JP2019112546A - セルロースエステル樹脂組成物、及びその成型体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透明性、透湿性に優れ、可塑性が良好なフィルムが得られるセルロースエステル樹脂組成物と、該樹脂組成物を用いて得られるフィルムを提供すること。【解決手段】 セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)とを含むセルロースエステル樹脂組成物であり、前記エステル化合物(B)が、二価アルコール(b1)と、二塩基酸(b2)と、数平均分子量が150〜5000のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(但し、末端のアルキル基の炭素原子数は1〜6である)(b3)との縮合反応物であることを特徴とする、セルロースエステル樹脂組成物、及びこれを用いて得られるフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、透明性、透湿性に優れ、可塑性が良好な成型体、特にフィルムが得られるセルロースエステル樹脂組成物と、該樹脂組成物を用いて得られる成型体、フィルムに関する。
セルロースエステル樹脂は植物由来原料から得られ、一般に他の合成樹脂に比較して強靭であり、透明性、艶、光沢、耐薬品性、透湿性に優れ、また、表面が滑らかで感触が良いという大きな特徴を有している。この為、該樹脂の用途は、例えば、シート、フィルム、電線被覆、玩具、医療用機器、電子機器、あるいは食品包装材等非常に多岐にわたっている。
近年、セルロースエステルの高い透明性と透湿性を生かして、湿度調整フィルムや防曇フィルム、食品包装材等などへの応用が考えられている。
しかしながら、セルロースエステル樹脂は可塑性に乏しく、硬脆いため、高い柔軟性が要求される用途には使用できないという問題を有していた。そこで、これを避けるために適当な可塑剤を配合してセルロース系樹脂の軟化点を下げる必要があり、かかる目的のために従来から、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トルエンスルホンアミド、トリアセチン又はペンタエリスリトールテトラアセテート等が使用されてきた。
しかしながら、これらの可塑剤は、セルロース系樹脂との相溶性、可塑化効率、透明性、透湿性、耐水性、耐熱性、非揮発性、熱および光に対する安定性、非移行性、非抽出性等の広範な性能を満足させ得るものはない。特にセルロース系樹脂の高い透湿性を維持しつつ、硬脆さを解消するためには、可塑剤を多量に添加する必要があるが、可塑剤がブリードアウトしてしまうことが問題となっている。
これらを解決しうる手段として、例えば、多塩基酸と多価アルコールとエーテルアルコールとの反応により得られるエステル化合物(例えば、特許文献1参照)や、脂肪族二塩基酸に由来する構造単位と、アルキレンジオールに由来する構造単位と、ポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位と、からなり、末端が水酸基またはカルボキシル基であるランダム共重合体からなるエステル化合物(例えば、特許文献2参照)をセルロース系樹脂の改質剤として使用することが提供されている。
しかしながら、前記特許文献1で実際に提供された化合物を改質剤として用いた場合では十分な透湿性が得られず、特許文献2で実際に提供された化合物を改質剤として用いた場合においても、透湿性やセルロース系樹脂との相溶性等において、例えば食品包装材等に適用できるレベルには至っておらず、さらなる改良が求められている。
特開2009−173740号公報 特開2017−145275号公報
本発明が解決しようとする課題は、透明性、透湿性、相溶性に優れ、可塑性が良好な成型体やフィルムが得られるセルロースエステル樹脂組成物と、該樹脂組成物を用いて得られる成型体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、二価アルコールと、二塩基酸と、数平均分子量が150〜5000のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(但し、末端のアルキル基の炭素原子数は1〜6である)との縮合反応物をセルロースエステル樹脂の改質剤として使用することにより、セルロースエステル樹脂の透明性を損なうことなく透湿性にも優れる成型体、特にはフィルムが得られ、且つ湿熱後においても透明性の変化が少ないことや可塑化効果も良好であること等を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)とを含むセルロースエステル樹脂組成物であり、
前記エステル化合物(B)が、
二価アルコール(b1)と、二塩基酸(b2)と、数平均分子量が150〜5000のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(但し、末端のアルキル基の炭素原子数は1〜6である)(b3)との縮合反応物であることを特徴とする、セルロースエステル樹脂組成物、及び前記樹脂組成物を含有する成型体を提供するものである。
本発明によれば、透明性、透湿性に優れ、可塑性も良好であり、食品包装材等に好適に用いることができる樹脂組成物を提供することができる。この樹脂組成物を用いることにより、透明性に優れると共に透湿性にも優れ、且つ可塑性もある成型体、特には当該性能を有するフィルムを得ることができる。
本発明で用いるセルロースエステル樹脂(A)としては、特に限定されるものではなく、例えば、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等から得られるセルロースの有する水酸基の一部又は全部がエステル化されたものなどが例示できる。
前記セルロースエステル樹脂(A)としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエート、硝酸セルロース、ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテート等が挙げられ、成型体やフィルムとして使用する場合には、機械的物性及び透明性に優れた成型体やフィルムを得ることができる観点から、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましく、セルロースアセテートがより好ましい。これらセルロースエステル樹脂(A)は、単独でも2種以上を併用してもよい。
