユニット1の外側上方からの斜視図を示し、図3はL型擁壁ブロックユニット1の平面図による説明図を示し、図4はL型擁壁ブロック10の側面図による説明図を示し、図5は枢動連結軸23の斜視図を示し、図6はL型擁壁Rにおけるコーナー部L型擁壁Rcの内側上方からの斜視図を示し、図7乃至図9はL型擁壁Rにおけるコーナー部L型擁壁Rcの斜視図による構築方法の説明図を示している。
詳述すると、図3(a)は左側L型擁壁ブロック10Lの平面図を示し、図3(b)は右側L型擁壁ブロック10Rの平面図を示し、図3(c)は左側L型擁壁ブロック10Lと右側L型擁壁ブロック10Rとを直角に連結したL型擁壁ブロックユニット1の平面図を示し、図3(d)は左側L型擁壁ブロック10Lと右側L型擁壁ブロック10Rとを鈍角に連結したL型擁壁ブロックユニット1の平面図を示している。
図4(a)は左側L型擁壁ブロック10Lの右側面図を示し、図4(b)は右側L型擁壁ブロック10Rの左側面図を示している。
図7(a)は一般L型擁壁ブロック30を据え付ける一般L型擁壁ブロック据付工程の概略斜視図を示し、図7(b)は据え付けた一般L型擁壁ブロック30に対して左側L型擁壁ブロック10Lを据え付けるコーナー部ブロック据付工程の概略斜視図を示し、図8(a)は一般L型擁壁ブロック30に対して左側L型擁壁ブロック10Lが据え付けられた状態の概略斜視図を示し、図8(b)は据え付けた左側L型擁壁ブロック10Lに対して右側L型擁壁ブロック10Rを連結して据え付けるコーナー部ブロック連結工程の概略斜視図を示し、図9(a)は左側L型擁壁ブロック10Lに対して右側L型擁壁ブロック10Rが連結して据え付けられた状態の概略斜視図を示し、図9(b)は据え付けた右側L型擁壁ブロック10Rに対して一般L型擁壁ブロック30を据え付ける一般L型擁壁ブロック据付工程の概略斜視図を示している。
コンクリート製のL型擁壁Rにおけるコーナー部をなすコーナー部L型擁壁Rcを構成するL型擁壁ブロック10は、左右一対構成され、枢動中心軸CLの両側に配置され、枢動中心軸CLを中心として枢動回転可能に、組み付けてL型擁壁ブロックユニット1を構成することができる。
なお、枢動中心軸CLの両側に配置されたL型擁壁ブロック10は、左右略対称形状であり、L型擁壁ブロックユニット1の擁壁内側IN(コーナー部L型擁壁Rcの内角側)から視て枢動中心軸CLの左側を左側L型擁壁ブロック10Lとし、枢動中心軸CLの右側を右側L型擁壁ブロック10Rとしている。
そして、上述したように、左側L型擁壁ブロック10Lと右側L型擁壁ブロック10Rとは左右略対称形状であるため、以下において、左側L型擁壁ブロック10Lについて説明する。また、L型擁壁ブロック10について、供用時に埋戻しする擁壁内側INから視た方向を正面とし、擁壁外側OUTから視る方向を背面としている。
左側L型擁壁ブロック10Lは、壁面部11と床版部12とで構成された断面L型であり、幅方向Wより高さ方向Hが高い正面視方形状のプレキャストコンクリート(PCa)製であり、枢動中心軸CL側に下側枢動円柱部21を備えている。
また、壁面部11と床版部12との内角部には傾斜湾曲面を有する内角補強部16が設けられ、壁面部11と床版部12とで構成された断面L型の左側L型擁壁ブロック10Lの内部における角部には、図1において破線で示すように、内角補強部16に対応する向きの内角部補強鉄筋17が配筋されている。
なお、本実施例においてL型擁壁ブロック10は、枢動中心軸CLから離れた側を幅方向W外側とする。つまり、左側L型擁壁ブロック10Lにおいて正面視左側を幅方向W外側とし、右側L型擁壁ブロック10Rにおいて正面視右側を幅方向W外側とする。
また、L型擁壁ブロック10において、枢動中心軸CLから離れた側を幅方向W外側とする。つまり、左側L型擁壁ブロック10Lにおいて正面視左側を幅方向W外側とし、右側L型擁壁ブロック10Rにおいて正面視右側を幅方向W外側とする。なお、
壁面部11は、高さ方向Hにおける下側2/3程度を壁面本体部111と、壁面本体部111の上部に配置された上部壁面部112とで一体構成している。上部壁面部112は、切断することで左側L型擁壁ブロック10Lの高さを所望の高さに調整できるように、壁面本体部111より厚みが薄く構成されている。なお、本実施形態では、上部壁面部112は壁面本体部111の1/3程度の厚さで構成されている。
また、壁面本体部111と、厚みは薄い上部壁面部112とは、壁面部11の外面11aが面一となるように構成されている。
