JP2019108049A - 車両用推進軸 - Google Patents
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このような推進軸は、変速装置と終減速装置との距離が一定でないこと、そして、変速装置の出力軸と終減速装置の入力軸との回転中心が同軸上にないことから、自在継手を介して変速装置や終減速装置と連結している。
また、推進軸が所定の長さを超える場合、パイプ材を前後に分割するとともにその間を自在継手で連結している。そして、自在継手の近傍が軸受やブラケットを備えた中間軸受体により回転自在に支持されている。
このような構造では、衝突の際に車体前部の変形を促すため、車体前部に搭載されたエンジン及び変速機が衝突により速やかに後退することが要求されるが、車両が推進軸を備える場合、推進軸がエンジン等の後退を妨げる要因になりかねない。
このような事情から、下記特許文献1の推進軸では、軸受の前方に円盤状のデフレクタが設けられている。よって、車両が前方から衝突されて推進軸が所定量後退した場合、デフレクタがブラケットに当接する。そして、デフレクタからブラケットに作用する荷重が所定量を超えると、ブラケットが破断する。この結果、車体から中間軸受体が離脱し、推進軸の支持が解除されて推進軸の後退、つまり、エンジン及び変速機の後退が可能となる。
また、前記発明によれば、トーショナルダンパを用いて円環部に衝突時の荷重を伝達しているため、従来技術で説明した鍛造素材の費用や機械加工の工数が不要となり、車両用推進軸の生産性が向上する。
さらに、軸受の前方から軸受に向って飛来する泥水及び小石は、トーショナルダンパに接触するため、軸受に泥水及び小石が直撃し難い。よって、軸受の耐久性が向上する。
また、軸方向の一端部から複数の弾性体に向って飛来する泥水及び小石は、フランジに接触するため、複数の弾性体に泥水及び小石が直撃し難い。よって、弾性体の耐久性が向上する。また、弾性体とハブ及び質量体との接着部分の耐久性も向上する。
また、軸方向の一端部から複数の弾性体に向って飛来する泥水及び小石は、フランジ及び外壁部に接触するため、複数の弾性体に泥水及び小石が直撃し難い。よって、弾性体の耐久性が向上する。また、弾性体とハブ及び質量体との接着部分の耐久性も向上する。
さらに、推進軸の回転時、トーショナルダンパの質量体が偏心する可能性があるところ、推進軸が高速回転となり質量体の偏心が大きくなった場合、質量体が外壁部に接触し、質量体の大きな偏心が抑制される。
また、軸方向の一端部から複数の弾性体に向って飛来する泥水及び小石は、カバーに接触するため、複数の弾性体に泥水及び小石が直撃し難い。よって、弾性体の耐久性が向上する。また、弾性体とハブ及び質量体との接着部分の耐久性も向上する。
さらに、推進軸の回転時、トーショナルダンパの質量体が偏心する可能性があるところ、推進軸が高速回転となり質量体の偏心が大きくなった場合、質量体がカバーの外壁に接触し、質量体の大きな偏心が抑制される。
推進軸100は、例えばFF(Front-engine Front-drive)ベースの四輪駆動車に搭載される。推進軸100は、フロアパネル(不図示)の下方に配置され、車両前後方向に延在し、車体前部の変速装置(不図示)からの動力を車体後部の終減速装置(不図示)に伝達する部品である。
なお、本発明の自在継手3は、等速ジョイントに限定されず、第5実施形態で説明するようにカルダンジョイントを用いてもよい。また、本発明において等速ジョイントを用いる場合、トリポード型等速ジョイント4に限定されず、ダブルオフセット型やバーフィールド型等であってもよい。
アウタケース5の後端部には、アウタケース5から後方に延出する円筒状のアダプタ8と、アダプタ8の後開口部を封止するためのブーツ9とが設けられている。このため、アウタケース5内に泥水や塵等が浸入しない。
スタブシャフト10の前部にはスプライン嵌合部10aが形成されており、スタブシャフト10の前部がインナ部材7とスプライン嵌合している