前記セルロースエステル樹脂(A)としては、平均重合度が50〜2000の範囲であることが好ましく、その平均アセチル置換度としては、好ましくは2.0〜3.0の範囲であり、より好ましくは2.2〜3.0の範囲である。
前記セルロースエステル樹脂(A)の重合度と平均置換度がかかる範囲であれば、優れた機械的物性を有する成型体およびフィルムを得ることができる。本発明では、所謂セルローストリアセテート(TAC)やセルロースジアセテート(DAC)を使用することがより好ましい。尚、本発明でいう「平均アセチル置換度」とは、ASTM D−817−91に準じて測定した値である。
前記セルロースアセテートの数平均分子量は、5,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜500,000の範囲が更に好ましく、10,000〜200,000の範囲が最も好ましい。前記セルロースアセテートの数平均分子量がこの範囲であると、優れた機械的物性を有するフィルムを容易に得ることができる。
ここで、本発明において、数平均分子量(Mn)はGPC測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製高速GPC装置「HLC−8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK GURDCOLUMN SuperHZ−L」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC Data Analysis バージョン1.07」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
測定試料:試料7.5mgを10mlのテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液をマイクロフィルターでろ過したものを測定試料とした。
試料注入量:20μl
標準試料:前記「HLC−8320GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−300」
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
本発明で用いるエステル化合物(B)は、二価アルコール(b1)と、二塩基酸(b2)と、数平均分子量が150〜5000のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(但し、末端のアルキル基の炭素原子数は1〜6である)(b3)との縮合反応物であることを特徴とする。
前記二価アルコール(b1)としては、アルキレングリコールやオキシアルキレングリコールが挙げられる。アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水添ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)等の炭素原子数2〜15のアルキレングリコールが挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記オキシアルキレングリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の炭素原子数4〜12のオキシアルキレングリコールが挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、炭素原子数2〜6のアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAを用いることが透明性、透湿性に優れるフィルムが得られることから好ましい。炭素原子数2〜6のアルキレングリコールの中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールがより可塑性に優れる成型体、特にはフィルムが得られる点から好ましい。
前記二塩基酸(b2)としては、芳香族、脂肪族、脂環式のいずれの二塩基酸を用いても良く、例えば、炭素原子数2〜12のアルキレンジカルボン酸又は炭素原子数6〜12のアリールジカルボン酸が挙げられる。但し、この炭素原子数には、カルボキシ基中の炭素原子を含まないものとする。
前記炭素原子数2〜12のアルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、炭素原子数6〜12のアリールジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、エステル交換反応によって本発明で用いるエステル化合物(B)を合成するときには、これらの二塩基酸のアルキルエステル等の誘導体を原料とするものであってもよい。
これらの中でも、炭素原子数2〜6のアルキレンジカルボン酸又は炭素原子数6〜10のアリールジカルボン酸が、透明性、透湿性に優れるフィルムが得られることから好ましく、フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸又はコハク酸を用いることがより好ましく、原料とする二塩基酸(b2)中、アジピン酸又はコハク酸を、10モル%以上で用いることが最も好ましい。
前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(b3)は、末端のアルキルエーテルを構成するアルキル基の炭素原子数が1〜6の範囲であり、且つその数平均分子量が150〜5000の範囲であり、150〜3000が好ましく、150〜2000であることが特に好ましい。このような特定のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることにより、セルロースエステル樹脂(A)が高い透湿性を示すと共に、セルロースエステル樹脂(A)の硬脆さを解消し、且つセルロースエステル樹脂(A)との相溶性にも優れることから、得られる成型体及びフィルムの透湿性、透明性、可塑性が良好となるものである。
前記ポリアルキレングリコールモノアルキレンエーテル(b3)中のアルキレングリコール部分の炭素原子数は1〜6の範囲であることが好ましく、特に1〜4の範囲であることが好ましく、エチレングリコール又はプロピレングリコールを構成単位とするものであることが最も好ましい。
また末端のアルキルエーテルを構成するアルキル基は、炭素原子数1〜6の範囲のものであるが、炭素原子数1〜4のものが好ましく、特に炭素原子数1のメチルエーテルであることが、より透湿性に優れる成型体及びフィルムが容易に得られる点から好ましいものである。
