JP2019114340A - カソード - Google Patents

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Abstract

【課題】放出電子の発散を抑制し、所望の輝度を維持可能な期間を延ばすことが可能なカソードを提供する。【解決手段】カソード300は、一方向に開放された電子放出面22を有する単結晶のカソード本体20と、電子放出面22と略同一面に電子放出面の周囲を取り囲むように形成された電子放出面22よりも仕事関数の大きい環状面32を有し、電子放出部材の少なくとも上部側面を取り囲む、電子放出部材と同じ材料により形成された囲み部材30と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、カソードに係り、例えば、電子ビーム描画装置で用いるビーム源のカソードに関する。
近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスの回路線幅はさらに微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ回路パターンを形成するための露光用マスク(レチクルともいう。)を形成する方法として、優れた解像性を有する電子ビーム(EB:Electron beam)描画技術が用いられる。
図10は、可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。可変成形型電子線描画装置は、以下のように動作する。第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向され、第2のアパーチャ420の可変成形開口421の一部を通過して、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340に照射される。すなわち、第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過できる矩形形状が、X方向に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340の描画領域に描画される。第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式(VSB方式)という。
電子ビーム描画では、電子銃が用いられる。かかる電子銃のカソード(陰極)材として、焼結形態または結晶形態を成す六ホウ化ランタン(LaB)、六ホウ化セリウム(CeB)、或いは炭化ハフニウム(HfC)等が用いられる。かかるカソード材は、様々な電子ビーム装置(例えば、リソグラフィ装置、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)など)において電子源またはエミッタとして使用される。カソードは、例えば、円錐角を伴うテーパ形状または円錐形状の先端(頂部)を平面に切り取った形状として作成される。そして、テーパ形状の側面部分をカーボンでコーティングする。かかる構成により、電子放出面がカソード上面に限定され、放出面積を限定させることができる。これにより電子銃の輝度を向上させることが試みられている。そして、カーボンコーティングとLaB或いはCeBカソード材料との間の化学的な相互作用によってカーボンコーティングと接触する電子放出面の縁部の腐食を防止するために、カソード材とカーボンコーティングとの間に隙間を設ける構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、カソードは、使用に伴い蒸発していくため、電子放出面が徐々に後退していく。一方、カーボンコーティング材は後退していかないので、カーボンコーティング材が突出することによって等電位線が曲げられ、放出電子が発散してしまう。これにより、輝度が低下して、寿命が短くなってしまうといった問題が発生している。
特開2012−069364公報
そこで、本発明の一態様は、放出電子の発散を抑制し、所望の輝度を維持可能な期間を延ばすことが可能なカソードを提供する。
本発明の一態様のカソードは、
一方向に開放された電子放出面を有する単結晶の電子放出部材と、
電子放出面と略同一面に電子放出面の周囲を取り囲むように形成された電子放出面よりも仕事関数の大きい環状面を有し、電子放出部材の少なくとも上部側面を取り囲む、電子放出部材と同じ材料により形成された囲み部材と、
を備えたことを特徴とする。
また、電子放出面は、(100)結晶面であると好適である。
