JP2019100773A - 供試体及び供試体採取方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塑性歪みが生じ難い供試体及び供試体採取方法を提供する。【解決手段】まず地盤掘削装置20に取付けられたロッド22を用いて地盤Gを所定の深さH1まで掘削した後、過冷却状態(15℃)の過冷却溶液を注入する。過冷却溶液が地盤Gに浸透することで、ロッド22及びロッド22により掘削された掘削孔22Aの周囲に浸透体30が形成される。浸透体30を地盤面GLまで形成した後、掘削孔22Aへ結晶剤32を投入する。この結晶剤32と、浸透体30を形成する液体状態の過冷却溶液とが接触すると、過冷却溶液が固化し、固化体34が形成される。続いて、ロッド24を用いて、固化体34が形成された部分で、かつ、掘削孔22Aと異なる部分を掘削する。ロッド24は二重管で構成されており、外管の先端に形成されたビットで地盤Gを回転切削し、回転しない内管(コアチューブ)を地盤Gへ押し込み円柱状の供試体を採取する。【選択図】図5

Description

本発明は、供試体及び供試体採取方法に関する。
下記特許文献1には、土壌を掘削しながらケーシングを挿入し、掘削した孔壁の崩壊を防止する土壌サンプリング装置が記載されている。
特開2006−291571号公報
土をサンプリングする際、上記特許文献1のようにケーシングを用いて孔壁の崩壊を防止することで、コアチューブの出し入れが容易になる。このためサンプリング作業の効率が高くなる。しかし、コアチューブを土壌へ挿入する際や、コアチューブから供試体を取り出す際など、供試体に塑性歪みが生じて、供試体が崩れてしまう場合がある。このような場合、土質定数を適切に評価できる供試体を得ることが難しい。
本発明は、上記事実を考慮して、塑性歪みが生じ難い供試体及び供試体採取方法を提供することを目的とする。
請求項1の供試体は、土粒子と、前記土粒子間に充填され固化した過冷却物質と、を備えている。
請求項1の供試体は、地下水ではなく固化した過冷却物質が土粒子間に充填されている。このため、供試体を採取する際、供試体を運搬する際や供試体を一時的に保管しておく際などに、供試体に発生する塑性歪みを抑制できる。
請求項2の供試体採取方法は、地盤に注入した過冷却溶液を固化させて過冷却物質を形成し、前記地盤をボーリングすることで供試体を採取する。
請求項2の供試体採取方法では、地盤に過冷却溶液を注入し、固化させる。その後地盤をボーリングして供試体を採取することで、固化した過冷却物質が土粒子間に充填された供試体が得られる。このため、供試体を採取する際、供試体を運搬する際や供試体を一時的に補完しておく際などに、供試体に発生する塑性歪みを抑制できる。
請求項3の供試体採取方法は、前記地盤を掘削して注入管を挿入する工程と、前記注入管から前記地盤へ前記過冷却溶液を注入した後に前記過冷却溶液が浸透した前記地盤へ結晶剤を投入する工程、又は、前記注入管から前記地盤へ結晶剤を投入した後に前記結晶剤に向って過冷却溶液を注入する工程、又は、前記注入管から前記地盤へ過冷却溶液を注入しながら前記過冷却溶液が浸透した前記地盤へ結晶剤を投入する工程、と、前記過冷却溶液が固化して前記過冷却物質が形成された状態で前記地盤をボーリングすることで前記供試体を採取する工程と、を有する。
請求項3の供試体採取方法では、地盤へ過冷却溶液を注入した後に、結晶剤を投入する。この場合、過冷却溶液は結晶剤を投入した直後に固化し始める。
又は、注入管から地盤へ結晶剤を投入した後に結晶剤に向って過冷却溶液を注入する。この場合、過冷却溶液は注入した直後に固化し始める。
又は、地盤へ過冷却溶液を注入しながら、結晶剤を投入する。この場合、過冷却溶液は結晶剤を投入した直後に固化し始める。
