JP2019116018A - 積層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な構造で防水性を有し、表面がべたつかず、かつ滑らない積層シートを提供する。【解決手段】アスファルトを含む防水層の少なくとも一方の面に、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を含む複数の不織布を積層した積層不織布で形成された繊維層を積層し、さらにこの繊維層の上に、(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂層を積層して積層シートを得る。前記積層シートは、前記樹脂層の上に、無機粒子を含む耐候層がさらに積層されていてもよい。前記繊維層の目付は30g/m2以下であってもよい。前記繊維層の見掛け密度が10〜100kg/m3であってもよい。前記繊維層は、メルトブローン不織布の両面に、スパンボンド不織布が積層した積層不織布であってもよい。前記繊維層は、複数のエンボス凹部を有する積層不織布であってもよい。前記積層シートは、屋根下葺材であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、建築物又は構造物の下地を被覆するための防水シート(例えば、屋根下葺材など)などに利用できる積層シートに関する。
従来から、日本家屋における屋根は、通常、合板や野地板などの屋根下地材と、瓦などの屋根材との間に、防水目的で、屋根下葺材としてアスファルトルーフィングが介在した構造を有している。この屋根下葺材に利用されるアスファルトルーフィングとしては、屋根下葺材に要求される性能に優れている点から、JIS A 6005アスファルトルーフィングフェルトに規定されるアスファルトルーフィング940が汎用されている。例えば、アスファルトは、流動性が高く、若干の熱で軟化する性質を有しているため、固着具の施工時に空いた穴は、アスファルトの流れ込みにより塞ぐことができる。しかし、若干の熱で軟化するため、夏場の施工中などではシート表面のアスファルトが柔らかくなってべたつき、作業員の靴裏に付着して歩行中に屋根材を汚染したり、製品のアスファルト量が減少して防水性が低下するなどの問題が確認されている。
これに対して、特開平11−280212号公報(特許文献1)には、不織布シートの両面にゴムアスファルト及びブチルゴムのいずれかをコーティングしてゴム系物質層を形成するとともに、ゴムアスファルト及びブチルゴムのいずれかを不織布シートに含浸させてゴム系物質含浸不織布シートとした屋根の下葺材において、上側のゴム系物質層の上面に不織布シート、プラスチックフィルム及び不織布シートを積層及び接合した屋根下葺材が開示されている。前記不織布シートとしては、ポリエステル不織布シートが記載されている。
しかし、この屋根下葺材は、表面が不織布シートで被覆されているため、滑り易く、高所での作業にとって危険である。
また、特開2002−213054号公報(特許文献2)には、不織布及びアスファルト含浸原紙のいずれからなる基材シートの上面にゴムアスファルト及びアスファルトコンパウンドのいずれからなるアスファルト層を設け、このアスファルト層の上面に不織布層を設け、この不織布層の上面に合成樹脂フィルムを設け、この合成樹脂フィルムの上面に不織布を設け、さらにこの不織布層の上面に粘着剤入りアクリル塗料を設けた屋根下葺防水シートが開示されている。この文献には、不織布層の詳細は記載されていない。
さらに、特開2007−126953号公報(特許文献3)には、アクリル系樹脂層、鉱植物質粉粒層、被覆アスファルト層のアスファルトを湿潤させた繊維シート、被覆アスファルト層、アスファルトを浸透させたラグ質原紙層、被覆アスファルト層、鉱植物質粉粒層を順次積層した屋根下葺材が開示されている。
しかし、特許文献2及び3の屋根下葺材では、構造が複雑であり、生産性や経済性が低い。さらに、アスファルトの滲出や機械的特性を向上させるために、不織布の目付や厚みを大きくすると、釘で固定する場合に、不織布が釘に絡みついてシーリング性が低下する。逆に、釘穴シーリング性や経済性を向上させるために、不織布の目付を低下させると、機械的強度が弱くなる。
特開平11−280212号公報(請求項1及び4) 特開2002−213054号公報(請求項1) 特開2007−126953号公報(請求項1、段落[0013])
従って、本発明の目的は、簡便な構造で防水性を有し、表面がべたつかず、かつ滑らない積層シートを提供することにある。
本発明の他の目的は、軽量性に優れ、かつ釘穴シーリング性が高い積層シートを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐候性や耐熱性などの耐久性にも優れる積層シートを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、アスファルトを含む防水層の少なくとも一方の面に、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を含む複数の不織布を積層した積層不織布で形成された繊維層を積層し、さらにこの繊維層の上に、(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂層を積層することにより、簡便な構造で防水性を有し、表面がべたつかず、かつ滑らない積層シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の積層シートは、アスファルトを含む防水層と、この防水層の少なくとも一方の面に積層された繊維層と、この繊維層の上に積層され、かつ(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂層とを含む積層シートであって、前記繊維層が、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を含む複数の不織布を積層した積層不織布で形成されている。