JP2019104203A - 微分散混練装置及び微分散混練方法 - Google Patents

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靖人 西脇
雄児 三浦
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雄児 三浦
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行雄 吉沢
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Abstract

【課題】可塑化された材料を連続処理で高せん断加工して製品を大量生産できる。【解決手段】微分散混練装置は、予備可塑化部2で可塑化された樹脂材料を高せん断加工装置4の高せん断加工部4Aの高せん断領域Kに供給する。高せん断加工部4Aの加熱筒13内に設けた内部帰還型スクリューを高速回転させて溶融樹脂を帰還穴23を通して循環移動させ、高せん断して分散混合する。内部帰還型スクリューの先端クリアランス22で帰還穴23に連通する貫通穴30を伸長加工部4Bに設けた。加熱筒13内で循環する溶融樹脂は予備可塑化部2から連続して供給される粘度の高い溶融樹脂と層流になる。貫通穴30の管路抵抗を帰還穴23の管路抵抗より大きく設定し、内部帰還型スクリューの混練で粘度が低下した溶融樹脂は貫通穴30内に通して線状に引き延ばして連続して送り出す。【選択図】図2

Description

本発明は、高分子樹脂材料等の各種の材料を高せん断加工することによって、微細レベルに分散・混合して元の材料と異なる特性の製品を製造するための微分散混練装置及び微分散混練方法に関する。
従来、このような高せん断加工装置として例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。この高せん断加工装置は、例えば静置場では相互に溶け合わない(非相溶性)ブレンド系の材料を投入して高せん断加工することによって、相溶化剤等の余分な添加物を加えることなく、例えば数十ナノメーターサイズの分散相を有し、元の材料と特性の異なる高分子ブレンド押出し物を製造することができる。
特許文献1に記載された高せん断加工機は、高せん断スクリューである内部帰還型スクリューを回転可能に収容した加熱筒を有している。内部帰還型スクリューは螺旋状のスクリュー羽根を有する外周面と先端面から基部側に延びて外周面に開口する帰還穴が形成され、加熱筒は略有底円筒状に形成されている。
そして、内部帰還型スクリューの外周面と加熱筒内周面との間の外周クリアランス内に2〜5gの溶融状態の高分子微量材料を供給して、内部帰還型スクリューを例えば500〜5000min−1の回転数で高速回転させて数秒間混練する。
混練に際して、加熱筒の樹脂供給口と樹脂排出口を閉鎖させた密閉空間内で、溶融した高分子材料は加熱筒と高速回転する内部帰還型スクリューとの間の外周クリアランス内を前進し、内部帰還型スクリューの先端部から中心軸線に沿った帰還穴を通って後方に帰還して循環移動させられる。これによって、樹脂はせん断加工されてナノ分散化されて耐熱性、機械的特性、寸法安定性等に優れた高分子ブレンド押出し物を製造できる。
この押出し物は、せん断加工後に樹脂排出口を開弁することで外部に排出できるバッチ処理によって製造できる。
図7は特許文献1に記載の高せん断加工装置におけるバッチ処理での樹脂圧力の変化と内部帰還型スクリューの回転数を示すグラフである。図7において、高せん断加工装置の加熱筒の供給バルブと排出バルブを閉弁した状態で内部帰還型スクリューを高速回転させると、高せん断領域K内における帰還穴前部の前部樹脂圧力は高せん断抵抗の変化により最初はΔP1と高く、時間の経過に従ってΔP2、ΔP3と次第に低下し、混練の進行に従って粘度が低下する。高せん断終了後に排出バルブを開弁することで内部の樹脂を排出するため、帰還穴の後部における後部樹脂圧力は低い圧力に維持される。
国際公開第2010/089997号
しかしながら、上述した従来の高せん断加工装置は、バッチ処理によって高分子ブレンド押出し物を断続的に製造できるにすぎなかった。そのため、1回の高せん断加工によって製造できる高分子ブレンド押出し物は加熱筒と内部帰還型スクリューとのクリアランスの容積によって制限されていた。その生産能力は材料開発レベル(例えば400g/h)や製品試作レベル(4kg/h)でしかなく、市場が要求する程度に大量生産することができなかった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、バッチ式高せん断加工に代えて、可塑化された材料を連続処理で高せん断加工して大量生産できるようにした微分散混練装置及び微分散混練方法を提供することを目的とする。
本発明に係る微分散混練装置は、可塑化された材料を連続して高せん断加工し分散混合する微分散混練装置であって、可塑化された材料を加熱筒内に設けられた回転する内部帰還型スクリューによってナノレベルに分散混合する高せん断加工部と、前記高せん断加工部の加熱筒に連通されていて分散混合により混練された材料を連続して送り出し可能な貫通穴を有する伸長加工部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、可塑化された複数の材料が高せん断加工部に連続して供給され、加熱筒内の内部帰還型スクリューによって高せん断されつつ混練されて循環され、ナノレベルに分散混合されると粘度が低下するため、伸長加工部の貫通穴から送り出されて線状の製品を連続して製造できる。
