JP2019117178A - 異物混入量の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速且つ容易に金属化合物粉体に混入した異物量を評価出来る方法を提供する。【解決手段】異物が混入した金属化合物粉体の分散溶液を作製し、分散溶液中へ磁石を投入して撹拌した後、磁石を回収する工程と、回収された磁石に付着している分離付着物から、サンプリング試料を得る工程と、サンプリング試料を全自動鉱石分析装置に装填し、サンプリング試料の反射電子像を取得する工程と、反射電子像を画像処理して、分離付着物の粒子像を抽出する工程と、粒子像を画像解析して、所定以上の輝度を有する粒子を異物の粒子であると判定する工程と、異物と判定された各粒子の粒子形状データ、および、エネルギー分散X線スペクトルを取得する工程と、エネルギー分散X線スペクトルから、異物と判定された各粒子に含まれる化合物を同定する工程と、異物と判定された粒子の粒子数と粒度とを計測する工程とを、有する異物混入量の評価方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、金属化合物粉体に含まれた異物を分析して、当該異物の混入量を評価する方法に係り、特に、当該異物が強磁性体である場合に関する。
金属酸化物、金属硫化物、金属炭酸塩等の金属化合物粉体の製造において、これらの化合物中に異物として金属または金属化合物が混入する場合がある。これらの金属または金属化合物の混入原因には多くのものがあるが、主な混入元として、原料由来のもの、製造工程で使用する薬剤由来のもの、製造工程で水や空気等が接触する場合のユーティリティー由来のもの、装置由来のもの等、が想定される。
いずれにしても、異物の混入元を特定して、混入止めの対策を取ることが必要である。そして当該対策の為には、製造工程内に流れている金属化合物中における異物の混入程度、あるいは、混入止めの対策実施後の金属化合物中の異物の有無等、を把握することが必要である。
このように金属化合物粉体中の異物の混入量の評価は、品質管理上において重要である。
一般的に金属化合物粉体中における異物の混入量を評価する場合、化学分析の手法に従う場合は、被測定試料である金属化合物の粉体を全溶解し、定量分析を行うことで評価する。また、異物を直接観察して元素分析を行う場合には、エネルギー分散型X線分析器(本発明において「EDS」と記載する場合がある。)が付随した走査型電子顕微鏡(本発明において「SEM」と記載する場合がある。)を用いて分析を行う。そして、これら分析情報を総合的に解析して評価し、異物混入の発生原因の特定とその防止策とを検討することができる。
しかしながら本発明者らの検討によると、上述した評価方法によっては、異物の混入量を評価することが難しい場合もあることが知見された。
具体的には、評価対象である異物が下記の項目に該当する場合である。
(イ)異物を特徴づける主成分元素が金属化合物粉体中にも含まれる場合。
(ロ)異物の混入量が極微量である場合。
(ハ)異物が難溶解性であり選択溶解が著しく困難である場合。
上述した化学分析では、(イ)と(ロ)との場合、金属化合物の試料を全溶解して定量分析した結果からは異物混入量を評価することはできない。そこで、次の手段として、異物の分離・濃縮が検討されるが、(ハ)の場合、それは非常に困難である。
一方、EDSが付随したSEMを用いる際、(ロ)の場合であると異物を検出するのが難しく定量的な評価はできない。
ここで特許文献1には、所定の処理を施した磁石を用い、非磁性金属酸化物粉末と着磁性粒子とにおける磁性の差を利用し、着磁性粒子である異物粒子を分離採取して個数測定することで、非磁性金属酸化物粉末への異物混入量を評価する方法について記載されている。
特開2008−145246号公報
特許文献1に記載の方法は、対象が、異物として着磁性粒子を含む非磁性金属酸化物粉末であり、当該非磁性金属酸化物粉末と着磁性粒子が、磁石により完全に分離できることを前提としているものである。
しかしながら本発明者らは、非磁性体(強磁性体でない物質であり、常磁性体、反磁性体、反強磁性体がある。本発明においては、これらの磁性体をまとめて「非磁性体」と記載する場合がある。)である金属化合物粉体中に強磁性粒子である異物が含まれている場合において、当該強磁性粒子である異物を磁石で分離採集する方法では、金属化合物粉体中に存在する強磁性粒子である異物のみを精度よく分離採集することは難しく、特許文献1に記載の方法は適用が困難であるとの知見を得た。
