以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す斜視図である。図2は、MFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。図1および図2を参照して、MFP100は、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データに基づいて用紙等に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、画像が形成された用紙を処理する後処理部155と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部130のプラテンガラス上に設定された所定の原稿読み取り位置まで搬送し、原稿読取部130により原稿に形成された画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイに排出する。原稿読取部130は、原稿読取位置に搬送されてきた原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を受光する光電変換素子とを含み、原稿のサイズに応じた原稿画像を走査する。光電変換素子は、受光した光を電気信号である画像データに変換して、HDD115に記憶する。
給紙部150は、給紙トレイに収納された用紙を画像形成部140に搬送する。画像形成部140は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、HDD115に記憶された画像データに基づいて、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成し、画像を形成した用紙を排紙トレイに排出する。
後処理部155は、画像形成部140により画像が形成された1以上の用紙を並び替えて排紙するソート処理、パンチ穴加工するパンチ処理、ステープル針を打ち込むステープル処理を実行する。
メイン回路110は、中央演算装置(CPU)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、CD(Compact Disc)−ROM118が装着される外部記憶装置117と、を含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150、後処理部155および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。さらに、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる読取データ(画像データ)を一時的に記憶する。
通信I/F部112は、MFP100をネットワークに接続するためのインターフェースである。CPU111は、通信I/F部112を介して、ネットワークに接続された他のコンピューターとの間で通信し、データを送受信する。ネットワークは、限定するものではないが、例えば、ローカルエリアネットワークである。また、通信I/F部112は、ネットワークがインターネットに接続されている場合には、ネットワークを介してインターネットに接続されたコンピューターと通信が可能である。
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶する、または画像形成部140に出力する。画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータを用紙にプリントする。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
外部記憶装置117は、CD−ROM118が装着される。CPU111は、外部記憶装置117を介してCD−ROM118にアクセス可能である。CPU111は、外部記憶装置117に装着されたCD−ROM118に記録されたプログラムをRAM114にロードして実行する。なお、CPU111が実行するプログラムを記憶する媒体としては、CD−ROM118に限られず、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリであってもよい。
