JP2019099720A - 共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品 - Google Patents

共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品 Download PDF

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Olivier Tardif
オリビエ タルディフ
文 堀田
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文 堀田
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Abstract

【課題】耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れた共重合体を提供する。【解決手段】エチレン単位と、炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、を少なくとも含有する共重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)による測定で結晶融解ピークを有し、重量平均分子量(Mw)が、50,000以上であることを特徴とする、共重合体である。該共重合体は、前記エチレン単位の含有量が80〜96mol%であり、前記非共役オレフィン単位の含有量が3〜20mol%であり、前記共役ジエン単位の含有量が1〜15mol%であることが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品に関するものである。
一般に、ゴム製品(タイヤ、コンベヤベルト、防振ゴム、免震ゴム等)や樹脂製品には高い耐久性(耐破壊特性、耐摩耗性、及び耐亀裂成長性等)及び耐候性(耐オゾン特性等)が求められており、かかる要求を満たすために様々な重合体又は共重合体が開発されてきている。
例えば、下記特許文献1は、共役ジエン部分(共役ジエン化合物由来部分)のシス−1,4結合含量が70.5mol%より大きく、非共役オレフィンの含有量が10mol%以上である、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体が開示されており、また、この共重合体が、耐亀裂成長性及び耐候性の良好なゴム組成物を製造するのに用いられることが開示されている。
国際公開第2012/014455号
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記特許文献1に開示の共重合体は、耐亀裂成長性に優れるものの、その他の物性、特には、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性に依然として改善の余地があることが分かった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れた共重合体を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかる共重合体を含み、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れたゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品を提供することを更なる課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の共重合体は、エチレン単位と、炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、を少なくとも含有する共重合体であって、
示差走査熱量測定(DSC)による測定で結晶融解ピークを有し、
重量平均分子量(Mw)が、50,000以上であることを特徴とする。
かかる本発明の共重合体は、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れる。
ここで、DSCによる測定は、実施例に記載の方法で実施され、また、重量平均分子量(Mw)は、実施例に記載の方法で測定した値である。
本発明の共重合体は、前記エチレン単位の含有量が、80〜96mol%であり、
前記非共役オレフィン単位の含有量が、3〜19mol%であり、
前記共役ジエン単位の含有量が、1〜17mol%であることが好ましい。この場合、共重合体の耐破壊特性が更に向上し、また、共重合体の耐摩耗性が更に向上し、更には、共重合体の架橋性、及び共重合体を用いた組成物の混練における作業性が良好となる。
本発明の共重合体は、前記共役ジエン単位中の3,4又は1,2−ビニル結合量が、30mol%以上であることが好ましい。この場合、共重合体の耐オゾン特性が更に向上する。
本発明の共重合体は、示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点が、120℃以下であることが好ましい。この場合、共重合体を用いた組成物の混練における作業性が向上する。ここで、該融点は、実施例に記載の方法で測定した値である。
本発明の共重合体は、結晶化度が、5.0〜50%であることが好ましい。この場合、共重合体の耐破壊特性が更に向上し、また、共重合体を用いた組成物の混練における作業性や、共重合体を含むゴム組成物から作製したゴム部材同士を貼り付け、ゴム製品を成形する際の作業性が向上する。ここで、該結晶化度は、実施例に記載の方法で測定した値である。
本発明の共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。
本発明の共重合体の好適例においては、前記非共役オレフィン単位が、α−オレフィン単位である。この場合、非共役オレフィン単位の由来となる非共役オレフィン化合物の入手が容易で、共重合体の製造コストを低減できる。
ここで、前記非共役オレフィン単位は、1−ヘキセン単位及び1−オクテン単位の少なくとも1種から選択されることが好ましい。この場合、非共役オレフィン単位の由来となる非共役オレフィン化合物の入手が更に容易で、共重合体の製造コストを更に低減できる。
本発明の共重合体の他の好適例においては、前記共役ジエン単位が、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含む。この場合、共役ジエン単位の由来となる共役ジエン化合物の入手が容易で、共重合体の製造コストを低減できる。
また、本発明のゴム組成物は、上記の共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明のゴム組成物は、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れる。
また、本発明の樹脂組成物は、上記の共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明の樹脂組成物は、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れる。
ここで、本発明において、ゴム組成物は、室温において、ゴム状弾性を有する組成物であり、一方、樹脂組成物は、室温において比較的硬く、ゴム状弾性を有しない組成物として、区別する。
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のタイヤは、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れる。
また、本発明の樹脂製品は、上記の樹脂組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明の樹脂製品は、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れる。
本発明によれば、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れた共重合体を提供することができる。
また、本発明によれば、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れたゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品を提供することができる。
錯体AのH−NMRスペクトルを示す。 実施例5の共重合体のH−NMRスペクトルを示す。 実施例5の共重合体のDSCチャートを示す。
以下に、本発明の共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<共重合体>
本発明の共重合体は、エチレン単位と、炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、を少なくとも含有する共重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)による測定で結晶融解ピークを有し、重量平均分子量(Mw)が、50,000以上であることを特徴とする。
本発明の共重合体は、エチレン単位を含み、該エチレン単位に起因して、DSCによる測定で結晶融解ピークを有する。該結晶融解ピークは、共重合体がエチレン単位由来の結晶成分を有することを示す。そして、共重合体がエチレン単位由来の結晶成分を有することで、歪がかかった際の歪エネルギーが結晶融解エネルギーとして緩和されるため、耐破壊特性が向上する。
