JP2019098381A - 積層造形物の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接する溶着ビード同士の間の狭隘部によって未溶着部が形成されることを防止して、効率よく高品質な積層造形物を得ることができる積層造形物の製造方法及び製造装置を提供する。【解決手段】溶加材Mを溶融及び凝固させた溶着ビード25を並設して溶着ビード層34を形成し、形成された溶着ビード層34に次層の溶着ビード層を繰り返し積層して積層造形物を造形する。この積層造形物の製造方法は、隣接する溶着ビード25同士の間に形成される狭隘部41にカットワイヤ45を充填する工程と、狭隘部41に充填されたカットワイヤ45と溶加材Mとをアークにより溶融及び凝固させ、狭隘部41に溶着ビードを形成する工程とを有する。【選択図】図5

Description

本発明は、積層造形物の製造方法及び製造装置に関する。
近年、生産手段として3Dプリンタを用いた造形のニーズが高まっており、金属材料を用いた造形の実用化に向けて研究開発が進められている。金属材料を造形する3Dプリンタは、レーザや電子ビーム、更にはアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させることで積層造形物を作製する。
例えば、アークを用いる場合には、アークにより溶加材を溶融及び凝固させて溶着ビードを形成し、この溶着ビードを複数層に積層することで積層造形物を作製する。その場合、溶着ビードを複数列状に隣接させて配置した溶着ビード層を形成し、この溶着ビード層を複数回繰り返し積層すれば、1本の溶着ビードよりも幅広に造形できる。
しかし、溶着ビード層の隣接する溶着ビード同士の間には、ビード外表面が内側に窪んだ狭隘部が形成されるため、溶着ビード層の上に溶着ビード層を更に形成する際、狭隘部の存在によって溶加材の充填が不十分となり、未溶着部等の溶接欠陥を招く。つまり、ビード外表面が内側に窪んだ狭隘部が形成されると、入熱不足、溶融金属の濡れ性、狭隘部の左右にアークが飛ぶことによる入熱の偏り、溶可材の充填不足等により狭隘部に未溶着が発生する。この狭隘部の影響を少なくするために、初層のビードの山同士の間に溶接を行う方法が知られている(特許文献1)。
特開2016−30283号公報
しかしながら、特許文献1には、初層のビード同士が重なることについて、何ら考慮がされていない。初層において互いに隣接するビード同士の間に間隙を設けると、隣接するビード同士の間隔が広くなりすぎて、一層のビード高さが低い造形となってしまう。その結果、積層造形の効率が低下することになる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣接する溶着ビード同士の間の狭隘部によって未溶着部が形成されることを防止して、効率よく高品質な積層造形物を得ることができる積層造形物の製造方法及び製造装置を提供することにある。
本発明は、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを並設して溶着ビード層を形成し、該形成された溶着ビード層に次層の溶着ビード層を繰り返し積層して造形する積層造形物の製造方法であって、
隣接する前記溶着ビード同士の間に形成される狭隘部にカットワイヤを充填する工程と、
前記狭隘部に充填された前記カットワイヤと前記溶加材とを前記アークにより溶融及び凝固させ、前記狭隘部に前記溶着ビードを形成する工程と、
を有する。
また、本発明は、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを並設して溶着ビード層を形成し、該形成された溶着ビード層に次層の溶着ビード層を繰り返し積層して造形する積層造形物の製造装置であって、
隣接する前記溶着ビード同士の間に形成される狭隘部にカットワイヤを充填するカットワイヤ供給部と、
前記狭隘部に充填された前記カットワイヤと前記溶加材とを溶融させるトーチを有する溶接ヘッドと、
前記溶接ヘッドの姿勢と位置を変更する移動機構と、
を備える。
本発明によれば、隣接する溶着ビード同士の間の狭隘部によって未溶着部が形成されることを防止して、効率よく高品質な積層造形物を得ることができる。
本発明の積層造形物を製造する製造装置の模式的な概略構成図である。 ベースプレート上に複数の線状の溶着ビードが一列に並べられた溶着ビード層を示す模式的な斜視図である。 ベースプレート上に形成された初層の溶着ビード層の概略断面図である。 カットワイヤ供給部とトーチとを溶接方向に移動させて溶着ビードを形成する様子を示す工程説明図である。 狭隘部にカットワイヤを充填させた状態で溶接するアーク溶接する様子を示す工程説明図である。 カットワイヤ供給量調整部を示す概略構成図である。 初層の溶着ビード同士の間の狭隘部を埋めて平坦化する様子を示す工程説明図である。 初層の溶着ビード同士の間の狭隘部を埋めて平坦化する様子を示す工程説明図である。 初層の溶着ビード同士の間の狭隘部を埋めて平坦化する様子を示す工程説明図である。 図7Bに対応する他の溶着ビードの形成例を示す工程説明図である。 図7Cに対応する他の溶着ビードの形成例を示す工程説明図である。 図7Bに対応する他の溶着ビードの形成例を示す工程説明図である。 図7Cに対応する他の溶着ビードの形成例を示す工程説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の積層造形物を製造する製造装置の模式的な概略構成図である。
