JP2019117200A - 振動センサー部及び振動信号抽出装置 - Google Patents

振動センサー部及び振動信号抽出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】振動センサーによって効率よく振動信号を取得する手段を提供する。【解決手段】平坦な表面上に振動センサー10を配置し、振動センサー10の上表面に信号増幅手段11の凹凸面を対向させて、凹凸面が下向きとなるように信号増幅手段11を配置する。また、振動センサー10の上下に凹凸面が対向するように信号増幅手段11A、11Bを配置してもよい。上下に信号増幅手段11を配置する場合は、上側の信号増幅手段11Aの凹凸と下側の信号増幅手段11Bの凹凸とが一致してもよいが、上下で互い違いとなり、凹凸が噛み合うように信号増幅手段11A、11Bを設けることが好ましい。なお、振動センサー部1は送信伝達経路(有線又は無線)を有し、送信伝達経路を介して振動センサーで検出した振動を含む信号を信号処理装置に出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、振動を検出する振動センサー部及びそれを用いた装置等に関し、特に、フィ
ルム状の振動センサーを含む振動センサー部及びそれを用いた装置等に関する。例えば、
振動センサー部は、動物、特に人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、検出した
身体振動信号から拍動振動、肺呼吸振動または音声振動等を抽出する振動信号抽出装置及
び振動信号抽出方法に使用可能であり、また、抽出した拍動振動、肺呼吸振動または音声
振動等によって人の生体情報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、意思等)を
検出できるようにした人の生体情報検出装置及び生体情報検出方法にも使用可能である。
人の生体情報を検出する手段として、様々なセンサーを使用した方法が提案されている
。単に、人の存在不在を検出するだけであれば、人を拘束しない非拘束の方式として、人
体が発する赤外線を感知する焦電型赤外線センサーや、人の重さを検出する感圧導電性ゴ
ムセンサを用いた方式があり、例えば、自動ドアの開閉用スイッチ、トイレの自動水洗ス
イッチ、人侵入感知器などに利用されている。しかし、これらの方式では、人の存在不在
を検知するだけではなく、人の状態まで検知することはできなかった。
例えば、介護業務において、ベッドで睡眠中の患者の状態を把握することが必要であっ
たが、介護者の負担を軽減するために患者の状態を自動的に監視して、異常があった時、
外部に通知するシステムが望まれている。従来、睡眠中の患者の動きを束縛せずに、睡眠
状態を把握するために指先に血圧計を取り付けたり、振動計を腰に巻くといった患者の身
体に密着した方法を用いていた。これらの方法でも、身体にセンサーを密着させるため、
信号が常に得られる点で信頼性が高いが、患者が嫌がること、センサーが外れると状態を
把握できないことなどの問題があった。このため、非拘束タイプのシステムが考慮されて
きている(特許文献1)。
特許文献1には、非拘束タイプの振動センサーを用いた人の存在不在を検出する人存在
不在検出方法及び人存在不在検出装置が開示されている。特許文献1の方法では、ベッド
パッド又はマットレスの上部や下部に、人の身体から発生する振動を振動センサーを設置
し、振動センサーによって検出した身体振動信号を差動信号増幅アンプによって増幅した
後、対象とする人に起因する身体振動である心臓の拍動(心拍数換算:30〜240回/
分、周波数帯域換算:0.5〜4Hz)による振動、肺呼吸活動(呼吸数換算:60回/
分以下、周波数帯域換算:1Hz以下)による振動、鼾に起因する鼾振動を分離フィルタ
機能を用いて抽出することが開示されている。特許文献1の人存在不在検出方法及び人存
在不在検出装置によれば、心臓の拍動に起因する拍動振動、肺呼吸活動に起因する肺呼吸
振動または鼾振動が有りの状態が所定の存在継続時間以上を超えることで、人が所定場所
に存在していること、及び拍動振動、肺呼吸振動または鼾振動が無い状態が所定の不在継
続時間以上を超えることで、人が所定場所に不在であると判定している。
特許文献1の人存在不在検出装置では、1個の振動センサーを用いて身体振動信号を取
得し、身体振動信号をフィルタにより分離して呼吸、心拍、鼾、体動の4つの信号を得て
いた。フィルタは、コンデンサや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(
LPF)やハイパスフィルタ(HPF)のアナログフィルタ、又は身体振動信号をA/D
コンバータでデジタル信号に変換し数値化されたデータをもとにCPU(中央処理装置)
の演算処理にてフィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一方又は双方で構成す
ることが開示されている。
特開2013−210367号公報
しかし、非拘束タイプの振動センサーによって得られる振動信号は弱く、そこからさら
に微弱な心臓の拍動、肺呼吸活動、鼾に起因する振動などを分離する必要があった。特に
、特許文献1のように、ベッドパッド又はマットレスの上部や下部に配置する場合であれ
ば、振動センサーを大きくすることにより、得られる振動信号の強度を強めることができ
るが、大きさに制限のある用途では振動信号を強めることができない。特に、取り付け部
位の大きさ、形状などの制約により、振動センサーを小型化する必要がある場合には、振
動信号を発生させるセンサー自体が小さくなってしまうので、信号強度が非常に弱くなり
、相対的にノイズが大きくなってしまった。例えば、振動センサーを衣服や身に着けるも
のに取り付けたウェアラブル形態とした場合、椅子、机、トイレなどに振動センサーを設
置する場合などは、設置状況に応じて振動センサーの大きさが制限される。
特に、トイレや風呂において、失神したり、脳卒中で倒れたりする事件が増えている。
トイレや風呂では一人のことが多く、またプライベートな空間なので監視することもでき
ないので、発見が遅れるという問題があった。
本発明は、かかる問題を鑑みて、振動センサーによって効率よく振動信号を取得する手
段を提供することを目的とする。この目的は、結果的に振動信号の強度が従来よりも弱く
なっていたとしても、振動センサーの大きさ、用途の点から所望の振動を抽出可能な振動
信号を取得できるようにすることを含んでいる。なお、本発明の振動センサーは、人の身
体から発生する振動の検出にも使用可能であるが、かかる目的及び用途に限定するもので
はなく、種々の振動の検出に使用可能である。
前述した課題を解決するため、本発明の振動センサー部は、正電極層と、負電極層とに
挟まれた振動センサー素材とを含む振動センサーと、凹凸面を備えた信号増幅手段とを有
し、前記振動センサー素材の表面に対して前記信号増幅手段の凹凸面を対向させて配置し
たことを特徴とする。
さらに、上記振動センサー部において、前記振動センサーの上下にそれぞれ前記信号増
幅手段が配置されていてもよく、さらに、前記振動センサーの上に配置された前記信号増
幅手段の凹凸と、前記振動センサーの下に配置された前記信号増幅手段の凹凸が噛み合う
ように配置されていてもよい。
さらに、上記振動センサー部において、前記振動センサーは、前記正電極層又は前記正
電極層に接して設けられた絶縁層に凹凸を設け、前記信号増幅手段として機能させてもよ
い。また、上記振動センサー部において、前記振動センサーは、前記負電極層又は前記負
電極層に接して設けられた下部遮蔽層に凹凸を設け、前記信号増幅手段として機能させて
もよい。
また、本発明の他の振動センサー部は、検出対象に突設又は架設された補助部材と、前
記検出対象に接触した振動センサーとを有し、前記補助部材に前記振動センサーが設けら
れていることを特徴とする。
さらに、かかる振動センサー部において、 前記補助部材の少なくとも一部は搖動可能
であってもよい。また、前記検出対象は中空であり、前記補助部材は、前記中空の検出対
象の内部に設けられていてもよい。
また、本発明の他の振動センサー部は、検出対象に設けられた曲面と、前記検出対象に
接触した振動センサーとを有し、前記検出対象の曲面の内表面又は外表面に、前記振動セ
ンサーの少なくとも一部を湾曲させて取り付けたことを特徴とする。
上記振動センサー部において、前記振動センサーは、振動センサー素材と、前記振動セ
