JP7431817B2 - 多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品 - Google Patents

多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品 Download PDF

Info

Publication number
JP7431817B2
JP7431817B2 JP2021520665A JP2021520665A JP7431817B2 JP 7431817 B2 JP7431817 B2 JP 7431817B2 JP 2021520665 A JP2021520665 A JP 2021520665A JP 2021520665 A JP2021520665 A JP 2021520665A JP 7431817 B2 JP7431817 B2 JP 7431817B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
component
compound
copolymer
mol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021520665A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020235285A1 (ja
Inventor
靖宏 庄田
駿 種村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Publication of JPWO2020235285A1 publication Critical patent/JPWO2020235285A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7431817B2 publication Critical patent/JP7431817B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F210/00Copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond
    • C08F210/02Ethene
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L23/00Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08L23/04Homopolymers or copolymers of ethene
    • C08L23/08Copolymers of ethene
    • C08L23/0807Copolymers of ethene with unsaturated hydrocarbons only containing more than three carbon atoms
    • C08L23/083Copolymers of ethene with aliphatic polyenes, i.e. containing more than one unsaturated bond

Description

本発明は、多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品に関するものである。
一般に、ゴム製品(タイヤ、コンベヤベルト、防振ゴム、免震ゴム等)や樹脂製品には、高い耐久性(耐破壊特性、耐摩耗性、耐亀裂成長性等)及び耐候性が求められており、かかる要求を満たすために様々な重合体や、それを含むゴム組成物及び樹脂組成物が開発されてきている。
例えば、下記特許文献1には、共役ジエン部分(共役ジエン化合物由来部分)のシス-1,4-結合含量が70.5%より大きく、非共役オレフィンの含有量が10mol%以上である、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体が開示されており、また、この共重合体が、耐亀裂成長性及び耐候性の良好なゴム組成物を製造するのに用いられることが開示されている。
国際公開第2012/014455号
しかしながら、上記特許文献1では、共重合体中の非共役オレフィン部分の連鎖長については開示されていない。共重合体中の非共役オレフィン部分の連鎖長は、低歪領域での発熱性に影響を及ぼすものであり、重要な因子である。
そこで、本発明は、低歪領域での発熱性が低減された重合体を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかる重合体を含み、低歪領域での発熱性の小さい、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品を提供することを更なる課題とする。
上記課題を解決する本発明の重合体は、多元共重合体であり、その要旨構成は、以下の通りである。
本発明の多元共重合体は、非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、芳香族ビニル単位と、を含有する多元共重合体であって、
示差走査熱量計(DSC)で測定した、100~120℃における前記非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C100-120)の、0~100℃における前記非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C0-100)に対する比率[(C100-120/C0-100)×100]が、23%以下であることを特徴とする。
かかる本発明の多元共重合体は、低歪領域での発熱性が低減されている。
本発明の多元共重合体の好適例においては、前記0~100℃における非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C0-100)が、10%以上である。この場合、多元共重合体の耐破壊特性が向上する。
本発明の多元共重合体の他の好適例においては、前記非共役オレフィン単位の含有量が40~97mol%で、前記共役ジエン単位の含有量が1~50mol%で、且つ前記芳香族ビニル単位の含有量が2~35mol%である。この場合、多元共重合体の耐破壊特性が向上し、また、耐候性も向上する。
本発明の多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が50~90℃であることが好ましい。この場合、多元共重合体の耐破壊特性及び作業性が向上する。
本発明の多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。この場合、多元共重合体の作業性が向上する。
本発明の多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。この場合、多元共重合体の耐破壊特性が向上する。
また、本発明のゴム組成物は、上記の多元共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明のゴム組成物は、低歪領域での発熱性が小さい。
また、本発明の樹脂組成物は、上記の多元共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明の樹脂組成物は、低歪領域での発熱性が小さい。
ここで、本発明において、ゴム組成物は、室温において、ゴム状弾性を有する組成物であり、一方、樹脂組成物は、室温において比較的硬く、ゴム状弾性を有しない組成物として、区別する。
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のタイヤは、低歪領域での発熱性が小さく、転がり抵抗が小さい。
また、本発明の樹脂製品は、上記の樹脂組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明の樹脂製品は、発熱性が小さい。
本発明によれば、低歪領域での発熱性が低減された多元共重合体を提供することができる。
また、本発明によれば、低歪領域での発熱性の小さい、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品を提供することができる。
実施例1の多元共重合体のDSCチャートである。
以下に、本発明の多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<多元共重合体>
本発明の多元共重合体は、非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、芳香族ビニル単位と、を含有する多元共重合体であって、示差走査熱量計(DSC)で測定した、100~120℃における前記非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C100-120)の、0~100℃における前記非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C0-100)に対する比率[(C100-120/C0-100)×100]が、23%以下であることを特徴とする。
非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、芳香族ビニル単位と、を含有する多元共重合体のDSC測定において、100~120℃の吸熱ピークは、連鎖長の長い非共役オレフィン単位に由来し、DSC測定における0~100℃の吸熱ピークは、連鎖長の短い非共役オレフィン単位に由来する。ここで、連鎖長の短い非共役オレフィン単位は、多元共重合体の分子鎖中で、擬似架橋点として機能するため、ヒステリシスロスを小さくする作用を有する。一方、非共役オレフィン単位の連鎖長が長いことは、多元共重合体中の結晶成分(硬い部分)が多いことを意味し、連鎖長の長い非共役オレフィン単位は、結晶性のポリエチレン等と同様に、フィラーのように振舞うため、小さな歪がかかった際にも、ヒステリシスロスを生じ易くなる。本発明の多元共重合体は、DSCで測定した100~120℃における非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C100-120)の、0~100℃における非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C0-100)に対する比率[(C100-120/C0-100)×100]が23%以下であり、連鎖長の長い非共役オレフィン単位の割合が少ない一方、連鎖長の短い非共役オレフィン単位の割合が多いため、小さな歪がかかった際のヒステリシスロスが小さく、低歪領域での発熱性が低減されている。
また、本発明の多元共重合体は、非共役オレフィン単位を含み、大きく歪んだ際に、該非共役オレフィン単位に由来する結晶成分が崩壊することで、エネルギーを散逸することができる。そして、本発明の多元共重合体は、高歪領域でのエネルギーの散逸能が高いため、大きく歪むことで引き起こされる破壊を、エネルギーを散逸することで抑制でき、耐破壊特性が良好である。
また、多元共重合体中の結晶成分は、多元共重合体の硬い部分であるため、連鎖長が長い非共役オレフィン単位を多く含む多元共重合体を、ゴム組成物や樹脂組成物に配合すると、混練時等における作業性が悪化する。これに対して、本発明の多元共重合体は、非共役オレフィン単位の連鎖長が長い成分が少なく、ゴム組成物や樹脂組成物に配合しても、混練時等における作業性を良好にすることができる。
本発明の多元共重合体は、前記結晶化度(C100-120)の、前記結晶化度(C0-100)に対する比率[(C100-120/C0-100)×100]が23%以下であるが、低歪領域での発熱性を更に低減する観点から、該比率[(C100-120/C0-100)×100]は、好ましくは22%以下、より好ましくは21%以下である。なお、該比率[(C100-120/C0-100)×100]の下限については、特に限定は無いが、通常は、5.0%以上、4.0%以上、3.0%以上、2.0%以上、1.0%以上、又は0.1%以上であり、0%であってもよい。
ここで、前記結晶化度(C100-120)及び結晶化度(C0-100)は、実施例に記載の方法で測定した値である。
本発明の多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した100~120℃における非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C100-120)が、4.0%以下であることが好ましく、2.5%以下であることが更に好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。なお、該結晶化度(C100-120)の下限については、特に限定は無く、0%であってもよい。DSCで測定した100~120℃における非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C100-120)が小さい程、非共役オレフィン単位の連鎖長が短くなり、低歪領域での発熱性を更に低減でき、また、ゴム組成物や樹脂組成物に配合した際の、混練時等における作業性を向上させることができる。
本発明の多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した0~100℃における非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C0-100)が、10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましく、16%以上であることがより一層好ましい。なお、該結晶化度(C0-100)の上限については、特に限定は無いが、通常は、50%以下である。上述のように、本発明の多元共重合体は、大きく歪んだ際に、非共役オレフィン単位に由来する結晶成分が崩壊することで、エネルギーを散逸することができるが、前記結晶化度(C0-100)が10%以上であると、高歪領域でのエネルギーの散逸能が高くなり、耐破壊特性が向上する。
本発明の多元共重合体は、非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、芳香族ビニル単位と、を少なくとも含有し、非共役オレフィン単位と、共役ジエン単位と、芳香族ビニル単位と、のみからなってもよいし、更に他の単量体単位を含有してもよい。
前記非共役オレフィン単位は、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する構成単位である。ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素-炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。なお、非共役オレフィン化合物が炭素-炭素二重結合を2個以上有する場合、それらの炭素-炭素二重結合は、共役していない。該非共役オレフィン化合物は、特に限定しないが、炭素数が2~10であることが好ましい。かかる非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィン、ピバリン酸ビニル、1-フェニルチオエテン、N-ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。前記非共役オレフィン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。そして、多元共重合体の単量体としての非共役オレフィン化合物は、得られる多元共重合体を用いたゴム組成物や樹脂組成物等の耐候性を向上させる観点から、非環状の非共役オレフィン化合物であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン化合物としては、α-オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。α-オレフィンのような非環状の非共役オレフィン化合物、特にエチレンは、オレフィンのα位に二重結合を有するため、後述する共役ジエン化合物と効率的に重合することができる上、得られる多元共重合体を用いたゴム組成物や樹脂組成物等の耐候性をより向上させることができる。
本発明の多元共重合体においては、前記非共役オレフィン単位が、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましい。非共役オレフィン単位が非環状の非共役オレフィン単位である場合、得られる多元共重合体を用いたゴム組成物や樹脂組成物等の耐候性を向上させることができる。
また、本発明の多元共重合体においては、前記非共役オレフィン単位が、エチレン単位のみからなることが特に好ましい。非共役オレフィン単位がエチレン単位のみからなる場合、非共役オレフィン単位の由来となる非共役オレフィン化合物(即ち、エチレン)の入手が容易であり、多元共重合体の製造コストを低減できる。