本構成の積層造形物の製造装置100は、積層造形装置11と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ15と、を備える。
積層造形装置11は、先端軸にトーチ17を有する溶接ヘッド21が設けられた溶接ロボット19と、トーチ17に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部23とを有する。
コントローラ15は、CAD/CAM部31と、軌道演算部33と、記憶部35と、これらが接続される制御部37と、を有する。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、溶接ヘッド21のトーチ17には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ17の位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
トーチ17は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する積層造形物に応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ17は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により、溶加材供給部23からトーチ17に送給される。そして、トーチ17を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、ベースプレート27上に溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶着ビード25が形成される。
本構成の積層造形装置11の場合、トーチ17が支持される溶接ヘッド21には、詳細を後述するカットワイヤを供給するカットワイヤ供給部(不図示)が配置されてもよい。カットワイヤ供給部は、隣接する溶着ビード25同士の間の窪んだ狭隘部にカットワイヤを供給して、狭隘部に必要量のカットワイヤを充填する。
CAD/CAM部31は、作製しようとする積層造形物の形状データを作成した後、複数の層に分割して、各層の形状を表す層形状データを生成する。軌道演算部33は、生成された層形状データに基づいてトーチ17の移動軌跡を求める。記憶部35は、生成された層形状データやトーチ17の移動軌跡等のデータを記憶する。
制御部37は、記憶部35に記憶された層形状データやトーチ17の移動軌跡に基づく駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19を駆動する。つまり、溶接ロボット19は、コントローラ15からの指令により、軌道演算部33で生成したトーチ17の軌道軌跡に基づき、溶加材Mをアークで溶融させながらトーチ17を移動する。このとき、カットワイヤ供給部がロボットアームの先端軸に設けられた場合には、カットワイヤ供給部がトーチ17と共に移動する。
上記構成の製造装置100は、設定された層形状データから生成されるトーチ17の移動軌跡に沿ってトーチ17を溶接ロボット19の駆動により移動させながら溶加材Mを溶融させ、溶融した溶加材Mをベースプレート27上に供給する。これにより、図2に示すように、ベースプレート27上には、複数の線状の溶着ビード25が凝固して一列に並べられた溶着ビード層34が形成される。この溶着ビード層34は、複数の溶着ビード25をそれぞれ隣接させて繰り返し形成して、目標幅Wになるまで造形される。更に、溶着ビード25が並設された溶着ビード層34の上に、同様の溶着ビード層34を複数層に積層して、最終的に積層造形物が造形される。
なお、ベースプレート27は、鋼板等の金属板からなり、基本的には積層造形物の底面(最下層の面)より大きいものが使用される。なお、ベースプレート27は、板状に限らず、ブロック体や棒状等、他の形状のベースであってもよい。
溶加材M及びカットワイヤ45は、あらゆる市販の溶接ワイヤを用いることができる。例えば、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定されるワイヤを用いることができる。また、カットワイヤ45に適宜な添加物を含ませることで、溶着ビード25を強化する等の機能性を持たせることができる。