また、環状面は、(111)結晶面であると好適である。
また、電子放出部材の側面と囲み部材の側面とを覆うガイド部をさらに備えると好適である。
また、ガイド部の環状面側の面の高さ位置は、環状面の高さ位置と同じ位置か、前記環状面の高さ位置より高い位置であると好適である。
本発明の一態様によれば、放出電子の発散を抑制し、所望の輝度を維持可能な期間を延ばすことができる。
実施の形態1におけるカソードの構成の一例を示す断面図である。 実施の形態1の比較例における電子放出の経時変化を説明するための図である。 実施の形態1における電子放出の経時変化を説明するための図である。 実施の形態1におけるカソード上部の断面構成の一例を示す図である。 実施の形態1におけるカソードの製造過程を示す断面図である。 実施の形態1におけるカソードを用いて電子ビームを放出させた場合における電流密度と温度との関係の一例を示す図である。 実施の形態1の変形例におけるカソードの構成の一例を示す断面図である。 実施の形態1におけるカソードを搭載した描画装置の構成を示す概念図である。 実施の形態1における各領域を説明するための概念図である。 可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるカソードの構成の一例を示す断面図である。図1(a)では、陰極ホルダ301以外の部分の上面図を示す。図1(b)では陰極ホルダ301以外の部分の断面図を示す。図1(a)及び図1(b)において、カソード300は、陰極ホルダ301上に固定される。カソード300は、カソード本体20(カソード本体は「エミッタ」ともいう。)と、囲み部材30と、ガイド部(側面カバー部)40と、を備えている。カソード本体20(電子放出部材)は、材料として、六ホウ化ランタン(LaB)、及び六ホウ化セリウム(CeB)のいずれかの単結晶が用いられると好適である。カソード本体20は下部が円柱状に形成され、例えば上部が下部より直径の細い円柱状に形成される。カソード本体20は、一方向に開放された電子放出面を有する単結晶の電子放出部材となる。具体的には、カソード本体20上部の先端上面22(頂部)が平面に加工された電子放出面を形成する。電子放出面となる先端上面22は、(100)結晶面になるように加工されている。図1(a)及び図1(b)の例では、カソード本体20は、囲み部材30と、ガイド部40とによって、電子放出面が上面に制限されている。
囲み部材30は、中空円柱状(環状)に形成される。そして、囲み部材30は、カソード本体20の少なくとも上部側面を取り囲む。図1(b)の例では、カソード本体20上部の側面全周を覆うようにカソード本体20下部の上に配置される。囲み部材30は、カソード本体20の上部側面との間に隙間Gを開けると好適である。隙間Gは、例えば約1μm〜約15μmの範囲が好適であるが、用途に応じて隙間を更に小さくすることができ、または更に大きくすることができる。或いは、囲み部材30は、カソード本体20の上部側面と接触させて配置しても構わない。そして、囲み部材30の先端の環状上面32(頂部、環状面)が先端上面22(電子放出面)と略同一面(実質的に同一面)になるように平面に形成される。言い換えれば、環状上面32は、先端上面22(電子放出面)と略同一面に先端上面22(電子放出面)の周囲を取り囲むように形成される。囲み部材30は、材料として、カソード本体20と同じ材料が用いられる。但し、囲み部材30の環状上面32は、中心側の先端上面22(電子放出面)よりも仕事関数の大きい面になるように加工される。例えば、環状上面32は、(111)結晶面になるように加工されている。
ガイド部40は、カソード本体20(電子放出部材)の側面と囲み部材30の側面とを取り囲むように覆う。ガイド部40は、カソード本体20(電子放出部材)の側面と囲み部材30の側面と、に接触して配置される。或いは、これらの全部或いは一部と若干の隙間を開けて配置しても構わない。そして、ガイド部40の環状面側の上面42の高さ位置は、囲み部材30の環状面32の高さ位置より低くならないように形成される。言い換えれば環状面32の高さ位置と同じ位置か、環状面32の高さ位置より高い位置になるように形成される。同一面になるように形成するとさらに好適である。これにより、カソード本体20(電子放出部材)の側面と囲み部材30の側面とが開放されないようにできる。その結果、電子の放出が上述した先端上面22(電子放出面)に制限できる。ガイド部40は、材料として、カーボン(C)、或いはタングステン(W)等を用いると好適である。