なお、本発明の多元共重合体は、前記非共役オレフィン単位の含有量が、40mol%以上であることが好ましく、45mol%以上であることが更に好ましく、55mol%以上であることがより一層好ましく、60mol%以上であることが特に好ましく、また、97mol%以下であることが好ましく、95mol%以下であることが更に好ましく、90mol%以下であることがより一層好ましい。非共役オレフィン単位の含有量が、多元共重合体全体の40mol%以上であると、多元共重合体の高歪領域でのエネルギーの散逸能が高くなり、また、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の含有量が減少して、耐候性が向上したり、高温での耐破壊特性(特には、破断強度(Tb))が向上する。また、非共役オレフィン単位の含有量が97mol%以下であると、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の含有量が増加し、高温での耐破壊特性(特には、破断伸び(Eb))が向上する。また、非共役オレフィン単位の含有量は、多元共重合体全体の40~97mol%の範囲が好ましく、45~95mol%の範囲が更に好ましく、55~90mol%の範囲がより一層好ましい。
前記共役ジエン単位は、単量体としての共役ジエン化合物に由来する構成単位である。ここで、共役ジエン化合物とは、共役系のジエン化合物を指す。該共役ジエン化合物は、特に限定しないが、炭素数が4~8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等が挙げられる。これらの中でも、入手が容易である点で、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3-ブタジエンが特に好ましい。なお、前記共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
本発明の多元共重合体においては、前記共役ジエン単位として、1,3-ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含むことが好ましい。共役ジエン単位として、1,3-ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含む場合、共役ジエン単位の由来となる共役ジエン化合物(即ち、1,3-ブタジエン、イソプレン)の入手が容易であり、多元共重合体の製造コストを低減できる。
また、本発明の多元共重合体においては、前記共役ジエン単位が、1,3-ブタジエン単位のみからなることが特に好ましい。共役ジエン単位が、1,3-ブタジエン単位のみからなる場合、共役ジエン単位の由来となる共役ジエン化合物(即ち、1,3-ブタジエン)の入手が特に容易であり、共重合体の製造コストを更に低減できる。
なお、本発明の多元共重合体においては、前記共役ジエン単位の含有量は、1mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることがより好ましく、また、50mol%以下であることが好ましく、40mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることが更に好ましく、25mol%以下であることがより更に好ましく、15mol%以下であることがより一層好ましい。共役ジエン単位の含有量が、多元共重合体全体の1mol%以上であると、多元共重合体の加硫を容易とすることができ、また、伸びに優れるゴム組成物及びタイヤが得られるので好ましく、また、50mol%以下であると、耐候性に優れる。また、共役ジエン単位の含有量は、多元共重合体全体の1~50mol%の範囲が好ましく、3~40mol%の範囲が更に好ましい。
前記芳香族ビニル単位は、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する構成単位である。ここで、芳香族ビニル化合物とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を指す。多元共重合体が芳香族ビニル単位を含有することで、非共役オレフィン単位の連鎖長を短くし易くなる。該芳香族ビニル化合物は、特に限定しないが、炭素数が8~10であることが好ましい。かかる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、入手が容易である点で、スチレンが好ましい。なお、前記芳香族ビニル化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
本発明の多元共重合体においては、前記芳香族ビニル単位として、スチレン単位を含むことが好ましい。多元共重合体がスチレン単位を含む場合、芳香族ビニル単位の由来となる芳香族ビニル化合物(即ち、スチレン)の入手が容易で、多元共重合体の製造コストを低減できる。
なお、本発明の多元共重合体は、前記芳香族ビニル単位の含有量が、2mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることが更に好ましく、また、35mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることが更に好ましく、25mol%以下であることがより一層好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が2mol%以上であると、高温における耐破壊特性が向上する。また、芳香族ビニル単位の含有量が35mol%以下であると、非共役オレフィン単位及び共役ジエン単位による効果が顕著になる。また、芳香族ビニル単位の含有量は、多元共重合体全体の2~35mol%の範囲が好ましく、3~30mol%の範囲がより好ましく、3~25mol%の範囲がより一層好ましい。
本発明の多元共重合体は、前記非共役オレフィン単位の含有量が40~97mol%で、前記共役ジエン単位の含有量が1~50mol%で、且つ前記芳香族ビニル単位の含有量が2~35mol%であることが好ましい。この場合、多元共重合体を配合したゴム組成物や樹脂組成物の耐破壊特性が向上し、また、耐候性も向上する。
本発明の多元共重合体は、ブチレン単位の含有量が0mol%であることが好ましい。つまり、水添スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)には、ブチレン単位が含まれるが、「ブチレン単位の含有量が0mol%である」とは、SEBSが含まれないことを意味する。
また、前記多元共重合体の単量体の種類の数としては、多元共重合体が共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有する限り、特に制限はない。該多元共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位以外の、その他の構成単位を有していてもよいが、その他の構成単位の含有量は、所望の効果を得る観点から、多元共重合体全体の30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることが更に好ましく、含有しないこと、即ち、含有量が0mol%であることが特に好ましい。
本発明の多元共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000~10,000,000であることが好ましく、100,000~9,000,000であることがより好ましく、150,000~8,000,000であることが更に好ましい。前記多元共重合体のMwが10,000以上であることにより、機械的強度を十分に確保することができ、また、Mwが10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。
本発明の多元共重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000~10,000,000であることが好ましく、50,000~9,000,000であることがより好ましく、100,000~8,000,000であることが更に好ましい。前記多元共重合体のMnが10,000以上であることにより、機械的強度を十分に確保することができ、また、Mnが10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。
本発明の多元共重合体は、分子量分布[Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)]が1.00~4.00であることが好ましく、1.50~3.50であることがより好ましく、1.80~3.00であることが更に好ましい。前記多元共重合体の分子量分布が4.00以下であれば、多元共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。
なお、上述した重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求める。
本発明の多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が50~90℃であることが好ましく、60~80℃であることが更に好ましい。多元共重合体の融点が50℃以上であれば、多元共重合体の結晶性が高くなり、耐破壊特性が向上し、また、90℃以下であれば、作業性が向上する。
ここで、該融点は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して測定した値である。
本発明の多元共重合体は、0~120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10~150J/gであることが好ましく、30~120J/gであることが更に好ましい。多元共重合体の吸熱ピークエネルギーが10J/g以上であれば、多元共重合体の結晶性が高くなり、耐破壊特性が向上し、また、150J/g以下であれば、作業性が向上する。
ここで、該吸熱ピークエネルギーは、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、10℃/分の昇温速度で-150℃から150℃まで昇温し、その時(1st run)の0~120℃における吸熱ピークエネルギーを測定した値である。
本発明の多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましく、-100~-10℃であることが更に好ましい。多元共重合体のガラス転移温度が0℃以下であれば、作業性が向上する。
ここで、該ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して測定した値である。
本発明の多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。これにより、耐破壊特性を向上させることができる。なお、多元共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環~五員環については、10~24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その多元共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
前記多元共重合体は、非共役オレフィン化合物と、共役ジエン化合物と、芳香族ビニル化合物とを単量体として用いる重合工程を経て製造でき、更に、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程、その他の工程を経てもよい。
ここで、前記多元共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらを重合させることが好ましい。特に後述の触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物より共役ジエン化合物の方が反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合させることが困難となり易い。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となり易い。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、非共役オレフィン化合物、共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物、及びその他の単量体、好ましくは、非共役オレフィン化合物、共役ジエン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、残る種類の単量体や前記1種類又は2種類の単量体の残部を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階~最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、多元共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。
上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。上述の、100~120℃における前記非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C100-120)や、0~100℃における前記非共役オレフィン単位に由来する結晶化度(C0-100)の結晶化度は、後述する重合触媒の種類や、組成を選択することでも調整できるが、重合温度をコントロールすることでも調整できる。
また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。また、上記重合反応の反応時間も特に制限がなく、例えば、1秒~10日の範囲が好ましいが、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、前記共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
前記重合工程は、多段階で行うことが好ましい。より好ましくは、少なくとも芳香族ビニル化合物を含む第1単量体原料と、重合触媒とを混合して重合混合物を得る第1工程と、前記重合混合物に対し、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2単量体原料を導入する第2工程とを実施することが好ましい。更に、上記第1単量体原料が共役ジエン化合物を含まず、且つ上記第2単量体原料が共役ジエン化合物を含むことがより好ましい。
前記第1工程で用いる第1単量体原料は、芳香族ビニル化合物とともに、非共役オレフィン化合物を含有してもよい。また、第1単量体原料は、使用する芳香族ビニル化合物の全量を含有してもよく、一部のみを含有してもよい。また、非共役オレフィン化合物は、第1単量体原料及び第2単量体原料の少なくともいずれかに含有されることが好ましい。
前記第1工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第1工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、第1工程における圧力は、特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。また、第1工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、反応温度を25~80℃とした場合には、5分~500分の範囲が好ましい。
前記第1工程において、重合混合物を得るための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
前記第2工程で用いる第2単量体原料は、共役ジエン化合物のみ、又は、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、又は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物、又は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物であることが好ましい。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
