JP2019119639A - 光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学面の回転軸非対称性の光学面同士の足し合わせ結果に起因する光学素子の性能低下を抑制することができる光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法を提供すること。【解決手段】光学素子の評価方法は、所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形して得た表裏2つの光学面を備える光学素子の非対称性を評価するものであり、所定のプレス圧力で製造された光学素子について、式(1)で算出した値に基づき光学素子の非対称性を評価する。【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法に関する。
従来、互いに対向する上型および下型の間に配置した成形素材を加熱し、上型および下型により成形素材を加圧して光学面を転写した後、冷却することにより光学素子を製造する光学素子の製造方法が知られている。このような光学素子の製造方法では、例えば、上型および下型を胴型に収容した状態の型セットを加熱、高温プレス、冷却プレスおよび冷却を行うステージへ順次搬送することにより、所望の光学素子を成形する循環式の成形装置が一般に用いられている。
また従来、成形後の光学素子の光学面について、所望の設計形状からの乖離を評価し、必要に応じて加熱温度、プレス圧力、冷却速度等の成形条件を調整したり、上型および下型の転写面の形状を修正することも一般に行われている。
例えば、特許文献1では、成形される光学素子のクセを成形ごとに一定とするために、冷却時における上下の型部材の温度差が0±2.5°C、冷却速度が20±5°C/minとなるように大まかに制御し、冷却時のプレス圧力を5±1.5kNと高い値に設定することが開示されている。また、同文献には、冷却プレス圧力を上記のような高い値に設定することにより、光学面の面精度は若干低下するものの、離型不良を確実に防止することができ、かつ光学面の形状の再現性も良い旨が開示されている。
特許第2972482号公報
ここで、従来技術で製造される光学素子は、一般に表裏2つの光学面を備えており、光学素子としての性能はそれら光学面同士の形状を足し合わせた結果に左右される。しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、1つの光学面を単独で評価して成形条件の調整を行うことに留まっており、光学面同士の形状を足し合わせた結果については着目しておらず、光学面同士の形状を足し合わせた場合の性能を、所望の性能にするための成形条件の調整についても考慮していなかった。
特に、一般に「アス」と呼ばれる、光学素子の1つの光学面に回転軸非対称に発生する形状誤差については、光学面同士を足し合わせて評価する方法はもちろん、1つの光学面での評価結果に基づく成形条件の調整方法についても、従来技術では考慮されていなかった。従って、従来技術に係る光学素子の製造方法では、光学面の回転軸非対称性の光学面同士の足し合わせ結果に起因する光学素子の性能低下を避けることが困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光学面の回転軸非対称性の光学面同士の足し合わせ結果に起因する光学素子の性能低下を抑制することができる光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学素子の評価方法は、所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形して得た表裏2つの光学面を備える光学素子の非対称性を評価する光学素子の評価方法であって、前記所定のプレス圧力で製造された前記光学素子について、下記式(1)で算出した値に基づき光学素子の非対称性を評価することを特徴とする。
但し、上記式(1)において、
表NR(θ1°)は、光学素子の表の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
表NR(θ2°)は、光学素子の表の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
裏NR(θ1°)は、光学素子の裏の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
裏NR(θ2°)は、光学素子の裏の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果である。
本発明に係る光学素子の評価方法は、上記発明において、前記θ2°は、θ1°+90°であることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学素子の成形条件特定方法は、所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形することにより表裏2つの光学面を備える光学素子を製造する際の成形条件を特定するための光学素子の成形条件特定方法であって、複数の異なるプレス圧力でサンプルの光学素子を試作する試作工程と、前記サンプルの光学素子のそれぞれについて、下記式(1)の値を算出する算出工程と、前記算出工程において算出した各値と、光学素子の設計形状について下記式(1)から得られる値とを比較し、予め定めた許容範囲の中で、前記設計形状について下記式(1)から得られる値に対して最も近似性のない値に対応するプレス圧力P1を特定するプレス圧力特定工程と、を含むことを特徴とする。
但し、上記式(1)において、
表NR(θ1°)は、光学素子の表の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
