JP2019100814A - ゴム材料の引き裂き挙動解析方法 - Google Patents

ゴム材料の引き裂き挙動解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム材料の引き裂き時の挙動を精度よく解析することができる方法を提供する。【解決手段】実施形態に係る解析方法は、ゴム材料の引き裂き挙動を解析する方法であって、マーカ粒子を含まないゴム材料からなる試験片本体12の表面に、マーカ粒子を含むゴム層14を設け、引き裂きの起点となる切込み16を設けた試験片10を準備し、この試験片10を用いて引き裂き試験を実施しながら、X線がゴム層14を透過するように試験片10にX線を照射して、X線イメージング法により複数の画像を取得し、得られた複数の画像から粒子画像流速測定法によりマーカ粒子の変位量を算出するものである。【選択図】図3

Description

本発明は、ゴム材料の引き裂き挙動を解析する方法に関し、また、この解析方法に好適に用いられる試験片に関する。
従来、例えばタイヤ開発におけるトレッドゴムの摩耗機構を解析するために、ゴム材料の引き裂き時における変形の挙動、すなわち引き裂き挙動を可視化することが求められている。
非特許文献1には、通常の可視光を用いたカメラによる撮影とデジタル画像相関法を用いてゴムの引き裂き挙動を観測することが記載されている。この可視光によるカメラ撮影では、黒色のゴム試験片の表面に銀粉末を吹き付けてランダムな模様を形成し、これをマーカとして用いて、デジタル画像相関法による解析を行っている。しかしながら、この手法では、引き裂きとともに銀粉末が剥がれて精度よく解析することができない。
非特許文献2には、マーカ粒子を配合したゴム材料を用いてX線イメージング測定を行うことにより、亀裂時のミクロな歪み量分布を数値化できることが記載されている。また、非特許文献3には、同様のX線イメージング測定により、亀裂成長過程の変形挙動を観察できることが記載されている。しかしながら、両文献には具体的な解析手法は記載されていない。
チャン・リュー(Chang Liu)、他4名、「カーボンブラック充填SBRの引き裂き抵抗についての裂け目近傍での歪み増大の影響(Influence of Strain Amplification Near Crack Tip on the Fracture Resistanceof Carbon Black-filled SBR)」、Rubber Chemistry andTechnology, Vol.88, No.2, pp276-288 (2015) 馬渕貴裕、他4名、「ゴムのミクロ領域における歪みの集中とその時間変化に関する研究」、[online]、(2008)、スプリング8利用報告書、課題番号2008A1930、[平成29年10月26日検索]、インターネット<URL:https://user.spring8.or.jp/apps/experimentreport/detail/4726/ja> 馬渕貴裕、他4名、「ゴムのミクロ領域における歪みの集中とその時間変化」、[online]、(2008)、スプリング8利用報告書、課題番号2008B1935、[平成29年10月26日検索]、インターネット<URL:https://user.spring8.or.jp/apps/experimentreport/detail/5406/ja>
マーカ粒子を配合したゴム材料を試験片として用いて引き裂き試験を行いながら、X線イメージング法により画像を撮影して、引き裂き挙動を解析する際に、次のような問題が生じることが判明した。
すなわち、ゴム材料に引き裂きの起点となる切込みを設ける際に、ゴム材料は柔らかいことから、垂直に切断することが難しい。例えば、図7(A)に試験片100の切込み102に沿った断面を示すように、試験片100の厚み方向で切込み102の長さが異なり、切込み102の先端102aが試験片100の表面104に対して垂直でなく斜めになることがある。このように切込み102の先端102aが傾斜すると、引き裂き時の切込み部におけるX線の画像には、図7(B)に示すように、試験片100の表面104に存在するマーカ粒子108とともに、切込み102の断面106に存在するマーカ粒子108も写り込んでしまう。すると、画像解析では、表面104のマーカ粒子108と断面106のマーカ粒子108を区別することができないことから、引き裂き挙動を正確に解析することができない。