ンサー素材を挟んで上下に設けられた正電極層及び負電極層を有することが好ましい。
また、本発明の振動信号抽出装置は、上記何れかの振動センサー部を備え、前記振動セ
ンサーで検出した身体振動信号から拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性
信号を抽出する。さらに、前記振動センサー部を保持する部材と、前記振動センサーとの
間に弾性部材を配置してもよい。
また、本発明のトイレの便座は、上記何れかの振動センサー部が設けられている。さら
に、上記便座は、複数の振動センサー部が設けられていてもよい。
また、本発明のトイレは、上記便座を含み、前記便座以外の場所に他の振動センサー部
が設けられている。
また、本発明のベルトは、上記何れかの振動センサー部が設けられている。さらに、上
記ベルトにおいて、前記振動センサー部は、移動可能に設けられていることが好ましい。
さらに、上記ベルトにおいて、前記振動センサー部が複数設けられていてもよい。
本発明によれば、振動センサーによって微弱な振動であっても効率よく振動信号を取得
することができ、種々の振動の検出に利用することができる。また、本発明によれば、振
動センサーによって動物が発する微弱な身体の振動を身体振動信号として検出し、かかる
身体振動信号を用いて、動物(人)の存在不在を検出することができる。また、本発明に
よれば、振動センサーによって効率よく身体振動信号を取得することができるので、身体
振動信号から拍動振動、肺呼吸振動又は音声振動の抽出を容易にし、又は、身体振動信号
から抽出した拍動振動、肺呼吸振動又は音声振動の精度を高めることができる。さらに、
本発明によれば、振動センサーによって効率よく身体振動信号を取得することができるの
で、小さな振動センサーでも拍動振動、肺呼吸振動又は音声振動の抽出が可能であり、振
動センサーをウェアラブルな態様で使用したり、小型化して椅子、机、トイレなど人が近
接する部材に設置して使用することができる。その他の効果については、発明を実施する
ための形態において述べる。
本発明の振動センサー部の実施態様の一例 信号増幅手段の一例 本発明の振動センサー部の実施態様の他の一例 本発明の振動センサー部の実施態様の他の一例 便座に振動センサーを適用した構成の一例 ベルトに振動センサーを適用した構成の一例 振動センサーの概略構成図 振動センサーの概略構成図 実施形態の一つにおける信号処理装置の概要構成を示すブロック図 実施例1における振動センサー部の概略構成図 信号増幅手段を用いた実施例1の実測値 信号増幅手段を用いていない実施例1の実測値 実施例2の実測値 実施例3の振動伝搬部材の概略構成図 実施例3の実測値 便器に振動センサーを適用した構成の一例 実施例4の周波数分析結果 実施例4の拍動振動性信号波形
[凹凸形状の信号増幅手段]
本発明の振動センサー部1の一つは、微弱な振動を振動センサーで検出し易くするため
、振動センサー10の振動センサー素材の表面に対して凹凸面を備えた信号増幅手段11
を配置した。図1に一例を示す。図1においては、振動センサー10の外側に信号増幅手
段11を配置した構造で説明したが、振動センサー内の振動センサー素材に対して凹凸面
による不均一な圧力が印加されれば足りるので、振動センサー10内に信号増幅手段11
を設けてもよい(図8参照)。
平坦な表面上に振動センサー10を配置し、振動センサー10の上表面に信号増幅手段
11の凹凸面を対向させて、凹凸面が下向きとなるように信号増幅手段11を配置しても
よいし(図1(A))、凹凸面を上向きに配置した信号増幅手段11の上に振動センサー
10を配置してもよいし(図示せず)、また、振動センサー10の上下に凹凸面が対向す
るように信号増幅手段11A、11Bを配置してもよい(図1(B))。上下に信号増幅
手段11を配置する場合は、上側の信号増幅手段11Aの凹凸と下側の信号増幅手段11
Bの凹凸とが一致してもよいが、図1(B)に示すように、上下で互い違いとなり、凹凸
が噛み合うように信号増幅手段11A、11Bを設けることが好ましい。また、振動セン
サー10の一方の表面に凹凸面を対向させて信号増幅手段11を配置し、他方の表面にク
ッション材を配置してもよい。この場合は、クッション材が信号増幅手段11の凹凸に沿
って変形するため、振動センサー10の上下に凹凸面を対向させた状態を容易に得ること
ができる。クッション材としては 発泡ウレタンシートなどの発泡プラスチック材、綿の
ような繊維の集合体、ヘチマのようなスポンジ材などが適している。なお、振動センサー
部1は図示しない送信伝達経路(有線又は無線)を有し、送信伝達経路を介して振動セン
サーで検出した振動を含む信号を信号処理装置に出力する。
本発明の振動センサー10は、振動を発生する種々の動物、装置又は部材(以下「振動
源」という。)に直接又は近傍に配置され、振動源からの振動を検出し電気信号として出
力できれば足りる。振動センサー10としては、ピエゾ素子が好適に用いられるが、その
他のセンサー、例えば高分子圧電体(ポリオレフィン系材料)を用いてもよい。ピエゾ素
子の素材としては、例えば、多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルム(Elect
ro Mechanical Film(EMFI))、またはPVDF(ポリフッ化ビニ
リデンフィルム)、またはポリフッ化ビニリデンと三フッ化エチレン共重合体(P(VD
F−TrFE))、又はポリフッ化ビニリデンと四フッ化エチレン共重合体(P(VDF
−TFE))を用いてもよい。振動センサー10としては、フィルム状であることが好ま
しい。
信号増幅手段11は、少なくとも一つの凸部又は凹部を有しており、凸部又は凹部を有
する面(凹凸面)を振動センサーに対向させて配置される。信号増幅手段11は、プラス
チック材料、合成ゴム、紙、金属材料、高剛性素材(ダイアモンド、ベリリウム、ボロン
、カーボングラファイトなど)などを使用することができる。また、信号増幅手段11と
して、これらの材料を混合したものを使用してもよいし、複数の素材を積層させてもよい
振動センサー10と信号増幅手段11とは、少なくとも、振動センサーにおいて振動を
検出する際には、信号増幅手段11の凹凸により振動センサー10の振動センサー素材表
面に圧力がかかった状態であることが好ましく、凹凸によって振動センサー10が変形し
ていることがより好ましい。振動センサー10の上に、単に信号増幅手段11を載せた状
態では、信号増幅手段11の凹凸による圧力はほとんどないが、振動源が信号増幅手段1
1の上に存在している場合には、振動源の重さにより、信号増幅手段11の凹凸により振
動センサー10の表面に圧力が不均一に加えられる。振動源の振動信号はこの状態で検出
されるため、凹凸による圧力が加えられた状態で振動信号を検出している。また、予め信
号増幅手段11の凹凸により振動センサー10を変形させた状態で配置されていてもよい
。このように凹凸による圧力が加えられていると、上から伝搬される振動により、振動セ
ンサーを単に厚さ方向に変形させるのではなく、曲げ方向(ベンディング)への変形を増
やし、発生する信号強度を高めることができる。これは、一般的に、フィルム状のピエゾ
素子において、厚さ方向の圧縮による変形よりも、曲げ方向に変形する方が感度が高く、
弱い振動でも曲げ方向の変位を生じさせることにより、発生する信号強度を強くできるた
めである。さらに、振動センサー10を凹凸に沿って変形させた場合には、接触面積も広
くすることができ、この点においても、発生する信号強度を強くできる。
信号増幅手段11の凸部又は凹部は、一つであってもよいし、複数であってもよい。凸
部の高さ又は凹部の深さは、振動センサー10における振動センサー素材の厚み以上であ
ることが好ましい。凸部の断面形状は、三角形、四角形、その他の多角形、凸曲線、半円
、半楕円またはこれらの形状の組み合わせであってもよい。また、凹部の断面形状は、三
角形、四角形、その他の多角形、凹曲線、半円、半楕円またはこれらの形状の組み合わせ
であってもよい。凸部又は凹部は、一部の領域に設けられていてもよいし、全体に複数の
凸部又は凹部が設けられていてもよい。複数の凸部又は凹部を設けた場合、凸部の高さ又
は凹部の深さが異なる複数種類の凸部又は凹部を設けてもよい。また、凸部又は凹部は、
平面視で円形でも、多角形でも、線状でも、格子状でもよい。図2(A)から(D)は、
信号増幅手段11の一例である。図2(A)は、円錐台形状の6個の凸部が配置されてお
