JP6495501B2 - 生体情報検出装置 - Google Patents

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修 池田
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Description

本発明は、動物、特に人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、検出した身体振
動信号から拍動振動、肺呼吸振動または音声振動等を抽出する振動信号抽出装置及び振動
信号抽出方法に関する。また、本発明は、抽出した拍動振動、肺呼吸振動または音声振動
等によって人の生体情報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、意思等)を検出
できるようにした人の生体情報検出装置及び生体情報検出方法に関する。
ベッドで睡眠中の患者の状態を把握することは、介護業務として必要であるが、介護者
の負担を軽減するために患者の状態を自動的に監視して、異常があった時、外部に通知す
るシステムが望まれている。従来、睡眠中の患者の動きを束縛せずに、睡眠状態を把握す
るために指先に血圧計を取り付けたり、振動計を腰に巻くといった患者の身体に密着した
方法を用いていた。これらの方法でも、身体にセンサーを密着させるため、信号が常に得
られる点で信頼性が高いが、患者が嫌がること、センサーが外れると状態を把握できない
ことなどの問題があった。このため、非拘束タイプのシステムが考慮されてきている(特
許文献1)。
特許文献1には、非拘束タイプの振動センサーを用いた人の存在不在を検出する人存在
不在検出方法及び人存在不在検出装置が開示されている。特許文献1の方法では、人の身
体から発生する振動を振動センサーによって検出して身体振動信号を取得し、取得した身
体振動信号を差動信号増幅アンプによって増幅した後、対象とする人に起因する身体振動
である心臓の拍動(心拍数換算:30〜240回/分、周波数帯域換算:0.5〜4Hz
)による振動、肺呼吸活動(呼吸数換算:60回/分以下、周波数帯域換算:1Hz以下
)による振動、鼾に起因する鼾振動を分離フィルタ機能を用いて抽出することが開示され
ている。特許文献1の人存在不在検出方法及び人存在不在検出装置によれば、心臓の拍動
に起因する拍動振動、肺呼吸活動に起因する肺呼吸振動または鼾振動が有りの状態が所定
の存在継続時間以上を超えることで、人が所定場所に存在していること、及び拍動振動、
肺呼吸振動または鼾振動が無い状態が所定の不在継続時間以上を超えることで、人が所定
場所に不在であると判定している。
特許文献1の人存在不在検出装置では、1個の振動センサーを用いて身体振動信号を取
得し、身体振動信号をフィルタにより分離して呼吸、心拍、鼾、体動の4つの信号を得て
いた。フィルタは、コンデンサや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(
LPF)やハイパスフィルタ(HPF)のアナログフィルタ、又は身体振動信号をA/D
コンバータでデジタル信号に変換し数値化されたデータをもとにCPU(中央処理装置)
の演算処理にてフィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一方又は双方で構成す
ることが開示されている。
特開2013−210367号公報
本発明は、特許文献1の人存在不在検出装置を実際に使用し、振動センサーを人体に隣
接して配置した場合に生じた新たな幾つもの問題点のうち、少なくともその一部の問題を
解決することを目的とするものである。
前記した課題を解決するために、本発明の振動信号抽出装置は、人が発する身体の振動
を振動センサーで検出し、検出した身体振動信号から拍動振動性信号及び肺呼吸振動性信
号を抽出する振動信号抽出装置であって、少なくとも人の腰部または臀部から第1の身体
振動信号を検出する第1の振動センサーと、少なくとも人の胸部から第2の身体振動信号
を検出する第2の振動センサーと、少なくとも前記第1の身体振動信号に基づいて、拍動
振動性信号を抽出する拍動フィルタ手段と、少なくとも前記第2の身体振動信号に基づい
て、肺呼吸振動性信号を抽出する肺呼吸フィルタ手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の他の振動信号抽出装置は、人が発する身体の振動を振動センサーで検出
し、検出した身体振動信号から拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号
を抽出する振動信号抽出装置であって、人が発する身体の振動を検出する振動センサーと
、前記振動センサーが検出した身体振動信号を処理する信号処理回路とを有し、前記信号
処理回路は、前記身体振動信号に基づいて、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音
声振動性信号を抽出するフィルタ手段と、前記フィルタ手段で抽出された信号が入力され
る判定手段とを含み、前記振動センサーと前記フィルタ手段との間に、増幅後の身体振動
信号の最大振幅が前記信号処理回路の入力信号の電圧範囲内となるような増幅アンプを設
けたことを特徴とする。
また、本発明の他の振動信号抽出装置は、人が発する身体の振動を振動センサーで検出
し、検出した身体振動信号から拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号
を抽出する振動信号抽出装置であって、人が発する身体の振動を検出する振動センサーと
、前記振動センサーが検出した身体振動信号を処理する信号処理回路とを有し、前記信号
処理回路は、前記身体振動信号に基づいて、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音
声振動性信号を抽出するフィルタ手段と、前記フィルタ手段で抽出された信号が入力され
る判定手段とを含み、前記フィルタ手段と前記判定手段との間に増幅アンプを設け、前記
フィルタ手段で抽出された信号を増幅させることを特徴とする。
また、本発明の他の振動信号抽出装置は、人が発する身体の振動を振動センサーで検出
し、検出した身体振動信号から拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号
を抽出する振動信号抽出装置であって、人が発する身体の振動を検出する振動センサーと
、前記振動センサーが検出した身体振動信号を処理する信号処理回路とを有し、前記信号
処理回路は、前記身体振動信号に基づいて、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音
声振動性信号を抽出するフィルタ手段を含み、前記振動センサーと前記フィルタ手段との
間に、ドリフト遮断手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明の他の振動信号抽出装置は、人が発する身体の振動を振動センサーで検出
し、検出した身体振動信号から拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号
を抽出する振動信号抽出装置であって、人が発する身体の振動を検出する振動センサーと
、前記振動センサーが検出した身体振動信号を処理する信号処理回路とを有し、前記信号
処理回路は、前記身体振動信号に基づいて、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音
声振動性信号を抽出するフィルタ手段と、前記フィルタ手段で抽出された信号が入力され
る判定手段とを含み、前記振動センサーの周縁部に前記信号処理回路が一体的に設けられ
ており、前記信号処理回路を覆って設けられたカバーの少なくとも一部を接地させたこと
を特徴とする。
また、本発明の他の振動信号抽出装置は、人が発する身体の振動を振動センサーで検出
し、検出した身体振動信号から拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号
を抽出する振動信号抽出装置であって、人が発する身体の振動を検出する振動センサーと
、前記振動センサーが検出した身体振動信号を伝送する伝送路と、前記伝送路によって伝
送された身体振動信号を処理する信号処理回路とを有し、前記信号処理回路は、前記身体
振動信号に基づいて、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号を抽出す
るフィルタ手段を含み、前記伝送路の少なくとも一部に同軸ケーブルを使用することを特
徴とする。
また、本発明の他の振動信号抽出装置は、人が発する身体の振動を振動センサーで検出
し、検出した身体振動信号から拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号
を抽出する振動信号抽出装置であって、人が発する身体の振動を検出する振動センサーと
、前記振動センサーが検出した身体振動信号を伝送する伝送路と、前記伝送路によって伝
送された身体振動信号を処理する信号処理回路とを有し、前記信号処理回路は、前記身体
振動信号に基づいて、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号を抽出す
るフィルタ手段を含み、前記伝送路の半分よりも前記振動センサー側にオペアンプまたは
FETを設けたことを特徴とする。
また、本発明の生体情報検出装置の一つは、人が発する身体の振動を振動センサーで検
出し、検出した身体振動信号から音声振動性信号を抽出し、前記音声振動性信号によって
人の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、人が発する身体の振動を検出する振
動センサーと、前記振動センサーが検出した身体振動信号を処理する信号処理回路とを有
し、前記信号処理回路は、前記身体振動信号に基づいて、音声振動性信号を抽出する音声
フィルタ手段と、前記音声フィルタ手段で抽出された前記音声振動性信号が入力される信
号処理回路とを有し、前記信号処理回路は、前記音声振動性信号の波形と記憶された音声
振動サンプルとの相関をとることを特徴とする。
また、本発明のフィルタリング方法の一つは、人が発する身体の振動を振動センサーで
検出し、検出した身体振動信号からフィルタ手段によって拍動振動性信号、肺呼吸振動性
信号または音声振動性信号を抽出するフィルタリング方法であって、前記フィルタ手段の
減衰域における減衰後の信号の最大強度が、前記フィルタ手段の通過域における通過後の
信号の最大強度よりも弱くなるまで前記フィルタ手段を繰り返し実行し、前記通過域にお
ける信号の最大強度未満の強度の閾値が1となるように前記フィルタ手段を通過した信号
の信号強度を換算し、換算後の信号強度xについて、f(x)=xnの関数(nは2以上
の整数)を演算することを特徴とする。
また、本発明の後処理方法の一つは、人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、
検出した身体振動信号から抽出した拍動振動性信号の後処理方法であって、前記拍動振動