また、CPU111が実行するプログラムは、CD−ROM118に記録されたプログラムに限られず、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードして実行するようにしてもよい。この場合、ネットワークに接続された他のコンピューターが、MFP100のHDD115に記憶されたプログラムを書換える、または、新たなプログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、MFP100が、ネットワークに接続された他のコンピューターからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをHDD115に記憶するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられ、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)または有機LE(electroluminescence)ディスプレイであり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。タッチパネル165は、表示部161の上面または下面に表示部161に重畳して設けられる。ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。タッチパネル165は、表示部161の表示面中でユーザーにより指示された位置を検出する。ユーザーがMFP100を操作する場合は直立した姿勢となる場合が多いので、表示部161の表示面、タッチパネル165の操作面およびハードキー部167は、上方を向いて配置される。ユーザーが表示部161の表示面を容易に視認することができ、ユーザーが指で操作部163を容易に指示することができるようにするためである。
図3は、MFPが備えるCPUの機能の一例を示すブロック図である。図3に示す機能は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115、CD−ROM118に記憶された原稿読取プログラムを実行することにより、CPU111に形成される機能である。図3を参照して、CPU111は、操作受付部51と、モード設定部53と、条件設定部55と、モード切換部57と、読取制御部59と、記憶時生成部61と、出力部63と、画質変換部65と、出力条件取得部67と、を含む。
操作受付部51は、操作パネルを制御し、ユーザーが操作部163に入力する操作を受け付ける。操作受付部51は、読取条件設定画面を表示部161に表示し、ユーザーが読取条件設定画面に従って操作部163に入力する操作を受け付ける場合、読取条件情報を受け付ける。操作受付部51は、読取条件情報として、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データをHDD115に格納する位置を示すフォルダ識別情報を少なくとも受け付ける。また、操作受付部51は、読取条件を受け付ける場合と、受け付けない場合とがある。操作受付部51は、読取条件を受け付ける場合、フォルダ識別情報と読取条件とを含む読取条件情報を条件設定部55に出力する。読取条件情報は、読取条件を受け付けない場合、フォルダ識別情報を含む読取条件情報を条件設定部55に出力する。したがって、読取条件情報は、フォルダ識別情報を少なくとも含み、読取条件を含む場合と含まない場合とがある。なお、読取条件は、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データを識別するためのデータ識別情報を含んでもよい。データ識別情報は、画像データに付されるファイル名を用いることができる。
また、操作受付部51は、モード設定画面を表示部161に表示し、ユーザーが読取モード設定画面に従って操作部163に入力する操作を受け付ける場合、読取モードを受け付ける。操作受付部51は、読取モードを受け付ける場合、読取モードをモード設定部53に出力する。読取モードは、後述する条件設定部55により設定された読取条件で原稿読取部130に原稿を読み取らせる第1モードと、予め定められた読取条件で原稿読取部130に原稿を読み取らせる第2モードと、を含む。
さらに、操作受付部51は、出力条件設定画面を表示部161に表示し、ユーザーが出力条件設定画面に従って操作部163に入力する操作を受け付ける場合、出力条件を受け付ける。操作受付部51は、出力条件を受け付ける場合、出力条件を出力条件取得部67に出力する。出力条件は、HDD115に記憶されたデータのうちから出力対象を特定する設定と、出力対象の画像データの画質を特定する設定と、出力対象の画像データの出力先を特定する設定と、を少なくとも含む。読取条件は、出力対象の画像データのフォーマットを特定する設定を含んでもよい。