前記第2工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第2工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス-1,4結合の選択性が低下することがある。また、第2工程における圧力は、特に制限はないが、共役ジエン化合物等の単量体を十分に重合反応系に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。また、第2工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、0.1時間~10日の範囲が好ましい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
ここで、上記の共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物の重合工程は、下記(A)~(F)成分の1種以上の存在下で、各種単量体を重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合工程には、触媒成分として、下記(A)~(F)成分を1種以上用いることが好ましいが、下記(A)~(F)成分の2種以上を組み合わせて、触媒組成物として用いることが更に好ましい。
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(B)成分:有機金属化合物
(C)成分:アルミノキサン
(D)成分:イオン性化合物
(E)成分:ハロゲン化合物
(F)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物(以下、単に「シクロペンタジエン骨格含有化合物」と称することがある。)
以下、(A)~(F)成分について詳細に説明する。
前記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物((A)成分)としては、希土類元素-炭素結合を有する、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物(以下、「(A-1)成分」ともいう。)、希土類元素-炭素結合を有しない、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物(以下、「(A-2)成分」ともいう。)が挙げられる。
前記(A-1)成分としては、例えば、下記一般式(I):
Figure 0007431817000001
[式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cpは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、R~Rは、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す]で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):
Figure 0007431817000002
[式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cpは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、X’は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す]で表されるメタロセン錯体、並びに下記一般式(III):
Figure 0007431817000003
[式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR’は、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示し、[B]は、非配位性アニオンを示す]で表されるハーフメタロセンカチオン錯体が挙げられる。
上記一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpは、C7-x又はC11-xで示され得る。ここで、Xは、0~7又は0~11の整数である。また、Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基は、ヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2-フェニルインデニル、2-メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(I)及び(II)における二つのCpは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCpR’は、無置換もしくは置換のシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルであり、これらの中でも、無置換もしくは置換のインデニルであることが好ましい。
一般式(III)において、上記シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR’は、C5-xで示される。ここで、Xは、0~5の整数である。また、Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基は、ヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR’として、具体的には、以下のものが例示される。
Figure 0007431817000004
[式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。]
一般式(III)において、上記インデニル環を基本骨格とするCpR’は、一般式(I)及び(II)のCpと同様に定義され、好ましい例も同様である。
一般式(III)において、上記フルオレニル環を基本骨格とするCpR’は、C139-x又はC1317-xで示され得る。ここで、Xは、0~9又は0~17の整数である。また、Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基は、ヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
一般式(I)、(II)及び(III)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57~71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[-N(SiR]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(I)におけるR~R)は、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は水素原子である。また、R~Rのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。R~Rのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりの嵩高さが低くなるため、非共役オレフィン化合物や芳香族ビニル化合物が導入され易くなる。同様の観点から、R~Rのうち少なくとも一つが水素原子であり、R~Rのうち少なくとも一つが水素原子であることが更に好ましい。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[-SiX’]を含む。シリル配位子[-SiX’]に含まれるX’は、下記で説明される一般式(III)のXと同様に定義される基であり、好ましい基も同様である。
一般式(III)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基及び炭素数1~20の一価の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられ、これらの中でも、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn-ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec-ブトキシ基、チオtert-ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルチオフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基等が挙げられ、これらの中でも、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;フェニルアミノ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルアミノ基、2,6-ジイソプロピルフェニルアミノ基、2,6-ジネオペンチルフェニルアミノ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェニルアミノ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェニルアミノ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェニルアミノ基、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基;ビストリメチルシリルアミノ基等のビストリアルキルシリルアミノ基等が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミノ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
また、一般式(III)において、Xが表す炭素数1~20の一価の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
一般式(III)において、Xとしては、ビストリメチルシリルアミノ基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基が好ましい。
一般式(III)において、[B]で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0~3個、好ましくは0~1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシリル)アミンの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間~数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えば、トルエンを用いればよい。以下に、一般式(I)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 0007431817000005
[式中、X’’はハライドを示す。]
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は、室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は、任意であるが、数時間~数十時間程度である。反応溶媒は、特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えば、トルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 0007431817000006
[式中、X’’はハライドを示す。]
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応により得ることができる。
Figure 0007431817000007
ここで、一般式(IV)で表される化合物において、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR’は、それぞれ独立して無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す。また、一般式[A][B]で表されるイオン性化合物において、[A]は、カチオンを示し、[B]は、非配位性アニオンを示す。
[A]で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
上記反応に用いる一般式[A][B]で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A][B]で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1~10倍mol加えることが好ましく、約1倍mol加えることが更に好ましい。なお、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(IV)で表される化合物と一般式[A][B]で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。また、一般式(I)又は(II)で表されるメタロセン錯体と一般式[A][B]で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
上記一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することが好ましい。
更に、他の(A-1)成分としては、下記一般式(V):
MXQY・・・(V)
[式中、Rは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xは、それぞれ独立して炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは、周期律表第13族元素を示し、Yは、それぞれ独立して炭素数1~20の一価の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは、2である]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系複合触媒の好適例においては、下記一般式(VI):
Figure 0007431817000008
[式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cpは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基を示し、該R及びRは、M及びAlにμ配位しており、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基又は水素原子を示す]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系複合触媒を用いることで、多元共重合体を効率良く製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、多元共重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、上記メタロセン系複合触媒を用いない従来の触媒系を用いると、多元共重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、上記メタロセン系複合触媒を用いない従来の触媒系では、金属触媒に対して10モル当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5モル当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
上記メタロセン系複合触媒において、上記一般式(V)中の金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57~71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記一般式(V)において、Rは、それぞれ独立して無置換インデニル又は置換インデニルであり、該Rは上記金属Mに配位している。なお、置換インデニルの具体例としては、例えば、1,2,3-トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7-ヘキサメチルインデニル基等が挙げられる。
上記一般式(V)において、Qは、周期律表第13族元素を示し、具体的には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等が挙げられる。