このようなポリアルキレングリコールモノアルキレンエーテル(b3)を用いることにより、エステル化合物(B)は、前記(b3)のアルキレンエーテル部分と反対の末端の水酸基と前記二塩基酸(b2)とのエステル結合によって封止された構造になる。本発明のエステル化合物(B)は直鎖状の化合物であるが、片末端が、このポリアルキレングリコールモノアルキレンエーテル(b3)で封止されたものであっても、両末端が封止されたものであってもよいが、両末端が封止された構造のエステル化合物であることが、より透明性、透湿性及び可塑性とのバランスに優れる点から好ましいものである。
なお、片末端がポリアルキレングリコールモノアルキレンエーテル(b3)で封止されている化合物の、もう一方の末端は、原料に由来する水酸基又はカルボキシ基のままであってもよく、あるいは、モノアルコール、モノカルボン酸によって、封止された構造であってもよい。この時用いることができるモノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等が挙げられ、モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、テトラメチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、クミン酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、ナフトエ酸、アニス酸等や、これらのメチルエステル及び酸塩化物等の芳香族化合物や、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂肪族化合物が挙げられる。
このような観点から、本発明で用いるエステル化合物(B)としては下記一般式(1)
Figure 2019112546
(式中、Gはアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基であり、Aはそれぞれ独立にアルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基であり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基である。mはそれぞれ独立に1以上の整数であり、nは0以上の整数であって、繰り返しごとに、A、G、Rは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物であることが好ましい。
本発明において、アルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基とは、原料のジカルボン酸又はそのアルキルエステル等誘導体から、カルボキシ基又はカルボキシ基誘導体を除いた部分を示し、また、アルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基とは、原料のアルキレングリコール又はオキシアルキレングリコールから水酸基を除いた部分を示す。
これらの中でも、前記一般式(1)中のGが炭素原子数2〜6のアルキレングリコール残基、シクロヘキサンジメタノール残基又は水添ビスフェノールA残基であり、Aが炭素原子数2〜6のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素原子数6〜8のアリールジカルボン酸残基であり、Rが炭素原子数2〜3のアルキル基であり、Rが炭素原子数1〜4のアルキル基である化合物を用いることが、得られる成型体およびフィルムにおける透明性、透湿性、及び可塑性のバランスにより優れる点から好ましい。
前記一般式(1)におけるn及びmはそれぞれ繰り返し数を示し、平均として、nは2〜20、mは4〜50であることが好ましい。
また、本発明で用いるエステル化合物(A)の数平均分子量(Mn)は、400〜4000であることが好ましい。数平均分子量がこの範囲であると、より優れた透明性、透湿性、可塑性のある成型体及びフィルムが得られやすい。この観点から、数平均分子量は特に500〜3000の範囲であることが好ましい。
本発明で用いるエステル化合物(B)は単一の化合物からなるものであっても、あるいは、m、nの繰り返し数が異なる化合物の混合物であっても、あるいは、一般式(1)中のA、G、R、Rが異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明で用いるエステル化合物(B)の酸価としては、強度が十分な成型体及びフィルムが得られやすい点から5以下が好ましく、1以下がより好ましい。また、エステル化合物の水酸基価は、成型加工及びフィルム化する際の熱に対する安定性により優れる組成物が得られやすい点から50以下が好ましく、20以下がより好ましい。
本発明で用いるエステル化合物(B)は、例えば、下記に示す通常のエステル化手法を用いることで容易に得ることができる。
方法1:二価アルコール(b1)と、二塩基酸(b2)と、数平均分子量が150〜5000のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(但し、末端のアルキル基の炭素原子数は1〜6である)(b3)を一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法2:二価アルコール(b1)と、二塩基酸(b2)とを、水酸基の当量がカルボキシル基の当量よりも少なくなる条件下で反応させてカルボキシ基末端のエステル化合物中間体を得た後、該中間体に、数平均分子量が150〜5000のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(但し、末端のアルキル基の炭素原子数は1〜6である)(b3)を反応させる方法。
前記エステル化手法によって本発明で用いるエステル化合物(B)を得る方法としては、例えば、前記の原料を、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば、180〜250℃の温度範囲内で10〜25時間反応させる方法が挙げられる。エステル化反応の温度、時間などの条件は特に限定せず、適宜設定してよい。
前記エステル化触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;ジブチル錫オキサイド等のスズ系触媒;p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸系触媒などが挙げられる。