また、内部帰還型スクリューには、加熱筒内の先端側に送り出した材料をその中心軸線に沿って後方に循環させる帰還穴が形成されており、貫通穴の管路抵抗は帰還穴の管路抵抗より大きく設定されていることを特徴とする。
高せん断加工部の帰還穴と伸長加工部の貫通穴は連通状態に保持され、粘度の高い可塑化された材料は管路抵抗の大きい貫通穴に移送されることなく管路抵抗の小さい帰還穴に戻されて循環されつつ内部帰還型スクリューで高せん断加工され、せん断と分散混合が進んで粘度の下がった材料が貫通穴を通して移送される。
また、帰還穴の温度と貫通穴の温度の制御によって帰還穴及び貫通穴の管路抵抗を制御し、加熱筒内の粘度が低下した材料が貫通穴から連続して送り出されていることが好ましい。
高せん断加工部の帰還穴と伸長加工部の貫通穴の管路抵抗は帰還穴の温度と貫通穴の温度によって制御され、貫通穴の管路抵抗は帰還穴の管路抵抗より大きく設定されている。
また、高せん断加工部の帰還穴と伸長加工部の貫通穴を冷却する冷却流路と、高せん断加工部に設けられた温度センサとが設けられ、温度センサの測定値に基づいて冷却流路の冷却媒体で帰還穴及び貫通穴の温度を制御するようにしてもよい。
冷却流路を流れる冷却媒体の供給量を制御することで、帰還穴及び貫通穴の温度を制御することができる。
また、伸長加工部の貫通穴に接続されたストランド製造部が設けられ、ストランド製造部から粘度が低下した材料を線状に送り出すようにしてもよい。
伸長加工部の貫通穴を通って製造された、粘度が低下した材料をストランド製造部で線状に加工してストランド部を製造できる。
また、伸長加工部の貫通穴から送り出された材料を所定長さ毎に分断する分断加工部が設けられていてもよい。
伸長加工部の貫通穴から送り出された線状の材料は、直接またはストランド製造部を介して分断することで取り扱いの容易なペレットを製造できる。
また、高せん断加工部は、可塑化された材料を循環させる帰還穴の内径寸法の異なる内部帰還型スクリューに交換可能であり、伸長加工部は、貫通穴の内径寸法の異なるものに交換可能であることが好ましい。
帰還穴の内径の異なる内部帰還型スクリューと貫通穴の内径の異なる伸長加工部との少なくとも一方を交換することで、可塑化された材料の加工条件の幅を容易に変更可能である。
本発明による微分散混練方法は、可塑化された材料を連続して高せん断加工し分散混合する微分散混練方法であって、可塑化された材料を、高せん断加工部の加熱筒内で高速回転する内部帰還型スクリューによって前方に移送させると共に内部帰還型スクリューに形成された帰還穴を通して後方に戻すことで循環させてナノレベルに分散混合させる工程と、高せん断加工部で混練された材料を、伸長加工部に形成された貫通穴を通して連続して送り出す工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、可塑化された材料を連続して高せん断加工部の加熱筒内に供給すると共に、内部帰還型スクリューによって高せん断加工されナノレベルに分散混練することで、粘度の低下した材料を伸長加工部の貫通穴を通して移送して線状の製品として製造することができる。
また、伸長加工部の貫通穴の管路抵抗は高せん断加工部の帰還穴の管路抵抗より高く設定され、帰還穴と貫通穴の管路抵抗の差によって、粘度が低下した可塑化材料が貫通穴から連続して送り出されていることが好ましい。
高せん断加工部の加熱筒内に供給される可塑化された材料は、粘度が高い状態では管路抵抗の大きい貫通穴に流れずに管路抵抗の小さい帰還穴を戻されて循環され、分散混合が進んで粘度が低下した材料は管路抵抗の大きい貫通穴を流れて外部へ移送される。
本発明による微分散混練装置及び微分散混練方法によれば、バッチ式高せん断加工に代えて、連続処理で高せん断加工することができて可塑化された材料を大量生産できる。
特に、可塑化された材料が高せん断加工部の内部帰還型スクリューによって高せん断加工されてナノレベルに分散混合されると粘度が低下するため、伸長加工部の貫通穴を通して連続して製品を製造できる。
本発明の実施形態による微分散混練装置の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す高せん断加工装置の水平断面図である。 高せん断加工装置における高せん断加工を行う工程を示す断面図である。 高せん断加工装置における高せん断加工後の溶融樹脂を貫通穴から排出する工程を示す断面図である。 高せん断加工装置における冷却装置を示す要部断面図である。 高せん断加工装置における樹脂材料の微分散混練工程を示すフローチャートである。 従来の高せん断加工装置のバッチ式処理において溶融樹脂の粘度が低下する過程を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態による微分散混練装置及び微分散混練方法について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1に示す実施形態による微分散混練装置1は、連続処理により、例えば高分子材料を溶融状態にして高せん断応力を与えつつ混練することで、樹脂の内部構造をナノレベル等の微細レベルまで分散混合して製造するものである。
本実施形態による微分散混練装置1は、例えばポリマーアロイ、ポリマーブレンド、ポリマーコンポジット系の樹脂における内部構造をナノレベルに分散・混合するための高せん断加工装置である。