このように、結晶剤を用いることで過冷却溶液の固化反応が即座に始まるため、地下水の流れが速い場所でも、過冷却溶液を流失することなく地盤を固化できる。
請求項4の供試体採取方法は、前記過冷却溶液には凝固点を下げる界面活性剤が添加されている。
請求項4の供試体採取方法では、界面活性剤により過冷却溶液の凝固点が下げられている。過冷却溶液は、凝固点に温度が近くなればなる程、過冷却状態が不安定になり、結晶剤を与えなくても刺激によって固化しやすくなる。すなわち、意図しないタイミングで固化しやすくなる。界面活性剤により過冷却溶液の凝固点を下げることで、温度が低い状態でも過冷却状態を安定させることができる。
本発明によると、塑性歪みが生じ難い供試体及び供試体採取方法を提供することができる。
本発明の第1〜第3実施形態に係る供試体採取方法に用いる過冷却溶液を冷却した際の冷却時間と過冷却溶液の温度との関係を示すグラフである。 本発明の第1〜第3実施形態に係る供試体において、過冷却溶液として酢酸ナトリウム3水和物を用いた場合の、酢酸ナトリウム無水に対する水の混合割合に応じた一軸圧縮強度を示すプロット図である。 本発明の第1〜第3実施形態に係る供試体において、過冷却溶液として酢酸ナトリウム3水和物を用いた場合の、酢酸ナトリウム無水に対する水の混合割合に応じた歪みと圧縮応力との関係を示すグラフである。 (A)は固体状態の過冷却物質における温度と体積との関係、液体状態の過冷却溶液における温度と体積との関係を示したグラフであり、(B)は水の固体状態における温度と体積との関係、液体状態における温度と体積との関係を示したグラフである。 (A)は本発明の第1実施形態に係る供試体採取方法において、地盤に過冷却溶液を注入している状態を示す断面図であり、(B)は過冷却溶液が地盤に浸透した浸透体へ結晶剤を投入している状態を示す断面図であり、(C)は結晶剤と浸透体が接触した部分から固化反応が伝播している状態を示す断面図であり、(D)は地盤中の過冷却溶液が固化して固化体が形成された状態を示す断面図であり、(E)は固化体から供試体を採取している状態を示す断面図である。 本発明の第1〜第3実施形態に係る供試体の土質を調査する三軸圧縮試験機を示した側面図である。 (A)は本発明の第2実施形態に係る供試体採取方法において、地盤に結晶剤を投入している状態を示す断面図であり、(B)は結晶剤へ向って過冷却溶液を注入している状態を示す断面図であり、(C)は結晶剤と過冷却溶液とが接触した部分から固化反応が伝播して形成された固化体へ向って過冷却溶液を注入している状態を示す断面図であり、(D)は地表面まで固化体が形成された状態を示す断面図であり、(E)は固化体から供試体を採取している状態を示す断面図である。 (A)は本発明の第3実施形態に係る供試体採取方法において、地盤に過冷却溶液を注入している状態を示す断面図であり、(B)は過冷却溶液へ向って結晶剤を投入している状態を示す断面図であり、(C)は結晶剤を断続的に間隔を空けて投入している状態を示す断面図であり、(D)は地表面まで固化体が形成された状態を示す断面図であり、(E)は固化体から供試体を採取している状態を示す断面図である。
[第1実施形態]
(供試体)
本発明の実施形態に係る供試体は、土粒子と、固化した状態で土粒子間に充填された過冷却物質としての酢酸ナトリウム3水和物(CHCOONa・3HO)とを備えた試験サンプルであり、例えば三軸圧縮試験に用いられる。また、本発明の実施形態に係る供試体採取方法は、上記の供試体を地盤から採取するためのサンプリング方法である。
(過冷却溶液)