条件設定部55は、読取条件を設定する。条件設定部55は、第1操作設定部75と、第1領域基準部77と、を含む。第1領域基準部77は、操作受付部51から入力される読取条件情報が読取条件を含まない場合、HDD115が有する複数のフォルダのうち読取条件情報に含まれるフォルダ識別情報で特定されるフォルダに関連付けられた読取条件を取得し、取得された読取条件を設定する。HDD115が有する複数のフォルダそれぞれは、HDD115がデータを格納するための領域である。第1領域基準部77は、操作受付部51から入力される読取条件情報が読取条件を含まない場合であって、読取条件情報に含まれるフォルダ識別情報で特定されるフォルダに読取条件が関連付けられていない場合は、読取条件を設定することなく、操作受付部51に読取条件を要求する。操作受付部51は、第1領域基準部77から読取条件が要求される場合には、読取条件設定画面を表示部161に表示し、ユーザーによる読取条件の入力を受け付ける。第1操作設定部75は、操作受付部51から入力される読取条件情報が読取条件を含む場合、読取条件情報に含まれる読取条件を設定する。
モード設定部53は、読取モードを設定する。モード設定部53は、第2操作設定部73と、第2領域基準部71と、を含む。第2領域基準部71は、一時変更フラグがOFFに設定されている場合に、HDD115が有する複数のフォルダのうち操作受付部51から入力される読取条件情報に含まれるフォルダ識別情報で特定されるフォルダに関連付けられた読取モードを取得し、取得された読取モードを設定する。第2操作設定部73は、一時変更フラグがONに設定されている場合、操作受付部51から入力される読取モードを設定する。一時変更フラグは、MFP100を管理する管理者により予め設定されてもよいし、MFP100を操作するユーザーにより設定されてもよい。
モード切換部57は、モード設定部53から読取モードが入力され、条件設定部55から読取条件が入力される。モード切換部57は、自動切換フラグがONに設定されている場合、モード設定部53から入力される読取モードを切り換えるが、モード切換部57は、自動切換フラグがOFFに設定されている場合、読取モードを切り換えない。自動切換フラグは、MFP100を管理する管理者により予め設定されてもよいし、MFP100を操作するユーザーにより設定されてもよい。モード切換部57は、画質検出部81と、原稿枚数検出部83と、を含む。
画質検出部81は、条件設定部55から入力される読取条件において設定されている画質を検出する。例えば、読取条件として、画質の程度を3段階で設定可能な場合には、3段階のいずれが設定されたかを検出する。例えば、写真、写真/文字、文字の3段階の画質の程度が高い順に設定可能な場合があり、この場合、写真、写真/文字の順に画質の程度が高い。また、画質の程度は、写真、写真/文字、文字の読取条件でなく、解像度または/および色数であってもよい。解像度が大きいほど画質の程度が高い。読取条件としての色数は、カラーとモノクロのいずれかが設定される。カラーはモノクロよりも画質の程度が高い。
モード切換部57は、自動切換フラグがONに設定されており、かつ、読取モードが第1モードに設定されている場合に、画質検出部81によって画質の程度を示す条件が所定の程度以上の場合に読取モードを第2モードに切り換える。画質の程度が高いほど、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データのデータ量が大きくなる。このため、画質の程度が高いほど、原稿読取部130が原稿を読み取る時間が長くなる。また、画像データのデータ量が大きいほど、CPU111が画像データを処理する負荷が大きくなる。このため、例えば、CPU111が、画像データをHDD115に記憶する時間、または、画像データを通信I/F部112から外部に送信する時間が長くなる。
読取条件において、画質の程度を示す設定として、画像の種類、解像度、色数を含む。画像の種類の一例として、画像の種類の設定値として、写真、写真/文字、文字の3つがある場合を例に説明する。設定値に写真が設定される画像データは、写真の画像を含む。設定値に写真/文字が設定される画像データは、写真の画像と文字の画像とを含む。設定値に文字が設定される画像データは、文字の画像を含む。画像の種類が、写真、写真/文字、文字の順に画質の程度が高い。しきい値として写真/文字の設定値が設定されている場合、モード切換部57は、読取条件に画像の種類として写真または写真/文字が設定されている場合に、読取モードを第2モードに切り換える。
解像度が大きいほど画質の程度が高い。ここでの解像度は、所定の長さ当たりの画素数である。モード切換部57は、解像度が所定の値以上の場合に、読取モードを第2モードに切り換える。
また、色数が多いほど画質の程度が高い。色数の設定値の一例として、フルカラーとモノクロの2つがある場合を例に説明する。色数が多いほど画質の程度が高い。フルカラーは、モノクロよりも色数が多い。モード切換部58は、色数の設定値がフルカラーの場合に、読取モードを第2モードに切り換える。
原稿枚数検出部83は、読取対象となる原稿の枚数を検出する。例えば、自動原稿搬送装置120の原稿トレイに載置された原稿の高さを検出するセンサーにより検出された高さから原稿の枚数を検出する。原稿1枚当たりの厚さを予め登録しておき、センサーにより検出された高さと原稿の厚さとから原稿の枚数を算出する。