外面11aは、図4に示すように、L型擁壁ブロック10におけるL型擁壁ブロックユニット1の擁壁外側OUT、つまりコーナー部L型擁壁Rcの外角側の面であり、外面11aは、上方に向かって擁壁内側INに傾斜する傾斜外面で形成している。なお、本実施形態では、外面11aは、上方が擁壁内側INに向かって1/200の勾配で傾斜している。
また、壁面本体部111の左側上部には、後述する一般L型擁壁ブロック30と連結金具40で連結する連結凹部113が設けられ、壁面本体部111の右側には、右側L型擁壁ブロック10Rと枢動角度を調整するための控え空間114が設けられている。なお、連結凹部113は、高さ調整のために上部壁面部112を低く切断した壁面部11と一般L型擁壁ブロック30とを連結金具40で連結する際に用いられる。
床版部12は、壁面部11の正面視左側、つまり幅方向Wにおいて枢動中心軸CLから離れた側において壁面部11の幅に対して1/3以上2/3以下の幅である半分程度の幅で設けられている。また、床版部12は、壁面本体部111の厚みの倍程度の厚みで構成されている。
また、床版部12の擁壁内側INの内側側面121は多段状に構成されている。詳しくは、床版部12の内側側面121は、厚み方向の下部内側側面121aが上部内側側面121bより前方(擁壁内側IN)に突出する階段状に構成している。
また、内側側面121の下部内側側面121aと上部内側側面121bのそれぞれから、擁壁内側INに向かって突出するように、そして、幅方向Wに所定間隔を隔てて突出鉄筋14が植設されている。
壁面部11の正面視右側、つまり幅方向Wにおいて枢動中心軸CLに近い側において壁面部11の半分程度の幅の現場打ちコンクリートによって床版部12の一部である現場打ち床版部12Xを構築する打設空間122が形成されている。
なお、打設空間122が形成される壁面部11の内面11bから、擁壁内側INに向かって突出するように、そして、幅方向Wに所定間隔を隔てて突出鉄筋14が植設されている。
下側枢動円柱部21は、壁面部11の枢動中心軸CL側(右側)の側面の下部に設けられた柱体であり、壁面部11を構成する壁面本体部111の高さの半分程度の高さで形成されている。なお、下側枢動円柱部21は、左側L型擁壁ブロック10Lにのみ設けられており、右側L型擁壁ブロック10Rに設けられた上側枢動円柱部22と、後述する枢動連結軸23とで枢動連結部20を構成することとなる。
詳述すると、下側枢動円柱部21は、壁面部11の枢動中心軸CL側の側面の下部に対して、平面視幅方向W外側が略円弧状となる円弧側面を有する、幅方向W外側に突な平面視釣鐘状に形成されており、枢動中心軸CLに通る箇所の上面21aに、後述する枢動連結軸23を装着する下側装着凹部211を備えている。なお、下側装着凹部211は、後述する枢動連結軸23の下部形状に応じた下向きに突な円錐台形状の空間である。
なお、図4(a)に示すように、擁壁内側INに向かって傾斜する傾斜外面で構成された外面11aに対し、下側枢動円柱部21は、高さ方向Hに断面が変化しない垂直な柱状体であり、下方では奥行方向厚さが壁面本体部111より薄く、上面21a付近で壁面本体部111と同じ厚みとなる。
このように構成した左側L型擁壁ブロック10Lに対して右側L型擁壁ブロック10Rは、上述したように、下側枢動円柱部21を除いて左右略対称形状であり、その構成の詳細な説明は省略する。
右側L型擁壁ブロック10Rにおいて、左右略対称でない、つまり下側枢動円柱部21とは異なる上側枢動円柱部22について説明する。
上側枢動円柱部22は、壁面部11の枢動中心軸CL側(左側)の側面の上部に設けられた柱体であり、詳しくは、壁面部11を構成する上部壁面部112の上端から、壁面本体部111の上側における高さの半分程度までにわたって形成されている。
したがって、左側L型擁壁ブロック10Lの壁面部11の側面の下部において壁面本体部111の高さの半分程度の高さで形成された下側枢動円柱部21と、右側L型擁壁ブロック10Rにおける上部壁面部112の上端から、壁面本体部111の上側における高さの半分程度までにわたって形成された上側枢動円柱部22とが、後述するように、枢動連結軸23によって高さ方向に連結されることで、壁面部11の高さと同程度となる。
詳述すると、上側枢動円柱部22は、壁面部11の枢動中心軸CL側の側面の上部に対して、平面視幅方向W外側が略円弧状となる円弧側面を有する、幅方向W外側に突な平面視釣鐘状に形成されており、枢動中心軸CLに通る箇所の底面22aに、後述する枢動連結軸23を装着する上側装着凹部221を備えている。なお、上側装着凹部221は、厚み方向(内外方向)に長い底面視小判型の上向きに突な錐台形状の空間である。