この装置に用いられる高分子材料の一例として、例えば非相溶性ポリマーブレンド系、ポリマー/フィラー系、ポリマーブレンド/フィラー系の樹脂材料等のブレンド材料が挙げられる。非相溶性ポリマーブレンド系として、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリアミド11(PA11)の組み合わせや、ポリカーボネート(PC)とポリメチルメタクリレート(PMMA)の組み合わせ等がある。ポリマー/フィラー系としては、例えばポリ乳酸とカーボンナノチューブ(CNT)の組み合わせがあり、ポリマーブレンド/フィラー系として、例えばPVDFとポリアミドとCNTとの組み合わせなどがある。
なお、本発明では高分子系材料として高分子ブレンド材料に限定されることなく、他のブレンド材料や、ブレンドしない単一の分子材料等を高せん断加工してナノ分散化して連続製造することができる。2種または3種以上の適宜材料を用いて相互に分散混練することができる。
本実施形態による微分散混練装置1は、例えばペレット形状をなす固体状の高分子ブレンド系の樹脂(以下、「固体状樹脂」という)を予備可塑化部2に投入して予備可塑化スクリュー3で可塑化し、可塑化された溶融樹脂を予備可塑化スクリュー3によって高せん断加工装置4の前段部である高せん断加工部4A内に押し出し注入して溶融樹脂をナノ分散化させる。高せん断された溶融樹脂は高せん断加工装置4の後段部である伸長加工部4Bによって線状に押し出され、ストランド製造部5によって固体のストランド部Sとして排出される。線状のストランド部Sはそのまま製品として出荷できるが、更にペレット化部6でペレット状に分断成形されることで取り扱いが一層容易になる。
予備可塑化部2は、原材料であるペレット化した複数種類の樹脂材料をホッパ8から予備可塑化スクリュー3を設けた予備可塑化加熱筒9内に投入し、予備可塑化加熱筒9内の予備可塑化スクリュー3で樹脂材料を加熱しつつ混練して可塑化する。予備可塑化スクリュー3の後部には予備可塑化用の駆動モータM1と、駆動モータM1の出力を減速して予備可塑化スクリュー3に伝達する減速機10とを備えている。
予備可塑化スクリュー3で溶融された樹脂材料は予備可塑化加熱筒9の吐出口9aから高せん断加工部4A内に供給される。ホッパ8から連続して予備可塑化加熱筒9内に樹脂材料を供給することで、予備可塑化スクリュー3の吐出口9aから溶融樹脂が連続して高せん断加工装置4に供給されることになる。
次に図2に示す高せん断加工装置4は溶融された樹脂材料を高せん断加工する前段部としての高せん断加工部4Aと、ナノレベルに分散混合されて粘度が低下した樹脂材料を線状に引き延ばして冷却しつつ排出する後段部としての伸長加工部4Bとを備えている。
高せん断加工部4Aは、略水平方向に配設された有底の略中空円筒形状の加熱筒13と、この加熱筒13内に挿通された状態で中心軸線O回りに回転可能な略円柱形状の内部帰還型スクリュー14と、この内部帰還型スクリュー14の基端部をなすスピンドル14aに連結されたシリンダ受け15とを有している。シリンダ受け15の基端側には、シリンダ受け15を介して内部帰還型スクリュー14のスピンドル14aを回転させるための例えばサーボモータからなる駆動モータM2と、内部帰還型スクリュー14のスピンドル14aをベアリングを介して回転可能に支持する軸受16とが設けられている。
次に高せん断加工装置4の高せん断加工部4Aについて図2を中心に説明する。
加熱筒13は例えば長手方向を略水平方向に向けた状態で保持され、外周面がヒーター18によって覆われている。ヒーター18を温度制御することで加熱筒13は加温可能となっている。
加熱筒13に設けられる注入口13aは内部帰還型スクリュー14を回転可能に収容する内空部の高せん断領域Kに連通しており、注入口13aには上述した予備可塑化部2における予備可塑化加熱筒9の吐出口9aが装着されて連通する構成となっている。吐出口9aと注入口13aは常時連通する溶融樹脂の流路とされている。
加熱筒13の内部には、内部帰還型スクリュー14が加熱筒13と略同軸に配設されて回転可能である。その基端部は駆動モータM2の回転軸に連結されたスピンドル14aと同軸に連結され、駆動モータM2の回転力が伝達されている。内部帰還型スクリュー14は駆動モータM2により、例えば100〜5000min−1の回転数で高速回転させられて溶融樹脂を混練しつつ高せん断することができる。
内部帰還型スクリュー14は略円柱状に形成され、その外周面には螺旋状にスクリュー羽根20が突出して形成されている。内部帰還型スクリュー14が高速回転することで高せん断領域Kの溶融樹脂をスクリュー羽根20で高速せん断しつつスクリュー羽根20間の溝面20aに保持して前方に移送することができる。
加熱筒13の内周面と内部帰還型スクリュー14の外周面との間の略円筒状をなす空間は外周クリアランス21であり、内部帰還型スクリュー14の先端面14bと後述する伸長加工部4Bの後端面との間に形成された略円板状の空間は先端クリアランス22である。高せん断領域Kは外周クリアランス21と先端クリアランス22とで形成されている。予備可塑化スクリュー3から注入された溶融樹脂を注入口13aを通して加熱筒13内の外周クリアランス21に流入させることができる。
