JP2008019678A - 低温岩盤内タンク施設の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空洞3内からその周囲岩盤に凍結ボーリング孔5を穿孔し、その先端部の周囲岩盤を凍結させることによって、空洞を取り囲む凍結領域Aを形成するとともに該凍結領域Aと空洞との間には非凍結領域Bを確保する。非凍結領域内から地下水の排水を行って不飽和状態とした後、空洞内面にメンブレン材による覆工を設ける。地表より作業斜坑2を設けて、その先端部から空洞3を先上がり勾配のトンネル状に施工しつつ、切羽後方にて凍結ボーリング孔5を穿孔し、非凍結領域Bを残してその外側に凍結領域Aを形成し、空洞の先端部にも同様に凍結領域を形成する。空洞内に流入した地下水を後方に自然流下させて集水し排水する。
【選択図】図1
Description
そのため、凍結式の低温岩盤内タンク施設の施工に際しては、必要に応じて貯槽としての空洞を掘削するに先立ってその上方に大規模な注水トンネルや注水ボーリング孔を先行施工し、そこから空洞掘削領域の周囲岩盤に対して人工的な地下水涵養としての多量の注水を連続的に行うことによって周囲岩盤を常に飽和状態に維持しつつ空洞を掘削する場合もあり、そのために多大な手間とコストを要するものであった。
したがって、メンブレン式の低温岩盤内タンク施設の施工に際しては、通常の土中工事の場合と同様に周囲岩盤から地下水を排水して地下水位を低下させることにより、施工領域をドライとして空洞を掘削し覆工を施工する必要がある。そして、そのためには空洞を掘削するべき領域の下方に集水および排水のための大規模な排水トンネルや排水ボーリング孔を先行施工し、そこから地下水を多量に汲み上げて地下水位を低下させて空洞周囲をドライに維持する必要があり、そのために大規模な排水工法を実施するために多大な手間とコストを要する。しかも、そのような工法によっても岩盤状況によっては必ずしも充分にドライにできないことも想定され、その場合には覆工時に地下水圧が作用して施工性が良くないばかりか施工品質に悪影響が及ぶ懸念がある。
また、非凍結領域のみから限定的に排水すれば良く、在来の排水工法による場合のように空洞周囲の岩盤全体の地下水位を空洞以深まで下げる必要がないから、大規模な排水トンネルや排水ボーリング孔は不要であるし、総排水量を大幅に削減することができ、在来の排水工法による場合に比べて大幅な工期短縮と工費削減を図ることができる。
さらに、貯槽完成後のプレクーリングにより凍結領域およびその外側には二次バリアとして機能する良好な凍結領域が形成されるとともに、施工中に不飽和化された非凍結領域では充分な凍結が期待できないことから凍結膨張による貯槽への悪影響を回避でき、したがって総合的には施設全体の安全性と信頼性を充分に高めることができる。
その際、掘進はやや先上がり勾配で行うとともに、掘進開始地点付近には集水ピット4を設けておいて、以降の工程中に空洞3内に流入した地下水が空洞3内を自然流下して集水ピット4に自ずと集水されるようにしておき、集水ピット4に集水した地下水を作業斜坑2を通して地表に排水することとする。
その際、空洞3の周囲岩盤全体をそのまま凍結させるのではなく、図示しているように凍結ボーリング孔5の先端部側のみを凍結させて基端部側に対しては凍結を行わず、それにより凍結ボーリング孔5の先端部側に凍結領域Aを形成するとともにその内側には非凍結領域Bを敢えて残すこととする。そのように非凍結領域Bを残しつつその外側にのみ凍結領域Aを形成する工程は、凍結ボーリング孔5の基端部の内側に断熱材6による保孔を行うことで容易にかつ確実に行うことができる。
なお、凍結領域Aおよび非凍結領域Bの厚さは、貯蔵対象の低温流体の種類や貯蔵温度、岩盤の状況、空洞3の大きさ、その他の諸条件を考慮して適宜設定すれば良い。