図1に示すように、過冷却溶液は融点よりも高い温度域では過冷却溶液以外の液体と同様に、液体状態を保持する(A〜B)。そして過冷却溶液は、融点以下の温度域に冷却されても固体化せず液体状態を保持する(B〜C)。この現象のことを「過冷却」といい、この状態のことを「過冷却状態」という。液体状態(A〜C)の過冷却溶液は、地盤における透水層若しくは不透水層へ圧入することで地盤へ浸透させることができる。
過冷却状態の過冷却溶液は振動等の刺激が与えられると、刺激が与えられた箇所から結晶化が始まり、凝固熱を発しながら固化する(C〜D)。なお、過冷却状態の過冷却溶液を固化させるためには、刺激を与える方法の他、結晶剤(結晶化した固体状態の過冷却物質)を過冷却状態の過冷却溶液中に投入する方法や、結晶剤に向かって過冷却状態の過冷却溶液を注入する方法や、凝固点まで冷却する方法などがある。
過冷却状態の過冷却溶液は、刺激を与えず、また結晶剤と接触させずに冷却を続けると液体の状態が保持される。液体状態を保持しながら冷却を続けるとやがて凝固点に達し固化して、過冷却物質を形成する。この融点と凝固点の差を過冷却度と言う。過冷却度が小さくなればなる程、過冷却状態が不安定になり、過冷却度が大きい状態と比較して、より弱い刺激によって固化する。つまり、過冷却状態の過冷却溶液が2種類ある場合、凝固点が高い過冷却溶液のほうが、凝固点が低い過冷却溶液よりも不安定な状態であり、意図しない刺激で固化する蓋然性が高い。
一旦固化した過冷却物質は、融点まで加熱されない限り、固体の状態が保持される(D〜E)。本発明の実施形態に係る供試体は、土粒子の間へ浸透した固体状態の過冷却物質を、土粒子と共に採取して得られるものである。
なお、本実施形態における「融点」とは、固化した状態の過冷却物質が融解する温度のことであり、「凝固点」とは、液体化した状態の過冷却溶液が固化する温度のことである。
本発明の実施形態における過冷却溶液は、酢酸ナトリウム無水に対して水を100:66の割合(分子量比)で混合、加熱融解させて生成された酢酸ナトリウム3水和物を含んでいる。この酢酸ナトリウム3水和物を含んだ過冷却溶液は、地盤中温度(セ氏10〜20℃)で過冷却状態を維持する物質であり、融点は約58.0℃である。また、凝固点は0℃以下である。この凝固点は、後述する界面活性剤により調整されている。これにより過冷却溶液は地盤中で、融点よりも温度が低く、且、凝固点よりも温度が高い過冷却状態が維持され、刺激あるいは結晶剤の投入により固化できる。また、固化した過冷却物質は地盤が58.0℃以上に熱せられない限り融解しない。
図4(A)には、固体状態の過冷却物質における温度T(K)と密度ρ(kg/cm)との関係が実線及び黒点等で示されており、液体状態の過冷却溶液における温度T(K)と密度ρ(g/cm)との関係が実線及び白点等で示されている。ここに示すように、T=260〜310(K)の範囲(−13〜37(℃))では、固体状態の過冷却物質と、液体状態の過冷却溶液の密度はほぼ等しい。このため、液体状態の過冷却溶液を固化させても、体積変化は少ない。(図4(A)の出展:「日本機械学会論文集(B編)58巻553号、論文No.92−0082、図10、1992年」)
これに対して、図4(B)に示された、水(HO)におけるT(K)と密度ρ(g/cm)との関係に示されるように、固体状態の水、すなわち氷(実線)と液体状態の水(破線)とでは、密度が異なる。具体的には、固体状態の水のほうが、液体状態の水より密度が小さい。このため、水は凍らせると体積が膨張する。
(界面活性剤)
過冷却溶液には、酢酸ナトリウム3水和物の他、界面活性剤として、オキシカルボン酸塩系のフローリック(登録商標)Tが添加されている。これにより、過冷却溶液の凝固点が任意の温度(本実施形態においては0℃以下)に調整されている。
この界面活性剤を用いると、例えば過冷却溶液の凝固点を低くすることができる。過冷却溶液の凝固点が低くなれば過冷却状態での安定性が高くなるので、意図しない刺激(路面を走る車両の振動や、微細な地震動など)を受けて固化することを抑制できる。