スタブシャフト10の前後方向の中間部には、中間軸受体20の軸受21が外嵌されており、その軸受21の前方にはトーショナルダンパ30のハブ31が外嵌されている。
外環22bの外径は、R1に形成されている。よって、外環22bが内嵌される円環部23の内径はR1となっている。
外環22bの前端には、径方向外側に延出する鍔部22dが形成されている。この鍔部22dは円環部23の前端面に当接し、円環部23に対する防振部材22の前後方向の位置決めを行っている。
ブラケット24は、円環部23の下側の外周面に沿って延在し、円環部23を支持する略C字状の支持部24aと、支持部24aの両端から左右方向外側に延出し車体に取り付けられる脚部24b、24bとを備える。支持部24aと脚部24b,24bとが金属材料により一体形成されている。また、支持部24aは、溶接により円環部23と接合している。
支持部24aと脚部24b、24bとの境界部には、特に図示しないが切り欠きが設けられている。よって、車両が衝突し所定量の荷重が支持部24a又は円環部23に作用した場合、支持部24aと脚部24b、24bとの境界部が破断し、支持部24a及び円環部23が車体から離脱する。
このトーショナルダンパ30によれば、例えば原動機のトルク変動が要因となって推進軸100の回転方向に振動が生じた場合、補助的な質量体33を弾性体32を介して付加することにより推進軸100の固有振動数周辺での共振現象が抑制される。
ハブ31の前端面には、スタブシャフト10の外周側に係合したスナップリング17が当接しており、トーショナルダンパ30が前方に移動しないように規制されている。なお、本発明において、スナップリング17の代わりにナット等を用いてもよい。
このようなハブ31によれば、ストッパピースを別途設ける場合よりも部品点数が低減する。また、ハブ31とストッパピースとを軸方向に並んで設ける場合よりもスタブシャフト10の軸方向の長さが短縮する。
そのほか、軸受当接部31aには、環状のダストカバー16が外嵌されている。これによれば、軸受当接部31aと内環22aとの隙間が狭小となり、前シール部材12に泥水や塵等が浸入し難くなる。
さらに、質量体33の外径R3は、ブラケットの支持部の外径R4よりも大径に形成されている。よって、大径部34の後面34aは、円環部23及び支持部24aに前後方向に対向している。
よって、トーショナルダンパ30は推進軸100とともに後方に移動し、大径部34の後面34aが円環部23及び支持部24aに当接し、衝突時の荷重が円環部23及び支持部24aに伝達する。
そして、円環部23及び支持部24aに伝達(作用)する荷重が所定値以上の場合、支持部24aと脚部24b,24bとの境界部が破断し、中間軸受体20による推進軸100の支持が解除され、エンジン等の後退が可能となる。
さらに、軸受21の前方から軸受21に向って飛来する泥水及び小石は、トーショナルダンパ30に接触するため、軸受21に泥水及び小石が直撃し難い。よって、軸受21の耐久性が向上する。
例えば、第1実施形態の大径部34の外径R3は、ブラケット24の支持部24aの外径R4よりも大径に形成されているが、本発明はこれに限定されない。
つまり、本発明の大径部34の外径R3は、少なくても防振部材22の外環22bの外径R1よりも大径に形成されていれば、ブラケット24の支持部24aの外径R4よりも小径に形成されてもよい。
このような構成の場合、衝突により推進軸100と共にトーショナルダンパ30が後方に移動したとき、大径部34が円環部23のみに当接する。そして、円環部23に作用した衝突荷重は、円環部23に接合する支持部24aに伝達し、支持部24aと脚部24b,24bとの境界部を破断させることができるからである。