具体的には、当該分離採集において、非磁性体である金属化合物粉体も磁石に付着してしまうことを知見したものである。
そして、非磁性体である金属化合物粉体が磁石に付着してしまうと、異物と金属化合物粉体とにおいて、粒径が明確に異なる、物質色が明確に異なる、等の磁性以外の外観観察手段により、両者を容易に判別できる場合を除き、付着した金属化合物粉体を異物であると誤って判断したまま個数測定等を行ってしまうこととなる。この結果、金属化合物粉体に混入した異物の混入量を見誤ってしまうことを知見したものである。
本発明は、このような状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、上述した(イ)〜(ハ)のいずれかの場合であり、且つ、非磁性体である金属化合物粉体に強磁性粒子が異物として混入している場合であって、磁性以外の外観観察手段により両者を容易に判別できない場合でも、精度よく、迅速、容易に金属化合物粉体に混入した異物量を評価出来る方法を提供することである。
上述の課題を解決するため本発明者らは研究を行い、磁石を用いて金属化合物粉体中に含まれる異物を濃縮する測定前処理操作と、当該前処理操作で濃縮された強磁性粒子の異物を、全自動鉱石分析装置(Mineral Liberation Analyzer、本発明において「MLA」と記載する場合がある。)を用いて抽出し分析する操作とを、組み合わせる構成に想到した。
そして、当該構成によれば、上述した(イ)〜(ハ)のいずれかの場合であり、且つ、非磁性体である金属化合物粉体に強磁性粒子が異物として混入している場合であって、磁性以外の外観観察手段により両者を容易に判別できない場合でも、精度よく、迅速、容易に、金属化合物粉体に混入した強磁性粒子である異物量を評価出来ることを知見し本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
金属化合物粉体に混入した異物混入量の評価方法であって、
前記金属化合物粉体が非磁性体であり、前記異物が強磁性粒子であり、
前記異物が混入した金属化合物粉体が分散している分散溶液を作製し、前記分散溶液中へ磁石を投入して撹拌した後、前記磁石を回収する工程と、
前記回収された磁石に付着している分離付着物から、サンプリング試料を得る工程と、
前記サンプリング試料を全自動鉱石分析装置(MLA)に装填し、前記サンプリング試料の反射電子(BSE)像を取得する工程と、
前記反射電子像を画像処理して、前記分離付着物の粒子像を抽出する工程と、
前記粒子像を画像解析して、所定以上の輝度を有する粒子を異物の粒子であると判定する工程と、
前記異物と判定された各粒子の粒子形状データを得る工程と、
前記異物と判定された各粒子のエネルギー分散X線スペクトル(EDS)を取得する工程と、
前記エネルギー分散X線スペクトルから、前記異物と判定された各粒子に含まれる化合物を同定する工程と、
前記異物と判定された粒子の粒子数と粒度とを計測する工程とを、有することを特徴とする異物混入量の評価方法である。
第2の発明は、
前記異物が混入した金属化合物粉体が分散している分散溶液を作製し、前記分散溶液中へ磁石を投入して撹拌した後、前記磁石を回収する工程において、
所定量の前記異物が混入した金属化合物粉体と、所定量の純水と、磁石とを容器に投入し、撹拌した後、前記磁石を回収することを特徴とする第1の発明に記載の異物混入量の評価方法である。
第3の発明は、
前記回収された磁石に付着している、前記異物が混入した金属化合物粉体からサンプリング試料を得る工程において、
前記磁石へ所定の大きさのカーボンテープを貼付した後、剥がすことで、前記異物が混入した金属化合物粉体を前記カーボンテープ表面に付着させて、サンプリング試料を得ることを特徴とする第2の発明に記載の異物混入量の評価方法である。
第4の発明は、
前記サンプリング試料の反射電子像を取得する工程において、
前記カーボンテープの全面が測定されるように、測定視野数を調整することを特徴とする第3の発明に記載の異物混入量の評価方法である。
本発明によれば、上述した(イ)〜(ハ)のいずれかの場合であり、且つ、非磁性体である金属化合物粉体に強磁性粒子が異物として混入している場合であって、磁性以外の外観観察手段により両者を容易に判別できない場合でも、精度良く、迅速且つ容易に、金属化合物粉体に混入した強磁性粒子である異物量を評価出来る。
