JP2019101299A - 光偏向装置 - Google Patents
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Abstract
Description
0°<H≦tan-1[(dy/dx)/M]<90° ・・・(1)
(dx:前記放射部のx方向における放射素子のピッチ、dy:前記放射部のy方向における放射素子のピッチ、M:前記放射部のx方向における放射素子の配列数)
本発明に係る光偏向装置は、可視光放射や赤外線通信等を行うものであり、スキャニングデバイスやレーザープリンタ等に適用される。図面に示す光偏向装置およびその要素は、明確に説明するために、大きさや位置関係等を誇張していることがあり、また、形状や構造を単純化していることがある。
本発明の第1実施形態に係る光偏向装置10は、図1に示すように、16個の放射素子12を(4×4)に配列してなる放射部(合成放射部)20と、末端に放射素子12のそれぞれを接続する16本の光導波路11と、光導波路11毎に当該光導波路11を伝播する光の位相を調整する一対の電極4,5(位相調整手段)と、を備え、放射素子12のそれぞれの中心がx方向とy方向とに沿った正方格子状に配置され、光導波路11の放射素子12に接続する部分(光出力部1o、図3参照)が、x方向に対して一定の角度H(0°<H<90°)で傾斜して直線状に形成された構造である。ここでは説明を簡潔にするために、光偏向装置10が4×4の16個の放射素子12を備える構成で例示している。そして、光偏向装置10は、光導波路11の先端から光を入射されて、放射部20から+z方向(真上)を中心とした所望の方向へビーム(出力光)Loを出力する。光偏向装置10は、16本の光導波路11にその先端から光を入射するために、外部から入力光Liを入力されるように光偏向装置10の側面に先端が露出して設けられた光入力部1i、および光入力部1iから16本の光導波路11の先端に分岐して接続する分配器1dを備え、さらに、光導波路11およびこれに接続する放射素子12等の周囲を埋めるクラッド層3、ならびにすべての部品を最上層で支持する基板6を備える。詳しくは、図2に示すように、光偏向装置10は、下から、電極5、クラッド層3、光導波路11、クラッド層3、電極4、基板6、の順に配置されている。また、光偏向装置10は、平面(xy面を指す)視で長方形の平板形状であり、長手方向をy方向として、x方向に(y軸)対称(左右対称)な構造である。以下、本実施形態に係る光偏向装置を構成する各要素を詳細に説明する。
光入力部1iは、光導波路11を伝播する光を外部から入力するための入力ポートであり、光偏向装置10の側面(端面)の1箇所、図1ではy方向の一端側の側面の中心に、露出して形成される。光偏向装置10は、この光入力部1iの端面に、赤外線等の所定の波長の光源(図示省略)を対向させて使用される。光源としては、レーザー光源が好ましく、あるいは発光ダイオード(LED)等の一般光源を適用することもできる。光偏向装置10は、さらに必要に応じて、光源と光入力部1iの間に、ボールレンズやシリンドリカルレンズ等の光学素子(図示省略)が設けられる。光偏向装置10はさらに、その他の光学素子として、光入力部1iにおける入射光Liの偏光を特定方向に揃えるために、光の偏光方向を保持する偏波保持ファイバを光源に接続し、あるいは、光入力部1iに入射する光の偏光方向を選別するフィルタを設置することが好ましい。入射光Liの偏光方向については、後記の光導波路11の説明において説明する。分配器1dは、1本の光入力部1iから入力された光をすべての(16本の)光導波路11に等分配する光学素子であり、公知の構造を適用することができる。具体的には、図1に示すような、光を2分岐ずつ分配する3dBカプラ(結合器)や、多モード干渉(MMI:Multi Mode Interference)型カプラと呼ばれる1入力多出力の光ビームスプリッタが挙げられる。光入力部1iおよび分配器1dは、光導波路11、さらに放射素子12と同一の光学材料で連続して一体に形成され(適宜まとめて、コア層1と称する)、その材料については、後記の光導波路11の説明において記載する。