表NR(θ2°)は、光学素子の表の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
裏NR(θ1°)は、光学素子の裏の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
裏NR(θ2°)は、光学素子の裏の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果である。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学素子の製造方法は、所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形することにより表裏2つの光学面を備える光学素子を製造する光学素子の製造方法であって、上記の光学素子の成形条件特定方法によって特定したプレス圧力P1以下の冷却プレス圧力で冷却プレスを行う冷却プレス工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る光学素子の製造方法は、上記発明において、直径25mm以上の光学素子を製造する際に、前記冷却プレス工程における最大プレス圧力としての前記プレス圧力P1を1190kgfに設定し、900kgf〜1190kgfの範囲内で冷却プレスを行うことを特徴とする。
本発明によれば、光学素子の光学面の回転軸非対称性を足し合わせて評価することにより、当該評価結果に基づいて光学素子の成形条件を適正に設定することが可能となる。従って、光学面の回転軸非対称性の光学面同士の足し合わせ結果に起因する光学素子の性能低下を抑制することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。 図2は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法で用いる光学素子の成形装置の構成を示す断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、測定する断面形状の方向を説明するための平面図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、測定する断面形状の方向を説明するための断面図である。 図5は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、測定する断面形状の方向を説明するための断面図である。 図6は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、メニスカス形状のサンプルと設計形状とが完全に一致する場合を示す説明図である。 図7は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、メニスカス形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があるものの、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺される場合を示す説明図である。 図8は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、メニスカス形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があり、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺されない場合を示す説明図である。 図9は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、メニスカス形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があるものの、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺される場合のうち、表および裏の光学面ごとの異なる断面間の形状の平均が、設計形状に対して偏った方向に乖離した場合を示す説明図である。 図10は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、メニスカス形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があるものの、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺される場合のうち、表および裏の光学面ごとの異なる断面間の形状の平均が、設計形状に対して偏った方向に乖離した場合を示す説明図である。 図11は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、両凸形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があるものの、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺される場合を示す説明図である。 図12は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、両凸形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があり、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺されない場合を示す説明図である。 図13は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、両凹形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があるものの、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺される場合を示す説明図である。 