モード切換部57は、読取モードが第2モードに設定されている場合に、原稿枚数検出部83によって検出された原稿枚数が所定の値以上の場合に読取モードを第1モードに切り換える。原稿枚数が多くなるほど、画像データのデータ量が大きくなるため、原稿枚数が所定値以上の場合には、画像データのデータ量をできるだけ小さくするためである。
モード切換部57は、モード設定部53から入力される読取モードを切り換える場合は、切り換えた後の読取モードを、読取制御部59に出力し、モード設定部53から入力される読取モードを切り換えない場合は、モード設定部53から入力される読取モードを、読取制御部59に出力する。
読取制御部59は、モード切換部57から読取モードが入力され、条件設定部55から読取モードが入力される。読取制御部59は、読取モードが第1モードの場合、原稿読取部130を制御して、条件設定部55から入力される読取条件に従って原稿を読み取らせる。原稿読取部130は、原稿を読み取って画像データを出力するので、読取制御部59は、その画像データを、HDD115が有する複数のフォルダのうち読取条件で特定されるフォルダに記憶するとともに、記憶時生成部61に画像データのファイル名を出力する。また、読取制御部59は、読取モードが第2モードの場合、原稿読取部130を制御して、条件設定部55から入力される読取条件ではなく、予め定められた最大読取条件に従って原稿を読み取らせる。原稿読取部130は、原稿を読み取って画像データを出力するので、読取制御部59は、その画像データを、HDD115が有する複数のフォルダのうち読取条件で特定されるフォルダに記憶するとともに、記憶時生成部61に画像データのファイル名を出力する。最大読取条件は、読取条件のうち画像の種類の設定値に写真を設定した条件であり、解像度を定める設定値に最大の解像度に設定した条件であり、色数の設定値にカラーを設定した条件である。
HDD115が有する複数のフォルダのうちには、変換条件が設定されているものがある。変換条件は、HDD115が有する複数のフォルダのいずれかを特定するフォルダ識別情報と、画像データの画質とを少なくとも定めている。記憶時生成部61は、読取制御部59からファイル名が入力される場合、そのファイル名の画像データが格納されているフォルダに、変換条件が設定されているか否かを判断する。記憶時生成部61は、読取制御部59から入力されるファイル名の画像データが格納されているフォルダに変換条件が設定されている場合、画像データを変換条件で定められる画質の第1変換画像データに変換し、第1変換画像データを変換条件で定められるフォルダ識別情報で特定されるフォルダに記憶する。ここでは、変換条件で定められるフォルダ識別情報で特定されるフォルダを、複数のユーザーそれぞれにアクセスする権限が与えられた共有フォルダとしている。なお、変換条件で定められるフォルダ識別情報で特定されるフォルダは、共有フォルダに限られず、特定のユーザーにアクセスする権限が与えられた個人フォルダとしてもよい。
出力条件取得部67は、出力条件を取得する。出力条件取得部67は、操作受付部51から入力される出力条件を取得し、取得された出力条件を出力部63および画質変換部65に出力する。出力条件は、出力対象となる画像データを特定する設定と、その画像データの画質を特定する設定と、出力対象の画像データの出力先を特定する設定と、を含む。
画質変換部65は、出力条件が入力されることに応じて、出力対象となる画像データを特定する。画質変換部65は、特定された画像データが格納されているフォルダに変換条件が設定されている場合、画像データに対応する第1変換画像データを特定する。画質変換部65は、出力条件により特定される画質を、第1変換画像データの画質と比較し、出力条件により特定される画質が、第1変換画像データの画質と異なる場合、画像データを出力条件により特定される画質の第2変換画像データに変換する。画質変換部65は、第2変換画像データを出力部63に出力する。
出力部63は、出力条件が入力されることに応じて、出力対象となるデータを特定する。出力部63は、出力条件に設定された画像データを特定し、特定された画像データが格納されているフォルダに変換条件が設定されているか否かを判断する。出力部63は、画像データが格納されているフォルダに変換条件が設定されている場合、画像データに対応する第1変換画像データを特定する。出力部63は、出力条件により特定される画質と、第1変換画像データの画質とを比較する。出力部63は、出力条件により特定される画質と、第1変換画像データの画質とし、両者が一致する場合は、第1変換画像データを出力対象に決定するが、両者が異なる場合は、第2変換画像データを出力対象に決定する。また、出力部63は、画像データが格納されているフォルダに変換条件が設定されていない場合、出力条件に基づいて変換条件を生成し、変換条件を画像データが格納されているフォルダに設定する。これにより、フォルダに変換条件を設定する操作を省略することができる。