前記積層シートは、前記樹脂層の上に、無機粒子を含む耐候層がさらに積層されていてもよい。前記繊維層の目付は30g/m以下であってもよい。前記繊維層の見掛け密度が10〜100kg/mであってもよい。前記繊維層は、メルトブローン不織布の両面に、スパンボンド不織布が積層した積層不織布であってもよい。前記繊維層は、複数のエンボス凹部を有する積層不織布であってもよい。前記繊維層は、ポリプロピレン系長繊維を含んでいてもよい。前記スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は10〜100μmであってもよい。前記スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は、メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径に対して2〜10倍であってもよい。前記積層シートは、建築物又は構造物の下地を被覆するための防水シート(特に屋根下葺材)であってもよい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「エンボス凹部」とは、凹部の形成方法がエンボス加工であるか否かを問わず、凹部を形成する底部(底壁)及び側部(側壁)のうち、少なくとも一部の領域が繊維の融着部で形成された凹部を意味する。
本発明では、アスファルトを含む防水層の少なくとも一方の面に、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を含む複数の不織布を積層した積層不織布で形成された繊維層を積層され、さらにこの繊維層の上に、(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂層を積層されているため、簡便な構造で防水性を有し、表面がべたつかず、かつ滑らない。そのため、アスファルトが作業者に付着しないため、作業性を向上できる上に、表面の滑り性も低いため、積層シートの上で作業する作業者の作業性を向上でき、危険も回避できる。また、軽量性に優れ、かつ釘穴シーリング性も向上できる。さらに、樹脂層の上に、無機粒子を含む耐候層を積層することにより、耐候性(耐光性など)や耐熱性などの耐久性もさらに向上できる。
[積層シート]
本発明の積層シートは、アスファルトを含む防水層と、この防水層の少なくとも一方の面に積層され繊維層と、この繊維層の上に積層された樹脂層とを含む。
(防水層)
防水層としては、アスファルトを含んでいれば特に限定されないが、屋根下葺材では、通常、繊維構造体にアスファルトを含浸させたアスファルト含浸繊維構造体(アスファルトフェルト、アスファルトルーフィング)が汎用される。
アスファルトとしては、例えば、天然アスファルト(レイクアスファルト、ロックアスファルト、オイルサンド、アスファルトタイトなど)、石油アスファルト(ストレートアスファルト、ブローンアスファルトなど)などが挙げられる。これらのアスファルトは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ストレートアスファルトなどの石油アスファルトなどが汎用される。
アスファルトの針入度(1/10mm)は、JIS K2207−1996に準拠した方法において、0〜300程度の範囲から選択でき、例えば5〜200、好ましくは10〜150、さらに好ましくは15〜120(特に20〜80)程度である。針入度が小さすぎると、繊維構造体への均質な含浸が困難となる虞があり、逆に大きすぎると、アスファルトが柔らかすぎて施工性が低下する虞がある。
前記アスファルトは、改質剤と組み合わせることにより、改質アスファルトとして使用してもよい。改質剤には、有機系改質剤、無機系改質剤が含まれる。
有機系改質剤としては、例えば、ポリオレフィン、ビニル系重合体(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体など)、ポリアミド、ポリエステル、合成ゴム又はエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体など)、天然ゴム、粘着付与剤(例えば、テルペン樹脂、天然ロジンや変性ロジンなどのロジン樹脂、石油樹脂、変性オレフィン重合体など)、油脂類(例えば、ナフテン系原料油など)などが挙げられる。これらの有機系改質剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機系改質剤のうち、熱可塑性エラストマー、特に、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン−ジエン系共重合体が好ましい。
無機系改質剤としては、例えば、鉄、銅、錫、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼などの金属粒子(粉末);酸化鉄、三二酸化鉄、四三酸化鉄、フェライト、酸化錫、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化銅、酸化アルミニウムなどの金属酸化物粒子;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウムなどの金属塩粒子;製鋼スラグ、マイカ、クレー、タルク、ウォラストナイト、けい藻土、けい砂、軽石粉などの鉱物粒子;ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの無機系改質剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機系改質剤のうち、鉄粒子、各種酸化鉄粒子、製鋼スラグ粒子、(重)炭酸カルシウム粒子などの粒子状改質剤が好ましい。粒子状改質剤の平均粒径は0.01〜0.5mm(特に0.05〜0.2mm)程度である。
有機系改質剤と無機系改質剤とは、接着性及び耐候性を向上させるために、両者を組み合わせて用いてもよい。本発明では、繊維層に対する接着性を向上できる点から、少なくとも有機系改質剤(特に、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系熱可塑性エラストマー)を含むのが好ましい。