なお、図4(b)に示すように、擁壁内側INに向かって傾斜する傾斜外面で構成された外面11aに対し、上側枢動円柱部22は、高さ方向Hに断面が変化しない柱状体であり、奥行方向厚さが底面22a付近で壁面本体部111と同じ厚みであり、上方に向かって壁面部11より厚くなる。
また、上述のような構成のL型擁壁ブロック10における壁面部11の壁面本体部111の上面に吊り金具(図示省略)を取り付ける金具取付部15を設けている。
このように構成された左側L型擁壁ブロック10Lの下側枢動円柱部21の上面21aに形成された下側装着凹部211と、右側L型擁壁ブロック10Rの上側枢動円柱部22の底面22aに形成された上側装着凹部221とを高さ方向Hに跨いで装着される枢動連結軸23は、図5に示すように、上向きに突な円錐台形状の上部装着部231と、下向きに突な円錐台形状の下部装着部232と、上部装着部231と下部装着部232との間に配置された円柱状の円柱状部233とで構成されている。
このように構成された枢動連結軸23は、下側枢動円柱部21や上側枢動円柱部22を構成するコンクリートより低強度である低強度材で構成されている。なお、本実施形態では、枢動連結軸23は、コンクリートより低強度である樹脂製材料で構成しているが、コンクリートより低強度であればモルタル材料等を構成してもよい。なお、枢動連結軸23は、素材そのものの強度はコンクリートより低くなくても、中空形状などの形状や構造によって、下側装着凹部211や上側装着凹部221を構成するコンクリートの強度より低くなる素材で構成してもよい。
また、上部装着部231の上端から高さ方向中央付近までと、下部装着部232の下端から高さ方向中央付近まで平面視一文字状に切り込まれ、変形性を向上させる変形スリット234(234a,234b)が設けられている。
なお、上部装着部231に設けられた変形スリット234aと、下部装着部232に設けられた変形スリット234bとは、平面視方向において直交する向きで形成されている。
このように構成されたL型擁壁ブロック10は、後述する現場打ち床版部12Xを構成するためのコンクリートの呼び強度(24N/mm)より高強度である、
呼び強度が36N/mmのコンクリートで構成されている。
また、上述のように構成されたL型擁壁ブロック10(10L,10R)と、枢動連結軸23とでL型擁壁ブロックユニット1を構成することができる。
詳述すると、左側L型擁壁ブロック10Lの下側枢動円柱部21の上面21aに形成した下側装着凹部211に、枢動連結軸23の下部装着部232を装着し、右側L型擁壁ブロック10Rの上側枢動円柱部22の底面22aに形成した上側装着凹部221に、枢動連結軸23の上部装着部231を装着することで、左側L型擁壁ブロック10Lと右側L型擁壁ブロック10Rとは、枢動連結軸23を枢動中心軸CLとした枢動回転可能に連結してL型擁壁ブロックユニット1を構成することができる。
なお、装着凹部211,221に、枢動連結軸23の装着部232,231を装着する際、変形スリット234によって装着部232,231が変形するため、容易に装着することができ、変形スリット234によって変形した装着部232,231が自己の弾性力で復元することで、容易に抜け出ることを防止できる。
なお、このように、枢動連結軸23を枢動中心軸CLとして組み付けて連結したL型擁壁ブロックユニット1において、下側枢動円柱部21、上側枢動円柱部22及び枢動連結軸23により枢動連結部20を構成することができる。
また、左側L型擁壁ブロック10Lと右側L型擁壁ブロック10Rとを連結して構成するL型擁壁ブロックユニット1を用い、L型擁壁ブロックユニット1の擁壁内側INにおいて、左側の左側L型擁壁ブロック10Lの床版部12と打設空間122、及び右側の右側L型擁壁ブロック10Rの床版部12と打設空間122とで囲まれる打設範囲Xにコンクリートを打設して現場打ち床版部12Xを構築して、床版部12と現場打ち床版部12Xで複合床版12Yを構成するとともに、図6に示すように、L型擁壁ブロック10のそれぞれに一般L型擁壁ブロック30を連結することでL型擁壁Rにおけるコーナー部L型擁壁Rcを構成することができる。
続いて、L型擁壁ブロックユニット1を用いたL型擁壁Rにおけるコーナー部L型擁壁Rcの構築工法について、図6乃至図9とともに説明する。