なお、出力条件に、画像データのフォーマットが設定されている場合、画質変換部65は、出力条件により特定されるフォーマットおよび画質と、第1変換画像データそれぞれのフォーマットおよび画質とを比較し、出力条件により特定されるフォーマットおよび画質が、第1変換画像データのフォーマットおよび画質のいずれとも異なる場合、画像データを出力条件により特定されるフォーマットおよび画質の第2変換画像データに変換する。また、出力部63は、出力条件に画像データのフォーマットが設定されている場合、出力条件により特定されるフォーマットおよび画質と、第1変換画像データのフォーマットおよび画質とを比較する。出力部63は、出力条件により特定されるフォーマットおよび画質と、第1変換画像データのフォーマットおよび画質とを比較し、両者が一致する場合は、第1変換画像データを出力対象に決定するが、両者が異なる場合は、第2変換画像データを出力対象に決定する。
出力部63は、第1出力部85と、第2出力部87とを含む。第1出力部85は、第1変換画像データが出力対象に決定される場合、出力条件に設定された出力先に、第1変換画像データを出力する。例えば、出力条件が出力先として電子メールアドレスが設定されている場合、宛先に電子メールアドレスを設定し、添付ファイルに第1変換画像データを設定した電子メールを生成し、生成された電子メールを、通信I/F部112を制御して、電子メールサーバーに送信する。また、宛先に、外部のコンピューターのネットワークアドレスが設定されている場合、通信I/F部112を制御して、外部のコンピューターに第1変換画像データを送信する。例えば、FTP(File Transfer Protocol)に従って、通信I/F部112を制御して、第1変換画像データを送信する。
第2出力部87は、第2変換画像データが出力対象に決定される場合、出力条件に設定された出力先に、第2変換画像データを出力する。例えば、出力条件が出力先として電子メールアドレスが設定されている場合、宛先に電子メールアドレスを設定し、添付ファイルに第2変換画像データを設定した電子メールを生成し、生成された電子メールを、通信I/F部112を制御して、電子メールサーバーに送信する。また、宛先に、外部のコンピューターのネットワークアドレスが設定されている場合、通信I/F部112を制御して、外部のコンピューターに第2変換画像データを送信する。
図4は、原稿読取処理の流れの一例を示すフローチャートである。原稿読取処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115、CD−ROM118に記憶された原稿読取プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図4を参照して、CPU111は、読取条件を受け付ける(ステップS01)。ユーザーが操作部163に読取条件を入力する場合、操作部163に入力される読取条件を受け付ける。また、画像データの記憶先として、HDD115が有する複数のフォルダのいずれかを指定する操作をユーザーが操作部163に入力する場合、操作部163により受け付けられたユーザーによる操作で特定されるフォルダに関連付けられた読取条件を取得する。
次のステップS02においては、読取モード設定処理を実行し、処理をステップS03に進める。読取モード設定処理の詳細は後述するが、第1モードと第2モードとのいずれかの読取モードに設定する処理である。次のステップS03においては、読取モードによって処理を分岐させる。読取モードが第1モードならば処理をステップS04に進め、読取モードが第2モードならば処理をステップS05に進める。
ステップS04においては、原稿読取部130を制御して、ステップS01において受け付けられた読取条件に従って原稿を読み取り、処理をステップS06に進める。ステップS05においては、原稿読取部130を制御して、最大読取条件に従って原稿を読み取り、処理をステップS06に進める。ステップS06においては、HDD115が有する複数のフォルダのうち読取条件で特定されるフォルダに、原稿読取部130が出力する画像データを記憶し、処理をステップS07に進める。ステップS07においては、画像データに読取条件を関連付け、処理をステップS08に進める。ステップS04が実行される場合には、ステップS01において受け付けられた読取条件を画像データに関連付け、ステップS05が実行される場合には、最大読取条件を画像データに関連付ける。