光導波路11は、先端(光の入射側を指す)に分配器1dが、末端(光の出射側を指す)に放射素子12がそれぞれ接続され、光入力部1iおよび分配器1dを経由して入力された光Liを伝播させて放射素子12へ導く。また、光導波路11は、屈折率が変化することによって、伝播する光の位相を調整する。そのために、光導波路11は、入力光Liの波長λの光を透過させ、波長λでの屈折率が電気的なまたは熱的な手段により変化させられる電気光学(EO)材料や熱光学(TO)材料からなる。以下、本明細書においては、別途記載のない限り、光とは波長λの光を指し、屈折率とは波長λの光の屈折率を指す。このような材料は公知の光偏向装置のコア層の材料が適用され、無機材料としては、LiNbO3(LN)、LiTaO3(LT)、(Pb,La)(Zr,Ti)O3(PLZT)、NH4H2PO4(ADP)、KH2PO4(KDP)、Bi12SiO20(BSO)、Bi12GeO20(BGO)、TiO2,SrTiO3,GaAs,InP,Siのような誘電体材料、半導体材料等から選択される一種または二種以上の混合物(例えばTi拡散LN結晶)が挙げられる。有機材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)や非晶質ポリカーボネート(APC)等の光を透過するポリマーに電気光学(EO)効果を有する低分子化合物(EO色素分子)を分散させたEOポリマーが挙げられる。EO色素分子は、アゾ色素やメロシアニン系色素、例えば、4−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−エチルアミノ]−4'−ニトロアゾベンゼン(DR−1:Disperse Red 1)、2−メチル−6−(4−N,N−ジメチルアミノベジリデン)−4H−ピラン−4−イリデンプロパンジニトリル、4−{[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ}−2、5−シクロヘキサジエン−1−オン、およびトリシアノフラン(TCF)をアクセプタとするFTC(Furan-Thiophene Chromophore)等が挙げられる。
Δn=−0.5n0 3r33E ・・・(2)
φ=nLt/λ ・・・(3)
放射素子12は、xy面上に設けられた光導波路11で伝播された光を上方(+z方向寄り)へ向けて出力するために設けられ、光導波路11(光出力部1o)の末端に接続される。そのために、前記したように、放射素子12は光導波路11と共にコア層1の一部として連続して形成されていて、光導波路11の末端近傍が放射素子12の形状に加工されているともいえる。このような放射素子12は、図4に示すように、光の出力面である上面に、放射素子12に入射した光liの進行方向(光導波路11の光出力部1oの向き、H方向と称する)を横切るスリットを2以上(図3および図4では、7つ)形成された公知の構造のグレーティングカプラである。なお、図3においては、放射素子12のスリット部分に網掛けを付して表す。放射素子12は、下式(4)で表されるように、スリットの周期Λに応じて、z方向からH方向に角度θ傾斜した方向へ光loを出射する。neffは、放射素子12(コア層1)の実効屈折率であり、等価屈折率法によって、放射素子12の屈折率n0とクラッド層3の屈折率nclから算出される。本実施形態においては、θ=0°(+z方向)となるように、放射素子12が設計される。放射素子12の長さ(H方向長)は、スリットの周期Λの倍数であって、(dx×dy)角に収まる範囲であればよく、光loの光量を多くするために長いことが好ましい。また、光偏向装置10においては、放射素子12は、幅、およびスリット部分以外の厚さが光導波路11と同一に形成されている。放射素子12は、光出力部1oに連続した直線状に同じ幅で形成されることにより、配列ピッチdx,dyをより狭くすることができる。放射素子12の放射部20における配置等については、後記の放射部20の説明において説明する。
θ=sin-1(neff−λ/Λ) ・・・(4)
クラッド層3は、光導波路11等のコア層1を被覆して設けられ、適宜、コア層1の下側を下部(アンダー)クラッド、コア層1と同じ高さ位置およびコア層1の上側(ビームの出力側)を上部(オーバー)クラッドと称する。クラッド層3は、入力光Liの波長λの光においてコア層1よりも屈折率の低い誘電体や絶縁体からなり、さらにコア層1との屈折率の差が大きいことがコア層1の光閉込め効果を高くするので好ましい。したがって、クラッド層3は、コア層1を構成するEO材料の屈折率、さらにその形成方法等に応じて選択される。