JP2019098824A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】運転が可能であると共に、着座による腰部の負担を低減可能な車両用シートを提供することにある。【解決手段】車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を有する。前記シートバックは、後方側に向かって、第1部分10b1と、第2部分10b2と、第3部分10b3と、第4部分10b4とを含む。第1部分は、骨盤を寝かせた状態で支持し、前記第3部分は、胸椎または肩甲骨を支持する。前記第3部分は、リクライニング機構RECを有する。【選択図】図6
Description
本発明は車両用シートに関し、特に、自動運転車に載置可能な車両用シートに適用可能である。
近年、自動車の自動運転技術の開発が盛んにおこなわれている。自動運転レベル1−5の内、レベル3−レベル5では、運転者は自動車の運転に関与しないことが多いが、自動運転レベル3およびレベル4では、運転者が自動車の運転を行う場合も想定される。
自動車の運転者がシートに着座し、自動車の運転を行っている場合、運転者の腰部の疲労は、主に、上半身にかかる重力を腰部で支持する事に起因し、長時間の着座においては、上半身にかかる重力が腰椎にかかることによって筋肉疲労が生じる。
疲労の少ない姿勢を提供する車両シートとして、特許文献1や非特許文献1などが提案されている。
パートナーコンフォートシートの開発、松岡由幸、日産技報22号、P31−P37、1986年12月
従来の車両用シートでは、乗員の骨盤を立たせた状態で着座するシート形状となっている為、長時間のシートへの着座において、乗員の腰椎が疲労する。
本発明の目的は、運転が可能であると共に、着座による腰部の負担を低減可能な車両用シートを提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を有する。前記シートバックは、後方側に向かって、第1部分と、第2部分と、第3部分と、第4部分とを含む。第1部分は、骨盤を寝かせた状態で支持し、前記第3部分は、胸椎または肩甲骨を支持する。前記第3部分は、リクライニング機構を有する。
上記車両用シートによれば、運転が可能であると共に、着座による腰部の負担を低減可能な車両用シートを提供することが可能である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示は、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
図1は、実施例に係る車両用シートの前方斜視図である。図2は、実施例に係る車両用シートの側面図である。図3は、実施例に係る車両用シートの上面図である。
車両用シート1は、自動運転車の運転席側のシートを例示的に示しているが、助手席側のシートや後部座席のシートとしても、利用可能である。
車両用シート1は、座面を構成するシート部10と、シート部10の右側面に設けられた右アームレスト11と、シート部10の左側面に設けられた左アームレスト12と、を有する。車両用シート1は、また、左フット部13と、シート部10と左フット部13とを連結し固定する左前方支持部14および左後方支持部15と、右フット部16と、シート部10と右フット部16とを連結し固定する右前方支持部17および右後方支持部18と、を有する。
シート部10は、さらに、ヘッドレスト20と、シートベルトを貫通させて固定する為のスルーリング固定部30と、を有する。シート部10の左側面部には、シートベルトに設けられたシートベルトプレートを脱着可能に固定するためのバックル31が設けられる。
左フット部13および右フット部16は、自動運転車のフロア部に、固定される。なお、左フット部13および右フット部16は、自動運転車のフロア部に、回転可能に固定されても良い。この場合、車両用シート1に着座する運転者は、運転をする場合には自動運転車の前方側を見る体勢を取ることが可能であり、また、運転が不要な場合には後方側を見る体勢を取ることも可能である。
図4は、図3のA−A線に沿うシート部の断面図である。図3のA−A線は、シート部10の座面の左右の中心部に沿って設けられており、図4は、その垂直方向の断面図である。
シート部10は、シートクッション部10aとシートバック部10bとを含む。この例では、運転者や乗員が着座する座面において、シート部10の座面の高さが一番低い部分Lを通る垂直方向に沿う線Bを基準として、前方側の座面をシートクッション部10aと定義し、後方側の座面をシートバック部10bと定義している。シートバック部10bは、ヘッドレスト20のある側と見做すこともできる。
シート部10において、たとえば、ウレタンの様なクッション部材10CUが座面側に設けられ、クッション材10CUを下側から支持する様に、プラスチックの様な樹脂材部10PUが設けられる。なお、クッション部材10CUの表面側は、図示されないシート表皮によって覆われている。リクライニング機構RECの回転中心は、後述される図5及び図6で詳細に説明されるが、シートバック部10bにおいて、座面の高さが一番低い部分Lとヘッドレスト20との中間部近傍の位置のクッション部材10CUの表面から少し内部に入った位置に設ける。