また、本発明の共重合体は、重量平均分子量(Mw)が50,000以上であることで耐摩耗性に優れる。
更に、本発明の共重合体は、非共役オレフィン単位を含み、該非共役オレフィン単位は、不飽和結合を含まないため、耐オゾン特性に優れる。
そのため、本発明の共重合体は、耐破壊特性と耐摩耗性と耐オゾン特性とに優れる。
本発明の共重合体は、エチレン単位と、炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、を少なくとも含有し、エチレン単位と、炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位のみからなってもよいし、更に他のモノマー単位を含有してもよい。
前記エチレン単位は、エチレンに由来する。本発明の共重合体においては、前記エチレン単位の含有量が、80〜96mol%であることが好ましく、80〜94mol%であることが更に好ましい。エチレン単位の含有量を80mol%以上にすることで、エチレン単位由来の結晶が多く生成することにより、共重合体の耐破壊特性が更に向上する。また、エチレン単位の含有量が96mol%以下であれば、炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位や、共役ジエン単位に起因する性質がより顕著に表われる。
前記炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位は、炭素数が4〜10の非共役オレフィン化合物に由来する。ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物であって、炭素−炭素二重結合を複数有する場合においても、それぞれの炭素−炭素二重結合が共役していない化合物を指す。該非共役オレフィン化合物としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、ピバリン酸ビニル、1−フェニルチオエテン、N−ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。これらの中でも、非共役オレフィン化合物としては、α−オレフィンが好ましく、1−ヘキセン及び1−オクテンが特に好ましい。α−オレフィンのような非共役オレフィン化合物、特に1−ヘキセン及び1−オクテンは、オレフィンのα位に二重結合を有するため、後述する共役ジエン化合物と効率的に重合することができる上、得られる共重合体を用いたゴム組成物及びタイヤ等の耐オゾン特性をより向上させることができる。
本発明の共重合体においては、前記非共役オレフィン単位が、α−オレフィン単位であることが好ましく、1−ヘキセン単位及び1−オクテン単位の少なくとも1種から選択されることが更に好ましい。非共役オレフィン単位がα−オレフィン単位である場合、非共役オレフィン単位の由来となる非共役オレフィン化合物の入手が容易で、共重合体の製造コストを低減できる。また、非共役オレフィン単位が1−ヘキセン単位及び/又は1−オクテン単位である場合、非共役オレフィン単位の由来となる非共役オレフィン化合物の入手が更に容易で、共重合体の製造コストを更に低減できる。
本発明の共重合体においては、前記非共役オレフィン単位の含有量が、3〜19mol%であることが好ましく、3〜17mol%であることが更に好ましい。該非共役オレフィン単位の含有量を3mol%以上にすることで、共重合体のガラス転移温度(Tg)が低下し、共重合体の耐摩耗性が更に向上する。また、該非共役オレフィン単位の含有量が19mol%以下であれば、エチレン単位や、共役ジエン単位に起因する性質がより顕著に表われる。
前記共役ジエン単位は、共役ジエン化合物に由来する。該共役ジエン化合物は、特に限定しないが、炭素数が4〜8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられるが、これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、イソプレンが特に好ましい。
本発明の共重合体においては、前記共役ジエン単位として、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含むことが好ましい。共役ジエン単位として、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含む場合、共役ジエン単位の由来となる共役ジエン化合物(即ち、1,3−ブタジエン、イソプレン)の入手が容易であり、共重合体の製造コストを低減できる。
本発明の共重合体においては、前記共役ジエン単位の含有量が、1〜17mol%であることが好ましく、2〜15mol%であることが更に好ましい。共役ジエン単位の含有量が1mol%以上であれば、共重合体の架橋性が良好となり、共重合体の加硫を容易とすることができ、また、後述するゴム組成物や樹脂組成物の混練の際の作業性が良好となる。また、共役ジエン単位の含有量が17mol%以下であれば、共重合体の耐オゾン特性が更に向上する。
本発明の共重合体は、前記共役ジエン単位中の3,4又は1,2−ビニル結合量が、30mol%以上であることが好ましく、35mol%以上であることがより好ましく、40mol%以上が更に好ましく、45mol%以上がより更に好ましく、50mol%以上がより一層好ましい。共役ジエン単位中の3,4−ビニル又は1,2−ビニル結合量が30mol%以上の場合、側鎖に不飽和結合を多く有することとなり、主鎖の反応性が低くなる。そのため、共役ジエン単位中の3,4又は1,2−ビニル結合量が30mol%以上である場合、主鎖に不飽和結合を多く有する共重合体よりも、耐オゾン特性が更に向上する。
なお、共役ジエン単位中の3,4又は1,2−ビニル結合量の上限値は、特に限定はなく、共役ジエン単位中の3,4又は1,2−ビニル結合量は、100mol%以下である。
本発明の共重合体においては、前記エチレン単位の含有量が、80〜96mol%であり、前記非共役オレフィン単位の含有量が、3〜19mol%であり、前記共役ジエン単位の含有量が、1〜17mol%であることが好ましい。
エチレン単位の含有量を80mol%以上にすることで、エチレン単位由来の結晶が多く生成することにより、共重合体の耐破壊特性が更に向上する。
また、非共役オレフィン単位の含有量を3mol%以上にすることで、共重合体のガラス転移温度(Tg)が低下し、共重合体の耐摩耗性が更に向上する。
また、共役ジエン単位の含有量を1mol%以上とすることで、共重合体の架橋性が良好となる。
なお、エチレン単位の含有量が多くなると、共重合体を用いた組成物の混練における作業性が低下する傾向があるが、該共重合体は、共役ジエン単位の含有量が1mol%以上であることで、作業性の低下を抑制できる。また、共役ジエン単位の含有量が多くなると、耐オゾン特性が低下する傾向があるが、該共重合体は、非共役オレフィン単位の含有量が3mol%以上であることで、耐オゾン特性を向上させることができる。
そのため、エチレン単位の含有量が、80〜96mol%であり、非共役オレフィン単位の含有量が、3〜19mol%であり、共役ジエン単位の含有量が、1〜17mol%である場合、共重合体の耐破壊特性が更に向上し、また、共重合体の耐摩耗性が更に向上し、更には、共重合体の架橋性、及び共重合体を用いた組成物の混練における作業性が良好となる。
本発明の多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。ここで、本明細書において、「主鎖」とは、共重合体における、各単位の結合末端を結んでなる長鎖部分を指す。「主鎖」は、共重合体を構成する各単位において隣接する単位とは結合しない分岐部分(すなわち、ペンダント基)を含まない。例えば、単量体として芳香族ビニル化合物を用いる場合に、得られる多元共重合体の「主鎖」は、当該多元共重合体を構成する芳香族ビニル化合物由来の単位における芳香環を含まない。言い換えると、多元共重合体を構成する芳香族ビニル化合物由来の単位における芳香環は、隣接する単位と結合しない限り、多元共重合体の主鎖には含まれない。
また、「主鎖が非環状構造のみからなる」とは、主鎖が、脂肪族環構造、芳香環構造及び複素環構造のいずれをも含まないことを意味する。例えば、エチレンと、炭素数4〜10の非共役オレフィン化合物と、共役ジエン化合物とが、共重合に際して、環化反応することなく付加重合して、主鎖を形成することで、主鎖が非環状構造のみからなる多元共重合体を製造することができる。なお、共重合体の主鎖が非環状構造のみからなるか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三〜五員脂環式構造については、10〜24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
更に、本発明の多元共重合体は、主鎖が直鎖のみからなるものであってもよく、側鎖を有していてもよい。
本発明の共重合体は、重量平均分子量(Mw)が、50,000以上であり、100,000以上であることが好ましく、150,000以上であることが更に好ましい。共重合体の重量平均分子量(Mw)が50,000未満では、共重合体の耐摩耗性が低下する。また、作業性の観点から、共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10,000,000以下が好ましく、5,000,000以下が更に好ましく、1,000,000以下がより一層好ましい。