図14は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、両凹形状のサンプルと設計形状とに乖離があり、かつ表および裏の光学面にそれぞれ回転軸非対称性があり、表裏の足し合わせによって回転軸非対称性が相殺されない場合を示す説明図である。 図15は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、式(1)で算出した値と冷却プレス工程における冷却プレス圧力との関係を示すグラフである。 図16は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、サンプルの表の光学面の回転軸非対称性と冷却プレス工程における冷却プレス圧力との関係を示すグラフである。 図17は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、サンプルの裏の光学面の回転軸非対称性と冷却プレス工程における冷却プレス圧力との関係を示すグラフである。 図18は、本発明の実施の形態2に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法において、測定する断面形状の方向を説明するための平面図である。 図19は、本発明の実施の形態に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法の変形例において、サンプルの透過波面アス成分と冷却プレス工程における冷却プレス圧力との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法について、図1〜図15を参照しながら説明する。
光学素子の評価方法は、所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形して得た表裏2つの光学面を備える光学素子の非対称性を評価する方法であり、後記するように、所定のプレス圧力で製造された光学素子について、後記する式(1)で算出した値に基づき光学素子の非対称性を評価する。また、光学素子の成形条件特定方法は、前記した光学素子の評価方法による評価結果に基づいて、光学素子を製造する際の成形条件を特定するための方法である。そして、光学素子の製造方法は、前記した光学素子の成形条件特定方法による特定結果に基づいて、光学素子を製造する方法である。
光学素子の製造方法では、図1に示すように、試作工程(ステップS1)と、算出工程(ステップS2)と、プレス圧力特定工程(ステップS3)と、製造工程(ステップS4)と、を順に行う。また、光学素子の成形条件特定方法では、同図に示した工程のうち、試作工程(ステップS1)と、算出工程(ステップS2)と、プレス圧力特定工程(ステップS3)と、を順に行う。そして、光学素子の評価方法では、同図に示した工程のうち、試作工程(ステップS1)と、算出工程(ステップS2)と、を順に行う。以下、各工程について説明する。
<試作工程>
試作工程では、複数のプレス圧力でサンプルの光学素子(以下、単に「サンプル」という)の試作を行う(ステップS1)。なお、前記した「プレス圧力」とは、具体的には後記する製造工程に含まれる冷却プレス工程における冷却プレス圧力のことを示している。
試作工程において光学素子の試作に用いる成形方法は特に限定されず、例えば固定金型方式や金型循環方式等の公知の技術を用いることができる。また、試作する光学素子の材質や形状は、最後の製造工程(ステップS4)で製造する光学素子と同一であればより良いが、外径、肉厚、曲率半径といった形状が近似であって、類似の組成や成形特性を備える材質であれば、完全に同一でなくてもよい。
本実施の形態1では、芯取り後のレンズ外径がφ25mm、肉厚2.5mm、凸面の近似曲率半径が46mm、凹面の近似曲率半径が32mmの両非球面メニスカス形状であり、材質がガラス素材である光学素子を図2に示すような金型循環方式の成形装置1を用いて試作工程を実施する例について説明する。
成形装置1は、図2に示すように、成形室20と、成形室20内に設けられた、加熱ステージ21と、高温プレスステージ22と、冷却プレスステージ23と、冷却ステージ24と、急冷ステージ25と、各ステージ間で型セット10を搬送する搬送部34と、を備えている。また、各ステージには、図示しない加熱手段(例えばカートリッジヒータ)を備えた上プレート部31および下プレート部32と、上プレート部31および下プレート部32を上下に駆動可能な加圧手段33と、が設けられている。なお、同図は、型セット10が7セット並んだ状態で成形室20に連続投入され、うち1セットが次の投入を待機しており、うち1セットが成形装置1の外に排出されている状態を示している。
成形装置1に投入される型セット10は、光学素子の凹面を転写するための上型11と、光学素子の凸面を転写するための下型12とが胴型13内で対向した構成を備えている。また、上型11、下型12および胴型13は、例えば超硬合金で構成されている。試作工程では、1つの型セット10を用い、当該型セット10の上型11および下型12間に成形素材Mを配置し、成形装置1に投入して光学素子の試作を行う。
試作工程では、例えば循環サイクル:240秒、加熱ステージ21の温度:590℃、高温プレスステージ22の温度:620℃、冷却プレスステージ23の温度:490℃、冷却ステージ24の温度:350℃、急冷ステージ25の温度:室温、を複数の光学素子を試作する際の共通の成形条件とする。また、高温プレスステージ22におけるプレス圧力は、例えば荷重換算で450kgfになるように設定し、複数の光学素子を試作する際の共通の成形条件とする。一方、冷却プレスステージ23における冷却プレス圧力は、例えば荷重換算で1190kgf,1060kgf,900kgf,550kgfの4通りに設定する。