図2は、実施の形態1の比較例における電子放出の経時変化を説明するための図である。図2(a)では、使用開始時の状態での比較例のカソードから放出される電子の様子の一例を示している。比較例では、カソード620は、例えば、円錐角を伴うテーパ形状または円錐形状の先端(頂部)を平面622に切り取った形状として作成される。そして、テーパ形状の側面部分をカーボン630でコーティングする。かかる構成により、電子放出面がカソード上面の平面622に限定され、放出面積を限定させることができる。これにより電子銃の輝度を向上させることが試みられている。そして、カソード620と下流側(図2(a)では上方)に配置される図示しないアノード電極との間に加速電圧で印加すると共に図示しない引き出し電極(ウェネルト)に負のバイアス電圧が印加された状態で、カソード620を加熱すると、カソード620から電子(電子群)が放出され、アノード電極側へと進む。かかる場合に、カーボン630の上面632とカソード620の上面の平面622が同一面に形成されているので、カソード620の電子放出面近傍では、等電位線(実際は等電位面になる)はカソード620の平面622(電子放出面)と平行になる。よって、電子は、等電位線に直交する方向に進むことができる。一方、図2(b)では、所定の使用期間経過後の状態での比較例のカソード630から放出される電子の様子の一例を示している。カソード630の使用(加熱等)による蒸発によって、電子放出面となる平面622は内側に後退していく。一方、コーティングされたカーボン630の上面632は蒸発速度が十分に遅いため後退しにくい。その結果、図2(b)に示すように、比較例のカーボン630と電子放出面となる平面622との間に段差が形成される。そのため、等電位線が平面622と近傍で屈折して曲がった軌道になってしまう。電子は等電位線に直交する方向に進むので、平面622(電子放出面)と直交する方向には進まず、発散する電子が生じてしまう。その結果、輝度が低下し、電子源としての使用限界(寿命)が尽きてしまう。
図3は、実施の形態1における電子放出の経時変化を説明するための図である。図3(a)では、使用開始時の状態でのカソード300から放出される電子の様子の一例を示している。実施の形態1では、カソード300は、カソード本体20の上部を、例えば、円柱状に形成し、先端上面22を平面に切り取った形状として作成される。そして、カソード本体20の上部の側面を囲み部材30で取り囲み、さらに、囲み部材30の側面をガイド部40で取り囲んでいる。囲み部材30の環状上面32は、カソード300の先端上面22よりも仕事関数が大きい結晶面で形成されているので、電子の放出が抑制できる。かかる構成により、電子放出面がカソード300の先端上面22に限定され、放出面積を限定させることができる。これにより電子銃の輝度を向上させている。そして、カソード300と下流側(図3(a)では上方)に配置される図示しないアノード電極との間に加速電圧で印加すると共に図示しない引き出し電極(ウェネルト)に負のバイアス電圧が印加された状態で、カソード300を加熱すると、カソード300から電子(電子群)が放出され、アノード電極側へと進む。かかる場合に、カソード本体20の先端上面22と囲み部材30の環状上面32とガイド部40の環状上面42とは、略同一面に形成されているので、カソード本体20の先端上面22(電子放出面)近傍では、等電位線(実際は等電位面になる)はカソード本体20の先端上面22(電子放出面)と平行になる。よって、電子は、等電位線に直交する方向に進むことができる。
一方、図3(b)では、所定の使用期間経過後の状態でのカソード300から放出される電子の様子の一例を示している。カソード300の使用(加熱等)による蒸発によって、カソード本体20の電子放出面となる先端上面22は内側に後退していく。一方、カーボン等により形成されたガイド部40はカソード本体20よりも蒸発速度が十分に遅いため段差が形成される。しかし、実施の形態1では、カソード本体20と同じ材料を用いて囲み部材30をカソード本体20の側面を取り囲むように配置している。そのため、カソード本体20の先端上面22が後退していくのと同様に、囲み部材30の環状上面32も同じ速度で後退していく。よって、カソード本体20の先端上面22と囲み部材30の環状上面32とは同一平面を維持し続けることができる。そのため、カソード本体20の先端上面22(電子放出面)近傍では、等電位線(実際は等電位面になる)はカソード本体20の先端上面22(電子放出面)と平行を保つ。よって、電子は、等電位線に直交する方向に進むことができる。よって、電子源としての使用限界(寿命)を延ばすことができる。なお、カソード本体20の側面と囲み部材30の内壁との間に隙間Gが形成される場合であっても、かかる隙間G内に引き出し電界が生じないので、カソード本体20の側面から電子が放出されたとしても隙間内で滞留するだけで電子ビーム形成に影響を与えるものではない。