上記一般式(V)において、Xは、それぞれ独立して炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位している。ここで、炭素数1~20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記一般式(V)において、Yは、それぞれ独立して炭素数1~20の一価の炭化水素基又は水素原子を示し、該Yは、Qに配位している。ここで、炭素数1~20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記一般式(VI)において、金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57~71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記一般式(VI)において、Cpは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpは、C7-X又はC11-Xで示され得る。ここで、Xは、0~7又は0~11の整数である。また、Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基は、ヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
置換インデニルとして、具体的には、2-フェニルインデニル、2-メチルインデニル等が挙げられる。なお、式(VI)における二つのCpは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(VI)において、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、該R及びRは、M及びAlにμ配位している。ここで、炭素数1~20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記一般式(VI)において、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の一価の炭化水素基又は水素原子である。ここで、炭素数1~20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
なお、上記メタロセン系複合触媒は、例えば、溶媒中で、下記一般式(VII):
Figure 0007431817000009
[式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cpは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、R~Rは、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す]で表されるメタロセン錯体を、AlRで表される有機アルミニウム化合物と反応させることで得られる。なお、反応温度は、室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は、任意であるが、数時間~数十時間程度である。反応溶媒は、特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えば、トルエンやヘキサンを用いればよい。なお、上記メタロセン系複合触媒の構造は、H-NMRやX線構造解析により決定することが好ましい。
上記一般式(VII)で表されるメタロセン錯体において、Cpは、無置換インデニル又は置換インデニルであり、上記一般式(VI)中のCpと同義である。また、上記式(VII)において、金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムであり、上記式(VI)中の金属Mと同義である。
上記一般式(VII)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[-N(SiR]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(R~R基)は、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は水素原子である。また、R~Rのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。R~Rのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になる。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
上記一般式(VII)で表されるメタロセン錯体は、更に0~3個、好ましくは0~1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(VII)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
一方、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物は、AlRで表され、ここで、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の一価の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1~20の一価の炭化水素基であり、但し、Rは上記R又はRと同一でも異なっていてもよい。炭素数1~20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ-n-プロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジオクチルアルミニウムハイドライド、ジイソオクチルアルミニウムハイドライド;エチルアルミニウムジハイドライド、n-プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが好ましい。また、これら有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物の量は、メタロセン錯体に対して1~50倍molであることが好ましく、約10倍molであることが更に好ましい。
前記(A-2)成分は、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であり、且つ、希土類元素と炭素との結合を有しない。該希土類元素化合物及び反応物が希土類元素-炭素結合を有しない場合、化合物が安定であり、取り扱い易い。ここで、希土類元素化合物とは、希土類元素(M)、即ち、周期律表中の原子番号57~71の元素から構成されるランタノイド元素、又はスカンジウム若しくはイットリウムを含有する化合物である。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(A-2)成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記希土類元素化合物は、2価若しくは3価の希土類金属の塩又は錯体化合物であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有する希土類元素化合物であることが更に好ましい。更に、上記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、下記一般式(VIII)又は(IX):
1111 ・L11 ・・・ (VIII)
1111 ・L11 ・・・ (IX)
[それぞれの式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0~3を示す]で表されることが好ましい。
上記希土類元素化合物の希土類元素に結合する基(配位子)としては、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基(アルコールの水酸基の水素を除いた基であり、金属アルコキシドを形成する)、チオラート基(チオール化合物のチオール基の水素を除いた基であり、金属チオラートを形成する)、アミノ基(アンモニア、第一級アミン、又は第二級アミンの窒素原子に結合する水素原子を1つ除いた基であり、金属アミドを形成する)、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基が挙げられる。
該基(配位子)として、具体的には、水素原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェノキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn-ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec-ブトキシ基、チオtert-ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルチオフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;フェニルアミノ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルアミノ基、2,6-ジイソプロピルフェニルアミノ基、2,6-ジネオペンチルフェニルアミノ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェニルアミノ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェニルアミノ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェニルアミノ基、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基;ビストリメチルシリルアミノ基等のビストリアルキルシリルアミノ基;トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等のシリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
該基(配位子)として、更には、サリチルアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-3-ナフトアルデヒド等のアルデヒドの残基;2’-ヒドロキシアセトフェノン、2’-ヒドロキシブチロフェノン、2’-ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノンの残基;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のケトン残基(特には、ジケトンの残基);イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ピバル酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2-ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸の残基;ヘキサンチオ酸、2,2-ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸等のチオカルボン酸の残基;リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2-エチルヘキシル)、リン酸ビス(1-メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p-ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール-p-ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2-エチルヘキシル)、リン酸(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)、リン酸(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2-エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-p-ノニルフェニル、ホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、ホスホン酸モノ-1-メチルヘプチル、ホスホン酸モノ-p-ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基;ジブチルホスフィン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1-メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2-エチルヘキシル)(1-メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2-エチルヘキシルホスフィン酸、1-メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p-ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基等を挙げることもできる。
なお、これらの基(配位子)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記希土類元素化合物と反応するルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記希土類元素化合物が複数のルイス塩基と反応する場合(一般式(VIII)及び(IX)においては、wが2又は3である場合)、ルイス塩基L11は、同一であっても異なっていてもよい。
好適には、上記希土類元素化合物としては、下記一般式(X):
M-(AQ)(AQ)(AQ) ・・・ (X)
[式中、Mは、スカンジウム、イットリウム又はランタノイド元素であり;AQ、AQ及びAQは、同一であっても異なっていてもよい官能基であり;Aは、窒素、酸素又は硫黄であり;但し、少なくとも1つのM-A結合を有する]で表される化合物が好ましい。ここで、ランタノイド元素とは、具体的には、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムである。該化合物は、反応系における触媒活性を向上させることができ、反応時間を短くし、反応温度を高くすることが可能な成分である。
一般式(X)中のMとしては、特に、触媒活性及び反応制御性を高める観点から、ガドリニウムが好ましい。
一般式(X)中のAが窒素である場合、AQ、AQ及びAQ(即ち、NQ、NQ及びNQ)で表される官能基としては、アミノ基等が挙げられる。そして、この場合、3つのM-N結合を有する。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;フェニルアミノ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルアミノ基、2,6-ジイソプロピルフェニルアミノ基、2,6-ジネオペンチルフェニルアミノ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェニルアミノ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェニルアミノ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェニルアミノ基、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基;ビストリメチルシリルアミノ基等のビストリアルキルシリルアミノ基等が挙げられ、特に、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素に対する溶解性の観点から、ビストリメチルシリルアミノ基が好ましい。上記アミノ基は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記構成によれば、(A-2)成分を3つのM-N結合を有する化合物とすることができ、各結合が化学的に等価となり、化合物の構造が安定となるため、取り扱いが容易となる。
また、上記構成とすれば、反応系における触媒活性を更に向上させることができる。そのため、反応時間を更に短くし、反応温度を更に高くすることができる。
一般式(X)中のAが酸素である場合、一般式(X)(即ち、M-(OQ)(OQ)(OQ))で表される希土類元素含有化合物としては、特に制限されないが、例えば、下記一般式(XI):
(RO)M ・・・ (XI)
で表される希土類アルコラートや、下記一般式(XII):
(R-COM・・・ (XII)
で表される希土類カルボキシレート等が挙げられる。
ここで、上記一般式(XI)及び(XII)中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~10のアルキル基である。
一般式(X)中のAが硫黄である場合、一般式(X)(即ち、M-(SQ)(SQ)(SQ))で表される希土類元素含有化合物としては、特に制限されないが、例えば、下記一般式(XIII):
(RS)M ・・・ (XIII)