そして、スクリュー羽根20の間の溝面20aが内部帰還型スクリュー14の中心軸線Oに平行となる構成、すなわち外周クリアランス21における加熱筒13の内周面と内部帰還型スクリュー14の外周面のスクリュー羽根20及び溝面20aとの間の隙間が中心軸線O方向にわたって略一定の間隔となっている。
内部帰還型スクリュー14の内部には、その回転中心である中心軸線Oに沿って先端面14bの流入口23aから後方に向かって帰還穴23が穿孔されている。帰還穴23は溶融樹脂の注入口13aよりも後側また略同一位置において中心軸線O上から径方向外側にそれぞれ延びて外周面の吐出口23bで外周クリアランス21に連通している。即ち、帰還穴23は内部帰還型スクリュー14の中心軸線O上を流入口23aから後方に延びて吐出口23bの位置で中心軸線Oから外れて外周面に向けて略径方向外側に延びて各吐出口23bに連通する流路を形成している。
これにより、帰還穴23は流入口23aと吐出口23bとで高せん断領域Kに連通している。帰還穴23の内径は例えばD1、長さL1に設定されている。
帰還穴23において、流入口23aが高せん断中に帰還穴23内を流れる溶融樹脂の上流側となり、吐出口23bが下流側となる。高せん断領域Kの外周クリアランス21に注入された溶融樹脂は、図3に示すように、内部帰還型スクリュー14の回転とともに外周クリアランス21に沿って先端側に送られ、先端面14bの先端クリアランス22において流入口23aより帰還穴23に流入して後方へ流れて吐出口23bより外周クリアランス21へ吐出され、再び内部帰還型スクリュー14の回転とともに先端側へ送られる循環流動がなされる。
注入口13aの位置は、内部帰還型スクリュー14の後端寄りに設けられている帰還穴23の吐出口23bよりも先端側または略同一の位置となっている。
そのため、内部帰還型スクリュー14は加熱筒13との間で、混練に必要な溶融樹脂の循環がスムーズとなり、高せん断効率を高めることができる。また、内部帰還型スクリュー14の基端部のスピンドル14aは、スクリュー羽根20が形成されていない外周クリアランス21の範囲外の位置に設けられていて、加熱筒13の内面に対して液密に摺動可能となっている。
加熱筒13には、外周クリアランス21における吐出口23b近傍の樹脂圧を測定するための第一樹脂圧センサー25と、先端クリアランス22近傍の樹脂圧を測定するための第二樹脂圧センサー26とが設置されている。
次に高せん断加工部4Aの後端部に連結した伸長加工部4Bについて説明する。
伸長加工部4Bにはシリンダ27が設置され、その後端面27aは加熱筒13の先端面に連結されて封止されており、先端クリアランス22を液密に閉鎖している。シリンダ27は略円柱状に形成され、その中心軸線Oに沿って赤外線式樹脂温度センサー28が設置されている。
赤外線式樹脂温度センサー28の計測端は帰還穴23の流入口23aに対向して露出しており、反計測端はシリンダ27の先端面27bから外部に突出している。赤外線式樹脂温度センサー28は、流入口23aの高せん断加工中の溶融樹脂の温度を赤外線で連続して測定することができる。
伸長加工部4Bの後端面27aから先端面27bを貫通して高せん断領域K内の溶融樹脂を外部に排出させる貫通穴30が形成されている。貫通穴30は内径D2、長さL2とされている。貫通穴30は加熱筒13の先端クリアランス22における帰還穴23から径方向外側に外れた位置に設置されている。なお、内部帰還型スクリュー14の帰還穴23の管路抵抗よりも貫通穴30の管路抵抗の方が大きく設定されている。
図4に示すように、高せん断領域K内で循環して高せん断され分散混合された溶融樹脂は粘度が低下するため、管路抵抗の大きい貫通穴30を通して外部に排出されるようになっている。
加熱筒13の肉厚の周壁面と伸長加工部4Bの周壁面の内部には、中心軸線Oの周囲に複数の冷却流路31、32が形成されている。加熱筒13に設けた2本の冷却流路31を符号31a、31bで示す、伸長加工部4Bに設けた3本の冷却流路32を符号32a、32b、32cで示す。これらの冷却流路31、32を中心軸線Oに沿って所定間隔で配設することで、加熱筒13及び帰還穴23の内壁及び溶融樹脂と貫通穴30の内壁及び溶融樹脂を適宜温度に調整することができる。
冷却流路31、32内には、冷却媒体として水や空気やガス等を流通させることが可能であり、本実施形態では例えば水を流している。
次に図5に示す高せん断加工装置4の冷却装置35について説明する。
冷却流路31、32に冷却水を供給して循環させる冷却回路36は回路を分岐させており、冷却水供給源37から図示しない給水ポンプの作動によって、冷却回路36の冷却流路31a、31b、32a、32b、32cにそれぞれ冷却水を供給している。上流側の冷却水供給源37の近傍には入口冷却水温度計38が設置されている。冷却回路36における加熱筒13の供給側の冷却流路31a、31bに冷却水を供給する流路には電磁弁39a、39bと絞り弁40a、40bがそれぞれ設置されている。入口冷却水温度計38の下流側の回路で分岐してシリンダ27の冷却流路32a、32b、32cにそれぞれ冷却水を供給する各流路には、電磁弁41a、41b、41cと絞り弁42a、42b、42cがそれぞれ設置されている。
また、冷却回路36において、加熱筒13に設けた排出側の冷却流路31a、31bの各流路には、出口冷却水温度計44a、44bがそれぞれ設置されている。伸長加工部4Bにおけるシリンダ27の排出側の冷却流路32a、32b、32cの各流路には、出口冷却水温度計45a、45b、45cがそれぞれ設置されている。冷却回路36の出口冷却水温度計44a、44b、45a、45b、45cの下流側の流路には貯留タンク46が設置され、使用済みの冷却水を貯留する。貯留タンク46内の排水は再度冷却して冷却水供給源37に循環させてもよい。