具体的には、SiO2、Al2O3、Si窒化物(Si3N4等)、MgF2のような半導体素子の絶縁体に適用される無機化合物、ガラス、樹脂、ならびに前記の光導波路11(コア層1)に挙げた材料から選択される。例えば、コア層1がEOポリマーからなり、クラッド層3を樹脂で形成する場合には、先に形成したコア層1または当該クラッド層3が溶解しないように、光硬化型樹脂のような無溶剤の樹脂、水溶性の樹脂、または架橋性ポリマーのような硬化後に有機溶剤に不溶となる樹脂を選択する。また、クラッド層3は、光偏向装置10の全体で同一材料でなくてもよく、アンダークラッドとオーバークラッド、さらにオーバークラッドにおけるコア層1の高さ位置と上側とで異なる材料を適用することができ、また、空隙(空気、不活性ガス、真空等)を含んでいてもよい。
第1電極4および第2電極5(適宜まとめて、電極4,5と表す)は、光導波路11毎にその屈折率を変化させる位相調整手段である。本実施形態において、第1電極4および第2電極5は対となって、光導波路11毎にその位相調整領域1tで垂直方向(z方向、上向きまたは下向き)に所望の強さの電界を印加するために設けられる。光偏向装置10においては、第1電極4が、それぞれの光導波路11の位相調整領域1tにおける上側に、クラッド層3を挟んで設けられ、そのため、幅が光導波路11以上のy方向に沿った帯状に形成される。一方、第2電極5は、すべての光導波路11の位相調整領域1tを内包する1つの膜状に形成され、クラッド層3を挟んで光導波路11の下側に設けられる。したがって、第2電極5はすべての光導波路11の共通の電位(例えば0V)であり、これに対して第1電極4は、それぞれ個別の可変電源の電位に接続される。また、平面視で、光導波路11の、第1電極4と第2電極5が共に重複する領域が位相調整領域1tであり、その長さ(ここではy方向長)がLtになるように第1電極4および第2電極5が設計される。光偏向装置10においては、図2(b)に示すように、第2電極5の光導波路方向(y方向)長がLtであり、第1電極4は、第2電極5に対して光導波路方向に長く形成されている。第1電極4はさらに、外部電源(可変電源)との接続のために、図1に示すように、位相調整領域1t外でx方向外側へ屈曲させたL字型に形成されている。第1電極4および第2電極5は、後記するそれぞれの材料の抵抗や印加する電界の強さ等に応じた寸法および間隔に形成される。
基板6は、光導波路11等のコア層1、クラッド層3、および電極4,5等を形成するための、また、光偏向装置10全体を支持するための土台である。そのために、基板6は、公知の基板材料、具体的には、表面に熱酸化膜を形成されたSi(シリコン)基板、SiO2、Si窒化物(Si3N4等)、ガラス、コア層1やクラッド層3に挙げた結晶材料、メチルアクリレート等の樹脂から、前記コア層1等の成膜、加工条件に適応したものが選択される。さらに、本実施形態に係る光偏向装置10は、以下の光偏向装置の製造方法で説明するように、上面(ビームの出力側)を下に向けて製造されたものをひっくり返して使用されるため、基板6が最上層に設けられる。したがって、放射部20から出力されるビームLoを遮らないように、基板6は、光透過率の高い材料が選択され、例えば、光が赤外線であれば、石英や、特に赤外線の透過率の高いガラスが挙げられる。
放射素子12は、x方向とy方向とに二次元配列され、すなわち矩形格子状に配列されて放射部20を構成する。詳しくは、放射素子12のそれぞれの中心が矩形格子状に配置されるように配列されている。また、本実施形態に係る光偏向装置10においては、x方向のピッチdxとy方向のピッチdyとが同一(dx=dy=d)の正方格子状に配列されている。図3では、放射部20の上半分の8個(4×2)の放射素子12の中心間を結ぶ破線を示す。放射部20は、下式(5)で表されるように、放射素子12の配列ピッチdが狭いほど、出力するビームの偏向角ψを位相の変化量φに対して大きくすることができる。ただし、後記するように、放射素子12の配列ピッチdの最小値は、放射素子12および光出力部1oの幅方向(H方向に直交する方向)のピッチaによって収束する。
ψ=sin-1[λφ/(2πd)] ・・・(5)
0°<H≦tan-1[(dy/dx)/M]<90° ・・・(1)
a=dx・sinH ・・・(6)