ステップS08においては、ステップS06において画像データを記憶したフォルダに変換コマンドが設定されているか否かを判断する。変換コマンドが設定されているならば処理をステップS09に進めるが、そうでなければ処理を終了する。ステップS09においては、画像データを処理対象として、変換条件で定められる画像処理を実行し、処理をステップS10に進める。画像処理は、画像データの画質を変更する処理であり、例えば、画像の種類を変更する処理、解像度を変更する処理および色数を変更する処理を、含む。また、画像処理は、画像の種類にそれぞれ対応する処理を含むようにしてもよい。例えば、写真の画像に対して明度の変化を滑らかにするスムージング処理、文字の画像に対してエッジを強調するエッジ強調処理である。なお、画像処理は、画像の種類を変更する処理、解像度を変換する処理、色数を変換する処理、および画像の種類にそれぞれ対応する処理に限定されることなく、他の処理を含んでもよい。ステップS10においては、画像処理後の画像データを変換条件で定められるフォーマットの第1変換画像データに変換し、処理をステップS11に進める。フォーマットは、例えば、圧縮処理後のデータのフォーマットを含む。圧縮処理は、可逆圧縮処理と、非可逆圧縮処理とを含む。
ステップS11においては、第1変換画像データを共有フォルダに記憶し、処理を終了する。共有フォルダは、変換コマンドによって定められたフォルダである。共有フォルダは、MFP100を操作する権限が与えられた1以上のユーザーがアクセス可能なフォルダである。なお、変換コマンドによって定められるフォルダは、共有フォルダに限られず、HDD115が有する複数のフォルダのいずれかであればよく、原稿読取部130で読み取って得られる画像データを記憶するために予め定められたフォルダであってもよく、また、個人に割り当てられるフォルダであってもよい。
図5は、読取モード設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。読取モード設定処理は、図4のステップS02において実行される処理である。読取条件設定処理が実行される前の段階で、ユーザーにより入力される読取条件またはフォルダに設定された読取条件のいずれかが決定されている。図5を参照して、一時変更フラグがONに設定されているか否かを判断する(ステップS21)。一時変更フラグがONに設定されているならば処理をステップS22に進めるが、そうでなければ処理をステップS25に進める。一時変更フラグは、MFP100を管理する管理者によって予め設定されたフラグである。また、一時変更フラグは、MFP100を操作するユーザーが設定するようにしてもよい。
ステップS22においては、ユーザーが操作部163に入力する読取モードを受け付け、受け付けられた読取モードによって処理を分岐させる。受け付けられた読取モードが第1モードならば処理をステップS23に進めるが、受け付けられた読取モードが第2モードならば処理をステップS24に進める。ステップS23においては、読取モードを第1モードに決定し、処理をステップS28に進め、ステップS24においては、読取モードを第2モードに決定し、処理をステップS28に進める。
ステップS25においては、読取条件で特定されるフォルダに設定された読取モードによって処理を分岐させる。フォルダに設定された読取モードが第1モードならば処理をステップS26に進めるがフォルダに設定された読取モードが第2モードならば処理をステップS27に進める。ステップS26においては、読取モードを第1モードに決定し、処理をステップS28に進め、ステップS27においては、読取モードを第2モードに決定し、処理をステップS28に進める。
ステップS28においては、自動切換フラグがONに設定されているか否かを判断する。自動切換フラグがONに設定されているならば処理をステップS29に進めるが、そうでなければ処理を原稿読取処理に戻す。自動切換フラグは、MFP100を管理する管理者により予め設定されてもよいし、MFP100を操作するユーザーにより設定されてもよい。
ステップS29においては、原稿の枚数が所定枚数以上か否かを判断する。原稿枚数が所定枚数以上ならば処理をステップS32に進めるが、そうでなければ処理をステップS30に進める。ステップS30においては、読取条件において画質の程度を示す条件が所定の画質以上の設定がされているか否かを判断する。画質の程度が写真/文字の設定または写真の設定の場合、解像度が所定の値以上の設定の場合、または、色数がカラーの設定の場合ならば処理をステップS31に進めるが、そうでなければ処理をステップS32に進める。ステップS31においては、読取モードを第2モードに決定し、処理を原稿読取処理に戻す。換言すれば、読取モードが第1モードに決定されている場合には、第2モードに切り換える。ステップS32においては、読取モードを第1モードに決定し、処理を原稿読取処理に戻す。換言すれば、読取モードが第2モードに決定されている場合には、第1モードに切り換える。なお、読取条件において画質の程度を示す条件として、画像の種類が文字か否かを判断するようにして、画像の種類が文字の場合に、処理をステップS32に進め、そうでなければ処理をステップS31に進めるようにしてもよい。