り、図2(B)は断面凸曲線の線状の凸部が中央に設けられている。図2(C)は、中央
に断面台形の傾斜面を備えた凹部が設けられており、図2(D)は、平面視正方形の2つ
の凹部が設けられている。
振動センサー10と信号増幅手段11とを含む振動センサー部1は、振動源(動物、人
の体を含む)に直接接触させてもよいし、振動源から振動が伝搬する部材(床、ベッド、
椅子、机、衣服、靴、絨毯、シーツ、カバーなどを含む)(以下「振動伝搬部材」という
。)に接触させてもよい。振動センサー部1が設置される振動伝搬部材は、振動源から複
数の部材を介在させたものでもよい。例えば、床の上、ベッドマットの上又は下、椅子の
座板や背もたれの表面又は裏面、机の天板の表面又は裏面等に振動センサー部1を設置又
は埋設してもよいし、振動源又は振動伝搬部材(以下「検出対象」という。)が中空の場
合は、その内部表面に振動センサー部1を設置してもよい。さらに、検出対象における振
動源との接触部位から離れた位置であっても、検出対象に接する人の振動が伝達する部分
であれば振動センサー部1を設けることができる。例えば、図1(C)に示すように、ベ
ッド20の脚において、床と接触する部位に設けられた保護部材21の一つに、振動セン
サー部1を設けてもよい。図1(D)は、図1(C)における振動センサー部1を拡大し
た図であり、保護部材21の内部に、信号増幅手段11A、11Bに挟まれた振動センサ
ー10が設置され、振動センサー10は信号増幅手段11A、11Bの凹凸に沿って変形
している。そして、ベッド20の上の動物の振動が、ベッド20の脚を介して振動センサ
ー10に伝達され、振動センサー10で動物が発する振動を含む信号(以下「身体振動信
号」という。)を発生させる。なお、図1(C)の振動センサー部1の配置は単なる一例
であり、これに限定されるものではない。例えば、振動センサー部1は、床と接続した柱
に設けてもよいし、ベッドのフレーム、ヘッドボード又はサイドレール等に設けてもよい
し、椅子の脚、ひじ掛け、フレーム等に設けてもよいし、机の脚、貫、幕板等に設けても
よい。また、トイレの便座又は便器に振動センサーを設けてもよく、便座又は便器の表面
、裏側又は内部に振動センサーを配置することができる。例えば、便座の裏面における便
器との接触箇所に設けられた緩衝部又は便器の表面における便座との接触箇所に振動セン
サー部を配置してもよい。また、振動センサー10を直接人や動物の体に接触させて身体
振動信号を検出してもよい。さらに、振動源である摺動部を有する装置(エンジン、モー
タ、HDD等)に振動センサー部1を配置して振動を検出してもよいし、振動源である振
動が生じる部材(水道、ガスの配管、風車等)に振動センサー部1を配置して水量やガス
量、水漏れやガス漏れを検出してもよい。
[補助部材]
本発明の振動センサー部1の他の一つは、微弱な振動を振動センサーで検出し易くする
ため、図3に示すように、検出対象30に突設又は架設された補助部材31を設け、補助
部材31に振動センサー10を取り付ける。なお、補助部材31と振動センサー10との
間に振動センサー10に凹凸面が対向する信号増幅手段を設けてもよい。
例えば、補助部材31は、検出対象30の表面に突設又は架設してもよいし(図3(A
)〜(D))、検出対象30を中空とし、その内部に補助部材31を突設又は架設しても
よい(図3(E)、(F))。補助部材30は、平板状の部材であってもよいし、湾曲し
ていてもよい。補助部材31は、検出対象30と一体的に成形されたものでもよいし、検
出対象とは別体のものを検出対象に固定してもよい。補助部材31の少なくとも一部は搖
動可能に設けられていることが好ましく、補助部材31は薄い板状又はフィルム状であっ
てもよい。また、補助部材31として、もともと検出対象30に備わっている構成を利用
することも可能である。さらに、振動センサーの構成部材の一部(例えば、電極、基板等
)を補助部材31として利用することも可能である。
補助部材31を検出対象30に突設した場合、補助部材31の一方の端部は検出対象3
0に固定されているが、他方の端部は搖動可能とされており、検出対象30から振動が伝
搬すると、補助部材31において、振動の振幅を大きくすることができ、振動センサー1
0の曲げ変形も大きくなるので、発生する信号強度を高めることができる。この場合、振
動センサーは、補助部材31の中心又は他方の端部よりの配置することが好ましい。補助
部材31を検出対象30に架設した場合、補助部材31の両端が検出対象30に固定され
ているが、補助部材31の中心付近に振動センサー10を配置することで、検出対象30
から伝搬した振動から発生する振動強度を高めることができる。
補助部材31は、プラスチック材料、合成ゴム、紙、金属材料、高剛性素材(ダイアモ
ンド、ベリリウム、ボロン、カーボングラファイトなど)などを使用することができる。
また、信号増幅手段11として、これらの材料を混合したものを使用してもよいし、複数
の素材を積層させてもよい。
図3(A)は、検出対象30、例えば長椅子(ベンチ)の脚に外側に向けて突出した補
助部材31Aが設けられており、そこに振動センサー10Aが配置された構造、長椅子(
ベンチ)の脚に内側に向けて補助部材31Bが突設され、そこに振動センサー10Bが配
置された構造、長椅子(ベンチ)の座面裏側に補助部材31Cが下向きに突設されており
、そこに振動センサー10Cが配置された構造を例示している。図3(B)は、検出対象
30である長椅子(ベンチ)の脚の内側表面と座面の裏面との間に平板状の補助部材31
Dが斜めに架橋されており、そこに振動センサー10Dが配置された構造及び長椅子(ベ
ンチ)の脚の内側表面と座面の裏面との間に湾曲した補助部材31Eが架橋されており、
その曲面に沿って振動センサー10を湾曲させて配置した構造を例示している。図3(C
)は、検出対象30である長椅子(ベンチ)の座面の裏面に、湾曲した補助部材31が架
橋されており、その湾曲の頂点付近に曲面に沿って振動センサー10を湾曲させて配置し
た構造を例示している。図3(D)は、湾曲した検出対象30の内表面に平板状の補助部
材31Gを横方向に架設しており、その中央に振動センサー10Gを配置した構造を例示
している。図3(E)は、断面長方形の中空の検出対象30の内部に平板状の補助部材3
1Hを縦方向に架設しており、そこに振動センサー10Hが配置された構造及び中空の検
出対象30の内部に湾曲した補助部材31Iを斜めに架設しており、その曲面に沿って振
動センサー10Iを湾曲して配置された構造を例示している。図3(F)は、断面楕円形
の中空の検出対象30の内部に平板状の補助部材31Jを横方向に架設しており、そこに
振動センサー10Jが配置された構造である。例えば、中空の検出対象30として、暖房
機能を備えたトイレの便座は、中空であり、その内部に補助部材を突設又は架設して振動
センサーを設けることができる。
[湾曲設置]
本発明の振動センサー部1の他の一つは、微弱な振動を振動センサーでより検出し易く
するため、図3(B)、(D)、(E)及び図4に示すように、検出対象30に曲面を設
け、検出対象の曲面の内表面又は外表面に、フィルム状の振動センサーの少なくとも一部
を湾曲させて取り付ける。なお、検出対象30と振動センサー10との間に振動センサー
10に凹凸面が対向する信号増幅手段(信号増幅手段の一部が湾曲してもよい)を設けて
もよいし、検出対象に突設又は架設された補助部材に曲面を設け、曲面に振動センサーを
設けてもよい。
例えば、図4(A)は、湾曲した検出対象30の内表面の中央に、曲面に沿って振動セ
ンサー10を湾曲させて配置した構造である。図4(B)は、検出対象30の角を丸め、
丸めた角の曲面を含むように座面裏面に振動センサー10Aを配置した構造と、丸めた角
の曲面を含むように脚の内表面に振動センサー10Bを配置した構造を示す。図4(C)
は、検出対象30の角を丸め、丸めた角の曲面を含むように脚の外表面に振動センサー1
0Bを配置した構造である。図4(D)は、断面長方形の中空の検出対象30の角を丸め
、丸めた角の曲面に沿って振動センサー10を湾曲させて配置した構造である。
振動センサーを湾曲させることにより、検出対象30から振動が伝搬すると、湾曲した
振動センサーにおいて、曲げ方向(ベンディング)への変形が増えるので、発生する信号
強度を高めることができる。
[トイレの便座、便器]
図5に示すように、トイレの便座40に本発明の振動センサー部1を適用してもよい。