図4に示すように、第2実施形態の推進軸100Aは、トリポード型等速ジョイント4のスタブシャフト10を回転自在に支持する中間軸受体20と、中間軸受体20の前側に配置されたストッパピース25と、中間軸受体20の前方に配置されたトーショナルダンパ30Aと、を備える。なお、中間軸受体20は、第1実施形態において説明したため説明を省略する。
ストッパピース25の前部25aは、ストッパピース25の後部25bよりも大径に形成され、トーショナルダンパ30Aのハブ31Aが外嵌される部位となっている。つまり、本実施形態のストッパピース25によれば、トーショナルダンパ30Aをストッパピース25の外周側に配置でき、トーショナルダンパ30Aとストッパピース25とを軸方向に並んで設ける場合よりもスタブシャフト10の軸方向の長さを短縮化できる。
また、ストッパピース25の後部25bは、軸受21の内輪の前端面に当接しており、軸受21が前方に移動しないように規制されている。
ハブ31Aは、ストッパピース25の前部25aに外嵌めされた円筒状の内筒部35と、内筒部35の後端から径方向内側に張り出す係止部36と、内筒部35の前端から径方向外側に張り出す環状のフランジ37と、を備える。
よって、第1実施形態の変形例として、ハブ31の前端に径方向外側に張り出すフランジを形成することが好ましい。この変形例によれば、弾性体32が破断した場合、ハブ31のフランジが質量体33の前面を当接して質量体33を後方へ押圧する。つまり、質量体33が推進軸100とともに後方へ移動するため、大径部34(質量体33)から円環部23等に荷重が確実に伝達するようになる。
図5に示すように、第3実施形態の推進軸100Bのトーショナルダンパ30Bは、ハブ31Aに代えてハブ31Bを備えている点において、第2実施形態のトーショナルダンパ30Aと異なる。以下、相違点に絞って説明する。
図6に示すように、第4実施形態の推進軸100Cのトーショナルダンパ30Cは、ハブ31と、ハブ31の外周側に接着された複数の弾性体32と、弾性体32の外周側に接着された筒状の質量体33Aと、質量体33Aの前側(軸方向の一端側)と質量体33Aの外周側を覆うカバー50と、を備えている。
なお、質量体33Aの外径R6は、第2実施形態で説明したように、防振部材22の外環22bの外径R1よりも小径に形成されている。
フランジ52は、泥水及び小石が複数の弾性体32に直撃することを防止するための壁部である。これにより、複数の弾性体32の耐久性が向上する。また、弾性体32とハブ31及び質量体33との接着部分の耐久性も向上する。
図7に示すように、第5実施形態の推進軸100Dは、前後に分割された第1パイプ材1,第2パイプ材(第2パイプ材は不図示)をカルダンジョイント60(自在継手3)により接続してなる部品である。
また、推進軸100Dは、カルダンジョイント60の軸部材61を回転自在に支持する中間軸受体20と、中間軸受体20の前方に配置されたトーショナルダンパ30Dと、を備える。
軸部材61の前端は、第1パイプ材1の後端に溶接され、軸部材61と第1パイプ材1とが一体になっている。
軸部材61の後部にはスプライン嵌合部61aが形成されており、軸部材61の後部がヨーク部材62とスプライン嵌合している。
軸部材61の後端面には、後方に突出して外周面にねじ溝が形成された雄ねじ部61bが形成されている。この雄ねじ部61bにロックナット63が螺合し、ヨーク部材62が軸部材61から脱落しないようになっている。
ヨーク部材62は、軸部材61の後部にスプライン嵌合する基部62aと、基部62aの後面から二股に分かれて十字軸(不図示)を保持する一対の保持部(図において一方の保持部のみ図示)62bと、を備える。
なお、質量体33Aの外径R6は、第2実施形態で説明したように、防振部材22の外環22bの外径R1よりも小径に形成されている。
係止部40は、軸部材61に形成された段差面61cに当接し、前方への移動が規制されている。
筒部41の外周面には、複数の弾性体32が接着している。
なお、筒部41の内径は、第1パイプ材1と軸部材61との外径よりも大径に形成されている。このため、筒部41の内周面が第1パイプ材1と軸部材61との溶接部61dと干渉しないようになっている。