図6は、BOX送信処理の流れの一例を示すフローチャートである。BOX送信処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115、CD−ROM118に記憶されたBOX送信プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。BOX送信プログラムは、原稿読取プログラムの一部である。図6を参照して、CPU111は、出力条件を受け付け(ステップS51)、処理をステップS52に進める。ユーザーが操作部163に入力する出力条件を受け付ける。出力条件は、出力対象となる画像データを特定する設定と、その画像データの画質を特定する設定と、出力対象の画像データの出力先を特定する設定と、を含む。
ステップS52においては、出力条件で特定される画像データに関連付けられた読取条件を取得し、処理をステップS53に進める。ステップS53においては、出力条件と読取条件とを比較し、処理をステップS54に進める。ステップS54においては、出力条件で定められる画質と、読取条件で定められる画質とが同じか否かを判断する。両者が同じならば処理をステップS55に進めるが、そうでなければ処理をステップS58に進める。
ステップS55においては、出力条件で定められるフォーマットと、読取条件で定められるフォーマットとが同じか否かを判断する。出力条件と読取条件とでフォーマットが同じならば処理をステップS56に進めるが、そうでなければ処理をステップS58に進める。ステップS56においては、共有フォルダに画像データに対応する第1変換画像データが存在するか否かを判断する。第1変換画像データが存在するならば処理をステップS57に進めるが、存在しなければ処理をステップS58に進める。ステップS57においては、第1変換画像データを出力条件に設定された出力先に送信し、処理を終了する。出力条件により、電子メールアドレスが設定されている場合には、宛先に出力条件により設定された電子メールアドレスを設定し、第1変換画像データを含む電子メールを生成し、電子メールを電子メールサーバーに送信する。なお、第1変換画像データの画質およびフォーマットが、出力条件に設定された画質およびフォーマットと同じ場合に、第1変換画像データを送信し、いずれか一方でも異なれば、処理をステップS58に進めるようにする。
ステップS58においては、画像データが記憶されたフォルダに出力条件に基づいて変換条件を設定し、処理をステップS59に進める。これにより、画像データが記憶されたフォルダに変換条件が設定されるので、変換条件を設定する操作が不要となる。ステップS59においては、出力条件で出力対象に設定されている画像データをHDD115から読出し、処理をステップS60に進める。ステップS60においては、出力条件で設定された画質となるように画像データを画像処理し、処理をステップS61に進める。ステップS61においては、画像データを、出力条件で設定されたフォーマットの第2変換画像データに変換し、処理をステップS62に進める。ステップS62においては、第2変換画像データを出力条件に設定された出力先に送信し、処理を終了する。出力条件により、電子メールアドレスが設定されている場合には、宛先に出力条件により設定された電子メールアドレスを設定し、第2変換画像データを含む電子メールを生成し、電子メールを電子メールサーバーに送信する。
なお、本実施の形態においては、画像データを出力する処理の例として、外部に送信する場合を説明したが、画像形成部140で画像データの画像を用紙に形成するようにしてもよいし、外部記憶装置117を制御して、半導体メモリ等の記録媒体に画像データを記憶するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施の形態におけるMFP100は、原稿読取装置として機能し、読取条件が設定され、読取モードが設定され、設定された読取条件と予め定められた読取条件とのいずれで原稿を読み取るかが原稿の状態または読取条件によって切り換えられる。このため、原稿の読み取り時間をできるだけ短くするとともに、出力条件で設定される可能性の高い画質の画像データが出力可能な読取条件を決定することができる。したがって、ユーザーによる使用態様に適した読取条件を設定することができる。