図5は、図4の断面図において、着座した乗員とシート部との関係を説明する図である。図5には、着座した乗員として、例えば、標準的な成人男性の骨格を例示的に示している。なお、この明細書では、腰椎YTは、脊髄を骨盤M側から頭部TT側に向かってみた時に、骨盤Mから数えて、5個の骨を有するものと定義している。また、胸椎KTは、脊髄を骨盤M側から頭部TT側に向かってみた時に、腰椎YTの5番目の骨の次の骨から数えて、12個の骨を有するものと定義している。また、頚椎KKは、脊髄を骨盤M側から頭部TT側に向かってみた時に、胸椎KTの12番目の骨の次の骨から数えて、7個の骨をするものと定義している。
シート部10において、シートクッション部10aは、前方側に向かって、互いに連結された、第1部分10a1と、第2部分10a2と、第3部分10a3と、を含む。第1部分10a1は、乗員の骨盤Mまたは大転子Nから大腿Kの中間部KCの側を支える第1座面部分である。第2部分10a2は、乗員の大腿Kの中間部KCから膝Hの裏側を支える第2座面部分である。第2部分10a3は、乗員の膝Hの裏側からふくらはぎFの部分(下腿)を支える第3座面部分である。大転子Nは、ヒップポイント(HP)という事もできる。
一方、シート部10において、シートバック部10bは、後方側に向かって、互いに連結された、第1部分10b1と、第2部分10b2と、第3部分10b3と、第4部分10b4と、を含む。第1部分10b1は、骨盤M部分を支える第1座面部分である。第2部分10b2は、腰椎YT部分を支える第2座面部分である。第3部分10b3は、胸椎KT部分を支える第3座面部分である。第4部分10b4は、頚椎KK部分を支える第4座面部分である。
図5に示されるように、着座した乗員において、乗員の骨盤Mを、第1部分10b1により、大きく後傾させる。また、乗員の腰椎YTから胸椎KTにかけての上半身側では、第2部分10b2および第3部分10b3により、次第に乗員の体を起こす姿勢とし、乗員の頚椎KK部分では、第4部分10b4により、ほぼ直立した姿勢となる様にする。これにより、肩から上側では、すなわち、乗員の頭部TTでは、乗員の目EYEが前方を水平方向に見ることを可能として、運転視界を確実に確保する。これにより、適切な運転姿勢をとることができる。
この姿勢を調整する調整機構として、リクライニング機構RECを、肩甲骨KNの下側近辺に設ける。すなわち、リクライニング機構RECは、胸椎KTを支える第3部分10b3の肩甲骨KNの下側近辺に対応する部分に設けられている。これにより、第3部分10b3のリクライニング機構RECの設置部分より上側および第4部分10b4は、前後方向に、傾動可能にされる。なお、ヘッドレスト20も、同様に、前後方向に、傾動可能にされる。
また、乗員の骨盤Mから大腿K側にかけて、シートクッション部10aの第1部分10a1および第2部分10a2により、前上がりの姿勢とする。
図5から明らかな様に、シートバック部10bの第1部分10b1及び第2部分10b2や、シートクッション部10aの第1部分10a1や、シートクッション部10aの第1部分10a1とシートバック部10bの第1部分10b1との間には、リクライニング機構が設けられていない。リクライニング機構RECは、シートバック部10bの第3部分10b3のみに設けられる。
乗員の骨盤Mを、第1部分10b1または第1部分10b1と第2部分10b2との組み合わせより、大きく後傾させる。つまり、乗員の上体にかかる重力に対して、骨盤Mを大きく寝かせることで、腰椎YTにかかる垂直方向の荷重を低減させる。これにより、第1部分10b1または第1部分10b1と第2部分10b2から構成される座面に荷重を分担させることができるので、乗員の腰椎YTの疲労を低減することができる。
また、乗員の骨盤Mから腰椎YT、胸椎KYと重力による荷重が小さくなるに従い、第1部分10b1、第2部分10b2および第3部分10b3により、次第に、乗員の上体を起こす。これにより、乗員の上体への重力の第1部分10b1、第2部分10b2および第3部分10b3から構成される座面への分担を小さくしても、乗員の脊椎への重力負担は大きくならず、肩部より上では、第4部分10b4により、運転に必要な姿勢および運転視線を得ることができる。
また、リクライニング機構RECを、胸椎KTを支える第2部分10b3の肩甲骨KNの下側近辺に対応する部分に設けて、乗員の肩部より上のシートバック部10bの上側部分の角度、または、第3部分10b3のリクライニング機構RECの設置部分より上側および第4部分10b4の角度を前後方向に調整可能とする。これにより、前方視界を確保しながら、乗員の腰椎YTへの負担を低減できる。また、乗員の上体とシートバック部10bの第3部分10b3または第3部分10b3と第4部分10b4との接触面積を広い面積で確保することが出来るので、安定した運転姿勢および良好な運転視界を、長時間の間、継続して得ることが出来る。
したがって、車両シート1においては、運転が可能でありながら、着座による乗員の腰部への負担を低減することができるという効果を得ることが可能である。
図6は、図4の断面図におけるシート部の構成を説明する図である。図6を用いて、リクライニング機構RECの設置位置を、詳細に説明する。