光偏向装置10は、放射部20における放射素子12の配列数が多いほど、ビームLoの広がり角が小さくなって解像点数が向上するが、x方向の配列数Mが多いと傾斜角Hが小さくなって配列ピッチdの微細化が困難になる。したがって、放射素子12の配列数が2方向で異なる場合は、少ない方をx方向にして設計することが好ましい。また、光偏向装置10は、dx≠dyの非正方格子の矩形格子配列とすることもできる。この場合、後記第2実施形態で説明するように、dx<dyとなるようにxy方向を設定することが好ましい。
本実施形態に係る光偏向装置の製造方法について、その一例として、コア層1にEOポリマーを適用し、また、ナノインプリント法で成形する場合を説明する。まず、基板6上に、第1電極4が設けられる領域を空けたパターンのレジストマスクをフォトリソグラフィで形成し、その上からスパッタリング法等で金属電極材料を成膜して第1電極4を形成し、レジストマスクを除去する(リフトオフ)。この第1電極4を形成した基板6の上に、クラッド層3を構成する光硬化性樹脂をスピンコート法等で塗布する。光硬化性樹脂の塗膜に、放射素子12のスリットを含めたコア層1の形状に突出した石英製のモールドを押圧し、紫外線等の所定の波長の光をモールド越しに照射して硬化させた後、モールドを離型する。これにより、コア層1の形状の溝(トレンチ)が形成されたクラッド層3(オーバークラッド)となる。次に、EOポリマーを塗布して、このクラッド層3の溝に充填して硬化させ、コア層1を形成する。さらにその上に、光硬化性樹脂を所定の厚さに塗布して硬化させて、クラッド層3(アンダークラッド)を形成する。クラッド層3の上に、第2電極5が設けられる領域を空けたステンレス板やポリイミドフィルム等からなるマスクを被覆し、その上から導電性材料を含有する塗料を塗布して硬化させて第2電極5を形成した後、マスクを外す。第2電極5を構成する導電性材料は、クラッド層3およびコア層1の耐熱温度以下の処理で形成することのできるものであり、例えば、Agや導電性酸化物の微粒子を有機溶剤に分散させた塗料で形成される。
前記のように、クラッド層3のオーバークラッドが無機材料で形成されている場合には、コア層1にも無機材料を適用することができる。コア層1の形状の溝を形成したオーバークラッド上に、スパッタリング法や真空蒸着法等によりコア層1の材料を、光導波路11の厚さに成膜して、溝に埋め込む。このように製造されると、放射素子12は、上面(光の出力面)にスリットを形成された部分が下面へ突出する(図8に示す放射素子12A参照)。また、第1電極4は、コア層1やクラッド層3が溶解、変形、変質等しないように形成することができる導電性材料であれば、コア層1およびクラッド層3を形成した後に形成してもよい。すなわち、第2電極5を基板6の表面に形成し、その結果、第1電極4と第2電極5の上下の配置が入れ替わる。
第1実施形態に係る光偏向装置は、放射素子を正方格子状に配列して備えているが、用途によってはこれに限られない。また、出力光(ビーム)の制御範囲等によっては、光導波路を二分して両外側から放射素子に接続する構成でなくてよい。以下、第2実施形態に係る光偏向装置について説明する。第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
0°<H≦tan-1[(dy/dx)/M]<90° ・・・(1)
a=dx・sinH ・・・(6)
第1、第2実施形態に係る光偏向装置は、光導波路から延長するように同じ幅の放射素子を備えるが、このような放射素子に限られず、例えば非特許文献1,4に記載されているような、光導波路よりも幅の広がったグレーティングカプラを放射素子に備えることもできる。以下、第3実施形態に係る光偏向装置について説明する。第1、第2実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
放射素子12Bは公知のグレーティングカプラである。放射素子12Bは、光導波路11よりも幅広で、スリット(図6では、4つ)が平面視で弧状で、その1つ目(図6では、網掛けを付して表す)を除いて完全に離間されている。放射素子12Bは、これらの形状以外は、第1実施形態で説明した図4に示す放射素子12と同様の構造であり、光を上方へ向けて出力する。