本発明の共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が、6.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましく、4.0以下であることが特に好ましい。共重合体の分子量分布が10.0以下であることにより、共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。なお、数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法で測定した値である。
本発明の共重合体は、示差走査熱量測定(DSC)による測定で結晶融解ピークを有し、該結晶融解ピークの頂点が融点である。結晶融解ピークを有さないということは、その共重合体が融点を有さないということを意味する。そして、本発明の共重合体は、示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点が、120℃以下であることが好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。共重合体の融点を120℃以下にすることで、共重合体の作業性が向上する。なお、共重合体の融点が120℃を超えると、後述するゴム組成物や樹脂組成物の混練の際に、結晶性の高いエチレン単位が融解し難く、作業性が低下する傾向がある。
また、本発明の共重合体は、DSCで測定される融点が、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましい。共重合体の融点が50℃以上であれば、耐破壊特性が更に向上するという利点がある。
本発明の共重合体は、結晶化度が、5.0〜50%であることが好ましい。共重合体の結晶化度が5.0%以上であれば、エチレン単位に起因する結晶性を十分に確保して、共重合体の耐破壊特性が更に向上する。また、共重合体の結晶化度が50%以下であれば、後述するゴム組成物や樹脂組成物の混練の際の作業性が向上し、また、共重合体を配合したゴム組成物のタック性が向上するため、ゴム組成物から作製したゴム部材同士を貼り付け、タイヤ等のゴム製品を成形する際の作業性も向上する。前記結晶化度は、耐破壊特性の観点から、10%以上が更に好ましく、また、作業性の観点から、40%以下が更に好ましい。
なお、共重合体において、融点の高い/低いと、結晶化度の高い/低いとは、必ずしも相関するものではなく、結晶成分が共重合体中における結晶成分の存在状態(例えば、エチレン単位の連鎖長)等、様々な要因によって決まる。
<共重合体の製造方法>
上述した本発明の共重合体は、例えば、下記一般式(I):
Figure 2019099720
[式中、Mは、スカンジウム、イットリウム又はランタノイド元素であり、Cpは、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、及びこれらの誘導体から選択される基であり、X及びX’は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、但し、該炭素数1〜20の炭化水素基は、ケイ素、酸素、窒素、硫黄若しくはリンを含有する基を末端又は間に有していてもよく、X及びX’は、同一でも異なってもよく、a及びbは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、但し、a+b≧1であり、Lは、中性ルイス塩基であり、cは、0〜3の整数である]で表される希土類元素化合物(A)を含む重合触媒組成物の存在下で、少なくとも、エチレン、炭素数が4〜10の非共役オレフィン化合物と、共役ジエン化合物と、を共重合させることで得ることができる。
上記一般式(I)における中心金属Mは、スカンジウム、イットリウム又はランタノイド元素である。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、スカンジウムSc、イットリウムY、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、及びホルミウムHoが好適に挙げられる。
上記一般式(I)中のCpは、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、及びこれらの誘導体から選択される基である。
上記一般式(I)中のCpに関して、シクロペンタジエニル基の誘導体(置換シクロペンタジエニル基)は、C5−Aで示され得る。ここで、Aは、置換シクロペンタジエニル基上の置換基の数であり、1〜4の整数である。Aは、2以上であるのが好ましい。また、Rは、置換基であり、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロペンタニル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。中でも、少なくとも1つのRは、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基であることが好ましい。Aが2以上であったり、Rが芳香族基等のかさ高い置換基を有すると、Cpが一層かさ高くなり、重合される単量体が、立体障害によって、一般式(I)で表される化合物の中心金属Mに対してX側又はX’側から接近することになるため、非共役オレフィン化合物のビニル部分が導入され易くなる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ベンジルジメチルシリル基等が挙げられる。置換シクロペンタジエニルとして、具体的には、以下のものが例示される。
Figure 2019099720
(式中、R’はメチル基又はエチル基を示し、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)
また、置換シクロペンタジエニルは、フェナントレンを有してもよく、シクロペンタジエニル基の誘導体として、(1−ベンジルジメチルシリル)シクロペンタ[l]フェナントレン等が挙げられる。
上記一般式(I)中のCpに関して、インデニル基の誘導体(置換インデニル基)は、C7−A又はC11−Aで示され得る。ここで、Aは、置換インデニル基上の置換基の数であり、1〜7又は1〜11の整数である。Aは、2以上であるのが好ましく、置換インデニル基の5員環上に存在するのも好ましい。また、Rは、置換基であり、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロペンタニル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。中でも、少なくとも1つのRは、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基であることが好ましい。Aが2以上であったり、Rが芳香族基等のかさ高い置換基を有すると、Cpが一層かさ高くなり、重合される単量体が、立体障害によって、一般式(I)で表される化合物の中心金属Mに対してX側又はX’側から接近することになるため、非共役オレフィン化合物のビニル部分が導入され易くなる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ベンジルジメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル、1−メチル−2−フェニルインデニル、1,3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)インデニル、1−エチル−2−フェニルインデニル、1−ベンジル−2−フェニルインデニル、(1−ベンジルジメチルシリル−3−シクロペンチル)インデニル、(1−ベンジル−3−t−ブチルジメチルシリル)インデニル等が挙げられる。また、置換インデニルは、フェナントレンを有してもよい。
上記一般式(I)中のCpに関して、フルオレニル基の誘導体(置換フルオレニル基)は、C139−A又はC1317−Aで示され得る。ここで、Aは、置換フルオレニル基上の置換基の数であり、1〜9又は1〜17の整数である。Aは、2以上であるのが好ましい。また、Rは、置換基であり、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロペンタニル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。中でも、少なくとも1つのRは、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基であることが好ましい。Aが2以上であったり、Rが芳香族基等のかさ高い置換基を有すると、Cpが一層かさ高くなり、重合される単量体が、立体障害によって、一般式(I)で表される化合物の中心金属Mに対してX側又はX’側から接近することになるため、非共役オレフィン化合物のビニル部分が導入され易くなる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ベンジルジメチルシリル基等が挙げられる。また、置換フルオレニルは、フェナントレンを有してもよい。