このフランジ42によれば、複数の弾性体32に向って前方から飛来する泥水及び小石は、フランジ37に接触するため、複数の弾性体32に泥水及び小石が直撃し難い。よって、複数の弾性体32の耐久性が向上する。さらには、弾性体32とハブ31A及び質量体33Aとの接着部分の耐久性も向上する。
1 第1パイプ材
2 第2パイプ材
3 自在継手
4 トリポード型等速ジョイント
10 スタブシャフト(軸部材)
10a スプライン嵌合部
20 中間軸受体
22 防振部材
22b 外環
23 円環部
24 ブラケット
24a 支持部
30,30A,30B,30C,30D トーショナルダンパ
31,31A,31B,31D ハブ
32 弾性体
33,33A 質量体
34,34A,34B,34C,34D 大径部
37 フランジ
38 外筒部
42 フランジ
50 カバー
53 外壁部
60 カルダンジョイント
61 軸部材
61a スプライン嵌合部
62 ヨーク部材
63 ロックナット
Claims (8)
- 前後に分割された複数のパイプ材を自在継手により接続してなる車両用推進軸であって、
前記自在継手の軸部材を回転自在に支持する中間軸受体と、
前記中間軸受体の前方に配置されたトーショナルダンパと、を備え、
前記中間軸受体は、
前記軸部材に外嵌された軸受と、
前記軸受に外嵌された防振部材と、
前記防振部材の外環が内嵌される円環部と、
前記円環部と接合し、左右に指向する脚部を有するブラケットと、を備え、
前記トーショナルダンパは、前記外環の外径よりも大径に形成された大径部を備えていることを特徴とする車両用推進軸。 - 前記トーショナルダンパは、
前記軸部材と一体に回転するハブと、
前記ハブの外周側に接着された複数の弾性体と、
前記弾性体の外周側に接着された筒状の質量体と、を備え、
前記質量体の外周部が前記大径部を構成していることを特徴とする請求項1に記載の車両用推進軸。 - 前記ハブの外周部が前記大径部を構成していることを特徴とする請求項2に記載の車両用推進軸。
- 前記ハブは、前記複数の弾性体が接着する筒状の内筒部と、前記内筒部の軸方向の一端部から径方向外側に張り出す環状のフランジと、を備え、
前記フランジは、前記フランジの外周部が前記大径部を構成していることを特徴とする請求項3に記載の車両用推進軸。 - 前記ハブは、前記複数の弾性体が固定される筒状の内筒部と、前記内筒部の軸方向の一端部から径方向外側に張り出すフランジと、前記フランジの外縁から前記軸方向の他端側に延出して前記質量体の外周側を覆う筒状の外筒部と、を備え、
前記外壁部は、前記大径部を構成していることを特徴とする請求項3に記載の車両用推進軸。 - 前記トーショナルダンパは、
前記軸部材と一体に回転するハブと、
前記ハブの外周側に接着された複数の弾性体と、
前記弾性体の外周側に接着された筒状の質量体と、
前記質量体の軸方向の一端側と前記質量体の外周側を覆うカバーと、を備え、
前記カバーにおいて前記質量体の外周側を覆う外壁部が前記大径部を構成していることを特徴とする請求項1に記載の車両用推進軸。 - 前記軸部材は、後端が前記パイプ材に接合され、前部にスプライン嵌合部が形成され、
前記軸部材の中間部には、前記軸受が嵌合するとともに前記軸受の前方に前記トーショナルダンパが配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用推進軸。 - 前記軸部材は、前端が前記パイプ材に接合され、後部にスプライン嵌合部が形成され、
前記軸部材の中間部には、前記軸受が嵌合するとともに前記軸受の前方に前記トーショナルダンパが配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用推進軸。
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