図4は、実施の形態1におけるカソード上部の断面構成の一例を示す図である。図4では、断面を示しているが、カソード本体20の先端上面22の直径D1に対して、囲み部材30の環状上面32の直径D2は、カソード本体20の先端上面22(電子放出面)近傍において等電位線(実際は等電位面になる)がカソード本体20の先端上面22(電子放出面)と平行であり続けることができるサイズであればよい。カソード本体20の先端上面22と囲み部材30の環状上面32との蒸発による後退に伴い、ガイド部40の上面42との段差が広がっていく。例えば、かかる段差をアスペクト比で20%以内に抑えるとすると、環状上面32の直径D2は先端上面22の直径D1の2倍以上のサイズであると好適である。例えば、先端上面22の直径D1は10〜100μm程度(例えば50μm)が好適である。また、環状上面32の直径D2は50〜200μm程度(例えば100μm)が好適である。
図5は、実施の形態1におけるカソードの製造過程を示す断面図である。図5(a)に示すように、まず、六ホウ化ランタン(LaB)、及び六ホウ化セリウム(CeB)のいずれかの単結晶の部材を用いて、下部が円柱状に形成され、例えば上部が下部より直径の細い円柱状にカソード本体20を加工する。その場合に、上面側(電子放出面を形成する面側)が100結晶面になるように加工する。形成されたカソード本体20は陰極ホルダ301上に固定される。なお、(100)面の他に、(310)面等の仕事関数が小さくなる結晶面に形成しても構わない。
次に、図5(b)に示すように、外周がカソード本体20の下部の直径と同じサイズに、内径がカソード本体20の上部の直径よりも若干大きいサイズ(嵌め合い可能なサイズ)で、カソード本体20の上部よりも長い中空円柱状(環状)の囲み部材30用の部材を形成する。その場合に、上面(カソード本体20の電子放出面と同じ向きの面を形成する面側)が111結晶面になるように加工する。囲み部材30用の部材は、カソード本体20と同じ単結晶或いは同じ製造ロッドの単結晶材料を用いて、上面側を形成する場合のカット角度をカソード本体20とは変えて(111)結晶面を切り出しても良い。或いは、上面が(111)結晶面になるように結晶成長させた材料を用いてもよい。(111)面の他に、(211)面等の仕事関数が大きくなる結晶面に形成しても構わない。実施の形態1では、囲み部材30用の部材の上面側の結晶面が、カソード本体20の上面よりも相対的に仕事関数が大きくなる結晶面に形成した場合を含む。そして、カソード本体20の上部側からカソード本体20の上部に囲み部材30用の部材を嵌め込み、囲み部材30用の部材の底面とカソード本体20とを接着材で接着する。接着材として、例えば、コロイド状カーボンとBCとの混合物を用い、嵌め込み後に焼結することで接着できる。
次に、図5(c)に示すように、内径がカソード本体20の下部の直径よりも若干大きいサイズ(嵌め合い可能なサイズ)で、カソード本体20よりも長い中空円柱状(環状)のガイド部40を形成する。そして、囲み部材30の上部側からガイド部40を囲み部材30及びカソード本体20に嵌め込み、囲み部材30の側面とカソード本体20下部の側面とを接着材で接着する。接着材として、例えば、コロイド状カーボンとBCとの混合物を用い、嵌め込み後に焼結することで接着できる。
次に、図5(d)に示すように、カソード本体20と、囲み部材30と、ガイド部40とが組み込まれた組み込み構造物の上面を機械研磨することで、カソード本体20の先端上面22と囲み部材30の環状上面32とガイド部40の環状上面42とが同一面に形成できる。以上のようにして、実施の形態1におけるカソード300が製造される。
図6は、実施の形態1におけるカソードを用いて電子ビームを放出させた場合における電流密度と温度との関係の一例を示す図である。図6において、縦軸に電流密度を示し、横軸に加熱温度を示す。図6に示すように、カソード本体20の先端上面22から放出される電子群の電流密度(A部)は、温度の上昇に伴い増加する。一方、囲み部材30の環状上面32から放出される電子群の電流密度(B部)は、温度の上昇に関わらず、カソード本体20に比べて十分に低い状態で推移する。熱カソードから放出される電子ビームの電流密度Jは、仕事関数φ、加熱温度T(カソード温度)、ボルツマン係数k、リチャードソン定数A(=8.62×10−5eV/K)、及び透磁率η(=0〜1)を用いて、次のリチャードソン・ダッシマンの式(1)で定義できる。