リクライニング機構RECは、前述の様に、胸椎KTを支える第2部分10b3の肩甲骨KNの下側近辺に対応する部分に設けられる。リクライニング機構RECの回転中心の位置を通る垂直方向に沿う線を線RVとし、リクライニング機構RECの回転中心位置を通る水平方向に沿う線を線RHとする。また、大転子Nを通る垂直方向に沿う線は線Bであり、大転子Nを通る水平方向に沿う線を線NHとする。ここで、線RVと線Bとの間の水平方向又は前後方向の距離をL1とし、線RHと線NHとの間の垂直方向又は上下方向の距離をL2とする。
距離L1は、342mm±10mm程度が良く、より好ましくは、略342mmである。一方、距離L2は、152mm±10mm程度が良く、より好ましくは、略152mmである。すなわち、リクライニング機構RECの回転中心の位置は、大転子Nを基準にすると、後方向に、342mm±10mm程度または略342mmの位置にあり、上方向に、152mm±10mm程度または略152mmの位置にある。
この様にリクライニング機構RECの回転中心の位置を設定することで、乗員の肩部より上のシートバック部10bの角度、または、第3部分10b3と第4部分10b4との角度を調整可能とする。これにより、乗員の上体とシートバック部10bの第3部分10b3または第3部分10b3と第4部分10b4との接触面積を広い面積で確保することが出来るので、安定した運転姿勢および良好な運転視界を、長時間の間、継続して得ることを可能とする。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
1:車両用シート
10:シート部
10a:シートクッション部
10a1:シートクッション部の第1部分
10a2:シートクッション部の第2部分
10a3:シートクッション部の第3部分
10b:シートバック部
10b1:シートバック部の第1部分
10b2:シートバック部の第2部分
10b3:シートバック部の第3部分
10b4:シートバック部の第4部分
REC:リクライニング機構
M:骨盤
N:大転子(ヒップポイント(HP))
YT:腰椎
KT:胸椎
KK:頚椎
TT:頭部
K:大腿
KN:肩甲骨
10:シート部
10a:シートクッション部
10a1:シートクッション部の第1部分
10a2:シートクッション部の第2部分
10a3:シートクッション部の第3部分
10b:シートバック部
10b1:シートバック部の第1部分
10b2:シートバック部の第2部分
10b3:シートバック部の第3部分
10b4:シートバック部の第4部分
REC:リクライニング機構
M:骨盤
N:大転子(ヒップポイント(HP))
YT:腰椎
KT:胸椎
KK:頚椎
TT:頭部
K:大腿
KN:肩甲骨
Claims (4)
- シートクッションと、シートバックと、を有し、
前記シートバックは、後方側に向かって、第1部分と、第2部分と、第3部分と、第4部分とを含み、
前記第1部分は、骨盤を寝かせた状態で支持し、
前記第3部分は、胸椎または肩甲骨を支持し、
前記第3部分は、リクライニング機構を有する、車両用シート。 - 請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記リクライニング機構は、前記肩甲骨の下側に対応する部分の近傍に設けられる、車両用シート。 - 請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記リクライニング機構の回転中心の位置は、大転子を基準として、
上方向に、152mm±10mm程度、
後方向に、342mm±10mm程度、に設けられる、車両用シート。 - 請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記リクライニング機構の回転中心の位置は、大転子を基準として、
上方向に、略152mm、
後方向に、略342mm、に設けられる、車両用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017229315A JP2019098824A (ja) | 2017-11-29 | 2017-11-29 | 車両用シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017229315A JP2019098824A (ja) | 2017-11-29 | 2017-11-29 | 車両用シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019098824A true JP2019098824A (ja) | 2019-06-24 |
Family
ID=66975456
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017229315A Pending JP2019098824A (ja) | 2017-11-29 | 2017-11-29 | 車両用シート |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019098824A (ja) |
-
2017
- 2017-11-29 JP JP2017229315A patent/JP2019098824A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80 Effective date: 20171218 |