試作工程では、まず成形装置1の加熱ステージ21に型セット10を投入する。次に、加圧手段33によって上プレート部31を下方に駆動させることにより、上プレート部31および下プレート部32を型セット10の上型11および下型12の底面に接触させ、その状態で240秒加熱させる。次に、加圧手段33によって上プレート部31を上方に駆動させることにより、上プレート部31と上型11の底面との接触を解き、搬送部34によって型セット10を隣接する高温プレスステージ22に搬送する。ここまでを1サイクルとして、以降の高温プレスステージ22、冷却プレスステージ23、冷却ステージ24および急冷ステージ25において、プレス、冷却プレス、冷却、急冷却の工程を実施する。試作工程では、前記した4通りの冷却プレス圧力ごとに、例えば4〜10枚のサンプルの試作を行う。
<算出工程>
算出工程では、サンプルについて、回転軸非対称性の各面足し合わせ結果を算出する(ステップS2)。算出工程では、具体的には、試作工程で試作されたサンプルのそれぞれについて、下記式(1)の値を算出する。
但し、上記式(1)において、
表NR(θ1°)は、光学素子の表の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
表NR(θ2°)は、光学素子の表の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
裏NR(θ1°)は、光学素子の裏の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
裏NR(θ2°)は、光学素子の裏の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果である。
以下に、算出工程における具体的な算出手順を示す。まず、サンプルSの光学面について、図3〜図5に示すように、それぞれ2つの方向、0°と90°における断面形状を表と裏とで2断面ずつ、1枚のサンプルSにつき合計4断面を測定する。そして、各断面の設計形状に対する乖離を、±符号を考慮したニュートンリング本数(NR)に換算する。
サンプルSの各断面の設計形状に対する乖離のニュートンリング本数への換算は、一般的に用いられる公知の方法で行うことができ、例えば下記式(3)に示す非球面式(偶数次多項式)を用いて行うことができる。
ここで、上記式(3)において、Z:光軸に沿う方向の座標、Y:光軸に直交する方向の座標、R:曲率半径、K:円錐係数、である。また、上記式(3)の第二項の「A2i」は、「A2:2次の非球面係数」、「A4:4次の非球面係数」、「A5:5次の非球面係数」というように任意の数の偶数で続く。従って、上記式(3)の第二項は「A2×Y2+A4×Y4+A6×Y6・・・」となる。
サンプルSの各断面の設計形状に対する乖離をニュートンリング本数に換算する場合、上記式(3)のRを用いる。例えば、サンプルSの各断面を測定して形状の点列を得た後、その点列を、例えば光学素子の設計形状の次数の上記式(3)でフィッティングし、非球面式で表したときのベストフィットR(理想状態でなければ設計形状のRとずれた値になる)を、Rとして用いて、ニュートンリング本数に換算する。
こうして、1枚のサンプルSにつき、「表NR(0°)」、「表NR(90°)」、「裏NR(0°)」および「裏NR(90°)」の4つの値を得る。なお、ニュートンリング本数(NR)に換算する際の±符号規則は、設計形状に対して凸面の曲率半径が小さい状態と凹面の曲率半径が大きい状態とを同符号とし、凸面の曲率半径が大きい状態と凹面の曲率半径が小さい状態とを同符号、として扱う規則を用いる。本実施の形態1では、設計形状に対して凸面の曲率半径が小さい状態と凹面の曲率半径が大きい状態とを+符号で示し、設計形状に対して凸面の曲率半径が大きい状態と凹面の曲率半径が小さい状態とを−符号で示すこととする。
サンプルSの断面形状の測定は、例えば接触式の三次元測定機「Panasonic UA3P」を用いることができるが、これは一例であり、形状の測定方法は特に限定されない。なお、図3〜図5では、サンプルSの凸面を表、凹面を裏としているが、表裏は任意に決定してよい。
また、断面形状を測定する際の2つの方向(θ1°,θ2°)は、「θ2°=θ1°+90°」とすることが好ましい。例えば図3に示すように、断面形状の測定方向を、任意の一方向(0°)とそれに直交する方向(90°)とにすると、面上で最も離れた方向同士を対にすることができるため、回転軸非対称性の検出感度が向上する。
なお、サンプルSの断面形状の測定方向は、表と裏とで統一し、同じ方向の表と裏の断面形状が一平面上になり、足し合わせが意味をなすようにする。また、試作時におけるサンプルSの成形装置1に対する方向と回転軸非対称性の発生方向とが関連している場合、サンプルSの断面形状の測定方向と、試作時におけるサンプルSの成形装置1に対する方向とを統一することが好ましい。本実施の形態1では、図3の0°方向が型セット10の成形装置1内における搬送方向と一致するようにした。
以上に基づいて、1枚のサンプルSにつき、「表NR(0°)」、「表NR(90°)」、「裏NR(0°)」および「裏NR(90°)」の4つの値を得た後、上記式(1)に基づいて、サンプルSのそれぞれについて、上記式(1)の値を算出する。なお、前記したように、θ1°=0°、θ2°=90°の場合、上記式(1)は下記式(2)のように示すことができる。
上記式(1)および上記式(2)において、先の中括弧は表の光学面における回転軸非対称性(アス)を意味し、後の中括弧は裏の光学面における回転軸非対称性(アス)を意味しており、表裏のアスの足し合わせが意味を成すように、測定方法および計算方向を統一した上でこれらの和を算出している。表裏で単にアスを算出し、それらを単に加算しても意味をなさないため、先に説明した手順を守る必要がある。