上記一般式(I)において、X及びX’は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、但し、該炭素数1〜20の炭化水素基は、ケイ素、酸素、窒素、硫黄若しくはリンを含有する基を末端又は間に有していてもよく、X及びX’は、同一でも異なってもよい。
上記一般式(I)において、X及びX’が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
上記一般式(I)において、X及びX’が表すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシ基が挙げられ、これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
上記一般式(I)において、X及びX’が表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基が挙げられ、これらの中でも、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
上記一般式(I)において、X及びX’が表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
上記一般式(I)において、X及びX’が表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
上記一般式(I)において、X及びX’が表す炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
上記一般式(I)で表される希土類元素化合物(A)は、0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。また、希土類元素化合物(A)が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(I)で表される希土類元素化合物(A)は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
前記重合触媒組成物は、更に、下記一般式(II):
ZR ・・・ (II)
[式中、Zは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属元素であり、R及びRは、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、また、Zが周期律表第1族から選択される金属元素である場合には、eは1で且つf及びgは0であり、Zが周期律表第2族及び第12族から選択される金属元素である場合には、e及びfは1で且つgは0であり、Zが周期律表第13族から選択される金属元素である場合には、e、f及びgは1である]で表わされる有機金属化合物(B)を含むことが好ましい。
上記一般式(II)において、R、R及びRが示す炭素数1〜10の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基等が好ましい。
前記有機金属化合物(B)としては、下記一般式(IIa):
AlR ・・・ (IIa)
[式中、R及びRは、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R、R及びRはそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物が好ましい。該有機アルミニウム化合物は、上記一般式(II)において、ZがAlで、e、f及びgが1である化合物に相当する。
上記一般式(IIa)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。
前記有機金属化合物(B)は、一種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
前記重合触媒組成物中の、前記希土類元素化合物(A)の含有量に対する、前記有機金属化合物(B)の含有量の割合(重合系における希土類元素化合物(A)の量に対する有機金属化合物(B)の量の割合)(モル比)は、反応活性の観点から、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、また、50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、30以下であることが更に好ましい。
前記重合触媒組成物は、更に、イオン性化合物(C)を含むことが好ましい。該イオン性化合物(C)は、非配位性アニオンとカチオンとからなる。該イオン性化合物(C)としては、上述の希土類元素化合物(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。
ここで、非配位性アニオンとしては、4価のホウ素アニオン、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン、トリチルカチオン等を挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオンとして、より具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン)等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。
従って、イオン性化合物(C)としては、上述の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。
前記イオン性化合物(C)は、一種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
前記重合触媒組成物中の、前記希土類元素化合物(A)の含有量に対する、前記イオン性化合物(C)の含有量の割合(重合系における希土類元素化合物(A)の量に対するイオン性化合物(C)の量の割合)(モル比)は、反応活性の観点から、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることが更に好ましく、また、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることが更に好ましい。
前記重合触媒組成物は、更に、ハロゲン化合物(D)を含むことが好ましい。該ハロゲン化合物(D)としては、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物が挙げられる。該ハロゲン化合物(D)は、例えば、上述の希土類元素化合物(A)と反応して、カチオン性遷移金属化合物やハロゲン化遷移金属化合物や遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。
上記ルイス酸としては、周期律表の第3族、第4族、第5族、第6族、第8族、第13族、第14族及び第15族に属する元素を含有するハロゲン化合物が挙げられ、アルミニウムハロゲン化物又は有機金属ハロゲン化物が好ましい。また、ハロゲン元素としては、塩素又は臭素が好ましい。
上記ルイス酸として、具体的には、四塩化チタン、六塩化タングステン、トリ(ペンタフルオロフェニル)ポレート、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、アルミニウムトリブロマイド、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ジブチル錫ジクロライド、四塩化錫、三塩化リン、五塩化リン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等が挙げられ、これらの中でも、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイドが特に好ましい。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチルヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
前記ハロゲン化合物(D)は、一種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
前記重合触媒組成物におけるハロゲン化合物(D)の含有量は、触媒活性を向上させる観点から、上述の希土類元素化合物(A)に対して0倍モル以上であることが好ましく、0.5倍モル以上であることが更に好ましく、1.0倍モル以上であることが特に好ましく、また、20倍モル以下であることが好ましく、10倍モル以下であることが更に好ましい。
前記重合触媒組成物は、更に、アルミノキサン(E)を含むことができる。アルミノキサンは、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物であり、例えば、一般式:(−Al(R’)O−)で示される繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサン(式中、R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部の炭化水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上が更に好ましい)を挙げることができる。ここで、R’として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。また、アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びその混合物等が挙げられ、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。また、アルミノキサンとしては、例えば、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンを好適に用いることができる。