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、ゴム材料の引き裂き時の挙動を解析することができる方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る解析方法は、ゴム材料の引き裂き挙動を解析する方法であって、マーカ粒子を含まないゴム材料からなる試験片本体の表面に、マーカ粒子を含むゴム層を設け、引き裂きの起点となる切込みを設けた試験片を準備し、前記試験片を用いて引き裂き試験を実施しながら、X線が前記ゴム層を透過するように前記試験片にX線を照射して、X線イメージング法により複数の画像を取得し、得られた複数の画像から粒子画像流速測定法によりマーカ粒子の変位量を算出するものである。
本発明の実施形態に係る引き裂き挙動解析用試験片は、ゴム材料の引き裂き挙動を解析するためにX線イメージング法によりX線を照射して用いられる試験片であって、マーカ粒子を含まないゴム材料からなる試験片本体と、前記試験片本体の表面に設けられたマーカ粒子を含むゴム層と、を備え、引き裂きの起点となる切込みが設けられたものである。
本発明の実施形態では、引き裂き試験を行いながらX線イメージング法により画像を取得するため試験片として、マーカ粒子を含むゴム層を試験片本体の表面に設けた試験片を用いる。該試験片はその厚み方向の全体にマーカ粒子を有していないことから、画像は試験片の表面のゴム層に存在するマーカ粒子により形成され、切込みの断面の影響を受けない。そのため、仮に切込みが傾斜して形成されていたとしても、粒子画像流速測定法による画像解析において、傾斜した切込みの断面にマーカ粒子が存在することによる誤認識などの不具合を解消して、試験片の引き裂き挙動を解析することができる。
一実施形態に係る引き裂き挙動解析方法を示すフローチャート 一実施形態に係る試験片の作製工程を説明するための図、(A)試験片本体の斜視図、(B)ゴムシートの斜視図、(C)ゴムシート貼り付け後の試験片の斜視図、(D)切込みを入れた試験片の斜視図 一実施形態に係るX線イメージング試験装置の概略図 実施例1における解析結果を示す図 実施例2において追跡対象の粒子を示すX線イメージングによる画像 実施例2における解析結果を示すグラフ (A)比較例に係る試験片の要部拡大断面図、(B)その試験片を用いたX線イメージング画像の模式図
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る解析方法は、ゴム材料の引き裂き挙動を解析する方法であり、試験片を準備する工程と、該試験片を用いてX線イメージング法により画像を取得する工程と、得られた画像を解析する工程とを含む。
ここで、ゴム材料とは、ゴム状弾性を持つ物質であり、加硫ゴムだけでなく、熱可塑性エラストマーのようなエラストマーも含む概念である。
試験片の準備工程では、マーカ粒子を含まないゴム材料からなる試験片本体の表面に、マーカ粒子を含むゴム層を設け、引き裂きの起点となる切込みを設けた試験片を準備する。
試験片本体としては、例えば、薄肉の板状のゴム材料が用いられる。ゴム材料としては、加硫ゴムが好ましく用いられ、すなわち、ゴムポリマーに硫黄等の加硫剤を含む種々の配合剤を配合したゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムが挙げられる。ゴムポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、又はこれらの組み合わせなどの各種ジエン系ゴムが挙げられる。また、配合剤としては、カーボンブラックやシリカなどの充填剤、軟化剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、加硫促進剤など、通常ゴム工業で使用される各種配合剤を用いることができる。但し、試験片本体のゴム材料には、マーカ粒子は配合しない。
