JP2019108032A - 車両の制御装置 - Google Patents

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達也 今村
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Takahiro Oshiumi
恭弘 鴛海
青木 一真
Kazuma Aoki
一真 青木
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Yukari Okamura
由香里 岡村
隆人 遠藤
Takahito Endo
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Abstract

【課題】走行モードを切り替える際に、駆動トルクの変動を抑制しつつ安定した変速が可能な車両の制御装置を提供する。【解決手段】回転数比が第1所定値となる第1EV走行モードと、前記回転数比が第1所定値より小さい第2所定値となる第2EV走行モードとのいずれか一方のEV走行モードから他方のEV走行モードに切り替える際に、第1係合機構CL1と第2係合機構CL2とのうち一方の係合機構を解放し、かつ回転機6を制御して回転数比が他方のEV走行モードにおける目標回転数比に到達する前に、第1係合機構CL1と第2係合機構CL2とのうち他方の係合機構の係合を開始する(ステップS2,3)。【選択図】図15

Description

この発明は、複数の係合機構を備え、それら係合機構を選択的に係合することにより、複数の走行モードを設定することができる車両の制御装置に関するものである。
特許文献1には、エンジンが連結された第1キャリヤと、モータが連結された第1サンギヤと、第1リングギヤとにより構成された第1差動機構と、第1リングギヤと一体に回転する第2キャリヤと、第2サンギヤと、出力部材である第2リングギヤとにより構成された第2差動機構とを備え、第1キャリヤと第2サンギヤとを選択的に係合できる第1クラッチ機構と、第2サンギヤと第2リングギヤとを選択的に係合できる第2クラッチ機構と、第1キャリヤに制動トルクを作用させることができるブレーキ機構とを備えたハイブリッド車両が記載されている。そして、特許文献1には、ブレーキ機構を係合するとともに、第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とのいずれか一方を係合することにより、エンジンを停止した状態で、モータから第2リングギヤに駆動トルクを伝達して走行するEV走行モードを設定できることが記載されている。
特開2017−007437号公報
特許文献1に記載されたハイブリッド車両によるEV走行モードは、複数の走行モードの設定が可能であって、例えば第1クラッチ機構を係合したEV走行モードの方が、第2クラッチ機構を係合したEV走行モードよりも、第1サンギヤ(モータ)の回転数に対する第2リングギヤ(出力部材)の回転数の比率が大きくなる。言い換えると、同一の車速で走行している場合には、第2クラッチ機構を係合したEV走行モードの方が、第1クラッチ機構を係合したEV走行モードよりも、モータの回転数が高回転数になる。すなわち、第2クラッチ機構を係合したEV走行モードの方が、第1クラッチ機構を係合したEV走行モードよりも、高減速比となる。
このようなEV走行モードでの走行モードの切り替えは、第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とのうち一方のクラッチ機構を解放し、他方のクラッチ機構を係合させる。また、ブレーキ機構が反力要素として機能するから、反力トルクが出力軸に作用する。そのような場合、例えば特許文献1のブレーキ機構がワンウェイクラッチの場合には、そのワンウェイクラッチが反力要素として機能し、走行モードを切り替えて第1クラッチ機構もしくは第2クラッチ機構を係合させる際に、そのワンウェイクラッチも係合し、反力トルクが出力軸に作用する。つまり、ワンウェイクラッチが係合した際に駆動トルクの変動(あるいは変化)、ならびに、ショックが発生するおそれがあり、ひいては安定した変速を行えないおそれがある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、走行モードを切り替える際に、駆動トルクの変動を抑制しつつ安定した変速が可能な車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、回転機と、駆動力源の所定方向への回転を禁止するワンウェイクラッチと、第1係合機構と、第2係合機構とを備え、前記ワンウェイクラッチと前記第1係合機構とを係合することにより設定され、かつ前記回転機から駆動トルクを出力して走行する際における駆動輪の回転数に対する前記回転機の回転数である回転数比が第1所定値となる第1EV走行モードと、前記ワンウェイクラッチと前記第2係合機構とを係合することにより設定され、かつ前記第1所定値より前記回転数比が小さい第2所定値となる第2EV走行モードとを設定可能であって、前記ワンウェイクラッチは、前記回転数比が第1所定値以上の場合に、もしくは、前記第2所定値以下の場合に係合するように構成された車両の制御装置において、前記回転機および前記第1係合機構ならびに前記第2係合機構を制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記第1EV走行モードと前記第2EV走行モードとのいずれか一方のEV走行モードから他方のEV走行モードに切り替える際に、前記第1係合機構と前記第2係合機構とのうちの一方の係合機構を解放し、かつ前記回転機を制御して前記回転数比が前記他方のEV走行モードにおける目標回転数比に到達する前に、前記第1係合機構と前記第2係合機構とのうちの他方の係合機構の係合を開始することを特徴とするものである。
この発明によれば、駆動輪の回転数に対する回転機の回転数である回転数比が第1所定値となる第1EV走行モードと、前記回転数比が第1所定値より小さい第2所定値となる第2EV走行モードとのいずれか一方のEV走行モードから他方のEV走行モードに走行モードを切り替える際に、その他方のEV走行モード(すなわち切り替え先の走行モード)における目標回転数比に到達する前に、回転機を制御して係合すべき係合機構(第1係合機構もしくは第2係合機構)の係合を開始するように構成されている。そのため、回転数比が、切り替え先の走行モードの回転数比に到達した際には、係合機構の係合が開始されているから、上述したワンウェイクラッチが係合した際に、上述した反力トルクが出力軸に作用して駆動トルクが変動することを抑制できる。また、併せて係合時のショックを抑制できるとともに、安定した変速が可能となる。
第1駆動装置の一例を説明するためのスケルトン図である。 第2駆動装置の一例を説明するためのスケルトン図である。 電子制御装置(ECU)の構成を説明するためのブロック図である。 各走行モードでのクラッチ機構、ブレーキ機構の係合および解放の状態、モータの運転状態、エンジンの駆動の有無をまとめて示す図表である。 HV-Hiモードでの動作状態を説明するための共線図である。 HV-Loモードでの動作状態を説明するための共線図である。 直結モードでの動作状態を説明するための共線図である。 EV-Loモードでの動作状態を説明するための共線図である。 EV-Hiモードでの動作状態を説明するための共線図である。 シングルモードでの動作状態を説明するための共線図である。 CSモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示す図である。 CDモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示す図である。 ノーマルステイ型のクラッチ機構の構成の一例を説明するための模式図である。 ノーマルステイ型のクラッチ機構の構成の他の例を説明するための模式図である。 この発明の実施形態における制御例を説明するフローチャートである。 図15に示す制御例を実行した場合における走行モードの制御状態、第1モータの回転数、第1モータのトルク、第2モータのトルク、出力軸トルク、ならびに、回転数比の変化を説明するためのタイムチャートである。
この発明の実施形態における車両の一例を図1および図2を参照して説明する。図1は、前輪1R,1Lを駆動するための第1駆動装置2を示し、図2は、後輪3R,3Lを駆動するための第2駆動装置4を示している。第1駆動装置2は、エンジン5と二つのモータ6,7とを駆動力源として備えたいわゆる2モータタイプの駆動装置であって、第1モータ6は発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MG1)によって構成され、エンジン5の回転数を第1モータ6によって制御するとともに、第1モータ6で発電された電力により第2モータ7を駆動し、その第2モータ7が出力する駆動力を走行のための駆動力に加えるように構成されている。なお、第2モータ7は発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MG2)によって構成することができる。なお、第1モータ6が、この発明の実施形態における「回転機」に相当する。