性信号の最大振幅強度よりも小さい閾値が1となるように前記拍動振動性信号の信号強度
を換算し、換算後の信号強度xについて、f(x)=xnの関数(nは2以上の整数)を
演算することを特徴とする。
また、本発明の振動信号抽出方法の一つは、妊婦が発する身体の振動を振動センサーで
検出し、検出した身体振動信号から胎児の拍動振動性信号を抽出する振動信号抽出方法で
あって、妊婦の腰部または臀部から身体振動信号を検出する振動センサーと、前記身体振
動信号に対し、胎児用拍動フィルタ手段により、胎児の拍動振動を抽出することを特徴と
する。
また、本発明の振動信号抽出方法の他の一つは、妊婦が発する身体の振動を振動センサ
ーで検出し、検出した身体振動信号から胎児の拍動振動性信号を抽出する振動信号抽出方
法であって、妊婦の腰部または臀部から第1の身体振動信号を検出する第1の振動センサ
ーと、妊婦の胸部から第2の身体振動信号を検出する第2の振動センサーと、を有し、少
なくとも前記第1の身体振動信号に基づいて、第1の拍動振動性信号を抽出し、少なくと
も前記第2の身体振動信号に基づいて、第2の拍動振動性信号を抽出し、前記第1の拍動
振動性信号から前記第2の拍動振動性信号を除算して、胎児の拍動振動性信号を抽出する
ことを特徴とする。
本発明によれば、第1の振動センサーによって人の腰部または臀部から取得した第1の
身体振動信号に基づいて拍動振動を抽出し、第2の振動センサーによって人の胸部から取
得した第2の身体振動信号に基づいて肺呼吸振動を抽出するので、容易に拍動振動及び肺
呼吸振動を抽出することができ、人の心身の状態を把握することができる。さらに、第1
の身体振動信号に含まれる拍動振動成分が強く、第2の身体振動信号に含まれる肺呼吸振
動成分が強いため、減衰域における減衰量が少なくても、拍動振動及び肺呼吸振動を抽出
することができる。つまり、少ないフィルタ次数のフィルタリング手段によっても抽出が
可能であり、リアルタイムでの判定が可能である。
また、本発明のフィルタリング方法を採用した場合には、フィルタリング手段の減衰域
における信号の強度に応じてフィルタリング処理を終えることができ、従来の一律なフィ
ルタリング処理に比べると、信頼性向上と短時間化の両方を実現することができる。本発
明のフィルタリング方法によれば、上記のような複数の振動センサーを使用しなくても、
ある程度の時間で拍動振動及び肺呼吸振動を抽出することも可能である。
また、本発明の後処理方法では、身体振動信号から抽出した拍動振動性信号に対して後
処理を行うことにより、心電図波形に似た波形とすることができ、拍動振動性信号波形の
各拍動間の期間の推移などから、心理状態、疲労度などを検出するために応用することも
可能となる。
また、本発明の他の一つでは、振動センサーから増幅アンプまでの間にドリフト遮断手
段を設けることにより、振動センサー内の温度変化によって発生する焦電効果によるドリ
フト成分を身体振動信号から除去することができ、安定して、信頼性のある信号抽出が可
能となる。その他の効果については、発明を実施するための形態において述べる。
(A)は拍動振動性信号波形のシミュレーション結果、(B)は肺呼吸振動性信号のシミュレーション結果、(C)は拍動振動性信号と肺呼吸振動性信号とを重ねた合成信号波形 (A)は信号処理回路で検出される波形、(B)は分離後の拍動振動性信号と肺呼吸振動性信号の波形 実施形態の一つにおける信号処理装置の概要構成を示すブロック図。 実施形態の一つにおける信号処理装置の概要構成を示すブロック図。 (A)は拍動振動性信号波形のシミュレーション結果、(B)は肺呼吸振動性信号のシミュレーション結果、(C)は拍動振動性信号と肺呼吸振動性信号とを重ねた合成信号波形 (A)は信号処理回路で検出される波形、(B)は分離後の拍動振動性信号と肺呼吸振動性信号の波形 非拘束型の第1及び第2の振動センサーの配置例を示す図。 (A)は第1の身体振動信号の波形、(B)はその拍動振動性信号の波形、(C)はその肺呼吸振動性信号の波形 (A)は第2の身体振動信号の波形、(B)は肺呼吸振動性信号の波形、(C)はその拍動振動性信号の波形 (A)は第2の身体振動信号の周波数特性、(B)はHPF通過後の周波数特性、(C)はLPF通過後の周波数特性 (A)拍動振動性信号の波形、(B)は心電図波形 (A)はドリフトが生じた身体振動信号の信号波形、(B)は信号処理回路で検出される波形、(C)はドリフト成分を除去した身体振動信号の波形 実施例における信号処理装置の概要構成を示すブロック図。
本発明は、人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、信号処理回路によって、検
出した身体振動信号から、心臓の拍動に起因する振動(以下「拍動振動」という)に関す
る信号(以下「拍動振動性信号」という)、肺呼吸に起因する振動(以下「肺呼吸振動」
という)に関する信号(以下「肺呼吸振動性信号」という)または音声に起因する振動(
以下「音声振動」という)に関する信号(以下「音声振動性信号」という)を抽出する振
動信号抽出方法及び装置に関するものであり、かかる拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号
または音声振動性信号は、人の生体情報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、
意思等)を検出するために利用されてもよい。つまり、本発明の振動信号抽出方法及び装
置は、人の生体情報検出方法及び生体情報検出装置として利用可能であり、各生体情報ご
とに特化した方法及び装置としても利用可能である。例えば、人存在不在検出方法及び装
置、生死判定方法及び装置、健康状態判定方法及び装置、心理状態判定方法及び装置、感
情判定方法及び装置、意思検出方法及び装置等に利用してもよい。
本発明の身体振動信号とは、振動センサーによって検出された信号またはかかる信号を
拍動フィルタ手段、肺呼吸フィルタ手段または音声フィルタ手段に供給する前の前処理を
した信号を含む。また、身体振動信号は、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声
振動性信号の少なくとも2つを含む信号である。前処理としては、増幅アンプによる増幅
処理、体動信号の分離処理などである。また、拍動フィルタ手段及び肺呼吸フィルタ手段
に入力される身体振動信号には、拍動振動性信号及び肺呼吸振動性信号を含み、例えば、
拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号及び音声振動性信号を含む信号から、音声振動性信号
を分離した後の拍動振動性信号及び肺呼吸振動性信号を含む信号が身体振動信号であって
もよい。
本発明の拍動振動性信号とは、拍動フィルタ手段によって身体振動信号から分離した人
の心臓の拍動に起因する拍動振動を含む信号であり、例えば、拍動フィルタ手段として1
Hz〜4Hzの周波数範囲の通過域を有するバンドパスフィルタ(BPF)を通過させた
信号でもよい。また、拍動フィルタ手段の通過域の下限周波数は0.5Hz以上、0.6
Hz以上、0.7Hz以上、0.8Hz以上又は0.9Hz以上であってもよく、上限周
波数は10Hz以下、8Hz以下、6Hz以下、5Hz以下、3Hz以下であってもよい
。拍動フィルタ手段の下限周波数が、肺呼吸フィルタ手段の上限周波数と同じであっても
よいし、肺呼吸フィルタ手段の上限周波数よりも低く、一部範囲が肺呼吸フィルタ手段の
通過域と重畳していてもよい。
本発明の肺呼吸振動性信号とは、肺呼吸フィルタ手段によって身体振動信号から分離し
た肺呼吸に起因する拍動振動を含む信号であり、例えば、肺呼吸フィルタ手段として1H
z以下の周波数範囲の通過域を有するローパスフィルタ(LPF)を通過させた信号でも
よい。なお、肺呼吸フィルタ手段の遮断周波数は0.7Hz、0.8Hz、0.9Hz、
1.1Hz、1.2Hzであってもよい。また、拍動フィルタ手段の下限周波数は、肺呼
吸フィルタ手段の上限周波数と同じであってもよいし、下限周波数の方が低く範囲が重畳
していてもよい。
本発明の音声振動性信号とは、音声フィルタ手段によって身体振動信号から分離した人
の音声に起因する音声振動を含む信号であり、少なくとも声帯の振動を含み、その他の音
声器官(肺、気管、喉頭、咽頭、鼻腔、口腔、舌、歯、唇など)における振動を含んでい
てもよい。音声振動性信号は、例えば、音声フィルタ手段として50Hz〜2kHzの周
波数範囲の通過域を有するバンドパスフィルタ(BPF)を通過させた信号でもよい。な
お、音声フィルタ手段の通過域の下限周波数は4Hz以上、10Hz以上、30Hz以上
、70Hz以上又は100Hz以上であってもよく、上限周波数は400Hz以下、80
0Hz以下、1kHz以下、1.5kHz以下であってもよい。
本発明の振動センサーは、人の体の近傍に配置され、人が発する身体の振動を検出でき
れば足りる。振動センサーとしては、ピエゾ素子が好適に用いられるが、その他のセンサ
ーを用いてもよい。ピエゾ素子の素材としては、例えば、多孔性ポリプロピレンエレクト
レットフィルム(Electro Mechanical Film(EMFI))、また
はPVDF(ポリフッ化ビニリデンフィルム)、またはポリフッ化ビニリデンと三フッ化
エチレン共重合体(P(VDF−TrFE))、又はポリフッ化ビニリデンと四フッ化エ
チレン共重合体(P(VDF−TFE))を用いてもよい。また、本発明の信号処理回路
は、少なくとも各フィルタ手段及び判定手段の一部または全部が含まれる。
[拍動振動と肺呼吸振動の分離の困難性]
特許文献1においては、1個の振動センサーをベッドのベッドパットまたはマットレス
の上部や下部、または敷き布団の上部や下部に配置し、人の身体の振動を取得することが
開示されている。しかし、実際に実験を重ねたところ、個人差やばらつきがあるものの、
1個の振動センサーを用いて取得された身体振動信号から、拍動振動及び肺呼吸振動の両
方又は何れかを抽出できないことがあった。特に、特許文献1の図1に示されているよう
に、人の胸部に振動センサーを配置したところ、胸部から取得した身体振動信号からは、
肺呼吸振動を抽出することは比較的容易であったが、拍動振動を抽出することが困難であ
った。
本発明者らは、かかる困難性が、差動信号増幅アンプによる増幅と、拍動振動と肺呼吸
振動とが重なって検出されることが原因の一つであることを発見した。さらに、本発明者
らは、非拘束タイプの振動センサーにおいて、身体振動信号に含まれる拍動振動成分と肺
呼吸振動成分の割合が検出部位(検出対象の人のどの位置から身体振動信号を検出したか
)に応じて異なるという知見を見出し、人の胸部に振動センサーを配置したところ、胸部
から取得した身体振動信号が、拍動振動成分の最大振幅強度と肺呼吸振動成分の最大振幅
強度とがほぼ同程度に検出された。
振動センサーから取得した身体振動信号に含まれる拍動振動成分、肺呼吸振動成分及び
音声振動成分は、数μV〜数十mVと低いうえに電圧強度の範囲も広かった。数μVとい
う低い電圧の信号も、それより四桁も大きい数十mVという電圧の信号も読み取るために
、身体振動信号は、拍動フィルタ手段及び配信号フィルタ手段などに入力される前に、差
