JP2019105150A - 木の一時的反り防止剤および木質フロアのメンテナンス用洗浄剤 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、木質床材どうしが接触する箇所で反り上がる状態を示す模式的な断面図である。木質床材1が接触する箇所でコーティング膜2が剥れ3木の反り4が生じていることがわかる。
前記木の一時的反り防止剤は、20℃で液状である疎水性の液状ポリマーであり、木質フロアまたは表面コーティングした木質フロアに付与し木の表面または表面近傍を一時的に疎水性として木質床材どうしの反りを一時的に抑制する木の一時的反り防止剤である。
木は水分の吸放出による膨潤/収縮を繰り返す。すなわち、木は吸湿して膨潤し、放湿して収縮する。表面コーティングした木質フロアのコーティングが劣化すると樹脂で覆われていない部分が生じ、そこから木の中に水分が滲入して木質床材が膨張し、全体を押し広げるように作用する。体育館などの表面コーティング床は木質床材が敷き詰められて外枠は固定されているので木質床材は枠から広がることはできない。内部から押し広げようとする力が働くと、隣り合う木質床材が膨張し両方の端の部分が押し上げられて反り上がる。したがって、木質フロアのコーティングが劣化しても樹脂で覆われていない部分からの水分の滲入を抑制できれば反りを出来ると考えた。そのためには木の表面およびその近傍を疎水化し、さらに中から疎水性物質が滲み出るようにすれば一定期間水が滲入しにくいのではないか。すなわち、従来のようにアルキルケテンダイマーやアルケニルコハク酸やトールオイルなどの疎水性物質の皮膜を木の表面に固定する方法では、固定された皮膜が呼吸する木には追随できず、皮膜の割れが生じ効果は持続しない。木に固定されないフリーの疎水性物質を木の中に入れ徐々に表面から滲み出すような方法をとれば割れや劣化も生じず一時的ではあるが効果を奏し、定期的にその物質を補給すれば効果が継続できるのではないかと考え、そのような物質として疎水性の液状ポリマーが比較的長い間木の中に留まって疎水性を付与することを見出し本発明に至った。
本発明の木の一時的反り防止剤は、20℃で液状である疎水性の液状ポリマー(以下、単に反り防止剤という場合がある)である。ここで液状とは流動性があることを指し、疎水性とは水に親和性がなく水に溶解しにくいことをいい、たとえば目安としては水への溶解度が1重量%以下のものが好ましい。また、本発明における「一時的に」とは、液状オリゴマーが木から無くなると木の表面の疎水性が消失するので、疎水性が消失するまでの期間が一時的であることをいう。
液状ポリα−オレフィンについては、液状ホモポリマーおよび他のα−オレフィンの液状コポリマーであってもよい。市販品としては、たとえば、ShnfluidPAO(シェブロンフィリップス社)その他各種合成潤滑油(SUMICO社、NOK社、シグマ社など)などが使用できる。
重量平均分子量が100以上であると液状ポリマーの揮発性が大きすぎず、木の表面を疎水化する期間が長くなる。逆に分子量が10,000以下であると、木に含浸しやすく木の内部にはいり、木の表面がべたべたしにくく、フロアとして使うことができる。
木の一時的反り防止剤を溶媒で希釈混合して、木質フロアに適当な量を付与するのが好ましい。付与方法としてはスプレー塗布、モップ塗布、刷毛塗りなどの塗布方法や、液に浸漬する含浸方法などの方法が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいのは塗布方法である。木に一時的反り防止剤を少量塗布する場合は不均一になりやすいが、溶剤で希釈して塗布すると均一な塗装ができる。また、一時的反り防止剤の粘度が高すぎて塗布しにくい場合は溶媒に希釈して適当な粘度に下げて塗布するのが好ましい。溶媒としては、水や有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、炭化水素系溶剤が好ましく、その中でも弱溶剤である脂肪族炭化水素がより好ましい。
また、溶媒が水の場合には、反り防止剤は水に溶解しにくいので、界面活性剤などを加えて水に分散して使用することができる。
上記の木の一時的反り防止剤は、メンテナンス用洗浄剤として有効に適用できる。メンテナンス用洗浄剤は、本発明における木の一時的反り防止剤を0.1質量%以上5質量%以下、および炭素数6以上18以下の脂肪族炭化水素を95質量%以上含む。
炭素数6未満の脂肪族炭化水素であると揮発性が大きく木に塗布する作業において人体に害を与える可能性が大きい。炭素数18を超える脂肪族炭化水素であると、木に塗布したときの乾きが遅くメンテナンス用洗浄剤の溶媒として使用しにくい。
また、脂肪族炭化水素は、弱溶剤であり、表面コーティングした樹脂を溶解しにくい。
メンテナンス用洗浄剤は、上記の原料を室温で混合して容易に製造することができる。