また、予め定められた最大読取条件で原稿を読み取る第2モードが設定されている場合であって、原稿の枚数が所定枚数以上の場合に、設定された読取条件で原稿を読み取る第1モードに切り換える。原稿の枚数が多い場合には、画像データのデータ量が大きくなるので、画像データを処理する時間を短くすることができる。
また、設定された読取条件で原稿を読み取る第1モードが設定されている場合であって、所定の画質以上の画質を処理する読取条件が設定されている場合に最大読取条件で原稿を読み取る第2モードに切り換える。画像データの画質を低くすることはできるが、高くすることはできない。このため、所定の画質以上の読取条件が設定されている場合は、最大読取条件で原稿を読み取ることにより、出力条件で定められる画質の画像データを出力することができる。
また、最大読取条件で原稿を読み取る第2モードが設定されている場合であって、文字の画像を処理する条件が設定されている場合に第1モードに切り換える。文字の画像はデータ量が低下しても文字を判別可能な場合が多いので、画像データが文字の画像を含む場合には、処理速度を優先してユーザーの待ち時間を短縮することができる。
また、最大読取条件は、原稿を読み取る能力で定まり、読取条件のうち画像の種類の設定値に写真を設定した条件であり、解像度を定める設定値に最大の解像度に設定した条件であり、色数の設定値にカラーを設定した条件である。このため、最も画質の高い画像データを取得することができる。
また、ユーザーが読取モードを設定する場合に、ユーザーが設定した読取モードを変更するので、ユーザーが、読取モードを設定した後の出力時に、画像データに要求される画質が変更される場合に、要求される画質で画像データを出力することができる。
また、HDD115が有する複数のフォルダのうち画像データが記憶されるフォルダに設定された読取モードを変更するので、ユーザーは読取モードを設定する必要がなく、操作が容易になる。
また、第1変換画像データおよび第2変換画像データのうちから、出力条件によって定められる出力対象となるデータの画質と同一の画質のデータを出力条件に従って出力するので、出力条件によって定められる画質で画像データを出力することができる。
特に、出力条件によって定められる出力対象となるデータの画質と、第1変換画像データの画質とが一致しない場合、画像データを出力条件によって定められる出力対象となるデータの画質と同じ画質の出力画像データに変換するので、出力条件によって定められる画質で画像データを出力することができる。
また、HDD115に画像データが記憶されることに応じて、画像データが記憶されたフォルダに設定された変換条件に従って画像データを変換した第2変換画像データを生成するので、出力条件が入力されてから第1変換画像データを出力するまでの時間を短くすることができる。また、出力条件によって定められる出力対象となるデータの画質と、第1画像データの画質とが一致する場合は第1変換画像データが出力されるので、出力条件によって定められる画質で画像データを出力することができる。
また、出力条件によって定められる出力対象となるデータの画質と、第1変換画像データの画質とが一致しない場合、画像データを出力条件によって定められる出力対象となるデータの画質と同じ画質の第2変換画像データに変換し、第2変換画像データを出力するので、出力条件によって定められる画質で画像データを出力することができる。
さらに、出力条件が取得される段階で、HDD115の画像データが記憶されたフォルダに変換条件が設定されていない場合には、出力条件に基づいて変換条件をそのフォルダに設定するので、変換条件を設定する操作を省略することができ、操作を簡略にすることができる。
なお、出力条件により特定されるフォーマットおよび画質と、画像データのフォーマットおよび画質とを比較し、両者が一致する場合は、画像データを出力対象に決定するようにし、画像データを出力条件に従って出力するようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態においては、原稿読取装置の一例としてMFP100を例に説明したが、原稿を読み取る機能、画像データを記憶する機能および、画像データを出力する機能を備えた装置であれば、スキャナ装置、ファクシミリ装置としてもよい。また、図4〜図6に示した原稿読取処理を、MFP100に実行させる原稿読取方法、その原稿読取方法をMFP100が備えるCPU111に実行させる原稿読取プログラムとして、発明を捉えることができるのは言うまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<付記>
前記出力手段は、前記出力条件によって定められる出力対象となるデータの画質と、前記画像データの画質とが一致する場合は前記画像データを前記出力条件に従って出力する。この局面に従えば、出力条件によって定められる画質で画像データを出力することができる。