異物混入量の評価方法の操作フロー図である。 金属化合物粉体中における異物の反射電子(BSE)像である。 金属化合物粉体中における画像処理後の異物像である。
本発明を実施するための形態について、まず(1)MLAとその測定原理、について簡単に説明した後、(2)測定前処理操作、(3)MLAによる操作の順に、図1に示す異物混入量の評価方法の操作フロー図を参照しながら説明する。
(1)MLAとその測定原理
MLAは、鉱物粒子等の無機化合物粒子の同定を行う分析装置であって、エネルギー分散型X線分析器(本発明において「EDS」と記載する場合がある。)が2基備えられた走査電子顕微鏡(本発明において「SEM」と記載する場合がある。)がプラットフォームとなっている。そして、当該SEM・EDSを全自動制御し、画像処理やスペクトルマッチングを行い、鉱物粒子等の無機化合物粒子の同定操作を実施する制御PCを備えた分析装置である。
尚、本発明において「同定」とは、所定の鉱物粒子等を構成する化合物の種類を明らかにすることをいう。そして、当該所定の鉱物粒子等が複数種類の化合物から構成されている場合は、さらに、当該複数種類の化合物のそれぞれの存在比率も明らかにすることをいう。
MLAの測定原理について簡単に説明する。
MLAの測定では、視野中に存在する鉱物粒子等の無機化合物粒子へ電子線を照射して反射電子(BSE)像を取得し、画像処理によって当該無機化合物粒子の位置、大きさ、形状のデータを取得する。次に、当該位置、大きさ、形状のデータを取得された当該無機化合物粒子へ、電子線を照射して当該粒子のエネルギー分散X線スペクトル(EDS)のデータを取得する。そして、視野中に存在する鉱物粒子等の無機化合物粒子に対し、当該一連のデータ採取を繰り返す。
ここで、得られるエネルギー分散X線スペクトル(EDS)には、各無機化合物粒子の含有元素とその量の情報が含まれている。具体的には、当該スペクトルのピーク位置から含有元素が特定出来る。そして、当該スペクトルのピーク面積から、当該含有元素の存在量が評価出来る(各含有元素に対応する各ピーク面積の比率から、当該各含有元素の存在比率が算出される)。この結果、各々の粒子を構成する化合物が同定され、当該各化合物毎の存在量を得ることができる。
そしてMLAは、例えば100万個といった極めて多数の粒子が対象であっても、これらの粒子を全自動で測定させることが可能である為、一旦、測定作業が開始されれば、人的な工数は殆ど不要なまま、異物が混入した金属化合物粉体試料から異物のデータを測定して、収集することが可能である。
(2)測定前処理操作
異物混入量の評価方法の操作フロー図である図1に示す測定前処理操作について、(i)金属化合物粉体における異物の濃縮、(ii)分離付着物の採取、の順に説明する。
(i)金属化合物粉体における異物の濃縮
上述したように、異物が強磁性粒子であり、金属化合物粉体が、非磁性体であるという場合、磁石を用いて、金属化合物粉体から異物のみを分離することは、適宜な磁力の磁石を用いることで可能であると考えられた。しかし、本発明者らの検討によれば、当該強磁性粒子である異物のみを精度よく分離採集することは難しく、非磁性体である金属化合物粉体も磁石に付着していることがあることが判明した。
非磁性体である金属化合物粉体が磁石に付着するのは、強磁性粒子である異物が磁石に付着する際に、当該異物に巻き込まれて磁石に付着するのではないかと考えられる。
この場合、磁石への付着物(本発明において「分離付着物」と記載する場合がある)は、異物が濃縮された金属化合物粉体となっているので、これをサンプリング試料とする。
具体的には、前記異物が混入した金属化合物粉体が混合分散した溶液を作製し、当該粉体分散溶液中へ磁石を投入して撹拌した後、前記磁石を回収し、当該回収された磁石に付着している分離付着物からサンプリング試料を得ることとなる。
撹拌容器に投入する磁石としては、マグネチックスターラーとペアで用いられる撹拌子を用いるのが便宜である。当該撹拌子は、小型の磁石に耐薬品性を持たせるための被覆したものであり、この被覆にはテフロン(登録商標)やガラスがある。形状は、直線の棒状のものや、中心がやや膨らんだ棒状のもの、中心に帯状の突起がついた八角形型のもの等があるが、適宜選択すれば良い。