まず、図7(a)に示すように、整地後に高さ調整した基礎コンクリート200上に、左側L型擁壁ブロック10Lに連結する一般L型擁壁ブロック30を据え付ける(一般L型擁壁ブロック据付工程)。なお、一般L型擁壁ブロック30は、壁面部31と床版部32とでL型に構成されている。また、既に据え付けられた一般L型擁壁ブロック30に対して一般L型擁壁ブロック30を据え付けて連結してもよい。
次に、図7(b)に示すように、据え付けた一般L型擁壁ブロック30に対して、金具取付部15に取り付けた吊り金具(図示省略)で吊り上げて左側L型擁壁ブロック10Lを据え付け(コーナー部ブロック据付工程)、図8(a)に図示するように、一般L型擁壁ブロック30と据え付けた左側L型擁壁ブロック10Lとを連結金具40で連結する。
具体的には、一般L型擁壁ブロック30の壁面部31と、左側L型擁壁ブロック10Lの上部壁面部112の幅方向W外側とを跨ぐように配置した連結金具40で連結する。またこのとき、図8(b)に示すように、左側L型擁壁ブロック10Lの金具取付部15と基礎コンクリート200とをレバーブロック(登録商標)210等で連結して擁壁外側OUTへの転倒を防止する。
このように、レバーブロック(登録商標)210等で転倒防止した左側L型擁壁ブロック10Lに対し、金具取付部15に取り付けた吊り金具(図示省略)で吊り上げて右側L型擁壁ブロック10Rを連結して据え付ける(コーナー部ブロック連結工程)。
具体的には、図5に示すように、左側L型擁壁ブロック10Lの下側枢動円柱部21の下側装着凹部211に枢動連結軸23の下部装着部232を圧入するとともに、枢動中心軸CLに対して所定の相対角度に向けた右側L型擁壁ブロック10Rの上側枢動円柱部22の上側装着凹部221に枢動連結軸23の上部装着部231を圧入するようにして、図9(a)に示すように、右側L型擁壁ブロック10Rを据え付け、枢動連結軸23を介して左側L型擁壁ブロック10Lと右側L型擁壁ブロック10Rとを連結する。
なお、右側L型擁壁ブロック10Rを連結・据え付けてから、枢動連結軸23を枢動中心軸CLとして枢動回転させて、左側L型擁壁ブロック10Lに対して右側L型擁壁ブロック10Rを所定の相対回転に配置してもよい。
そして、図9(b)に示すように、左側L型擁壁ブロック10Lに対して所定の相対角度で連結・据え付けた右側L型擁壁ブロック10Rの幅方向W外側に一般L型擁壁ブロック30を据え付けるとともに、右側L型擁壁ブロック10Rと一般L型擁壁ブロック30とを連結金具40で連結する。
右側L型擁壁ブロック10Rの幅方向W外側に一般L型擁壁ブロック30を据え付けた後を連結して構成するL型擁壁ブロックユニット1を用い、L型擁壁ブロックユニット1の擁壁内側INにおいて、左側の左側L型擁壁ブロック10Lの床版部12と打設空間122、右側の右側L型擁壁ブロック10Rの床版部12と打設空間122、左側L型擁壁ブロック10Lの幅方向W外側の一般L型擁壁ブロック30、及び右側L型擁壁ブロック10Rの幅方向W外側の一般L型擁壁ブロック30、で囲まれる打設範囲Xにコンクリートを打設して現場打ち床版部12Xを構築することでコーナー部L型擁壁Rcの構築を完了する(図6参照)。上述したように、本実施例においては、呼び強度が24N/mmであるコンクリートを打設して、現場打ち床版部12Xを構築している。
上述のように、壁面部11と床版部12とで構成されたコンクリート製のL型擁壁Rにおけるコーナー部L型擁壁Rcを構成する左側L型擁壁ブロック10Lの壁面部11における側面のうち、コーナー部L型擁壁Rcの枢動中心軸CL側の側面に、他方のL型擁壁ブロック10と平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向Hに連結する枢動連結部20が備えられ、床版部12における枢動中心軸CL側に現場打ちコンクリートによって現場打ち床版部12Xを構築する打設空間122が形成されたL型擁壁ブロック10(10L,10R)、あるいは左側L型擁壁ブロック10L及び右側L型擁壁ブロック10Rで構成するL型擁壁ブロックユニット1、そしてL型擁壁Rにおけるコーナー部L型擁壁Rcを構築するコーナー部構築方法は、コーナー部L型擁壁Rcの隅角部の両側に配置したL型擁壁ブロック10(10L,10R)同士を、枢動連結部20で所定の相対角度に調整して連結し、打設空間122にコンクリートを打設して、床版部12を構成する現場打ち床版部12Xを構築することにより、容易に枢動回転させて所望の角度のコーナー部L型擁壁Rcを構成することができる。