アスファルトと改質剤との質量割合は、例えば、アスファルト/改質剤=100/0〜30/70程度の範囲から選択でき、例えば、99/1〜40/60、好ましくは98/2〜50/50、さらに好ましくは95/5〜60/40程度の範囲から選択できる。改質剤が有機系改質剤の場合は、両者の質量割合は、例えば、アスファルト/有機系改質剤=100/0〜70/30、好ましくは99/1〜80/20、さらに好ましくは95/5〜85/15程度である。改質剤の割合が少なすぎると、改質効果が発現せず、多すぎると、粘性が上がり加工が困難となる上に、経済性も低下する虞がある。
繊維構造体には、織布、編布、不織布、ネット、紙などが含まれる。繊維構造体は、これらの複合体(積層体)であってもよい。これらのうち、機械的特性などの点から、長繊維不織布、紙が好ましく、長繊維不織布(特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレン−アリレート系長繊維不織布などのポリエステル長繊維不織布)が特に好ましい。
長繊維不織布を構成する繊維の平均繊維径は、3μm以上であってもよく、例えば3〜100μm、好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは10〜50μm程度であってもよい。繊維径が小さすぎると、機械的特性の向上効果が低下する虞がある。平均繊維長は、強度などの機械的特性を向上できる点から、長繊維であればよく、150mmを超える長繊維(例えば、無限長の長繊維)であってもよい。
長繊維不織布の目付は10g/m以上(例えば10〜500g/m程度)であってもよく、例えば30〜300g/m、好ましくは50〜200g/m、さらに好ましくは70〜150g/m程度である。目付が小さすぎると、強度などの機械的特性の向上効果が低下する虞がある。
繊維構造体が紙である場合、防水層は、例えば、アスファルトフェルト8k、アスファルトフェルト17k、JIS A6005に適合するアスファルトフェルト(アスファルトフェルト430、アスファルト650など)、JIS A6005に適合するアスファルトルーフィング(アスファルトルーフィング940、アスファルトルーフィング1500など)であってもよい。
アスファルト(又は改質アスファルト)と繊維構造体との質量比は、前者/後者=1/1〜10/1、好ましくは2/1〜8/1、さらに好ましくは3/1〜5/1程度である。アスファルトの割合が多すぎると、質量が重くなり施工性が低下する虞があり、少なすぎると、防水性が低下する虞がある。
防水層の単位面積当たりの質量は、例えば100〜800g/m、好ましくは200〜600g/m程度であってもよく、軽量性の点から、200〜500g/m、好ましくは300〜400g/m(特に150〜250g/m)程度であってもよい。
防水層の平均厚みは0.3mm以上であってもよく、例えば0.3〜2mm、好ましくは0.3〜1.5mm、さらに好ましくは0.4〜1.3mm(特に0.5〜1.0mm)程度である。
(繊維層)
繊維層は、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を含む複数の不織布を積層した積層不織布で形成されている。本発明では、繊維層がメルトブローン不織布とスパンボンド不織布との組み合わせであるため、薄肉であっても、機械的特性を維持しつつ、アスファルトの滲出を抑制できる。
繊維層は、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を含んでいればよく、他の繊維構造体(各種の織布、編布、他の不織布、ネット、紙など)を含んでいてもよいが、アスファルトの滲出を抑制し、かつ釘穴シーリング性も向上できる点から、1層以上のメルトブローン不織布と、1層以上スパンボンド不織布との組み合わせが好ましい。
メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を構成する繊維としては、例えば、天然繊維(綿、麻などのセルロース繊維など)、再生繊維(レーヨンなど)、半合成繊維(セルロースエステル繊維など)、合成繊維[ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、スチレン系繊維、ポリテトラフルオロエチレン系繊維、アクリル系繊維、ビニルアルコール系繊維(エチレンビニルアルコール系繊維など)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンアリレート系繊維、液晶ポリエステル繊維などの全芳香族ポリエステル系繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系繊維、アラミド繊維などの全芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリウレタン系繊維など]、無機繊維(炭素繊維やガラス繊維など)などが例示できる。前記合成繊維は、異種の樹脂成分を組み合わせた複合繊維であってもよい。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの繊維のうち、ポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維などの合成繊維や無機繊維などが汎用されるが、防水性の点から、表面が疎水性である繊維が好ましい。
表面が疎水性である繊維は、撥水加工された親水性繊維(撥水加工されたポリエチレンテレフタレート繊維など)や、鞘部が疎水性樹脂で形成され、かつ芯部が親水性樹脂で形成された芯鞘型複合繊維などであってもよいが、耐久性などの点から、疎水性繊維が汎用される。