具体的な操作例としては、異物を含む金属化合物粉体を、所定量の純水に投入して混合分散した分散溶液を作製し、当該分散溶液と磁石とを、例えばプラスチック製の撹拌容器に入れる。そして、攪拌機を用いて当該分散溶液を、所定時間撹拌することで、金属化合物粉体と純水とを混合分散させ、当該磁石表面に強磁性体である異物が濃縮している分離付着物を付着させる。
具体的には、投入する異物を含む金属化合物粉末の重量がA(g)の場合、所定量の純水が0.6A(ml)から2A(ml)であれば、金属化合物と純水の混合分散が良好に行われる。そして、当該磁石表面に、強磁性体である異物が濃縮している分離付着物を、十分に付着させることができる。
ここで磁石には、対象となる金属化合物粉体の分散性や、強磁性粉体の想定される異物量などを考慮して、フェライト磁石の他に、より強い磁化を有する希土類磁石、例えば、SmCo磁石、NdFeB磁石、SmFeN磁石などの小型磁石を用いることが好ましい。
このとき、分離付着物は、強磁性粒子である異物粒子であると考えられる。しかし、非磁性体である金属化合物粉体も磁石に付着している。この結果、非磁性体である金属化合物粉体も磁石に付着していることを考慮せず、分離付着物の全てが強磁性粒子である異物粒子であると判断してしまうと、後工程において、金属化合物粉体に混入した異物混入量を見誤ってしまうことになる。
そこで分離付着物には、異物粒子と金属化合物粉体とが含まれている(但し、当初の金属化合物粉体に混入した異物混入量に較べれば、異物量の混入割合が上がっている。)ことを認識した上で、次工程であるMLAによる操作を行うものである。
(ii)分離付着物の採取
所定の撹拌時間が経過したら、前記撹拌容器から磁石を取出し、純水中で超音波洗浄を行った後、自然乾燥すればよい。
当該磁石表面上には分離付着物が付着している。そこで、当該磁石表面へ所定の大きさに切りだしたカーボンテープを貼付し、次に剥がし取ることで、分離付着物をカーボンテープへ付着させ、サンプリング試料を得る。
(3)MLAによる操作
異物混入量の評価方法の操作フロー図である図1に示すMLAによる操作について、(i)サンプリング試料の反射電子(BSE)像取得、(ii)反射電子(BSE)像を画像処理して異物の粒子像の判定と抽出、(iii)粒子像を画像解析して粒子形状データ取得、(iv)粒子からエネルギー分散X線スペクトル(EDS)取得、(v)エネルギー分散X線スペクトル(EDS)から粒子を構成する化合物を同定、(vi)化合物の同定データから異物の粒子数と粒度取得、の順に説明する。
(i)サンプリング試料の反射電子(BSE)像取得
上述したサンプリング試料が付着したカーボンテープをMLA内に装填し、当該カーボンテープ上に電子線を照射し、サンプリング試料(付着物)の反射電子(BSE)像を取得する。この際、想定される異物の粒子の最小サイズから、反射電子(BSE)像の観察倍率と解像度とを検討して設定し、さらに、当該カーボンテープの全面が測定されるように測定視野数を調整する。そして、標準試料の純金と樹脂を用いて、反射電子(BSE)像のグレイレベルにおいて、純金がおよそ256(白色)、樹脂部が0(黒色)となるようにコントラストと輝度とを調整した後、サンプリング試料の反射電子(BSE)像を取得する。尚、コントラストと輝度との調整において純金以外で、Cu、Agを用いて上記のような調整を行ってもよい。
(ii)反射電子(BSE)像を画像処理して異物の粒子像の判定と抽出
取得された反射電子(BSE)像に対して、測定粒子の輝度範囲を限定するMLAの機能を適用して、サンプリング試料から異物の粒子像を判定し、抽出する。この際、抽出される粒子像は、当該粒子のグレイレベルの値によって判定されることから、グレイレベルの範囲を適切に調整する。具体的には、当該調整を適切に実施することで、異物の粒子像以外であってカーボンテープに付着している金属化合物粉体の粒子像が、異物と判定されることのないグレイレベルを設定する。
(iii)粒子像を画像解析して粒子形状データ取得
前記異物の粒子像を画像解析して、粒子形状データを取得する。
(iv)粒子からエネルギー分散X線スペクトル(EDS)取得
前記異物の粒子から、エネルギー分散X線スペクトル(EDS)を取得する。
(v)エネルギー分散X線スペクトル(EDS)から粒子を構成する化合物を同定