(供試体採取方法)
本発明の実施形態に係る供試体採取方法は、図5(A)に示すように、まず地盤掘削装置20に取付けられたロッド22を用いて地盤Gを掘削(ボーリング)する。ロッド22の先端(下端部)には図示しない掘削用ビットが取付けられており、ロッド22を回転させることで掘削用ビットが地盤Gを掘削しロッド22が地盤Gに挿入される。
掘削用ビットを用いて地盤Gを所定の深さH1まで掘削した後、ロッド22を回転させつつ引き抜きながら、ロッド22の先端部において掘削用ビットよりも後端(上端部)寄りに形成された図示しない注入ノズルから地盤Gへ向かって、横向きに過冷却状態(15℃)の過冷却溶液を注入する。これにより地盤Gにおける空隙部分又は地下水部分が過冷却溶液に置換され、過冷却溶液が地盤Gに浸透する。
地盤Gの温度は一般に10〜20℃であり、過冷却溶液の融点(約58.0℃)よりも温度が低く、且、凝固点(0℃以下)よりも温度が高い状態であるため、過冷却溶液は過冷却状態が維持される。
なお、ロッド22は本発明における注入管の一例である。また本実施形態において掘削用ビット及び注入(噴射)ノズルは同一のロッド22に設けられているが、それぞれ別のロッドに設けてもよい。
過冷却溶液が地盤Gに浸透することで、ロッド22及びロッド22により掘削された掘削孔22Aの周囲に浸透体30が形成される。
図5(B)に示すように、浸透体30を地盤面GLまで形成した後、掘削孔22Aへ結晶剤32を投入する。この結晶剤32と、浸透体30を形成する液体状態の過冷却溶液とが接触すると、過冷却溶液が固化する。また、固化した過冷却物質と、液体状態の過冷却溶液が接触すると、液体状態の過冷却溶液が固化する。このため、図5(C)に示すように徐々に固化反応が伝播して、固化体34が形成される。そして図5(D)に示すように、固化体34が形成される。
なお、本実施形態において、固化体34は地盤面GLまで形成しているが本発明の実施形態はこれに限らず、供試体Pを採取する必要がある部分に固化体34を形成すればよい。
次に、図5(E)に示すように、ロッド24を用いて、固化体34が形成された部分で、かつ、掘削孔22Aと異なる部分を掘削する。
ロッド24は二重管で構成されており、外管の先端に形成されたビットで地盤Gを回転切削し、回転しない内管(コアチューブ)を地盤Gへ押し込み円柱状の供試体P(図6参照)を採取する。
供試体Pは、三軸圧縮試験の供試体として用いることができる。三軸圧縮試験では、図6に示す三軸圧縮試験機40に示されるように、非透水性の膜S(例えばゴムメンブレン)で被覆された供試体Pを、三軸室42内に配置する。そして三軸室42に水Wを満たして供試体Pに側方から圧力C1を加え、さらに軸方向に圧縮して(圧力C2)、供試体Pの強度−変形特性を求める。また、三軸圧縮試験機40は給水路WS及び排水路WWを用いて、供試体Pの軸方向に沿って上から下へ水を通す構造とされており、供試体Pの土粒子間の間隙水を置換することができる。供試体Pは、土粒子の間の間隙水が固化した状態の過冷却溶液で形成されているが、固化した過冷却物質は、常温の水で溶解する。
この融解した過冷却溶液を水で置換することにより、供試体Pは地盤Gにおける平常時(地下水が過冷却溶液で置換される前の状態)の状態に戻る。これにより、地盤Gの土質を調査できる。
(作用・効果)
第1実施形態に係る供試体採取方法では、図5(A)〜(D)に示すように、地盤Gへ過冷却溶液を注入して浸透体30を形成し、結晶剤32を用いて固化させる。これにより固化体34が形成される。この固化体34をボーリングによって採取することで、固化した過冷却溶液が土粒子間に充填された供試体Pが得られる。