以下、上記式(1)で得た値の扱いについて、図6〜図15を参照しながら説明する。
まず、サンプルSの光学面の形状が設計形状と完全に一致している場合について、説明する。本実施の形態1において、設計形状は回転対称な形状を前提としている。このとき、仮に1枚のサンプルSの光学面の形状が設計形状と完全に一致している場合は、図6のように示すことができる。
図6に示したサンプルSの表の光学面は、表NR(0°)および表NR(90°)がいずれも0であり、表のアスは0である(同図の左枠内参照)。裏の光学面についても同様であり、裏NR(0°)および裏NR(90°)がいずれも0であり、裏のアスは0である(同図の右枠内参照)。従って、同図に示すサンプルSの上記式(1)の算出結果は、光学素子の設計形状における上記式(1)の算出結果(=0)と同様となる。また、同図の下枠内に示すように、サンプルSにおいて表と裏の同じ方向の断面を対にした様子をみると、0°方向と90°方向のいずれも同様の曲率半径であり、表と裏の断面間の間隔の中心部から外周部にかけての分布も同様となっている。
次に、サンプルSの光学面の形状と設計形状との間に乖離がある場合の例について、図7に示す。同図に示したサンプルSの光学面の形状は、表裏ともに、方向の異なる断面の形状がそれぞれ設計形状よりも曲率半径が小さい側、大きい側と両側に振れた状態になっている。
設計形状に対する振れ幅は、それぞれ同じニュートンリング本数2本相当である。図7に示したサンプルSの表の光学面は、表NR(0°)が+2、表NR(90°)が−2、表のアスが+4である。また、裏の光学面は、裏NR(0°)が−2、裏NR(90°)が+2、裏のアスが−4である。
そして、上記式(1)に示す通りこれらを加算すると、相殺されて0になる。従って、図7に示すサンプルSの上記式(1)の算出結果は、光学素子の設計形状における上記式(1)の算出結果(=0)と同様であり、近似性のある値となる。また、同図の下枠内に示すように、サンプルSにおいて表と裏の同じ方向の断面を対にした様子をみると、0°方向と90°方向とでは、0°方向のほうの曲率半径が小さくなっているものの、表と裏の断面間の間隔の中心部から外周部にかけての分布は同様となっている。このような状態であれば、各面に回転軸非対称性があったとしても、足し合わせによって相殺されていることになり、光学性能の悪化は少なくて済む。
次に、図6および図7と対照的な例として、サンプルSの光学面の形状と設計形状との間に乖離がある場合の別の例について、図8に示す。同図に示したサンプルSの光学面の形状は、図7と同様に、表裏ともに、方向の異なる断面の形状がそれぞれ設計形状よりも曲率半径が小さい側、大きい側と両側に振れた状態になっている。
設計形状に対する振れ幅は、それぞれ同じニュートンリング本数2本相当である。図8に示したサンプルSの表の光学面は、表NR(0°)が+2、表NR(90°)が−2、表のアスが+4である。一方、裏の光学面は、裏NR(0°)が+2、裏NR(90°)が−2、裏のアスが+4であり、裏のアスの符号が図7とは反対になっている。
そして、上記式(1)に示す通りこれらを加算すると、増幅されて+8になる。従って、図8に示すサンプルSの上記式(1)の算出結果と、光学素子の設計形状における上記式(1)の算出結果(=0)との差が大きく、近似性のない値となる。また、同図の下枠内に示すように、サンプルSにおいて表と裏の同じ方向の断面を対にした様子をみると、0°方向と90°方向では、表と裏の断面間の間隔の中心部から外周部にかけての分布が全く異なり、0°方向では外周部に近づくにつれ間隔が狭くなり、90°方向では外周部に近づくにつれ間隔が広くなる。このような状態では、各面の回転軸非対称性が足し合わせによって相殺されていないため、光学性能が顕著に悪化してしまう。
次に、図8と対照的な例として、サンプルSの光学面の形状と設計形状との間に乖離があり、各面に回転軸非対称性があるものの、足し合わせによって相殺される例について、図9および図10に示す。
図9に示したサンプルSの光学面の形状は、表裏の曲率半径がそれぞれ設計形状より小さい側および大きい側に偏りつつ、方向による曲率半径の差も出ているももの、上記式(1)による足し合わせ結果は0となり、光学素子の設計形状における上記式(1)の算出結果(=0)と近似性の値となる。従って、各面の回転軸非対称性は足し合わせによって相殺されていることとなる。このような場合は、各面の曲率半径を、設計形状に近づくように修正したり、あるいは上型11および下型12の成形面を修正するといった方法を利用することにより、より設計形状に近い状態にすることができる。また、上記式(1)の算出過程においても、このような状態を把握することが可能である。
図10に示したサンプルSの光学面の形状は、図9と異なり、表裏の曲率半径がいずれも設計形状より小さい側に偏っているものの、図9と同様に、各面の回転軸非対称性は足し合わせによって相殺されている。このような場合も、各面の曲率半径を、設計形状に近づくように修正したり、あるいは上型11および下型12の成形面を修正するといった方法を利用することにより、より設計形状に近い状態にすることができる。
なお、図6〜図10では、式(1)の値の算出過程について、メニスカス形状のサンプルSを例に説明したが、図11および図12に示すような両凸形状のサンプルSの場合や、図13および図14に示すような両凹形状のサンプルSの場合も、式(1)の値を同様に算出することが可能である。なお、両凸形状のサンプルSの場合および両凹形状のサンプルSの場合における式(1)の値の算出過程は、メニスカス形状のサンプルSの場合と同様であるため、説明を省略する。
<プレス圧力特定工程>