試験片本体の厚みは、特に限定しないが、入射X線の軸に沿った方向での厚みが2.0mm以下のものが好ましく用いられ、より好ましくは1.0〜2.0mmである。
ゴム層としては、試験片本体と同様に、加硫ゴムからなる層が挙げられるが、試験片本体の表面に固着していれば、加硫せずに用いてもよい。ゴム層を形成するゴム組成物としては、特に限定されないが、試験片本体を形成するゴム組成物と同様のものを用いることができる。但し、ゴム層には、マーカ粒子が配合される。
ここで、マーカ粒子とは、X線によって検出可能な微粒子、即ち、X線イメージング法において検出対象とする微粒子であり、例えば、X線を吸収可能な銀粒子やアルミナ粒子等が挙げられる。
マーカ粒子の配合量は、特に限定されず、例えば、ゴムポリマー100質量部に対して0.01〜100質量部でもよく、1〜10質量部でもよい。
ゴム層の厚みは、特に限定しないが、入射X線の軸に沿った方向での厚みが1.0mm未満であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上1.0mm未満であり、更に好ましくは0.1〜0.5mmである。ゴム層の厚みを小さくすることにより、厚み方向で存在するマーカ粒子による誤認識などの不具合をより確実に解消することができる。
ゴム層は、試験片本体の表面に設けられる層である。詳細には、ゴム層は、板状をなす試験片本体の表裏両側面のうちのいずれか一方に設けられる。本実施形態では、切込みを起点とする引き裂き挙動を解析するため、ゴム層は少なくとも切込みを含むその近傍部分に設けてもよい。なお、ゴム層は、通常は入射X線の軸に垂直に設けられ、X線はゴム層とともに試験片本体を厚み方向に透過するように照射される。
試験片の準備工程は、一実施形態において、図1に示すように、試験片本体を準備する工程S1と、ゴム層を形成するゴムシートを準備する工程S2と、試験片本体の側面にゴムシートを貼り付ける工程S3と、貼り付けた試験片に切込みを設ける工程S4とを含んでもよい。このように、ゴム層は、マーカ粒子を含むゴムシートを試験片本体の表面に貼り付けて形成されてもよい。
例えば、工程S1において、マーカ粒子を含まないゴム材料からなる未加硫の試験片本体を作製する。工程S2において、マーカ粒子を含む未加硫のゴムシートを作製する。そして、工程S3において、試験片本体の表面にゴムシートを貼り付けて、両者を一体に加硫成形することにより、表面のゴム層のみにマーカ粒子を有する試験片を得る。その後、工程S4において、かみそり刃などの刃を持つ切込み装置を用いて、得られた試験片に切込みを設ける。
図2は、一実施形態に係る試験片10の作製工程を示した図である。図2(A)に示すように未加硫ゴムからなる短冊状の試験片本体12を作製する。また、図2(B)に示すようにマーカ粒子を含む未加硫ゴムからなるゴムシート14を試験片本体12と同じ形状にて作製する。そして、試験片本体12の一表面にゴムシート14を重ね合わせて加硫成形することにより、図2(C)に示すようにゴムシート14を試験片本体12に貼り付ける。次いで、図2(D)に示すように、得られた加硫成形品の長手方向の中央部に切込み16を設ける。これにより、マーカ粒子を含まないゴム材料からなる試験片本体12と、その表面に設けられたマーカ粒子を含むゴムシート14からなるゴム層15とを備え、引き裂きの起点となる切込み16が設けられた試験片10が得られる。
切込み16は、短冊状をなす試験片10の幅方向の一方側において、その長手方向の中央部に、当該長手方向に垂直なカットを入れることで形成されている。切込み16は、試験片10の表面に垂直に設けられており、試験片本体12とゴム層15からなる試験片10の厚み方向の全体で設けられている。図中、試験片本体12の厚みをT1で示し、ゴム層15の厚みをT2で示す。
次いで、図1に示すように、上記で得られた試験片を用いてX線イメージング法により画像を取得する工程S5(即ち、画像取得工程)を行う。
画像取得工程では、上記試験片を引き裂き試験を実施しながら、X線がゴム層を透過するように試験片にX線を照射して、X線イメージング法により複数の二次元画像を取得する。詳細には、試験片を長手方向に引っ張って切込みを起点とする引き裂きを行いながら、少なくとも裂け目部分(即ち、切込みの先端部)にX線を照射する。そして、放射光X線イメージング法を用いて、引き裂き変形する試験片を所定時間毎に連続して撮影することにより、引き裂き挙動を表す複数の静止画像が得られる。