エンジン5には、この発明の実施形態における差動機構に相当する動力分割機構8が連結されている。この動力分割機構8は、エンジン5から出力されたトルクを第1モータ6側と出力側とに分割する機能を主とする分割部9と、そのトルクの分割率を変更する機能を主とする変速部10とにより構成されている。
分割部9は、三つの回転要素によって差動作用を行う構成であればよく、遊星歯車機構を採用することができる。図1に示す例では、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。図1に示す分割部9は、サンギヤ11と、サンギヤ11に対して同心円上に配置された、内歯歯車であるリングギヤ12と、これらサンギヤ11とリングギヤ12との間に配置されてサンギヤ11とリングギヤ12とに噛み合っているピニオンギヤ13と、ピニオンギヤ13を自転および公転可能に保持するキャリヤ14とにより構成されている。そのサンギヤ11が主に反力要素として機能し、リングギヤ12が主に出力要素として機能し、キャリヤ14が主に入力要素として機能する。
エンジン5が出力した動力が前記キャリヤ14に入力されるように構成されている。具体的には、エンジン5の出力軸15に、動力分割機構8の入力軸16が連結され、その入力軸16がキャリヤ14に連結されている。なお、キャリヤ14と入力軸16とを直接連結する構成に替えて、歯車機構などの伝動機構を介してキャリヤ14と入力軸16とを連結してもよい。また、その出力軸15と入力軸16との間にダンパ機構やトルクコンバータなどの機構を配置してもよい。
サンギヤ11に第1モータ6が連結されている。図1に示す例では、分割部9および第1モータ6は、エンジン5の回転中心軸線と同一の軸線上に配置され、第1モータ6は分割部9を挟んでエンジン5とは反対側に配置されている。この分割部9とエンジン5との間で、これら分割部9およびエンジン5と同一の軸線上に、その軸線の方向に並んで変速部10が配置されている。
変速部10は、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されており、サンギヤ17と、サンギヤ17に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ18と、これらサンギヤ17とリングギヤ18との間に配置されてこれらサンギヤ17およびリングギヤ18に噛み合っているピニオンギヤ19と、ピニオンギヤ19を自転および公転可能に保持しているキャリヤ20とを有し、サンギヤ17、リングギヤ18、およびキャリヤ20の三つの回転要素によって差動作用を行う差動機構である。この変速部10におけるサンギヤ17に分割部9におけるリングギヤ12が連結されている。また、変速部10におけるリングギヤ18に、出力ギヤ21が連結されている。
上記の分割部9と変速部10とが複合遊星歯車機構を構成するように第1クラッチ機構(第1係合機構)CL1が設けられている。第1クラッチ機構CL1は、変速部10におけるキャリヤ20を、分割部9におけるキャリヤ14に選択的に連結するように構成されている。具体的には、入力軸16に回転盤14aが設けられ、その回転盤14aと変速部10におけるキャリヤ20とを係合するように第1クラッチ機構CL1が設けられている。この第1クラッチ機構CL1は、湿式多板クラッチなどの摩擦式のクラッチ機構であってもよく、あるいはドグクラッチなどの噛み合い式のクラッチ機構であってもよい。この第1クラッチ機構CL1を係合させることにより分割部9におけるキャリヤ14と変速部10におけるキャリヤ20とが連結されてこれらが入力要素となり、また分割部9におけるサンギヤ11が反力要素となり、さらに変速部10におけるリングギヤ18が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。すなわち、入力軸16と第1モータ6の出力軸6aと、後述するドリブンギヤ23とが差動回転できるように複合遊星歯車機構が構成されている。
さらに、変速部10の全体を一体化させるための第2クラッチ機構(第2係合機構)CL2が設けられている。この第2クラッチ機構CL2は、変速部10におけるキャリヤ20とリングギヤ18もしくはサンギヤ17、あるいはサンギヤ17とリングギヤ18とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結するためのものであって、摩擦式あるいは噛み合い式のクラッチ機構によって構成することができる。図1に示す例では、第2クラッチ機構CL2は、変速部10におけるキャリヤ20とリングギヤ18とを連結するように構成されている。具体的には、キャリヤ20と一体に回転する回転盤20aが設けられ、その回転盤20aと変速部10におけるリングギヤ18とを係合するように第2クラッチ機構CL2が設けられている。
そして、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2は、エンジン5および分割部9ならびに変速部10と同一の軸線上に配置され、かつ変速部10を挟んで分割部9とは反対側に配置されている。なお、各クラッチ機構CL1,CL2同士は、図1に示すように、半径方向で内周側と外周側とに並んだ状態に配置されていてもよく、あるいは軸線方向に並んで配置されていてもよい。図1に示すように半径方向に並べて配置した場合には、第1駆動装置2の全体としての軸長を短くすることができる。また、軸線方向に並べて配置した場合には、各クラッチ機構CL1,CL2の外径の制約が少なくなるので、摩擦式のクラッチ機構を採用した場合には、摩擦板の枚数を少なくすることができる。
上記のエンジン5や分割部9あるいは変速部10の回転中心軸線と平行にカウンタシャフト22が配置されている。前記出力ギヤ21に噛み合っているドリブンギヤ23がこのカウンタシャフト22に取り付けられている。また、カウンタシャフト22にはドライブギヤ24が取り付けられており、このドライブギヤ24が終減速機であるデファレンシャルギヤユニット25におけるリングギヤ26に噛み合っている。さらに、前記ドリブンギヤ23には、第2モータ7におけるロータシャフト27に取り付けられたドライブギヤ28が噛み合っている。したがって、前記出力ギヤ21から出力された動力もしくはトルクに、第2モータ7が出力した動力もしくはトルクを、上記のドリブンギヤ23の部分で加えるように構成されている。このようにして合成された動力もしくはトルクをデファレンシャルギヤユニット25から左右のドライブシャフト29に出力し、その動力やトルクが前輪1R,1Lに伝達されるように構成されている。
さらに、第1駆動装置2は、第1モータ6から出力された駆動トルクを、前輪1R,1Lに伝達することができるように、出力軸15または入力軸16を選択的に固定可能に構成された第1ブレーキ機構B1が設けられている。この第1ブレーキ機構B1は、図1に示す例では、出力軸15や入力軸16が、エンジン5の駆動時に回転する方向とは逆方向に回転することを禁止するワンウェイクラッチである。すなわち、第1ブレーキ機構B1により出力軸15または入力軸16を固定することで、分割部9におけるキャリヤ14や、変速部10におけるキャリヤ20を反力要素として機能させ、分割部9におけるサンギヤ11を入力要素として機能させることができるように構成されている。なお、これ以降の説明では、第1ブレーキ機構B1を所定方向(図1の例ではエンジン5の回転方向とは逆方向)への回転を禁止するワンウェイクラッチとして説明する。
第2駆動装置4は、リアモータ30の動力もしくはトルクを後輪3R,3Lに伝達するように構成されている。なお、便宜上、左側の後輪3Lは図示していない。このリアモータ30は、第1モータ6および第2モータ7と同様に、発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MGR)によって構成されている。リアモータ30には、リアモータ30のトルクを増幅する減速段と、リアモータ30のトルクを変化させずにそのまま出力する固定段とを選択的に切り替えることができるように構成された変速機構31が連結されている。
図2に示す変速機構31は、サンギヤ32と、サンギヤ32に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ33と、これらサンギヤ32とリングギヤ33との間に配置されてサンギヤ32とリングギヤ33とに噛み合うピニオンギヤ34と、ピニオンギヤ34を自転および公転可能に保持しているキャリヤ35とを有する、シングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。