図5(A)は便座40裏面の概略構成図であり、便座の裏面に便器との衝突による衝撃を
緩和するための緩衝部41が4つ配置されている。図5(B)及び(C)は、(A)のB
−B一点鎖線の断面図であり、便座40の緩衝部41を含む断面図である。図5(B)の
実施形態は、便座40の緩衝部41の当接部材42を取り外し、緩衝部41の内側に窪み
を作製し、その窪みに振動センサー部1を配置し、振動センサー部1を覆って当接部材4
2を接着した構造である。振動センサー部1は、図1(D)に示す構造と同じく、振動セ
ンサー10が信号増幅手段11A、11Bに挟まれた構造であり、振動センサー10は信
号増幅手段11A、11Bの凹凸に沿って変形している。また、図5(C)は他の実施形
態であり、図5(C)の実施形態では、中空の便座40内部に補助部材43が架設されて
おり、その補助部材43に振動センサー部1が設けられている。なお、図5(C)の振動
センサー部1も、図1(D)に示す構造と同じく、振動センサー10が信号増幅手段11
A、11Bに挟まれた構造である。なお、便座の湾曲した内側表面に振動センサーを設け
てもよい。
また、図16に示すように、トイレの便器50に本発明の振動センサー部1を適用して
もよい。図16(A)は便器50の概略構成図であり、(B)乃至(E)は断面図である
。振動センサー部1は、図16(A)に示すように、便器50の表面であって、便座40
と当接する部分に配置される。図16(B)に示すように、振動センサー10が信号増幅
手段11A、11Bに挟まれた構造の振動センサー部1が便器50の表面に直接設けられ
、振動センサー部1の上から便座40(点線で示す)と接触する構造でもよい。しかし、
陶器製の便器50に直接振動センサー1を接触させると振動信号にノイズが生じる場合が
ある。この点、少なくとも振動センサー10と便器50との間に弾性部材を配置すること
が好ましい。図16(C)乃至(E)に示すように、振動センサー部1の下側の信号増幅
手段11Bと便器50との間に弾性部材51、52、53を配置してもよいし、図示して
いないが、振動センサー10と便器50との間の信号増幅手段11Bを弾性部材によって
構成してもよい。弾性部材としては、ゴム、板バネ、高分子材料(例えば、ポリウレタン
、ポリエステル)、クッション材、スポンジ材、布類等を使用することができる。図16
(C)では、平板状の弾性部材51を介在させ、図16(D)では、便器50の表面に面
して凸部を有する構造の弾性部材52を介在させ、図16(E)では、便器50の表面に
面して凹部を有する構造の弾性部材53を介在させた。図16(D)及び(E)において
は、凸部又は凹部が一つだけの構造を例示したが、複数の凸部又は凹部を設けてもよい。
また、トイレ内に複数の振動センサー部を設けてもよい。この場合、複数の振動センサ
ー部によって検出された身体振動信号の差分をとることでノイズを低減することが好まし
い。特に、便座に配置した一つ又は複数の振動センサー部は、身体が発する振動、例えば
心拍や肺呼吸の振動が伝わりやすいが、それ以外の場所(例えば便器、トイレの床、便器
の蓋等)に配置した振動センサー部では、身体振動が伝わりにくく相対的に身体からの振
動以外のノイズ成分が強調されることになる。このため、これらの差分を取ることにより
、心拍や肺呼吸などの身体が発する振動を強く検出することができるのである。
[ベルト]
図6に示すように、腰に巻くベルト61に本発明の振動センサー部1を設けてもよい。
振動センサー部1は、ベルト61の内面に貼付してもよいし、外面に貼付してもよいし、
ベルト61内部に埋設してもよい。特に、振動センサー部1が着用時に人体背面(より好
ましくは背骨に隣接させる)に配置されるようにする。ベルト自体が湾曲可能なものであ
るから、着用時には部分的に湾曲状態となり、身体振動信号を検出可能とする。図6(A
)においては、ベルト61の中間位置の内側に振動センサー部1を取り付けた。ベルトは
、振動センサーを身体に密着させること、日常生活で振動検出とは別目的で身体を拘束す
るものとして使用されることから、過剰なストレスを与えることなく振動センサーを身体
に取り付けることができるので好ましい。
また、図6(B)に示すように、ベルトに嵌挿された移動部材62を有し、移動部材6
2の内側に振動センサー部1を設けてもよい。移動部材62は、ベルトの長さ方向の少な
くとも一部の範囲内を移動可能であればよく、図6(B)に示すように、ベルトよりも大
きな穴を有し、その穴に嵌挿させた構造でもよいし、ベルトの縁をレールとする係合構造
を備えたものでもよい。ベルト内側は体に接するため、そこの移動部材があると違和感を
もたらす場合もあるので、ベルトの外側表面側に移動部材を設けてもよい。この場合、ベ
ルトの外側表面に配置された移動部材のベルトとの接触面側に振動センサー部1を設ける
ことが好ましい。さらに図示しない固定手段(例えばピン等)によって移動部材62を任
意の位置で固定できることが好ましい。
さらに、図6(C)に示すように、一つのベルト61に複数の振動センサー部1a、1
bを設けてもよい。この場合、複数の振動センサー部1a、1bによって検出された身体
振動信号の差分をとることでノイズを低減することが好ましい。特に、人体背面側に配置
した振動センサー部1aは、身体が発する振動、例えば心拍や肺呼吸の振動が伝わりやす
いが、それ以外の部位(例えば腹部、脇腹)に配置した振動センサー部1aでは、身体振
動が伝わりにくく相対的に身体からの振動以外のノイズ成分が強調されることになる。こ
のため、これらの差分を取ることにより、心拍や肺呼吸などの身体が発する振動を強く検
出することができるのである。なお、図6のベルト61は一例であり、革製、布製、ゴム
製等様々な素材のベルトに適用可能であるし、ベルトの固定方法も図示のものに限定され
るものではない。
[接着によるセンサー設置]
本実施形態では、振動センサー部に接着層を設けるか、別途設けられた接着テープによ
り、振動センサー部を振動源や振動伝搬部材に直接接着させる構成である。接着層は、後
述する振動センサーの外側表面(上部遮蔽層の上面、下部遮蔽層の下面、基板の下面等)
に接着層を設ける。また、振動センサー部の少なくとも一部を覆って、当該覆った部分に
おいて振動センサー部と接着された接着テープを設けてもよい。特に、人の体(皮膚)に
直接振動センサー部を貼付する場合には、接着層又は接着テープは、ジメチルビニル末端
ジメチルシロキサンとテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンの混合させた重
合物を含む接着剤を用いることが好ましい。
[ノイズ対策]
本発明では、ノイズの発生を抑えるために、振動センサーと信号処理装置との間の伝送
路の少なくとも一部に同軸ケーブルを使用する。従来、振動センサーの信号を信号処理装
置に伝送する伝送路として、シールド線が用いられていた。シールド線は、外部からのノ
イズを防ぐことができ、外部からの影響で振動信号にノイズが発生するのを防止していた
。しかし、本発明者は、センサーの出力インピーダンスが高い場合、このシールド線が揺
れたり、動いたりすることにより、シールド線内部のインピーダンスが変化して振動セン
サーから伝送される振動信号にノイズが発生すること、即ち、シールド線自体がノイズ発
生の原因であったことを発見した。特に、振動センサーと信号処理装置との間の距離が離
れると、シールド線が長くなり、シールド線が風や周囲の振動によって動きノイズも大き
くなる。例えば、センサー付近を人が歩いたり、外を車が走ったりするだけでもシールド
線が振動し、信号にノイズが発生することがあった。同軸ケーブルは、たとえ揺れても、
インピーダンス変化が少なく信号に生じるノイズを低減することができた。
また、本発明では、ノイズの発生を抑えるための他の解決手段として、振動センサーと
信号処理装置との間の伝送路の半分よりも振動センサー側にオペアンプまたはFETを設
ける。オペアンプまたはFETを設けることにより、センサーの出力インピーダンスを低
減させることができ、従来のオペアンプまたはFETを具備していない装置に比べて伝送
路内のインピーダンス変化によるノイズを低減することができた。
また、本発明では、ノイズの発生を抑えるための他の解決手段として、振動センサーの
周りを導電体で覆い、さらにかかる導電体を接地して電位を一定とすることでノイズの発
生を抑えた。
振動センサーを保持する部材(例えば、検出対象20、補助部材31等)が振動すると