なお、重合触媒組成物におけるアルミノキサン(E)の含有量は、上述の希土類元素化合物(A)を構成する元素Mと、アルミノキサンを構成するアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度となるようにすることが好ましい。
前記重合触媒組成物は、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、及び脂環式炭化水素溶媒から選択される少なくとも一種の溶媒を含むことが好ましい。前記芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン等が挙げられ、前記脂肪族炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等が挙げられ、前記脂環式炭化水素溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロオクタン等が挙げられる。これた溶媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。
前記重合触媒組成物は、上述の各成分を予め混合して調製して、共重合に使用してもよいが、共重合を行う重合系中(in situ)で調製してもよい。また、上述した一般式(I)で表される希土類元素化合物(A)を、共重合を行う重合系中(in situ)で調製してもよい。例えば、下記一般式(III):
Figure 2019099720
[式中、Mは、スカンジウム、イットリウム又はランタノイド元素であり、X、X’及びX”は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、但し、該炭素数1〜20の炭化水素基は、ケイ素、酸素、窒素、硫黄若しくはリンを含有する基を末端又は間に有していてもよく、X、X’及びX”は、同一でも異なってもよく、a及びbは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、但し、a+b≧1であり、Lは、中性ルイス塩基であり、cは、0〜3の整数である]で表される希土類元素化合物(F)と、シクロペンタジエニル基、インデニル基、及びフルオレニル基から選択される基を有するシクロペンタジエン骨格含有化合物(G)とから、前記一般式(I)で表される希土類元素化合物(A)を生成させることができる。このように、希土類元素化合物(A)を、共重合が行われる重合系中で合成することにより、予め触媒組成物を調製する手間を省くことができる。
なお、希土類元素化合物(F)及びシクロペンタジエン骨格含有化合物(G)は、それぞれ、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記一般式(III)中のMは、前記一般式(I)中のMと同義であり、また、前記一般式(III)中のX、X’は、前記一般式(I)中のX、X’と同義であり、また、前記一般式(III)中のLは、前記一般式(I)中のLと同義である。
また、前記一般式(III)中のX”は、前記一般式(I)中ののX、X’と同様に定義され、好ましい例も同様である。
前記シクロペンタジエン骨格含有化合物(G)は、シクロペンタジエニル基、インデニル基、及びフルオレニル基から選択される基を有し、該シクロペンタジエン骨格含有化合物(G)は、置換又は無置換シクロペンタジエン、置換又は無置換のインデン、置換又は無置換のフルオレンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。特に、シクロペンタジエン骨格含有化合物(G)は、置換シクロペンタジエン、置換インデン又は置換フルオレンであることが好ましく、置換インデンであることがより好ましい。これにより、重合触媒としてのかさ高さが有利に増大するため、反応時間を短くし、反応温度を高くすることができる。また、共役電子を多く具えるため、反応系における触媒活性を更に向上させることができる。
ここで、置換シクロペンタジエン化合物、置換インデン化合物、置換フルオレン化合物の置換基としては、ヒドロカルビル基、メタロイド基が挙げられ、ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることがより一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
前記置換シクロペンタジエン化合物としては、例えば、ペンタメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、トリメチルシリル−テトラメチルシクロペンタジエン、(1−ベンジルジメチルシリル)シクロペンタ[l]フェナントレン等が挙げられる。
前記置換インデン化合物としては、例えば、2−フェニル−1H−インデン、3−ベンジル−1H−インデン、3−メチル−2−フェニル−1H−インデン、3−ベンジル−2−フェニル−1H−インデン、1−ベンジル−1H−インデン、1−メチル−3−ジメチルベンジルシリル−インデン、1,3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)−インデン、(1−ベンジルジメチルシリル−3−シクロペンチル)インデン、(1−ベンジル−3−t−ブチルジメチルシリル)インデン等が挙げられ、特に、分子量分布を小さくする観点から、3−ベンジル−1H−インデン、1−ベンジル−1H−インデンが好ましい。
前記置換フルオレン化合物としては、トリメチルシリルフルオレン、イソプロピルフルオレン等が挙げられる。
上述した、共重合体の製造方法は、上述の重合触媒組成物の存在下で、エチレンと、炭素数が4〜10の非共役オレフィン化合物と、共役ジエン化合物と、を共重合させる工程(以下、「共重合工程」と呼ぶことがある。)を含み、また、該共重合工程の他に、更に、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程、その他の工程を適宜含んでもよい。
前記共重合工程には、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、共重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、ヘキサン(例えば、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン)等が挙げられる。
前記共重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。一段階の共重合工程とは、重合させる単量体を一斉に反応させて共重合させる工程である。多段階の共重合工程とは、一種類又は二種類以上の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体又は共重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、残る種類の単量体や前記一種類又は二種類以上の単量体の残部を添加して共重合させる一以上の段階(第2重合段階〜最終重合段階)を行って共重合させる工程である。
上記重合触媒組成物の存在下では、反応器への各単量体の投入順序、各単量体の投入量、その他の反応条件を制御することによって、製造された共重合体中における共役ジエン単位全体における結合含量(シス−1,4結合含量、トランス−1,4結合含量、3,4−ビニル結合量及び1,2−ビニル結合量)や各単量体由来の単位の含有量(すなわち、各単量体の共重合比)を制御することができる。
なお、単量体の一つであるエチレンは、常温常圧で気体であるため、通常は、任意の圧力で圧入することで、重合系に導入することができる。エチレンを圧入する際の圧力としては、特に制限されないが、工業的観点から、0.05MPa以上であることが好ましく、0.1MPa以上であることがより好ましく、また、2.5MPa以下であることが好ましく、2.0MPa以下であることがより好ましい。
また、重合系における希土類元素化合物(A)の量に対する非共役オレフィン化合物の投入量の割合(モル比)は、共重合体中の所望の非共役オレフィンの含有量を得る観点から、1,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましく、5,000以上であることが更に好ましく、また、100,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましく、50,000以下であることが更に好ましい。
更に、重合系における希土類元素化合物(A)の量に対する共役ジエン化合物の投入量の割合(モル比)は、共重合体中の所望の非共役オレフィンの含有量を得る観点から、100以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましく、また、70,000以下であることが好ましく、60,000以下であることがより好ましく、50,000以下であることが更に好ましい。