で表される希土類アルキルチオラートや、下記一般式(XIV):
(R-CSM ・・・ (XIV)
で表される化合物等が挙げられる。
ここで、上記一般式(XIII)及び(XIV)中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~10のアルキル基である。
前記有機金属化合物((B)成分)は、下記一般式(XV):
YR ・・・ (XV)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R及びRは、炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1~10の炭化水素基であり、但し、R、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a、b及びcは1である]で表される。
上記一般式(XV)において、R、R及びRが示す炭素数1~10の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基等が好ましい。
前記(B)成分としては、下記一般式(XVI):
AlR ・・・ (XVI)
[式中、R及びRは、炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1~10の炭化水素基であり、但し、R、R及びRはそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物が好ましい。該有機アルミニウム化合物は、上記一般式(XV)において、YがAlで、a、b及びcが1である化合物に相当する。
上記一般式(XVI)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ-n-プロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジオクチルアルミニウムハイドライド、ジイソオクチルアルミニウムハイドライド;エチルアルミニウムジハイドライド、n-プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが好ましい。
前記(B)成分は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。また、前記(B)成分の使用量は、上述の(A)成分と共に用いる場合、該(A)成分に対して1~50倍molであることが好ましく、約10倍molであることが更に好ましい。
前記アルミノキサン((C)成分)は、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物である。(C)成分を用いることによって、重合反応系における触媒活性を更に向上させることができるので、目的とする共重合体を容易に得ることができる。また、反応時間を更に短くし、反応温度を更に高くすることもできる。
ここで、前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、及びその混合物等が挙げられ、特に、トリメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物が好ましい。
一方、前記縮合剤としては、例えば、水等が挙げられる。
前記(C)成分としては、例えば、下記式(XVII):
-(Al(R)O)- ・・・ (XVII)
[式中、Rは、炭素数1~10の炭化水素基であり、ここで、炭化水素基の一部はハロゲン及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく;Rは、繰り返し単位間で同一であっても異なっていてもよく;nは5以上である]で表されるアルミノキサンを挙げることができる。
上記アルミノキサンの分子構造は、直鎖状であっても環状であってもよい。
上記式(XVII)中のnは、10以上であることが好ましい。
また、上記式(XVII)中のRに関して、炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、特に、メチル基が好ましい。該炭化水素基は、1種でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。式(XVII)中のRに関して、炭化水素基としては、メチル基とイソブチル基との組み合わせが好ましい。
上記アルミノキサンは、脂肪族炭化水素に高い溶解性を有することが好ましく、芳香族炭化水素に低い溶解性を有することが好ましい。例えば、ヘキサン溶液として市販されているアルミノキサンが好ましい。
ここで、脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
前記(C)成分は、特に、下記式(XVIII):
-(Al(CH(i-CO)- ・・・ (XVIII)
[式中、x+yは1であり;mは5以上である]で表される修飾アルミノキサン(以下、「TMAO」ともいう。)としてもよい。TMAOとしては、例えば、東ソー・ファインケミカル社製の製品名「TMAO-341」が挙げられる。
また、前記(C)成分は、特に、下記式(XIX):
-(Al(CH0.7(i-C0.3O)- ・・・ (XIX)
[式中、kは5以上である]で表される修飾アルミノキサン(以下、「MMAO」ともいう。)としてもよい。MMAOとしては、例えば、東ソー・ファインケミカル社製の製品名「MMAO-3A」が挙げられる。
更に、前記(C)成分は、特に、下記式(XX):
-[(CH)AlO]- ・・・ (XX)
[式中、iは5以上である]で表される修飾アルミノキサン(以下、「PMAO」ともいう。)としてもよい。PMAOとしては、例えば、東ソー・ファインケミカル社製の製品名「PMAO-211」が挙げられる。
前記(C)成分は、触媒活性を向上させる効果を高める観点から、上記MMAO、TMAO、PMAOのうち、MMAO又はTMAOであることが好ましく、特に、触媒活性を向上させる効果を更に高める観点から、TMAOであることが更に好ましい。
前記(C)成分は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。また、前記(C)成分は、触媒活性を向上させる観点から、前記(A)成分と共に用いる場合、該(A)成分中の希土類元素1molに対して、当該(C)成分中のアルミニウムが10mol以上となるように使用されることが好ましく、100mol以上となるように使用されることが更に好ましく、また、1000mol以下となるように使用されることが好ましく、800mol以下となるように使用されることが更に好ましい。
前記イオン性化合物((D)成分)は、非配位性アニオンとカチオンとからなる。該(D)成分を上述の(A)成分と共に用いる場合、(D)成分としては、前記(A)成分と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。
ここで、非配位性アニオンとしては、4価のホウ素アニオン、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等を挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン(「トリチルカチオン」ともいう)、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、より具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、アンモニウムカチオン等が挙げられ、アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン)等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
従って、前記イオン性化合物((D)成分)としては、上述の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が好ましく、具体的には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。
前記(D)成分は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。また、前記(D)成分の使用量は、上述の(A)成分と共に用いる場合、該(A)成分に対して0.1~10倍molであることが好ましく、約1倍molであることが更に好ましい。
前記ハロゲン化合物((E)成分)としては、ルイス酸であるハロゲン含有化合物(以下、「(E-1)成分」ともいう。)、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物(以下、「(E-2)成分」ともいう。)、活性ハロゲンを含む有機化合物(以下、「(E-3)成分」ともいう。)等が挙げられる。該(E)成分は、例えば、上述の(A)成分と共に用いる場合、該(A)成分と反応して、カチオン性遷移金属化合物やハロゲン化遷移金属化合物や遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。
上記(E-1)成分としては、例えば、周期律表中の第3族、第4族、第5族、第6族、第8族、第13族、第14族又は第15族の元素を含むハロゲン化合物を用いることができる。好ましくは、アルミニウムハロゲン化物又は有機金属ハロゲン化物が挙げられる。また、ハロゲン元素としては、塩素又は臭素が好ましい。
上記ルイス酸であるハロゲン含有化合物として、具体的には、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチルスズジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化スズ、四塩化チタン、六塩化タングステン等が挙げられ、これらの中でも、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイドが特に好ましい。
上記(E-1)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(E-2)成分を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記(E-2)成分を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2-エチル-ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2-エチル-ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1-デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2-エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2-エチルヘキシルアルコール、1-デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1mol当り、0.01~30mol、好ましくは0.5~10molの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記(E-2)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(E-3)成分としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
前記(E)成分は、一種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。また、前記(E)成分の使用量は、前記(A)成分と共に用いる場合、該(A)成分に対して0~5倍molであることが好ましく、1~5倍molであることが更に好ましい。
前記シクロペンタジエン骨格含有化合物((F)成分)は、シクロペンタジエニル基、インデニル基、及びフルオレニル基から選択される基を有し、該シクロペンタジエン骨格含有化合物(F)は、置換又は無置換シクロペンタジエン、置換又は無置換のインデン、置換又は無置換のフルオレンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。上記(F)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記置換又は無置換のシクロペンタジエンとしては、例えば、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、トリメチルシリル-テトラメチルシクロペンタジエン、(1-ベンジルジメチルシリル)シクロペンタ[l]フェナントレン等が挙げられる。
前記置換又は無置換のインデンとしては、例えば、インデン、2-フェニル-1H-インデン、3-ベンジル-1H-インデン、3-メチル-2-フェニル-1H-インデン、3-ベンジル-2-フェニル-1H-インデン、1-ベンジル-1H-インデン、1-メチル-3-ジメチルベンジルシリル-インデン、1,3-ビス(t-ブチルジメチルシリル)-インデン、(1-ベンジルジメチルシリル-3-シクロペンチル)インデン、(1-ベンジル-3-t-ブチルジメチルシリル)インデン等が挙げられ、特に、分子量分布を小さくする観点から、3-ベンジル-1H-インデン、1-ベンジル-1H-インデンが好ましい。
前記置換又は無置換のフルオレンとしては、フルオレン、トリメチルシリルフルオレン、イソプロピルフルオレン等が挙げられる。
特に、シクロペンタジエン骨格含有化合物((F)成分)は、置換シクロペンタジエン、置換インデン又は置換フルオレンであることが好ましく、置換インデンであることがより好ましい。これにより、重合触媒としてのかさ高さが有利に増大するため、反応時間を短くし、反応温度を高くすることができる。また、共役電子を多く具えるため、反応系における触媒活性を更に向上させることができる。
ここで、置換シクロペンタジエン、置換インデン、置換フルオレンの置換基としては、ヒドロカルビル基、メタロイド基が挙げられ、ヒドロカルビル基の炭素数は1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることがより一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
前記(F)成分は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。また、前記(F)成分の使用量は、触媒活性を向上させる観点から、前記(A)成分と共に用いる場合、該(A)成分に対するモル比として、0超であることが好ましく、0.5以上であることが更に好ましく、1以上であることが特に好ましく、また、3以下であることが好ましく、2.5以下であることが更に好ましく、2.2以下であることが特に好ましい。
上述の(A)~(F)成分は、様々に組み合わせ、触媒組成物として、前記重合工程に用いることが好ましい。好適な触媒組成物としては、以下の第一の触媒組成物及び第二の触媒組成物が挙げられる。
前記第一の触媒組成物は、前記(A-1)成分と、前記(B)成分と、前記(D)成分と、を含み、更に、任意成分として、前記(C)成分及び前記(E)成分の一種以上を含むことが好ましい。なお、前記(A-1)成分が、前記一般式(V)で表わされメタロセン系複合触媒である場合は、前記(B)成分も任意成分となる。
前記第二の触媒組成物は、前記(A-2)成分と、前記(B)成分と、前記(D)成分と、を含み、更に、任意成分として、前記(C)成分、前記(E)成分及び前記(F)成分の一種以上を含むことが好ましい。なお、第二の触媒組成物が(F)成分を含む場合、触媒活性が向上する。
前記カップリング工程は、前記重合工程において得られた多元共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。
前記カップリング工程において、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
前記カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、数平均分子量(Mn)の増加を行うことができる。
前記洗浄工程は、前記重合工程において得られた多元共重合体を洗浄する工程である。なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。これ以上では、酸が多元共重合体中に残存してしまうことで混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼす可能性がある。