変速機構31のサンギヤ32は、リアモータ30に連結されており、入力要素として機能する。キャリヤ35は、出力軸36に連結されており、反力要素として機能する。そして、変速機構31を固定段として機能させるための第3クラッチ機構CL3が設けられている。この第3クラッチ機構CL3は、変速機構31におけるサンギヤ32とリングギヤ33もしくはキャリヤ35、あるいはリングギヤ33とキャリヤ35とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結するためのものであって、摩擦式あるいは噛み合い式のクラッチ機構によって構成することができる。図2に示す例では、第3クラッチ機構CL3は、変速機構31におけるリングギヤ33とキャリヤ35とを連結するように構成されている。
さらに、変速機構31を減速段として機能させるための第2ブレーキ機構B2が設けられている。この第2ブレーキ機構B2は、変速機構31におけるリングギヤ33を選択的に固定するように構成された、摩擦式あるいは噛み合い式の係合機構によって構成することができる。図2に示す第2ブレーキ機構B2は、第2駆動装置4を収容するケースなどの固定部Cとリングギヤ33とを係合することにより、リングギヤ33を固定するように構成されている。このように第2ブレーキ機構B2によりリングギヤ33が固定されることでリングギヤ33が反力要素として機能する。なお、第2ブレーキ機構B2は、リングギヤ33を完全に固定するものに限らない。
変速機構31の出力軸36には、ドライブギヤ37が取り付けられている。出力軸36と平行にカウンタシャフト38が配置されており、そのカウンタシャフト38の一方の端部に、ドライブギヤ37と噛み合うドリブンギヤ39が取り付けられている。このドリブンギヤ39は、ドライブギヤ37よりも大径に形成されており、変速機構31の出力トルクを増幅するように構成されている。カウンタシャフト38の他方の端部には、ドライブギヤ40が取り付けられており、このドライブギヤ40が終減速機であるデファレンシャルギヤユニット41におけるリングギヤ42に噛み合っている。デファレンシャルギヤユニット41には、ドライブシャフト43が連結されており、そのドライブシャフト43を介して後輪3R,3Lに、リアモータ30から出力された動力が伝達されるように構成されている。
第1モータ6にインバータやコンバータなどを備えた第1電力制御装置44が連結され、第2モータ7にインバータやコンバータなどを備えた第2電力制御装置45が連結され、リアモータ30にインバータやコンバータなどを備えた第3電力制御装置46が連結され、それらの各電力制御装置44,45,46が、リチウムイオン電池やキャパシタなどから構成された蓄電装置47に連結されている。また、上記第1電力制御装置44と第2電力制御装置45および第3電力制御装置46とが相互に電力を供給できるように構成されている。具体的には、第1モータ6が反力トルクを出力することに伴って発電機として機能する場合には、第1モータ6で発電された電力を蓄電装置47を介することなく、第2モータ7やリアモータ30に電力を供給することができるように構成されている。
上記の各電力制御装置44,45,46におけるインバータやコンバータ、エンジン5、各クラッチ機構CL1,CL2,CL3、および各ブレーキ機構B1,B2を制御するための電子制御装置(ECU)48が設けられている。このECU48は、この発明の実施形態における「コントローラ」に相当するものであり、マイクロコンピュータを主体にして構成されている。図3は、ECU48の構成の一例を説明するためのブロック図である。図3に示す例では、統合ECU49、MG-ECU50、エンジンECU51、およびクラッチECU52によりECU48が構成されている。
統合ECU49は、車両に搭載された種々のセンサからデータが入力され、その入力されたデータと、予め記憶されているマップや演算式などとに基づいて、MG-ECU50、エンジンECU51、およびクラッチECU52に指令信号を出力するように構成されている。統合ECU49に入力されるデータの一例を図3に示してあり、車速、アクセル開度、第1モータ(MG1)6の回転数、第2モータ(MG2)7の回転数、リアモータ(MGR)30の回転数、エンジン5の出力軸15の回転数(エンジン回転数)、変速部10におけるカウンタシャフト22の回転数である出力回転数、各クラッチ機構CL1,CL2,CL3や各ブレーキ機構B1,B2に設けられたピストンのストローク量、蓄電装置47の温度、各電力制御装置44,45,46の温度、第1モータ6の温度、第2モータ7の温度、リアモータ30の温度、分割部9や変速部10あるいは変速機構31などを潤滑するオイル(ATF)の温度、蓄電装置47の充電残量(SOC)などのデータが、統合ECU49に入力される。
そして、統合ECU49に入力されたデータなどに基づいて第1モータ6の運転状態(出力トルクや回転数)、第2モータ7の運転状態(出力トルクや回転数)、リアモータ30の運転状態(出力トルクや回転数)を求めて、それらの求められたデータを指令信号としてMG-ECU50に出力する。同様に、統合ECU49に入力されたデータなどに基づいてエンジン5の運転状態(出力トルクや回転数)を求めて、その求められたデータを指令信号としてエンジンECU51に出力する。さらに、統合ECU49に入力されたデータなどに基づいて各クラッチ機構CL1,CL2,CL3、および各ブレーキ機構B1,B2の伝達トルク容量(「0」を含む)を求めて、それらの求められたデータを指令信号としてクラッチECU52に出力する。
MG-ECU50は、上記のように統合ECU49から入力されたデータに基づいて各モータ6,7,30に通電するべき電流値を求めて、各モータ6,7,30に指令信号を出力する。各モータ6,7,30は、交流式のモータであるから、上記の指令信号は、インバータで生成するべき電流の周波数や、コンバータで昇圧するべき電圧値などが含まれる。
エンジンECU51は、上記のように統合ECU49から入力されたデータに基づいて電子スロットルバルブの開度を定めるための電流、点火装置で燃料を着火するための電流、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブの開度を定めるための電流、吸気バルブや排気バルブの開度を定めるための電流値などを求め、それぞれのバルブや装置に指令信号を出力する。すなわち、エンジン5の出力(パワー)や、エンジン5の出力トルク、もしくはエンジン回転数を制御するための指示信号を、エンジンECU51から出力する。
クラッチECU52は、上記のように統合ECU49から入力されたデータに基づいて各クラッチ機構CL1,CL2,CL3、および各ブレーキ機構B1,B2の係合圧を定めるアクチュエータに通電するべき電流値を求めて、それぞれのアクチュエータに指令信号を出力する。
上記の第1駆動装置2は、エンジン5から駆動トルクを出力して走行するHV走行モードと、エンジン5から駆動トルクを出力することなく、第1モータ6や第2モータ7から駆動トルクを出力して走行するEV走行モードとを設定することが可能である。さらに、HV走行モードは、第1モータ6を低回転数で回転させた場合(「0」回転を含む)に、変速部10におけるリングギヤ18の回転数よりもエンジン5(または入力軸16)の回転数が高回転数となるHV-Loモードと、変速部10におけるリングギヤ18の回転数よりもエンジン5(または入力軸16)の回転数が低回転数となるHV-Hiモードと、変速部10におけるリングギヤ18の回転数とエンジン5(または入力軸16)の回転数が同一である直結モードとを設定することが可能である。
またさらに、EV走行モードは、第1モータ6および第2モータ7から駆動トルクを出力するデュアルモードと、第1モータ6から駆動トルクを出力せずに第2モータ7のみから駆動トルクを出力するシングルモードとを設定することが可能である。更にデュアルモードは、第1モータ6から出力されたトルクの増幅率が比較的大きいEV-Loモードと、第1モータ6から出力されたトルクの増幅率が比較的小さいEV-Hiモードとを設定することが可能である。なお、シングルモードでは、第1クラッチ機構CL1を係合した状態で第2モータ7のみから駆動トルクを出力して走行することや、第2クラッチ機構CL2を係合した状態で第2モータ7のみから駆動トルクを出力して走行すること、あるいは各クラッチ機構CL1,CL2を解放した状態で第2モータ7のみから駆動トルクを出力して走行することが可能である。
それらの各走行モードは、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、第1ブレーキ機構B1、およびエンジン5、各モータ6,7を制御することにより設定される。図4に、これらの走行モードと、各走行モード毎における、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、第1ブレーキ機構B1の係合および解放の状態、第1モータ6および第2モータ7の運転状態、エンジン5からの駆動トルクの出力の有無の一例を図表として示してある。図中における「●」のシンボルは係合している状態を示し、「−」のシンボルは解放している状態を示し、「G」のシンボルは主にジェネレータとして運転することを意味し、「M」のシンボルは主にモータとして運転することを意味し、空欄はモータおよびジェネレータとして機能していない、または第1モータ6や第2モータ7が駆動のために関与していない状態を意味し、「ON」はエンジン5から駆動トルクを出力している状態を示し、「OFF」はエンジン5から駆動トルクを出力していない状態を示している。