疎水性繊維としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、スチレン系繊維(ポリスチレン繊維、スチレン−アクリロニトリル共重合体繊維など)、フッ素樹脂繊維(テトラフルオロエチレン系繊維など)、(メタ)アクリル系繊維などの有機繊維;炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの疎水性繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの疎水性繊維のうち、柔軟性や耐水性などの点から、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリエチレン繊維などのポリエチレン系繊維やポリプロピレン繊維などのポリプロピレン系繊維)が好ましく、アスファルトの滲出を抑制でき、かつ耐熱性にも優れる点から、ポリプロピレン系繊維が特に好ましい。
ポリプロピレン系繊維を構成するポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、プロピレン以外のα−オレフィン類[例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどのα−C2−16オレフィン(特にエチレンやブテンなどのα−C2−6オレフィン)など]などが例示できる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
プロピレン系共重合体において、プロピレンと共重合性単量体(例えば、エチレンなどのα−オレフィン)との割合(モル比)は、前者/後者=70/30〜99.9/0.1、好ましくは80/20〜99.5/0.5、さらに好ましくは90/10〜99/1程度であってもよい。
さらに、ポリプロピレン系樹脂は、結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよく、非結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体などが挙げられる。
これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、剛性や耐熱性などの点から、結晶性ポリプロピレン系樹脂、特に、ポリプロピレンホモポリマー(結晶性ポリプロピレンホモポリマー)が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、アタクチック重合体であってもよく、アイソタクチック、シンジオタクチック、メタロセン触媒を用いて得られるポリプロピレン系樹脂などの立体規則性を有する構造であってもよい。これらのうち、結晶性や簡便性などの点から、アイソタクチック構造を有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。
メルトブローン不織布とスパンボンド不織布とは、異なる繊維で形成されていてもよいが、同種(特に同一)の繊維で形成されているのが好ましい。
メルトブローン不織布は、メルトブロー法で紡糸された繊維で形成された不織布であればよい。メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径は、例えば1〜9μm、好ましくは1.5〜8μm、さらに好ましくは2〜5μm(特に3〜4μm)程度である。繊維径が小さすぎると、機械的特性が低下する虞があり、大きすぎると、アスファルトの滲出を抑制できない虞がある。
スパンボンド不織布は、スパンボンド法で紡糸された繊維で形成された不織布であればよい。スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は、例えば10〜100μm、好ましくは12〜50μm、さらに好ましくは13〜30μm(特に15〜25μm)程度である。繊維径が小さすぎると、機械的特性が低下する虞があり、大きすぎると、アスファルトの滲出を抑制できない虞がある。
スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は、メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径に対して、例えば1.5〜30倍、好ましくは2〜10倍、さらに好ましくは3〜8倍(特に4〜6倍)程度である。
繊維層の積層態様(構造)としては、メルトブローン不織布(M)とスパンボンド不織布(S)とを含む二層以上の積層構造であればよく、例えば、メルトブローン不織布とスパンボンド不織布との積層不織布(MSの二層構造)、メルトブローン不織布の両面にスパンボンド不織布が積層した積層不織布(SMSの三層構造)、スパンボンド不織布の両面にメルトブローン不織布が積層した積層不織布(MSMの三層構造)、二層のメルトブローン不織布と二層のスパンボンド不織布とが交互に積層した積層不織布(MSMSの四層構造)、メルトブローン不織布の両面にスパンボンド不織布が積層し、さらに各スパンボンド不織布の上にメルトブローン不織布が積層した積層不織布(MSMSMの五層構造)、スパンボンド不織布の両面にメルトブローン不織布が積層し、さらに各メルトブローン不織布の上にスパンボンド不織布が積層した積層不織布(SMSMSの五層構造)などが挙げられる。これらの構造のうち、MSの二層構造、SMSの三層構造、MSMの三層構造などが汎用され、SMSの三層構造が好ましい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、各メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布が、製造過程において、複数のメルトブローン不織布同士又は複数のスパンボンド不織布同士を積層した構造である場合、複数のメルトブローン不織布及び複数のスパンボンド不織布は、それぞれ積層不織布ではなく、単層の不織布とみなす。
繊維層は、熱エンボス加工法などにより形成された複数のエンボス凹部を有する積層不織布であってもよい。繊維層がエンボス凹部を有することにより、繊維層の剥離を抑制でき、かつ積層シート表面の滑り性を低減できる。