その振動を振動センサーが感知し、動物から生じる振動に対して雑音となる。このため、
保持部材と振動センサーの合成された固有振動数を必要とされる振動の周波数以上とする
ことが好ましい。例えば、拍動振動及び肺呼吸振動を必要とする場合は、10Hz以上、
8Hz以上、6Hz以上、5Hz以上又は3Hz以上になるよう、保持部材の剛性(素材
の硬さ、長さ、厚さ、形状など)を高めたり、振動センサーの配置、形状等を調整するこ
とが重要である。合成された固有振動数が必要とされる振動の周波数以上であれば、信号
処理において、LPF(例えば、10Hz以下の周波数範囲の通過域を有するローパスフ
ィルタ)による処理で雑音を減らすことができた。特に、合成された固有振動数を50H
z以上にできれば、外部電磁雑音の低減と同時に行えるのでより安価な処理で雑音を減ら
すことができる。一般に、日本の電力線の周波数は、50Hz又は60Hzであるため、
50Hz又は60Hzの振動は空間に充満しており、外部電磁雑音となる。このため、少
なくとも50Hz又は60Hzを含む領域については除去する必要があり、固有振動数を
この除去される範囲にすれば、外部電磁雑音と併せて一度に除去できるのである。また、
音声振動も検知する場合には、合成された固有振動数を必要とされる音声振動の周波数以
上とすることが好ましく、例えば、400Hz以上、800Hz以上、1kHz以上又は
1.5kHz以上とする。または、合成された固有振動数を必要とされる音声振動の周波
数以下(例えば100Hz)で、且つ拍動信号の周波数以上(例えば10Hz)としても
よい。実際、25HzのLPFによって拍動振動及び肺呼吸振動を含む信号を抽出し、1
00HzのHPFによって音声振動を抽出することができた。
さらに、ノイズ低減のために、振動センサーを保持する部材(例えば、検出対象20、
補助部材31等)と振動センサーとの間に、弾性部材を設けることも好ましい。弾性部材
としては、ゴム、板バネ、高分子材料(例えば、ポリウレタン、ポリエステル)、クッシ
ョン材、スポンジ材、布類等を使用することができる。弾性部材は、平板状でもよいし、
振動センサーを保持する部材に対向する面において、凸部を有する構造であっても、凹部
を有する構造であってもよい。また、振動センサーに対向する面において、凸部又は凹部
を設け、信号増幅手段を兼ねる構成であってもよい。
[振動センサー]
次に、本発明で用いる振動センサー10の構成の一例について説明する。図7は本発明
の振動信号センサーの構成例を示している。振動センサー10は、少なくとも振動センサ
ー素材(PVDF、ポリオレフィン系材料等)51と、振動センサー素材51を挟んで上
下に設けられた正電極層52及び負電極層53を有している。負電極層52は一定電位と
して、振動センサー素材51の変位によって発生した信号を正電極層52から取り出すよ
うに構成することができる。さらに、振動センサー10は、外部からの各種雑音特に電磁
雑音を排除するため、一定電位に保持された上部遮蔽層(電磁シールド用フィルム)54
及び下部遮蔽層(電磁シールド用フィルム)55で全体を覆うことが好ましい。ここで、
上部遮蔽層54及び下部遮蔽層55を負電極層53と同一の電位とすることもでき、この
場合には、上部遮蔽層54又は下部遮蔽層55の一方を負電極層53によって構成するこ
ともできる。また、上部遮蔽層54又は下部遮蔽層55と正電極層52との間には、絶縁
層(絶縁シート)56が配置され、両者を絶縁している。さらに、これら全体を保持する
板状又はフィルム状の基板57が必要に応じて設けられる。基板57自体を保持部材(検
出対象や補助部材)としてもよいし、振動センサーの基板57を保持部材に接着してもよ
い。正電極層52及び負電極層53には図示しない取り出し端子が接続されており、それ
ぞれ電極に対して電圧の印加又は電極からの信号の出力を可能としている。
振動センサー素材51、正電極層52及び負電極層53は薄いフィルム状でもよいし、
薄膜を積層構造であってもよい。例えば、基板57の上に、下部遮蔽層としても機能する
負電極層53となる金属薄膜を形成し、その上に振動センサー素材51の薄膜を積層し、
さらに振動センサー素材51の上に正電極層52となる金属薄膜を形成し、全体を覆って
絶縁層56となる薄膜を形成し、最後に上部遮蔽層54となる金属薄膜を形成してもよい
。なお、必要に応じて、適宜各膜はパターニング等で成形される。
また、図1で示した信号増幅手段11は、図7では、振動センサーとは別に設けられ、
例えば、振動センサーの上方に凹凸面を下に向けた状態で配置される。しかし、信号増幅
手段11を振動センサー内に設けることもできる。図8(A)及び(B)は、信号増幅手
段を内蔵した振動センサーの一例である。
図8(A)は、凹凸面を有する絶縁層58が信号増幅手段としても機能する。図8(A
)において、絶縁層58は、凹凸面を下向きに配置しており、正電極層52を介して振動
センサー素材51に対して、不均一な圧力を加えることができる。図8(B)は、振動セ
ンサー素材の上に凹凸面を有する絶縁層58を設け、さらに、振動センサー素材の下に凹
凸面を有する下部遮蔽層59を設けた構造である。下部遮蔽層59は、凹凸面を上向きに
配置しており、負電極層53を介して振動センサー素材51に対して、不均一な圧力を加
えることができる。特に図8(B)では、絶縁層58の凹凸と下部遮蔽層59の凹凸とが
互い違いになるように配置されているので、より大きな変位を振動センサー素材51に与
えることができる。なお、正電極層、負電極層、上側遮蔽層、基板に凹凸面を設けて、信
号増幅手段としても機能させてもよいし、別途凹凸面を有する信号増幅層を追加してもよ
い。
検出対象に振動センサーを配置する場合は、上部遮蔽層54又は下部遮蔽層55が補助
部材、検出対象と接するように配置することが好ましい。
絶縁層56は正電極層52と上部遮蔽層54との絶縁を確保するもので、心肺振動など
の1Hz以下の振動を読み取る場合には、絶縁層の厚さに無関係に、十分な出力値が得ら
れるが、周波数の増加に対応して、出力値が小さくなり、鼾とか寝言の信号といった10
0乃至500Hz付近の周波数の振動の場合は出力されなくなった。これは、絶縁層56
によって、外部からの外来雑音が正電極層52に影響するのを保護するとともに、鼾とか
寝言の信号といった100乃至500Hz付近の周波数の信号が、静電容量を介して上部
遮蔽層54に漏れたものと推定された。このことを防止するために絶縁層56の厚みを1
0乃至100μmとしたところ、鼾や寝言等の音声に起因する振動信号を受けることがで
きた。即ち、振動センサー30の静電容量に比べて上部遮蔽層54と絶縁層56と正電極
層52とで作る静電容量は10分の1以下にする必要が分かった。また、振動センサー素
材(PVDF)51の抵抗、及び正電極層52と振動センサー素材51との間の抵抗など
の合計された抵抗値Rと、上部遮蔽層54と絶縁層56と正電極層52との間にできるコ
ンデンサーの静電容量Cとの積C×Rより決まる時定数(1/(C×R))が低くなると
、100Hz乃至500Hz付近の振動である鼾や寝言などの音声成分を出力できなくな
る。
このため、この音声信号を出力するためには、絶縁層の厚みは、センサー本体の面積、
絶縁層の比誘電率を換算しても最低1μm以上が必要であるが、10μm乃至100μm
以上であることが好ましい。更に、上部遮蔽層54と絶縁層56と正電極層52とで構成
されるコンデンサの静電容量は少なくとも1μF以下であることが必要であり、0.1μ
F以下にすることが好ましいことが分かった。
[信号処理]
振動センサーによって検出した身体振動信号は、信号処理回路に出力され、信号処理回
路において、検出した身体振動信号から、心臓の拍動に起因する振動(以下「拍動振動」
という)に関する信号(以下「拍動振動性信号」という)、肺呼吸に起因する振動(以下
「肺呼吸振動」という)に関する信号(以下「肺呼吸振動性信号」という)または音声に
起因する振動(以下「音声振動」という)に関する信号(以下「音声振動性信号」という
)を抽出することができる。かかる身体振動信号、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号ま
たは音声振動性信号は、人の生体情報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、意
思等)を検出するために利用されてもよい。つまり、本発明の振動センサーは、振動信号