光導波路11は、図5に示す第2実施形態と同様に、16本すべてが放射部20Bの外側の一方から放射素子12Bに接続し、光出力部1oがx方向に対して、下式(1)で表される範囲の角度Hで傾斜している。本実施形態においては、光出力部1oは、傾斜角Hが式(1)における最大値HMAXよりも小さく、したがって、ピッチが下式(6)で表されるaで4本ずつ並設され、4本ごとに間隔がaよりも広く空けられる。傾斜角Hが小さいほどピッチaが狭くなる一方、前記間隔が広くなるので、光導波路11よりも幅広の放射素子12Bを放射部20Bに配列することができる。すなわち、放射素子12Bの寸法に応じて、傾斜角Hを設計する。光導波路11はさらに、光出力部1oの末端(放射素子12Bとの接続側)から屈曲して傾斜角Hよりも大きな角度に傾斜して、放射素子12Bに接続する。したがって、放射素子12Bは前記角度で傾斜して配置されている。この角度は、光出力部1oの傾斜角Hよりも大きければ特に規定されず、図6における下からM本目の光導波路11に接続する放射素子12B(図6における放射部20Bの左下隅に配置)が、(M−1)本目と(M+1)本目の光導波路11(光出力部1o)の間隙に収まるように設計される。
0°<H≦tan-1[(dy/dx)/M]<90° ・・・(1)
a=dx・sinH ・・・(6)
放射素子12Bを二次元配列して備える光偏向装置10Bは、第2実施形態のように非正方格子の矩形格子配列とすることもでき、第2実施形態で説明したように、dx<dyとなるようにxy方向を設定することが好ましい。さらに、配列数が2方向で異なる場合には、式(1)に基づいて傾斜角H(最大値HMAX)がより大きくなるように、xy方向を設定することが好ましい。また、放射素子12Bのx方向の配列数が多い場合等は、第1実施形態と同様に、光出力部1oを両外側へ二分して配置すればよい。
第1、第2実施形態に係る光偏向装置は、隣り合う光導波路およびこれに接続する放射素子同士でクラッド層を経由して光が進入しないように、平面視で一定以上の間隔を空けて配置しているが、光導波路をいっそうの狭ピッチとして、放射素子の配列数を多くしたり高精細化することができる。以下、第4実施形態に係る光偏向装置について説明する。第1、第2実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
光導波路11は、図1に示す第1実施形態と同様に、分配器1dで分岐されて、位相調整領域1tから曲線部分を経由して、二分され、光出力部1oにおいてx方向中心(図7に一点鎖線で表す)で対称に、角度H(0°<H<90°)で傾斜して設けられている。さらに本実施形態においては、光出力部1oが平面視で間隙なく並設され、すなわち光導波路11の幅が光出力部1oの並設ピッチaとなる。このような光偏向装置10Cは、図8に示すように、光導波路11が1本ずつ交互に段違いで配置されている。なお、図8では、クラッド層3および基板6は省略する。段違いに並設された光導波路11(光出力部1o)は、それぞれの高さ位置で放射素子12Aに接続する。このような配置により、隣り合う光導波路11,11間や光導波路11、放射素子12A間に十分な間隙を有しつつ、平面視でのピッチaを最小(間隙0)とすることができる。そのために、隣り合う光導波路11,11の段差hは、光導波路11の厚さよりも大きく、さらにクラッド層3へ漏れた光が進入しないように、光導波路11の厚さの2倍以上とすることが好ましい。
放射素子12Aは、図4に示す放射素子12と同様に、光導波路11(光出力部1o)の末端に連続して形成されて、スリット(図7で網掛けを付した部分)を形成されたグレーティングカプラであり、上面から光loを出射する。ただし、放射素子12Aは、図8に示すように、上面にスリットを形成された部分が下面へ突出して、厚さ(z方向長)が光導波路11の厚さと同じに一定に形成されている。放射素子12Aのこのような形状は、後記製造方法によるものである。
h=m×cosθ×λ/ncl ・・・(7)
放射部20Cにおいて、第1実施形態で説明したように、光出力部1oおよび放射素子12Aの傾斜角Hは、放射部20Cにおける、片側半分の放射素子12Aのx方向の配列数M、およびx,y各方向のピッチdx,dyに基づいて、下式(1)で表される範囲に設計される。また、光出力部1oのピッチaは下式(6)で表される。本実施形態においては、16×16で配列されている放射素子12Aが、x方向に二分して両外側から光出力部1oを接続しているため、M=16/2=8となる。また、dy/dx=1であるので、H≦tan-1(1/8)≒7.125°となる。また、傾斜角Hは式(1)における最大値HMAXであるから、a=0.124dである。したがって、例えば第1実施形態と同様に、λ=1.55μmとして、d=3λ=4.65μmの放射部20Cを設計するとき、a=0.57μmとなる。本実施形態においては、ピッチaがそのまま光導波路11の幅であり、最小屈折率nMINが約1.8以上の材料であればコア層1に適用することができる。より高屈折率の材料をコア層1に適用することにより、放射素子12Aの配列ピッチdをさらに狭くしたり、配列数Mを増やすことができる。