複数のエンボス凹部は、積層不織布(繊維層)の表面において、互いに間隔をおいて規則的に配置されていてもよく、例えば、等間隔で縦横方向に配置されていてもよく、等間隔で互い違い(千鳥状)に配置されていてもよい。また、エンボス凹部は、少なくとも樹脂層側に形成されているのが好ましく、両側(樹脂層側及び防水層側)に形成されていてもよい。
エンボス凹部の平面形状は、特に制限されず、例えば、多角形、円形、楕円形などが例示できる。エンボス凹部のエンボス径(平均径)は、例えば10〜3000μm、好ましくは20〜2500μm、さらに好ましくは50〜2000μm程度であってもよい。
エンボス凹部の深さは、繊維層の厚み未満であればよく、繊維層の厚みに対して、例えば0.1〜0.9倍、好ましくは0.2〜0.8倍、さらに好ましくは0.3〜0.7倍程度であってもよい。
互いに隣接するエンボス凹部の平均間隔は、例えば、10〜3000μm、好ましくは15〜2500μm、さらに好ましくは20〜2000μm程度であってもよい。エンボス凹部の数密度は、例えば、5〜300個/cm、好ましくは7〜250個/cm、さらに好ましくは10〜200個/cm程度であってもよい。繊維層のエンボス面積率は、例えば5〜50%、好ましくは10〜40%程度であってもよい。
繊維層の目付は、30g/m以下であってもよく、例えば5〜30g/m、好ましくは10〜25g/m、さらに好ましくは12〜20g/m(特に13〜18g/m)程度である。目付が大きすぎると、軽量性及び釘穴シーリング性が低下する虞がある。
スパンボンド不織布の目付(複数のスパンボンド不織布からなる場合、総目付)は、メルトブローン不織布の目付(複数のメルトブローン不織布からなる場合、総目付)に対して、例えば0.5〜50倍、好ましくは0.8〜20倍、さらに好ましくは1〜5倍程度である。
繊維層の見掛け密度は、例えば10〜100kg/m、好ましくは20〜80kg/m、さらに好ましくは30〜70kg/m(特に40〜60kg/m)程度である。密度が大きすぎると、軽量性及び釘穴シーリング性が低下する虞があり、小さすぎると、長期間の使用などによりアスファルトが滲出する虞がある。
繊維層は、繊維内部及び/又は繊維の表面に、慣用の添加剤を含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、安定剤(酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤など)、着色剤、染料定着剤、充填剤、可塑剤、滑剤、アンチブロッキング剤、増粘剤、塗布性改良剤、レベリング剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤又は乳化剤、分散剤、防虫剤(防蟻剤など)、防腐剤(防カビ剤など)などが例示できる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。添加剤の割合は、繊維層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
繊維層の平均厚みは0.5mm以下であってもよく、例えば0.03〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.3mm、さらに好ましくは0.08〜0.2mm(特に0.1〜0.15mm)程度である。厚みが大きすぎると、軽量性及び釘穴シーリング性が低下する虞があり、小さすぎると、長期間の使用などによりアスファルトが滲出する虞がある。
(樹脂層)
樹脂層は、(メタ)アクリル系樹脂を含む。本発明では、繊維層の上に、樹脂層が積層されているため、耐久性を向上でき、長期間使用しても、アスファルトの滲出を抑制できるとともに、樹脂層の上に、さらに耐候層などを印刷によって容易に塗工し易くなる。
(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル系単量体を重合成分として含む樹脂であればよい。(メタ)アクリル系単量体には、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸5,6−ジヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−6アルキルエステルなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリル系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、水性エマルジョンとして利用でき、取り扱い性に優れる点から、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−6アルキルエステルが好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、前記(メタ)アクリル系単量体に加えて、共重合可能な単量体(例えば、エチレンなどのC2−4オレフィン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、無水マレイン酸など)を重合成分としてさらに含んでいてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂において、(メタ)アクリル系単量体の割合は10モル%以上であってもよく、例えば30モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上(特に90モル%以上)である。