この洗浄工程により、多元共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上述の多元共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明のゴム組成物は、低歪領域での発熱性が小さく、例えば、タイヤに使用することで、タイヤの転がり抵抗を低減することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、上述の多元共重合体を含み、更に必要に応じて、その他のゴム成分、充填剤、架橋剤、その他の成分を含むことができる。
本発明のゴム組成物において、前記ゴム成分中の、前記多元共重合体の含有率は、10~100質量%の範囲が好ましく、20~100質量%の範囲が更に好ましく、30~100質量%の範囲がより一層好ましい。ゴム成分中の、前記多元共重合体の含有率が10質量%以上であれば、多元共重合体による作用が十分に発揮され、ゴム組成物の低歪領域での発熱性が小さくなり、また、タイヤに使用することで、タイヤの転がり抵抗を低減することができる。
なお、その他のゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-非共役ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記ゴム組成物が充填剤を含む場合、ゴム組成物の補強性を向上させることができる。該充填剤としては、特に制限はなく、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられるが、これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記充填剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、10~100質量部が好ましく、20~80質量部がより好ましく、30~60質量部が特に好ましい。前記充填剤の配合量が10質量部以上であることにより、充填剤を配合したことによる補強性向上の効果が得られ、また、100質量部以下であることにより、良好な作業性を保持することができる。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム-ニトロソアミン系架橋剤等が挙げられる。なお、タイヤ用ゴム組成物としては、これらの中でも硫黄系架橋剤(加硫剤)がより好ましい。
前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.1~20質量部が好ましい。
前記加硫剤を用いる場合には、更に加硫促進剤を併用することもできる。前記加硫促進剤としては、グアニジン系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が挙げられる。
また、本発明のゴム組成物には、必要に応じて、軟化剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤など公知のものをその使用目的に応じて使用することができる。
本発明のゴム組成物は、後述するタイヤ用途以外にも、防振ゴム、免震ゴム、コンベヤベルト等のベルト、ゴムクローラ、各種ホース等に用いることができる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、上述の多元共重合体を含むことを特徴とする。かかる本発明の樹脂組成物は、低歪領域での発熱性が小さい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として、上述の多元共重合体を含み、更に必要に応じて、その他の樹脂成分、及び各種添加剤を含むことができる。
なお、本発明においては、樹脂組成物が上記の多元共重合体を含む場合は、該多元共重合体は、樹脂成分として扱い、樹脂成分中の上記多元共重合体の含有率は10質量%以上が好ましい。
ここで、他の樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、添加剤としては、帯電防止剤、滑剤、結晶核剤、粘着性付与剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、顔料、染料、香料、難燃剤等が挙げられる。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のタイヤは、低歪領域での発熱性が小さく、転がり抵抗が小さい。
タイヤにおける本発明のゴム組成物の適用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラー等が挙げられる。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴム組成物及び/又はコードからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
<樹脂製品>
本発明の樹脂製品は、上述の樹脂組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明の樹脂製品は、低歪領域での発熱性が小さい。
なお、本発明の樹脂製品の用途は、特に限定されず、少なくとも一部に樹脂部分を有する種々の物品に適用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン55gと、トルエン870gと、を加える。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{(1-BnMeSi-3-Me)CGd[N(SiHMe}0.05mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]0.05mmol、トリメチルアルミニウム0.3mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.14mmolを仕込み、トルエン30gを加えて、触媒溶液とする。該触媒溶液を、前記耐圧ステンレス反応器に加え、75℃に加温する。
次いで、エチレンを圧力1.6MPaで、前記耐圧ステンレス反応器に投入し、1,3-ブタジエン25gを含むトルエン溶液80gを4時間かけて加え、共重合を行う。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させる。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体を得る。
(実施例2)
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン44gと、トルエン870gと、を加える。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{(1-BnMeSi-3-Me)CGd[N(SiHMe}0.05mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]0.05mmol、トリメチルアルミニウム0.3mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.14mmolを仕込み、トルエン30gを加えて触媒溶液とする。該触媒溶液を、前記耐圧ステンレス反応器に加え、75℃に加温する。
次いで、エチレンを圧力1.2MPaで、前記耐圧ステンレス反応器に投入し、1,3-ブタジエン25gを含むトルエン溶液80gを計4時間かけて加え、共重合を行う。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させる。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体を得る。
(実施例3)
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン33gと、トルエン870gと、を加える。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{(1-BnMeSi-3-Me)CGd[N(SiHMe}0.05mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]0.05mmol、トリメチルアルミニウム0.3mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.14mmolを仕込み、トルエン30gを加えて触媒溶液とする。該触媒溶液を、前記耐圧ステンレス反応器に加え、75℃に加温する。
次いで、エチレンを圧力1.2MPaで、前記耐圧ステンレス反応器に投入し、1,3-ブタジエン25gを含むトルエン溶液80gを計4時間かけて加え、共重合を行う。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させる。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体を得る。
(比較例1)
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン55gと、トルエン870gと、を加える。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{(1-BnMeSi-3-Me)CGd[N(SiHMe}0.05mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]0.05mmol、トリメチルアルミニウム0.3mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.35mmolを仕込み、トルエン30gを加えて触媒溶液とする。該触媒溶液を、前記耐圧ステンレス反応器に加え、75℃に加温する。
次いで、エチレンを圧力1.0MPaで、前記耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計4時間共重合を行う。1,3-ブタジエンは、24分おきに、1,3-ブタジエン2gを含むトルエン溶液8gを投入し、全部で1,3-ブタジエン20gを含むトルエン溶液80gを加える。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させる。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体を得る。
<多元共重合体の分析>
得られる多元共重合体について、以下の方法で、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、エチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位の含有量(mol%)、結晶化度、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)を測定し、主鎖構造を確認する。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC-8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR-H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、多元共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求める。なお、測定温度は40℃である。
(2)エチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位の含有量
多元共重合体中のエチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位の含有量(mol%)を、H-NMRスペクトル(100℃、d-テトラクロロエタン標準:6ppm)における、各ピークの積分比より求める。
(3)結晶化度
多元共重合体サンプルを、-150℃~150℃まで、10℃/minで昇温し、その時の0~100℃の吸熱ピークエネルギー(ΔH)と、100~120℃の吸熱ピークエネルギー(ΔH)を測定する。
また、同様にして、100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギー(ΔH)を測定する。
前記ポリエチレンの結晶融解エネルギー(ΔH)に対する、多元共重合体の0~100℃の吸熱ピークエネルギー(ΔH)の比率(ΔH/ΔH)から、0~100℃におけるエチレン単位(非共役オレフィン単位)に由来する結晶化度(C0-100(%))を算出し、また、前記ポリエチレンの結晶融解エネルギー(ΔH)に対する、多元共重合体の100~120℃の吸熱ピークエネルギー(ΔH)の比率(ΔH/ΔH)から、100~120℃におけるエチレン単位(非共役オレフィン単位)に由来する結晶化度(C100-120(%))を算出し、更にそれらの比率[(C100-120/C0-100)×100]を算出する。
なお、多元共重合体サンプルの吸熱ピークエネルギーと、ポリエチレンの結晶融解エネルギーは、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)で測定する。結果を表1に示す。また、参考として、実施例1の多元共重合体のDSCチャートを図1に示す。
(4)融点(Tm)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、多元共重合体の融点(Tm)を測定する。
(5)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、多元共重合体のガラス転移温度(Tg)を測定する。
(6)主鎖構造の確認
得られる多元共重合体について、13C-NMRスペクトルを測定する。いずれの多元共重合体についても、13C-NMRスペクトルチャートにおいて、10~24ppmにピークが観測されないことから、多元共重合体の主鎖が非環状構造のみからなることを確認する。
Figure 0007431817000010
表1から、実施例1~3の共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した、100~120℃におけるエチレン単位に由来する結晶化度(C100-120)の、0~100℃におけるエチレン単位に由来する結晶化度(C0-100)に対する比率[(C100-120/C0-100)×100]が小さいことが分かる。
<ゴム組成物の調製及び評価>
表2に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物を製造する。該ゴム組成物に対して、下記の方法で、損失正接(tanδ)を測定する。結果を表2に示す。
(7)損失正接(tanδ)
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られる加硫ゴムに対して、レオメトリック社製の粘弾性試験機「ARES」を用いて、歪み0.3%、周波数10Hzの条件下で、50℃におけるtanδ(損失正接)を測定し、下記式:
tanδ(指数)={(比較例4のゴム組成物のtanδ)/(供試ゴム組成物のtanδ)}×100
に従い、指数表示する。指数値が大きい程、tanδが小さく、低歪領域(歪み0.3%)での発熱性が低く、良好であることを示す。
Figure 0007431817000011
*1 SBR: スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、JSR社製、商品名「#0202」
*2 シリカ: 東ソー・シリカ工業社製、商品名「Nipsil AQ」
*3 シランカップリング剤: ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製、商品名「Si75」(登録商標)
*4 オイル: 石油系炭化水素プロセスオイル、出光興産社製、商品名「DAIANA PROCESS OIL NS-28」
*5 ワックス: マイクロクリスタリンワックス、精工化学社製、商品名「サンタイト」
*6 老化防止剤6C: N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
*7 加硫促進剤DPG: 1,3-ジフェニルグアニジン、三新化学工業社製、商品名「サンセラーD」
*8 加硫促進剤MBTS: ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業社製、商品名「サンセラーDM」
*9 加硫促進剤NS: N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業社製、商品名「サンセラーNS」
*10 酸化亜鉛: ハクスイテック社製
表2から、実施例1~3の多元共重合体を含む、実施例4~6のゴム組成物は、低歪領域での発熱性が低減されていることが分かる。
本発明の多元共重合体は、ゴム組成物のゴム成分や、樹脂組成物の樹脂成分として利用できる。また、本発明のゴム組成物は、タイヤを始め、各種ゴム製品に利用できる。更に、本発明の樹脂組成物は、各種樹脂製品に利用できる。