(1) J=η・A・T・exp{−φ/(k・T)}
式(1)及び図6の結果からもわかるように、仕事関数φが小さい結晶面に形成されたカソード本体20の先端上面22に対して、仕事関数φが大きい結晶面に形成された囲み部材30の環状上面32からは、同じ材料であるにも関わらず、電子の放出が十分に少ないことがわかる。
図7は、実施の形態1の変形例におけるカソードの構成の一例を示す断面図である。図7では、カソード300の下部側の図示を省略している。図7の例では、カソード本体20の上部を、例えば、先細りする円錐角を伴うテーパ形状または円錐形状の先端(頂部)を平面に切り取った形状(円錐台形状)として作成される。そして、囲み部材30の内周側を、カソード本体20の上部のテーパ形状の側面と平行になるようにテーパ状に加工する。その他の構成は、図1と同様である。図7の変形例のように、実施の形態1におけるカソード本体20の上部の形状は円柱に限るものではなく、その他の形状であっても良い。
図8は、実施の形態1におけるカソードを搭載した描画装置の構成を示す概念図である。図8の例では、描画装置100の電子源として実施の形態1におけるカソードを搭載した場合について示している。但し、実施の形態1におけるカソードは、リソグラフィ装置である描画装置に限らず、様々な電子ビーム装置(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)など)において電子源またはエミッタとして使用できる。図8において、描画装置100は、描画機構150と制御系回路160を備えている。描画装置100は、カソード300を搭載する荷電粒子ビーム描画装置の一例である。図8の例では、一例として、可変成形型(VSB型)の描画装置を示している。描画装置100は、VSB型等のシングルビームを用いる構成に限るものではなく、マルチビームを用いる構成であっても構わない。描画機構150は、電子銃機構230、電子鏡筒102、及び描画室103を備えている。電子銃機構230内には、電子銃201が配置される。電子鏡筒102内には、電子レンズ211、照明レンズ202、ブランキング偏向器212、第1の成形アパーチャ基板203、投影レンズ204、偏向器205、第2の成形アパーチャ基板206、対物レンズ207、主偏向器208、及び副偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスクが含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。ブランキング偏向器212として、例えば1対の電極が用いられる。
また、電子銃201は、実施の形態1におけるカソード300、ウェネルト322、及びアノード324を有している。カソード300として、例えば、六ホウ化ランタン(LaB)結晶等を用いると好適である。ウェネルト322は、カソード320とアノード324との間に配置される。また、アノード324は、接地され、電位がグランド電位に設定されている。電子銃機構230と電子鏡筒102との境界は電子ビームが通過可能に形成されている。
制御系回路160は、制御計算機110、制御回路120、及び高圧電源回路130を有している。電子銃201には、高圧電源回路130が接続される。描画機構150は、制御回路120により制御される。制御計算機110は、描画装置100全体を制御する。
ここで、図8では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、位置偏向用には、主偏向器208と副偏向器209の主副2段の多段偏向器を用いているが、1段の偏向器或いは3段以上の多段偏向器によって位置偏向を行なう場合であってもよい。また、描画装置100には、マウスやキーボード等の入力装置、及びモニタ装置等が接続されていても構わない。
図9は、実施の形態1における各領域を説明するための概念図である。図9において、試料101の描画領域510は、主偏向器208のY方向偏向可能幅である、短冊状の複数のストライプ領域520に仮想分割される。また、各ストライプ領域520は、副偏向器209の偏向可能サイズである複数のサブフィールド(SF)530(小領域)に仮想分割される。そして、各SF530の各ショット位置にショット図形552,554,556が描画される。