詳しくは、左側L型擁壁ブロック10L(右側L型擁壁ブロック10R)の壁面部11における側面のうち、コーナー部L型擁壁Rcの枢動中心軸CL側の側面に、右側L型擁壁ブロック10R(左側L型擁壁ブロック10L)と平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向Hに連結する枢動連結部20が備えられているため、コーナー部L型擁壁Rcの隅角部の両側に配置したL型擁壁ブロック10(10L,10R)同士を、枢動連結部20で所定の相対角度に調整して連結することができる。
また、所定の相対角度に調整したL型擁壁ブロック10(10L,10R)における打設空間122にコンクリートを打設して現場打ち床版部12Xを構築するため、L型擁壁ブロック10(10L,10R)同士を枢動回転させて容易に所望の角度のコーナー部L型擁壁Rcを構成することができる。
また、壁面部11と床版部12とで構成する内角部を補強する内角補強部16が形成されるとともに、内角部に対応する向きの内角部補強鉄筋17が配筋されているため、壁面部11と床版部12とで構成し、断面強度が高いL型断面を構成することができる。
詳述すると、壁面部11の内面11bと床版部12の上面とで構成する内角部を補強する内角補強部16が形成されるとともに、内角部に対応する向きの内角部補強鉄筋17が配筋されているため、内角補強部16が設けられていなかったり、内角部補強鉄筋17が配筋されなかった場合に比べて、断面強度が高いL型断面、つまり見かけの剛性が高いL型断面を構成することができる。
また、打設空間122が、壁面部11の幅に対して1/3以上2/3以下の幅である1/2程度で設けられているため、充分に強度のある鉄筋コンクリート製の現場打ち床版部12Xを構築することができる。
詳述すると、打設空間122が壁面部11の幅に対して1/3以下である場合、打設空間122に構築される現場打ち床版部12Xの幅が狭くなり、充分な強度を有する現場打ち床版部12Xを構築することができなくなる。これに対し、打設空間122が壁面部11の幅に対して2/3以上である場合、壁面部11と一体構成された床版部12の幅が狭くなり、壁面部11と一体構成された床版部12の強度が低下するおそれがある。これに対し、打設空間122が、壁面部11の幅に対して1/3以上2/3以下の幅で設けられることで、充分な強度を有する現場打ち床版部12Xを構築することができるとともに、壁面部11と一体構成された床版部12の強度低下を防止することができる。つまり、打設空間122が、壁面部11の幅に対して1/3以上2/3以下の幅で設けられることで、打設空間122に構築される現場打ち床版部12Xと、壁面部11と一体構成された床版部12との強度が両立したL型擁壁ブロック10を構成することができる。
また、壁面部11の内面11bの下部から、打設空間122に突出する突出鉄筋14を設けているため、強度のある鉄筋コンクリート製の現場打ち床版部12Xを構築することができる。
また、枢動連結部20を、左側L型擁壁ブロック10Lにおいて壁面部11より高さが低く、少なくとも枢動中心軸CL側が平面視円弧状となる略円柱状の下側枢動円柱部21と、右側L型擁壁ブロック10Rにおいて壁面部11より高さが低く、少なくとも枢動中心軸CL側が平面視円弧状となる略円柱状の上側枢動円柱部22と、下側枢動円柱部21の上面21aに形成された下側装着凹部211と右側L型擁壁ブロック10Rの上側枢動円柱部22の底面22aに形成された上側装着凹部221とに装着され、枢動円柱部21,22同士を枢動回転自在に連結する枢動連結軸23とで構成しているため、よりスムーズな枢動回転によって相対角度を調整することができる。
詳しくは、平面視円弧状となる略円柱状の枢動円柱部21,22が上下方向に対向する対向面(21a,22a)に設けられた装着凹部211,221に枢動連結軸23が装着されているため、枢動連結軸23を枢動中心としてスムーズに枢動回転することができる。したがって、L型擁壁ブロック10(10L,10R)同士を所望の相対角度に調整することができる。
また、枢動連結軸23を、コンクリートより低強度である低強度材である樹脂製材料で構成しているため、L型擁壁ブロック10(10L,10R)同士の枢動回転時における枢動中心軸CLが不用意にずれた場合であっても、コンクリートより低強度である樹脂製材料で構成された枢動連結軸23が変形や損傷することで、コンクリートに負荷が作用することを防止できる。そのため、上述のような不具合が生じてもL型擁壁ブロック10(10L,10R)が損傷することを防止できる。