Claims (10)

  1. エチレン単位と、ブタジエン単位と、スチレン単位と、からなる三元共重合体であって、
    示差走査熱量計(DSC)で測定した、100~120℃における前記エチレン単位に由来する結晶化度(C100-120)の、0~100℃における前記エチレン単位に由来する結晶化度(C0-100)に対する比率[(C100-120/C0-100)×100]が、23%以下であり、
    前記エチレン単位に由来する結晶成分は、大きく歪んだ際に崩壊し、これによりエネルギーを散逸可能に構成され、
    前記三元共重合体は、擬似架橋点としての連鎖長の短いエチレン単位の割合が高く、且つ連鎖長の長いエチレン単位の割合が低く、小さな歪がかかった際のヒステリシスロスが小さく、低歪領域での発熱性が低減されるように構成されることを特徴とする、三元共重合体。
  2. 前記0~100℃におけるエチレン単位に由来する結晶化度(C0-100)が、10%以上である、請求項1に記載の三元共重合体。
  3. 前記エチレン単位の含有量が40~97mol%で、前記ブタジエン単位の含有量が1~50mol%で、且つ前記スチレン単位の含有量が2~35mol%である、請求項1又は2に記載の三元共重合体。
  4. 示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が、50~90℃である、請求項1~3のいずれか一項に記載の三元共重合体。
  5. 示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が、0℃以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の三元共重合体。
  6. 主鎖が非環状構造のみからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の三元共重合体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の三元共重合体を含むことを特徴とする、ゴム組成物。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の三元共重合体を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
  9. 請求項7に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
  10. 請求項8に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする、樹脂製品。
JP2021520665A 2019-05-17 2020-04-21 多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品 Active JP7431817B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019093936 2019-05-17
JP2019093936 2019-05-17
PCT/JP2020/017251 WO2020235285A1 (ja) 2019-05-17 2020-04-21 多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020235285A1 JPWO2020235285A1 (ja) 2020-11-26
JP7431817B2 true JP7431817B2 (ja) 2024-02-15