前記共重合工程は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。共重合工程の温度は、特に限定しないが、例えば、−100〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共重合体の共役ジエン単位のシス−1,4選択性が低下することがある。共重合工程の圧力は、非環状の非共役オレフィン化合物を十分に反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲とすることが好ましい。また、共重合工程の反応時間は、特に限定しないが、例えば、1秒〜10日の範囲であり、得られる共重合体について所望するミクロ構造、各単量体の種類、投入量及び添加順序、触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができる。共重合工程において、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の停止剤を用いて、反応を停止させてもよい。
前記カップリング工程は、前記共重合工程において得られた共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。カップリング反応は、共重合反応の転化率が100%に達した際に行うことが好ましい。
前記カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ等のスズ含有化合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズが、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
前記洗浄工程は、前記共重合工程において得られた共重合体を洗浄する工程である。なお、洗浄に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられるが、重合触媒組成物としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(たとえば塩酸、硫酸、硝酸)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。これ以上では酸が共重合体中に残存してしまうことで混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼす可能性がある。該洗浄工程により、共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上述の共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明のゴム組成物は、耐破壊特性と耐摩耗性とに優れる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、上述の共重合体を含み、更に必要に応じて、その他のゴム成分、充填剤、架橋剤、その他の成分を含むことができる。
なお、本発明においては、ゴム組成物が上記の共重合体を含む場合は、該共重合体は、ゴム成分として扱い、ゴム成分中の上記共重合体の含有率は10質量%以上が好ましい。
なお、その他のゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記ゴム組成物が充填剤を含む場合、ゴム組成物の補強性を向上させることができる。該充填剤としては、特に制限はなく、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられるが、これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記充填剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、10〜100質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましく、30〜60質量部が特に好ましい。前記充填剤の配合量が10質量部以上であることにより、充填剤を配合したことによる補強性向上の効果が得られ、また、100質量以下であることにより、良好な作業性を保持することができる。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤等が挙げられる。なお、タイヤ用ゴム組成物としては、これらの中でも硫黄系架橋剤(加硫剤)がより好ましい。
前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましい。
前記加硫剤を用いる場合には、更に加硫促進剤を併用することもできる。前記加硫促進剤としては、グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が挙げられる。
また、本発明のゴム組成物には、必要に応じて、軟化剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤など公知のものをその使用目的に応じて使用することができる。
本発明のゴム組成物は、後述するタイヤ用途以外にも、防振ゴム、免震ゴム、コンベヤベルト等のベルト、ゴムクローラ、各種ホースなどに用いることができる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、上述の共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明の樹脂組成物は、耐破壊特性と耐摩耗性とに優れる。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として、上述の共重合体を含み、更に必要に応じて、その他の樹脂成分、及び各種添加剤を含むことができる。
なお、本発明においては、樹脂組成物が上記の共重合体を含む場合は、該共重合体は、樹脂成分として扱い、樹脂成分中の上記共重合体の含有率は10質量%以上が好ましい。
ここで、他の樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、添加剤としては、帯電防止剤、滑剤、結晶核剤、粘着性付与剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、充填剤、顔料、染料、香料、難燃剤等が挙げられる。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のタイヤは、耐破壊特性と耐摩耗性とに優れる。
タイヤにおける本発明のゴム組成物の適用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラー等が挙げられる。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴム組成物及び/又はコードからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
<樹脂製品>
本発明の樹脂製品は、上述の樹脂組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明の樹脂製品は、耐破壊特性と耐摩耗性とに優れる。
なお、本発明の樹脂製品の用途は、特に限定されず、少なくとも一部に樹脂部分を有する種々の物品に適用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(錯体Aの合成方法)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、Sc(CHSiMe(THF)(0.260g、0.577mmol)のトルエン溶液(10ml)に、1,3−(tBuMeSi)(0.152g、0.441mmol)のトルエン溶液(10ml)を室温にて10分かけて滴下し、2時間攪拌した。次いで、溶液を減圧下で乾燥させた。残渣にトルエン(20ml)を加え、混合物を攪拌しながら、減圧下で軽沸点物質(THF、トルエン、MeSi)を除去した。H−NMR測定による、1,3−(tBuMeSi)及びSc(CHSiMe(THF)の完全な変換が観察されるまで手順を繰り返した。得られた粗生成物にトルエンを加え、不溶物を濾別した。濾液を濃縮し、濃縮物を−30℃に冷却し、無色結晶として、下記式:
Figure 2019099720
で表わされる、1,3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)インデニル[ビス(トリメチルシリル)メチル]スカンジウム錯体{[1,3−(tBuMeSi)]Sc(CHSiMe(THF)}(収量:0.200g、収率:71.4%)を得た。
得られた錯体AのH−NMRスペクトルを図1に示し、また、H−NMRによる同定結果を以下に示す。
H−NMR(C,δ/ppm):7.79 (d, 2H, aromatic), 7.47 (s, 1H, aromatic), 6.90 (d, 2H, aromatic), 3.36 (br, 4H, THF), 1.13 (br, 4H, THF), 0.87 (s, 18H, tBuSi×2), 0.60 (d, 12H, Me2Si×2), 0.25 (d, 12H, Me3Si×3), -0.091 (dd, 4H, CH2×2).