また、溶加材M及びカットワイヤ45を溶融させる熱源としては、上記したアークに限らない。例えば、アークとレーザとを併用した加熱方式、プラズマを用いる加熱方式、電子ビームやレーザを用いる加熱方式等、他の方式による熱源を採用してもよい。電子ビームやレーザにより加熱する場合、加熱量を更に細かく制御でき、溶着ビードの状態をより適正に維持して、積層造形物の更なる品質向上に寄与できる。
図3はベースプレート27上に形成された初層の溶着ビード層34の概略断面図である。
初層の溶着ビード層34は、ベースプレート27上に形成された複数列の溶着ビード25から構成される。溶着ビード25は、概ね、図3に溶着ビード25の長手方向に直交する断面で示すように、上方に膨らむ断面形状からなる。溶着ビード25は、所定幅Waを離間させて線状に形成されるため、溶着ビード25同士の間には、溶着ビード25の頂部から窪んだ狭隘部41が形成される。ここで、隣接する溶着ビード25の外表面同士が接する境界を境界点Pcとし、境界点Pcにおける、一方の溶着ビード25(図中左側)の外表面の接線をL1、他方の溶着ビード25(図中右側)の外表面の接線をL2とする。また、接線L1と接線L2とのなす角(交差角の小さい側の角)を開き角θとする。本明細書において狭隘部41とは、開き角θが鋭角である場合の窪みを意味する。
溶着ビード25同士の間に狭隘部41が存在すると、溶着ビード層34を積層する際に、未溶着部が生じやすくなり、完成した積層造形物にブローホールが残ることがある。そこで、本構成の製造装置100においては、初層の溶着ビード層34以降に発生する狭隘部41に、予めカットワイヤを充填しておき、カットワイヤと共に溶加材Mを溶融させる。これにより、溶着量を増加させた溶着ビードにより、狭隘部41を確実に埋めるようにしている。
図4はカットワイヤ供給部43とトーチ17とを溶接方向WDに移動させて溶着ビード25を形成する様子を示す工程説明図、図5は狭隘部41にカットワイヤ45を充填させた状態で溶接するアーク溶接する様子を示す工程説明図である。
図4,図5に示すように、トーチ17の溶接方向WDの上流側では、カットワイヤ供給部43により狭隘部41にカットワイヤ45が供給される。また、カットワイヤ45が充填された狭隘部41に向けてトーチ17からアークを発生させ、カットワイヤ45と溶加材Mを溶融及び凝固させる。これにより、狭隘部41が、新たに形成された溶接ビードによって隙間なく埋められる。
カットワイヤ供給部43は、上記したように、トーチ17と共にロボットアームの先端軸に搭載し、トーチ17の位置よりも溶接方向WDの上流側で、狭隘部41に充填することでもよいが、これに限らない。例えば、ロボットアームとは別体に、適宜なカットワイヤ供給機構を設け、カットワイヤ供給機構が、溶接ロボット19による溶着ビードの形成前に、予め狭隘部41にカットワイヤ45を充填する構成であってもよい。また、カットワイヤ45の充填は、手作業によって充填することであってもよい。
図6はカットワイヤ供給量調整部47を示す概略構成図である。
カットワイヤ供給部43は、カットワイヤ45の供給量を調整するカットワイヤ供給量調整部47を備えることが好ましい。
一例として示すカットワイヤ供給量調整部47は、ホッパ等のカットワイヤ貯留部(不図示)からカットワイヤ45をカットワイヤ供給部43に接続される流路48と、カットワイヤ供給部43までの流路48の一部に設けられ、カットワイヤ供給量を調整する電動調整弁49と、を備える。電動調整弁49は、制御部37(図1参照)により駆動され、流路48を細くすることでカットワイヤ45の流れを制限する。
これにより、カットワイヤ供給量を所望量に設定できる。また、カットワイヤ供給量調整部47は、カットワイヤ45の径やワイヤ長等のサイズ毎に複数ラインが設けられていてもよい。その場合、所望のサイズのカットワイヤ45を所望のラインから必要量だけ選択的に供給可能となる。
なお、カットワイヤ供給量調整部47は、上記以外にも、例えば、肉盛り溶接に用いられる粉体供給ポンプ等、供給量を調整可能な適宜な供給手段が使用可能である。
制御部37は、図1に示す軌道演算部33により生成されるトーチ17の移動軌跡に基づいて、狭隘部41のサイズ(幅や深さ等)を推定し、推定された狭隘部41の状態から、カットワイヤ45のサイズ又は供給量、或いは、これら双方を溶着ビードの位置毎に決定する。そして、決定された条件でカットワイヤ45を狭隘部41に供給して、狭隘部41にカットワイヤ45を充填する。
狭隘部41の角度や大きさと、カットワイヤ45の供給量とは、予め対応テーブルによって対応付けされており、制御部37は、対応テーブルを参照して決定した溶着ビード位置毎に適切なサイズや供給量のカットワイヤ45を、カットワイヤ供給部43から狭隘部41に供給する。例えば、サイズや供給量は、狭隘部41のサイズが大きいほど増加させ、狭隘部41のサイズが小さいほど減少させる。ここで、カットワイヤ45の供給量の変更は、同種のカットワイヤの量を増減させる以外にも、カットワイヤの径やワイヤ長等のサイズを変更することであってもよい。これによれば、単純な制御で溶着量の増減が行える。
<第1の溶着ビード形成例>
図7A、図7B、図7Cは、初層の溶着ビード25同士の間の狭隘部41を埋めて平坦化する様子を示す工程説明図である。