異物の粒子から取得されたエネルギー分散X線スペクトル(EDS)と、MLA内にストレージされたリファレンスとなる物質のエネルギー分散X線スペクトル(EDS)とを比較して、当該異物の粒子に含まれる含有元素と、その存在量の情報とを、リファレンスとなる物質の含有元素と、その存在量の情報とを照合する。そして、それら元素や存在量の一致から、当該異物の粒子を構成する化合物の同定を行って、当該異物の粒子を判別する。即ち、当該異物の粒子を構成する化合物の種類を明らかにする。そして、当該異物の粒子が複数種類の化合物から構成されている場合は、さらに、当該複数種類の化合物のそれぞれの存在比率も明らかにする。
(vi)化合物の同定データから異物の粒子数と粒度取得
判別された異物の粒子について粒子数と粒度を得て、金属化合物粉体における異物の粒子数と粒度を取得し、当該異物の混入量を評価する。
以下、実施例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
金属化合物粉体(常磁性を有する粉体)の試料を4個準備した。当該4個の内、1個は清浄な試料であり、その他の3個は異物(強磁性粒子)の混入が疑われる試料である。清浄な試料の符号をNo.1、異物の混入が疑われる試料の符号をNo.2〜4とした。
No.1〜4の金属化合物試料を各500g採取し、プラスチック容器に磁石とともに入れて400mlの純水で満たして密封した。当該密封したプラスチック容器を、回転攪拌機で1時間撹拌した後、プラスチック容器から磁石を取り出した。当該磁石を純水中で超音波洗浄して自然乾燥した。
当該乾燥した磁石へ、8mm×8mmのサイズに切り出したカーボンテープを貼付した後、剥がしとり、分離付着物をカーボンテープ側へ付着させて、サンプリング試料を得た。
サンプリング試料を付着させたカーボンテープを試料台に張り付けて、MLA内に設置した。
まず、反射電子(BSE)像の観察倍率と解像度を設定して、測定視野数を設定し、コントラストと輝度を調整した。当該サンプリング試料については、異物の粒子の最小サイズは0.5μmと想定して、観察倍率800倍、解像度を700×700に調整した。
当該観察倍率によって1つの視野の大きさが決まるので、8mm×8mmのカーボンテープの全面が測定されるように、測定視野数を決定した。
次に、標準試料の純金と樹脂とを用いて、反射電子(BSE)像のグレイレベルにおいて純金がおよそ256(白色)となり、樹脂部が0(黒色)となるようにコントラストと輝度を調整した。そして、反射電子(BSE)像における測定粒子の輝度範囲を限定するMLAの機能によって、異物の粒子のみが判定され抽出されるように輝度範囲を調整した。
MLAの、反射電子(BSE)像に対するバックグラウンド除去機能に、不要部を除去するグレイレベルを調整した。今回のカーボンテープにおいて、異物の粒子以外の付着している金属化合物粉体の粒子像のグレイレベルは約40〜140であることから、グレイレベル150〜256の範囲の輝度を判定の規準とするようにMLAの設定を行った。
上記の設定を行った後に、上述した8mm×8mmのカーボンテープの全面において、MLAの自動測定を実行した。図2にサンプリング試料中における異物の粒子の反射電子(BSE)像を示す。
図2に示すサンプリング試料中における異物の粒子の反射電子(BSE)像を、画像解析して得られた異物の粒子の粒子形状を図3に示す。
図2より、グレイレベルの調整によってサンプリング試料中における異物の粒子のみが抽出されている様子を確認することができる。そして、図3より、異物の粒子形状が明確化した。
MLAを用いて、上述した図2に示されるサンプリング試料中における異物の粒子のエネルギー分散X線スペクトル(EDS)を得た。
得られた異物の粒子のエネルギー分散X線スペクトルと、MLA内にストレージされている所定物質のエネルギー分散X線スペクトルとをMLAにて比較し、異物の粒子の同定を実施した。
さらに、前記異物と判定された粒子の粒子数と粒度とを計測した。
サンプリング試料No.1〜4において、検出された異物の粒子数を表1に示す。
表1より、試料No.1は11個の異物の粒子を含むとの結果が得られた。即ち、上述したように試料No.1は清浄な試料と考えられたものであるが、異物の粒子が混入していることが明らかとなった。
一方、異物の混入が考えられた試料No.2〜4においては、No.1に対していずれも1ケタ多い異物の粒子が混入しているとの結果が得られた。この結果、試料No.2〜4は、異物で汚染されている試料であることが明らかとなった。
尚、上述したグレイレベルおよび判定の規準となる輝度範囲を調整の後、異物の粒子数の計測はMLAにより全自動で実施された。
(比較例1)