冷却装置35には、加熱筒13内とシリンダ27内の樹脂温度を調整する制御手段48が設置されている。この制御手段48には、赤外線式樹脂温度センサー28、入口冷却水温度計38、出口冷却水温度計44a、44b、出口冷却水温度計45a、45b、45cの各測定値が常時入力される。制御手段48は、これらの測定温度に基づいて、電磁弁39a、39b、電磁弁41a、41b、41cの開閉弁を制御して、加熱筒13の高せん断領域K、シリンダ27の貫通穴30内の溶融樹脂の冷却温度を制御する。
制御手段48によって、高せん断加工部4Aの加熱筒13内より伸長加工部4Bのシリンダ27内がより低温になるように制御される。これにより、内部帰還型スクリュー14の帰還穴23の管路抵抗よりも貫通穴30の方が管路抵抗が大きくなるように制御される。しかも、冷却装置35によって加熱筒13内の温度を低減することで、循環する溶融樹脂の温度を低下させて内部帰還型スクリュー14による高せん断加工を効率よく行うことができる。
ここで、溶融樹脂の帰還穴23の管路抵抗ΔPa及び貫通穴30の管路抵抗ΔPbと溶融樹脂の粘度との関係について説明する。管路抵抗ΔPは次式で表せる。
管路抵抗(損失)ΔP=λ・L/D・ρv/2 ……(1)
(1)式において、管路が円管の場合、L:管長さ、D:管内径、ρ:流体の密度、v:流体の速度である。λは管摩擦係数であり、Reはレイノズル数である。層流の場合、λ=64/Re、乱流の場合、λ=0.3164・Re-0.25と表せる。
また、Re=ρvL/μ
ここで、ρ:流体の密度、v:流体の速度、L:流体の流れた距離、μ:流体の粘度。
溶融樹脂の流れを層流として計算すると、
管路抵抗ΔP=64μ/ρvL・L/D・ρv/2 ……(2)
となるから、粘度μは管路抵抗ΔPに比例することがわかる。即ち、粘度μが低くなれば管路抵抗ΔPは下がる。通過する管路の温度によっても流れ具合は変わるが、流れる材料の温度が変われば粘度が変わると理解すれば、管路抵抗として扱えることがわかる。
上記(2)式を本実施形態に当てはめると、図2から、帰還穴23と貫通穴30が円管である場合、帰還穴23及び貫通穴30の長さはL1、L2、内径はD1,D2、溶融樹脂の密度はρ1、ρ2、速度はv1、v2となる。
そのため、本実施形態の高せん断加工装置4において、加熱筒13内に供給された溶融樹脂は内部帰還型スクリュー14の高速回転により、スクリュー羽根20で高せん断加工されながら外周クリアランス21内を前方に押し出され、先端クリアランス22に移送される。先端クリアランス22において、溶融樹脂は帰還穴23と伸長加工部4Bの貫通穴30へ流入可能である。混練が進んでいない溶融樹脂は粘度が高く流れにくいため、管路抵抗の大きい貫通穴30ではなく管路抵抗の小さい帰還穴23内に進むことになる。
帰還穴23内を先端側から後端側に送られた溶融樹脂は吐出口23bにより外周クリアランス21に戻され、新たに予備可塑化部2から投入された予備混練された(粘度の高い)溶融樹脂と一緒になって再度先端側に送られ、循環運動を行う。こうして高せん断と移送を繰り返すことで混練が進むと、溶融樹脂の粘度が低下してくる。混練が進んで粘度が低下した溶融樹脂は、先端クリアランス22から帰還穴23ではなく管路抵抗がより大きい貫通穴30へ連続して流れて引き延ばされ、線状に加工される。この線状の溶融樹脂は伸長加工部4Bからストランド製造部5へ移送される。
シリンダ27の貫通穴30を移送される粘度が低下した溶融樹脂は、図1に示すように、連結管50を介してストランド製造部5の受け入れ部51に供給される。ストランド製造部5は、受け入れ部51と、受け入れ部51の前方に連結された筒体53の内面に装着されていて溶融樹脂を押出す押出スクリュー部54と、押出スクリュー部54を回転駆動させる駆動モータM3及び減速機55とを備えている。
押出スクリュー部54の先端部には、線状の溶融樹脂を固体の紐状部材であるストランド部Sとして押し出す吐出口53aが形成されている。押出スクリュー部54には真空引き装置57が連結されている。真空引き装置57は、押出スクリュー部54に接続された真空引きベント58と、チューブ59を介して真空引きベント58に接続された真空引き部60と駆動モータM4とが設けられている。
高せん断加工装置4で溶融樹脂を混練すると溶融樹脂に残留モノマーや溶剤等のガス成分が顕在化し、溶融樹脂と共にストランド製造部5へ搬送される。このガス成分は安定したストランド部SやペレットPの製造の邪魔になるため、真空引き装置57によってこれらのガス成分を吸引し回収する。
線状のストランド部Sはそのまま製品として出荷できる。例えば線状のストランド部Sをロール状に複数回巻回させて巻き線束として出荷することができる。しかし、取扱いを便利にするために、ストランド部Sをペレット化部6によって分断してペレットPを製造してもよい。ペレット化部6は、例えば上下のローラ62,62でストランド部Sを挟み込んで、引き出されたストランド部Sをカッタ63によって所定長さ毎に切断してペレットPを製造できる。ストランド部SをペレットPに分断して出荷することで、取り扱いが一層容易になる。
なお、本実施形態による微分散混練装置1は、高せん断加工部4Aにおける内部帰還型スクリュー14を帰還穴23の内径の異なるものに交換可能であり、同様に伸長加工部4Bを貫通穴30の内径の異なるものに交換可能である。これにより、連続的に製造される溶融樹脂の混練状態を任意に変化させることができる。