本実施形態は、上記試験片の構成に特徴があり、X線イメージング法による画像取得方法自体は、公知の方法で行うことができ、特に限定されない。
図3は、一実施形態に係るX線イメージング試験装置の概略を示したものである。短冊状の試験片10は、その長手方向の両端部が不図示のつかみ具に保持された状態で引張試験機に取り付けられ、両側のつかみ具を互いに離隔する方向に移動させることで長手方向に引っ張られる。このときの試験片10の切込み16における引き裂き挙動、即ち亀裂成長の過程を可視化する。
引張試験機による試験片10の両端部の引っ張り動作としては、例えば、一方のつかみ具を固定した上で他方のつかみ具を一定の速度で離隔する方向に移動させながら試験片を徐々に引き裂くようにしてもよく、あるいはまた、試験片の伸長率が一定の値となるように両側のつかみ具の間隔を一度に一定の寸法まで広げた状態で固定しその状態を保持することで試験片10が徐々に引き裂かれるようにしてもよい。
試験装置には、X線イメージングによる撮影手段として、試験片10にX線を照射する照射手段としてのX線管22と、試験片10を透過したX線を検知する検出器24とが設けられており、検出器24で検知したX線に基づいて二次元画像を取得する。X線管22と検出器24は、試験片10における切込み16を起点とした引き裂きの裂け目部分を挟んで一直線上に配置されており、少なくともこの裂け目部分にX線が照射されるように、X線管22と検出器24の高さが設定されている。
X線管22から出たX線は、ゴム層15を透過するように試験片10の表面10Aに照射される。この例では、表面10Aは入射X線の軸に垂直であり、X線は試験片10の厚み方向においてゴム層15とともに試験片本体12を透過する。なお、図3では、試験片10に対してそのゴム層15側の表面からX線を照射しているが、これとは反対側の表面からX線を照射するように試験片10を設置してもよい。
使用するX線としては、例えば1010(photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw)以上の高輝度X線であることが好ましい。このようなX線を放射するシンクロトロンとしては、高輝度光科学研究センターのSPring−8、「知の拠点あいち」のあいちシンクロトロン光センターなどが挙げられる。
また、X線のエネルギーとしては、特に限定されず、例えば、1〜100keVでもよく、10〜50keVでもよい。X線の照射時間(即ち、露光時間)も、特に限定されず、例えば、0.0001〜10000msでもよく、1〜1000msでもよい。フレームレートも、特に限定されず、例えば、1〜10000fpsでもよく、1〜2000fpsでもよい。
次いで、上記で得られた複数の二次元画像から粒子画像流速測定法(PIV)によりマーカ粒子の変位量を算出する画像解析工程を行う。
粒子画像流速測定法は、粒子を含む流動場を連続撮影して得られた可視化画像から微小時間における粒子の変位ベクトルを求め、速度ベクトルを推定する方法である。そのため、上記で得られた複数の二次元画像により、当該画像中に存在する各マーカ粒子の変位量を算出することができ、よって、試験片の引き裂き部における変形量を可視化することができる。すなわち、試験片の引き裂き部における各部位での変形の方向及び大きさを求めることができ、引き裂き挙動に対して面内分布および定量性のある変形量解析が可能となる。さらに、変形量を微分することにより、歪みも算出することができる。例えば、x方向の変形量分布をx方向で微分すれば、x方向歪みが算出できる。
粒子画像流速測定法には、デジタル画像相関法(DIC)と、粒子追跡法(PTV)がある。デジタル画像相関法は、マーカ粒子の濃度が大きい場合に好適な手法であり、粒子追跡法は、マーカ粒子の濃度が小さい場合に好適な手法である。そのため、上記で得られた画像におけるマーカ粒子の濃度に応じて、いずれかの手法を選択すればよい。