メンテナンス用洗浄剤は、木質フロアや表面コーティングした木質フロアに対して1日〜数ヶ月毎に定期的に適用され、これをモップなどで拭くと、フロアを洗浄し、チリや埃を除去して床面に光沢を与えると共に、適度な耐スリップ性を付与する。
本発明のメンテナンス用洗浄剤を定期的に適用すると、表面コーティングした木質フロアの樹脂膜が劣化して剥れても、そこから水分が入りにくく接触する木質床材どうしの反りを防止することができる。
5cm×5cm×1cmの木質フロア用の無垢材を4枚準備し、2枚についてそれぞれ上記の木の一時的反り防止剤I、メンテナンス用洗浄剤Iを刷毛で塗布して室内に放置した。比較として、メンテナンス用洗浄剤Iにおける溶媒のみを塗布した板、これらを塗布しない上記の木質フロア用の無垢板を準備して室内に置き、塗布後1日経過後、10日経過後、30日経過後に上からスポイドで水道水を1滴たらし、水が木の中に吸い込まれる時間(消失時間:分)を測定した。これを5回繰り返してその平均値をとった。その結果を表1に示した。
体育館(ウレタンコーティング塗装された木質フロア)の一部の50m2ずつにメンテナンス用洗浄剤I〜III、市販の水性ワックスエマルション、水のみの5つの液を用いて、2回/月のペースで塗布を繰り返した。1年後にフロアの表面を観察したところ、メンテナンス用洗浄剤I〜IIIを用いたところは一部剥れていたが、反りもなくフラット表面であったが、水性ワックスエマルション、水のみの洗浄では若干盛り上がり(反り)がみられ完全にフラットではなかった。
本発明のメンテナンス用洗浄剤を、木質フロアや表面コーティングした木質フロアに定期的に洗浄すると、コーティングの下の木質床材どうしが接触する箇所で反り上がるということがない。すなわち、本発明において、一時的反り防止剤を含むメンテナンス用洗浄剤を 木質フロアや表面コーティングした木質フロアに定期的に付与すれば、長期間反りが防止できることを確認した。
2 コーティング膜
3 剥れ
4 木の反り
前記木の一時的反り防止剤は、20℃においてそれ自体で液状である疎水性の液状ポリマーであり、木質フロアまたは表面コーティングした木質フロアに付与し木の表面または表面近傍を一時的に疎水性として木質床材どうしの反りを一時的に抑制する木の一時的反り防止剤である。
Claims (7)
- 木質フロアまたは表面コーティングした木質フロアに付与することにより接触する木質床材どうしの反りを一時的に抑制する木の一時的反り防止剤であって、
前記木の一時的反り防止剤は、20℃で液状である疎水性の液状ポリマーであり、木質フロアまたは表面コーティングした木質フロアに付与し木の表面または表面近傍を一時的に疎水性として木質床材どうしの反りを一時的に抑制する木の一時的反り防止剤。 - 前記20℃で液状である疎水性の液状ポリマーが、液状ポリ酢酸ビニル系樹脂、液状ウレタン系樹脂、液状アクリル系樹脂、液状ポリエステル系樹脂、液状ポリオレフィン樹脂、液状ポリオキシアルキレンオキシド樹脂、液状ポリアミド系樹脂、液状ポリスルフィド系樹脂、液状シリコーン系樹脂、液状可撓性エポキシ系樹脂、液状天然ゴムから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の木の一時的反り防止剤。
- 前記20℃で液状である疎水性の液状ポリマーが、液状ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の木の一時的反り防止剤。
- 前記20℃で液状である疎水性の液状ポリマーの重量平均分子量が100以上10.000以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の木の一時的反り防止剤。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の木の一時的反り防止剤を溶媒で希釈混合して、木質フロアまたはコーティングした木質フロアに付与することを特徴とする木の一時的反り防止剤の使用方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の木の一時的反り防止剤を0.1質量%以上5質量%以下、および炭素数6以上18以下の脂肪族炭化水素を95質量%以上含むことを特徴とする木質フロアまたは表面コーティングした木質フロアのメンテナンス用洗浄剤。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の木の一時的反り防止剤または請求項6記載のメンテナンス用洗浄剤を付与した木質フロアまたは表面コーティングした木質フロア。
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JP2010077182A (ja) * | 2008-09-24 | 2010-04-08 | Kao Corp | ワックス処理された床の処理方法 |
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