図7Aに示すように、ベースプレート27に形成された溶着ビード25同士の間の狭隘部41にカットワイヤ45を充填した後、トーチ17からアークを発生させて、カットワイヤ45と溶加材Mと、初層の溶着ビード25の一部を溶融させる。
これにより、図7Bに示すように、上記した狭隘部41を埋めるように溶着ビード51が形成される。また、隣接する狭隘部41にも同様してカットワイヤ45を充填し、図7Cに示すように、狭隘部41を埋める溶着ビード51を形成する。
上記工程によれば、初層の溶着ビード層34に形成された狭隘部41が溶着ビード51により埋められて、溶着ビード層34の上面が略平坦化される。以降同様に、略平坦化された初層の溶着ビード層34上に、次層の溶着ビード層57となる溶着ビード25Aを形成する。更に、溶着ビード25A同士の間の狭隘部41Aにカットワイヤを充填して、上記同様に溶着ビードにより狭隘部41Aを埋める。
したがって、次層の溶着ビード25Aを形成する際は、狭隘部41が常に消失した状態となるため、完成した積層造形物にブローホール等の溶接欠陥が生じることがない。また、常に前層の溶着ビード層が平坦化されることで、設計通りのサイズの溶着ビード25Aを安定して形成できる。また、各溶着ビード層の隣接する溶着ビード同士は、ビードの一部が重なって配置されるため、溶着ビード層の層厚さが極端に薄くならず、効率よく積層造形が行える。
<第2の溶着ビード形成例>
図8A,図8Bは前述の図7B,図7Cに対応する他の溶着ビードの形成例を示す工程説明図である。
図8Aに示すように、本形成例では、初層の溶着ビード層34における溶着ビード25の狭隘部41に溶着ビード53が形成される。この溶着ビード53は、狭隘部41を埋めると共に、初層の溶着ビード25の頂部よりも更に高い位置まで形成されている。この場合の溶着量を増加は、カットワイヤ45の供給を第1の形成例の場合よりも増量させることや、溶接条件を変更して溶加材Mの溶融量を増加させることにより実現できる。
本形成例では、溶着量が増加することで、図8Bに示すように、隣接する溶着ビード53同士の間に形成される窪みが浅くなる。よって、前述した狭隘部41のように、開き角θが鋭角にならずに鈍角となる。よって、この場合でも、次層の溶着ビードを形成する際、初層の狭隘部41が常に消失した状態となり、溶着ビード53同士の間には、開き角θが鋭角になる狭隘部は形成されない。そのため、完成した積層造形物にブローホール等の溶接欠陥が生じることがない。これにより、高品位な積層造形物を得ることができる。
<第3の溶着ビード形成例>
図9A,図9Bは前述の図7B,図7Cに対応する他の溶着ビードの形成例を示す工程説明図である。
図9Aに示すように、本形成例では、初層の溶着ビード層34における溶着ビード25の狭隘部41に、溶着ビード55が形成される。この溶着ビード55は、狭隘部41を埋めて、前層の溶着ビード25と同等の高さHに形成されている。この場合の溶着量の増加は、前述同様に、カットワイヤ45を増量させることや、溶接条件の変更による溶加材Mの溶融量を増加すること等により実現できる。
本形成例によれば、溶着量が増量された溶着ビード55によって、狭隘部41が埋められると共に、初層の溶着ビード層34の上に、溶着ビード55による溶着ビード層57が形成される。つまり、前述の第1,第2形成例にように、狭隘部41を埋めるための溶着ビード51,53を、次層の溶着ビード層とは別に形成する場合と比較して、積層工程をより簡単化でき、タクトアップが図れる。なお、この場合には、次層の溶着ビード層57に狭隘部41が生じるが、この狭隘部41は、上記の手順でカットワイヤ45の充填と、溶加材Mの溶融量増加により、隙間なく埋められる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
上記した溶接装置においては、溶接ロボットのロボットアームによりトーチを移動させる構成であるが、これに限らない。例えば、3軸の移動テーブル等の移動機構を用いて、トーチと溶接位置とを相対移動させる構成であってもよい。
上記した構造体の製造方法では、アーク放電により溶接ワイヤを溶解して溶着ビードを形成し、低コストで、且つ短いリードタイムで構造体を作製している。この溶着ビードの形成は、アーク放電に限らず、アーク放電とレーザとを併用した加熱方式、レーザブレージングによる方式等、他の方式を採用してもよい。レーザにより加熱する場合、加熱量を更に細かく制御でき、溶着ビードの状態をより適正に維持して、積層構造物の更なる品質向上に寄与できる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを並設して溶着ビード層を形成し、該形成された溶着ビード層に次層の溶着ビード層を繰り返し積層して造形する積層造形物の製造方法であって、
隣接する前記溶着ビード同士の間に形成される狭隘部にカットワイヤを充填する工程と、
前記狭隘部に充填された前記カットワイヤと前記溶加材とを前記アークにより溶融及び凝固させ、前記狭隘部に前記溶着ビードを形成する工程と、