Family

ID=73458589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021520665A Active JP7431817B2 (ja) 2019-05-17 2020-04-21 多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20220213240A1 (ja)
EP (1) EP3970989A4 (ja)
JP (1) JP7431817B2 (ja)
CN (1) CN113840741A (ja)
WO (1) WO2020235285A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2020162366A1 (ja) * 2019-02-05 2021-12-09 株式会社ブリヂストン 樹脂組成物及び樹脂製品

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017064859A1 (ja) 2015-10-16 2017-04-20 株式会社ブリヂストン 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物及びゴム物品

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AR012645A1 (es) * 1997-05-01 2000-11-08 Dow Global Technologies Inc Polimeros de alfa-olefinas preparados por polimerizacion en presencia de complejos de metales que contienen grupos indenilo
JP6025413B2 (ja) * 2012-06-15 2016-11-16 株式会社ブリヂストン 共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体、該共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP6541654B2 (ja) * 2014-06-12 2019-07-10 株式会社ブリヂストン 多元共重合体の製造方法
JP6637716B2 (ja) * 2015-10-16 2020-01-29 株式会社ブリヂストン 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物及びゴム物品
JP6762311B2 (ja) * 2015-10-16 2020-09-30 株式会社ブリヂストン 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、及びゴム物品
JP6635369B2 (ja) * 2015-10-16 2020-01-22 株式会社ブリヂストン 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、ゴム製品、及びタイヤ
JP7160620B2 (ja) * 2018-03-05 2022-10-25 株式会社ブリヂストン 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
WO2019171679A1 (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 株式会社ブリヂストン 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017064859A1 (ja) 2015-10-16 2017-04-20 株式会社ブリヂストン 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物及びゴム物品

Also Published As

Publication number Publication date
US20220213240A1 (en) 2022-07-07
CN113840741A (zh) 2021-12-24
EP3970989A1 (en) 2022-03-23
WO2020235285A1 (ja) 2020-11-26
JPWO2020235285A1 (ja) 2020-11-26
EP3970989A4 (en) 2023-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6780827B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、ゴム製品、及びタイヤ
JP7094402B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物及びゴム物品
JP5918134B2 (ja) 共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体、ゴム組成物、及びタイヤ
WO2012014456A1 (ja) 共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、及びタイヤ
WO2019171679A1 (ja) 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
WO2012014455A1 (ja) 共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、及びタイヤ
JP7311091B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、ゴム製品、及びタイヤ
JPWO2019078083A1 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、ゴム製品、及びタイヤ
JP5909121B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP7094403B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物及びゴム物品
WO2012105274A1 (ja) 共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、及びタイヤ
JP7124899B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、ゴム製品、及びタイヤ
JP2017075274A (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、ゴム製品、及びタイヤ
JP5917810B2 (ja) 共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物、及びタイヤ
JP7431817B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、樹脂組成物、タイヤ及び樹脂製品
JP7160620B2 (ja) 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP7097152B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物及びゴム物品
WO2022123993A1 (ja) 共重合体、ゴム組成物及び樹脂組成物
JP7041706B2 (ja) 多元共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム組成物及びゴム物品
JP7244432B2 (ja) 共重合体、共重合体の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP2012180402A (ja) ゴム組成物、架橋ゴム組成物、及びタイヤ
JP2022090555A (ja) 共重合体、ゴム組成物及び樹脂組成物
JP5656686B2 (ja) ゴム組成物、架橋ゴム組成物、及びタイヤ
JPWO2019163835A1 (ja) ゴム組成物、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホース
JP2013159637A (ja) ゴム組成物及びタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230822

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7431817

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150