動信号増幅アンプによって、拍動振動性信号または肺呼吸振動性信号の最大値(数十mV
)が、信号処理回路の入力信号の電圧範囲(例えば5V)と同程度になるまで増幅させて
いた。しかし、胸部から取得した身体振動信号は、拍動振動成分も、肺呼吸振動成分も比
較的強い強度で検出され、それらの成分が重畳することから、信号処理回路の入力信号の
電圧範囲(数V)を超える部分が生じ、これによって、特に拍動振動性信号の検出を困難
なものにしていたことを本発明者らは解明したのである。
かかる原因について、図1及び図2のシミュレーションした信号波形を用いて説明する
。図1(A)は拍動振動性信号波形のモデルであり、大きな振幅のピークと小さな振幅の
ピークとが交互に生じている。図1(B)は肺呼吸振動性信号のモデルであり、単純なサ
イン波としている。図1(C)は、図1(A)及び(B)の拍動振動性信号と肺呼吸振動
性信号とを重ねた合成信号波形である。図2(A)は、図1(C)のうち、信号処理回路
の入力信号の電圧範囲5V(±2.5V)で検出される波形であり、図1(C)のうち2
.5Vを超える部分がカットされてしまい上限値である2.5Vで一定となっている。図
2(B)は、図2(A)の合成信号波形をフィルタ手段によって分離した拍動振動性信号
(実線)と肺呼吸振動性信号(点線)の波形である。図1及び図2において、横軸は時間
であり、縦軸は信号電圧(ボルト)であるが、胸部から取得された身体振動信号では、拍
動振動成分も肺呼吸振動成分も比較的強い強度で検出されること、信号処理回路の入力信
号の電圧範囲を5V(±2.5V)に設定したことから、図1(A)及び(B)の最大振
幅を2〜2.5V程度となるように設定した。
図2(B)において、肺呼吸振動性信号はサイン波形であり、図1(B)とほぼ同じ波
形に分離できているが、拍動振動性信号は、信号処理回路の入力信号の電圧範囲の上限で
カットされたため、信号が変形している。特に、拍動振動性信号は、大きな振幅のピーク
と小さな振幅のピークとが交互に生じているが、その規則性が乱されており、拍動振動の
検出に不具合が生じたものと推定される。なお、図2(B)において、カットされていな
い領域であれば拍動振動性信号の分離、抽出は可能であったが、継続的に安定して分離、
抽出するのは困難であった。
また、特許文献1では、拍動振動を分離するためのフィルタとして、身体振動信号の周
波数成分について、1Hzに設定された遮断周波数以上の周波数帯域を通過させる高域通
過フィルタ、及び4Hzに設定された遮断周波数以下の周波数帯域を通過させる低域通過
フィルタを通過した1Hz〜4Hzの範囲の周波数の信号を拍動振動性信号としている。
さらに、肺呼吸振動を分離するためのフィルタとして、身体振動信号の周波数成分につい
て、1Hzに設定された遮断周波数以下の周波数帯域を通過させる低域通過フィルタを通
過した1Hz以下の範囲の周波数の信号を肺呼吸振動性信号としている。拍動振動は、例
えば、心拍数換算で30〜240回/分、周波数帯域換算で0.5〜4Hzの範囲で変動
し、肺呼吸振動は、例えば呼吸数換算で60回/分以下、周波数帯域換算で1Hz以下の
範囲で変動するものであるから、実際には拍動振動と肺呼吸振動との周波数範囲は重なる
ことがある。1Hzという遮断周波数で分離される拍動振動性信号(1Hz〜4Hz)と
肺呼吸振動性信号(1Hz以下)とでは、そもそも拍動振動性信号(1Hz〜4Hz)の
周波数範囲にも肺呼吸振動の成分がノイズとして含まれ、肺呼吸振動性信号(1Hz以下
)の周波数範囲にも肺呼吸振動の成分がノイズとして含まれてしまう。
フィルタの遮断周波数は、入力と出力の比である利得(ゲイン)が通常値よりも3dB
低下した周波数と定義されており、遮断周波数を境界として、信号を通過させる周波数帯
域(通過域)と信号を阻止する周波数帯域(減衰域)とが区分される。フィルタは、通過
域では信号を完全に通過し、減衰域では信号を完全に遮断することが理想であるが、現実
のフィルタでは、通過域から徐々に信号が減衰していき、減衰域においても信号の一部が
通過してしまう。このように、フィルタでも遮断できない減衰域の信号もノイズとして存
在することも、拍動振動又は肺呼吸振動の抽出をより困難なものとする原因であった。例
えば、胸部から取得した身体振動信号の場合、1Hz〜4Hzの拍動振動性信号を分離し
ても、1Hzの遮断周波数の高域通過フィルタによって減衰させているが、1Hz以下の
周波数の信号も一部含まれてしまうところ、肺呼吸振動の成分が強い場合には、減衰して
も1Hz以下の周波数の信号のほうが、1Hz〜4Hzの拍動振動性信号よりも強くなる
こともあった。
減衰域における信号の減衰量は、フィルタ次数Nによって決定され、次数Nが多くなれ
ば減衰量が多くなる。フィルタを繰り返し行うことで次数Nを増やすことができ、次数N
を無限大とすれば、理論上は、遮断周波数において信号を完全に遮断できる理想的な状態
となる。しかし、現実的には、次数Nは有限の数となる。従来では、減衰域の信号を十分
に低減させるため次数Nを多く設定すると、信号処理に時間を必要とするので、リアルタ
イム性が失われてしまうという問題があった。また、リアルタイム性を優先するとノイズ
が多くなり、拍動振動又は肺呼吸振動の抽出が難しくなってしまう問題があった。
これらの問題の少なくとも一部を解決するため、本発明者らは、複数の併用可能な解決
手段を発明した。その一つは、振動センサーと拍動フィルタ手段または肺呼吸フィルタ手
段との間に、増幅アンプによる増幅後の身体振動信号(拍動振動及び肺呼吸振動を含む)
の最大振幅が信号処理回路の入力信号の電圧範囲内となるような増幅アンプを設けたこと
を特徴とする。また、他の一つは、身体振動信号(拍動振動及び肺呼吸振動を含む)を拍
動フィルタ手段または肺呼吸フィルタ手段によって拍動振動性信号または肺呼吸振動性信
号を抽出した後に増幅アンプによって増幅させることを特徴とする。さらに他の一つは、
少なくとも人の腰部または臀部から検出した身体振動信号から拍動振動性信号を抽出する
ことを特徴とする。また、他の一つは、複数の振動センサーによって、人が発する身体の
振動を身体の複数の部位から、それぞれ身体振動信号を検出し、前記複数の振動センサー
によって検出された複数の身体振動信号の中から選択された第1の身体振動信号を少なく
とも用いて拍動振動に関する信号を抽出し、前記複数の身体振動信号の中から選択された
第2の身体振動信号を少なくとも用いて、肺呼吸振動に関する信号を抽出することを特徴
とする。また、本発明の他の一つでは、周波数フィルタによる処理を最適化することで拍
動振動性信号及び肺呼吸振動性信号を抽出することを可能とした。
[増幅アンプの増幅率変更]
図3は、本実施形態における信号処理装置16の構成の概要を示すブロック図である。
図3においては1つの振動センサー10を信号処理装置16に接続した構成であるが、複
数の振動センサーを接続してもよい。信号処理装置16は、増幅アンプ110、拍動フィ
ルタ手段120、肺呼吸フィルタ手段121、音声フィルタ手段122、判定手段140
、記憶装置261を含んでいる。
振動センサー10は、少なくとも人の付近に配置され、人から身体振動信号102を検
出する。振動センサー10は、信号処理装置16の増幅アンプ110に接続されており、
振動センサー10で検出された身体振動信号102が増幅アンプ110によって増幅され
る。増幅アンプ110の出力は、拍動フィルタ手段120、肺呼吸フィルタ手段121ま
たは/及び音声フィルタ手段122に接続されており、増幅された身体振動信号104が
各フィルタ手段120、121、122に入力される。拍動フィルタ手段120は、増幅
された身体振動信号104に基づいて、人の心臓の拍動に起因する拍動振動性信号123
を抽出する。肺呼吸フィルタ手段121は、増幅された身体振動信号104に基づいて、
人の肺呼吸に起因する肺呼吸振動性信号124を抽出する。音声フィルタ手段122は、
増幅された身体振動信号104に基づいて、音声に起因する音声振動性信号126を抽出
する。これらの拍動振動性信号123、肺呼吸振動性信号124及び音声振動性信号12
6は、判定手段140に入力され、拍動振動により、または、肺呼吸振動により、または
拍動振動と他の振動により、人の生体情報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情
、意思等)を検出するために利用される。
本実施の形態において、増幅アンプ110は、振動センサーと拍動フィルタ手段、肺呼
吸フィルタ手段または音声フィルタ手段122との間に設けられ、増幅後の身体振動信号
(拍動振動、肺呼吸振動及び音声振動の少なくとも2つを含む)の最大振幅が信号処理回
路の入力信号の電圧範囲内となるように設定されている。例えば、拍動振動性信号、肺呼
吸振動性信号または音声振動性信号の最大値(数十mV)が、信号処理回路の入力信号の
電圧範囲(例えば5V:±2.5V)の50%(1.25V)〜10%(250mV)と
なるように設計する。拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号の最大値
(数十mV)については、使用する振動センサーの感度、使用環境(人との間の遮蔽物の
素材、距離など)で変動するので、予め所定の環境の下で実験して確認することができる
本実施の形態においては、増幅された身体振動信号104から抽出された拍動振動性信
号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号の最大値は、信号処理回路の入力信号の電圧
範囲の半分以下しかないので、各フィルタ手段120、121、122と判定手段140
との間に、第2の増幅アンプを設け、2倍〜10倍に増幅し、信号処理回路の入力信号の
電圧範囲を有効に利用し、SN比を高めることが好ましい。
拍動フィルタ手段120は、少なくとも身体振動信号102に基づいて、人の心臓の拍
動に起因する拍動振動性信号123を抽出する。身体振動信号102に基づいて抽出する
とは、身体振動信号102に予め前処理(ドリフト成分除去、増幅又は体動振動信号除去
)を行った後に、拍動フィルタ手段120によって抽出することを含む。拍動フィルタ手
段120は、コンデンサや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(LPF
)やハイパスフィルタ(HPF)のアナログフィルタ、又は身体振動信号102であるア
ナログ信号をA/Dコンバータでデジタル信号に変換し数値化されたデータをもとにCP
U(中央処理装置)の演算処理にてフィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一
方又は双方で構成することができる。なお、デジタルフィルタにあっては、フィルタ処理
部専用のA/Dコンバータ及びCPUで構成することも可能であるが、判定手段140の
A/Dコンバータ及びCPUで処理することもできる。
具体的な拍動フィルタ手段120としては、例えば、1Hz〜4Hzの周波数範囲の通
過域を有するバンドパスフィルタ(BPF)を利用することができる。また、拍動フィル
タ手段の通過域の下限周波数は0.5Hz以上、0.6Hz以上、0.7Hz以上、0.