抽出方法及び装置に利用可能であり、さらに、動物(人を含む)の生体情報検出方法及び
生体情報検出装置として利用可能であり、各生体情報ごとに特化した方法及び装置として
も利用可能である。例えば、人存在不在検出方法及び装置、生死判定方法及び装置、健康
状態判定方法及び装置、心理状態判定方法及び装置、感情判定方法及び装置、意思検出方
法及び装置等に利用してもよい。
本発明の身体振動信号とは、振動センサーによって検出された信号またはかかる信号を
拍動フィルタ手段、肺呼吸フィルタ手段または音声フィルタ手段に供給する前の前処理を
した信号を含む。また、身体振動信号は、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声
振動性信号の少なくとも2つを含む信号である。前処理としては、増幅アンプによる増幅
処理、体動信号の分離処理などである。また、拍動フィルタ手段及び肺呼吸フィルタ手段
に入力される身体振動信号には、拍動振動性信号及び肺呼吸振動性信号を含み、例えば、
拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号及び音声振動性信号を含む信号から、音声振動性信号
を分離した後の拍動振動性信号及び肺呼吸振動性信号を含む信号が身体振動信号であって
もよい。
本発明の拍動振動性信号とは、拍動フィルタ手段によって身体振動信号から分離した人
の心臓の拍動に起因する拍動振動を含む信号であり、例えば、拍動フィルタ手段として1
Hz〜4Hzの周波数範囲の通過域を有するバンドパスフィルタ(BPF)を通過させた
信号でもよい。また、拍動フィルタ手段の通過域の下限周波数は0.5Hz以上、0.6
Hz以上、0.7Hz以上、0.8Hz以上又は0.9Hz以上であってもよく、上限周
波数は10Hz以下、8Hz以下、6Hz以下、5Hz以下、3Hz以下であってもよい
。拍動フィルタ手段の下限周波数が、肺呼吸フィルタ手段の上限周波数と同じであっても
よいし、肺呼吸フィルタ手段の上限周波数よりも低く、一部範囲が肺呼吸フィルタ手段の
通過域と重畳していてもよい。
本発明の肺呼吸振動性信号とは、肺呼吸フィルタ手段によって身体振動信号から分離し
た肺呼吸に起因する拍動振動を含む信号であり、例えば、肺呼吸フィルタ手段として1H
z以下の周波数範囲の通過域を有するローパスフィルタ(LPF)を通過させた信号でも
よい。なお、肺呼吸フィルタ手段の遮断周波数は0.7Hz、0.8Hz、0.9Hz、
1.1Hz、1.2Hzであってもよい。また、拍動フィルタ手段の下限周波数は、肺呼
吸フィルタ手段の上限周波数と同じであってもよいし、下限周波数の方が低く範囲が重畳
していてもよい。
本発明の音声振動性信号とは、音声フィルタ手段によって身体振動信号から分離した人
の音声に起因する音声振動を含む信号であり、少なくとも声帯の振動を含み、その他の音
声器官(肺、気管、喉頭、咽頭、鼻腔、口腔、舌、歯、唇など)における振動を含んでい
てもよい。音声振動性信号は、例えば、音声フィルタ手段として50Hz〜2kHzの周
波数範囲の通過域を有するバンドパスフィルタ(BPF)を通過させた信号でもよい。な
お、音声フィルタ手段の通過域の下限周波数は4Hz以上、10Hz以上、30Hz以上
、70Hz以上又は100Hz以上であってもよく、上限周波数は400Hz以下、80
0Hz以下、1kHz以下、1.5kHz以下であってもよい。
本発明の信号処理回路は、少なくとも各フィルタ手段及び判定手段の一部または全部が
含まれる。図9は、本実施形態における信号処理装置16の構成の概要を示すブロック図
である。図9においては1つの振動センサー10を信号処理装置16に接続した構成であ
るが、複数の振動センサーを接続してもよい。信号処理装置16は、増幅アンプ110、
拍動フィルタ手段120、肺呼吸フィルタ手段121、音声フィルタ手段122、判定手
段140、記憶装置261を含んでいる。
振動センサー10は、少なくとも人の付近に配置され、人から身体振動信号102を検
出する。振動センサー10は、上記のとおり、凹凸形状を備えた信号増幅手段を凹凸面を
対向させて配置されているか、補助部材に配置されているか、湾曲して設置されているか
、若しくはこれらの手段を複数組み合わせて、発生する信号強度を高めている。振動セン
サー10は、信号処理装置16の増幅アンプ110に接続されており、振動センサー10
で検出された身体振動信号102が増幅アンプ110によって増幅される。増幅アンプ1
10の出力は、拍動フィルタ手段120、肺呼吸フィルタ手段121及び/または音声フ
ィルタ手段122に接続されており、増幅された身体振動信号104が各フィルタ手段1
20、121、122に入力される。なお、図示していないが、増幅された身体振動信号
104は、直接判定手段に入力されてもよい。拍動フィルタ手段120は、増幅された身
体振動信号104に基づいて、人の心臓の拍動に起因する拍動振動性信号123を抽出す
る。肺呼吸フィルタ手段121は、増幅された身体振動信号104に基づいて、人の肺呼
吸に起因する肺呼吸振動性信号124を抽出する。音声フィルタ手段122は、増幅され
た身体振動信号104に基づいて、音声に起因する音声振動性信号126を抽出する。こ
れらの増幅された身体振動信号104、拍動振動性信号123、肺呼吸振動性信号124
及び音声振動性信号126は、判定手段140に入力され、身体振動信号により、拍動振
動により、または、肺呼吸振動により、または拍動振動と他の振動により、人の生体情報
(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、意思等)を検出するために利用される。
本実施の形態において、増幅アンプ110は、振動センサーと拍動フィルタ手段、肺呼
吸フィルタ手段または音声フィルタ手段122との間に設けられ、増幅後の身体振動信号
(拍動振動、肺呼吸振動及び音声振動の少なくとも2つを含む)の最大振幅が信号処理回
路の入力信号の電圧範囲内となるように設定されている。例えば、拍動振動性信号、肺呼
吸振動性信号または音声振動性信号の最大値(数十mV)が、信号処理回路の入力信号の
電圧範囲(例えば5V:±2.5V)の50%(1.25V)〜10%(250mV)と
なるように設計する。拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号の最大値
(数十mV)については、使用する振動センサーの感度、使用環境(人との間の遮蔽物の
素材、距離など)で変動するので、予め所定の環境の下で実験して確認することができる
本実施の形態においては、増幅された身体振動信号104から抽出された拍動振動性信
号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号の最大値は、信号処理回路の入力信号の電圧
範囲の半分以下しかないので、各フィルタ手段120、121、122と判定手段140
との間に、第2の増幅アンプを設け、2倍〜10倍に増幅し、信号処理回路の入力信号の
電圧範囲を有効に利用し、SN比を高めることが好ましい。
拍動フィルタ手段120は、少なくとも身体振動信号102に基づいて、人の心臓の拍
動に起因する拍動振動性信号123を抽出する。身体振動信号102に基づいて抽出する
とは、身体振動信号102に予め前処理(ドリフト成分除去、増幅又は体動振動信号除去
)を行った後に、拍動フィルタ手段120によって抽出することを含む。拍動フィルタ手
段120は、コンデンサや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(LPF
)やハイパスフィルタ(HPF)のアナログフィルタ、又は身体振動信号102であるア
ナログ信号をA/Dコンバータでデジタル信号に変換し数値化されたデータをもとにCP
U(中央処理装置)の演算処理にてフィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一
方又は双方で構成することができる。なお、デジタルフィルタにあっては、フィルタ処理
部専用のA/Dコンバータ及びCPUで構成することも可能であるが、判定手段140の
A/Dコンバータ及びCPUで処理することもできる。
具体的な拍動フィルタ手段120としては、例えば、1Hz〜4Hzの周波数範囲の通
過域を有するバンドパスフィルタ(BPF)を利用することができる。また、拍動フィル
タ手段の通過域の下限周波数は0.5Hz以上、0.6Hz以上、0.7Hz以上、0.