前記エステル化触媒の使用量は、適宜設定すればよいが、通常、原料の全量100質量部に対して、0.001〜0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明で用いるエステル化合物(B)の性状は、数平均分子量や組成などの要因により異なるが、通常、常温にて液体、固体、ペースト状などである。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物中のエステル化合物(B)の含有量は、目的とするフィルムの透湿性等の性状にもよるが、より可塑性に優れたものとするためには、セルロースエステル樹脂(A)100質量部に対して1〜70質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物には、前記セルロースエステル樹脂(A)、エステル化合物(B)以外の樹脂を、本発明の目的を損なわない範囲で混合することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、エステル化合物(B)以外のポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、アクリル、ウレタン等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これらは1種類を混合しても良いし、2種以上を混合しても良い。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、各種添加剤を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば、本発明で用いるエステル化合物(B)以外の改質剤、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、マット剤、劣化防止剤、難燃剤、フィラー、充填剤、着色剤、架橋剤、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性化剤、離型剤、顔料、加工助剤、発泡剤等が挙げられる。
前記エステル化合物(B)以外の改質剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル;エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラアセテート、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定しないが、例えば、本発明で用いるエステル化合物(B)以外のポリエステル樹脂、ポリエステルエーテル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、特に限定しないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられる。
前記マット剤としては、特に限定しないが、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク等が挙げられる。
前記劣化防止剤としては、特に限定しないが、例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤等が挙げられる。
前記難燃剤としては、特に限定しないが、例えば、ハロゲン系化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物、金属水酸化物などの無機粒子等が挙げられる。
前記フィラーとしては、特に限定しないが、例えば、繊維状、板状、粒状、粉末状等の無機物または有機物が挙げられる。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)とを含有すればよく、その製造方法は特に制限がない。具体的には、例えば、前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)と、必要に応じて上記添加剤やその他の樹脂を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて溶融混練する方法により得ることができる。また、本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)と、必要に応じて上記添加剤や樹脂を有機溶剤中に溶解し、溶液として得ることもできる。有機溶剤としては、例えば、後述する溶液流涎法(ソルベントキャスト法)においてセルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)を含むドープ液を得る際に用いる有機溶剤を用いることができる。
本発明の成型体は、本発明のセルロースエステル組成物を成型して得られる。本発明の成型体の製造法としては、公知の方法を採用でき、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、押出ラミネート成形、カレンダー成形、粉末成形など、種々の方法が挙げられ、特に限定しない。成型温度は、成形に供するセルロースエステル組成物の性状や成形方法などの諸条件により適宜設定すればよく、特に限定しないが、通常は、好ましくは180〜250℃の範囲であり、より好ましくは200〜230℃の範囲である。
本発明の成型体としてフィルム状であってもよく、本発明のセルロースエステル樹脂組成物を含有することを特徴とする。本発明のフィルムを得るには、例えば、押出成形、キャスト成形等の手法が用いられる。具体的には、例えば、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸状態のフィルムを押し出し成形することができる。押し出し成形によりフィルムを得る場合は、事前に前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)を溶融混錬して得られる本発明のセルロースエステル樹脂組成物を用いることもできれば、押出成形時に前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)とを溶融混錬し、そのまま押し出し成形することもできる。また、前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)成分を溶解する溶媒を用いて、前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)を該溶媒中に溶解し、いわゆるドープ液を得たうえで、キャスト成形する溶液流延法(ソルベントキャスト法)により未延伸状態のフィルムを得ることもできる。