8Hz以上又は0.9Hz以上であってもよく、上限周波数は10Hz以下、8Hz以下
、6Hz以下、5Hz以下、3Hz以下であってもよい。また、拍動フィルタ手段120
として、後述する本発明のフィルタリング処理方法を実施するものでものよい。
肺呼吸フィルタ手段121は、身体振動信号102に基づいて、人の肺呼吸に起因する
肺呼吸振動性信号124を抽出する。身体振動信号102に基づいて抽出するとは、身体
振動信号102に予め前処理(ドリフト成分除去、増幅又は体動振動信号除去)を行った
後に、肺呼吸フィルタ手段121によって抽出することを含む。肺呼吸フィルタ手段12
1は、コンデンサや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(LPF)のア
ナログフィルタ、又は身体振動信号102であるアナログ信号をA/Dコンバータでデジ
タル信号に変換し数値化されたデータをもとにCPU(中央処理装置)の演算処理にてフ
ィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一方又は双方で構成することができる。
なお、デジタルフィルタにあっては、フィルタ処理部専用のA/Dコンバータ及びCPU
で構成することも可能であるが、判定手段140のA/Dコンバータ及びCPUで処理す
ることもできる。
具体的な肺呼吸フィルタ手段121としては、例えば、1Hz以下の周波数範囲の通過
域(1Hzの遮断周波数)を有するローパスフィルタ(LPF)を利用することができる
。また、肺呼吸フィルタ手段(LPF)の遮断周波数は0.7Hz、0.8Hz、0.9
Hz、1.1Hz、1.2Hzであってもよい。
音声フィルタ手段122は、身体振動信号102に基づいて、音声に起因する音声振動
性信号126を抽出する。身体振動信号102に基づいて抽出するとは、身体振動信号1
02に予め前処理(ドリフト成分除去、増幅又は体動振動信号除去)を行った後に、音声
フィルタ手段122によって抽出することを含む。音声フィルタ手段122は、コンデン
サや抵抗及びオペアンプ等で構成されたローパスフィルタ(LPF)やハイパスフィルタ
(HPF)のアナログフィルタ、又は身体振動信号102であるアナログ信号をA/Dコ
ンバータでデジタル信号に変換し数値化されたデータをもとにCPU(中央処理装置)の
演算処理にてフィルタリングを行なうデジタルフィルタの何れか一方又は双方で構成する
ことができる。なお、デジタルフィルタにあっては、フィルタ処理部専用のA/Dコンバ
ータ及びCPUで構成することも可能であるが、判定手段140のA/Dコンバータ及び
CPUで処理することもできる。
具体的な音声フィルタ手段122としては、例えば、50Hz〜2kHzの間の通過域
をもつBPFを利用することができる。音声フィルタ手段の通過域の下限周波数は4Hz
以上、10Hz以上、30Hz以上、70Hz以上又は100Hz以上であってもよく、
上限周波数は400Hz以下、800Hz以下、1kHz以下、1.5kHz以下であっ
てもよい。
判定手段140は、拍動振動性信号、肺呼吸振動性信号及び/または音声振動性信号に
基づいて、人の生体情報(生死、健康状態、心理状態、感情)を検出、判定するものであ
り、CPU(信号処理回路)によって構成される。また、入力される信号がアナログ信号
だった場合には、A/Dコンバータが含まれていてもよい。さらに、判定手段140は、
例えば半導体記憶装置やハードディスク装置(HDD)等の記憶装置261と接続されて
いる。判定手段140では、CPUが、抽出された拍動振動性信号123、肺呼吸振動性
信号124または音声振動性信号126と、記憶装置261に記憶された人の生体情報(
生死、健康状態、心理状態、感情)の比較判定の基準となる閾値やサンプル波形を比較し
て、人の生体情報(生死、健康状態、心理状態、感情)を判断する。
例えば、判定手段140は、身体振動から心臓の拍動に起因する拍動振動を抽出して拍
動振動が所定の存在継続時間以上を超えることで、人が振動センサーの検出範囲内に存在
していること、及び拍動振動が無い状態が所定の不在継続時間以上を超えることで、人が
不在であると判断してもよい。また、身体振動から肺呼吸に起因する肺呼吸振動を抽出し
て肺呼吸振動が所定の存在継続時間以上を超えることで、人が振動センサーの検出範囲内
に存在していること、及び肺呼吸振動が無い状態が所定の不在継続時間以上を超えること
で、人が不在であると判断してもよい。また、身体振動から心臓の拍動に起因する拍動振
動と肺呼吸に起因する肺呼吸振動が共に有りの状態が所定の存在継続時間以上を超えるこ
とで、人が振動センサーの検出範囲内に存在していること、及び拍動振動と肺呼吸振動が
共に無い状態が所定の不在継続時間以上を超えることで、人が不在であると判断してもよ
い。また、身体振動から音声振動を抽出して音声振動が所定の存在継続時間以上を超える
ことで、人が振動センサーの検出範囲内に存在していると判断してもよいし、音声振動の
信号波形と予め記憶されている音声振動サンプルとの相関値が一定以上の場合に人からな
んらかの意思表示がなされていると判定してもよい。
通報手段270では、判定手段140からの判定結果125をもとに表示装置に表示し
たり、LEDの点灯やブザーを鳴らしたり、又はナースコール装置への通報や通信回線を
通して外部に通報する。
[抽出後に増幅アンプ]
図4は、本実施形態における信号処理装置16の構成の概要を示すブロック図である。
図4においては1つの振動センサー10を信号処理装置16に接続した構成であるが、複
数の振動センサーを接続してもよい。信号処理装置16は、拍動フィルタ手段120、肺
呼吸フィルタ手段121、拍動振動用増幅アンプ112A、肺呼吸振動用増幅アンプ11
2B、判定手段140、記憶装置261を含んでいる。
本実施の形態では、振動センサー10は、拍動フィルタ手段120または/及び肺呼吸
フィルタ手段121に接続されており、振動センサー10で検出された身体振動信号10
2が拍動フィルタ手段120または/及び肺呼吸フィルタ手段121に入力される。拍動
フィルタ手段120は、身体振動信号102に基づいて、人の心臓の拍動に起因する拍動
振動性信号123を抽出し、肺呼吸フィルタ手段121は、身体振動信号102に基づい
て、人の肺呼吸に起因する肺呼吸振動性信号124を抽出する。そして、拍動フィルタ手
段120と判定手段140との間に拍動振動用増幅アンプ112Aが設けられており、拍
動フィルタ手段120で抽出された拍動振動性信号123は拍動振動用増幅アンプ112
Aによって増幅され、判定手段140に入力される。また、肺呼吸フィルタ手段121と
判定手段140との間に肺呼吸振動用増幅アンプ112Bが設けられており、肺呼吸フィ
ルタ手段121で抽出された肺呼吸振動性信号124は肺呼吸振動用増幅アンプ112B
によって増幅され、判定手段140に入力される。
拍動振動用増幅アンプ112A及び肺呼吸振動用増幅アンプ112Bは、それぞれ拍動
振動性信号及び肺呼吸振動性信号の最大値(数十mV)が信号処理回路の入力信号の電圧
範囲内(数V)となるように増幅する。なお、振動センサー10で検出された身体振動信
号102は数μVという微小な信号も含まれているので、図3に示すように、振動センサ
ーと拍動フィルタ手段または肺呼吸フィルタ手段との間に増幅アンプ110を設け、少し
増幅したうえで、拍動フィルタ手段または肺呼吸フィルタ手段で抽出してもよい。
また、図4においては、音声フィルタ手段については省略しているが、振動センサー1
0で検出された身体振動信号102が入力されるように音声フィルタ手段を設け、音声フ
ィルタ手段と判定手段140との間に音声振動用増幅アンプを設けてもよい。
[振動センサーの配置]
本発明者らは、非拘束タイプの振動センサーにおいて、身体振動信号に含まれる拍動振
動成分と肺呼吸振動成分の割合(各成分における最大強度の比較)が、振動センサーを配
置する人の部位(検出部位)に応じて異なるという知見を見出した。人の胸部から取得し
た身体振動信号には、拍動振動成分も、肺呼吸振動成分も比較的強い強度で検出され、拍
動振動成分と肺呼吸振動成分とが同程度または肺呼吸振動成分が強く検出される。しかし
、本発明者らは、人の腰部または臀部から取得した身体振動信号には、拍動振動成分は強
いが、比較的、肺呼吸振動成分が弱く検出される傾向を示すことを発見した。そして、人
の腰部または臀部から取得した身体振動信号からは拍動振動性信号が比較的容易に抽出で
きたのである。
これについて、図5、図6のシミュレーションした信号波形を用いて説明する。図5(
A)は拍動振動性信号波形のモデルであり、図1(A)と同じものである。図5(B)は
肺呼吸振動性信号のモデルであり、単純なサイン波としているが、図1(B)と比べると
強度が5分の1程度(最大強度が0.5V程度)と弱く、図5(A)の拍動振動性信号波
形に比べて強度が弱くなっている。図5(C)は、図5(A)及び(B)の拍動振動性信
号と肺呼吸振動性信号とを重ねた合成信号波形である。図6(A)は、図5(C)のうち
、信号処理回路の入力信号の電圧範囲5V(±2.5V)で検出される波形である。図5
(C)の波形から明らかなように、合成された信号波形は、2.5Vをほとんど超えてお
らず、超えている部分も心拍振動性信号波形の大きなピークの頂点付近だけである。図6
(B)は、図6(A)の合成信号波形をフィルタ手段によって分離した拍動振動性信号(
実線)と肺呼吸振動性信号(点線)の波形である。図5及び図6において、横軸は時間で