(錯体Bの合成方法)
錯体Aの合成方法において、1,3−(tBuMeSi)の代わりに、(1−CCHMeSi−3−C)C(0.147g、0.442mmol)を用いること以外は同様にして、下記式:
Figure 2019099720
で表わされる、(1−ベンジルジメチルシリル−3−シクロペンタン)インデニル[ビス(トリメチルシリル)メチル]スカンジウム錯体{[(1−CCHMeSi−3−C)C]Sc[(CHSiMe](THF)}(収量:0.243g、収率:88%)を、オレンジ色の油状残渣として得た。
(錯体Cの合成方法)
錯体Aの合成方法において、1,3−(tBuMeSi)の代わりに、[(1−CCH−3−tBuMeSi)C](0.142g、0.443mmol)を用いること以外は同様にして、下記式:
Figure 2019099720
で表わされる、(1−ベンジル−3−t−ブチルジメチルシリル)インデニル[ビス(トリメチルシリル)メチル]スカンジウム錯体{[(1−CCH−3−tBuMeSi)C]Sc[(CHSiMe](THF)}(収量:0.264g、収率:89%)を、オレンジ暗橙色の油状残渣(ほぼ定量的)として得た。
(錯体Dの合成方法)
錯体Aの合成方法において、1,3−(tBuMeSi)の代わりに、[1−(CCHMeSi)C1711](0.162g、0.443mmol)を用いること以外は同様にして、下記式:
Figure 2019099720
で表わされる、(1−ベンジルジメチルシリル)シクロペンタ[l]フェナントレン[ビス(トリメチルシリル)メチル]スカンジウム錯体{[1−(CCHMeSi)C1710]Sc[(CHSiMe](THF)}(収量:0.264g、収率:91%)を、オレンジ暗橙色の油状残渣(ほぼ定量的)として得た。
(実施例1)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体D(19.7mg、0.03mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](27.6mg、0.03mmol)、及びトリイソブチルアルミニウム0.50mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて、触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、1−ヘキセン50.0g(0.59mol)とトルエン250gを加えた。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン20g(0.29mol)を含む単量体溶液80gを導入し、エチレン圧下(0.22MPa)で、110分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、70gであった。
(実施例2)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体B(18.7mg、0.03mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](27.6mg、0.03mmol)、及びトリイソブチルアルミニウム0.35mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、1−ヘキセン50.0g(0.59mol)とトルエン250gを加えた。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン17g(0.249mol)を含む単量体溶液69gを導入し、エチレン圧下(0.22MPa)で、155分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、63gであった。
(比較例1)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体A(18.7mg、0.03mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](27.6mg、0.03mmol)、及びトリイソブチルアルミニウム0.50mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、1−ヘキセン50g(0.59mol)とトルエン250gを加えた。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン17g(0.249mol)を含む単量体溶液69gを導入し、エチレン圧下(0.15MPa)で、60分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、50gであった。
(実施例3)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体C(18.3mg、0.03mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](27.6mg、0.03mmol)、及びトリイソブチルアルミニウム0.50mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、1−ヘキセン33g(0.39mol)とトルエン270gを加えた。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン15g(0.22mol)を含む単量体溶液60gを導入し、エチレン圧下(0.15MPa)で、60分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、40gであった。
(実施例4)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体C(18.3mg、0.03mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](27.6mg、0.03mmol)、及びトリイソブチルアルミニウム0.50mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、1−オクテン40g(0.36mol)とトルエン340gを加えた。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン19.5g(0.29mol)を含む単量体溶液78gを導入し、エチレン圧下(0.15MPa)で、120分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、65gであった。
(実施例5)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体C(18.3mg、0.03mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](27.6mg、0.03mmol)、及びトリイソブチルアルミニウム0.50mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、1−オクテン40g(0.36mol)とトルエン340gを加えた。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン56g(0.82mol)を含む単量体溶液224gを導入し、エチレン圧下(0.30MPa)で、120分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、70gであった。
(比較例2)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体D(33.0mg、0.05mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](51.0mg、0.055mmol)、及びトリイソブチルアルミニウムハイドライド1.0mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、トルエン300gを加えて、プロピレン60g(1.43mol)を溶かした。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン5.3g(0.08mol)を含む単量体溶液21gを導入し、エチレン圧下(0.22MPa)で、40分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、38gであった。
(比較例3)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、錯体A(18.7mg、0.03mmol)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C](27.6mg、0.03mmol)、及びトリイソブチルアルミニウム0.50mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。
十分に乾燥した2,000mL耐圧ステンレス反応器に、1−ヘキセン80g(0.95mol)とトルエン250gを加えた。
上記で調製した触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、40℃に加温した。次いで、イソプレン15g(0.22mol)を含む単量体溶液60gを導入し、エチレン圧下(0.12MPa)で、90分間、重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。得られた三元共重合体の収量は、53gであった。
上記のようにして得られた共重合体について、下記の方法で、(1)共重合体中のイソプレン単位、エチレン単位、及びプロピレン単位、1−ヘキセン単位又は1−オクテン単位の含有量、並びに、イソプレン単位における1,4−結合しているイソプレン単位の含有量及び3,4−結合しているイソプレン単位の含有量(3,4−ビニル結合量)、(2)平均分子量、(3)融点(Tm)、(4)結晶化度を測定し、更に、(5)主鎖構造を確認した。結果を表1に示す。
(1)共重合体中のイソプレン単位、エチレン単位、及びプロピレン単位、1−ヘキセン単位又は1−オクテン単位の含有量、並びに、イソプレン単位における1,4−結合しているイソプレン単位の含有量及び3,4−結合しているイソプレン単位の含有量(3,4−ビニル結合量)
共重合体中のイソプレン単位、エチレン単位、及びプロピレン単位、1−ヘキセン単位又は1−オクテン単位の含有量(mol%)、並びに、イソプレン単位における1,4−結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)及び3,4−結合しているイソプレン単位の含有量(mol%、3,4−ビニル結合量)は、H−NMR(373K、CCl溶媒)スペクトルにおける、各ピークの積分比より、下記の式に従って算出した。