具体的な(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸などのポリ(メタ)アクリル酸;アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸−アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体などの(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;アクリル酸−スチレン共重合体などの(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体;アクリル酸−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;アクリル酸−酢酸ビニル共重合体などの(メタ)アクリル酸−酢酸ビニル共重合体;アクリル酸−ビニルアルコール共重合体などの(メタ)アクリル酸−ビニルアルコール共重合体;アクリル酸−エチレン共重合体などの(メタ)アクリル酸−エチレン共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、塩(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩など)の形態であってもよい。
これらの(メタ)アクリル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ポリアクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸−スチレン共重合体、アクリル酸−酢酸ビニル共重合体などが汎用される。
樹脂層は、慣用の添加剤を含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、前記繊維層の項で例示された慣用の添加剤が挙げられる。前記添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。樹脂層は、通常、エマルジョンの形態で塗工して製造されるため、前記添加剤のうち、界面活性剤又は乳化剤を含む場合が多い。添加剤の割合は、樹脂層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
樹脂層の単位面積当たりの質量(乾燥質量)は、例えば10〜100g/m、好ましくは20〜80g/m、好ましくは30〜50g/m(特に35〜40g/m)程度であってもよい。樹脂層の質量が小さすぎると、耐久性が低下する虞があり、逆に高すぎると、軽量性が低下する虞がある。
樹脂層の平均厚みは、例えば10〜100μm、好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは30〜50μm(特に35〜40μm)程度である。樹脂層の厚みが薄すぎると、耐久性が低下する虞があり、逆に厚すぎると、軽量性が低下する虞がある。
(耐候層)
本発明の積層シートは、前記樹脂層の上に、さらに無機粒子を含む耐候層を積層するのが好ましい。本発明では、樹脂層の上に、耐候層を積層すると、耐光性などの耐候性及び防滑性を向上できる。
無機粒子としては、例えば、金属単体、金属酸化物、金属硫酸塩、金属珪酸塩、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属水酸化物、ケイ素化合物、フッ素化合物、天然鉱物、炭素材料などで形成された粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機粒子のうち、酸化カルシウム粒子、酸化バリウム粒子、酸化鉄粒子、酸化銅粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子などなどの金属酸化物粒子;炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子など金属炭酸塩粒子;酸化ケイ素粒子などのケイ素化合物粒子;フッ化マグネシウム粒子などのフッ素化合物粒子などが汎用され、金属酸化物粒子(特に酸化チタン粒子)が好ましい。
無機粒子の形状としては、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、扁平状(板状、鱗片状など)、棒状、繊維状、不定形状などが挙げられる。これらのうち、球状、楕円体状、扁平状、不定形状などが汎用される。
無機粒子の平均粒径(個数平均一次粒径)は、例えば10〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは40〜100μm程度である。無機粒子の粒径が小さすぎると、均一な分散が困難となる虞があり、逆に大きすぎると、機械的特性が低下する虞がある。
耐候層は、無機粒子に加えて、バインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、慣用のバインダーを利用でき、例えば、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル(脂肪族ポリエステル、非晶性ポリエステルなど)、脂肪族ポリアミド、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらのバインダーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。(メタ)アクリル系樹脂としては、前記樹脂層の項で例示された(メタ)アクリル系樹脂を利用でき、好ましい態様も、前記樹脂層と同様である。
バインダーの割合は、無機粒子100質量部に対して、20質量部以上であってもよく、例えば20〜200質量部、好ましくは40〜150質量部、さらに好ましくは50〜100質量部程度である。バインダーの割合が多すぎると、耐候性及び防滑性が低下する虞がある。
耐候層は、慣用の添加剤を含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、前記繊維層の項で例示された慣用の添加剤が挙げられる。前記添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。耐候層も、通常、エマルジョンの形態で塗工して製造されるため、前記添加剤のうち、界面活性剤又は乳化剤を含む場合が多い。添加剤の割合は、耐候層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