更に内部帰還型スクリュー14の回転数を調整し、赤外線式樹脂温度センサー28による樹脂温度の測定値をモニターしながら冷却装置35で高せん断加工装置4の温度制御をすることで、溶融樹脂の混練状態を任意に変化させることができる。
本実施形態による微分散混練装置1は上述の構成を備えており、次にその作用を微分散混練方法として説明する。
高せん断加工に用いる材料として、高分子材料等の適宜の1または複数の材料を採用可能である。ここでは、例えば二種類以上の高分子からなる有機材料を用いる。一例として、高分子ブレンド系の樹脂、例えば非相溶性ポリマーブレンド系、ポリマー/フィラー系、ポリマーブレンド/フィラー系の固体状樹脂材料等を用いるものとするが、他の高分子材料を用いてもよい。
なお、図6に示す高せん断加工工程のフローチャートに基づいて、予備可塑化2から高せん断加工装置4の高せん断加工部4Aへの溶融樹脂の投入と高せん断加工、伸長加工部4Bを通した樹脂の伸長及び加工の動作を次に説明する。
図1及び図2において、上述したペレット状の複数種類の樹脂材料を、微分散混練装置1における予備可塑化部2のホッパ8に連続して投入し(ステップ1)、予備可塑化加熱筒9内の予備可塑化スクリュー3で加熱混練して溶融樹脂を製造する(ステップ2)。溶融樹脂は予備可塑化加熱筒9の吐出口9aから高せん断加工装置4における高せん断加工部4Aの注入口13aを通して加熱筒13の高せん断領域K内に連続して供給する(ステップ3)。
そして、図3に示す高せん断加工部4Aにおいて、内部帰還型スクリュー14を例えば100〜5000min−1の範囲で高速回転させ、溶融樹脂を高せん断加工する(ステップ4)。溶融樹脂の分散混練度を上げてより高いせん断流動と伸長流動を付与するために、回転数を上げるかより長い時間連続して混練させる。加熱筒13内の溶融樹脂は外周クリアランス21で、内部帰還型スクリュー14のスクリュー羽根20によってせん断されつつ前方に送られる。先端クリアランス22では、貫通穴30の管路抵抗が帰還穴23の管路抵抗より大きいため、混練が進んでいない粘度の高い溶融樹脂は、流入口23aから帰還穴23の後端側に送られ、吐出口23bから外周クリアランス21に戻される。このような循環運動が加熱筒13の高せん断領域K内で繰り返して行われ、溶融樹脂の高せん断が進む。
しかも、冷却装置35の冷却回路36において、赤外線式樹脂温度センサー28による帰還穴23の流入口23aの温度、図5に示す入口冷却水温度計38、出口冷却水温度計44a、44b、45a、45b、45cで測定した冷却流路31、32の内壁温度に基づいて、制御手段48で各冷却流路31、32を流れる冷却媒体の流量を制御して温度調整する。これによって、帰還穴23の管路抵抗よりも貫通穴30の管路抵抗の方が大きい状態にコントロールする(ステップ5)。
なお、帰還穴23及び貫通穴30の管路抵抗の比が適切でない場合には、内部帰還型スクリュー14及び/またはシリンダ27を別の内径のものに交換して、下記の式を維持できるように、帰還穴23及び貫通穴30の管路抵抗の比を調整してもよい。
帰還穴23の管路抵抗L1/D1<貫通穴30の管路抵抗L2/D2 ……(3)
高せん断加工部4Aの高せん断領域K内で、高せん断加工によって溶融樹脂の粘度を低下させ(ステップS6)、制御手段48によって赤外線式樹脂温度センサー28で検出した樹脂温度を指標として溶融樹脂の温度を各冷却流路31、32の水流の流量制御によって低下させる(ステップ7)。そして、粘度と温度の低下した溶融樹脂を伸長加工部4B内の貫通穴30で線状に加工しながら伸長させて連結管50に排出させる(ステップ8)。
しかも、予備可塑化部2から高せん断加工装置4の高せん断加工部4Aへの溶融樹脂の投入と高せん断加工、伸長加工部4Bを通した溶融樹脂の線状への伸長と排出の動作は連続して行われる。
連結管50からストランド製造部5に排出された線状の溶融樹脂は、筒体53内で押出スクリュー部54で混練されながら押し出される。その際、混練によって溶融樹脂から残留モノマーや溶剤等のガス成分が発生するが、ガス成分は真空引き装置57によって真空引きベント58を介して真空引き部60に吸引され、回収される。
溶融樹脂は筒体53内でも冷却され、先端の吐出口53aから固化されたストランド部Sとして外部に押し出される。取り出されたストランド部Sはリング状に丸めた線状の束として出荷できる。これにより、複数種類の樹脂材料を用いて耐熱性、機械的特性、寸法安定性等に優れた高分子ブレンド押出し物としての樹脂製品を製造することができた。
なお、ストランド部Sの取り扱いをより容易にするために、ペレット化部6に移送されて上下のローラ62,62で挟み込み、引き出されたストランド部Sをカッタ63によって所定間隔で切断してペレットPに製造した。ストランド部SをペレットPに分断して出荷することで、製品の取り扱いが一層容易になる。
次に、本発明の実施形態の実施例として、実施例1、実施例2に示す微分散混練装置1で樹脂製品を製造した。特許文献1のバッチ式による高せん断加工装置で可能となった「非相溶性のポリカーボネート(PC)/ポリメチルメタクリレート(PMMA)の溶融混練で、光学的に透明な材料に分散させた内容を、以下に連続的に高せん断混練させて光学的透明にすることができた事例を示す。樹脂材料としてポリカーボネート(PC)とポリメチルメタクリレート(PMMA)の組み合わせを用いた。ポリカーボネート(PC)は三菱エンジニアリングプラスチック(株)製S3000、ポリメチルメタクリレート(PMMA)は三菱ケミカル(株)製VH001を使用した。製造された樹脂製品はTA Instruments社製の示差操作熱量計(DSC)でガラス転移点Tgを計測した。また、樹脂製品は、目視観察により透明性の高さと着色度合いを目視評価として評価した。
