JP2019116652A - 高透磁率カバー付き成膜装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従って、本発明の課題は、陰極アークプラズマの磁気輸送の際に、プラズマの輸送効率を上げることで成膜速度を向上させる、簡便かつ安価な手段を備えた成膜装置を提供することである。本発明の更なる課題は、陰極アークプラズマの屈曲磁気輸送の際に、プラズマの輸送効率を上げることで、ドロップレットの飛来量を増やさずに成膜速度を向上させ、実質的にドロップレットを低減する、簡便かつ安価な手段を備えた成膜装置を提供することである。
クト壁に衝突して失われるプラズマが減少するため、プラズマの輸送効率が向上して、成膜速度が大きくなる。それゆえ、成膜時間の短縮等による生産性向上を図ることができる。
なお、例えばT字型ダクトなどは、ダクトの分岐部分があるため、高透磁率材料で完全に覆うことは出来ないが、上記の屈曲部に含めて考えることができる。
特に金属ターゲットを用いた蒸発源の場合、放電特性が比較的安定していることから、連続的な磁場を形成しやすく、成膜速度を確実に向上させることができる。
磁場がどのように変化するかを一般的に示す断面説明図である。図(1A)は、高透磁率カバー5が存在しない場合の、隣接する2つのコイル6aによる磁力線62を示す。図(1B)は、高透磁率カバー5がある場合に、矢印51の方向に高透磁率カバーが磁化し、磁力線62で表される追加の磁場を生じることを示す。図(1C)には、高透磁率カバーがある場合の実際の磁場が、磁力線62で示されている。実際の磁場は、図(1A)の磁場と図(1B)の磁場を重ね合わせたものである。高透磁率カバー5を設けることにより、隣接する2つのコイル6aの間の部分で、ダクト壁32aと交差する磁力線の数が減少し、また、ダクト31aの内部の磁場が強められている。
この装置1は、ソース部2と、フィルタ部3と、処理部4と、からなり、処理部4は排気管43を有し、排気装置に接続された排気管43を通して装置1の内部全体が真空排気される。ソース部2のソース部壁21の内部と、フィルタ部のダクト31aの内部と、処理部4の処理部壁42で囲われた処理室44とは、互いに通気連通し、パッキン等の気密保持手段81により気密に保たれる。
面に蒸着し、成膜がなされる。
又、ソース部2に含まれる、蒸発源22と磁場形成手段6の外側を囲うように高透磁率カバー5eを設けることにより、及び/又は、処理部4において、処理部壁42の外側で被成膜基材41の背後に当たる部分の少なくとも一部又は全部を覆うように高透磁率カバー5fを設けることにより、フィルタ部3と連続的な磁場を形成しやすくなり、ドロップレットの飛来数を変えることなく、更にプラズマ輸送効率を向上させ、成膜速度を上げることができる。
この変形例において、フィルタ部のコイルの外側を覆う高透磁率カバーをパンチングメタルで構成すると、当該コイルの冷却性を確保できる。更にファンを追加設置することで、冷却効率を一層向上させることができる。
図の符号は図5と共通するものが大部分であるので、相違点に重点をおいて説明する。図6に示す、本発明の一形態においては、フィルタ部3にダクトは存在しないものの、筒状のダクトの内部に相当するものとしてプラズマ進行路31を、ダクト壁に相当するものとしてプラズマ進行路境界32を、それぞれ観念することができる。すなわち、プラズマ進行路境界32とは、複数の環状の磁場形成手段6のすぐ内側を通過する筒状の面であり、プラズマ進行路31とは、その筒状の面で囲われた空間領域のことである。
この装置1は、ソース部2と、フィルタ部3と、処理部4と、からなり、フィルタ部3を除く部分の構造は、図5に示した本発明の一形態とほぼ共通であるので、フィルタ部3に重点を置いて説明する。本形態においては、ソース部2で生じたプラズマとドロップレットは、T字形状のダクト31aの、T字の横棒に対応する部分に沿って進行する。ここで、プラズマの大部分は、矢印7が示すように磁力線62に沿って曲がり、ダクト31aのT字の縦棒部分を通って、矢印7bが示すように処理部4へと輸送される。一方、ドロップレットの大部分は、磁場の影響をほとんど受けることなく直線に近い軌道を描いて進み、矢印91が示すようにダクト31aのT字の横棒部分を通って、ダクト壁32bに設けられたドロップレット捕集手段92に捕捉される。
aを設けていないので、フィルタ部3の磁力線62は、特にT字の分岐部分における外側の部分で、ダクト壁32bと多く交差する(矢印7を参照)。したがって、従来技術では、多くのプラズマがダクト壁32bに衝突するため、プラズマ輸送効率が良くない。それに対して、図8に示す本発明の一形態では、上述の通り、高透磁率カバー5aの効果で磁場が改善され、ドロップレットの飛来数を変えることなく、プラズマ輸送効率を向上させ、成膜速度を上げることができる。
又、ソース部2に含まれる、蒸発源22と磁場形成手段6の外側を囲うように高透磁率カバー5eを設けることにより、及び/又は、処理部4において、処理部壁42の外側で被成膜基材41の背後に当たる部分の少なくとも一部又は全部を覆うように高透磁率カバー5fを設けることにより、フィルタ部3と連続的な磁場を形成しやすくなり、ドロップレットの飛来数を変えることなく、更にプラズマ輸送効率を向上させ、成膜速度を上げることができる。
この変形例において、フィルタ部のコイルの外側を覆う高透磁率カバーをパンチングメタルで構成すると、当該コイルの冷却性を確保できる。更にファンを追加設置することで、冷却効率を一層向上させることができる。