プレス圧力特定工程では、算出工程で算出した各面足し合わせ結果に基づいて、許容範囲内となる冷却プレス圧力P1を特定する(ステップS3)。プレス圧力特定工程では、具体的には、算出工程において上記式(1)で得た各値と、光学素子の設計形状について上記式(1)で得た値(以下、「設計値」という)とを比較し、予め定めた許容範囲の中で、光学素子の設計形状について設計値に対して最も近似性のない値に対応する冷却プレス圧力P1を特定する。
プレス圧力特定工程では、試作工程においてサンプルSを試作する際に設定した冷却プレス圧力と、算出工程において試作したサンプルSについて上記式(1)で得た値との関係から、冷却プレス圧力P1を特定する。図15は、試作工程で設定した冷却プレス圧力と、各サンプルSについて上記式(1)で得た値との関係を示している。同図では、冷却プレス圧力が高いほど、上記式(1)で得た値の絶対値が大きくなっているが、これは本発明に至るにあたって見出したものである。また、同図の縦軸において、前記した設計値は0であるため、サンプルSから得た上記式(1)の値は、0に近い方が好ましい。
また、図15に示した上記式(1)の値の許容範囲の限界は、製造工程で製造する光学素子の仕様や評価の結果を元に別途設定する。例えば、従来の各面の回転軸非対称性が許容される上限をもとに、その合計値、あるいはその合計値よりも大きい値に基づいて設定することができる。これは、従来の各面の回転軸非対称性の上限を超える光学素子は不良品と判定されていたが、両面を足し合わせた場合の性能としては許容範囲内となる場合もあり得るということを想定したものである。両面を足し合わせた場合の評価ではなく各面での評価を行う前提では、各面の上限を厳しくせざるをえないためである。但し、前記した許容範囲の限界の決定方法は一例であり、別の考え方で決定してもよい。
本実施の形態1では、各面の回転軸非対称性アスの従来の上限設定がニュートンリング本数で±1.5本であるという前提のもとで、上記式(1)の値の許容範囲を、ニュートンリング本数で±3本に設定した。
図15に示すように、上記式(1)の値は、冷却プレス圧力(荷重換算で1190kgf,1060kgf,900kgf,550kgfの4通り)が大きい程、マイナス側に大きくなり、絶対値が大きくなっている。すなわち、上記式(1)の値は、冷却プレス圧力が550kgfの場合は0〜−1の間に分布し、冷却プレス圧力が900kgfの場合は−0.5〜−2の間に分布し、冷却プレス圧力が1060kgfの場合は−1〜−2.5の間に分布し、冷却プレス圧力が1190kgfの場合は−2〜−3の間に分布している。
ここで、上記式(1)の値の許容範囲は、−3〜+3、すなわち絶対値で3以内に設定しているため、試作工程で設定した全ての冷却プレス圧力が許容範囲に収まっている。このうち、上記式(1)の値が許容範囲の限界に最も近いのは、冷却プレス圧力が1190kgfの場合である。従って、前記した許容範囲の中で、設計値(=0)に対して最も近似性のない値に対応する冷却プレス圧力P1として1190kgfを特定する。
なお、冷却プレス圧力P1の特定に際しては、試作工程の試作結果から得られる冷却プレス圧力と式(1)との関係性に基づいて、実際には試作をしていない冷却プレス圧力としてP1を特定しても良い。
参考として、サンプルSの表裏のそれぞれの光学面における回転軸非対称性(アス)と冷却プレス圧力との関係を、図16および図17に示す。同図に示すように、表アスと裏アスの絶対値と冷却プレス圧力との間には明確な関係性は見られず、冷却プレス圧力が小さいほど表アスおよび裏アスが小さくなるという関係ではない。このことから、上記式(1)に従って、各面の回転軸非対称性を足し合わせて評価することにより、図15のような関係性を見出すことができ、かつ冷却プレス圧力P1を特定可能であることがわかる。
<製造工程>
製造工程では、プレス圧力特定工程で特定した冷却プレス圧力P1以下の冷却プレス圧力で冷却プレスを行って光学素子を製造する(ステップS4)。すなわち、製造工程では、具体的には、冷却プレスステージ23で実施する冷却プレス工程における最大プレス圧力を、プレス圧力特定工程で特定した冷却プレス圧力P1以下に設定する。製造工程では、7つの型セット10を用い、各型セット10の上型11および下型12間に成形素材Mを配置し、成形装置1に投入して光学素子の製造を行う。
製造工程では、例えば循環サイクル:240秒、加熱ステージ21の温度:590℃、高温プレスステージ22の温度:620℃、冷却プレスステージ23の温度:490℃、冷却ステージ24の温度:350℃、急冷ステージ25の温度:室温とした上で、冷却プレス圧力を荷重換算で1060kgfに設定して光学素子を製造する。なお、高温プレスステージ22におけるプレス圧力は、試作工程と同様に、例えば荷重換算で450kgfになるように設定する。
ここで、前記したプレス圧力特定工程で特定した冷却プレス圧力P1は1190kgfであるが、上記式(1)の値がより設計値(=0)に近づくように余裕をみて、1190kgfよりも小さい値(例えば1060kgf)に設定することが好ましい。
また、製造工程における冷却プレス圧力の下限は、光学素子の各面の回転軸非対称性の足し合わせとは異なる要素を考慮して決めることができる。冷却プレス圧力の下限は、例えば光学素子の設計形状に対する曲率半径の乖離が、曲率半径の小さい側、大きい側に偏らないようにしたり、光学面のヒケ、冷却途中における型セット10と成形素材Mとの部分的な離型といった転写不良を起こさないことや、これらに関連して形状の再現性が悪化しない程度に十分に高い圧力に設定することができる。
また、製造工程における冷却プレス圧力の下限を判断するために、必要に応じて光学素子の追加の試作を行ってもよい。本実施の形態1では、試作工程において冷却プレス圧力が550kgfの場合に光学面の形状再現性が悪化し、900kgf以上の場合は再現性が良好であったため、900kgfが冷却プレス圧力として設定する下限であると判断し、余裕をみて、冷却プレス圧力を1060kgfに設定した。なお、例えば直径25mm以上の光学素子を製造する場合は、冷却プレスステージ23で実施する冷却プレス工程における最大プレス圧力としてのプレス圧力P1を1190kgfに設定し、900kgf〜1190kgfの範囲内で冷却プレスを行うことが好ましい。