下記の表1、表2において、項目Aは帰還穴23の内径(穴径)D1、項目Bは帰還穴23の長さL1と内径D1の比L1/D1、項目Cは貫通穴30の内径(穴径)D2、項目Dは貫通穴30の長さL2と内径D2の比L2/D2、Eは各実施例1,2の各テストで製造した樹脂製品の生産量(重量)の計測値、項目Fは内部帰還型スクリュー14の回転数(min−1)、項目GはPCとPMMAの重量比、項目Hは製造した樹脂製品のガラス転移点Tgを示している。
Figure 2019104203
Figure 2019104203
表1は実施例1を示す。実施例1では、樹脂材料としてポリカーボネート(PC)とアクリル(PMMA)を9:1の比率で用いた。
実施例1では、テストサンプルとしてテストNo.1〜6を用いた。各微分散混練装置1において、内部帰還型スクリュー14の帰還穴23の内径(穴径)D1と長さL1、シリンダ27の貫通穴30の内径(穴径)D2と長さL2を表1に示すとおりに設定し、内部帰還型スクリュー14の回転数(min−1)を違えて樹脂製品の製造能力をテストした。例えばL1は50mmに設定し、L2は73mmに設定した。
表2は実施例2を示す。実施例2では、樹脂材料としてポリカーボネート(PC)とアクリル(PMMA)を8:2の比率で用いた。
実施例2では、テストサンプルとしてテストサンプルNo.11〜13を用いた。各微分散混練装置1において、内部帰還型スクリュー14の帰還穴23の内径(穴径)D2と長さL1、シリンダ27の貫通穴30の内径(穴径)D2と長さL2を表2に示すとおりに設定し、内部帰還型スクリュー14の回転数(min−1)を違えて樹脂製品の生産能力をテストした。
なお、高せん断加工装置4の高せん断加工部4A、伸長加工部4Bの各冷却流路31a、31b、32a、32b、32cに流す冷却水流をそれぞれ調整して溶融樹脂の粘度を低下させるために樹脂温度を下げて、帰還穴23及び貫通穴30の各管路抵抗を調整した。これにより、PC/PMMA=8:2の樹脂製品サンプルの連続製造を可能にした。
製造試験の結果、実施例1,2の各微分散混練装置1で得られた樹脂製品サンプルは、着色目視評価で問題なく光透過性の高い透明な樹脂が得られた。しかも、従来例である上述した特許文献1に記載の高せん断加工装置では、バッチ式連続運転では400g/時で製造することが生産能力の限界であった。これに対し、本実施例1、2による微分散混練装置1では、連続式運転であるため、1.2kg/時〜2.4kg/時の樹脂製品を連続して製造できた。
例えば、実施例1のテストNo.6に示す例では、2.19kg/時(35.9g/分)で製造することができた。そのため、従来技術の約5倍超えの製造能力が得られた。しかも、樹脂製品のTg(ガラス転移点)は141.5℃であった。PCのTgは150.9℃、PMMAのTgは115.9℃であったため、樹脂製品のTgがPCとPMMAの中間の温度を示しており、樹脂製品サンプルを連続的に製造できた証である。
また、テストサンプルNo.1〜6、11〜13の評価結果において、いずれも透明性の高い樹脂製品が得られた。評価結果△ではわずかに着色(焼け)が見られたが、○、◎は着色(焼け)もなく高品質の樹脂製品が得られた。
また、管路抵抗(損失)ΔPは上記(1)式により表せると説明したが、L/Dだけでなく他の要素もテスト結果から理解できる。
上述のように本実施形態による微分散混練装置1及び微分散混練方法によれば、ペレット状の複数種類の樹脂材料を予備可塑化部2に投入し溶融樹脂として高せん断加工装置4の高せん断加工部4A及び伸長加工部4Bによってナノレベルに分散混練して線状に加工する工程を、連続して処理できる。そのため、従来のバッチ処理と比較して大量の樹脂製品を連続してストランド部SまたはペレットPとして製造することができ、格段に高い生産性が得られた。
しかも、内部帰還型スクリュー14の回転数、帰還穴23の内径D1、貫通穴30の内径D2の変更を内部帰還型スクリュー14の交換やシリンダ27の交換で簡単に行えるので、最適な高せん断流動条件及び高せん断された溶融樹脂の伸長流動条件の選択が可能であり、加工条件の幅が容易に変更可能である。しかも溶融樹脂の混練及び伸長条件を幅広く変更可能で連続して樹脂製品を製造できる。
以上、本発明の実施形態による微分散混練装置1及び微分散混練方法について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同一または同様な部材、部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。
例えば、本実施形態による微分散混練装置1では、高せん断加工できる材料として高分子材料の溶融樹脂を採用しているが、その性状は粉体、流体、粒子からなる材料であってもよい。また、使用対象となる材料系としては、非相溶性ポリマーブレンド系、ポリマー/フィラー系、さらにはポリマーブレンド/フィラー系の材料が挙げられるが、それ以外の材料、そして高分子材料以外の他の種類の樹脂材料であってもかまわない。