8Hz以上又は0.9Hz以上であってもよく、上限周波数は10Hz以下、8Hz以下
、6Hz以下、5Hz以下、3Hz以下であってもよい。また、拍動フィルタ手段120
として、後述する本発明のフィルタリング処理方法を実施するものでものよい。
肺呼吸フィルタ手段121は、身体振動信号102に基づいて、人の肺呼吸に起因する
肺呼吸振動性信号124を抽出する。身体振動信号102に基づいて抽出するとは、身体
振動信号102に予め前処理(ドリフト成分除去、増幅又は体動振動信号除去)を行った
後に、肺呼吸フィルタ手段121によって抽出することを含む。肺呼吸フィルタ手段12
1は、コンデンサや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(LPF)のア
ナログフィルタ、又は身体振動信号102であるアナログ信号をA/Dコンバータでデジ
タル信号に変換し数値化されたデータをもとにCPU(中央処理装置)の演算処理にてフ
ィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一方又は双方で構成することができる。
なお、デジタルフィルタにあっては、フィルタ処理部専用のA/Dコンバータ及びCPU
で構成することも可能であるが、判定手段140のA/Dコンバータ及びCPUで処理す
ることもできる。
具体的な肺呼吸フィルタ手段121としては、例えば、1Hz以下の周波数範囲の通過
域(1Hzの遮断周波数)を有するローパスフィルタ(LPF)を利用することができる
。また、肺呼吸フィルタ手段(LPF)の遮断周波数は0.7Hz、0.8Hz、0.9
Hz、1.1Hz、1.2Hzであってもよい。
音声フィルタ手段122は、身体振動信号102に基づいて、音声に起因する音声振動
性信号126を抽出する。身体振動信号102に基づいて抽出するとは、身体振動信号1
02に予め前処理(ドリフト成分除去、増幅又は体動振動信号除去)を行った後に、音声
フィルタ手段122によって抽出することを含む。音声フィルタ手段122は、コンデン
サや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(LPF)やハイパスフィルタ
(HPF)のアナログフィルタ、又は身体振動信号102であるアナログ信号をA/Dコ
ンバータでデジタル信号に変換し数値化されたデータをもとにCPU(中央処理装置)の
演算処理にてフィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一方又は双方で構成する
ことができる。なお、デジタルフィルタにあっては、フィルタ処理部専用のA/Dコンバ
ータ及びCPUで構成することも可能であるが、判定手段140のA/Dコンバータ及び
CPUで処理することもできる。
具体的な音声フィルタ手段122としては、例えば、50Hz〜2kHzの間の通過域
をもつBPFを利用することができる。音声フィルタ手段の通過域の下限周波数は4Hz
以上、10Hz以上、30Hz以上、70Hz以上又は100Hz以上であってもよく、
上限周波数は400Hz以下、800Hz以下、1kHz以下、1.5kHz以下であっ
てもよい。
判定手段140は、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号及び/または音声振動性信号に
基づいて、人の生体情報(生死、健康状態、心理状態、感情)を検出、判定するものであ
り、CPU(信号処理回路)によって構成される。また、入力される信号がアナログ信号
だった場合には、A/Dコンバータが含まれていてもよい。さらに、判定手段140は、
例えば半導体記憶装置やハードディスク装置(HDD)等の記憶装置261と接続されて
いる。判定手段140では、CPUが、抽出された拍動振動性信号123、肺呼吸振動性
信号124または音声振動性信号126と、記憶装置261に記憶された人の生体情報(
生死、健康状態、心理状態、感情)の比較判定の基準となる閾値やサンプル波形を比較し
て、人の生体情報(生死、健康状態、心理状態、感情)を判断する。
例えば、判定手段140は、身体振動から心臓の拍動に起因する拍動振動を抽出して拍
動振動が所定の存在継続時間以上を超えることで、人が振動センサーの検出範囲内に存在
していること、及び拍動振動が無い状態が所定の不在継続時間以上を超えることで、人が
不在であると判断してもよい。また、身体振動から肺呼吸に起因する肺呼吸振動を抽出し
て肺呼吸振動が所定の存在継続時間以上を超えることで、人が振動センサーの検出範囲内
に存在していること、及び肺呼吸振動が無い状態が所定の不在継続時間以上を超えること
で、人が不在であると判断してもよい。また、身体振動から心臓の拍動に起因する拍動振
動と肺呼吸に起因する肺呼吸振動が共に有りの状態が所定の存在継続時間以上を超えるこ
とで、人が振動センサーの検出範囲内に存在していること、及び拍動振動と肺呼吸振動が
共に無い状態が所定の不在継続時間以上を超えることで、人が不在であると判断してもよ
い。また、身体振動から音声振動を抽出して音声振動が所定の存在継続時間以上を超える
ことで、人が振動センサーの検出範囲内に存在していると判断してもよいし、音声振動の
信号波形と予め記憶されている音声振動サンプルとの相関値が一定以上の場合に人からな
んらかの意思表示がなされていると判定してもよい。
通報手段270では、判定手段140からの判定結果125をもとに表示装置に表示し
たり、LEDの点灯やブザーを鳴らしたり、又はナースコール装置への通報や通信回線を
通して外部に通報する。
[実施例1]
本実施例は、図5(B)に示すように、トイレの便座40の裏面に設けられた緩衝部4
1の一つにおいて、当接部材42を取り外し、緩衝部41の内側に窪みを作製し、そこに
振動センサー部1を配置し、再び当接部材42を便座40の緩衝部41に取り付け、便座
に着座した人の振動を検出した。振動センサー部1については、次の2つの構造を採用し
た。
第1の実施形態では、図10(A)及び(B)に示すように、振動センサー部1は、フ
ィルム状の振動センサー81の上下に信号増幅手段として、凹型基板82と凸型押え83
が配置されている。図10(A)は、それぞれ分離した状態であり、(B)は組み合わせ
た状態である。凹型基板82は、全体の大きさは幅10mm、長さ25mmであり、中央
に幅10mm、長さ15mm、深さ1mmの凹部84が設けられている。凸型押え83は
、全体の大きさは幅10mm、長さ25mmであり、中央に幅10mm、長さ5mm、高
さ1mmの凸部85を備えている。この凹型基板82と凸型押え83によって、振動セン
サー81は変形している。なお、振動センサー81の振動センサー素材(図示せず)は、
幅8mm、長さ20mm、厚さ110μmである。第2の実施形態は、振動センサー部1
として、振動センサーのみを配置し、信号増幅手段を設けなかった態様である。
図11は、第1の実施形態における実測値であり、図12は第2の実施形態における実
測値である。それぞれ(A)は、振動センサーから検出された身体振動信号波形であり、
(B)は、(A)の身体振動信号に対し、1Hz〜4Hzの周波数範囲の通過域を有すバ
ンドパスフィルタ(BPF)を通過させて得られた拍動振動性信号波形であり、(C)は
、(A)の身体振動信号に対し、1Hz以下の周波数範囲の通過域(1Hzの遮断周波数
)を有するローパスフィルタ(LPF)を通過させて得られたである。いずれも縦軸が信
号の強度(mV)であり、横軸が時間(s)である。
図11(A)の身体振動信号は、便座に着座した人の信号を検出しており、人がトイレ
に存在することを検出することができる。図12(A)と比較すると、縦軸で示される信
号の強度が3〜4倍も大きくなっており、第1の実施態様では信号増幅手段により信号の
検出感度が改善されていることが確認できる。また、図11(B)に示すように、1Hz
〜4Hzの周波数範囲の通過域を有すバンドパスフィルタ(BPF)を通過させることに
より、便座に着座している人の拍動信号を確認することができる。これも図12(B)と