あり、縦軸は信号電圧(ボルト)である。
図6(B)に示すように、拍動振動成分に比べて、肺呼吸振動成分が弱い場合は、サイ
ン波形の肺呼吸振動性信号も、大きなピークと小さなピークとが交互に検出される拍動振
動性信号も、いずれも増幅された身体振動信号から分離抽出することができる。人の腰部
または臀部から取得した身体振動信号は、拍動振動成分は強いが、比較的、肺呼吸振動成
分が弱く検出される傾向を示すので、腰部または臀部の近傍に振動センサーを配置し、腰
部または臀部から取得した身体振動信号を用いて拍動振動性信号を抽出することが容易に
なる。さらに、肺呼吸振動性信号は比較的容易に抽出できるので、腰部または臀部から取
得した身体振動信号を用いて肺呼吸振動性信号を抽出してもよい。
[複数の振動センサーによる検出]
本発明の一つは、複数の振動センサーによって、人が発する身体の振動を身体の複数の
部位から、それぞれ身体振動信号を検出し、前記複数の振動センサーによって検出された
複数の身体振動信号の中から、拍動振動性信号を抽出するための第1の身体振動信号を選
択し、少なくとも第1の身体振動信号に基づいて、拍動振動性信号を抽出し、前記複数の
身体振動信号の中から、肺呼吸振動性信号を抽出するための第2の身体振動信号を選択し
、少なくとも前記第2の身体振動信号に基づいて、肺呼吸振動に関する信号を抽出する。
第1の身体振動信号は、拍動振動成分に比べて肺呼吸振動成分が弱い信号であり、予め
決められた部位(例えば、腰部または臀部)からの身体振動信号を第1の身体振動信号と
してもよいし、検出した複数の身体振動信号を比較して、拍動振動成分が比較的強く検出
された身体振動信号を第1の身体振動信号としてもよい。また、第1の身体振動信号は、
一つの振動センサーから検出された身体振動信号でもよいし、複数の振動センサーから検
出された複数の身体振動信号でもよい。
第2の身体振動信号は、第1の身体振動信号に比べて拍動振動成分が強い信号であり、
予め決められた部位(例えば、胸部)からの身体振動信号を第2の身体振動信号としても
よいし、検出した複数の身体振動信号を比較して、拍動振動成分が比較的強く検出された
身体振動信号を第2の身体振動信号としてもよい。また、第2の身体振動信号は、一つの
振動センサーから検出された身体振動信号でもよいし、複数の振動センサーから検出され
た複数の身体振動信号でもよい。
例えば、本実施形態の装置としては、人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、
検出した身体振動信号から拍動振動性信号及び肺呼吸振動性信号を抽出する際に、第1の
振動センサーによって、少なくとも人の腰部または臀部から第1の身体振動信号を検出し
、第2の振動センサーによって、少なくとも人の胸部から第2の身体振動信号を検出し、
少なくとも前記第1の身体振動信号を用いて、拍動振動性信号を抽出し、少なくとも前記
第2の身体振動信号を用いて、肺呼吸振動性信号を抽出するように構成されている。
第1の振動センサーは、少なくとも人の腰部または臀部付近に配置され、腰部または臀
部から第1の身体振動信号を検出する。第1の振動センサーの配置は、腰部付近であって
もよいし、臀部付近であってもよいし、少し大きめの幅を持たせ、腰部及び臀部の両方に
わたって配置してもよいし、さらに腰部または臀部に加えて腹部や大腿部におよんでいて
もよい。また、独立した複数の振動センサーを並列に配置し、少なくとも人の腰部または
臀部に位置した振動センサーを第1の振動センサーとしてもよい。第1の振動センサーは
、人を拘束しない非拘束型であることが好ましく、人が横になった時の腰部または臀部付
近に直接またはシーツ、毛布、マットなどを介して配置したり、人が座った時の腰部また
は臀部付近に直接または座布団、クッションなどを介して配置したりしてもよい。さらに
、第1の振動センサーを身に着けるウェアラブルな形態で使用してもよく、例えば、ズボ
ンのポケット等に保持したり、服に縫い付けたりしてもよい。また、振動センサーは信号
処理装置と有線または無線で接続されている。なお、第1の振動センサーとして、拘束式
のものを用いてもよく、例えば、ベルト等により腰の位置にセンサーを固定してもよく、
拘束式のセンサーから有線または無線で信号処理装置と接続してもよい。
第2の振動センサーは、少なくとも人の胸部付近に配置され、胸部から第2の身体振動
信号を検出する。第2の振動センサーの配置は、胸部付近であってもよいし、少し大きめ
の幅を持たせ、胸部から腹部または頸部におよんでいてもよい。また、独立した複数の振
動センサーを並列に配置し、少なくとも人の胸部に位置した振動センサーを第2の振動セ
ンサーとしてもよい。第2の振動センサーは、非拘束型であることが好ましく、人が横に
なった時の胸部付近に直接またはシーツ、毛布、マットなどを介して配置したり、人が座
った時の胸部付近に直接またはクッションなどを介して配置したりしてもよい。さらに、
第2の振動センサーを身に着けるウェアラブルな形態で使用してもよく、例えば、服の胸
ポケット等に保持したり、服に縫い付けたりしてもよい。また、振動センサーは信号処理
装置と有線または無線で接続されている。なお、第2の振動センサーとして、拘束式のも
のを用いた場合は、ベルト等により胸の位置にセンサーを固定してもよく、拘束式のセン
サーから有線または無線で信号処理装置と接続してもよい。
図7に、非拘束型の第1及び第2の振動センサーの配置の一例を示す。図7(A)では
、寝具11の上であって、人15が横になった状態の腰部及び臀部付近に第1の振動セン
サー10Aを配置し、胸部付近に第2の振動センサー10Bを配置している。第1の振動
センサー10A及び第2の振動センサー10Bは、いずれも信号処理装置16に接続され
ており、検出された身体振動信号を信号処理装置16に出力する。図7(B)では、寝具
11の上に6つ振動センサー10C〜10Hを並列に配置している。6つ振動センサー1
0C〜10Hは、いずれも信号処理装置16に接続されており、検出された身体振動信号
を信号処理装置16に出力する。図7(B)においては、寝具の上に横になる人の腰部ま
たは臀部に位置する振動センサーが第1の振動センサーとなり、胸部に位置する振動セン
サーが第2の振動センサーとなる。この場合、人の体格、寝相に合わせて第1の振動セン
サー及び第2の振動センサーを変更することができる。なお、図7(B)においては、信
号処理装置16内、または各振動センサーと信号処理装置との間に、信号の入力をオン/
オフさせる選択スイッチを有していてもよい。図7(C)では、椅子12の座板13と背
もたれ14の下部(座板側)に第1の振動センサー10Aを配置し、椅子12の背もたれ
14に第2の振動センサー10Bを配置している。図1(C)の第1の振動センサー10
A及び第2の振動センサー10Bは、いずれも信号処理装置16に接続されており、検出
された身体振動信号を信号処理装置16に出力する。図7(C)において、第1の振動セ
ンサー10Aは座板13にのみ配置されていてもよい。
拍動振動性信号は、第1の振動センサーによって腰部または臀部から検出された第1の
身体振動信号のみを用いて求めてもよいし、第1の身体振動信号とその他の身体振動信号
又はその他の身体振動信号から抽出された信号を用いて求めてもよい。肺呼吸振動性信号
は、第2の振動センサーによって腰部または臀部から検出された第2の身体振動信号のみ
を用いて求めてもよいし、第2の身体振動信号とその他の身体振動信号又はその他の身体
振動信号から抽出された信号を用いて求めてもよい。
図8(A)は、第1の振動センサーによって人の腰部から検出した第1の身体振動信号
の波形であり、図9(A)は、第2の振動センサーによって人の胸部から検出した第2の
身体振動信号の波形である。図8(B)は、第1の身体振動信号に対して、拍動フィルタ
手段として遮断周波数1HzのHPFを使用したフィルタリング処理によって抽出した拍
動振動性信号の波形である。図8(B)に示すように、第1の身体振動信号から比較的き
れいな波形の拍動振動性信号を抽出することができた。図9(B)は、第2の身体振動信
号に対して、肺呼吸フィルタ手段として遮断周波数1HzのLPFを使用したフィルタリ
ング処理によって抽出した肺呼吸振動性信号の波形である。図9(B)に示すように、第
2の身体振動信号から比較的きれいな波形の肺呼吸振動性信号を抽出することができた。
図8及び図9は、いずれも、横軸は時間であり、縦軸は信号電圧(ボルト)である。
図8(C)は、第1の身体振動信号に対して、肺呼吸フィルタ手段として遮断周波数1
HzのLPFを使用したフィルタリング処理によって抽出した肺呼吸振動性信号の波形で
ある。少し変形してはいるが、肺呼吸振動が存在することが確認できる。図9(C)は、
胸部から検出した第2の身体振動信号に対して、増幅度が従来の半分程度の第1の増幅ア
ンプによって増幅し、拍動フィルタ手段として遮断周波数1HzのHPFを使用したフィ
ルタリング処理によって抽出し、第2の増幅アンプによって2倍に増幅した拍動振動性信
号の波形である。図9(C)に示すように、増幅アンプの増幅率を変更し、さらに分離後
に増幅することで拍動振動性信号を抽出することができた。
このように、第1の身体振動信号を用いることにより、拍動振動性信号を抽出すること
が容易になり、第2の身体振動信号を用いることにより、肺呼吸振動性信号を抽出するこ
とが容易になる。さらに、第1及び第2の身体振動信号における拍動振動成分と肺呼吸振