制御計算機110からの制御信号によって操作される制御回路120からブランキング制御用の図示しないDACアンプに対して、ブランキング制御用のデジタル信号が出力される。そして、ブランキング制御用のDACアンプでは、デジタル信号をアナログ信号に変換し、増幅させた上で偏向電圧として、ブランキング偏向器212に印加する。かかる偏向電圧によって電子ビーム200が偏向させられ、各ショットの照射時間(照射量)が制御される。
制御回路120から図示しないDACアンプに対して、主偏向制御用のデジタル信号が出力される。そして、主偏向制御用のDACアンプでは、デジタル信号をアナログ信号に変換し、増幅させた上で偏向電圧として、主偏向器208に印加する。かかる偏向電圧によって電子ビーム200が偏向させられ、各ショットのビームがメッシュ状に仮想分割された、目標となるSF30の基準位置に偏向される。
制御回路120から図示しないDACアンプに対して、副偏向制御用のデジタル信号が出力される。そして、副偏向制御用のDACアンプでは、デジタル信号をアナログ信号に変換し、増幅させた上で偏向電圧として、副偏向器209に印加する。かかる偏向電圧によって電子ビーム200が偏向させられ、各ショットのビームが対象となるSF30内の各ショット位置に偏向される。
描画装置100では、複数段の多段偏向器を用いて、ストライプ領域520毎に描画処理を進めていく。ここでは、一例として、主偏向器208、及び副偏向器209といった2段偏向器が用いられる。XYステージ105が例えば−x方向に向かって連続移動しながら、1番目のストライプ領域520についてx方向に向かって描画を進めていく。そして、1番目のストライプ領域520の描画終了後、同様に、或いは逆方向に向かって2番目のストライプ領域520の描画を進めていく。以降、同様に、3番目以降のストライプ領域520の描画を進めていく。そして、主偏向器208が、XYステージ105の移動に追従するように、SF530の基準位置に電子ビーム200を順に偏向する。また、副偏向器209が、各SF530の基準位置から当該SF530内に照射されるビームの各ショット位置に電子ビーム200を偏向する。このように、主偏向器208、及び副偏向器209は、サイズの異なる偏向領域をもつ。そして、SF530は、かかる複数段の偏向器の偏向領域のうち、最小偏向領域となる。
カソード300に負の加速電圧が印加され、ウェネルト322に負のバイアス電圧が印加された状態で、カソード300を加熱すると、カソード300から電子(電子群)が放出され、放出電子(電子群)は、収束点(クロスオーバー:C.O.)を形成した(カソードクロスオーバー)後に広がり、加速電圧によって加速されて電子ビームとなってアノード324に向かって進む。そして、アノード324に設けられた開口部を電子ビームが通過して、電子ビーム200が電子銃201から放出されることになる。
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、電子レンズ211により例えばブランキング偏向器212内の中心高さ位置(所定の位置の一例)に収束させられ、収束点(クロスオーバー:C.O.)を形成する。そして、光軸方向に対して電子レンズ211よりも後側に配置されたブランキング偏向器212内を通過する際に、ブランキング用のDACアンプ122からの偏向信号によって制御されるブランキング偏向器212によって、ビームのON/OFFが制御される。言い換えれば、ブランキング偏向器212は、ビームONとビームOFFとを切り替えるブランキング制御を行う場合に、電子ビームを偏向する。光軸方向に対してブランキング偏向器212よりも後側に配置された第1の成形アパーチャ基板203によって、ビームOFFの状態になるように偏向された電子ビーム200全体は遮蔽される。逆に、ビームONの状態では、第1の成形アパーチャ基板203に形成された矩形の穴全体を覆う位置に電子ビーム200が照明され、電子ビーム200の一部が第1の成形アパーチャ基板203を通過する。ビームOFFの状態からビームONとなり、その後ビームOFFになるまでに第1の成形アパーチャ基板203を通過した電子ビーム200が1回の電子ビームのショットとなる。ブランキング偏向器212は、通過する電子ビーム200の向きを制御して、ビームONの状態とビームOFFの状態とを交互に生成する。例えば、ビームONの状態では電圧0Vを印加し(或いは電圧を印加せず)、ビームOFFの際にブランキング偏向器212に数Vの電圧を印加すればよい。かかる各ショットの照射時間tで試料101に照射される電子ビーム200のショットあたりの照射量が調整されることになる。