比較すると、縦軸で示される信号の強度が大きくなっており、第1の実施態様では信号増
幅手段により信号の検出感度が改善されていることが確認できる。また、図11(B)及
び図12(B)においては、拍動振動により、人の在不在の検出だけではなく、人の健康
状態の検出が可能である。
さらに、図11(C)の肺呼吸振動性信号波形により、人の健康状態の検出が可能とな
り、図11(B)と併せることにより、より詳細な健康状態を把握することが可能となる
。図12(C)と比較すると、図11(C)では縦軸で示される信号の強度が大きくなっ
ており、第1の実施態様では信号増幅手段により信号の検出感度が改善されていることが
確認できる。
[実施例2]
本実施例は、人体の胸部に大きさ8mm×20mm、厚さ110μmの振動センサー部
を巻き付け、上からゴム製のバンドで覆って人体に振動センサー部を取り付け、人体の曲
面に合わせて湾曲した状態で振動センサー部を装着した人の振動を検出した。
図13(A)は、振動センサーから検出された身体振動信号波形であり、図13(B)
及び(C)は、そこから抽出された拍動振動性信号波形及び肺呼吸振動性信号波形である
。図13(B)においては、拍動フィルタ手段として、1Hz〜4Hzの周波数範囲の通
過域を有するバンドパスフィルタ(BPF)を使用し、図13(A)の身体振動信号から
拍動振動性信号波形を抽出した。また、図13(C)においては、肺呼吸フィルタ手段と
して、1Hz以下の周波数範囲の通過域(1Hzの遮断周波数)を有するローパスフィル
タ(LPF)を使用し、図13(A)の身体振動信号から肺呼吸振動性信号波形を抽出し
た。いずれも縦軸が信号の強度(mV)であり、横軸が時間(s)である。
図13(B)及び(C)に示すように、胸に装着した振動センサー部によって、人の心
臓の状態や、呼吸の状態を検出することができ、就寝時だけではなく、日常生活において
も人の生体情報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、意思等)を検出、判定す
ることができるようになった。
本発明は、動物、特に人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、検出した身体振
動信号から拍動振動、肺呼吸振動及び音声振動を抽出することができるので、人の生体情
報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、意思等)を検出、判定することができ
る。更には、動物のペットにも同様に適用することが可能である。
[実施例3]
本実施例は、橋梁構造の振動伝搬部材に振動センサーを設け、振動を検出した例である
。図14は、本実施例における振動伝搬部材の概略構成図であり、脚91の上に板92を
架け渡した構造であり、本実施例の板92は下面に凹凸形状を有しており、板92の下面
(凹凸面)に振動センサー10が接着されている。振動センサー10から伝送路12が延
びており、信号処理装置13に接続されている。板92は、幅100mm、長さ400m
mであり、その下面中央に幅50mm、長さ140mmの振動センサー10を配置した。
また、凹凸形状は、凹凸の高さが約0.2mm、凸部の幅が約2mmであり、凹部の幅が
約1mmであり、板91の下面において長手方向に連続的に線状に凹凸が形成されている
図15(A)は、板91の上面にパルス状の振動を印加した場合に振動センサー1で検
出された振動信号であり、図15(B)は、板91の上面を押圧し、板91に曲げひずみ
を印加させた場合に振動センサー1で検出された振動信号である。図15(A)に示す信
号波形は上下に鋭いピークが断続的に生じている。一方、図15(B)に示す信号波形は
緩やかなピークが連続的に生じている。このように、振動源の発生源の特徴に応じて、信
号の性質が異なるために、印加された圧力振動 の分類、圧力振動の周波数に応じた印加
応力の分布計算、および信号強度から印加された圧力の強さを数値計算する等の信号解析
を行い、 経時変化データを取得することにより、振動伝搬部材の寿命、劣化速度を解析
し診断することも可能である。
[実施例4]
本実施例は、トイレの便座50の表面に振動センサー部1を配置し、その上に便座40
を当接させて、便座に着座した人の振動を検出した。実施例4−1は、図16(B)に示
すように、陶器製の便器50の上に直接振動センサー部1を配置した構造であり、実施例
4−2は、図16(C)に示すように、振動センサー部1と便器50との間に平板状のゴ
ム板を弾性部材51として設けた構造である。なお、実施例4−2において、弾性部材5
1については、厚さ1mm、3mm、5mmの3つを準備し、それぞれ振動センサー部1
からの振動信号を検出した。
実施例4では、振動センサー部1は、図16(B)及び(C)に示すように、フィルム
状の振動センサー10の上に凹面を下向きに配置した信号増幅手段11Aと、振動センサ
ー10の下に凸面を上向きに配置した信号増幅手段11Bとを設けた構造である。また、
実施例4−2では、図16(C)のとおり、凸面を上向きに配置した信号増幅手段11B
と便器50との間に平板状の弾性部材51を配置した。実施例4においては、振動センサ
ー部及び弾性部材の大きさは、幅10mm、長さ25mmであり、信号増幅手段11Aの
凹面には、中央に幅10mm、長さ15mm、深さ1mmの凹部が設けられ、信号増幅手
段11Bの凸面には、中央に幅10mm、長さ5mm、高さ1mmの凸部が設けられてい
る。信号増幅手段11A、11Bの凸部及び凹部によって、振動センサー10は変形して
いる。なお、振動センサー81の振動センサー素材(図示せず)は、幅8mm、長さ20
mm、厚さ110μmである。
図17は、10Hz以下の周波数範囲の通過域を有するローパスフィルタ(LPF)に
よりフィルタリングした後の身体振動信号の周波数分析結果を示す図であり、(A)は実
施例4−1、(B)は実施例4−2の厚さ1mm、(C)は実施例4−2の厚さ3mm、
(D)は実施例4−2の厚さ5mmにおける結果である。いずれも縦軸が信号の強度(任
意単位)であり、横軸が周波数(Hz)である。
図18は、拍動フィルタ手段として1Hz〜4Hzの周波数範囲の通過域を有するバン
ドパスフィルタ(BPF)を使用して、身体振動信号から抽出した拍動振動性信号波形で
あり、(A)は実施例4−1、(B)は実施例4−2の厚さ1mm、(C)は実施例4−
2の厚さ3mm、(D)は実施例4−2の厚さ5mmにおける測定結果である。いずれも
縦軸が信号の強度(単位:任意単位)であり、横軸が時間(秒)である。
図17(A)に示すように、陶器製の便器50に直接振動センサーを設置した場合には
、4〜6Hzにおいて多数のピークが観察された。これらの4〜6Hzのピークは、図1
8(A)に示す拍動振動性信号において、本来必要とする拍動振動に重畳して検出される
ため、拍動振動に由来する振動が確認しづらくなってしまう。この点、図17(B)〜(
D)に示すように、弾性部材51を便器との間に介在させると、弾性部材51が厚くなる
につれて、3〜4Hzのピークが強調されており、図18(B)〜(D)に示すように、
約0.8〜0.9秒間隔の鋭いピークが顕著になった。この被験者の正常心拍数が70前
後であるので、ピークの間隔が約0.8〜0.9秒間隔となり、ピークの鋭さが4Hz相
当の約0.1秒であった。なお、4Hzのサイン波は1秒間に4つの波を形成するため、
正の値を示す時間は1/8秒=0.125秒となり、パルスの幅を1/eの位置で定義す
ると、ピークの鋭さは約0.1秒となる。
10 振動センサー
11 信号増幅手段
20、30 検出対象
31 補助部材

Claims (1)

  1. 検出対象に突設又は架設された補助部材と、
    前記検出対象に接触した振動センサーとを有し、
    前記補助部材に前記振動センサーが設けられていることを特徴とする振動センサー部。
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