デジタル画像相関法は、輝度値パターンの移動追跡を測定原理とする解析手法であり、より詳細には、1時刻目t=tと2時刻目t=t+dtにおける粒子画像について、1時刻目の画像における微小な領域(検査領域)内の輝度値分布と2時刻目の画像における領域(探査領域)内の輝度値分布との相互相関関数を求め、その最大値となる位置を検査領域内の粒子群の平均的な相対位置として推定し、これにより変位ベクトルを求める方法である。
一方、粒子追跡法は、個々の粒子像の移動追跡を測定原理とする解析手法であり、より詳細には、個々の粒子の位置情報を用いて自動的に粒子を追跡し、追跡された粒子の画像座標を実空間に変換して速度ベクトルを算出する方法である。
デジタル画像相関法については、「可視化情報ライブラリー4 PIVと画像解析技術」((株)朝倉書店発行、(社)可視化情報学会編、2012年4月25日発行)の31〜46頁に記載の方法を用いて行うことができる。また、粒子追跡法については、同文献の16〜30頁に記載の方法を用いて行うことができる。
画像解析工程は、一実施形態において、図1に示すように、マーカ粒子の濃度ないし密度を計算する工程S6と、算出した濃度が判別値以上か否かを判別する工程S7と、判別値以上の場合にデジタル画像相関法を用いて変位量を算出する工程S8と、判別値未満の場合に粒子追跡法を用いて変位量を算出する工程S9とを含んでもよい。このように二次元画像におけるマーカ粒子の濃度に基づいて、デジタル画像相関法と粒子追跡法を選択することによって、より精度の高い変位量の算出が可能になる。
このような判別に用いる濃度として、上記文献「可視化情報ライブラリー4 PIVと画像解析技術」の18頁に記載された、下記式(1)で表される相対距離ργを用いてもよい。
式中、γmaxは画像における粒子の最大移動距離、Nは全画像内の粒子数、Aは画像の面積であり、N/Aは1つの粒子が割り当てられる領域の大きさを示す。ργ≧1のときには高密度として、デジタル画像相関法を用い、ργ<1のときには低密度として、粒子追跡法を用いることができる。
以上説明した本実施形態によれば、引き裂き試験を行いながらX線イメージング法により画像を取得するため試験片として、マーカ粒子を含むゴム層を試験片本体の表面に設けた試験片を用いる。そのため、引き裂き時にマーカ粒子が剥がれることなく解析することができる。
また、該試験片はその厚み方向の全体にマーカ粒子を有していないことから、画像は試験片の表面のゴム層に存在するマーカ粒子により形成され、切込みの断面の影響を受けない。そのため、仮に切込みが傾斜して形成されていたとしても、粒子画像流速測定法による画像解析において、傾斜した切込みの断面にマーカ粒子が存在することによる誤認識などの不具合を解消することができる。よって、試験片の引き裂き挙動を精度よく解析することができる。
また、粒子画像流速測定法を用いて画像解析するため、引き裂き時の挙動について、面内分布及び定量性のある変形量の解析が可能である。
[実施例1]
バンバリーミキサーを用いて、スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製「JSR1502」)100質量部に、カーボンブラック(東海カーボン(株)製「シースト3」)50質量部と、亜鉛華(三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」)2質量部と、ステアリン酸(花王(株)製「ルナックS−20」)1質量部と、硫黄(細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」)2質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」)1質量部を添加し混練して、試験片本体用の未加硫ゴム組成物を調製した。
また、上記未加硫ゴム組成物に対して、マーカ粒子(シグマアルドリッチ製「製品番号327077 Silver flakes 10μ品」)をロール表面温度60℃でロール混合して、マーカ粒子を含むマーカゴム層用の未加硫ゴム組成物を調製した。マーカ粒子は、スチレンブタジエンゴム100質量部に対して4質量部添加した。