これにより、液体状態の地下水が土粒子間に充填された供試体を採取する従来技術と比較して、コアチューブを地盤へ挿入する際や、コアチューブから供試体を取り出す際等、供試体に乱れが生じ難い(塑性歪みが生じ難い)。また、供試体を運搬する際や一時的に保管しておく際などに、土粒子同士が圧密して強度が変化することを抑制できる。
なお、従来技術では、供試体の乱れを抑制するため、液体窒素を循環させた冷却管を地盤に埋設し、地下水を凍らせて採取することがある。ところが図4(B)に示すように、水は凍らせると体積が膨張するため、供試体の土粒子の間隙率が大きくなる。また、供試体を採取後、凍らせた地下水を融解させると、供試体の体積が小さくなる。あるいは、水を吸収して間隙率が大きい状態が維持される。このように、地下水を凍らせて供試体を採取する場合、地盤Gにおける平常時の状態を再現することが難しい。また、設備規模が大きくなり、設備の設置から供試体の採取まで、時間がかかる。
これに対して、第1実施形態に係る供試体採取方法で採取された供試体Pにおいて用いられている過冷却溶液は、図4(A)に示すように、固化しても体積が膨張し難い。これにより、供試体Pの土粒子の間隙率が変化し難い。また、固化した過冷却溶液を三軸圧縮試験機40で溶解させても、供試体Pの体積は変わり難い。
[第2実施形態]
第1実施形態に係る供試体採取方法では、地盤Gへ過冷却溶液を注入した後、地盤Gへ結晶剤32を投入したが、第2実施形態に係る供試体採取方法では、図7(A)に示すように地盤Gへまず結晶剤32を投入する。その後、図7(B)に示すように結晶剤32に向って過冷却溶液を注入する。これにより結晶剤32の周囲に固化体34を形成する。
さらに図7(C)に示すように、ロッド22を引き抜きながら固化体34に向かって過冷却溶液を注入し続ける。これにより固化反応が順次発生し、図7(D)に示すように柱状の固化体34が形成される。その後、図7(E)に示すようにロッド24を用いて供試体Pを採取する。
第2実施形態に係る供試体採取方法では、過冷却溶液を結晶剤32に向かって注入するため、過冷却溶液は、地盤Gへ注入後、即座に固化する。このため、地盤Gにおける地下水の流れが速い場合でも、過冷却溶液が流失し難く、固化体34を形成し易い。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る供試体採取方法では、図8(A)に示すように、第1実施形態と同様、まず、地盤Gに過冷却溶液を注入するが、図8(B)に示すように、過冷却溶液を注入しながら、過冷却溶液が浸透した地盤(浸透体30)へ結晶剤32を投入する。結晶剤32は、図8(C)に示すように間隔を空けて投入することで、固化反応を促進できる。これにより図8(D)に示すように、柱状の固化体34が形成される。その後、図8(E)に示すように、ロッド24を用いて供試体Pを採取する。
第3実施形態に係る供試体採取方法では、過冷却溶液を注入しながら、過冷却溶液が浸透した地盤(浸透体30)へ結晶剤32を投入するため、過冷却溶液は順次固化する。このため、第2実施形態に係る供試体採取方法と同様、地盤Gにおける地下水の流れが早い場合でも、固化体34を形成し易い。
(変形例)
上述の実施形態における過冷却溶液に用いられている酢酸ナトリウム3水和物は、酢酸ナトリウム無水に対して水が100:66の割合で混合、加熱融解させて生成されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば、酢酸ナトリウム無水と水との混合比を変えてもよい。水の混合比を大きくすると、過冷却溶液の過冷却状態における安定性が高くなる。
酢酸ナトリウム無水と水の混合比を変えた過冷却溶液の具体例として、図2、図3には、酢酸ナトリウム無水に対する水の分子量比を100:66、75、80、90とした酢酸ナトリウム3水和物に関するデータが示されている。