また、「mol%」を「wt%」に換算して、イソプレン単位、エチレン単位、及びプロピレン単位、1−ヘキセン単位又は1−オクテン単位の含有量(wt%)を求めた。
参考として、実施例5の共重合体のH−NMRスペクトルを図2に示す。
なお、算出に当り、
4.90〜5.20ppmのピークの積分値をI1(1,4−結合に由来)、
4.50〜4.90ppmのピークの積分値をI2(3,4−ビニル結合に由来)、
0.80〜2.40ppmのピークの積分値をI3、
0.80〜1.1ppmのピークの積分値をI4(オレフィンメチルに由来)とした。
また、H−NMRスペクトルから、いずれの共重合体も、イソプレン単位中の1,2−ビニル結合量が0mol%であることを確認した。
(1−i)プロピレン単位含有共重合体の系:
共重合体中のイソプレン単位の含有量(mol%)=(12×I1+6×I2)/(3×I3−9×I1−3×I2−2×I4)×100
イソプレン単位における1,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)=2×I1/(2×I1+I2)
イソプレン単位における3,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)=100−イソプレン単位における1,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)
プロピレン単位の含有量(mol%)=4×I4/(3×I3−9×I1−3×I2−2×I4)×100
エチレン単位の含有量(mol%)=100−イソプレン単位の含有量(mol%)−プロピレン単位の含有量(mol%)
(1−ii)1−ヘキセン単位含有共重合体の系:
共重合体中のイソプレン単位の含有量(mol%)=(12×I1+6×I2)/(3×I3−9×I1−3×I2−8×I4)×100
イソプレン単位における1,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)=2×I1/(2×I1+I2)
イソプレン単位における3,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)=100−イソプレン単位における1,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)
1−ヘキセン単位の含有量(mol%)=4×I4/(3×I3−9×I1−3×I2−8×I4)×100
エチレン単位の含有量(mol%)=100−イソプレン単位の含有量(mol%)−1−ヘキセン単位の含有量(mol%)
(1−iii)1−オクテン単位含有共重合体の系:
共重合体中のイソプレン単位の含有量(mol%)=(12×I1+6×I2)/(3×I3−9×I1−3×I2−12×I4)×100
イソプレン単位における1,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)=2×I1/(2×I1+I2)
イソプレン単位における3,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)=100−イソプレン単位における1,4結合しているイソプレン単位の含有量(mol%)
1−オクテン単位の含有量(mol%)=4×I4/(3×I3−9×I1−3×I2−12×I4)×100
エチレン単位の含有量(mol%)=100−イソプレン単位の含有量(mol%)−1−オクテン単位の含有量(mol%)
(2)平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8220GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求め、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。なお、測定温度は40℃である。
(3)融点(Tm)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、共重合体の融点(Tm)を測定した。融点(Tm)が低い程、結晶性が低く、作業性が良好であることを示す。また、融点が検出されないことは、結晶融解ピークを有さず、非晶性であることを示す。
参考として、実施例5の共重合体のDSCチャートを図3に示す。
(4)結晶化度
100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、得られた共重合体の融解ピークエネルギーを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出した。なお、融解ピークエネルギーは、DSCで測定した。
(5)合成した共重合体の主鎖構造の確認
合成した各共重合体について、13C−NMRスペクトルを測定した。測定には、ヘキサクロロブタジエンを溶媒として用いた。いずれの共重合体についての13C−NMRスペクトルにおいても、三〜五員脂環式構造を形成する炭素に由来するピーク(10〜24ppm)が存在しなかった。このようにして、合成した共重合体の主鎖が非環状構造のみからなることを確認することができた。
<ゴム組成物の調製及び評価>
上記のようにして得られた共重合体を用いて、表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、160℃で20分間加硫して得た加硫ゴムに対し、下記の方法に従って、(6)耐破壊特性、(7)耐摩耗性、(8)耐オゾン特性を評価した。結果を表1に示す。
(6)耐破壊特性
得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS K6251に従って、引張試験により、室温での破断点強度を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、耐破壊特性が良好であることを示す。
(7)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%で摩耗量を測定し、比較例1の摩耗量の逆数を100とする指数で表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示す。
(8)耐オゾン特性
得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS K6259に従って、耐オゾン特性を測定した。短冊状試験片を30%の動的伸張を与えながら、40℃、オゾン濃度50pphm条件で暴露し、24時間後の試料の状況(亀裂の有無)を目視で判断した。評価基準を以下に示す。
○: 亀裂なし
△: 微細な亀裂あり
×: 全体に大きな亀裂あり
Figure 2019099720
Figure 2019099720
*1 老化防止剤: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、ノックラック6C
*2 加硫促進剤1: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、ノクセラーCZ−G
*3 加硫促進剤2: ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、ノクセラーDM−P
なお、上記カーボンブラック(FEF級)のNSAは、42m/gである。
表1から、本発明に従う実施例の共重合体は、耐破壊特性と、耐摩耗性と、耐オゾン特性とに優れることが分かる。
本発明の共重合体は、ゴム組成物のゴム成分や、樹脂組成物の樹脂成分として利用できる。また、本発明のゴム組成物は、タイヤを始め、各種ゴム製品に利用できる。更に、本発明の樹脂組成物は、各種樹脂製品に利用できる。

Claims (13)

  1. エチレン単位と、炭素数が4〜10の非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、を少なくとも含有する共重合体であって、
    示差走査熱量測定(DSC)による測定で結晶融解ピークを有し、
    重量平均分子量(Mw)が、50,000以上であることを特徴とする、共重合体。
  2. 前記エチレン単位の含有量が、80〜96mol%であり、
    前記非共役オレフィン単位の含有量が、3〜19mol%であり、
    前記共役ジエン単位の含有量が、1〜17mol%である、請求項1に記載の共重合体。
  3. 前記共役ジエン単位中の3,4又は1,2−ビニル結合量が、30mol%以上である、請求項1又は2に記載の共重合体。
  4. 示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点が、120℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合体。
  5. 結晶化度が、5.0〜50%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体。
  6. 主鎖が非環状構造のみからなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体。
  7. 前記非共役オレフィン単位が、α−オレフィン単位である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の共重合体。
  8. 前記非共役オレフィン単位が、1−ヘキセン単位及び1−オクテン単位の少なくとも1種から選択される、請求項7に記載の共重合体。
  9. 前記共役ジエン単位が、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の共重合体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の共重合体を含むことを特徴とする、ゴム組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の共重合体を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
  12. 請求項10に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
  13. 請求項11に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする、樹脂製品。
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