各走行モードを設定した場合における動力分割機構8の各回転要素の回転数、およびエンジン5、各モータ6,7のトルクの向きを説明するための共線図を図5ないし図10に示している。共線図は、動力分割機構8における各回転要素を示す直線をギヤ比の間隔をあけて互いに平行に引き、これらの直線に直交する基線からの距離をそれぞれの回転要素の回転数とした示す図であり、それぞれの回転要素を示す直線にトルクの向きを矢印で示すとともに、その大きさを矢印の長さで示している。
図5に示すようにHV-Hiモードでは、エンジン5から駆動トルクを出力し、第2クラッチ機構CL2を係合するとともに、第1モータ6から反力トルクを出力する。また、図6に示すようにHV-Loモードでは、エンジン5から駆動トルクを出力し、第1クラッチ機構CL1を係合するとともに、第1モータ6から反力トルクを出力する。上記HV-HiモードやHV-Loモードが設定されている場合の第1モータ6の回転数は、エンジン5の燃費や第1モータ6の駆動効率などを考慮した第1駆動装置2全体としての効率(消費エネルギー量を前輪1R,1Lのエネルギー量で除算した値)が最も良好となるように制御される。上記の第1モータ6の回転数は連続的に変化させることができ、その第1モータ6の回転数と車速とに基づいてエンジン回転数が定まる。したがって、動力分割機構8は、無段変速機として機能できる。
上記のように第1モータ6から反力トルクを出力することにより、第1モータ6が発電機として機能する場合には、エンジン5の動力の一部が第1モータ6により電気エネルギーに変換される。そして、エンジン5の動力から第1モータ6により電気エネルギーに変換された動力分を除いた動力が変速部10におけるリングギヤ18に伝達される。その第1モータ6から出力する反力トルクは、動力分割機構8を介してエンジン5から第1モータ6側に伝達されるトルクの分割率に応じて定められる。この動力分割機構8を介してエンジン5から第1モータ6側に伝達されるトルクと、リングギヤ18側に伝達されるトルクとの比、すなわち動力分割機構8におけるトルクの分割率は、HV-LoモードとHV-Hiモードとで異なる。
具体的には、第1モータ6側に伝達されるトルクを「1」とした場合、HV-Loモードではリングギヤ18側に伝達されるトルクの割合であるトルク分割率は、「1/(ρ1×ρ2)」となり、HV-Hiモードではそのトルク分割率は、「1/ρ1」となる。すなわち、エンジン5から出力されたトルクのうちリングギヤ18に伝達されるトルクの割合は、HV-Loモードでは、「1/(1−(ρ1×ρ2))」となり、HV-Hiモードでは、「1/(ρ1+1)」となる。ここで、「ρ1」は分割部9のギヤ比(リングギヤ12の歯数とサンギヤ11の歯数との比率)であり、「ρ2」は変速部10のギヤ比(リングギヤ18の歯数とサンギヤ17の歯数との比率)である。なお、ρ1およびρ2は、「1」よりも小さい値に設定されている。したがって、HV-Loモードが設定されている場合には、HV-Hiモードが設定されている場合と比較して、リングギヤ18に伝達されるトルクの割合が大きくなる。なお、エンジン5で発生させるトルクによりエンジン5の回転数を増大させている場合には、エンジン5で発生させたトルクからエンジン5の回転数を増大させるために要するトルクを減算したトルクが、エンジン5から出力されるトルクとなる。
そして、第1モータ6により発電された電力が第2モータ7に供給される。その場合、必要に応じて蓄電装置47に充電されている電力も第2モータ7に供給される。なお、第2モータ7とリアモータ30とは、エンジン5から伝達される駆動トルクに、さらに駆動トルクを加算するように機能するものであって、車両全体としての駆動力を制御する上では、第2モータ7とリアモータ30とを同一のものとみなすことができるため、第2モータ7に代えて、または第2モータ7に加えてリアモータ30に電力を供給するように構成してもよい。以下では、加算するための駆動トルクを第2モータ7のみから出力する例を挙げて説明している。
直結モードでは、各クラッチ機構CL1,CL2が係合されることにより、図7に示すように動力分割機構8における各回転要素が同一回転数で回転する。すなわち、エンジン5の動力の全てが動力分割機構8から出力される。言い換えると、エンジン5の動力の一部が、第1モータ6や第2モータ7により電気エネルギーに変換されることがない。したがって、電気エネルギーに変換する際に生じる電気抵抗などを要因とした損失がないため、動力の伝達効率を向上させることができる。
さらに、図8および図9に示すようにEV-LoモードとEV-Hiモードとでは、第1ブレーキ機構B1を係合するとともに各モータ6,7から駆動トルクを出力して走行する。具体的には、図8に示すようにEV-Loモードでは、第1ブレーキ機構B1および第1クラッチ機構CL1を係合するとともに、各モータ6,7から駆動トルクを出力して走行する。すなわち、第1ブレーキ機構B1により、出力軸15またはキャリヤ14が回転することを制限するための反力トルクを作用させる。その場合における第1モータ6の回転方向は、正方向になり、かつ出力トルクの向きは、その回転数を増大させる方向となる。また、図9に示すようにEV-Hiモードでは、第1ブレーキ機構B1および第2クラッチ機構CL2を係合するとともに、各モータ6,7から駆動トルクを出力して走行する。すなわち、第1ブレーキ機構B1により、出力軸15またはキャリヤ14が回転することを制限するための反力トルクを作用させる。その場合における第1モータ6の回転方向は、エンジン5の回転方向(正方向)とは反対方向(負方向)になり、かつ出力トルクの向きは、その回転数を増大させる方向となる。
一方、リングギヤ18の回転数(No)に対する第1モータ6の回転数(Ng)である回転数比(Ng/No)は、EV-Loモードの方がEV-Hiモードよりも大きくなる。すなわち、同一車速で走行している場合には、EV-Loモードを設定する場合の方が、EV-Hiモードを設定する場合よりも第1モータ6の回転数が高回転数になる。つまり、EV-Loモードの方が、EV-Hiモードよりも減速比が大きい。そのため、EV-Loモードを設定することにより大きな駆動力を得ることができる。なお、上記のリングギヤ18の回転数は、出力部材(あるいは出力側)の回転数であって、図1のギヤトレーンでは、便宜上リングギヤ18から駆動輪までの各部材のギヤ比は1とする。また、シングルモードでは、図10に示すように第2モータ7のみから駆動トルクを出力しており、かつ各クラッチ機構CL1,CL2が解放されていることにより、動力分割機構8の各回転要素は停止した状態になる。したがって、エンジン5や第1モータ6を連れ回すことによる動力損失を低減することができる。なお、上記のEV-Loモードが、この発明の実施形態における「第1EV走行モード」に相当し、EV-Hiモードが、この発明の実施形態における「第2EV走行モード」に相当する。また、EV-Loモードを設定した場合における上記の回転数比が、この発明の実施形態における「第1所定値」に相当し、EV-Hiモードを設定した場合における上記回転数比が、この発明の実施形態における「第2所定値」に相当する。そして、この発明の実施形態では、上述したように、第1ブレーキ機構B1はワンウェイクラッチであるから、上記の回転数比が第1所定値以上の場合に、もしくは、第2所定値以下の場合に、そのワンウェイクラッチが係合する。
蓄電装置47の充電残量(SOC)、車速、要求駆動力などに基づいて上記の各走行モードを定めるように構成されている。この実施形態では、蓄電装置47の充電残量を維持するように各走行モードを設定するCS(Charge Sustain)モードと、蓄電装置に充電された電力を積極的に使用するCD(Charge Depleting)モードとを、蓄電装置47の充電残量に応じて選択するように構成されている。具体的には、蓄電装置47の充電残量が低下している場合などに、CSモードを選択し、蓄電装置47の充電残量が比較的多い場合などにCDモードを選択するように構成されている。
図11には、CSモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示している。このマップの横軸は車速を示し、縦軸は要求駆動力を示している。なお、車速は車速センサにより検出されたデータから求めることができ、要求駆動力はアクセル開度センサにより検出されたデータから求めることができる。