耐候層の単位面積当たりの質量(乾燥質量)は、例えば3〜30g/m、好ましくは5〜20g/m、好ましくは7〜15g/m(特に8〜12g/m)程度であってもよい。耐候層の質量が小さすぎると、耐候性及び防滑性が低下する虞があり、逆に高すぎると、軽量性が低下する虞がある。
耐候層の平均厚みは、例えば1.5〜15μm、好ましくは2.5〜10μm、さらに好ましくは3.5〜7.5μm(特に4〜6μm)程度である。耐候層の厚みが薄すぎると、耐候性及び防滑性が低下する虞があり、逆に厚すぎると、軽量性が低下する虞がある。
(他の層)
防水層の繊維層が積層されていない側には、接着層を介して、剥離層や鉱物質粉粒層を積層してもよい。さらに、防水層と繊維層との間に接着層を介在させてもよい。
接着層としては、前記防水層の項で例示された改質アスファルト、前記耐候層の項で例示されたバインダー、慣用の粘着剤(例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤など)などで形成された接着層であってもよい。
これらのうち、接着性だけでなく、防水性も有する点から、改質アスファルトが好ましい。改質アスファルトは、粘着性を有する改質アスファルトであってもよく、剥離層や鉱物質粉粒層を積層するための接着層は、粘着性を有する改質アスファルトで形成するのが好ましい。粘着性を有する改質アスファルトでは、アスファルトの針入度(1/10mm)は、高い方が好ましく、例えば100〜200(特に150〜200)程度であってもよい。さらに、粘着性を有する改質アスファルトは、有機改質剤として、粘着付与剤及び油脂類を含むのが好ましい。
接着層の平均厚みは、例えば100〜600μm、好ましくは150〜400μm、さらに好ましくは200〜300μm程度であってもよい。接着層の厚みが薄すぎると、接着性が低下する虞があり、厚すぎると、軽量性が低下する虞がある。
剥離層は、剥離剤(シリコーン化合物など)を含む単層であってもよいが、通常、基材層と剥離剤で形成された剥離剤層とを含む積層体である。基材層としては、例えば、紙類(上質紙、グラシン紙、クラフト紙など)、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルムなど)などが挙げられる。剥離層としては、基材層と剥離剤層とを含む積層体として市販されている剥離シートを利用できる。剥離層の平均厚みは、例えば0.01〜0.2mm、好ましくは0.01〜0.15mm、さらに好ましくは0.01〜0.1mm程度である。
鉱物質粉粒層は、砕砂、珪砂、砂利などの鉱物粒子で形成されており、前記接着層の上に固定されている。鉱物粒子の形状は、特に限定されず、例えば、略等方形状の粒状(略球状、略正方体状など)、略異方形状の粒状(楕円体状、略長方体状、不定形状など)などであってもよい。鉱物粒子の平均粒径(異方形状の場合、長径と短径との平均径)は30mm以下程度であり、例えば0.01〜2mm、好ましくは0.05〜1mm、さらに好ましくは0.07〜0.5mm程度である。
(積層シートの特性)
本発明の積層シートは、防水性(耐水性)が高く、JIS L1092の耐水度試験に準拠した方法において、耐水圧が10kPa以上であってもよい。
[積層シートの製造方法]
本発明の積層シートは、各層間を接着して一体化できればよく、慣用の接着方法を利用できるが、防水層のアスファルトは、ホットメルト接着性を有しているため、防水層と繊維層との接着方法としては、例えば、ロールコーター法を利用するのが好ましい。ロールコーター法では、ロールコーターを用いて、防水層のアスファルトを熱融着可能な状態で繊維層と接触して固化する方法であればよく、アスファルトが冷却されて固化する前に繊維層と熱ラミネートすることにより両層を一体化できる。具体的には、防水層を形成するための繊維構造体に加熱溶融したアスファルトを含浸・塗布させた後、アスファルトが溶融した状態で、ロールコーターを用いて繊維層を積層した後、冷却して固化してもよい。
アスファルトを加熱溶融するための加熱温度は、例えば80〜250℃、好ましくは150〜240℃、さらに好ましくは180〜200℃程度である。
アスファルトの塗布方法としては、慣用のコーティング法、例えば、バーコーティング法、スピンコーティング法、コンマコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
繊維層の上に、樹脂層及び耐候層を積層する方法としては、アスファルトの塗布方法と同様の慣用のコーティング方法により塗布した後、乾燥する方法などを利用できる。防水層の反対の側の面に接着層を積層する方法も同様の方法を利用できる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例で用いた材料、実施例における各物性値の測定方法を以下に示す。
[用いた材料]
ポリエステル長繊維不織布A:目付90g/m、厚み0.4mm
ポリエステル長繊維不織布B:目付30g/m、厚み0.12mm
SMSポリプロピレン長繊維不織布:メルトブローン不織布の両面にスパンボンド不織布が積層された不織布、目付15g/m、見掛け密度50kg/m、スパンボンド不織布の平均繊維径14〜25μm、メルトブローン不織布の平均繊維径2〜5μm
改質アスファルト:88質量部のストレートアスファルト60〜80と、12質量部のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体との混合物
アクリル樹脂:昭和電工(株)製「AP−609LN」、アクリル酸エステル共重合体水性エマルジョン(熱可塑性)
自己粘着層:70質量部のストレートアスファルト150−200と、10質量部の熱可塑性ポリマーと、5質量部の粘着付与剤と、5質量部のオイルと、10質量部のフィラーとの混合物
剥離フィルム:Huhtamaki Forchheim社製「74917PP」、シリコーン系剥離フィルム(ポリプロピレン基材)、厚み30μm。
[加熱劣化試験]
80℃の恒温槽で、得られた100mm×100mmの積層シートをそれぞれ24時間静置し、不織布面にアスファルトが染み出しているか否かを、以下の基準で評価した。