動成分との差が多ければ、周波数フィルタ(LPF、HPF)を使用しなくても、強い成
分だけが残るように振幅強度に閾値を設けるだけで両者を簡単に分離することもできる。
また、周波数フィルタを使用する場合であっても、第1の身体振動信号には、ノイズとな
る肺呼吸振動成分が弱く、第2の身体振動信号には、ノイズとなる拍動振動成分が弱いた
め、フィルタ次数Nが少なくても、抽出に影響のない程度までノイズを減衰でき、拍動振
動性信号及び肺呼吸振動性信号を抽出することができる。
[フィルタリング処理方法]
また、本発明の他の一つでは、周波数フィルタによる処理を最適化することで拍動振動
性信号、肺呼吸振動性信号または音声振動性信号の抽出を容易にした。本発明のフィルタ
リング処理方法は、減衰域における減衰後の信号の最大強度が、通過域における信号の最
大強度よりも弱くなるまで周波数フィルタを繰り返し実行した後、通過域における信号の
最大強度未満の強度の閾値(フィルタリング用閾値)が1となるようにフィルタリング後
の信号強度を換算し、さらに、換算後の信号強度xについて、f(x)=xnの関数(n
は2以上の整数)を演算することにより得られた信号波形を抽出する。かかる変換により
、フィルタリング用閾値よりも大きい強度の信号については指数的に強度が増加し、閾値
よりも小さい強度の信号については0に近づき、通過域における信号を強調することがで
きる。フィルタリング用閾値は、通過域における信号の最大強度未満の強度範囲内であれ
ばよいが、減衰域における減衰後の信号の最大強度よりも大きいことが好ましい。つまり
、減衰域における最大強度<フィルタリング用閾値<通過域における最大強度とすること
が好ましい。フィルタリング用閾値は、フィルタリング後に設定されることが好ましいが
、予め設定された数値を使用することもできる。
例えば、腰部から取得した身体振動信号から拍動振動を抽出するのは困難であるが、本
発明のフィルタリング処理方法を実行することにより、拍動振動用に別の振動センサーを
使用しなくても、拍動振動を抽出することが可能である。図10(A)は、第1の振動セ
ンサーによって人の腰部から検出した第1の身体振動信号の周波数特性を示す図であり、
横軸は周波数、縦軸はスペクトラル強度である。CPUは、図10(A)の身体振動信号
に対し、拍動フィルタ手段として、遮断周波数1HzのLPFを実行する度に、フィルタ
リング後の信号の1Hz未満の減衰域における最大強度と通過域における信号の最大強度
とを比較し、減衰域における信号の最大強度の方が大きい場合は、再びフィルタリング後
の信号に対し、LPFを1回又は複数回実行する処理を行う。図10(B)は、遮断周波
数1HzのLPFを拍動フィルタ手段として使用した後の周波数特性を示す図である。図
10(B)に示すように、フィルタリング後の信号では、減衰域である1Hz以上の信号
強度が1Hz未満の通過域における信号の最大強度よりも小さくなっている。また、図1
0(C)は、遮断周波数1HzのHPFを肺呼吸フィルタ手段として使用した後の周波数
特性を示す図である。図10(C)に示すように、フィルタリング後の信号では、減衰域
である1Hz未満の信号強度が1Hz以上の通過域における信号の最大強度よりも小さく
なっている。
その後、閾値を設定し、閾値の強度が1となるようにフィルタリング後の信号強度を換
算し、換算後の信号強度xについて、f(x)=xnの関数(nは3)を演算することに
より、胸部から取得した身体振動信号からも拍動振動を抽出することができた。
かかるフィルタリング処理方法によれば、画一的にフィルタを行うのではなく、減衰域
における信号の強度に応じて、フィルタの実行数を増減させるため、最適な処理時間でフ
ィルタリング処理を行うことができ、また、減衰域における信号の強度は0に近くなり、
通過域における信号の確認が容易となる。ただし、通過域の信号についても閾値より強度
が小さい信号については0に近づいてしまうので、特徴的な信号しか検出できない。なお
、フィルタの実行数は、減衰域における減衰後の信号の最大強度が、通過域における信号
の最大強度よりも弱くなれば足りるが、更に弱くするまで実行してもよい。例えば、通過
域における信号の最大強度の90%、80%、70%、60%、50%又は40%まで弱
くなるまで実行させてもよい。また、複数の振動センサーから取得した身体振動信号に対
し、それぞれ本フィルタリング処理方法を実行してもよい。
[抽出後の拍動振動波形の後処理]
また、身体振動信号を拍動振動用フィルタで処理した拍動振動性信号は、図11(A)
に示すような波形(横軸:時間、縦軸:信号電圧(ボルト))であり、大きな振幅の鋭い
ピークRが周期的に検出されるが、その大きなピークRの間に半分程度の小さな振幅の鋭
いピークが多数検出されることが判明した。一般に、医療機関において患者の状態を監視
するために心電図が用いられている。図11(B)は、正常状態の心電図波形を示すもの
である。図11(B)に示すように、心電図波形では、1つの大きな鋭いピークが検出さ
れ、その前後に緩やかなピークが検出される。このように、拍動振動性信号の波形は、心
電図波形に比べて鋭いピークが多く心電図波形に慣れた医療従事者、介護従事者等から分
かりにくいとの声があった。また、心電図波形で蓄積された知見を拍動振動性信号の波形
においても利用可能とするために、拍動振動性信号の波形を心電図波形に類似させたいと
の要望もあった。
そこで、本発明においては、抽出後の拍動振動波形に対して、心電図波形に類似するよ
うな波形とする後処理を行ってもよい。図11(A)に示すように、大きな振幅の鋭いピ
ークRの強度未満の閾値(後処理用閾値)Tが1となるようにフィルタリング後の信号強
度を換算し、さらに、換算後の信号強度xについて、f(x)=xnの関数(nは2以上
の整数)を演算する。かかる変換により、後処理用閾値よりも大きい強度の信号(ピーク
R)については指数的に強度が増加し、閾値よりも小さい強度の信号については0に近づ
き、一回の鼓動に対して、一つの大きなピークの信号波形を得ることができる。後処理用
閾値Tは、ピークRの強度未満の範囲内であればよいが、ピークRの強度も、鼓動毎にば
らつきがあるので、例えば、ピークRの最大値の50%以上〜95%の強度範囲内に後処
理用閾値を設定してもよい。また、かかる強度範囲の下限は、ピークRの60%以上、7
0%以上であってもよく、上限はピークRの90%以下、85%以下であってもよい。後
処理用閾値Tは、フィルタリング後に設定されることが好ましいが、予め設定された数値
を使用することもできる。
かかる後処理を施すことにより、各拍動間の具体的な周期、期間を特定し易くなり、一
見して、心拍の様子を確認することができる。さらに、この信号波形の各拍動間の期間の
推移などから、心理状態、疲労度などを検出するために応用することも可能となる。
[振動センサーの温度変化対策]
実際に人の存在不在を検出する人存在不在検出装置として振動センサーを使用したとこ
ろ、振動センサーの面内において人体と接している部分の温度が上昇し、焦電効果によっ
て振動センサー内で分極が生じ、これが身体振動信号として検出されてしまう問題が発生
した。このような焦電効果によって発生した電圧は、身体振動信号に直流成分として合成
され、全体的に身体振動信号がドリフトしてしまう。このため、身体振動信号を増幅アン
プで増幅させると信号処理回路の入力信号の電圧範囲を超えてしまい拍動振動性信号、肺
呼吸振動性信号または音声振動性信号を確認できなくなることがあった。
図12(A)は、ドリフトが生じた身体振動信号の増幅後の信号波形(横軸:時間、縦
軸:信号電圧(ボルト))を模式的に示したものである。図12(A)に示すように、焦
電効果によって1.5V(増幅後)のドリフトが生じており、身体振動信号全体が1.5
V分上に移動している。図12(B)は、図12(A)のうち、信号処理回路の入力信号
の電圧範囲5V(±2.5V)で検出される波形であり、図12(A)のうち2.5Vを
超える部分がカットされてしまい上限値である2.5Vで一定となっている。このように
、焦電効果によって身体振動信号から拍動振動性信号や肺呼吸振動性信号を抽出するのが
困難になっていた。
そこで、本発明では、振動センサーから増幅アンプまでの間にドリフト遮断手段を設け
、身体振動信号から焦電効果によるドリフト成分を除去することを特徴とする。ドリフト
遮断手段は、直流成分を遮断するハイパスフィルタ(HPF)によって実現できる。ドリ
フト遮断手段として、肺呼吸振動の情報が不要で拍動信号が必要な場合であれば、遮断周
波数が0<x≦1Hzの範囲内のハイパスフィルタを利用することができ、肺呼吸振動も
拍動信号も必要な場合であれば、遮断周波数が0<x≦0.01Hzの範囲内のハイパス
フィルタを利用することができる。
図12(C)は、振動センサーと増幅アンプの間に0.01HzのHPFを配置して、
図12(A)の身体振動信号のドリフト成分を除去した後の身体振動信号の波形である。
ドリフト遮断手段であるHPFによってドリフト成分が除去されている。
[信号処理装置の構造]
図13は、信号処理装置16の構成の概要を示すブロック図の一例である。図13にお
いては、図7(A)と同様に、2つの振動センサー10A、10Bが信号処理装置16に
接続されている。信号処理装置16は、第1のドリフト遮断手段131A、第2のドリフ
ト遮断手段131B、第1の増幅アンプ110A、第2の増幅アンプ110B、拍動フィ
ルタ手段120、肺呼吸フィルタ手段121、判定手段140、記憶装置261を含んで