図11に示す例では、後進走行している場合には、要求駆動力の大きさに関わらずシングルモードを設定し、また前進走行しており、要求駆動力が比較的小さい場合(減速要求を含む)に、シングルモードを設定するように構成されている。このシングルモードを設定する領域は、第2モータ7やリアモータ30の特性に基づいて定められている。なお、シングルモードを設定する領域にハッチングを付してある。
また、前進走行しており、かつ要求駆動力が比較的大きい場合には、HV走行モードが設定される。なお、HV走行モードは、低車速域から高車速域に亘って駆動力を出力できるため、蓄電装置47の充電残量が下限値近傍となった場合などには、シングルモードが設定されるべき領域であっても、HV走行モードを設定することがある。
さらに、HV走行モードを設定する場合においては、車速と要求駆動力に応じてHV-LoモードやHV-Hiモード、あるいは直結モードのいずれかのモードを選択するように構成されている。具体的には、比較的低車速の場合や要求駆動力が比較的大きい場合に、HV-Loモードが選択され、比較的高車速でかつ要求駆動力が比較的小さい場合に、HV-Hiモードが選択され、車両の運転状態がHV-LoモードとHV-Hiモードとを設定する領域の間の運転点(車速と要求駆動力とに基づいた値)の場合に、直結モードが選択されるように構成されている。
また、上記のHV-Loモード、直結モード、HV-Hiモードは、図11に示す各ラインを運転点が横切ることにより切り替えるように構成されている。具体的には、図11における「Lo←Fix」のラインを運転点が右側から左側に向けて横切った場合や、下側から上側に向けて横切った場合に、直結モードからHV-Loモードに切り替えるように構成され、「Lo→Fix」のラインを運転点が左側から右側に向けて横切った場合や、上側から下側に向けて横切った場合に、HV-Loモードから直結モードに切り替えるように構成されている。同様に、図11における「Fix←Hi」のラインを運転点が右側から左側に向けて横切った場合や、下側から上側に向けて横切った場合に、HV-Hiモードから直結モードに切り替えるように構成され、「Fix→Hi」のラインを運転点が左側から右側に向けて横切った場合や、上側から下側に向けて横切った場合に、直結モードからHV-Hiモードに切り替えるように構成されている。
図12には、CDモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示している。このマップの横軸は車速を示し、縦軸は要求駆動力を示している。なお、車速は車速センサにより検出されたデータから求めることができ、要求駆動力はアクセル開度センサにより検出されたデータから求めることができる。
図12に示す例では、後進走行している場合には、要求駆動力の大きさに関わらずシングルモードを設定し、また前進走行しており、要求駆動力が第1駆動力F1よりも小さい場合(減速要求を含む)に、シングルモードを設定するように構成されている。このシングルモードを設定する領域は、第2モータ7やリアモータ30の特性などに基づいて定められている。なお、シングルモードを設定する領域にハッチングを付してある。
また、前進走行しており、かつ要求駆動力が第1駆動力F1よりも大きい場合には、デュアルモードが設定される。さらに、第1車速V1よりも高車速である場合や、第2車速V2よりも高車速でありかつ要求駆動力が第2駆動力F2よりも大きい場合には、HV走行モードが設定される。なお、HV走行モードは、低車速域から高車速域に亘って駆動力を出力できるため、蓄電装置47の充電残量が下限値近傍となった場合などには、シングルモードやデュアルモードが設定されるべき領域であっても、HV走行モードを設定することがある。
さらに、HV走行モードを設定する場合においては、車速と要求駆動力に応じてHV-LoモードやHV-Hiモード、あるいは直結モードのいずれかの走行モードを選択するように構成されている。具体的には、比較的低車速の場合や要求駆動力が比較的大きい場合に、HV-Loモードが選択され、比較的高車速でかつ要求駆動力が比較的小さい場合に、HV-Hiモードが選択され、車両の走行状態がHV-LoモードとHV-Hiモードとを設定する領域の間の運転点(車速と要求駆動力とに基づいた値)の場合に、直結モードが選択されるように構成されている。
また、上記のHV-Loモード、直結モード、HV-Hiモードは、図12に示す各ラインを運転点が横切ることにより切り替えるように構成されている。具体的には、図12における「Lo⇔Fix」のラインを運転点が横切った場合に、直結モードとHV-Loモードとが相互に切り替えられるように構成されている。同様に、図12における「Fix⇔Hi」のラインを運転点が横切った場合に、HV-Hiモードと直結モードとが相互に切り替えられるように構成されている。
なお、図11や図12に示す走行モードを設定する領域や、HV走行モードを設定する条件下におけるモードの切り替えを行うためのラインは、第1駆動装置2を構成する各部材の温度や、蓄電装置47あるいは電力制御装置44,45,46の温度、もしくは蓄電装置47の充電残量などに応じて変動するように構成してもよい。
上述した第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2が、ノーマルオープン型のクラッチ機構である場合や、ノーマルクローズ型のクラッチ機構である場合、あるいは一方のクラッチ機構CL1(CL2)がノーマルオープン型のクラッチ機構でありかつ他方のクラッチ機構CL2(CL1)がノーマルクローズ型のクラッチ機構である場合には、クラッチ機構を制御するためのアクチュエータの油圧や電力などが意図せずに低下するフェールが生じると、意図しない走行モードの切り替えが生じてエンジン5から前輪1R,1Lに伝達されるトルクの増幅率が変化するなどして、ショックが生じる可能性がある。
なお、ノーマルオープン型のクラッチ機構とは、油圧や電力などの制御量が所定値以上になることによりトルク伝達可能に係合し、制御量が所定値未満になることによりトルクの伝達を遮断するように構成されたクラッチ機構である。言い換えると、係合するための制御信号が入力されることにより解放状態から連結状態に切り替えるとともに、その制御信号が入力されなくなると解放状態に切り替わるように構成されたクラッチ機構である。また、ノーマルクローズ型のクラッチ機構とは、制御量が所定値未満になることによりトルク伝達可能に係合し、制御量が所定値以上になることによりトルクの伝達を遮断するように構成されたクラッチ機構である。言い換えると、解放するための制御信号が入力されることにより連結状態から解放状態に切り替えるとともに、その制御信号が入力されなくなると連結状態に切り替わるように構成されたクラッチ機構である。
上記の意図しない走行モードの切り替えの例を挙げて説明すると、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2がノーマルオープン型のクラッチ機構の場合には、HV-Hiモードを設定している際に第2クラッチ機構CL2を制御するアクチュエータに何らかのフェールが生じて連結状態を維持するために要する制御量を出力できなくなると、第2クラッチ機構CL2が意図せずに解放され、HV-Hiモードからニュートラルに切り替えられる。その結果、駆動力が急激に変化することにより、ショックが生じる可能性がある。
または、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2がノーマルクローズ型のクラッチ機構の場合には、HV-Hiモードを設定している際に第1クラッチ機構CL1を制御するアクチュエータに何らかのフェールが生じて解放状態を維持するために要する制御量を出力できなくなると、第1クラッチ機構CL1が意図せずに係合し、HV-Hiモードから直結モードに切り替えられる。その結果、駆動力が急激に変化することにより、ショックが生じる可能性がある。
すなわち、ノーマルクローズ型のクラッチ機構が解放している場合、あるいはノーマルオープン型のクラッチ機構が係合している場合に、何らかのフェールが生じて現状を維持するために要する制御量を出力できなくなると、意図せずに走行モードが切り替わってショックが生じる可能性がある。
そのため、第1クラッチ機構CL1と第2クラッチ機構CL2との少なくともいずれか一方のクラッチ機構は、いわゆるノーマルステイ型のクラッチ機構により構成されている。なお、ノーマルステイ型のクラッチ機構とは、解放状態から連結状態に切り替えるための係合信号が入力されることにより、それに応じた制御量をアクチュエータから出力して解放状態から前記連結状態に切り替え、かつ連結状態から解放状態に切り替えるための解放信号が入力されることにより、それに応じた制御量をアクチュエータから出力して連結状態から解放状態に切り替えるとともに、連結状態で係合信号および解放信号が入力されなくなった場合にアクチュエータからの出力を停止したとしても連結状態を維持し、かつ解放状態で係合信号および解放信号が入力されなくなった場合にアクチュエータからの出力を停止したとしても解放状態を維持するように構成されたクラッチ機構である。すなわち、制御信号が入力されることにより連結状態と解放状態とを切り替え、かつ制御信号が入力されていない場合に、制御信号が入力されなくなる直前の状態(連結状態または解放状態)を維持するように構成されたクラッチ機構である。したがって、クラッチ機構を制御するためのアクチュエータから制御信号を出力することができないフェールが生じた時点でクラッチ機構が係合している場合には、そのまま連結状態を維持し、その時点でクラッチ機構が解放している場合には、そのまま解放状態を維持するように構成されている。