上述した実施形態による微分散混練装置1では、高せん断加工装置4の伸長加工部4Bの貫通穴30から排出させた溶融樹脂を更に、ストランド製造部5及びペレット化部6を通してペレットP状に形成したが、本発明ではペレット化部6を設けなくてもよく、ストランド製造部5の吐出口53aから排出させた線状のストランド部Sを製品としてもよい。
また、ストランド製造部5を設けずに、伸長加工部4Bの貫通穴30から排出された線状の樹脂部材をペレット化部6でペレットPとして切断加工し、これを製品としてもよい。その際、シリンダ27に冷却流路32をより多く配設するか、より低温またはより大量の冷却媒体を各冷却流路32a、32b、32cに供給して貫通穴30から排出される樹脂材料を固体状にすることが好ましい。
或いは、ストランド製造部5やペレット化部6を設けずに、伸長加工部4Bの貫通穴30から排出された固体状の線状の樹脂部材を製造品としてもよい。
なお、ペレット化部6において、線状部材をなすストランド部Sを略円柱状や角柱状のペレットに分断加工して製品化することについて説明したが、小球状等でもよく、製品は適宜形の分割体からなるペレットPに製造できる。ペレット化部6は分断加工部に含まれる。
なお、本発明による微分散混練装置1及び微分散混練方法は、樹脂材料に限定されることなく各種の溶融可能な材料を幅広く加工可能である。
また、上述した実施形態では、予備可塑化部2、高せん断加工装置4、ストランド製造部5において一軸スクリューを用いたが、一軸スクリューに代えて二軸スクリューやプランジャ等を採用可能である。また、予備可塑化部2や高せん断加工装置4のスクリューの外周側にヒーターや熱電対等の加熱部を設けたが、ストランド製造部5やペレット化部6や真空引き装置57にも外周側に加熱部を設置して溶融樹脂や樹脂製品の温度制御が可能である。
1 微分散混練装置
2 予備可塑化部
3 予備可塑化スクリュー
4 高せん断加工装置
4A 高せん断加工部
4B 伸長加工部
5 ストランド製造部
6 ペレット化部
13 加熱筒
14 内部帰還型スクリュー
14a スピンドル
21 外周クリアランス
22 先端クリアランス
23 帰還穴
25 第一樹脂圧センサー
26 第二樹脂圧センサー
27 シリンダ
28 赤外線式樹脂温度センサー
30 貫通穴
31、31a、31b、32、32a、32b、32c 冷却流路
35 冷却装置
36 冷却回路
38 入口冷却水温度計
44a、44b 出口冷却水温度計
48 制御手段
K 高せん断領域

Claims (9)

  1. 可塑化された材料を連続して高せん断加工し分散混合する微分散混練装置であって、
    可塑化された材料を加熱筒内に設けられた回転する内部帰還型スクリューによってナノレベルに分散混合する高せん断加工部と、
    前記高せん断加工部の前記加熱筒に連通されていて分散混合により混練された材料を連続して送り出し可能な貫通穴を有する伸長加工部と、
    を備えたことを特徴とする微分散混練装置。
  2. 前記内部帰還型スクリューには、前記加熱筒内の先端側に送り出した材料をその中心軸線に沿って後方に循環させる帰還穴が形成されており、
    前記貫通穴の管路抵抗は前記帰還穴の管路抵抗より大きく設定されている請求項1に記載された微分散混練装置。
  3. 前記帰還穴の温度と前記貫通穴の温度の制御によって前記帰還穴及び前記貫通穴の管路抵抗を制御し、
    前記加熱筒内の粘度が低下した材料が前記貫通穴から連続して送り出されている請求項2に記載された微分散混練装置。
  4. 前記高せん断加工部の帰還穴と前記伸長加工部の貫通穴を冷却する冷却流路と、前記高せん断加工部に設けられた温度センサとが設けられ、
    前記温度センサの測定値に基づいて前記冷却流路の冷却媒体で前記帰還穴及び前記貫通穴の温度を制御するようにした請求項3に記載された微分散混練装置。
  5. 前記伸長加工部の貫通穴に接続されたストランド製造部が設けられ、前記ストランド製造部から粘度が低下した前記材料を線状に送り出すようにした請求項1から4のいずれか1項に記載された微分散混練装置。
  6. 前記伸長加工部の貫通穴から送り出された前記材料を所定長さ毎に分断する分断加工部が設けられている請求項1から5のいずれか1項に記載された微分散混練装置。
  7. 前記高せん断加工部は、可塑化された材料を循環させる前記帰還穴の内径寸法の異なる前記内部帰還型スクリューに交換可能であり、
    前記伸長加工部は、前記貫通穴の内径寸法の異なるものに交換可能である請求項2から4のいずれか1項に記載された微分散混練装置。
  8. 可塑化された材料を連続して高せん断加工し分散混合する微分散混練方法であって、
    可塑化された材料を、高せん断加工部の加熱筒内で高速回転する内部帰還型スクリューによって前方に移送させると共に前記内部帰還型スクリューに形成された帰還穴を通して後方に戻すことで循環させてナノレベルに分散混合させる工程と、
    前記高せん断加工部で混練された材料を、伸長加工部に形成された貫通穴を通して連続して送り出す工程と、
    を備えたことを特徴とする微分散混練方法。
  9. 前記伸長加工部の貫通穴の管路抵抗は前記高せん断加工部の帰還穴の管路抵抗より高く設定され、前記帰還穴と貫通穴の管路抵抗の差によって粘度が低下した前記材料が貫通穴から連続して送り出されている請求項8に記載された微分散混練方法。
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