上記で得られた試験片本体用の未加硫ゴム組成物を、ロールを用いて、厚み1.5mmの未加硫ゴムシートに成形した。また、上記で得られたマーカゴム層用の未加硫ゴム組成物を、ロールを用いて、厚み0.5mmの未加硫ゴムシートに成形した。得られた試験片本体用のゴムシートの表面に、マーカゴム層用のゴムシートを隙間なく貼り付けて、マーカゴム層の厚みT2が0.5mm、試験片本体の厚みT1が1.5mm、合計の厚みが2.0mmの未加硫ゴムシートを得た。その後、該未加硫ゴムシートを金型モールドでプレス加工(160℃、30分)することにより、厚み2.0mmのゴムシートを作製し、得られたゴムシートを幅10mmの短冊状に打ち抜いた。更に、マーカゴム層側から、幅方向に長さ5mmの切込みを入れて、引き裂き用の試験片を得た。
得られた試験片を用いて、図3に示すように、引き裂き試験を実施ながら、X線イメージング法により画像を取得した。引き裂き試験は、試験片を引張試験機にセットし、50mm/分の引っ張り速度で実施した。X線の条件及び撮影条件としては、フレームレート:150fsp、X線の露光時間:2ms、X線のエネルギー:20keV、撮影画像の分解能:0.7μm/pxとした。
次いで、得られた複数の画像について、デジタル画像相関法(DIC)による画像解析を行った。図4はその解析結果を示した図である。図4では、試験片を上下に引っ張って引き裂き試験を行ったときの、変位ベクトルのy成分(引っ張り方向の成分)の絶対値(μm)をプロットした。図4のグレースケールでは、y成分の絶対値が大きいほど白色に近づくように等値線で表した。
図4に示されたように、試験片は、切込みを中心に階層的に変形量が変化していることが分かる。また、切込みに近い部分は変形量が大きいことが分かる。
[実施例2]
マーカゴム層用の未加硫ゴム組成物に配合するマーカ粒子の量を、スチレンブタジエンゴム100質量部に対して1.5質量部とし、その他は実施例1と同様にして試験片を作製した。また、得られた試験片を用いて、実施例1と同様にして、X線イメージング法により画像を取得した。
得られた複数の画像について、粒子追跡法(PTV)による画像解析を行った。解析では、図5に示すように試験片を上下に引っ張って引き裂き試験を行ったときの、切込みに近い順で複数のマーカ粒子(1番〜5番)に着目し、それぞれ粒子追跡を行った。図5には、着目した各マーカ粒子の軌跡を動いた方向とともに示している。マーカ粒子の座標から各マーカ粒子の変位ベクトルを求め、図6に、変位ベクトルのy成分(引っ張り方向の成分)の絶対値を縦軸に、横軸に時間をプロットした。
その結果、図6に示すように、場所が異なるマーカ粒子のそれぞれで異なる変形量であり、複雑な変形挙動であることが分かった。
10…試験片、12…試験片本体、14…ゴムシート、15…ゴム層、16…切込み

Claims (5)

  1. ゴム材料の引き裂き挙動を解析する方法であって、
    マーカ粒子を含まないゴム材料からなる試験片本体の表面に、マーカ粒子を含むゴム層を設け、引き裂きの起点となる切込みを設けた試験片を準備し、
    前記試験片を用いて引き裂き試験を実施しながら、X線が前記ゴム層を透過するように前記試験片にX線を照射して、X線イメージング法により複数の画像を取得し、
    得られた複数の画像から粒子画像流速測定法によりマーカ粒子の変位量を算出する
    ゴム材料の引き裂き挙動解析方法。
  2. 前記粒子画像流速測定法がデジタル画像相関法である、請求項1に記載のゴム材料の引き裂き挙動解析方法。
  3. 前記粒子画像流速測定法が粒子追跡法である、請求項1に記載のゴム材料の引き裂き挙動解析方法。
  4. マーカ粒子を含むゴムシートを前記試験片本体の表面に貼り付けて前記ゴム層を形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム材料の引き裂き挙動解析方法。
  5. ゴム材料の引き裂き挙動を解析するためにX線イメージング法によりX線を照射して用いられる試験片であって、
    マーカ粒子を含まないゴム材料からなる試験片本体と、前記試験片本体の表面に設けられたマーカ粒子を含むゴム層と、を備え、
    引き裂きの起点となる切込みが設けられた、
    引き裂き挙動解析用試験片。
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