ノーマルステイ型のクラッチ機構の構成の一例を図13に模式的に示してある。図13に示す例は、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2のいずれも同様に構成することができる。したがって、以下の説明では、クラッチ機構の構成についての説明では、同一の名称および同一の参照符号を付して説明する。図13に示すクラッチ機構CLは、互いに対向する二つの回転部材53,54にそれぞれドグ歯55,56が形成され、そのドグ歯55,56を噛み合わせることによりトルクが伝達されるドグクラッチ(噛み合い係合機構)により構成されている。なお、このクラッチ機構CLを第1クラッチ機構CL1に採用した場合には、一方の回転部材53(54)が回転盤14aに相当し、他方の回転部材54(53)がキャリヤ20に相当する。また、このクラッチ機構CLを第2クラッチ機構CL2に採用した場合には、一方の回転部材53(54)が回転盤20aに相当し、他方の回転部材54(53)がリングギヤ18に相当する。また、このクラッチ機構CLを第1クラッチ機構CL1に採用した場合には、第1クラッチ機構CL1が、この発明の実施形態における「第1係合機構」に相当し、第2クラッチ機構CL2が、この発明の実施形態における「第2係合機構」に相当する。
それらの回転部材53,54のうちの一方の回転部材(以下、第1回転部材と記す)53に他方の回転部材(以下、第2回転部材と記す)54に向けた押圧力、および第2回転部材54から離隔する荷重を作用させるアクチュエータ57が設けられている。図13に示す例では、図示しないモータと、そのモータからトルクが伝達されることにより回動するプレート58と、そのプレート58が回動することにより、第1回転部材53を第2回転部材54に接近または離隔させるロッド59とによりアクチュエータ57が構成されている。
図13に示すプレート58には、モータの出力トルクを伝達するシャフト60が差し込まれる貫通孔61と、プレート58の回転中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に形成されかつロッド59の一方の端部が差し込まれる貫通孔62と、プレート58の回転方向で貫通孔62と離れた位置に形成されかつ回転中心軸側に窪んだ第1凹部63と第2凹部64とが形成されている。
上記貫通孔61は、シャフト60と一体に回転するように、例えば、シャフト60にキーが形成され、そのキーに係合するキー溝が貫通孔61に形成されている。また貫通孔62は、ロッド59の一方の端部と相対回転できるように形成されており、その貫通孔62に差し込まれたロッド59の先端などに図示しない抜け止め部が形成されている。
第1凹部63および第2凹部64は、ケースなどの固定部Cに形成された係合部65に係合することでプレート58の回動を抑制するものである。第1凹部63は、第1ドグ歯55が第2ドグ歯56から最も離隔したときに、係合部65が係合する位置に形成され、第2凹部64は、第1ドグ歯55が第2ドグ歯56に噛み合ってトルク伝達する位置まで移動したときに、係合部65が係合する位置に形成されている。なお、プレート58の回転方向における第1凹部63と第2凹部64との側面63a,64aは、モータから所定のトルクが入力されることにより係合部65が第1凹部63や第2凹部64から離脱し、かつ車両が振動した場合などの外乱が生じたときには、係合部65が第1凹部63や第2凹部64から離脱しない程度の傾斜角に形成されている。また、係合部65は、プレート58に比較的大きなトルクが作用した場合に、傾斜面63a,64aに沿って弾性変形するように構成されている。すなわち、モータからプレート58にトルクが入力された場合には、プレート58の半径方向に傾斜面63a,64aから係合部65が荷重を受けて、係合部65が傾斜面63a,64aに沿って弾性変形する。
したがって、係合信号または解放信号に応じたトルクをモータからプレート58に入力することにより第1凹部63と係合部65との連結状態が解消されて、第2凹部64と係合部65とが係合し、または第2凹部64と係合部65との連結状態が解消されて、第1凹部63と係合部65とが係合する。一方、振動などのいわゆる外乱が生じた場合などモータからトルクを入力していない場合には、第1凹部63と係合部65との連結状態、または第2凹部64と係合部65との連結状態が維持される。
図13に示す例では、ロッド59の一方の端部は、プレート58側(図13における上側)に屈曲して形成され、更にその先端を貫通孔62に挿入するように(図13における奥行側に)屈曲して形成されている。また、ロッド59の中央部は、ケースなどに形成されたガイド溝(またはガイド孔)Gによって軸線方向に移動可能に保持されている。さらに、ロッド59の他端は、スラストベアリング66を介して上記第1回転部材53に当接している。なお、スラストベアリング66は、ロッド59と第1回転部材53とが相対回転できるように設けられ、プレート58のトルクに基づいたロッド59の軸力を、スラストベアリング66を介して第1回転部材53に伝達できるように構成されている。
上述したようにクラッチ機構CLを構成することにより、モータやそのモータ自体に通電するための電気回路がフェールして、プレート58にトルクを伝達することができなくなった場合、すなわちクラッチ機構CLを制御することができなくなった場合には、フェールが生じる直前の状態を維持することができる。したがって、第1クラッチ機構CL1と第2クラッチ機構CL2との少なくともいずれか一方のクラッチ機構を、上記のように構成されたノーマルステイ型のクラッチ機構とすることにより、一方のクラッチ機構(ノーマルステイ型のクラッチ機構)がフェールしたとしても、意図せずに連結状態と解放状態とが切り替わることを抑制できるため、走行モードが切り替わることを抑制できる。そのため、フェールが生じたことを要因として、エンジン5から前輪1R,1Lに伝達されるトルクの増幅率などが変化することを抑制でき、その結果、フェールを要因としたショックが生じることを抑制でき、またはショックが生じる可能性を低減することができる。
特に、第1クラッチ機構CL1と第2クラッチ機構CL2とをノーマルステイ型のクラッチ機構とした場合には、いずれのクラッチ機構がフェールしたとしても、走行モードが切り替わることを抑制できるため、ショックが発生することを抑制できる。
なお、ノーマルステイ型のクラッチ機構CLは、図13に示す構成に限定されず、例えば図14に示すように、ロッド59の他方の端部の先端に圧縮バネ67を設けてもよい。具体的には、この圧縮バネ67は、スラストベアリング66を介して上記第1回転部材53に当接するように配置されている。また、このスラストベアリング66は、圧縮バネ67と第1回転部材53とが相対回転できるように設けられている。なお、スラストベアリング66は、圧縮バネ67の荷重を第1回転部材53に伝達することができるように構成されている。すなわち、プレート58のトルクに基づいたロッド59の軸力を、圧縮バネ67とスラストベアリング66とを介して第1回転部材53に伝達できるように構成されている。
例えばモータに通電するための電気回路にフェールが生じた場合、あるいは、モータを制御するコントローラ(例えば、クラッチECU52)から意図しない信号が出力された場合などには、意図せずにモータからトルクが出力される可能性がある。そのような場合にクラッチ機構CLの各回転部材53,54が相対回転していると、ドグ歯55,56が噛み合うことができず、ドグ歯55,56の先端同士が接触する可能性が高く、ドグ歯55,56に過度な荷重が作用すると耐久性が低下する可能性がある。また、ドグ歯55,56の先端同士で生じる摩擦力に応じたトルクが伝達され、ショックが生じる可能性がある。しかしながら、図14に示すように圧縮バネ67を設けることにより、ドグ歯55,56の先端同士が接触した場合に圧縮バネ67が圧縮されるため、ドグ歯55,56に過度な荷重が作用することを抑制でき、またドグ歯55,56の先端で生じる摩擦力を低下させることができる。その結果、ドグ歯55,56の耐久性が低下することや、ショックが生じることを抑制できる。