いる。
第1の振動センサー10Aは、少なくとも人の腰部または臀部付近に配置され、腰部ま
たは臀部から第1の身体振動信号102Aを検出する。第1の振動センサー10Aは、信
号処理装置16の第1のドリフト遮断手段131Aに接続されており、第1の振動センサ
ー10Aで検出された第1の身体振動信号102Aが第1のドリフト遮断手段131Aに
入力され、ドリフト成分が除去される。第1のドリフト遮断手段131Aは第1の増幅ア
ンプ110Aに接続されており、ドリフト成分が除去された身体振動信号103Aが第1
の増幅アンプ110Aによって増幅される。増幅アンプ110Aの出力は、少なくとも拍
動フィルタ手段120に接続されており、増幅された身体振動信号104Aが拍動フィル
タ手段120に入力され、拍動フィルタ手段120によって拍動振動性信号123が抽出
される。増幅アンプ110Aの出力は、他のフィルタ手段(例えば、肺呼吸フィルタ手段
121)に接続され、他の信号の抽出に利用されてもよい。拍動フィルタ手段120で抽
出された拍動振動性信号123は、判定手段140に入力され、拍動振動により、または
拍動振動と他の振動により、人の存在、不在の判定や、人の心身の状態の判定が行われる
。その判定結果125は、記憶装置261に記憶されてもよいし、通報手段270に送信
されてもよい。
第2の振動センサー10Bは、少なくとも人の胸部付近に配置され、胸部から第2の身
体振動信号102Bを検出する。第2の振動センサー10Bは、信号処理装置16の第2
のドリフト遮断手段131Bに接続されており、第2の振動センサー10Bで検出された
第2の身体振動信号102Bが第2のドリフト遮断手段131Bに入力され、ドリフト成
分が除去される。第2のドリフト遮断手段131Bは第2の増幅アンプ110Bに接続さ
れており、ドリフト成分が除去された身体振動信号103Bが第2の増幅アンプ110B
によって増幅される。増幅アンプ110Bの出力は、少なくとも肺呼吸フィルタ手段12
1に接続されており、増幅された身体振動信号104Bが肺呼吸フィルタ手段121に入
力され、肺呼吸フィルタ手段121によって肺呼吸振動性信号124が抽出される。増幅
アンプ110Bの出力は、他のフィルタ手段(例えば、拍動フィルタ手段120)に接続
され、他の信号の抽出に利用されてもよい。肺呼吸フィルタ手段121で抽出された肺呼
吸振動性信号124は、判定手段140に入力され、肺呼吸振動により、または、肺呼吸
振動と他の振動により、人の存在、不在の判定や、人の心身の状態の判定が行われる。そ
の判定結果125は、記憶装置261に記憶されてもよいし、通報手段270に送信され
てもよい。
第1及び第2のドリフト遮断手段131A、131Bは、振動センサーの温度変化によ
るドリフト成分が問題視される場合に設けることが好ましい。第1及び第2のドリフト遮
断手段131A、131Bとして、遮断周波数が0<x≦0.01Hzの範囲内のハイパ
スフィルタを利用することができる。第1の身体振動信号102Aが肺呼吸振動信号の抽
出に使用されない場合(肺呼吸フィルタ手段121に入力されない場合)は、第1のドリ
フト遮断手段131Aとして、遮断周波数が第2のドリフト遮断手段131Bに比べて比
較的高周波数(0<x≦1Hzの範囲内)のハイパスフィルタを利用することができ、例
えば、拍動フィルタ手段の遮断周波数と同じ周波数にすれば、予め減衰域における信号を
減衰することができる。
第1及び第2の増幅アンプ110A、110Bは、例えば、差動振動増幅アンプで構成
されており、差分信号の出力がVオーダとなるまで増幅する。このようにして増幅された
第1及び第2の身体振動信号104A、104Bは、各フィルタ手段に入力されて分離さ
れる。また、第1及び第2の増幅アンプ110A、110Bは、体動振動を除去するため
に使用されてもよい。体動振動とは、人が寝床から起き上がったり、寝床に寝たりする動
作に起因するものであり、拍動等の信号を検出する場合に比較して、検出信号の振幅が非
常に大きい。例えば、拍動振動性信号がせいぜい数10mVであるのに対して、100〜
1000倍の数ボルト(V)の桁である。体動振動を除去するためには、第1及び第2の
増幅アンプ110A、110Bの負入力に別途測定又は設定した体動振動を入力すること
で、第1及び第2の増幅アンプ110A、110Bの正入力に入力された第1及び第2の
身体振動信号104A、104Bから体動振動を除去することができる。
拍動フィルタ手段120、肺呼吸フィルタ手段121、判定手段140、通報手段27
0等については、図3において説明したとおりである。なお、拍動フィルタ手段120は
、第1の身体振動信号102Aだけではなく、更に他の信号を利用して拍動振動性信号1
23を抽出してもよい。また、肺呼吸フィルタ手段121は、第2の身体振動信号102
Bだけではなく、更に他の信号を利用して肺呼吸振動性信号124を抽出してもよい。
信号処理装置16は、拍動振動、肺呼吸振動以外にも、音声振動、体動振動等も検出し
てもよい。音声振動は、人の音声に起因するものであり、身体振動信号に対して、50H
z〜2kHzの通過域のバンドパスフィルタを用いて分離することができる。
[静電対策]
従来の振動センサーは、その外装として絶縁性の合成樹脂が使用されており、その外装
と他の誘電体との間の摩擦によって、静電気が発生する場合があった。振動センサーの周
縁の一部に判定手段や通信回路(通報手段の一部)を一体的に設けた場合、判定手段や通
信回路を保護するために硬質のカバーで覆われている。コスト的にも、通信回路によって
外部と無線通信するためにも、通常、カバーはプラスチック製の絶縁体であった。しかし
、このような絶縁体のカバーで覆われていると、静電気によって判定手段の回路や通信回
路にノイズが発生したり、回路が破壊されたりする可能性があった。
そこで、本発明では、振動センサーと一体的に判定手段が設けられた装置において、判
定手段を覆って設けられたカバーの少なくとも一部を接地させたことを特徴とする。例え
ば、カバー全体を導電性のものとしてもよいし、カバーの一部を導電性のものとしてもよ
い。カバー内に通信回路も内蔵している場合には、カバーの外側に延びるアンテナを設け
ることが好ましい。
[ノイズ対策]
従来、振動センサーの信号を判定手段に伝送する伝送路として、シールド線が用いられ
ていた。シールド線は、外部からのノイズを防ぐことができ、外部からの影響で身体振動
信号にノイズが発生するのを防止していた。しかし、本発明者は、センサーの出力インピ
ーダンスが高い場合、このシールド線が揺れたり、動いたりすることにより、シールド線
内部のインピーダンスが変化して振動センサーから伝送される身体振動信号にノイズが発
生すること、即ち、シールド線自体がノイズ発生の原因であったことを発見した。特に、
振動センサーと判定手段との間の距離が離れると、シールド線が長くなり、シールド線が
風や周囲の振動によって動きノイズも大きくなる。例えば、センサー付近を人が歩いたり
、外を車が走ったりするだけでもシールド線が振動し、信号にノイズが発生することがあ
った。
そこで、かかるノイズの発生を抑えるために、本発明の装置は、振動センサーと判定手
段との間の伝送路の少なくとも一部に同軸ケーブルを使用することを特徴とする。同軸ケ
ーブルは、たとえ揺れても、インピーダンス変化が少なく信号に生じるノイズを提言する
ことができた。また、他の解決手段として、本発明の装置は、振動センサーと判定手段と
の間の伝送路の半分よりも振動センサー側にオペアンプまたはFETを設けたことを特徴
とする。オペアンプまたはFETを設けることにより、センサーの出力インピーダンスを
低減させることができ、従来のオペアンプまたはFETを具備していない装置に比べて伝
送路内のインピーダンス変化によるノイズを低減することができた。
[音声振動]
従来、病院や介護保険施設などにおいて、患者や要介護者が看護師等と連絡をとるため
に、押しボタン式のナースコールが用いられていた。しかし、患者や要介護者は緊急時に
おいて、ボタンを押す力がない場合や、ボタンが手の届かない所にある場合には、連絡を
取ることができなかった。また、安否確認のために画像や音声が遠方から確認できるモニ
ター(例えばベビーモニターなど)も市販されているが、常時監視するのは現実的ではな
く、異常事態を自動で検知できる方法が求められていた。特許文献1においては、身体振
動信号から鼾振動を抽出し、鼾振動が有りの状態が所定の存在継続時間以上を超えること
で、人が所定場所に存在していることを判定していたが、単に人が存在することを確認し
ただけである。また、特許文献1では、具体的に、鼾、咳、寝言、歯ぎしり等を挙げてお
り、無意識で発せられる音声を想定しており、人からの意識的に発せられる呼出し等の意
思を検出するものではなかった。
そこで、本発明では、身体振動信号から音声振動性信号を抽出し、音声振動性信号の波
形に基づいて、人の意思を検出することを特徴とする。例えば、音声振動性信号の波形が
特定の波形に類似している場合、その人からなんらかの意思表示がなされていると判定す
る。特定の波形としては、「助けて」、「おーい」、「苦しい」などの単語の振動波形で
あってもよいし、50音の基本的な音節であってもよい。特定の波形は予め記憶装置に記
憶しておく。特に、本人の声をサンプリングして音声振動サンプルとすることが好ましい
が、人工的または典型的な波形を音声振動サンプルとしてもよい。
音声フィルタ手段は、例えば、50Hz〜2kHzの間の通過域をもつBPFを利用す