また、下側枢動円柱部21の上面21aに形成された下側装着凹部211と対向する,上側枢動円柱部22の底面22aに形成し、枢動連結軸23が装着される上側装着凹部221を、枢動連結軸23が平面視方向における所定方向に移動可能な略小判型の錐台形状で形成しているため、L型擁壁ブロック10(10L,10R)同士の枢動回転時における回転軸が不用意にずれた場合であっても、枢動連結軸23が平面視方向における所定方向に移動することで、コンクリートや枢動連結軸23に負荷が作用することを防止できる。そのため、上述のような不具合が生じてもL型擁壁ブロック10(10L,10R)や枢動連結軸23が損傷することを防止できる。
なお、上述のように、コンクリートより低強度である樹脂製材料で構成され、変形や損傷することで、コンクリートに負荷が作用することを防止できる枢動連結軸23でL型擁壁ブロック10(10L,10R)を連結しているため、L型擁壁ブロック10(10L,10R)における壁面部11同士は構造的に別体であり、左側L型擁壁ブロック10Lの壁面部11と、右側L型擁壁ブロック10Rの壁面部11に作用する負荷が相互に影響を及ぼすことを防止することができる。
また、壁面部11を、高さ方向下側の壁面本体部111と、壁面本体部111の上部に配置され、壁面本体部111より厚みが薄い上部壁面部112とで構成し、壁面本体部111、及び上部壁面部112の外面11aを面一に形成しているため、設置・埋戻し後の供用状態において露出する外面11aが面一となるため、景観性に優れたコーナー部L型擁壁Rcを構成することができる。
さらに、壁面本体部111及び上部壁面部112の外面11aが面一となるため、L型擁壁ブロック10(10L,10R)同士がいずれの相対角度であっても、コーナー部L型擁壁Rcの頂部が変化することがなく、景観性に優れたコーナー部L型擁壁Rcを構成することができる。
また、壁面本体部111の上部に配置された上部壁面部112は、壁面本体部111より厚みが薄いため、容易に上部壁面部112を所定高さに加工し、所望の擁壁高さに調整することができる。
なお、枢動連結部20において枢動連結軸23を枢動中心軸CLとして枢動回転する対向面(21a,22a)が、壁面本体部111の高さの半分程度の高さ方向Hの位置に設けられているため、上部壁面部112が所望の高さに切断された場合であっても、枢動回転する対向面(21a,22a)が壁面部11の高さに対して半分程度の位置より上方となることを防止でき、枢動回転する対向面(21a,22a)が上方に位置することで枢動回転が不安定になることを防止し、安定した枢動回転を実現することができる。
また、壁面本体部111における枢動中心軸CL側の側面における擁壁内側INに、角度調整するための連結凹部113を設けているため、壁面本体部111及び上部壁面部112の外面11aが面一となる、つまり枢動中心軸CLから壁面本体部111の内面までの間隔が広がるが、壁面本体部111における枢動中心軸CL側の側面における内側に、角度調整するための連結凹部113が設けられているため、壁面本体部111における枢動中心軸CL側の側面における内側が支障することなく、L型擁壁ブロック10(10L,10R)同士を枢動回転させて容易に所望の角度のコーナー部L型擁壁Rcを構成することができる。
また、壁面部11の外面11aを、擁壁内側INに傾斜する傾斜外面で構成しているため、埋戻し圧によってL型擁壁ブロック10(10L,10R)が擁壁外側OUTに変形したり、傾倒した場合であっても、内側に傾斜する外面11aが擁壁外側OUTに傾斜することがなく、安定性の高い擁壁を構成することができる。
さらにまた、所定の角度で配置された上述のL型擁壁ブロックユニット1と、L型擁壁ブロックユニット1における打設空間122に打設されたコンクリートによって構築された現場打ち床版部12Xとで構成されるとともに、現場打ち床版部12Xと床版部12とで複合床版12Yが構成されているため、コーナー部の所定角度に応じた角度に調整されたコーナー部L型擁壁Rcを構築することができる。
また、壁面部11と現場打ち床版部12Xとで構成するL型断面における断面強度に対して、壁面部11と床版部12とで構成するL型断面における断面強度が高強度であるため、堅牢なコーナー部L型擁壁Rcを構築することができる。