なお、上述した例の他、このノーマルステイ型のクラッチ機構CLは、例えばロッド59に凹部を形成し、その凹部にピンを差し込んで、クラッチ機構CLの連結状態または解放状態を維持するように構成してもよい。その場合には、連結状態と解放状態との切り替え時にピンを凹部から離脱させるためのアクチュエータなどを更に設ければよい。また、アクチュエータ57は、電動式のアクチュエータに限らず、油圧式のアクチュエータであってもよく、その場合、油圧室に供給する油圧回路にポペット型のバルブを設けるなど、制御信号が入力されていないときに、油圧室の油圧の変動を抑制できる構成を備えていればよい。
このように構成されたクラッチ機構は、例えば第1クラッチ機構CL1に上記のドグクラッチを採用した場合、EV-HiモードからEV-Loモードに切り替える際に、図4の図表で示したように、第2クラッチ機構CL2を解放させ、かつ第1クラッチ機構CL1および第1ブレーキ機構B1を係合する。そのように、係合機構の係合状態を切り替えて走行モードを変更する際は、その走行モードの切り替えにおける駆動トルクの変化を抑制するように構成することが好ましい。そこで、この発明の実施形態では、走行モードを切り替える際の、駆動トルクの変化を抑制するように構成されている。
具体的には、走行モードをEV-HiモードからEV-Loモードに切り替える際に、EV-Loモードの回転数比になる前に、すなわち第1モータ6がEV-Loモードにおける目標回転数に達する前に第1クラッチ機構CL1の係合を開始するように構成されている。図15は、その制御の一例を説明するためのフローチャートである。以下、具体的に説明する。なお、図15に示す制御例では、EV-HiモードからEV-Loモードに切り替える切替判定が既になされ、第2クラッチ機構CL2は解放された状態である。また走行モードの切り替え前後において、車速の変化はないものとする。
先ず、第1クラッチ機構CL1の回転数同期制御を実行する(ステップS1)。これは第1クラッチ機構CL1を係合させるための制御であって、すなわち回転部材53,54の回転数を同期させるための制御である。具体的には、出力部材であるリングギヤ18の回転数に対する第1モータ6の回転数である回転数比(MG1回転数/出力回転数)は、EV-Loモードの方がEV-Hiモードよりも大きくなる。すなわち、EV-Loモードの方が、EV-Hiモードよりも減速比が大きい。したがって、先ず所定の回転数比となるように第1モータ6の回転数を制御する。なお、このステップS1では、変速の応答性を重視して制御される。したがって、所定のレンジで可及的(速やか)に第1モータ6の回転数を増大させる。
ついで、ステップS1で実行した制御により、第1モータ6の回転数が第1目標回転数の範囲であるか否かを判断する(ステップS2)。これは、例えば上述したリングギヤ18の回転数に対する第1モータ6の回転数である回転数比(以下、単に回転数比と記す)を基に判断することができ、現在の回転数比が所定の回転数比より大きく、かつEV-Loモードにおける回転数比より小さいか否かが判断される。なお、この第1目標回転数の範囲における回転数比の範囲の下限値および上限値は、適宜変更されてよい。つまり、この第1目標回転数の範囲は、上述したように変速の応答性を重視して、所定の回転数まで速やかに第1モータ6の回転数を増大させる制御であるから、現在の回転数比は、その変速の応答性を重視した回転数まで増大させる回転数比に制御される。そのため、第1目標回転数の範囲は、好ましくは、EV-Loモードの回転数比に近い側の所定の範囲に設定される。
したがって、このステップS2で否定的に判断された場合、すなわち第1モータ6の回転数が第1目標回転数の範囲でない場合には、ステップS1へリターンする。つまり、第1モータ6の回転数が第1目標回転数の範囲となるまでこのフローを繰り返し実行する。
これとは反対に、このステップS2で肯定的に判断された場合、すなわち第1モータ6の回転数が第1目標回転数の範囲であると判断された場合には、その第1モータ6の回転数を第2目標回転数の範囲に制御する(ステップS3)。上述したように、ステップS1およびステップS2では、変速の応答性を重視し、所定の回転数になるように第1モータ6の回転数を制御した。一方、このステップS3では、ステップS2で変速の応答性を重視して所定の回転数まで増大された回転数を、変速の精度を重視するように調整(制御)する。つまり、実際に第1クラッチ機構CL1を係合させることが可能な回転数になるように制御する。より具体的には、第1モータ6の回転数をドグ歯55,56が噛み合うことが可能な回転数に制御し、第1クラッチ機構CL1の係合開始時に、エンジン5の出力軸15が回転しない程度の差回転数になるように第1モータ6の回転数を制御する。なお、この第2目標回転数の範囲における第1モータ6の上限回転数は、EV-Loモードで設定される回転数比より僅かに小さい回転数比となる回転数である。つまり、この発明の実施形態では、回転数比が切り替え先のEV-Loモードの回転数比に到達する前に第1クラッチ機構CL1の係合が開始される。
ついで、そのステップS3の制御に基づいて、第1クラッチ機構CL1が係合可能の状態になったか否かを判断する(ステップS4)。つまり、第1モータ6の回転数が第2目標回転数の範囲であるか否かを判断する。したがって、このステップS4で否定的に判断された場合、すなわち第1モータ6の回転数が未だ第2目標回転数の範囲に制御されず、第1クラッチ機構CL1が係合可能と判断されない場合には、ステップS3へリターンする。つまり、第1モータ6の回転数が第2目標回転数の範囲になるまで繰り返しこのフローを実行する。
これとは反対に、このステップS4で肯定的に判断された場合、すなわち第1モータ6の回転数が第2目標回転数の範囲であって、第1クラッチ機構CL1の係合が可能と判断された場合には、その第1クラッチ機構CL1の係合を開始する(ステップS5)。
なお、第1クラッチ機構CL1の係合開始の際に、エンジン5が反力要素となって第1モータ6の慣性トルクが出力軸(例えばカウンタシャフト22)に伝達されるのを回避するように制御してもよい。つまり、第1モータ6の慣性トルクが出力側に作用することにより、その分の駆動トルクが変動(すなわち低下)することを回避する。具体的には、その第1モータ6の慣性トルク分のトルクを第1モータ6により出力する。また、第1モータ6で相殺しきれない場合には、その分を更に第2モータ7のトルクを加えて相殺してもよい。そして、第1クラッチ機構CL1の係合が完了することにより走行モードがEV-Loモードへ切り替わる。
つぎに、上述した図15に示す制御例を実行した場合におけるタイムチャートについて説明する。図16に示すタイムチャートでは、走行モードの制御状態、第1モータ6の回転数、第1モータ6のトルク、第2モータ7のトルク、出力軸のトルク、回転数比の変化をそれぞれ示している。なお、この図16に示す例は、走行モードをEV-HiモードからEV-Loモードに切り替える場合の例である。
先ず、t0時点では、第2クラッチ機構CL2が係合状態であって、EV-Hiモードが設定されている。したがって、この時点では第1クラッチ機構CL1(すなわちドグ歯55,56)は解放状態である。
ついで、t1時点で、第2クラッチ機構CL2の解放制御が開始される。つまり、走行モードの切り替える制御が開始され、この時点で変速開始と判断できる。したがって、その第2クラッチ機構CL2を解放する際に、その第2クラッチ機構CL2に作用しているトルクを0にする。具体的には、第1モータ6のトルクを0に向けて低下させる。また、第1モータ6のトルクを低下させることにより、駆動トルク(出力軸トルク)が低下しないように、第2モータ7のトルクを増大させる。
そして、第2クラッチ機構CL2を完全に解放させるために、第1モータ6のトルクを0付近で一定にし(t2時点)、図16の例ではt3時点で第2クラッチ機構CL2が解放完了と判断できる。また、そのようにt3時点で第2クラッチ機構CL2が解放完了になると、走行モードをEV-Loモードに切り替えるための制御が開始される。つまり第1クラッチ機構CL1の回転数同期制御が実行される。具体的には、図16に示すように第1モータ6のトルクを増大させて、第1モータ6の回転数を増大させる。その第1モータ6の回転数は、目標とする回転数比(第1モータ6の回転数/リングギヤ18の回転数)となるように第1目標回転数の範囲に制御される。その第1目標回転数とは、上述したように変速の応答性を重視して制御される回転数の範囲であって、図16に示す例では、その第1目標回転数の範囲を矢印で示している。つまり、このt3時点から後述するt4時点までは、変速の応答性を重視した制御が実行される。なお、このように第1モータ6を制御している間は、駆動トルクが変化しないように第2モータ7でトルクを出力する。