以上説明したような本発明の実施の形態1に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法によれば、光学素子の光学面の回転軸非対称性を足し合わせて評価することにより、当該評価結果に基づいて光学素子の成形条件を適正に設定することが可能となる。従って、光学面の回転軸非対称性の光学面同士の足し合わせ結果に起因する光学素子の性能低下を抑制することができる。
なお、本発明にあたっては、別の成形方式として固定金型方式を選択し、試作工程における冷却プレス圧力を550kgfに設定した試作も行っている。この試作では、型セットを620℃まで加熱した後に450kgfのプレス圧力でプレスを行い、その後0.2℃/秒で型セットが490℃に冷えるまで冷却する間に、550kgfの冷却プレスを継続し、その後200℃まで急冷して光学素子を取り出した。
この場合、上記式(1)の値は、金型循環方式の試作結果に近い結果が得られたが、循環方式の試作結果とは異なり、光学面の形状再現性の悪化はみられなかった。これは、固定金型方式では、冷却プレス中の金型冷却速度が0.2℃/秒と緩やかであるため、550kgfと比較的小さい冷却プレス圧力であっても、型セットと光学素子との温度差がつきにくくなり、光学面のヒケ、冷却途中における型セットと成形素材との部分的な離型といった転写不良が生じなかったためである。つまり、金型循環方式における900kgf以上という高い冷却プレス圧力は、金型循環方式では型セットを急速に冷却することで生産性が高まる一方、大きな荷重が必要になることを見出した結果に基づくものである。従って、900kgf以上という高い冷却プレス圧力は、型セットの冷却速度が早い場合、特に本実施の形態1のような金型循環方式の成形方式において、芯取り後の直径が25mm以上のメニスカス形状の光学素子を製造するにあたって意味のある数値である。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法について、図18を参照しながら説明する。実施の形態2は、上記式(1)の値の算出を1通りではなく2通り行う点が、実施の形態1と異なる。本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、試作工程と、算出工程と、プレス圧力特定工程と、製造工程と、を順に行う。そのうち、算出工程以外は同様であるため、説明を省略する。
<算出工程>
算出工程では、試作工程で試作されたサンプルSのそれぞれについて、上記式(1)の値を算出する。算出工程では、サンプルSの光学面について、図18に示すように、それぞれ4つの方向、0°と90°と45°と−45°における断面形状を表と裏とで4断面ずつ、1枚のサンプルSにつき合計8断面を測定する。そして、各断面の設計形状に対する乖離を、±符号を考慮したニュートンリング本数(NR)に換算する。設計形状に対する形状の乖離のニュートンリング本数への換算は、一般的に用いられる公知の方法で行う。
こうして、1枚のサンプルSにつき、「表NR(0°)」、「表NR(90°)」、「裏NR(0°)」、「裏NR(90°)」、「表NR(45°)」、「表NR(−45°)」、「裏NR(45°)」、「裏NR(−45°)」の8つの値を得る。
また、断面形状を測定する際の4つの方向は、図18に示すように、任意の一方向(0°)とそれに直交する方向(90°)とを選択するのに加え、その中間に位置する(45°)と(−45°)とを選択することにより、面上で最も離れた方向同士の二組を対にすることができ、回転軸非対称性の検出感度が高まる。
なお、サンプルSの断面形状の測定方向は、表と裏とで統一し、同じ方向の表と裏の断面形状が一平面上になり、足し合わせが意味をなすようにするのは実施の形態1と同様である。また、試作時におけるサンプルSの成形装置1に対する方向と回転軸非対称性の発生方向とが関連している場合、サンプルSの断面形状の測定方向と、試作時におけるサンプルSの成形装置1に対する方向とを統一することが好ましい。
以上に基づいて、1枚のサンプルSにつき8つの値を得た後、上記式(1)の2通りの計算結果として、以下に式(2)および式(4)に示すように、回転軸非対称性の各面足し合わせ結果を算出する。
上記式(2)および上記式(4)で算出した値の扱いは実施の形態1と同様であり(図6〜図15参照)、光学素子の設計形状について上記式(1)から得られる値(設計値)は0とする。実施の形態2では、上記式(2)および上記式(4)で得られた2つの値のうち、絶対値が大きく、設計値(=0)との近似性がよりないほうの値を採用する。そして、以降のプレス圧力特定工程および製造工程を実施する。
ここで、サンプルSの各面の回転軸非対称性(アス)を測定する際に、サンプルSの断面形状の測定方向の数が少なかったり、あるいは測定方向によっては、検出できない場合がある。一方、本実施の形態2に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法によれば、各面の回転軸非対称性の足し合わせ結果の良し悪しが測定方向によって左右されるような場合であっても、足し合わせ結果が悪い測定方向をより確実に検出することができるため、上記式(1)の値と冷却プレス圧力との関係から、冷却プレス工程における最大プレス圧力である冷却プレス圧力P1を特定することができる。
(変形例)
本発明の実施の形態1,2に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法の変形例について、説明する。本変形例は、実施の形態1,2で用いた上記式(1)の値と対応関係がある特性値として、サンプルを光学的に評価した結果の値を用いる点が、実施の形態1,2と異なる。