詳述すると、壁面部11と現場打ち床版部12Xとで構成するL型断面における断面強度に対して、PCa製であるL型擁壁ブロック10において一体で構成された壁面部11と床版部12とで構成するL型断面における断面強度が高強度であるため、コーナー部L型擁壁Rcに硫黄力が作用した際に弱点になり易い打ち継ぎ目が存在する壁面部11と現場打ち床版部12Xとで構成するL型断面よりも、断面強度が高強度である壁面部11と床版部12とで構成するL型断面に、負荷が荷重分配されて作用するため、堅牢なコーナー部L型擁壁Rcを構築することができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、L型擁壁はL型擁壁Rに対応し、
コーナー部はコーナー部L型擁壁Rcに対応し、
以下同様に、
L型擁壁ブロックはL型擁壁ブロック10,左側L型擁壁ブロック10L,右側L型擁壁ブロック10Rに対応し、
L型擁壁ブロック組はL型擁壁ブロックユニット1に対応し、
壁面部は壁面部11に対応し、
枢動連結部は枢動連結部20に対応し、
床版部は床版部12に対応し、
床版部の一部は現場打ち床版部12Xに対応し、
打設空間は打設空間122に対応し、
鉄筋は突出鉄筋14に対応し、
隅角部側は枢動中心軸CL側に対応し、
枢動柱部は枢動円柱部21,22に対応し、
枢動連結軸は枢動連結軸23に対応し、
軸装着部は下側装着凹部211,上側装着凹部221に対応し、
壁面本体部は壁面本体部111に対応し、
上部壁面部は上部壁面部112に対応し、
外面は外面11aに対応し、
控え空間は連結凹部113に対応し、
床版部の内側の側面は内側側面121に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
また、上述の説明では、下側装着凹部211を平面視下向きに突な円錐台形状に形成し、上側装着凹部221を上向きに突な底面視小判型の錐台状に形成したが、下側装着凹部211を平面視下向きに突な底面視小判型の錐台状に形成し、上側装着凹部221を上向きに突な円錐台形状に形成してもよい。
さらには、上向きに突な底面視小判型の錐台状に形成した上側装着凹部221に加えて、下側装着凹部211を平面視下向きに突な底面視小判型の錐台状に形成してもよい。この場合、小判型に形成した上側装着凹部221と下側装着凹部211の長軸方向を平面視方向において直交するように構成すればよい。
例えば、上述のL型擁壁ブロック10はプレキャストコンクリート(PCa)製であるが、鉄筋コンクリート製であってもよい。
また、枢動連結軸23の上部装着部231と下部装着部232とに変形性を向上させる変形スリット234(234a,234b)を設けたが設けなくてもよいし、上部装着部231の変形スリット234aと、下部装着部232の変形スリット234bとうち一方だけを設けてもよい。
また、下側枢動円柱部21及び上側枢動円柱部22を外面11aと面一となるように錐台状に形成してもよい。この場合、他方のL型擁壁ブロック10における対応箇所を水台状の空間を形成することで、錐台状に形成した下側枢動円柱部21及び上側枢動円柱部22が枢動回転に支障することを防止することができる。
さらにまた、壁面部11と床版部12との内角部には傾斜湾曲面を有する内角補強部16を設け、壁面部11と床版部12とで構成された断面L型の左側L型擁壁ブロック10Lの内部における角部に、内角補強部16に対応する向きの内角部補強鉄筋17を配筋したが、内角補強部16の代わりに、いわゆるハンチと呼ばれる傾斜面を有する補強部を構成してもよいし、内角部補強鉄筋17の代わりにハンチ筋と呼ばれる鉄筋を配筋してもよい。
1…L型擁壁ブロックユニット
10…L型擁壁ブロック
10L…左側L型擁壁ブロック
10R…右側L型擁壁ブロック
11…壁面部
11a…外面
12…床版部
12X…現場打ち床版部
12Y…複合床版
14…突出鉄筋
16…内角補強部
17…内角部補強鉄筋
20…枢動連結部
21…下側枢動円柱部
22…上側枢動円柱部
23…枢動連結軸
111…壁面本体部
112…上部壁面部
113…連結凹部
121…内側側面
122…打設空間
211…下側装着凹部
222…上側装着凹部
CL…枢動中心軸
R…L型擁壁
Rc…コーナー部L型擁壁

Claims (15)

  1. 壁面部と床版部とで構成されたコンクリート製のL型擁壁のコーナー部を一対のL型擁壁ブロックで構成するL型擁壁ブロック組であって、
    前記L型擁壁ブロックの前記壁面部における側面のうち、前記コーナー部の隅角部側の前記側面に、他方の前記L型擁壁ブロックと平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向に連結する枢動連結部が備えられ、