そして、そのように第1モータ6の回転数を第1目標回転数の範囲で制御すると、ついで第1モータ6の回転数を第2目標回転数の範囲に制御する(t4時点)。これは、ステップS3で説明したように、ドグ歯55,56を係合可能な回転数にする制御であって、実際に、第1クラッチ機構CL1が係合可能な回転数(同期回転数)に制御する。つまり、この第2目標回転数が第1クラッチ機構CL1の係合を開始することが可能な回転数となる。図16には、その第2目標回転数の範囲を矢印で示している。なお、上述したようにt3時点からt4時点においては、変速の応答性を重視して可及的に第1モータ6の回転数を増大させていたが、このt4時点からt5時点に架けては、第1クラッチ機構CL1の係合可能な回転数に制御するから精度を重視した制御が実行される。したがって、比較的緩やかに、あるいは、所定の回転数をキープするように第1モータ6を制御する。またこのt4時点からt5時点における回転数比は、未だEV-Loモードで設定される回転数比に到達する前であって、つまり、この発明の実施形態では、切り替え先の走行モード(すなわちEV-Loモード)における回転数比に到達する前に、第1クラッチ機構CL1の係合が開始されるように構成されている。
さらに、上記のように第1モータ6の回転数を制御すべく第1モータ6のトルクを一時的に低下させる。具体的には、図16の例では、その第1モータ6のトルクを0にする。なお、この低下させる第1モータ6のトルクは0に限られず、0に近似する値であればよい。つまり、このように第1モータ6のトルクを下げて第1モータ6の回転数の変動を抑制することで、第1ブレーキ機構B1が受け持つ反力トルクが出力軸(例えばカウンタシャフト22)に作用することを抑制できる。言い換えれば、この低下させた第1モータ6のトルクが0に近いほど、出力軸に作用するトルクは小さい。
そして、そのように第1モータ6の回転数が第2目標回転数の範囲に制御されると、第1クラッチ機構CL1の係合が開始される(t5時点)。一方、上述したように出力軸に作用するトルクを低減するために第1モータ6のトルクを0にした場合であっても、エンジン5のイナーシャ分のトルクが出力軸に作用する。すなわち、第1クラッチ機構CL1の係合時にエンジン5が反力要素として機能し、第1モータ6の慣性トルクが出力軸に伝達される。また、そのように第1モータ6の慣性トルクが出力軸に作用すると、駆動トルクが変動(低下)し、図16に示す出力軸トルクが低下するおそれがある。そのため、この発明の実施形態では、その第1モータ6の慣性トルクを相殺すべくその分のトルクを第1モータ6で出力するように構成されている。また、第1モータ6のみのトルクではその慣性トルクを相殺しきれない場合には、第2モータ7のトルクを出力する。図16に示す例では、その第2モータ7のトルクも併せて出力する例を示している。
そして、そのように第1モータ6を制御すると第1モータ6の回転数がEV-Loモードにおける目標回転数に到達する。また、図16に示すように回転数比もEV-Loモードで設定される回転数比となる(t6時点)。したがって、このt6時点で、第1クラッチ機構CL1の係合が完了と判断できるとともに、走行モードがEV-Loモードに切り替わる。
そして、第1モータ6の出力トルクで走行するように、第1モータ6のトルクと第2モータ7のトルクとを入れ替える(t6時点からt7時点)。
つぎに、この発明の実施形態における作用について説明する。上述したように、この発明の実施形態では、各係合機構の係合状態を切り替えて、EV-HiモードからEV-Loモードへ走行モードを切り替える際に、その走行モードがEV-Loモードの回転数比に到達する前に第1クラッチ機構CL1の係合を開始するように構成されている。より具体的には、第1モータ6の回転数がEV-Loモードで設定される回転数比に、すなわちEV-Loモードにおける目標回転数に到達する前に、第1クラッチ機構CL1の係合を開始するように構成されている。また、この発明の実施形態では、そのように制御するために、変速の応答性を重視して可及的に所定の回転数(第1目標回転数の範囲)まで第1モータ6の回転数を増大させた後に、その第1モータ6の回転数をドグ歯55,56が噛み合うことが可能な回転数(第2目標回転数の範囲)に制御するように構成されている。そのため、変速の応答性を担保しつつ、走行モードが切り替わる前に第1クラッチ機構CL1の係合を開始することができる。つまり、回転数比が、切り替え先のEV-Loモードの回転数比に到達した際には、第1クラッチ機構CL1の係合が開始されているから、第1ブレーキ機構B1であるワンウェイクラッチが係合した際に、反力トルクが出力軸(例えばカウンタシャフト22)に作用した場合であっても、駆動トルクが変化すること、ならびに、係合時のショックの発生を抑制することができる。つまり、安定した変速が可能となる。また、この発明の実施形態では、一時的に第1モータ6のトルクを低下させて、その間に第1クラッチ機構CL1の係合を開始しているから上記の出力軸に作用する反力トルクを抑制することができる。
また、この発明の実施形態によれば、第1クラッチ機構CL1が係合時に、エンジン5が反力要素として機能し、第1モータ6の慣性トルクが出力軸に作用するものの、その慣性トルクを相殺するように第1モータ6のトルクを出力するように構成されている。つまり、低減される駆動トルクを第1モータ6のトルクで補填する。また、その第1モータ6で相殺しきれない分は第2モータ7の出力トルクによって補填するように構成されている。そのため、走行モードの切り替え時に駆動トルクが変化することを回避し、ならびに、ショックが発生することを回避できる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。上述した実施形態では、EV-HiモードからEV-Loモードへ切り替える場合の制御例について説明したものの、この制御例は、それとは反対にEV-LoモードからEV-Hiモードへ切り替える場合に適用してもよい。そのような場合には、EV-Hiモードの目標回転数比に到達する前に第2クラッチ機構CL2の係合を開始するように構成すればよい。
また、上述した実施形態では、エンジン1とモータ6,7,30とを備えたハイブリッド車両を例として説明したものの、この発明で対象とする車両は、駆動力源としてモータのみを備えたEV車両を対象としてもよい。なお、そのような場合、第1ブレーキ機構B1は、駆動力源であるモータの所定の回転方向(一方向)への回転を禁止するワンウェイクラッチとして機能する。
1R,1L…前輪、 2,4…駆動装置、 3R,3L…後輪、 5…エンジン、 6,7,30…モータ、 6a,15,36…出力軸、 8…動力分割機構、 9…分割部、 10…変速部、 11,17,32…サンギヤ、 12,18,26,33,42…リングギヤ、 13,19,34…ピニオンギヤ、 14,20,35…キャリヤ、 14a,20a…回転盤、 16…入力軸、 21…出力ギヤ、 22,38…カウンタシャフト、 23,39…ドリブンギヤ、 24,28,37,40…ドライブギヤ、 25,41…デファレンシャルギヤユニット、 27…ロータシャフト、 29,43…ドライブシャフト、 31…変速機構、 44,45,46…電力制御装置、 47…蓄電装置、 48,49,50,51,52…ECU、 53,54…回転部材、 55,56…ドグ歯、 57…アクチュエータ、 58…プレート、 59…ロッド、 60…シャフト、 61,62…貫通孔、 63,64…凹部、 63a,64a…傾斜面、 65…係合部、 66…スラストベアリング、 67…圧縮バネ、 B1,B2…ブレーキ機構、 CL,CL1,CL2,CL3…クラッチ機構、 C…固定部。

Claims (1)

  1. 回転機と、駆動力源の所定方向への回転を禁止するワンウェイクラッチと、第1係合機構と、第2係合機構とを備え、
    前記ワンウェイクラッチと前記第1係合機構とを係合することにより設定され、かつ前記回転機から駆動トルクを出力して走行する際における駆動輪の回転数に対する前記回転機の回転数である回転数比が第1所定値となる第1EV走行モードと、
    前記ワンウェイクラッチと前記第2係合機構とを係合することにより設定され、かつ前記第1所定値より前記回転数比が小さい第2所定値となる第2EV走行モードとを設定可能であって、
    前記ワンウェイクラッチは、前記回転数比が第1所定値以上の場合に、もしくは、前記第2所定値以下の場合に係合するように構成された車両の制御装置において、
    前記回転機および前記第1係合機構ならびに前記第2係合機構を制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記第1EV走行モードと前記第2EV走行モードとのいずれか一方のEV走行モードから他方のEV走行モードに切り替える際に、前記第1係合機構と前記第2係合機構とのうちの一方の係合機構を解放し、かつ前記回転機を制御して前記回転数比が前記他方のEV走行モードにおける目標回転数比に到達する前に、前記第1係合機構と前記第2係合機構とのうちの他方の係合機構の係合を開始する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016167201A1 (ja) * 2015-04-14 2016-10-20 日産自動車株式会社 車両の変速制御装置
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