図8に示す高透磁率カバー付き成膜装置1は、処理部4に処理室44を有し、処理室44には排気管43が接続されていて、排気管43を通して排気装置によって真空排気される。処理室44の内部には被成膜基材41がバイアス電源に接続した状態で設置されている。処理部壁42は接地されており、陽極として動作するが、別途、陽極を設けてもよい。
本実施例では図8に示す通り、ダクト31aがT字型をなす、T型FADシステムを有し、カーボンターゲットを用いてDLCを成膜する装置1を用いて、フィルタ部3のT字の分岐部分の外側に高透磁率材料からなる高透磁率カバー5aを増設した。上記T字の分岐部分の外側については、フィルタ部外壁33aは別に設けず、高透磁率カバー5aそのものでフィルタ部外壁33aを構成した。
極23を瞬間的に接触させてアーク放電を開始する。順次所定の電流値50Aに移行させると定常的に放電が維持され、処理室44の内部に設置された被成膜基材41が成膜される。
高透磁率カバー5aは一般な鋼板のS45Cのパンチングメタルで作成し、本実施例においてはフィルタ部3のT字の分岐部分の内側のフィルタ部外壁33bは覆っていない。(すなわち、高透磁率カバー5bは設けていない。)
フィルタ部3のT字の分岐部分の外側を高透磁率カバー5aで覆うことで、アーク放電時の被成膜基材41に印加しているバイアス電流が約600mAから650mAに向上し、成膜速度も概ね10%弱程度向上した。これより、フィルタ部3に高透磁率材料からなるカバーを設置することで、成膜速度を向上できることが確認された。
2 ソース部
3 フィルタ部
4 処理部
5 高透磁率カバー
6 磁場形成手段
6a コイル
6b 永久磁石磁場形成手段
7 矢印
21 ソース部壁
22 蒸発源
23 トリガ電極
24 アーク電源
30 屈曲部
31 プラズマ進行路
31a ダクト
32 プラズマ進行路境界
32a ダクト壁
33 フィルタ部外壁
34 プラズマ輸送室
41 被成膜基材
42 処理部壁
43 排気管
44 処理室
51 矢印
52 孔
61 永久磁石
62 磁力線
81 気密保持手段
91 矢印
92 ドロップレット捕集手段
Claims (4)
- アーク放電によってプラズマを発生させる手段を有するソース部と、
前記ソース部で発生させたプラズマを被成膜基材に向けて輸送するフィルタ部と、を備え、
前記フィルタ部は、前記プラズマを輸送するダクトと、
前記ダクトの内部にプラズマを輸送するための磁場を形成する磁場形成手段と、
前記磁場形成手段の外側の全体又はその一部を覆う高透磁率材料からなる高透磁率カバーと、を有することを特徴とする高透磁率カバー付き成膜装置。 - 前記ダクトが屈曲部を有し、
前記高透磁率カバーは、前記磁場形成手段のうち、前記屈曲部に設けられた磁場形成手段の外側の全体またはその一部を覆う請求項1に記載の高透磁率カバー付き成膜装置。 - 前記高透磁率カバーがパンチングメタルである請求項1又は2に記載の高透磁率カバー付き成膜装置。
- 前記高透磁率カバーをフィルタ部だけでなく、前記ソース部に設けられた蒸発源の外周部にも有する請求項1〜3のいずれかに記載の高透磁率カバー付き成膜装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017250202A JP2019116652A (ja) | 2017-12-26 | 2017-12-26 | 高透磁率カバー付き成膜装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017250202A JP2019116652A (ja) | 2017-12-26 | 2017-12-26 | 高透磁率カバー付き成膜装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019116652A true JP2019116652A (ja) | 2019-07-18 |
Family
ID=67304094
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017250202A Pending JP2019116652A (ja) | 2017-12-26 | 2017-12-26 | 高透磁率カバー付き成膜装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019116652A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6214595A (ja) * | 1985-07-12 | 1987-01-23 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 動電型スピ−カシステム |
JPH10280135A (ja) * | 1997-03-31 | 1998-10-20 | Samsung Electron Co Ltd | 陰極アーク放電を用いた薄膜蒸着装置 |
JP2001521066A (ja) * | 1997-10-24 | 2001-11-06 | フィルプラス ヴァキューム テクノロジー ピーティーイー.リミテッド | 強化されたマクロ粒子フィルタおよび陰極アーク源 |
-
2017
- 2017-12-26 JP JP2017250202A patent/JP2019116652A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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