    前記床版部における前記隅角部側に現場打ちコンクリートによって前記床版部とともに、複合床版を構成する現場打ち床版部を構築する打設空間が形成された
    L型擁壁ブロック組。
  2. 前記壁面部と前記床版部とで構成する内角部を補強する内角補強部が形成されるとともに、
    前記内角部に対応する向きの内角補強鉄筋が配筋された
    請求項1に記載のL型擁壁ブロック組。
  3. 前記壁面部の下部から、前記打設空間に突出する鉄筋が設けられた
    請求項1または2に記載のL型擁壁ブロック組。
  4. 前記打設空間が、前記壁面部の幅に対して1/3以上2/3以下の幅で設けられた
    請求項1乃至3のうちいずれかに記載のL型擁壁ブロック組。
  5. 前記枢動連結部は、
    前記壁面部より高さが低く、少なくとも前記隅角部側が平面視円弧状となる略円柱状の枢動柱部と、
    他方の前記L型擁壁ブロックにおける前記枢動柱部との対向面に装着され、前記枢動柱部同士を枢動回転自在に連結する枢動連結軸とで構成された
    請求項1乃至4のうちいずれかに記載のL型擁壁ブロック組。
  6. 前記枢動連結軸が、前記コンクリートより低強度である低強度材で構成された
    請求項5に記載のL型擁壁ブロック組。
  7. 前記枢動柱部との対向面に形成され、前記枢動連結軸が装着される軸装着部の少なくとも一方は、前記枢動連結軸が平面視方向における所定方向に移動可能な形状である
    請求項5又は6に記載のL型擁壁ブロック組。
  8. 前記壁面部が、高さ方向下側の壁面本体部と、
    該壁面本体部の上部に配置され、前記壁面本体部より厚みが薄い上部壁面部とで構成され、
    前記壁面本体部、及び前記上部壁面部の外面が面一である
    請求項1乃至7のうちいずれかに記載のL型擁壁ブロック組。
  9. 前記壁面本体部における前記隅角部側の前記側面における内側に、角度調整するための控え空間が設けられた
    請求項8に記載のL型擁壁ブロック組。
  10. 前記壁面部の外面が、内側に傾斜する傾斜外面で構成された
    請求項1乃至9のうちいずれかに記載のL型擁壁ブロック組。
  11. 前記床版部の内側の側面が多段状である
    請求項1乃至10のうちいずれかに記載のL型擁壁ブロック組。
  12. 所定の角度で配置された、請求項1乃至11のうちいずれかに記載のL型擁壁ブロック組と、該L型擁壁ブロック組における前記打設空間に打設されたコンクリートによって構築された現場打ち床版部とで構成されるとともに、
    前記現場打ち床版部と前記床版部とで複合床版が構成された
    コーナー部L型擁壁。
  13. 前記壁面部と前記現場打ち床版部とで構成するL型断面における断面強度に対して、前記壁面部と前記床版部とで構成するL型断面における断面強度が高強度である
    請求項12に記載のコーナー部L型擁壁。
  14. 壁面部と床版部とで構成されたコンクリート製のL型擁壁のコーナー部を構築するコーナー部構築方法であって、
    前記コーナー部の隅角部の両側に配置されるL型擁壁ブロックは、
    前記L型擁壁ブロックの前記壁面部における側面のうち、前記コーナー部の隅角部側の前記側面に、他方の前記L型擁壁ブロックと平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向に連結する枢動連結部が備えられるとともに、
    前記床版部における前記隅角部側に現場打ちコンクリートによって現場打ち床版部を構築する打設空間が形成され、
    前記コーナー部の隅角部の両側に配置した前記L型擁壁ブロック同士を、前記枢動連結部で所定の相対角度に調整して連結し、
    前記打設空間にコンクリートを打設して前記現場打ち床版部を構築するとともに、前記床版部とともに複合床版を構成する
    コーナー部構築方法。
  15. 壁面部と床版部とで構成されたコンクリート製のL型擁壁のコーナー部を構成するL型擁壁ブロックであって、
    前記L型擁壁ブロックの前記壁面部における側面のうち、前記コーナー部の隅角部側の前記側面に、他方の前記L型擁壁ブロックと平面視方向において枢動回転可能に、高さ方向に連結する枢動連結部が備えられ、
    前記床版部における前記隅角部側に現場打ちコンクリートによって、前記床版部とともに複合床版を構成する現場打ち床版部を構築する打設空間が形成された
    L型擁壁ブロック。
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