ビームONに制御された電子ビーム200は、照明レンズ202により第1の成形アパーチャ基板203の矩形の穴全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形に成形する。そして、第1の成形アパーチャ基板203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2の成形アパーチャ基板206上に投影される。偏向器205によって、かかる第2の成形アパーチャ基板206上での第1のアパーチャ像は偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させる(可変成形を行なう)ことができる。かかる可変成形はショット毎に行なわれ、通常ショット毎に異なるビーム形状と寸法に成形される。そして、第2の成形アパーチャ基板206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器208及び副偏向器209によって偏向され、連続的に移動するXYステージ105に配置された試料101の所望する位置に照射される。言い換えれば、光軸方向に対してブランキングアパーチャ214よりも後側に配置された対物レンズ207により、ビームONの電子ビームを試料101上に結像する。図8では、位置偏向に、主副2段の多段偏向を用いた場合を示している。かかる場合には、主偏向器208でSF30の基準位置にステージ移動に追従しながら該当ショットの電子ビーム200を偏向し、副偏向器209でSF内の各照射位置にかかる該当ショットのビームを偏向すればよい。かかる動作を繰り返し、各ショットのショット図形を繋ぎ合わせることで、描画データに定義された図形パターンを試料に描画する。
実施の形態1では、高寿命の高輝度のカソード300を搭載しているので、所望の輝度で描画処理を続けて行うことができる。
以上のように、実施の形態1によれば、放出電子の発散を抑制し、所望の輝度を維持可能な期間を延ばすことができる。よって、高寿命の高輝度のカソード300を提供できる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのカソードおよび電子ビーム描画装置は、本発明の範囲に包含される。
20 カソード本体
22 先端上面
30 囲み部材
32 環状上面
40 ガイド部
42 環状上面
100 描画装置
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
120 制御回路
130 高圧電源回路
150 描画機構
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 第1の成形アパーチャ基板
204 投影レンズ
205 偏向器
206 第2の成形アパーチャ基板
207 対物レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
211 電子レンズ
212 ブランキング偏向器
230 電子銃機構
300 カソード
301 陰極ホルダ
322 ウェネルト
324 アノード
330 電子線
410 第1のアパーチャ
411 開口
420 第2のアパーチャ
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース
510 描画領域
520 ストライプ領域
530 SF
552,554,556 ショット図形
620 カソード
622 平面
630 カーボン
632 上面

Claims (5)

  1. 一方向に開放された電子放出面を有する単結晶の電子放出部材と、
    前記電子放出面と略同一面に前記電子放出面の周囲を取り囲むように形成された前記電子放出面よりも仕事関数の大きい環状面を有し、前記電子放出部材の少なくとも上部側面を取り囲む、前記電子放出部材と同じ材料により形成された囲み部材と、
    を備えたことを特徴とするカソード。
  2. 前記電子放出面は、(100)結晶面であることを特徴とする請求項1記載のカソード。
  3. 前記環状面は、(111)結晶面であることを特徴とする請求項1又は2記載のカソード。
  4. 前記電子放出部材の側面と前記囲み部材の側面とを覆うガイド部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカソード。
  5. 前記ガイド部の前記環状面側の面の高さ位置は、前記環状面の高さ位置と同じ位置か、前記環状面の高さ位置より高い位置であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のカソード。
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