以下に、溶液流延法について詳述する。溶液流延法で得られるフィルムは、その表面に凹凸が形成されにくく、表面平滑性にも優れ、例えば各種包装材や等に使用することができる。
前記溶液流延法は、一般に、前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)とを有機溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を金属支持体上に流延させる第1工程と、流延させた前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤を留去し乾燥させてフィルムを形成する第2工程と、それに続く、金属支持体上に形成されたフィルムを金属支持体から剥離し加熱乾燥させる第3工程を含む。
前記第1工程で使用する金属支持体としては、無端ベルト状又はドラム状の金属製のものなどを例示でき、例えば、ステンレス製でその表面が鏡面仕上げの施されたものを使用することができる。
前記金属支持体上に樹脂溶液を流延させる際には、得られるフィルムに異物が混入することを防止するために、フィルターで濾過した樹脂溶液を使用することが好ましい。
前記第2工程の乾燥方法としては、特に限定しないが、例えば30〜50℃の温度範囲の風を前記金属支持体の上面及び/又は下面に当てることで、流延した前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤の50〜80質量%を蒸発させ、前記金属支持体上にフィルムを形成させる方法が挙げられる。
次いで、前記第3工程は、前記第2工程で形成されたフィルムを金属支持体上から剥離し、前記第2工程よりも高い温度条件下で加熱乾燥させる工程である。前記加熱乾燥方法としては、例えば100〜160℃の温度条件にて段階的に温度を上昇させる方法が、良好な寸法安定性を得ることができるため、好ましい。前記温度条件にて加熱乾燥することにより、前記第2工程後のフィルム中に残存する有機溶剤をほぼ完全に除去することができる。
尚、前記第1工程〜第3工程において回収された有機溶媒は再使用することも可能である。
前記セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)を有機溶剤に混合させ溶解する際に使用できる有機溶剤としては、それらを溶解可能なものであれば特に限定しないが、例えば、クロロホルム、二塩化メチレン、塩化メチレン等の溶媒を挙げることができる。
前記樹脂溶液中のセルロースエステル樹脂(A)の濃度は、10〜50質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。
本発明のフィルムの膜厚は、20〜200μmの範囲が好ましく、25〜150μmの範囲がより好ましく、25〜100μmの範囲が特に好ましい。
本発明においては、例えば、前記の方法で得られる未延伸状態のフィルムを必要に応じて、機械的流れ方向に縦一軸延伸、機械的流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することで延伸されたフィルムを得ることができる。また、ロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸することにより2軸延伸された延伸フィルムを得ることができる。延伸倍率は少なくともどちらか一方向に0.1%以上1000%以下であることが好ましく、0.2%以上600%以下であることがさらに好ましく、0.3%以上300%以下であることがとりわけ好ましい。この範囲に設計することにより、透湿性、強度の観点で好ましい延伸されたフィルムが得られる。
本発明のフィルムは、透湿性に優れたものであり、例えば、厚み60μmにおける透湿性が550m/g・24h以上であるフィルムを好適に得ることができる。このような透湿性フィルムは、湿度調整フィルム、防曇フィルムとして使用でき、食品包装材料等に好適に用いることができる。
更に、本発明のフィルムは、可塑性にも優れており、例えば、引張伸度が12%以上で、引張弾性率が4000MPa以下であるフィルムを好適に得ることができる。このような可塑性を有し、且つ透明性にも優れる観点から、各種包装材として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明する。例中の部及び%は断りがない限り質量基準である。
合成例1
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてエチレングリコール(以下「EG」と略す)113.0g、二塩基酸(b2)としてコハク酸(以下「SuA」と略す)212.6g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとして東邦化学工業株式会社製ハイモールPM(数平均分子量220)70.4g及び触媒であるテトライソプロピルチタネート(以下「TIPT」と略す)0.025gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−1)を得た。得られたエステル化合物(B−1)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.24、水酸基価13であり、数平均分子量は950であった。
合成例2
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG85.7g、二塩基酸(b2)としてSuA165.4g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとして日油株式会社製ユニオックスM−400(数平均分子量400)128.0g及び触媒であるTIPT0.023gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−2)を得た。得られたエステル化合物(B−2)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.18、水酸基価15であり、数平均分子量は1330であった。
合成例3