一般に、光学素子を透過した光の波面を評価するのに用いられる測定機としてマッハツェンダー型干渉計が知られている。これは、基準となる光学素子を透過した波面と、サンプルの光学素子を透過した波面とを干渉させたときの干渉縞をもとに、サンプルの光学素子の性能を評価するものである。
前記した測定機による透過波面の評価結果は、光学素子の各面の形状、回転軸非対称性、光学素子内部の屈折率分布、光学素子の肉厚、光学素子の各面間のずれ(シフト、チルト)といった影響が合算されたものになる。そのため、本発明に係る評価方法が対象としている、回転軸非対称性の各面足し合わせ結果に近い特性が、他の要素との合算として検出されることになる。
実施の形態1の試作工程において試作したサンプルSをマッハツェンダー型干渉計で評価した結果を図19に示す。透過波面のうちのアス成分に着目した場合、冷却プレス圧力との対応関係があるという結果であり、透過波面のアス成分の許容範囲を適切に設定することにより、冷却プレス工程における冷却プレス圧力P1を決定することができる。
このように、試作したサンプルSをマッハツェンダー型干渉計を用いて評価することによっても、冷却プレス工程における冷却プレス圧力P1を決定できる場合がある。各面の回転軸非対称性の足し合わせ以外の要素にも、回転軸非対称性の足し合わせ結果と相反しない方向で冷却プレス圧力との対応関係があるか、あるいは各面の回転軸非対称性の足し合わせ以外の要素が透過波面アス成分に与える影響が相対的に小さい場合においては、本変形例に係る方法も実用的に用いることができる。
以上、本発明に係る光学素子の評価方法、光学素子の成形条件特定方法および光学素子の製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
1 成形装置
10 型セット
11 上型
12 下型
13 胴型
20 成形室
21 加熱ステージ
22 高温プレスステージ
23 冷却プレスステージ
24 冷却ステージ
25 急冷ステージ
31 上プレート部
32 下プレート部
33 加圧手段
34 搬送部
S サンプル

Claims (5)

  1. 所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形して得た表裏2つの光学面を備える光学素子の非対称性を評価する光学素子の評価方法であって、
    前記所定のプレス圧力で製造された前記光学素子について、下記式(1)で算出した値に基づき光学素子の非対称性を評価することを特徴とする光学素子の評価方法。
    但し、上記式(1)において、
    表NR(θ1°)は、光学素子の表の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
    表NR(θ2°)は、光学素子の表の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
    裏NR(θ1°)は、光学素子の裏の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
    裏NR(θ2°)は、光学素子の裏の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果である。
  2. 前記θ2°は、θ1°+90°であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の評価方法。
  3. 所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形することにより表裏2つの光学面を備える光学素子を製造する際の成形条件を特定するための光学素子の成形条件特定方法であって、
    複数の異なるプレス圧力でサンプルの光学素子を試作する試作工程と、
    前記サンプルの光学素子のそれぞれについて、下記式(1)の値を算出する算出工程と、
    前記算出工程において算出した各値と、光学素子の設計形状について下記式(1)から得られる値とを比較し、予め定めた許容範囲の中で、前記設計形状について上記式(1)から得られる値に対して最も近似性のない値に対応するプレス圧力P1を特定するプレス圧力特定工程と、
    を含むことを特徴とする光学素子の成形条件特定方法。
    但し、上記式(1)において、
    表NR(θ1°)は、光学素子の表の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
    表NR(θ2°)は、光学素子の表の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
    裏NR(θ1°)は、光学素子の裏の光学面をθ1°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果であり、
    裏NR(θ2°)は、光学素子の裏の光学面をθ2°方向に形状測定した結果と、光学素子の設計形状とのずれを、±を考慮したニュートンリング本数に換算した結果である。
  4. 所定のプレス圧力で成形素材を押圧成形することにより表裏2つの光学面を備える光学素子を製造する光学素子の製造方法であって、
    請求項3に記載の光学素子の成形条件特定方法によって特定したプレス圧力P1以下の冷却プレス圧力で冷却プレスを行う冷却プレス工程を含むことを特徴とする光学素子の製造方法。
  5. 直径25mm以上の光学素子を製造する際に、前記冷却プレス工程における最大プレス圧力としての前記プレス圧力P1を1190kgfに設定し、900kgf〜1190kgfの範囲内で冷却プレスを行うことを特徴とする請求項4に記載の光学素子の製造方法。
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