○…全く染み出しが見られない
△…わずかに染み出しが見られる
×…表面に染み出しが見られる。
[曝露試験]
4寸勾配の試験台に、得られた100mm×100mmの積層シートをそれぞれ施工し、野外で放置した。この積層シートを、一定時間経過ごとに表面を手で触り、その時に改質アスファルト層が見えるまではがれるか否かを検証し、以下の基準で評価した。
○…改質アスファルト層が見えるまではがれない
×…改質アスファルト層が見えるまではがれる。
[釘穴シーリング性試験]
釘穴シーリング性は、アスファルトルーフィング工業会「改質アスファルトルーフィング下葺き材 ARK 04s−03:2006」の「7.8釘穴シーリング性試験」に準じて評価した。具体的には、100mm×100mmの耐水合板(厚さ12mm)の上に、得られた100mm×100mmの積層シートを載置し、釘頭が積層シートの約10mm上方にくるまで、リング釘(軸部の平均径:3.2mm、足部の長さ:32mm)を真っ直ぐ打って固定したリング釘用積層シートと、釘頭が試験体の直上にくるまでステープルを真っ直ぐ打って固定したステープル用積層シートとを10個ずつ用意した。積層シートの上に40mmに切断したポリ塩化ビニル製管(内径40mm)を、釘穴の位置が前記管の切断面中央部に位置するように置いた。ポリ塩化ビニル製管と積層シートの接触部分をシーリング材でシールし、シーリング材を硬化させて試験体を作製した。試験体のポリ塩化ビニル製管に水を注入し(水頭30mm)、24時間静置した後、漏水の有無を確認した。10個の試験体のうち、漏水が生じた試験体の数(漏水個数)をカウントした(2個以上の水漏れがなければ合格である)。
実施例1
ポリエステル長繊維不織布Aに、加熱溶融した改質アスファルトを含浸させ、ロールコーターを用いて、一方の面にSMSポリプロピレン長繊維不織布を上から貼り付けた後、SMSポリプロピレン長繊維不織布の上に、フレキソ印刷機を用いて、アクリル樹脂を37g/m(乾燥質量)の塗布量で塗工して乾燥し、樹脂層を形成した後、樹脂層の上に、印刷インキを、10g/m(乾燥質量)の塗布量で塗工して乾燥し、耐候層を形成した。他方の面に、ロールコーターを用いて、自己粘着層を300g/m(質量)の塗布量で塗工して乾燥した後、自己粘着層の上に剥離フィルムを貼り付けて、積層シートを得た。
参考例1
SMSポリプロピレン長繊維不織布の上に、樹脂層及び耐候層を積層しない以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。
比較例1
SMSポリプロピレン長繊維不織布の代わりに、ポリエステル長繊維不織布Bを用いる以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。
実施例1、参考例1及び比較例1で得られた積層シートの加熱劣化試験の結果を表1に示し、実施例1及び参考例1で得られた積層シートの曝露試験の結果を表2に示し、実施例1、参考例1及び比較例1で得られた積層シートの釘穴シーリング性試験の結果を表3に示す。
Figure 2019116018
Figure 2019116018
Figure 2019116018
表1〜3の結果から明らかなように、実施例1の積層シートは、加熱劣化試験、曝露試験、釘穴シーリング性試験のいずれにおいても優れていた。
本発明の積層シートは、高い防水性を有するため、建築物又は構造物の下地を被覆するために好適に利用できる。特に、本発明の積層シートは、防滑性も有するため、高所での作業に対する安全性も高く、屋根下葺材に特に適している。

Claims (11)

  1. アスファルトを含む防水層と、この防水層の少なくとも一方の面に積層された繊維層と、この繊維層の上に積層され、かつ(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂層とを含む積層シートであって、前記繊維層が、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布を含む複数の不織布を積層した積層不織布で形成されている積層シート。
  2. 樹脂層の上に、無機粒子を含む耐候層が積層されている請求項1記載の積層シート。
  3. 繊維層の目付が30g/m以下である請求項1又は2記載の積層シート。
  4. 繊維層の見掛け密度が10〜100kg/mである請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 繊維層が、メルトブローン不織布の両面に、スパンボンド不織布が積層した積層不織布である請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
  6. 繊維層が、複数のエンボス凹部を有する積層不織布である請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
  7. 繊維層が、ポリプロピレン系長繊維を含む請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
  8. スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径が10〜100μmである請求項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
  9. スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径が、メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径に対して2〜10倍である請求項1〜8のいずれかに記載の積層シート。
  10. 建築物又は構造物の下地を被覆するための防水シートである請求項1〜9のいずれかに記載の積層シート。
  11. 屋根下葺材である請求項1〜10のいずれかに記載の積層シート。
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