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG116.1g、二塩基酸(b2)としてSuA213.1g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとしてユニオックスM−400 92.0g及び触媒であるTIPT0.025gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−3)を得た。得られたエステル化合物(B−3)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.12、水酸基価20であり、数平均分子量は1250であった。
合成例4
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG56.6gと2−ブチル2−エチル1,3−プロパンジオール119.9g、二塩基酸(b2)としてSuA192.8g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとしてユニオックスM−400 109.2g及び触媒であるTIPT0.028gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−4)を得た。得られたエステル化合物(B−4)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.11、水酸基価18であり、数平均分子量は1480であった。
合成例5
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG95.3g、二塩基酸(b2)としてアジピン酸(以下「AA」と略す)230.4g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとしてユニオックスM−400 96.0g及び触媒であるTIPT0.025gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−5)を得た。得られたエステル化合物(B−5)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.15、水酸基価18であり、数平均分子量は2350であった。
合成例6
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG46.3gと1,3−ブタンジオール60.7g、二塩基酸(b2)としてAA214.3g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとしてユニオックスM−400 96.0g及び触媒であるTIPT0.025gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−6)を得た。得られたエステル化合物(B−6)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.15、水酸基価18であり、数平均分子量は2680であった。
合成例7
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG47.7g、二塩基酸(b2)としてSuA101.8g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとして日本乳化剤株式会社製MPG−081(数平均分子量680)246.9g及び触媒であるTIPT0.024gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−7)を得た。得られたエステル化合物(B−7)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.68、水酸基価8であり、数平均分子量は2050であった。
合成例8
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG84.9g、二塩基酸(b2)としてSuA159.2g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとしてMPG−081 157.7g及び触媒であるTIPT0.024gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−8)を得た。得られたエステル化合物(B−8)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.2、水酸基価16であり、数平均分子量は1860であった。
合成例9
500ミリリットル4つ口フラスコに、二価アルコール(b1)としてEG70.6g、二塩基酸(b2)としてSuA139.2g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとして日油株式会社製ユニオックスM−1000(数平均分子量1000)320.0g及び触媒であるTIPT0.032gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することで本発明のエステル化合物(B−9)を得た。得られたエステル化合物(B−9)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.2、水酸基価11であり、数平均分子量は2310であった。
比較合成例1
500ミリリットル4つ口フラスコに、EG94.0g、AA221.2g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル 48.7g及び触媒であるTIPT0.022gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することでエステル化合物(B’−1)を得た。得られたエステル化合物(B’−1)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.25、水酸基価13であり、数平均分子量は870であった。
比較合成例2
500ミリリットル4つ口フラスコに、EG73.7g、AA200.3g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル 103.8g及び触媒であるTIPT0.023gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することでエステル化合物(B’−2)を得た。得られたエステル化合物(B’−2)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.58、水酸基価4であり、数平均分子量は1410であった。