凍結領域Aが完全に形成された後は、凍結領域Aによる遮水性が確保されてその内側への地下水の流入は自ずと阻止され、したがって空洞3への地下水流入量は格段に減少する。そして、凍結領域Aの内側の非凍結領域B内に残された地下水が排水されるまでそのまま排水を継続すれば、非凍結領域Bは自ずと不飽和状態となり、図2に示すように集水ピット4の周囲の僅かな領域を残して非凍結領域B全体が充分にドライな状態となる。
なお、上記の覆工工程を開始するに先立って、あるいはその覆工工程を実施しながら、上記の凍結工程を適宜の時点で一斉にあるいは順次終了すれば良いが、いずれにしても覆工が完成するまでは非凍結領域Bをドライな状態に確保しておく必要があるので、それまでは凍結領域Aの融解が進行しないように凍結工程の終了のタイミングは覆工工程との関連により適切に決定すれば良い。
また、在来の排水工法による場合のように空洞3周囲の岩盤全体の地下水位を空洞3以深まで下げる必要がないことから、そのための大規模な排水トンネルや排水ボーリング孔を不要とできるし、総排水量を大幅に削減することができ、在来の排水工法による場合に比べて大幅な工期短縮と工費削減を図ることができる。
しかも、本実施形態では、空洞3の掘進工程や凍結領域Aの形成工程の段階での排水や非凍結領域Bを不飽和化するための排水をいずれも空洞3を通して行うようにしており、そのために空洞3を先上がり勾配として掘進して流入した地下水を自ずと後方まで自然流下させるようにしており、それにより何等格別の排水手段を必要とせずに極めて合理的にかつ容易に排水を行うことができるものとなっている。
また、上記実施形態ではトンネル状の空洞3を先上がり勾配で掘進することにより、空洞3内に流入した地下水を自然流下させて集水ピット4に集水して排水するようにしたが、必ずしもそうすることはなく、適宜の排水設備を設けて機械的に集水し排水することでも勿論良い。
さらに、凍結領域Aを形成するための工法や具体的な工程も、空洞との間に非凍結領域Bを残しつつ凍結領域Aを形成できるものであれば任意の工法や工程が採用可能であり、貯槽としての空洞の規模や形態、岩盤状況等の諸条件を考慮して最適な工法や工程を適宜選択して実施すれば良い。
B 非凍結領域
1 貯槽
2 作業斜坑
3 空洞
4 集水ピット
5 凍結ボーリング孔
6 断熱材
Claims (2)
- 岩盤内に掘削した空洞の内面にメンブレン材による覆工を設けて低温流体を貯蔵するための貯槽とする構造の低温岩盤内タンク施設を施工する方法であって、
空洞内からその周囲岩盤に凍結ボーリング孔を穿孔し、該凍結ボーリング孔の先端部の周囲岩盤を凍結させることによって、空洞を取り囲む凍結領域を形成するとともに該凍結領域と空洞との間には非凍結領域を確保し、
該非凍結領域内から地下水の排水を行って不飽和状態とした後、空洞内面にメンブレン材による覆工を設けて貯槽を完成させることを特徴とする低温岩盤内タンク施設の施工方法。 - 請求項1記載の低温岩盤内タンク施設の施工方法であって、
地表より作業斜坑を設けてその先端部から空洞の掘進を開始して空洞を先上がり勾配のトンネル状に施工していきつつ、
切羽後方にて周囲岩盤に対する凍結ボーリング孔の穿孔と該凍結ボーリング孔の先端部の周囲岩盤に対する凍結領域の形成を実施していき、
施工するべき空洞の先端部まで掘進した時点でその前方に対して凍結ボーリング孔を穿孔して該凍結ボーリング孔の先端部の周囲岩盤への凍結領域の形成を行い、
上記工程中においては周囲岩盤から空洞内に流入してくる地下水を後方に自然流下させて集水し排水するとともに、
前記凍結領域を形成した後はその内側の非凍結領域から空洞内に流入してくる地下水を同様に排水して該非凍結領域内を不飽和状態とし、
しかる後に、空洞内面へのメンブレン材による覆工を実施することを特徴とする低温岩盤内タンク施設の施工方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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