サンプリング試料No.1〜4に係る分離付着物を、カーボンテープへ付着させるところまでは実施例1と同様の処理を行った。
そして、サンプリング試料を付着させたカーボンテープを試料台に張り付けて、SEM−EDS内に設置した。
オペレーターが当該SEM−EDSを操作して、280μm×400μmの大きさの視野で200視野分のカーボンテープを分析し、異物の粒子の数を計測した。当該計測結果を表2に示す。ここで、280μm×400μmの大きさの視野で200視野分は、実施例1に係るMLAで測定した視野の35%の領域を分析していることとなる。
サンプリング試料No.1〜4において、計測された異物の粒子数を表1に示す。
表1より、試料No.1は3個の異物の粒子が計測された。上述したように試料No.1は清浄な試料と考えられたものであるが、異物の粒子が混入しているか否かの判断が難しい結果となった。
一方、異物の混入が考えられた試料No.2、3においては、No.1に比較していずれも8倍程度の異物の粒子が混入していると計測され、試料No.4においては、No.1に比較して3倍程度の異物の粒子が混入していると計測された。
尚、当該オペレーターによる異物の粒子数の計測には、1試料あたり2時間程度要し、4試料で8時間程度要した。
以上のことから、オペレーターによる異物の粒子の計測数は、試料No.1〜4の全てにおいて、MLAによる異物の粒子の検出数の35%より少なく、試料No.4に至っては10%にも満たないことが判明した。即ち、オペレーターによる異物の粒子の計測では、多量の工数が必要な上、ヒューマンエラーに起因すると考えられる異物の粒子の数え落としも不可避であることが判明した。
(まとめ)
結局、磁石を用いて金属化合物粉体中の異物を濃縮して分離付着物を得る前処理操作と、当該分離付着物中の異物をMLAによって判定して抽出し評価する方法とを、組み合わせることで、非磁性体である金属化合物粉体に強磁性粒子が異物として混入している場合であって、磁性以外の外観観察手段により両者を容易に判別できない場合でも、精度良く、迅速且つ容易に、金属化合物粉体に混入した強磁性粒子である異物量を評価出来ることが判明した。

Claims (4)

  1. 金属化合物粉体に混入した異物混入量の評価方法であって、
    前記金属化合物粉体が非磁性体であり、前記異物が強磁性粒子であり、
    前記異物が混入した金属化合物粉体が分散している分散溶液を作製し、前記分散溶液中へ磁石を投入して撹拌した後、前記磁石を回収する工程と、
    前記回収された磁石に付着している分離付着物から、サンプリング試料を得る工程と、
    前記サンプリング試料を全自動鉱石分析装置(MLA)に装填し、前記サンプリング試料の反射電子(BSE)像を取得する工程と、
    前記反射電子像を画像処理して、前記分離付着物の粒子像を抽出する工程と、
    前記粒子像を画像解析して、所定以上の輝度を有する粒子を異物の粒子であると判定する工程と、
    前記異物と判定された各粒子の粒子形状データを得る工程と、
    前記異物と判定された各粒子のエネルギー分散X線スペクトル(EDS)を取得する工程と、
    前記エネルギー分散X線スペクトルから、前記異物と判定された各粒子に含まれる化合物を同定する工程と、
    前記異物と判定された粒子の粒子数と粒度とを計測する工程とを、有することを特徴とする異物混入量の評価方法。
  2. 前記異物が混入した金属化合物粉体が分散している分散溶液を作製し、前記分散溶液中へ磁石を投入して撹拌した後、前記磁石を回収する工程において、
    所定量の前記異物が混入した金属化合物粉体と、所定量の純水と、磁石とを容器に投入し、撹拌した後、前記磁石を回収することを特徴とする請求項1に記載の異物混入量の評価方法。
  3. 前記回収された磁石に付着している、前記異物が混入した金属化合物粉体からサンプリング試料を得る工程において、
    前記磁石へ所定の大きさのカーボンテープを貼付した後、剥がすことで、前記異物が混入した金属化合物粉体を前記カーボンテープ表面に付着させて、サンプリング試料を得ることを特徴とする請求項2に記載の異物混入量の評価方法。
  4. 前記サンプリング試料の反射電子像を取得する工程において、
    前記カーボンテープの全面が測定されるように、測定視野数を調整することを特徴とする請求項3に記載の異物混入量の評価方法。
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