比較合成例3
500ミリリットル4つ口フラスコに、EG121.7g、SuA227.7g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル 51.9g及び触媒であるTIPT0.024gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することでエステル化合物(B’−3)を得た。得られたエステル化合物(B’−3)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.08、水酸基価28であり、数平均分子量は660であった。
比較合成例4
500ミリリットル4つ口フラスコに、EG113.4g、PEG200 66.4g、SuA216.5g及び触媒であるTIPT0.024gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することでエステル化合物(B−4)を得た。得られたエステル化合物(B’−4)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.1、水酸基価32であり、数平均分子量は1600であった。
比較合成例5
500ミリリットル4つ口フラスコに、EG129.0g、PEG200 47.3g、SuA238.0g及び触媒であるTIPT0.025gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、段階的に230℃まで昇温した。230℃で8時間縮合反応させ、酸価が1.0以下になったことを確認した。減圧下、200℃にて過剰のグリコールを除去することでエステル化合物(B’−5)を得た。得られたエステル化合物(B’−5)は、常温で淡黄色液体であり、酸価が0.05、水酸基価32であり、数平均分子量は1370であった。
<セルロースエステル光学フィルムの調整>
トリアセチルセルロース樹脂(株式会社ダイセル製「LT−35」、TACと略記する)もしくはジアセチルセルロース樹脂(株式会社ダイセル製「L−50」、DACと略記する)100部、エステル化合物10〜30部を、メチレンクロライド810部及びメタノール90部からなる混合溶剤に加えて溶解し、ドープ液を調製した。このドープ液をガラス板上に厚さ0.8mmとなるように流延し、室温で16時間乾燥させた後、50℃で30分、さらに120℃で30分乾燥させることで、フィルムを得た。得られたフィルムについて、下記の評価を行い、結果を表に示す。
<セルロースエステル樹脂組成物から得られるフィルムの引張試験>
装置:(株)島津製作所製オートグラフAG−IS
試験片:150mm×10mm,厚み80μmの短冊形
チャック間:100mm
試験速度 :10mm/min
弾性率は小さい程、柔らかく加工性に優れたフィルムであることを表す。伸度は大きいほど柔らかく加工性に優れたフィルムであることを表す。
<フィルムの透湿度測定>
JIS Z 0208に記載の方法に従い、測定した。測定条件は、温度40℃、相対湿度90%で行なった。膜厚60μmとしたときの換算値を示す。得られる値が大きい程、透湿性に優れることを表す。
<湿熱試験>
膜厚60μmのフィルムを85℃、相対湿度90%の環境下(湿熱環境下)に120時間晒した。
<HAZE>
HAZE値は、濁度計(日本電色工業株式会社製「NDH 5000」)を用いて、JIS K 7105に準じて測定した。得られる値が0%に近い程、透明であること表す。膜厚60μmのフィルムを使用した。
Figure 2019112546
比較例5は添加剤がブリードアウトしたため、フィルムの評価を実施しなかった。

Claims (7)

  1. セルロースエステル樹脂(A)とエステル化合物(B)とを含むセルロースエステル樹脂組成物であり、
    前記エステル化合物(B)が、
    二価アルコール(b1)と、二塩基酸(b2)と、数平均分子量が150〜5000のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(但し、末端のアルキル基の炭素原子数は1〜6である)(b3)との縮合反応物であることを特徴とする、セルロースエステル樹脂組成物。
  2. 前記エステル化合物(B)が、下記一般式(1)
    Figure 2019112546
    (式中、Gはアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基であり、Aはそれぞれ独立にアルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基であり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基である。mはそれぞれ独立に1以上の整数であり、nは0以上の整数であって、繰り返しごとに、A、G、Rは同一でも異なっていてもよい。)
    で表されるものである請求項1記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  3. 前記一般式(1)中のGが炭素原子数2〜6のアルキレングリコール残基、シクロヘキサンジメタノール残基又は水添ビスフェノールA残基であり、Aが炭素原子数2〜6のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素原子数6〜8のアリールジカルボン酸残基であり、Rが炭素原子数2〜3のアルキル基であり、Rが炭素原子数1〜4のアルキル基である請求項2記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  4. 前記エステル化合物(B)の含有量が、前記セルロースエステル樹脂(A)100質量部に対して5〜50質量部である請求項1〜3の何れか1項記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のセルロースエステル樹脂組成物を含有することを特徴とする成型体。
  6. 厚み60μmにおける透湿性が550m/g・24h以上である請求項5記載の成型体。
  7. 引張伸度が12%以上で、引張弾性率が4000MPa以下である請求項5又は6記載の成型体。
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