ることができる。振動センサーで検出された身体振動信号を必要に応じて前処理(体動信
号の分離、増幅等)を行ったうえで、音声フィルタ手段に入力し、50Hz〜2kHzの
音声振動性信号を抽出し、音声振動性信号を判定手段に入力する。判定手段は、抽出され
た音声振動性信号と音声振動サンプルとの相関をとり、ある一定以上の相関値が検出され
た場合に、なんらかの意思表示がなされていると判定する。なお、本発明の装置によれば
、声帯の振動等を検出するので、声が小さくても検出することが可能である。
[胎児の生体情報の検出]
さらに、本発明の振動信号抽出装置及び振動信号抽出方法は、妊婦の胎内における胎児
の生体情報の検出にも利用可能である。妊婦と胎児の各振動を比較すると、妊婦の拍動振
動や体動振動の強度に比べて、胎児の拍動振動や体動振動の信号強度は非常に弱い。また
、心拍数については、通常妊婦の方が少なく、胎児の方が多い。例えば、妊娠33週の妊
婦の実例で、実測値としては、妊婦の心拍数は68回/分であり、胎児の心拍数は130
回/分であり、胎児のほうが約2倍多かった。また、拍動振動信号の強度については、妊
婦の方が胎児よりも10倍以上強く検出された。また、妊婦の胸部から検出した身体振動
信号からは、妊婦の拍動振動及び肺呼吸振動を抽出することは可能であったが、胎児の拍
動振動については確認できなかった。一方、妊婦の腰部または臀部から検出した身体振動
信号からは、妊婦の拍動振動だけではなく、胎児の拍動振動も確認することができた。さ
らに、妊婦が安静状態(体動信号がない状態)でも、胎児の体動振動が発生することがあ
り、胎児の状態を検出できる。これらの振動の相違により、少なくとも一つのセンサーを
用いて、妊婦から検出した身体振動信号から、妊婦の生体情報だけではなく、胎児の拍動
振動や生体情報をリアルタイム、無拘束状態で抽出することができた。
本発明の一つは、心拍数の違いを利用して、妊婦の腰部または臀部から検出した身体振
動信号に対し、胎児用拍動フィルタ手段により、胎児の拍動振動または妊婦の拍動振動を
抽出することを特徴とする。胎児用拍動フィルタ手段としては、遮断周波数が1〜2Hz
のフィルタであり、例えば遮断周波数1.5Hzのフィルタを利用することができる。遮
断周波数1.5Hzのハイパスフィルタ(HPF)を使用した場合は、比較的周波数の低
い妊婦の拍動振動を取り除き、胎児の拍動振動を抽出できる。また、遮断周波数1.5H
zのローパスフィルタ(LPF)を使用した場合は、比較的周波数の高い胎児の拍動振動
を取り除き、妊婦の拍動振動を抽出できる。ただし、この方法は、妊婦と胎児の心拍数が
近づくと分離が困難になる。
また、本発明の他の一つは、安静状態の妊婦から取得した身体振動信号から、胎児用体
動フィルタ手段により、胎児の体動振動を抽出することを特徴とする。体動振動は、心拍
信号よりも、信号強度が桁違いで大きく、周期性がないので、容易に分離抽出することが
できる。さらに妊婦の体動振動は、胎児の体動振動の強度に比べて大きいので、妊婦の体
動振動を分離抽出することも容易である。また、別途振動センサーを設けて、妊婦の体動
振動を測定してもよい。例えば、胸部付近に配置した振動センサーから妊婦の体動振動を
把握し、腰部または臀部付近に配置した振動センサーから妊婦及び胎児の振動を検出して
もよい。妊婦の体動振動が検出されていない状態(安静状態)で検出された身体振動信号
から体動振動が抽出されれば、それは胎児の体動を示すものであり、胎児の体動振動によ
って胎児の生体情報を検出することができる。ただし、この方法は、胎児の体動振動が不
定期であり、また胎児の状態にも左右される。例えば、胎児が寝ている間はほとんど検出
することができず、定常的に胎児の状態を把握することは困難である。
さらに本発明の他の一つは、妊婦の腰部または臀部から第1の身体振動信号を検出する
第1の振動センサーと、妊婦の胸部から第2の身体振動信号を検出する第2の振動センサ
ーと、を有し、少なくとも第1の身体振動信号に基づいて、第1の拍動振動性信号を抽出
し、少なくとも第2の身体振動信号に基づいて、第2の拍動振動性信号を抽出し、第1の
拍動振動性信号から第2の拍動振動性信号を除算して、胎児の拍動振動性信号を抽出する
ことを特徴とする。第1の身体振動信号には、妊婦の拍動振動成分だけではなく、胎児の
拍動振動成分も合成されているため、第1の身体振動信号に基づいて抽出された第1の拍
動振動性信号は妊婦と胎児の拍動振動が合成されたものである。一方、第2の身体振動信
号からは胎児の拍動振動成分が検出されないため、第2の身体振動信号に基づいて抽出さ
れた第2の拍動振動性信号は主に妊婦の拍動振動性信号である。よって、第1の拍動振動
性信号(妊婦+胎児)から第2の拍動振動性信号(妊婦)を除算することで、胎児の拍動
振動性信号を検出することができる。ただし、この方法は、妊婦と胎児の信号強度が近づ
くと分離が困難になる。
上記3つの方法は、状況に応じて適宜選択して使用することが好ましい。さらに、精度
を向上させるため、複数の方法を併用することがより好ましい。
本発明は、動物、特に人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、検出した身体振
動信号から拍動振動、肺呼吸振動及び音声振動を抽出することができるので、人の生体情
報(存在不在、生死、健康状態、心理状態、感情、意思等)を検出、判定することができ
る。更には、動物のペットにも同様に適用することが可能である。
10A 第1の振動センサー
10B 第2の振動センサー
16 信号処理装置
131A、131B ドリフト遮断手段
110A、110B 増幅アンプ
120 拍動フィルタ手段
121 肺呼吸フィルタ手段
140 判定手段

Claims (11)

  1. 人が発する身体の振動を振動センサーで検出し、検出した身体振動信号から音声振動性信号を抽出し、前記音声振動性信号によって人の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、
    人が発する身体の振動を検出する振動センサーと、
    前記振動センサーが検出した身体振動信号を処理する信号処理回路とを有し、
    前記信号処理回路は、前記身体振動信号に基づいて、音声振動性信号を抽出する音声フィルタ手段と、前記音声フィルタ手段で抽出された前記音声振動性信号が入力される判定手段とを有し、
    前記判定手段は、前記音声振動性信号の波形と記憶された音声振動サンプルとの相関をとり、前記人の意思を検出することを特徴とする生体情報検出装置。
  2. 前記音声振動サンプルは、本人の音声をサンプリングしたものであることを特徴とする請求項1に記載の生体情報検出装置。
  3. 前記音声フィルタ手段は、50Hz〜2kHzの間の通過域を有するバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体情報検出装置。
  4. 前記信号処理回路は、前記音声フィルタ手段の前に、前記身体振動信号に対して体動振動を分離し、増幅する前処理手段を有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  5. 前記振動センサーと前記音声フィルタ手段との間に、増幅後の身体振動信号の最大振幅が前記音声フィルタ手段の入力信号の電圧範囲内となるような増幅アンプを設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  6. 前記音声フィルタ手段で抽出された前記音声振動性信号を増幅する増幅アンプを設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  7. 前振動センサーと前記音声フィルタ手段との間に、ドリフト遮断手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  8. 前記振動センサーの周縁部に前記信号処理回路が一体的に設けられており、前記信号処理回路を覆って設けられたカバーの少なくとも一部を接地させたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  9. 前記身体振動信号を前記振動センサーから前記信号処理回路に伝送する伝送路を有し、
    前記伝送路の少なくとも一部に同軸ケーブルを使用することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  10. 記身体振動信号を前記振動センサーから前記信号処理回路に伝送する伝送路を有し、
    前記伝送路の半分よりも前記振動センサー側にオペアンプまたはFETを設けたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  11. 前記音声フィルタ手段は、減衰域における減衰後の信号の最大強度が、通過域における通過後の信号の最大強度よりも弱くなるまで繰り返し実行し、
    前記通過域における信号の最大強度未満の強度の閾値が1となるように前記音声フィルタ手段を通過した信号の信号強度を換算し、
    換算後の信号強度xについて、f(x)=xnの関数(nは2以上の整数)を演算することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
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