図2に示されたデータは、硅砂5号(粒径約5mm程度の硅砂)を35%の間隙率で充填した柱状体(供試体)に、酢酸ナトリウム無水に対する水の分子量比を100:66、75、80、90とした酢酸ナトリウム3水和物を浸透させ、固化させた試験体の一軸圧縮強度である。また、図3に示されたデータは、一軸圧縮強度試験において各試験体に圧力をかけた際に発生する圧縮応力と歪みの関係である。
酢酸ナトリウム無水に対する水の分子量比が多くなると、図2に示されるように、一軸圧縮強度が小さくなる。一方で、図3に示されるように、圧縮応力に対する歪みが大きくなる。すなわち、酢酸ナトリウム3水和物における水の混合割合が多くなると、供試体の圧縮強度が低下する一方で、展性が高く脆性破壊しにくくなる。
このように、酢酸ナトリウム無水と水との混合比を変えることにより、運搬や保管の仕方、あるいは試験内容等に適合する性能を備えた供試体を形成することができる。なお、乱れの少ない供試体を採取するために必要な一軸圧縮強度は、概ね0.05N/mm程度である。このため、酢酸ナトリウム無水に対する水の分子量比として、100:66、75、80、90の何れの分子量比を採用しても、乱れの少ない供試体を採取することができる。
なお、第1〜第3実施形態においては、過冷却溶液に酢酸ナトリウム3水和物を用いたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば硫酸ナトリウム10水和物(NaSO・10HO、融点32.0〜38.0℃)、チオ硫酸ナトリウム5水和物(Na・5HO、融点48.3℃)、リン酸2ナトリウム12水和物(NaHPO・12HO、融点35.0℃)、塩化カルシウム6水和物(CaCl・6HO、融点30.0℃)、酢酸カルシウム1水和物(CCaO・HO、融点100〜150℃)、酢酸マグネシウム4水和物(CMgO・4HO、融点79.0℃)、酢酸カリウム(CKO、融点292℃)、フッ化カリウム4水和物(KF・4HO、融点18.5℃)、エリスリトール(C12、融点119℃)、マンニトール(C14、融点167℃)など、地盤Gの温度よりも融点が高い各種の物質を用いることができる。
これらの過冷却溶液は、界面活性剤を添加することで凝固点を任意の温度に調整し、地盤中において安定した過冷却状態を維持することができる。なお、過冷却溶液に界面活性剤を添加することは必ずしも必要ではなく、地盤の温度、過冷却状態を安定に保つ必要性などに応じて適用の有無を選択することができる。
22 ロッド(注入管)
32 結晶剤
P 供試体
G 地盤

Claims (4)

  1. 土粒子と、
    前記土粒子間に充填され固化した過冷却物質と、
    を備えた供試体。
  2. 地盤に注入した過冷却溶液を固化させて過冷却物質を形成し、前記地盤をボーリングすることで供試体を採取する供試体採取方法。
  3. 前記地盤を掘削して注入管を挿入する工程と、
    前記注入管から前記地盤へ前記過冷却溶液を注入した後に前記過冷却溶液が浸透した前記地盤へ結晶剤を投入する工程、又は、前記注入管から前記地盤へ結晶剤を投入した後に前記結晶剤に向って過冷却溶液を注入する工程、又は、前記注入管から前記地盤へ過冷却溶液を注入しながら前記過冷却溶液が浸透した前記地盤へ結晶剤を投入する工程、又は、と、
    前記過冷却溶液が固化して前記過冷却物質が形成された状態で前記地盤をボーリングすることで前記供試体を採取する工程と、
    を有する請求項2に記載の供試体採取方法。
  4. 前記過冷却溶液には凝固点を下げる界面活性剤が添加されている、請求項2又は3に記載の供試体採取方法。
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