を有する積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、狭隘部にカットワイヤを充填し、溶加材とカットワイヤとを共に溶融、凝固させることで、溶着量を増加させた溶接ビードが得られる。これにより、狭隘部が溶着ビードにより確実に埋められて、ブローホール等の溶接欠陥が生じることを防止できる。よって、効率よく高品位な積層造形物が得られる。
(2) 前記狭隘部は、隣接する前記溶着ビードの長手方向に直交する断面で、当該溶着ビードの外表面同士が接する境界において、一対の前記溶着ビードの外表面の接線がなす開き角が鋭角となる部位である(1)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、特に溶接欠陥が生じやすくなる、開き角が鋭角となった狭隘部を確実に溶着ビードで埋めることができる。
(3) 前記狭隘部のサイズに応じて、前記カットワイヤのサイズと供給量の少なくともいずれかを変更する(1)又は(2)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、狭隘部のサイズに適切なカットワイヤが充填され、所望の溶着量を安定して得ることができる。
(4) 前記狭隘部のサイズが大きいほど、前記カットワイヤのサイズと供給量の少なくともいずれかを大きくし、前記狭隘部のサイズが小さいほど前記カットワイヤのサイズと供給量の少なくともいずれかを小さくする(3)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、狭隘部のサイズに応じてカットワイヤのサイズを設定することで、目的の溶着量を確実に得ることができる。
(5) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを並設して溶着ビード層を形成し、該形成された溶着ビード層に次層の溶着ビード層を繰り返し積層して造形する積層造形物の製造装置であって、
隣接する前記溶着ビード同士の間に形成される狭隘部にカットワイヤを充填するカットワイヤ供給部と、
前記狭隘部に充填された前記カットワイヤと前記溶加材とを溶融させるトーチを有する溶接ヘッドと、
前記溶接ヘッドの姿勢と位置を変更する移動機構と、
を備える積層造形物の製造装置。
この積層造形物の製造装置によれば、狭隘部にカットワイヤを充填して、カットワイヤと溶加材とを共に溶融、凝固させることで、溶着量を増加させた溶接ビードが得られる。これにより、狭隘部が溶着ビードにより確実に埋められて、ブローホール等の溶接欠陥が生じることを防止できる。よって、高品位な積層造形物が得られる。
17 トーチ
19 溶接ロボット(ロボット)
21 溶接ヘッド
25,51,53,55 溶着ビード
34,57 溶着ビード層
41 狭隘部
43 カットワイヤ供給部
45 カットワイヤ

Claims (5)

  1. 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを並設して溶着ビード層を形成し、該形成された溶着ビード層に次層の溶着ビード層を繰り返し積層して造形する積層造形物の製造方法であって、
    隣接する前記溶着ビード同士の間に形成される狭隘部にカットワイヤを充填する工程と、
    前記狭隘部に充填された前記カットワイヤと前記溶加材とを前記アークにより溶融及び凝固させ、前記狭隘部に前記溶着ビードを形成する工程と、
    を有する積層造形物の製造方法。
  2. 前記狭隘部は、隣接する前記溶着ビードの長手方向に直交する断面で、当該溶着ビードの外表面同士が接する境界において、一対の前記溶着ビードの外表面の接線がなす開き角が鋭角となる部位である請求項1に記載の積層造形物の製造方法。
  3. 前記狭隘部のサイズに応じて、前記カットワイヤのサイズと供給量の少なくともいずれかを変更する請求項1又は請求項2に記載の積層造形物の製造方法。
  4. 前記狭隘部のサイズが大きいほど、前記カットワイヤのサイズと供給量の少なくともいずれかを大きくし、前記狭隘部のサイズが小さいほど前記カットワイヤのサイズと供給量の少なくともいずれかを小さくする請求項3に記載の積層造形物の製造方法。
  5. 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを並設して溶着ビード層を形成し、該形成された溶着ビード層に次層の溶着ビード層を繰り返し積層して造形する積層造形物の製造装置であって、
    隣接する前記溶着ビード同士の間に形成される狭隘部にカットワイヤを充填するカットワイヤ供給部と、
    前記狭隘部に充填された前記カットワイヤと前記溶加材とを溶融させるトーチを有する溶接ヘッドと、
    前記溶接ヘッドの姿勢と位置を変更する移動機構と、
    を備える積層造形物の製造装置。
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