0°<H≦tan-1[(dy/dx)/M]<90° ・・・(1)
a=dx・sinH ・・・(6)
本実施形態に係る光偏向装置10Cは、第1、第2実施形態で説明したように、非正方格子の矩形格子配列とすることもでき、また、2方向の配列数が異なっていてもよい。また、放射素子12Aの配列数等によっては、光出力部1oを二分せずに放射部20Cの外側の一方から放射素子12Aに接続してもよい。また、第3実施形態に係る光偏向装置10B(図6参照)について、光導波路11の光出力部1oを、1本ずつ交互に段違いで配置して、平面視で間隙なく並設することもできる。
本実施形態に係る光偏向装置10Cは、第1実施形態で説明したように、クラッド層3のオーバークラッドに、コア層1の形状の溝(トレンチ)をナノインプリント法で形成することによって製造することができる。ただし、コア層1に無機材料を適用するために、クラッド層3のオーバークラッドは、コア層1の成膜条件に対応した、具体的には耐熱性を有する材料を適用する。本実施形態においては、放射素子12Aのスリットとは別に、図9(a)、(b)に示すように、2通りの深さの溝をオーバークラッド(クラッド層3)に形成し、その上から、コア層1の材料を真空蒸着法等により光導波路11の厚さに成膜してクラッド層3の溝に埋め込む。図9(a)は光出力部1oの、図9(b)は光出力部1o以外の(平面視で間隙を有して配列された)光導波路11の部分の断面図である。そして、コア層1を被覆するようにアンダークラッドを形成し、必要に応じてCMP法等で表面を平坦化処理した後、第2電極5を形成する。なお、図9(b)に示すように、光導波路11,11の間隙のクラッド層3上にコア層1が形成されるが、上側の光導波路11との間隙が十分であれば残存させてもよく、あるいはアンダークラッド形成後の平坦化処理で除去することができる。
11 光導波路
12,12A,12B 放射素子
1o 光出力部(傾斜部)
20,20C 放射部(合成放射部)
20A,20B 放射部
3 クラッド層
4 第1電極(位相調整手段)
5 第2電極(位相調整手段)
6 基板
Claims (4)
- 放射素子をxy面に(M×N)配列してなる放射部と(M,Nはそれぞれ2以上の自然数)、一端に前記放射素子のそれぞれを接続する(M×N)本の光導波路と、前記光導波路毎に当該光導波路を伝播する光の位相を調整する位相調整手段と、を備え、前記(M×N)本の光導波路の他端から光を入力されて、xy面に対して非平行な方向にビームを前記放射部から出力する光偏向装置であって、
前記放射部は、それぞれの前記放射素子の中心がx方向とy方向とに沿った格子状に配置され、
前記光導波路は、前記一端側に、x方向に対して、下式(1)で表される一定の角度Hで傾斜した直線状に形成された傾斜部を有することを特徴とする光偏向装置。
0°<H≦tan-1[(dy/dx)/M]<90° ・・・(1)
(dx:前記放射部のx方向における放射素子のピッチ、dy:前記放射部のy方向における放射素子のピッチ、M:前記放射部のx方向における放射素子の配列数) - 前記放射部をx方向に2つ並べて前記放射素子を(2M×N)配列してなる合成放射部を備え、前記ビームを前記合成放射部から出力し、
前記放射部のそれぞれの前記放射素子に接続する(M×N)本の光導波路が、前記合成放射部の対向する両外側から前記放射素子に接続していることを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。 - 前記放射部は、それぞれの前記放射素子の中心が正方格子状に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光偏向装置。
- 前記光導波路の前記傾斜部およびこれに接続する前記放射素子は、隣り合う2本がz方向に段差を有するように1本ずつ交互に段違いで配置され、入力された光の前記段差における光路長が、前記光の波長の倍数であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光偏向装置。
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